〝好立地、ぞくぞく〟 プリンス新高輪に隣接 オープンハウス「高輪」好調
「オープンレジデンシア 高輪ザ・ハウス」
〝好立地、ぞくぞく〟-CM通り過去8年間の東京23区の累計供給棟数は131棟で、2位の三菱地所レジデンス125棟を上回る堂々の供給ランキングトップの座に躍り出たオープンハウス・ディベロップメントの都心部・準都心部のマンションが続々供給されており、販売も好調に推移している。
同社の〝オープンレジデンシア〟ブランドの最上位〝ザ・ハウス〟の冠が付けられている「オープンレジデンシア 高輪ザ・ハウス」もその一つ。
物件は、都営浅草線高輪台駅から徒歩4分、JR品川駅から徒歩9分、港区高輪三丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率300%)に位置する地上8階地下1階建て全34戸。専有面積は31.53~104.19㎡。坪単価は582万円。竣工予定は2022年7月。施工は風越建設。
今年3月末から販売されており、これまでに27戸を成約。残り7戸の価格帯は9,000万~1億8,000万円台。問い合わせは3,000件、モデルルーム来場者は500件。
現地は邸宅跡地で、道路を挟んだ対面はグランドプリンスホテル新高輪・さくらタワー東京。主な設備仕様は、食洗機、シーザーストーン天板、ミストサウナ、グローエ水栓、玄関・廊下・洗面室・トイレ床材は大理石。間取り・仕上げにも対応するオーダーシステムも採用している。
販売を担当するのは、オープンハウス野球部のエースで、RBA野球大会で史上最多のノーヒット・ノーランを5度達成し、チームを決勝戦の東京ドーム進出に導いたオープンハウス・ディベロップメントマンション開発事業部営業部係長・川崎直也氏(32=記者のバーチャル年俸で最高額は2019年の2億8000万円)。
川崎氏は、「販売は極めて順調。最寄り駅5分以内の住居系で、かつ品川駅徒歩10分圏内で過去10年間のマンション供給はゼロ。リニア・高輪ゲートウェイの再開発の資産性と、プリンスホテルに隣接する立地が評価されている」と語っている。
同社は今後、「オープンレジデンシア池袋」(19戸)のほか「下北沢」(概要未発表)「北参道」(同)などを分譲する。
川崎氏(「オープンレジデンシア 高輪ザ・ハウス」模型の前で)
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最近の同社のマンションは見学していないが、都心部の住居系エリアで圧倒的な価格の安さで人気を呼んだ低層メゾネットなどはよく取材した。光井純氏をデザイン監修に起用した「オープンレジデンシア南青山」は都心部での供給に拍車をかけた物件として印象に残っている。
坪単価について。「高輪」は間違いなく安い。物件概要は未発表なのでよくわからないのだが、「池袋」は位置が確認できた。明治通りから一歩入ったところだ。坪単価500万円といきたいところだが、同社は高値追求しないと読んだ。坪450万円でどうか。
「下北沢」は駅に近いと聞いたが、坪600万円は間違いなく切る。「下北沢」の再開発はこれから本格化する。
「北参道」はまったくわからない。坪単価500万円以下はありえないと思うが、手掛かりがなくては読みようがない。
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川崎氏と野球の話に移ったとき、同社がプロ野球ヤクルトスワローズの公式スポンサーであることを知った。記者はアンチ巨人・西武ファンなので、西武の試合はほとんど全試合、CMの間はパリーグの他の2試合は観るが、セリーグの試合はまず観ない。同社がもう5年も前からスポンサーとなり、今ではトップスポンサーで、冠試合も多いことなど全く知らなかった。
ただ、行きつけの酒屋のご主人がヤクルトファンで、いつも傷をなめあったりしているので(最近はコロナで距離を置いているが)、もらったらあげようと「一つ頂戴」とマスコットの非売品の「つば九郎」をおねだりしたら、同社広報担当者は気前よくくれた。
さっそくご主人にプレゼントした(正確には仲介しただけ)。酒屋の親父はそのレアな価値が分からないのかキョトンとした表情を浮かべただけで、「ありがとう。これでヤクルト優勝だ。何? ゲーム差? この前巨人に2連勝し2.5ゲーム。オペンハウス? 知ってるよ。不動産屋でしょ」としか言わず、缶ビール1本のお返しもなかった。いつも焼酎とタバコとたまにはビールやワインを買ってやるのに…。西武は絶望的な6.5ゲーム。3位狙いしかない。
