三菱地所レジ 「朝霞台」に在宅ワーク用スペースなど「こだわりプラン」初導入
「ザ・パークハウス朝霞台レジデンス」
三菱地所レジデンスは1月14日、モデルルームを1月23日にオープンする「ザ・パークハウス朝霞台レジデンス」に在宅ワーク用スペースなど新しい需要を取り入れた「こだわりプラン」を導入すると発表した。
1階住戸に用意した専用テラスでは、水栓と作業台(カウンター)、防水コンセントを備えたアウトドアシンクを同社としては初めて設置。
1階住戸の一部タイプでは、リビングの床を一段下げたスペースを設け、段差をベンチ代わりにしたり、子どもたちのプレイスペースとして使えるようにしたりすることができ、さらに床を下げた分、天井が高くなるようにしている。ピットリビングの導入は初の試み。
また、必要な時だけワークスペースとして活用できる多用途に使用可能な「カスタムクローゼット」を導入する。ワークスペースの作業台となる棚板の仕様基準をロイヤルと共同開発したオリジナル商品。
物件は、東武東上線朝霞台駅から徒歩5分、JR武蔵野線北朝霞駅から徒歩5分、朝霞市浜崎2丁目に位置する8階建て64戸。専有面積は69.00~91.50㎡、竣工予定は2022年1月上旬。売主は同社のほか三信住建。設計・施工は川口土木建築工業。
「アウトドアシンク」
「ピットリビング」
◇ ◆ ◇
1階のアウトドアシンクは常識ではないかと思うが、同社が採用するのはかなり立派なものに見える。いかにも同社らしい。2階以上にはスロップシンクは付けないのか。ここ数年、デベロッパーはほとんど付けなくなった。あれば便利だと思うが…。
「ピットリビング」も戸建てでは常識だ。マンションでは皆無ではないが、珍しいはずだ。これを設置することで1階の天井高は最大でどれくらいになるのか。画像データからは20センチくらいか。とすれば、最大天井高は2700ミリくらいになるか。
気になる坪単価だが、周辺相場からすると255万円と読んだが、もっと高くなるかもしれない。
「カスタムクローゼット」
平均75㎡ レベル高いマリモ「昭和記念公園」 4カ月で半分以上の90戸超成約済み
「ポレスター昭和記念公園」
マリモが分譲中の「ポレスター昭和記念公園」を見学した。青梅線東中神駅から徒歩10分の全168戸で、昨年9月の販売開始からこれまで90戸以上が成約済み。極めて好調に推移している。
物件は、JR青梅線東中神駅から徒歩10分、昭島市もくせいの杜2丁目に位置する10階建て全168戸。現在販売中の第3期4次(14戸)の専有面積は64.87~82.95㎡、価格は3,668万~4,638万円(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は185~190万円。(3戸)竣工予定は2021年3月末日。設計・監理は三輪設計。施工は松村組。売主は同社のほか三信住建。販売代理はグローバル住販。
現地は、開発面積約66haの立川基地跡地昭島地区区画整理事業地内の一角に位置。国営昭和記念公園までは徒歩8分。建物は、コの字型で、標準階1フロア21戸のうち南向きが13戸。共用施設は全戸駐車場、ゲストルーム、ラウンジライブラリー、スタディブース、コミュニティルームなど。
主な基本性能・設備仕様は、平均専有面積75㎡、リビング天井高2.65m、直床、床暖房、Low-Eガラス、食洗器、スロップシンク、プッシュプルドア、ハンズフリーキーなど。
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見学したこの日(12日)、同社のマンション見学は予定に入っていなかった。「パークホームズ昭島中神」のモデルルーム見学を終え、現地とその近くのスーパーに寄る目的で歩いていたら、この「ポレスター」の販売事務所が目に入ったので、見学を申し込んだ。
コロナ禍で完全予約制をとっているはずなので断られると思ったが、事情を話したら同社営業本部おもてなし課・目崎真美氏は快く応じてくれた。
特徴は上記に書いた通り。レベルが高いマンションだ。改めて強調したいのはワイドスパンだ。面積が最小の64㎡でも6300ミリ確保し、70㎡台で6800ミリ以上、80㎡台以上だと8000ミリ以上ある。6000ミリくらいのショートスパン幅を利かせている最近の市場からすると突出している。このほか化粧鏡付きの玄関収納扉を標準装備している物件は他ではそうないはずだ。細かいところにも配慮しているのは今も昔も同じだ。
ワイドスパンだから提案できるモデルルーム(奥に収納スペースを提案)
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モデルルームを見学してうれしいことがあった。販売代理のグローバル住販営業部主任の小田部奨氏と会えたことだ。同社はRBA野球大会に参加しており、記者は小田部氏のユニークな名前にふさわしいプレー・言動にほれ込んだ。興味のある方は「グローバル住販」「小田部」「RBA」で検索していただきたい。5つや6つはヒットするはずだ。
甲府駅北口で駅から最も近いマンション1カ月半で約7割を販売 マリモ「甲府駅前」(2017/12/19)
わが国初の太陽熱給湯システム「ポレソーラー」搭載マリモ「ポレスター玉川上水」(2012/2/10)
〝安さ〟売り「ザ・ビッグ」に近接 三井不レジ他「昭島中神」 収穫大の今年初の見学
「パークホームズ昭島中神」
三井不動産レジデンシャル(事業比率60%)・西日本鉄道(同20%)・総合地所(同20%)3社JVの「パークホームズ昭島中神」を見学した。マンション見学はほぼ1か月ぶりで、この日(12日)は小雪舞う中、鼻水が出るはメガネが曇るはでマスクに悪態をつきっぱなしだったが、終わってみれば収穫の多い1日だった。今年も極力現地に足を運びレポートしていきたい。コロナはもちろん怖いが、記者が現場を見なくなったらそれは死も同然だ。デベロッパーの広報担当の皆さん、そして現場の販売担当の皆さん、今年も馬鹿な記者に付きあっていただきたい。