「オープンレジデンシア 高輪ザ・ハウス」をうらやましそうに眺める「つば九郎」(彼の年俸では買えないか)
オープンハウス 「代々木」に続き「銀座2丁目」「虎ノ門」「青山1丁目」など予定(2016/1/18)
インテリックス 省エネリノベ「エコキューブ」 大幅なUa値低減 冷暖房費は7割削減
インテリックスは先に省エネリノベーション「ECOCUBE(エコキューブ)」を採用されたマンションを発売すると発表したが、「ECOCUBE」を採用した場合とそうでない場合の差異、イニシャルコスト・ランニングコストに関する記者の質問に回答があった。
「エコキューブ」は、2011年から開発・販売を行ってきたもので、改良を重ね、「温熱計算+断熱材+高性能内窓+熱交換式第一種換気」を標準仕様とすることで、より高い経済的メリットを実現したとリリースした。
記者が質問したのは、①エコキューブを施していない物件との差異②エコキューブのイニシャルコスト、ランニングコストの2点。
①については、改修前建物仕様のUa値は0.673W/m2・Kで、断熱・サッシ(内窓)・換気設備・冷暖房説費を施した改修後建物仕様のUa値は0.133W/m2・Kとなり、室内温度は外気温に関わらず15度を下回ることのない数値を確保しているとしている。この結果、冷暖房は常時運転(冷房26度・暖房22度)として試算した場合、改修前は平均約7,000円/月程度なのが、改修後は平均約1,000円/月程度まで減少するとしている。
②については、イニシャルコストは150万~200万円程度で、ランニングコストは冷暖房費が約7割削減(平均値)に削減できるとしている。このほか、フィルター交換(2年に1度)の費用がかかる。
同社は今期の販売目標を約200件としている。
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記者はこれまでリノベーションマンションを結構取材してきたが、いつも感じるのは、外気温の侵入を阻み、住戸内の温度の流失を防ぐには、サッシの交換、あるいは二重サッシ化をすべきだということだ。サッシは共用部分なので、どこも手を付けられないでいる。
同社が今回、大幅なUa値を改善できたのはサッシ(内窓)を取り付けることの効果が大きいと考える。
今期の販売目標は200件ということのようだが、他社はどこもそこまでやっていないはずで、倍くらいに伸ばせるのではないか。サッシはLow-E樹脂サッシにすればもっと数値は改善されるはずだ。チャレンジしてほしい。
コスモスイニシア 田町駅前に常設ギャラリー デザインは「parkERs」
「イニシアラウンジ 三田」
コスモスイニシアは7月15日、同社初の「INITIA」の世界観が体感できる住まいの総合ギャラリー「イニシアラウンジ 三田」をオープンし、販売物件の案内を開始したと発表した。
同社が分譲する複数の新築マンションの情報などを提供するほか、今後はリノベーションマンションや新築戸建、中古マンションなども加えていく。
空間デザインは「parkERs(パーカーズ)」が監修。緑と水音に包まれる空間のなかで、住まいの相談だけではなく、3DCG で作成した室内画像が大型モニターに投影されたオンラインマンションギャラリー「ROOVcompass」でVR 内覧や情報閲覧ができる。
また、隣接するビル内に新築分譲マンション「イニシア青砥レジデンス」(40 戸)、「イニシア横浜天王町」(65戸)の2つのモデルルームも用意している。
総合ギャラリーは、JR 山手線田町駅から徒歩1分、港区芝5丁目34番7号 田町センタービル2階。営業時間は平日11:00~16:00/土日祝10:00~18:00(完全予約制)。定休日は水・木・第3火曜日(祝日営業、夏季・年末年始休暇あり)。
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常設総合ギャラリーを設けるところが増えている。取材を申し込み、実現したらレポートしたい。「parkERs(パーカーズ)」がデザイン監修を担当しているのは、フェイクではなく、本物の観葉植物を置くように主張してきた記者としてもとても嬉しい。(全て本物ではないかもしれないが)
カフェ
「フロント」に続き「ザ・マークス」も分譲へ 大和地所レジ 必見の「赤羽北」
「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」
大和地所レジデンスは7月14日、人気のうちに完売した「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」に並列する「ヴェレーナグラン赤羽北ザ・マークス」のモデルルームをオープンすると発表した。
外観は、双子星の意味の〝BinaryStar〟をデザインテーマに、シンメトリーな高低差をもって大空をシャープに切り取る大庇のスカイライン、ライムストーン仕上げの柱と、隣接する「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」(分譲済)から連なる約100mに及ぶライン照明で存在感を創出した南向き中心の配棟計画。
商品企画では、3階スキップフロア&ストレージを設け、コンサバトリースペースやアイランドキッチン、ロフト、テラス、最上階ルーフバルコニー付き住戸など、約44㎡台~約100㎡台、29の多彩なプランを用意。
3階フロアの「SKIRAGE スキップフロア&ストレージ」は、リビング天井高約3.0m、約2.5mのハイサッシを採用、高さ約0.74m(一部0.64m)の床下収納を設置している。
物件は、JR埼京線北赤羽駅から徒歩3分、北区赤羽北二丁目に位置する12階建て全96戸。入居予定は2023年3月下旬。施工は森組。
.ルーフバルコニー付き最上階住戸
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記者は、この種のマンションデベロッパーの販売開始のプレス・リリースは書かないことにしている。「猿が木に登った」と書いても誰も読まず、「豚が木に登る」から記事になるのと一緒だ。
それでもコピペして紹介したのは、メディアの方も含めて関係者の皆さんにぜひともモデルルームを見学していただきたいからだ。その理由は、添付した記事を読んでいただきたい。卓越した商品企画もさることながら、教えてくれるかどうかはわからないが〝仕入れの妙〟にうなるはずだ。
デベロッパーの広報担当の方々にもお願いだ。新型コロナ感染リスクを避けるためメディアの見学を断っているところがたくさんある。〝お客さま優先〟というのもよくわかる。
だが、しかし、メディアもお客さんとつながっている。消費者のニーズがどこにあるか、アンテナを四方八方に張り巡らし情報を収集することを怠ったら記者でなくなるのと同様、一方的に情報を発信するだけで、メディアの取材を断る姿勢は顧客第一主義に背馳する。
顧客対応に追われている現場の方々の苦労はよくわかる。しかし、対策をしっかりとれば、ゼロではないかもしれないが、感染リスクは抑えられる。わが業界紙の記者の皆さんも現場取材ができず、窒息状態にあるのではないか。
大和地所レジデンスは小生の取材依頼を断ったことは全くない。
スキップフロア
床下収納
テーマは〝ゆるやかな隣人〟 コスモスイニシア 賃貸「nears(二アーズ)川崎」開業へ
外観
コスモスイニシアは7月14日、「“ゆるやかな隣人”のいる新しい暮らし」をコンセプトにした賃貸シェアレジデンス「nears(二アーズ)川崎」を11月に開業すると発表した。
ミレニアル世代を中心に広がっているシェアハウスに、「多様性のあるコミュニティ」や「職住融合の暮らし」などを付加したプランが特徴で、家族でも、友人でも、同僚でもない、他人同士が同じレジデンスに住み、仕事をする時間、食事をする時間、趣味を楽しむ時間、さまざまな時間を共有することで“ゆるやかな隣人”となっていく空間・機会を提供する。
共用フロアはキッチン・ダイニング・ラウンジ・ライブラリー・暖炉・オープンテラスを設置。働きやすい家具、ドリンク、Wi-Fiを備え、オンライン会議や集中作業、アイデア創出など、働き方によって空間を使い分けられるよう工夫を凝らしている。
標準的な居室は14.4㎡で、家具家電(ベッド、チェア、エアコン、冷蔵庫、Wi-Fi)や水回り(シャワー、トイレ、洗面)を備える。
物件は、JR川崎駅から徒歩4分、川崎市幸区中幸町に位置する14階建て全69戸(他に共用スペース、店舗2戸)。竣工予定は2021年10月下旬。
居室プラン
リスト AIシステムを用いた高額中古マンション価格上昇率ベスト10発表
リストは7月13日、同社が開発したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」を用いた高額帯マンションの査定額騰落率ランキングを作成・発表した。