物件は、JR青梅線中神駅から徒歩9分(昭島駅から徒歩16分)、東京都昭島市宮沢町の準工地域に位置する10階建て全313戸。1月下旬に販売予定の第1期3次(戸数未定)の専有面積は58.80~81.72㎡、予定価格は3,200万円台~5,100万円台(最多価格帯3700万円台)。坪単価は180~190万円。竣工予定は2022年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
昨年12月から販売を開始し、これまで第1期1・2次58戸を供給し、50戸強が成約済み。
現地は、圧倒的人気を呼んだ2002年竣工の「プレイシア」(527戸)に隣接。用途地域からも分かるように工場跡地。周辺はマンション化も進んでおり、嫌悪施設は確認できなかった。〝安さ〟が売りのイオン「ザ・ビッグ昭島店」が徒歩2分、昭島駅前の大型ショッピングモール「モリタウン」が徒歩11分。
建物はF字型で、標準階1フロアの南西向きが14戸、南東向きが13戸、コミュニティガーデン・駐輪場に面した南西向きが8戸。住戸プランは各住棟の角住戸を除きほとんどが66㎡台。
主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗器、エコガラスなど。
販売事務所所長で三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室主査・太刀川慶氏は「来場制限していることを考え合わせば、販売はまずは順調なスタート。わたしも担当するまで中神も昭島もよく知らなかったのですが、現地近くのスーパー『ザ・ビッグ』はとにかく安い。店がオープンする9時半にはレジに行列ができるほど。大規模『モリタウン』も徒歩圏というのが特徴。来場者の50~60%は市内です。青梅線での当社のマンション? 立川昭和記念公園と河辺の事例があります。昭島市では初です」と話した。
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販売事務所を訪れてすぐ太刀川氏から「北千住の取材でもお会いしている」と言われたとたん、その時の光景がよみがえった。「北千住」は太刀川氏も驚くほどの人気になったが、今回は果たしてどうか。
ほとんどの住戸が60㎡台で、床暖房がついておらず、引き戸もソフトクローズ機能付きでなかったのには驚いたが、生活利便施設が整っている立地第一次取得層にターゲットを絞り込み、価格4,000万円以下にして売る戦略が成功するかどうか。
三井不動産レジデンシャルが青梅線でマンションを分譲するのは今回が初めてではないかと思っていたが、事例はあるようだ。
モデルルーム
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太刀川氏の「安い」と強調したスーパー「ザ・ビッグ昭島店」がいかほど安いか確認することにした。
店内の至る所に「買えば買うほどに安さが分かります!」と大書きされた赤い垂れ幕(看板)が掛かっていた。
取り敢えずタバコを買った。値段は安くなかった。女性のレジ担当者に「タバコは安くならないんですか」と聞いてみた。「タバコは法律で安く売ってはいけないことになっています」と返ってきたので、「他の商品は他社と比べて安いんですか」と畳みかけたら、「当店は安さが売りですが、他店も安くしていますので…飲み物などは安いと思います」とのことだった。
そこで、1缶190円(+消費税10%)のサントリーのプレミアムモルツと東京クラフトビール(この生ビールはとてもおいしい)、特売品の1パック450円(+消費税10%)のイチゴ1パックを買った。ビールはコンビニなどで買ったら230~240円はするので間違いなく安いし、イチゴはこの前、友人にあげるためにスーパーで買ったのは2パック1,500円だったので、これも破格値でないか。太刀川氏の言葉に嘘はなかった。太刀川さんも飲んだことがなかったらぜひ東京クラフトを飲んでみてください。
このマンションを検討される方に一言。昭島市の新型コロナ感染者は1月7日現在315人(わが多摩市は285人)で、人口10万人当たりの感染者(率)は278人(多摩市は192人)なので、10万人当たり1,000人を超える新宿区や港区、渋谷区などの都心の物件を担当するよりはるかに感染リスクは低い。油断は禁物だが、郊外マンションのいいところだ。
もう一つ、途中で大変な僥倖に恵まれた。マリモ「ポレスター昭和記念公園」のモデルルームを見学できたことだ。この記事は後ほど紹介する。
「ザ・ビッグ昭島店」
ほぼ電柱の高さでぶった切られていたトチノキの街路樹
三井不レジ「パークホームズ立川」 「半ソト空間」だけでない魅力あり(2015//9/28)
なぜ現場を観ない お粗末に過ぎる 業界紙のマンション展望記事
軽佻浮薄、軽挙妄動を地で行く記者は今年6度目の年男を迎えた。これまでなら性格そのもの猪突猛進といきたいところだが、新型コロナは酒(どうしてわがパソコンは酒に変換するのか)なければならない。ここは自重して「牛歩」もありかと考えている。誰が何と言おうとわが道を行く。いちいち些末なことに反応しないことに決めた。
だが、しかし、性格は変えられない。舌の根が乾かぬうちに前言を翻す。新年早々のわが業界紙「住宅新報」と「週刊住宅」の業界展望〝特集〟記事には我慢がならない。〝ボーっと生きてんじゃねーよ! それでも男か!〟といいたい。
まず、住宅新報。マンション市場について次のようにある。
「例えば、新築マンション販売では、マンションギャラリーでモデルルームを案内しながらの対面接客が基本だが、〝3密〟回避のためウェブ商談を取り入れるディベロッパーが増加。更には顧客にVRでモデルルームを体感してもらう方法や、カメラを持った営業担当者がギャラリー内のモデルルームや模型室を歩き、実際に案内しているかのように顧客と対話する方法も登場し始めている。