東京23区内の築15年以内、新築時の平均販売価格が2億円以上の高額帯マンションに絞って作成したもの。
リストグループで都心の高額帯物件の仲介を行うリストインターナショナルリアルティ ウェルス事業部執行役員・銀座オフィス支店長の福島麦氏は次のようにコメントしている。
高級マンションが立ち並ぶ3Aエリアや人気の番町エリアが上位に来ていることは納得。また、有名建築家デザインのマンションや供給の少ない立地のマンションが上位に来ている印象。平均価格2億円以上の高額帯のマンションは、強固なセキュリティやコンシェルジュサービスなどソフト面の充実、大型車が置ける駐車場付きであることが必須条件に挙げられることが多い。
加えて、ペントハウスや庭園付き、300㎡以上の広々とした専有面積、眺望が良いなどの条件は、都心エリアでは供給が限られるため希少性が高く価値がつきやすい傾向にあり好まれる。
特に最近は、在宅時間の増加から広い家を求める富裕層顧客も多く、広い住戸は価値がより一層つきやすいのではないか。
インバウンド顧客は眺望を最も重視することが多い。また、新築マンションの供給は限られているので、築年数にこだわる顧客は減っている。
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この10物件のうち1位の「パークマンション三田日向坂」、10位の「ブリスベージュ神宮前」は取材しておらずよくわからないが、他の8物件は全て取材している。記事を検索した。「プラウド南青山」「パークマンション白金台サンク」はヒットしなかったが、残りの6物件は記事が残っていた。添付したので参考にしていただきたい。絶賛した物件もあり、それがAIに評価されているのはとても嬉しい。
現在の査定価格でもっとも坪単価の高いのは「パークコート青山 ザ・タワー」の1,510万円だ。この価格に記者も納得。コロナが収束し、再び経済が活性化すればまだまだ都心の好立地・高額マンションの価格は上昇するはずだ。新築で坪3,000万円は時間の問題だと思っている。
10物件のうち半分が三井不動産レジデンシャルの物件で、大和ハウス工業が2物件、野村不動産、三菱地所レジデンス、オリックスが各1物件だが、三井不動産レジデンシャルが高額マンション市場で独走しているのもよくわかる。2位以下との差は大きい。
機会があったら、同社のAIと対決したい。どちらの見る目が正鵠を射るか勝負しようぜ。
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)
乃木神社に隣接 垂涎の立地 三菱地所「乃木坂パークハウス」(2008/3/7)
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)
またまた千葉NT中央で驚異的な売れ行き 大和地所レジ「アリーナ」176戸
「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央アリーナ」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央アリーナ」を見学した。駅北口から徒歩5分のイオンモールに近接する100㎡中心の全176戸で、3年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央ザ・フロント」234戸からまだ2年半というのに、分譲開始2か月ちょっとですでに100戸弱を成約するなど信じられない売れ行きを見せている。
物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分、印西市中央北一丁目の商業地域(建ぺい率は角地緩和により90%、容積率600%)に位置する15階建て全176戸。8月分譲予定の第2期1次(戸数未定)の専有面積は85.28~100.35㎡、価格は3,800万円台~4,900万円台、坪単価は160万円。竣工予定は2022年10月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
5月から販売を開始し、これまでに100戸弱を成約している。買い替え希望は約4割。買い増しも目立つ。
現地はイオンモールに徒歩3分、二方接道の角地。従前は駐車場(所有者はUR都市機構)。建物はL字型で、標準階の住戸は南南西向き7戸:南南東向き5戸。100㎡超の住戸割合は約67%。