こうした選択肢が加われば遠隔地で来場できない顧客にも情報提供が可能となる。もともとマンションギャラリーは、単なる情報提供だけでなく、購入に向かって気持ちを盛り上げる場でもある。住まいを手に入れるというワクワクする気持ちを、オンラインならではの方法でどう訴え掛けるかが今後の課題となる」
ウェブ商談、VRモデルルームは記者もありだと思う。しかし、基本性能・設備仕様レベルは双方ともまず消費者に分かりやすく伝えられない。2400ミリと2500ミリの天井高は全然異なる。床材、クロス、キッチン天板、建具家具などケミカル製品か本物か、しっかり見ないと区別がつかない(見ても分からないものもあるが)。数千万円もする商品を担当者とのやりとりや画像を見ただけで購入を決断する人など皆無だろう(バブル期にはいたが)。
デベロッパーだって苦肉の策としてウェブ商談、VRモデルルームを導入している。「住まいを手に入れるというワクワクする気持ちを、オンラインならではの方法でどう訴え掛けるかが今後の課題となる」-書いた記者の方は本当にモデルルームを「気持ちを高める場」と考えているのか。
コロナ対策のため、来場を制限し、自らも昼食などはコンビニで弁当を買い事務所で食べ、仕事が終わったら自宅に直帰している現場担当者のことを考えれば、そんなノー天気な記事など書けないはずだ。
記者はかつて〝わたしは空気だって売ることができる〟と豪語した口八丁手八丁の営業マンを知っているが、こんな人は例外中の例外だ。
週刊住宅はどうかと言えば、記事は自前の記者ではなく外注。中身は読者の方が判断することだからさておく。
どうして外注なのか。普段から担当記者がマンション現場に足を運び、自らの視点でものを見る努力を怠っているからこのようなことが起きる。こんなことを続けていたら読者から見放される。
そして、双方とも決定的に問題なのは、あれやこれやのマクロデータの寄せ集めで記事を構成していることだ。何度もいう。とにかく現場に足を運ぶことだ。コロナの感染拡大で取材機会は減るだろうが、プレス・リリースに頼ってばかりいたら絶対に記者として自立できないだろう。
取材は激減したが 話題に事欠かないマンション続々 関係者に感謝
候補はなかったわけではない記者が選ぶ「ベスト3」「話題のマンション」
コロナに突き落とされ翻弄された1年ベスト3・話題のマンション今年は断念
じわり浸透 ZEHマンション10物件 売れ行き総じて好調
「レ・ジェイド大倉山」
三菱地所レジ・近鉄不「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」
高層ZEH-M プラン秀逸 日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)
隣接のサカタのタネのメタセコイア圧巻 大京のZEH-M「仲町台」 販売好調(2020/2/21)
蛍が湧き立つ川に隣接 基本性能・仕様レベル高い 大京のZEHマンション「長津田」(2020/2/28)
北区初のZEH 近鉄不「赤羽」/涙が出るほど嬉しかった「お父さん、頑張ってね」(2020/6/25)
三菱地所レジ・近鉄不 浦安市最大級ZEH-M装備の「新浦安」528戸始動(2020/4/14)
大和ハウス工業「平和台」 同社初の「ZEH-M Ready」 申し込み殺到 早期完売へ(2020/9/15)
約8.7haの〝緑〟に近接 明和地所 同社初のZEH「横濱綱島」分譲開始(2020/12/1)
総合地所 「高層ZEH-M」の「ルネ南柏駅前」第1期・第2期1次41戸を完売(2020/9/23)
大京「長津田」アルミサッシと樹脂サッシの比較体験コーナー(左の普通の窓ガラスは9.5度、右の樹脂サッシガラスは16.2度と表示されている)
認定制度が経済産業省と環境省それぞれに分かれているのは解せないが、ZEHマンションが10物件分譲された。このうち7物件を見学したのだが、野村不・三菱地所レジ「亀戸」934戸、大京「長津田」64戸、日本エスコン「大倉山」25戸、大和ハウス「平和台」60戸は樹脂サッシが採用されていた。アルミサッシと比較してはるかに断熱性能は高いはずで、ZEHでなくとも樹脂サッシを採用してほしい。
提供公園のあり方考えさせてくれた
トーセイ「相模原」
「THEパームス相模原パークブライティア」
地域との親和性重視したランドプラン優れる トーセイ「相模原」竣工完売(2020/8/1)
提供公園のあり方を考えさせてくれたのはトーセイ「THEパームス相模原パークブライティア」243戸だった。
車道・歩道合わせ幅員25メートルのさがみ夢大通りに面したスーパーの跡地。建物は1~2階にスーパー・店舗を配置し、スーパーの利用者の利便性と、地域との親和性を高めるためメインストリート・スーパーに面したもっとも条件のいいエリアに約270㎡の提供公園を設置している。
隣地のソメイヨシノの大木などの借景と調和するよう敷地四囲に緑地帯(歩道状空地)を巡らせ、提供公園(公開空地)と合わせ〝グリーンチェイン〟を実現したプランがいい。このようなマンションには容積率を割り増しにして誘導すべきだ。
感動的だった見学会 ポラス「ルピアグランデ柏 ココロリゾート」
「ルピアグランデ柏 ココロリゾート」
感動の金児氏vs宮崎氏トーク 全196戸のポラス「柏」3カ月で100戸成約(2020/10/10)
コロナ禍でも感染防止策を取りメディア向け見学会を行い、きちんと物件特性を伝えたのがポラス「ルピアグランデ柏 ココロリゾート」196戸だ。柏駅から徒歩15分の準工立地という難点を克服した商品企画が光った。
記事には「どのような優れたニュース・リリースを配信しようと、この種の現場見学会を上回ることはできない。見学会自粛が長引けば長引くほどメディアの発信力は退化・退行する。皆さんはメディアを育てる役割も担っているはずだ。どんどん見学会をやってほしい」と書いた。他のデベロッパーも考えていただきたい。
伊藤忠都市開発 プラン秀逸「小杉御殿町」
5つ星の「有楽町イトシア」総合ギャラリー
「クレヴィア小杉御殿町」.
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「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」
6か所に「ボイド」専有・共用に9室の「離れ」付き伊藤忠都市「小杉御殿町」(2020/10/28)
伊藤忠都市開発マンション総合ギャラリー第2弾「有楽町イトシア」開設(2020/9/2)
これは凄いホテルなら5つ星伊藤忠都市「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」(2020/9/10)
伊藤忠都市開発はいつもいいマンションを供給する。「クレヴィア小杉御殿町」47戸は、武蔵小杉駅、武蔵中原駅ともにやや距離はあるが、等々力緑地に隣接する住環境と「ヴォイドガーデン」や「+HANARE」を設置した商品企画が抜群だった。坪単価はやや高いような気がしたが、このプランにほれ込む人はいるはずだ。
同社はまた10月、「CREVIA(クレヴィア)」ブランドの情報発信拠点となる総合ギャラリーの第2弾として「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」を開設したが、これがまた素晴らしい。
記者は「ホテルなら5つ星」と書いたのだが、一般にも開放してはどうか。時間貸しにしたら1時間1,000円でも安い。ここでビールやワインを飲んでゆっくり過ごしたい。頼んでみようか。それとも客のふりをするか。
進化するタカラレーベン〝高荒モデル〟売れ行き好調
「レーベン検見川浜GRANVARDI」モデルルーム
「レーベン戸田公園GRANVARIO」モデルルーム
〝タカラの宝〟進化する高荒モデル圧倒的な人気「レーベン検見川浜」(2020/10/9)
決め手は3LDK70㎡超中心の企画タカラレーベン「戸田公園」第1期40戸販売好調(2020/11/18)
タカラレーベンのモデルルームを見学したことがない業界記者は〝モグリ〟だ。その非日常の極みともいうべき演出に一瞬声を詰まらせたときから10年以上が経過した。
今年見学した同社のマンション4物件のなかで「レーベン検見川浜GRANVARDI」288戸と「レーベン戸田公園GRANVARIO」58戸のモデルルームでは一段と進化した〝高荒モデル〟を発見した。派手ではあるが、すんなり受け入れられそうな洗練されたデザインになっていた。決して年のせいではないと思う。
四囲を緑で囲いごみ置き場・受水槽を壁面緑化 アンビシャス「上尾」
「アンビシャス上尾」
郊外復権の一つになるか外構・壁面緑化が見事アンビシャス「上尾」(2020/7/18)
アンビシャスの久々の大規模「アンビシャス上尾」102戸が地域との親和性を重視した好物件だった。
建物をセットバックさせ、四方を緑で囲い、なおかつ長さ約40m、高さ約3mのごみ置き場・受水槽を壁面緑化。分譲開始時にコロナの直撃を受けたが順調なスタートを切った。.
穴中の穴の街は「南船橋」
三井不レジ「PHLaLa南船橋ステーションプレミア」
「パークホームズLaLa南船橋ステーションプレミア」
駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23)
あの胸がキュンとなる吉永小百合さんと浜田光夫さんの「キューポラ」の街並みなどかけらもなくなった、雑多な無国籍のような「川口」が「本当に住みやすい街大賞」で2年連続トップにランクされたことに記者はあきれ果てたのだが、ならば価格が安く将来性もある穴中の穴の街として「南船橋」をあげる。
駅前再開発が決まった市有地に隣接する三井不動産レジデンシャル「パークホームズLaLa南船橋ステーションプレミア」231戸の坪単価は204万円。
高いか安いか、住みやすいか住みにくいか、判断するのは消費者だが、東京駅までは約20分。これほど安いところは皆無ではないか。オートレース場の跡地には三井不動産の物流施設のほか公園、スケートリンクが整備された。ららぽーとTOKYO-BAY、船橋競馬場に近く、谷津干潟も徒歩圏だ。
「Doma(土間)」とLDKを一体利用 コスモスイニシア「日暮里テラス」
「イニシア日暮里テラス」56㎡のプラン
「Doma(土間)」とLDK一体化コスモスイニシア「日暮里テラス」企画秀逸(2020/6/26)
三井不レジキッチンを動かせる画期的商品「Imagie(イマジエ)」開発(2015/9/8)
いつもきらりと光る商品企画提案を行うコスモスイニシアは、「イニシア日暮里テラス」54戸の2LDKモデルルーム(56㎡)で「Doma(土間)」とLDKを一体利用できるプランを提案した。
採用したのは角住戸だったが、これは中住戸にも採用できる。居室内が丸見えになるので嫌がる人もいるだろうが、エントランス入口にもう一つ玄関口部を設けてはどうか。かつて三井不動産レジデンシャルは玄関前の共用部分に「ウェルカムポーチ」を設けたことがある。
「イニシア板橋桜レジデンス」
1カ月未満で全戸の半分以上62戸販売コスモスイニシア「板橋桜」好調スタート(2020/2/24)
同社の他のマンションでは、「イニシア板橋桜レジデンス」152戸(分譲対象116戸)が一挙に62戸販売されたのも印象に残った。桜並木が美しい石神井川に面していた。
際立つ設備仕様レベル 大和ハウス「「プレミストタワー白金高輪」
「プレミストタワー白金高輪」エントランスホール
先行逃げ切りかまくり一発かレベル高い大和ハウス「プレミストタワー白金高輪」(2020/9/19)
高額マンションの見学が激減したが、大和ハウス工業「プレミストタワー白金高輪」280戸(非分譲住戸127戸含む)は設備仕様レベルの高い物件だ。第1期分譲で60戸を供給したように販売は順調に進むと見た。
共用・専有部だけでなく、販売事務所(サロン)にも力を入れている。白い色調のアールを多用したデザインがとても美しかった。
単価予想は大外れだが…同社広報が救いの手 三菱地所レジ「ザ・レジデンス四谷」
「ザ・レジデンス四谷 ガーデン」