主な基本性能・設備仕様は、奥行き約4メートル、広さ約10畳大のオープンエアリビングバルコニー付きが74戸、直床二重天井、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、メーターモジュール廊下、スロップシンク、1620浴室(85㎡除く)、天然御影石キッチンカウンター(11階以上)など。共用施設としてキッズルーム(集会室)・パーティルーム(集会室)など。駐車場は全戸分。
モデルルーム
玄関・廊下
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今回も坪単価から。この前の東京建物「ブリリアタワー前橋」も大成有楽不動産「オーベル戸田公園レジデンス」も単価予想はズバリ的中した。今回も的中させて3連勝といきたいところだが、同社が3年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央ザ・フロント」(記事参照)の例もあるので一筋縄ではいかないのは百も承知だ。
振り返ってみる。「中央ザ・フロント」は、駅南口から徒歩5分、住戸プランは8mワイドスパンの100㎡が中心で、その他の設備仕様レベルは今回とほとんど同じだった。(坪単価は140万円)
今回は駅北口のイオン近接の一等地だ。「中央ザ・フロント」のような価格では無理で、坪175万円以下はありえないと読んだ。
しかし、予想は大幅に外れ坪160万円。「奥の手を使ったのか」と担当者に質問したが、用地を安く仕入れられたことをにおわすのみで、それ以上の回答は得られなかった。
これ以上は深入りしない。同社は、千葉ニュータウンエリアで今回の物件を含め6物件1,420戸、戸建て274戸の合計1,694戸と他社を圧倒する供給量を誇り、街づくりに貢献していることが考慮されているのではないか。
商品企画では、「中央ザ・フロント」と異なっているのは玄関で、「中央ザ・フロント」では幅1.4m×奥行1.6mだったのを今回は1.4m×2.2mとし、広くなった部分にはコートなどが掛けられる収納にしていることだ。それにしても1坪近い玄関スペースを設ける郊外型マンションなど皆無だろう。100㎡だからこそできる芸当だ。主寝室はほとんどが8畳大。
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今回の取材でさもありなんと思ったことが一つある。これは同社に限ったことではないが、マンションが分譲されるたびに近隣住民が見学するケースは多い。ましてや同社は1,420戸もの住宅を分譲している。既購入者がわが家と比較しようと見学に訪れるのは当然だ。
そこで、同社はコロナ禍でもあり、一般にモデルルームを公開する前に既購入者限定の見学会を実施したところ、紹介契約が10件前後もあったという。レベルが低いマンションならまずありえないことだ。
建設現場
◇ ◆ ◇
記者は全国住宅産業協会(全住協)とずいぶん前に縁を切ったが(切られたのではない)、同協会の優良事業表彰に同社は第8回の「ヴェレーナシティパレ・ド・シエル」、第9回の「ヴェレーナガーデン千葉ニュータウン中央Ⅰ街区」、第10回の「ヴェレーナグラン山手」、第11回の「ヴェレーナシティ上大岡」と4年連続で受賞した。
記者はこれら全てを見学しているが、11回の「上大岡」は2019年に分譲された首都圏の代表的なマンションだと思う。来年の12回では「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」が受賞するのはほぼ間違いない(エントリーすればだが)。
このところの建築費の高止まりを背景に、マンションの基本性能・設備仕様はどんどん退行している。第一次取得層向けの専有面積は70㎡を割り込み、昭和50年代後半に流行った66㎡(20坪)の3LDKが堂々とまかり通っており、天井高も2400~2450が主流になり、床暖房、ディスポーザー、食洗機もない郊外部マンションがたくさん供給されている。
それだけに同社の商品企画は異彩を放つ。完成在庫を出さないのは商品企画が優れているからだ。100㎡住宅を3年間で400戸超も供給するデベロッパーなどほかにない。中堅所得層にとって希望の星というのは言い過ぎか。
駅前の広場
駅近100㎡ 商業隣接 驚愕の坪140万円 大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」(2018/10/30)
価格と駅距離の壁跳ね返す 大和地所レジ「西新井」5カ月で半数成約(2021/5/10)
大和地所レジデンス2020年3月期 計上870戸 期末まで全戸完売(2020/4/2)
大和地所レジデンス 横浜磯子区の第一種低層で大規模マンション 商品企画に力(2016/9/23)
大和地所レジデンス 千葉NT中央でユーロデザインの戸建て全275区画分譲へ(2016/11/2)
景観風致地区の一角 大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン山手」(2018/5/8)
2019年ベスト3マンション 三井他「晴海」地所「北千住」大和レジ「上大岡」(2019/12/24)
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
駅6分のアプローチは緑道 現地は公園隣接 大成有楽不「戸田公園」好調スタート
「オーベル戸田公園レジデンス」
大成有楽不動産が分譲中の「オーベル戸田公園レジデンス」を見学した。駅から徒歩6分の全43戸で、車道をほとんど渡らずに済む緑道アプローチと、小公園に隣接しているのが特徴。5月末販売開始の第1期27戸のうち20戸が成約するなど好調なスタートを切った。
物件は、JR埼京線戸田公園駅から徒歩6分、戸田市本町二丁目の近隣商業地域、第1種住居地域、第2種中高層住居専用地域に位置する11階建て全43戸。専有面積は55.82~66.59㎡。坪単価は250万円。竣工予定は2022年5月下旬。設計・監理は安宅設計。施工は東鉄工業。5月末から販売を開始し、第1期27戸のうち20戸が成約済み。
現地は、二方道路に接道。敷地西側は「かじやさくら緑地」に隣接。建物は全戸南東向き。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450~2800ミリ、食洗機、ミストサウナ、防音&Low-Eガラスなど。
販売を担当する同社マンション事業本部事業室(第二)係長・岩橋亮介氏は、「この物件は、自社で直接販売も担当する第一号。わたしはかつて販売会社(大成有楽不動産販売)に在籍していたので、顧客対応は全く問題ない。販売状況はまずまずのスタート。立地条件は競合物件に負けない」などと語った。
モデルルーム
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マンション見学で何が楽しいかといえば、もちろん商品企画の優れた物件に出会い、街並みを確認できることが一番だが、単価予想を的中させることもそのうちの一つだ。自慢ではないが、8割くらい的中する。40年以上もずっと継続して取材しているからだ。
今回も、駅に降り現地に向かいながら予想した。戸田市は財政力が豊かなのに、緑被率は埼玉県下で下から数えて4番目の0.18と極めて低い(最低は蕨市の0.04)のが難点だが、この物件は、埼京線の線路に沿って整備されているサクラやクヌギの並木が美しい緑道を通っていけるではないか。徒歩6分のうち車道を渡らなければならないのは2か所くらいしかない。駅と自宅の間にストレスがかからないのは何よりも嬉しいことだ。
そこで思い出したのは、昨年11月に見学したタカラレーベン「レーベン戸田公園GRANVARIO」58戸だ。今回の物件とは方向は逆だが、やはり駅から続く緑道を抜けたところに立地していた。坪単価は260万円だった。
今回の物件は、タカラレーベンの物件より1分だけ遠いので坪単価は250万円と予想した。前述したとおり予想はどんぴしゃり。
モデルルームは、ハーフモデルだったが、専有面積が65~66㎡のコンパクトであることを考慮し、居室ドアは全て引き戸とし、使い勝手と収納力が〝売り〟の同社オリジナル「O-range STORAGE(オレンジストレージ)」が標準装備されている。TOTO製の偏心洗面ボウルは新製品なのか、美しい。
この偏心洗面ボウルは美しい
建設現場
「かじやさくら緑地」(この背後がマンション)
「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾 三井ホーム「稲城」見学会
「稲城・木造マンションプロジェクト」
三井ホームは7月7日、建築時のCO2排出量をRC造より半減させる枠組壁工法による日本最大級の「稲城・木造マンションプロジェクト」構造現場見学会を行った。国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁や高性能遮音床システムなどを採用している。プロジェクトは、国土交通省の令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されており、一次エネルギー消費量を約30%低減するZEH-M(Oriented)を取得する予定。