「アベニュー」より安い「ガーデン」の理由三菱地所レジ「四谷」即完(2020/10/2)
モデルルームは見学していないが、購入した人はとても安い買い物をしたと思われるのが、四ツ谷駅前の再開発「コモレ四谷」内の三菱地所レジデンス「ザ・レジデンス四谷」24戸(「アベニュー」15戸、「ガーデン」9戸)だ、坪単価は「アベニュー」が674万円、「ガーデン」が657万円。
9月28日抽選分譲の結果、最高35倍、平均8.9倍で即日完売したのも当然か。
記者は分譲前の2月の段階で、「ガーデン」について「読者の皆さんからは『高い!たわけたことを抜かすな』と罵声を浴びせられそうだが…桜並木が美しい外濠公園が目の前のマンションなら坪750万円というのはむしろ安い」と書いた。
結果は大外れで大恥をかかされたが、同社からは「『ガーデン』の坪単価が低く見えますが、当物件は地権者さんも多く、今回販売対象となっている部屋は北向き中心であること、また南向きについてもオフィスがあるため眺望が良くないことなどがあり、このような単価になっています」(広報)と慰めてもらったのは救いか。
記者は白内障がややあるようだが、マンションの目利き力は衰えていない。白か黒か善か悪か美か醜かの選別だってできる。
記者の単価予想的中!旭化成不レジ「築地」 野村アーバンにも拍手喝さい
「アトラス築地」の共用部アート
〝敵に塩〟も必要旭化成不レジ「築地」の坪単価は505.5万円記者予想が的中(^2020/3/10)
〝目利き力〟が健全なのを証明したのが旭化成ホームズ「アトラス築地」161戸(事業協力者住戸37戸含む)だ。
1月に取材したとき、「競合物件担当者は一様に『アトラスさんは坪500万円を切る』と見ているようだが、記者(小生)は坪500万円を割ることはないとみた」と記事に書いた。
結果はどうかというと、3月に分譲開始した第1期50戸の坪単価は505.5万円だった。これは嬉しかった。旭化成不動産レジデンスにも販売代理の野村不動産アーバンネットに拍手喝さい。
巧みな用地仕入れ 立地難吹き飛ばすプラン 大和地所レジ「赤羽北」
「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」
天晴れ!大和地所レジ仕入れの妙商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
昨年は大和地所レジデンスの「ヴェレーナシティ上大岡」132戸を「ベスト3」マンションの一つに選んだが、今年の「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」89戸は巧みな用地仕入れ力に舌を巻き、優れた商品企画力に圧倒された。
用途地域が工業地域で、しかも環八・埼京線路沿いなので、「本当に住みやすい街」の第2位にランクされるほどの街かどうか小生はコメントしないが、立地難を克服するのは間違いない。
地域に開放「シェアキッチン&シェアスペース」 大成有楽不「八王子」
「シェアキッチン&シェアスペース」イメージ図
ホームライブラリー
「シェアキッチン・シェアスペース」を地域にも開放大成有楽不動産「八王子」(2020/7/23)
安すぎないか中心市街地の一角で坪単価160万円大成有楽不「八王子」(2020/7/14)
大成有楽不動産「オーベルグランディオ八王子エアーズ」168戸は、八王子駅から徒歩16分とはいえ、中心市街地に立地しており、坪単価160万円というのはいかにも安い。
また、市の要綱「中心拠点の魅力向上を推進する」という趣旨に沿ってマンション1階に店舗スペースを設置、「シェアキッチン&シェアスペース」として居住者だけでなく地域にも開放するという取り組みがいい。あるようでそうないのではないか。
「9割がワイドスパン 最強の間取り」住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」
「シティタワーズ東京ベイ」
「9割がワイドスパン、最強の間取り」全1,539戸の住友不「東京ベイ」入居開始(2020/3/28)
2017年の「話題のマンション」に取り上げた都内最大級のトリプル免震タワーマンション住友不動産「シティタワーズ東京ベイ」1,539戸が3月竣工し見学した。その時点で1,230戸が分譲され、契約済みは837戸だった。売れ行きも好調だった。
販売担当の吉野秀邦氏は『これほどの大規模で9割がワイドスパンのマンションなど他にない。最強の間取り』と自信たっぷりだった」と書いた。
その直後、記者はテレワークに突入したのだが、吉野さんに〝元気〟をもらったおかげで、その後も踏ん張って現場取材できた。
◇ ◆ ◇
いま1年を振り返り、それぞれの記事を読み返してみると、そんなに的外れの消費者の物件選好を誤らせる、デベロッパーにおもねる内容にはなっていないような気がする。
来年以降もあるので、デベロッパー各社にお願いしたいことが一つある。物件見学会などはブロガーも含めメディアに幅広く呼び掛けて実施してほしい。ブロガーもお客さんのふりをして情報を引き出すような失礼なことはしないで、営利を目的に不特定多数の人に情報を発信するのであれば、匿名ではなく名を名乗るべきではないか。
究極の隈研吾マンション豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)
なぜブロガーのことを書くかというと、記者は今年、嫌な経験をしたからだ。
〝パクリ〟は今に始まったことではないが、隈研吾氏がデザイン監修した東京建物「Brillia Tower池袋」の2013年3月19日付の記者の記事が、ほとんど一字一句異なることなくブロガーの記事として掲載されているのを発見した。小生になりすました人がいることに驚き、恐怖も感じたので、そのブログ記事を掲載していた情報サイトに抗議した。
記事はすぐ削除されたが、その情報サイトの回答は「掲載された内容は全て投稿者の方が権利を所有、あるいは所有権者から既に許諾を受けているものと認識しており、万一不正使用によりトラブルが発生した場合には、弊社は一切責任を負いかねます」とあるのみ。(その後もこのブロガーの方は何もなかったように記事を発信されていた)
参考までにもう一つ。記者は15年くらい前、山万の協力を得て1週間かけて取材し「ユーカリが丘」を「奇跡の街」として紹介した。同社のホテル「ウィシュトンホテル」のスイートに無料で泊めてもらった。(言っとくが山万の宣伝をするためでは断じてなかった)
その後、大作家もそう絶賛したのをはじめユーカリが丘=奇跡の街が独り歩きしている。奇跡かそうでないかは40年も取材してきたからこそ分かることだ。言葉を軽々しく扱ってほしくない。
以上、取り留めもなく書いてきたが、このあたりでやめておく。ここまで付きあっていただいた読者の皆さまにお礼申し上げます。
そして、コロナ禍にも関わらず取材をセットしていただいた各社の広報担当者と、そして何よりも現場の販売担当者の皆さまに感謝いたします。
記者は幸いコロナに感染せず、この1年間を締めくくることができそうです。皆さま、どうぞ来年はいい年をお迎えください。
候補はなかったわけではない 記者が選ぶ「ベスト3」「話題のマンション」
「プラウド亀戸クロス」(写真は商業施設含む「KAMEIDO PROJEKT」全体)
今年の「ベスト3マンション」「話題のマンション」は発表しないことは昨日書いたが、検討しなかったわけではない。その候補として考えていた物件を2回に分けて紹介する。本日は第1回目。
№1選ぶなら全館空調と二重サッシ・樹脂サッシ採用した
野村不・三菱地所レジ「プラウド亀戸クロス」
今年2月に取材した段階で「マンションの基本性能は間違いなく現時点で最高クラスだ。今年のマンションベスト3候補に早速入れた」と書いた野村不動産・三菱地所レジデンス「プラウド亀戸クロス」(934戸)は、記者だけでなく業界関係者は今年のナンバーワンマンションに選ぶはずだ。
免震工法で、プラウド初の全館空調システム「床快full」、二重サッシ・樹脂サッシのほか、間取りの自由度と可変性を高める「Mi-liful(ミライフル)」、大規模修繕の周期を長くして全体的なコストを削減する「アトラクティブ30」を採用した。その後、同物件は経済産業省の「超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に認定された。
同社は、この「床快full」と二重サッシ・樹脂サッシを採用したマンションをいくつも分譲・計画している。全館空調システムは三菱地所レジデンスも採用を増やすようで、二重サッシ・樹脂サッシは他社もZEHマンションに採用する傾向にある。
「ソライエグラン流山おおたかの森」
10カ月で400戸超成約
圧倒的な売れ行きの東武鉄道など4社JV「流山おおたかの森」
このほかベスト3候補にはいくつかを想定した。圧倒的な売れ行きを示した物件を選べば、東武鉄道・東急・JR西日本不動産開発・相鉄不動産「ソライエグラン流山おおたかの森」(794戸)だろう。
3月から販売が開始されており、すでに半分以上の400戸が成約済みというからすごい売れ行きだ。取材した8月の段階で坪単価は196万円ということだったが、まさか来年以降に分譲する第Ⅱ工区の「シーズンスクエア」は値を上げるようなことはしないだろう(条件的には分譲済みの第Ⅰ工区のマークスクエアよりいいか)。
「プレミスト船橋塚田」
ランドスケープデザイン秀逸
大和ハウス・東武鉄道「プレミスト船橋塚田」
同じ千葉県の郊外マンションでは、東武アーバンパークライン塚田駅から徒歩3分の商業、小学校、保育所、戸建て、賃貸との複合大規模マンションである「プレミスト船橋塚田」(571戸)のランドスケープデザインが出色で、販売開始1年で300戸を成約するなど好調。
坪単価は190万円で、「流山おおたかの森」に近いが、沿線が異なるのでお客さんの層は異なるようだ。
「パークコート渋谷 ザ タワー」
定借の三井不レジ「渋谷」 地所レジ「市谷加賀町」東建「西早稲田」 野村「駿河台」
分譲開始は一昨年の10月だが、今秋に竣工し、メディア向け内覧会が行われた三井不動産レジデンシャル「パークコート渋谷 ザ タワー」(503戸)は共用施設が充実しており、アートをふんだんに配置したデザインもいい。
渋谷区役所建て替え事業の一環として建設された期間70年の定期借地権付きて、前払い地代を含む坪単価は780万円。現段階の分譲予定戸数は353戸で、300戸が成約済み。未供給の50戸は年明けに分時用される。残り150戸は分譲せずに賃貸化することを同社は検討している。
「ブリリアシティ西早稲田」近くの神田川(3月写す)
定借マンションでは、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス市谷加賀町」(228戸)と東京建物「ブリリアシティ西早稲田」(454戸)の立地環境が素晴らしい。双方とも現段階でモデルルームは見学しておらず、どちらを選ぶか悩ましい。ユーザーも同じではないか(アドレスは前者が新宿区、後者が豊島区で、単価が異なるが…)。
前者は、都営大江戸線牛込柳町駅から徒歩6分(JR市ヶ谷駅から徒歩11分)の高台に位置するNTT社宅跡地で、前面が開けており眺望がいい。後者は、東京メトロ副都心線西早稲田駅から徒歩10分(JR高田馬場駅から徒歩14分)、の準工地域だが、桜並木が美しい神田川沿い。隣接地には鹿島建設のやはり定借「桜プレイス」(149戸)が建っている。
東京建物は、2020年の初回販売戸数ナンバーワン(SUUMO調べ)の第1期161戸を抽選分譲した結果、平均1.4倍の競争倍率に達したと発表した。
「プラウド神田駿河台」
このほか、構造部に木質系構造部材を使用した日本初の木造ハイブリッドマンション野村不動産「プラウド神田駿河台」(36戸)も定借だ。専有部に木製のフローリング、壁パネル、天井材などを、共用部のエントランスの壁や床の一部に無垢の杉材を採用している。完成したら見学したいマンションだ。
以下は次回。
コロナに突き落とされ翻弄された1年 ベスト3・話題のマンション 今年は断念(2020/12/24)