物件は、京王相模原線稲城駅から徒歩4分、稲城市百村に位置する5階建て(1階:RC造、2~5階:木造)耐火ハイブリッド構造の延べ床面積約3.738㎡の賃貸マンション51戸。最上階には90㎡の住居も2戸設けられる。木造部分の階高は2980ミリ、リビング天井高は2450ミリ。着工は2020年10月。竣工予定は2021年11月。
プロジェクトでは、中層の建築物を木造化する場合、規定の構造性能と耐火基準を満たすためには、構造壁が厚くなることなどが設計上の課題とされてきたが、その課題を解決するために、枠組壁工法では国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」を開発。これにより、従来と比べ壁厚を約半分に減らすことを可能にしたのが大きな特徴。
また、鉄筋コンクリート造と同等クラスの高性能遮音床システムを開発。鉄筋コンクリート造の集合住宅で求められる要求性能(重量床衝撃音LH-55以下、軽量床衝撃音LL-45以下)と同等程度の遮音性能を実現した。
さらに、準耐火建築物への採用が可能となった構造材「NLT」を一部に採用し、施工の検証を行う。「NLT」は、北米で100年以上前から利用されてきた意匠デザインの幅を広げる構造材で、「大空間」の設計に利用可能なほか、特別な生産設備が不要であり、資材調達におけるコストメリットも期待されている。
このほか、同社は国内初の試みとして、信州カラマツ材による2×10材を床組みの一部に採用し、三井不動産グループの保有林(北海道)の木材や間伐材を軒裏や内装材として活用。国産材の用途拡大に貢献する。
同社は、中層以上の共同住宅の木造化・木質化も促進することで、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献するため、「木」を構造材に用いた木造マンションの新ブランド「MOCXION(モクシオン)」を立ち上け、今回の「稲城・木造マンションプロジェクト」を第一弾とすることを発表している。
高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」
高性能遮音床システム
「NLT」材
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見学会では、同じ壁の厚さで通常の壁の30倍の強度を持つとか、地震時の耐力壁の回転を抑える金物「ロッドマン」は1本で通常50本の金物の役割を果たすとか、矢継ぎ早に発せられる担当者の言葉に記者はあっけにとられるばかりだったが、一つだけ木のよさと技術の高さがよくわかったことがあった。
見学中、サッシは通常のアルミサッシのように見えた。ZEHマンションなどでは断熱性を高めるため二重サッシにし、しかも室内側は樹脂サッシが採用されているものが多い。どうしてアルミなのか聞いたら、担当者は断熱性が十分担保されるので、樹脂サッシを採用する必要がなく、それだけコストも抑えられるということだった。
アルミサッシの開口窓
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会場に着いたら、同社関係者はみんなSDGsバッジを付けていた。記者は「バッジを付けているのは〇〇ハウスさんがおそらく一番多い。御社はどうか」と質問した。「当社は希望するグループ社員全て。2,000人強が対象」とのことで、「〇〇ハウスさんは木製ではない」と聞かないことまで返ってきた。確かにバッジは木製だった。
木製のSDGsのバッジを付けているのは住友林業の役員(一般社員はわからない)とアキュラホームだ。
木製SDGsバッジ
:建設現場
免震、超高層、ディスポーザー、億ション…初尽くし 公・商・住の東京建物「前橋」
「ブリリアタワー前橋」
東京建物は7月5日、群馬県の県都・前橋市の前橋駅前の〝公・商・住〟一体複合再開発免震タワーマンション「ブリリアタワー前橋」のメディア向けモデルルーム発表会を行った。同社にとって前橋市でのマンション供給は初めてで、免震、高さ94mの超高層、ディスポーザー付きなども同市にとって初で、初物尽くしのマンションだ。