凄い!全館空調、二重&樹脂サッシ採用 野村不「亀戸」934戸 単価300万円台半ば(2020/2/19)
LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」(2020/8/25)
実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き 大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)
渋谷区庁舎・公会堂 建替え事業 定借の三井不レジ「渋谷」竣工 一部は賃貸化も(2020/12/15)
悩ましい選択 東建「西早稲田」454戸と三菱地所レジ「市谷加賀町」228戸の定借(2020/3/12)
コロナに突き落とされ翻弄された1年 ベスト3・話題のマンション 今年は断念
今年も残り1週間。カウントダウンが始まった。
読者の皆さんもそうだろうが、記者のこの1年間はコロナがすべてだった。3月からテレワークに突入し、その直後、RBA野球大会は中止になった。マンションやオフィス、ホテル、商業施設などの見学が激減した。コロナに突き落とされ、翻弄された1年だった。
三密を徹底して避けたおかげか、コロナには感染しなかったのは幸いだったが、ものを観ない記者などに一片の存在価値もない-そんな無力感にさいなまれた1年でもあった。
記者は毎年このころ、見学取材したマンションの中から商品企画、売れ行きなどがもっとも優れたと思われるマンションを3物件選び「ベスト3マンション」とし、注目すべき「話題のマンション」を30物件前後紹介してきた。30数年間継続しているので、その数は1,000件を突破するはずだ。その時代時代を活写してきた自負はある。
しかし、今年は「ベスト3マンション」も「話題のマンション」も発表は中止・断念することにした。今年見学取材したマンションは58物件だ。前年の2019年は72物件、2018年は86物件、2017年は105物件だった。この4年間でほぼ半減した。
これほど激減したのは、第一に供給量が減少したためであり、同時に記者の取材力が衰えたためなのは明白だ。そして今年は新型コロナだ。見学すべき物件はあと20物件くらいあったが、取材を断られ、断られるのが目に見えていたから申し込まなかったのが響いた。
中止するのは、高々60件弱の物件を見ただけで市場を把握したような記事など書きたくないし、各社に失礼だと思うからだ。
それともう一つ、記事を書くことをためらわせる理由がある。口コミ掲示板の存在だ。成否はともかく、微に入り細を穿つその情報量は小生などの記事を圧倒する。お客さんに成りすまさないことには分からないはずの価格(坪単価)が堂々と公表されている。正攻法のわれわれメディアの出る幕はなくなった観がする。ひょっとすると、マンション市場を左右するのはこの種のブロガーと呼ばれる人たちかもしれない。
だから、デベロッパーが取材に応じたくない気持ちも理解できる。口コミ掲示板であることないことが暴露されているのに、記者などの何の役にも立たない〝辛口〟記事などでそれ以上物件が〝荒らされたくない〟と予防線を張るのは当然と言えば当然だ。(以前は各社とも鷹揚なもので、取材を断られるのは10のうち一つあるかどうかだった。時代は変わった)
だがしかし、この1年間を振り返って印象に残ったマンションなどについて書き記すことにする。少しでも今後の商品企画に生かしてほしいと思うからだし、〝コロナなんぞに負けてなるものか〟という反発心がもたげてくるからだ。
◇ ◆ ◇
本題のマンションに触れる前に俎上に上げたいのは、わが業界紙恒例の「重大ニュース」だ。
「住宅新報」12月22日号の「重大ニュース」は次の通りだ。
・国や自治体が家賃補助、地価下落局面に
・営業現場の非対面化が進む
・五輪延期で「HARUMI FLAG」の販売一時休止に
・宅建試験が2回実施に
・東京都心5区、オフィス空室率が上昇
・賃貸住宅管理適正化法が成立
・水害ハザードマップ、重説時に説明義務化
・改正民法施行、老朽マンション対策の法改正成立
・物流施設が活況、需給ひっ迫
・新築マンション需要底堅く、テレワーク対応も
・緊急事態宣言で、住宅営業拠点が休止
「週刊住宅」12月21日号の「重大ニュース」は以下の通り。
・経済低迷、企業業績も急ブレーキ
・インバウンドが消え、五輪も延期に
・在宅ワーク対応の企画商品活発化
・IT重説への注目度高まる
・東京の人口が初めて減少
・経営統合など住宅業界の再編進む
・木造高層ビルの開発が本格化
・業務適正化へ賃貸管理業法が成立
・老朽化マンション対策で改正マンション建替え円滑化法が成立
・ハザードマップの説明が義務化
何が重大でそうでないかは百人百様、十人十色だ。双方で異なるのは当然だ。記者などはむしろIT重説、ハザードマップ説明、宅建試験の2度実施、マンション建替え円滑法改正、賃貸管理業法成立などが双方の重大ニュースに入っているのに違和を覚える。
これは、業界の意向を忖度しているようにも受け取れるのだが、和洋中華、何でもありの雑魚煮かどこを切っても同じ金太郎あめと一緒のようでつまらないし、〝総合的俯瞰的〟な視点が欠落しているような気がしてならない。
皮相的な事象を追うだけでなく深く掘り下げる努力が必要だ。時間軸を横糸に業種・事業を縦軸に整理し解きほぐし、そしてまたその糸を紡げば、後世に残る記事になるのではないかと思う。
例えば、東京都の人口減少。これは明らかに新型コロナの影響だ。とくに小生は中国人を中心とする外国人の都内23区からの脱出に注目している。令和2年10月現在、東京都の外国人居住者は約54万人で、前年同月比約3万人減少している。新宿区の中国人居住者は12月現在、12,754人で、前年同月より16.6%、2.542人も減少している。この人たちはどこに移動したのか、追えばまた面白い結果が得られるのではないか。
「住宅業界再編」も興味深いが、どうしてデベロッパーの再編に触れないのか。三井不動産のTOBによる東京ドームの子会社化はビッグニュースだし、オープンハウスのプレザンスコーポレーションの連結子会社化も見逃せない。来年以降も業界再編は加速するはずだ。