物件は、JR両毛線前橋駅から徒歩2分、前橋市表町二丁目に位置する敷地面積約3,870㎡、27階建て全203戸。専有面積は60.85~123.88㎡、価格は未定だが3,000万円台前半からで、坪単価は208万円になる模様。売主は同社(事業比率80%)のほかファーストコーポレーション(同20%)。設計・監理は宮田建築事務所。構造監理はサイエンス構造。デザイン監修は野生司環境設計。施工はファーストコーポレーション・小林工業・鵜川興業・吉田組。竣工予定は2024年3月下旬。
事業は、前橋市が進める「市街地総合再生計画」区域内の重要施策区域に位置する再開発事業の一環であり、東京建物が分譲事業の幹事会社と事業の個人施行者として、ファーストコーポは事業の個人施行者代表企業、分譲事業の共同事業者、物件施行者1社として参画するもの。
四方道路の周囲には、デッキ広場や並木の遊歩道などを整備し、建物デザインには、「糸」「水」「並木」「山並み」「レンガ」といった、前橋の歴史や自然に縁のあるモチーフを取り入れ、前橋駅前のランドマークにふさわしい外観が特徴。
建物の1階に商業施設、2階に子育て支援施設などを整備するほか、災害時における帰宅困難者の一時避難場所としても提供する予定。住戸は2階からで、標準階は1フロア9戸、26・27階は1フロア6戸。
主な基本性能・設備仕様は、免震のほか二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(上層階26、27階は2700ミリ)、ディスポーザー、食洗機(収納との無償セレクト)、Low-Eガラス、玄関プッシュプルドア、ホーローキッチンパネルなど。共用施設として2階にリモートワークに対応するワーキングラウンジと個室のワーキングブースのほかパーティールーム、キッズルームなどを設置する。駐車場は全213台(うち住宅居住者用203台)。
発表会に臨んだ同社住宅事業第一部長・浅沼正樹氏は「当社が個人施行者となって分譲するもので、免震、高さ94mというのは前橋市で初めて。今週の土曜日から一般公開を開始するが、東京圏からも問い合わせがある」と手ごたえを感じている様子だった。
これまで約600件の反響があり、モデルルーム来場予約は200件を突破。向こう3週間は全て満席(営業スタッフ8人対応で3回転)。年代は40歳代が最多で、60歳以上は約1割、居住地は。地元が約65%、高崎、東京圏がそれぞれ約1割、買い替え希望は約2割。分譲開始は9月の予定。
エントランス上部のアルミ素材による格子状のデザインには、前橋の発展を支えた生糸へのオマージュが込められているという
2層吹抜けエントランスラウンジ
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まず坪単価から。記者はリーマン・ショック後の2010年9月、大京「ライオンズ前橋大手町」112戸とタカラレーベン「レーベンリヴィバーレ高崎グレイス」109戸を見学取材している。坪単価は前者が110万円、後者が120万円だった。
そして今回。いかに地方とはいえ、県都だから坪200万円以下はありえず、とはいえ200万円をはるかに突破することもないと読み、坪210~220万円くらいではないかと予想した。
その通りになった。とても安いとは思うが、高いか安いか判断するのはお客さんだ。
全然知らなかったのだが、関係者から聞いたらこのマンションは初物尽くしだ。以下にそれを列挙する。
①同社初の前橋市での分譲(同社は4年前だったか、高崎で分譲したマンションは人気になった)②免震③最高峰(これまでは群馬県庁か)④ディスポーザー⑤スライドドア⑥億ション(最上階の123㎡)などだ。
不思議に思ったのは60歳以上の反響が1割にとどまっていることだ。その理由はよくわからないが、前橋市の中心市街地は駅から少し離れたところで、その先に県庁などの行政の中心地がある。生活利便施設は中心市街地や行政エリアのほうが充実しているので、通勤する必要のない高齢者などは〝駅近〟に魅力を感じていないためだろうか。
東京圏の反響が1割というのはよくわかる。県都の駅前に立派なマンションが建つなら、地縁のある人ならみんな関心を示す。一方で、高崎も1割というのはよくわからない。前橋の立派なケヤキ並木は高崎にはないのではないか。
建設現場
駅前のケヤキ並木
甲府に続く県都の一等地 大京「ライオンズ前橋大手町」(2010/9/3)
市街地活性化に一役買う タカラレーベン「レーベンリヴァーレ高崎グレイス」(2010/9/3)