また、新築マンションは「ホテルや商業施設と比べて堅調な市場だった」とする一方で、「『この先、景気悪化で個人が所得に不安を感じるようになれば、住宅取得意欲への影響は大きい』と懸念する声も聞かれる」としている。当たり前だが、その答えをあなたが出してはどうか。ヒントは現場にある。
さらに一言。住宅・不動産業界も変わった。多様化は著しい。悪しき前例主義は捨てるべきだ。金科玉条のように墨守するお仕着せの「重大ニュース」も変化に対応すべきだと思う。「私の重大ニュース」とでもして紹介したほうがはるかにおもしろい記事になるのではないか。
続きは明日以降で。
東急リバブル 検温機能付き顔認証システム 賃貸マンションに導入
「検温機能付き顔認証システム」
東急リバブルは12月18日、100%出資子会社のリバブルアセットマネジメントが開発・保有する賃貸マンション「リバーレ」シリーズに「検温機能付き顔認証システム」を導入すると発表した。
不動産業界向けにAI・IoTを活用したサービスを展開しているライナフが提供する「検温機能付きAI顔認証エントランスシステム」を採用。検温誤差±0.2℃の精密な測定結果を即座に表示し、独自のAI技術を活用した顔認証によりマスクやサングラスを着用したままでも個人を特定してエントランスのオートロックを解錠できるのが特徴。
検温結果はスマートフォンに転送されるため、入居者は日々の健康管理を行うことができるうえ、配達員や工事業者、清掃員など訪問者の検温も可能。
2020年12月18日から「リバーレ浅草ウエスト」(2016年1月竣工済、総戸数84戸)に導入し、今後は、開発予定の「リバーレ芝公園」(2021年4月竣工予定、総戸数29戸)」や既存の物件にも順次導入を計画している。
◇ ◆ ◇
「顔認証付きオートロック」は多くはないが珍しくもないので、同社にも聞いた。「検温機能付き」というのは同社も確認していないという。おそらく同社が初ではないか。
小生は老人班やら死斑やらが顔じゅうを覆っており、自分の顔など見たくないし、37℃の体温があったら動けないので無用の長物のような気がしないわけではないが、ナルシシズムが世間に蔓延しており、ストーカーなど闖入者を排除するのには大きな効果を発揮しそうなので、とくに女性には受けるのだろう。
いっそのこと〝顔色が悪いわよ〟〝小じわが増えたわよ〟〝付き合っている人と別れたほうがいい〟などと呼びかけてくれるものにしたらどうか。
エリア最高値圏でも人気 タカラレーベン コンパクト「ネベル赤羽 」
「ネベル赤羽」
タカラレーベンが分譲中のコンパクトマンション「ネベル赤羽」を見学した。赤羽駅から徒歩5分の全64戸(他管理事務室1戸、集会スペース1戸)で、坪単価は赤羽駅圏最高値圏 ながら、第1期36戸はほとんど実需で成約済みと好調だ。立地条件や資産性が評価されている。
物件は、JR赤羽駅から徒歩5分、東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道赤羽岩淵駅から徒歩3分、北区赤羽一丁目の商業地域に位置する15階建て全64戸。専有面積は30.10~63.72㎡、竣工予定は2022年3月上旬。設計・監理は現代綜合設計。施工は山田建設。
10月から第1期36戸の販売を開始し、これまでにほぼ完売している。
現地は、赤羽駅から徒歩5分、赤羽岩淵駅から徒歩3分と近く、「赤羽スズラン通り商店街(LaLaガーデン)」や「赤羽一番街商店街」「赤羽中央通商店街」の商店街、赤羽小学校に近接。
建物は、東側と西側が区道と接道。住戸プランは東向きと西向きがほぼ半々で、30㎡の1LDKが46戸、55㎡台の2LDKと63㎡台の3LDKがそれぞれ9戸。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、たからの水、浴室テレビ、電子雑誌サービス、癒しのアロマ、IDEEのBGMなど。
同社第一営業グループ第2営業部長・平岡篤氏は、「問い合わせ・来場の段階では投資用で検討される方もいらっしゃるが、隣接地で赤羽一丁目第一地区市街地再開発が進行中という立地・資産性、設備仕様レベルからこちらに移り住み、現在居住しているところを賃貸にされる方も多く、ほとんどが実需。問い合わせ、来場も多い」と話している。
◇ ◆ ◇
今年、同社のマンションを見学するのは「八王子」「検見川浜」「戸田公園」に続き今回で4物件目となった。いずれも販売は順調のようだ。
島田和一社長は、11月に行われたオンラインによる2021年3月期第2四半期決算説明で、今期はマンション計上戸数減により減収減益になる見込みとしているが、新型コロナの影響は限定的で。上半期の来場は前年同期を上回り、8月は過去最多を記録したと語った。今期計上予定の1,980戸の契約進捗率も89.5%に達するなど順調に推移している。
今回の「赤羽」は竣工が2022年3月だから来期物件だ。坪単価がエリア最高値圏と聞いて〝大丈夫か〟とも思ったが、赤羽駅東口から徒歩5分圏となると過去30年さかのぼっても数えるほどしかないことを考えると納得もした。
銀座の一等地にある同社のコンパクトマンションブランド「ネベル」の常設サロン「SALON DE NEBEL」の見せ方も巧みだ。
赤羽駅圏のマンション市場について。市場を劇的に変えたのは10年前、野村不動産が分譲した「プラウドシティ赤羽」だった。「赤羽スズラン通り商店街(LaLaガーデン)」に隣接する全285戸で、坪単価は当時としてはかなり高い265万円だったが、立地の良さから圧倒的な人気を呼んだ。
赤羽一丁目の再開発計画が具体化すれば、いったいいくらになるのか。
現地
渋谷区庁舎・公会堂 建替え事業 定借の三井不レジ「渋谷」竣工 一部は賃貸化も
「パークコート渋谷 ザ タワー」
三井不動産レジデンシャルは12月14日、渋谷区役所建て替え事業の一環として建設された期間70年の定期借地権付きマンション「パークコート渋谷 ザ タワー」が竣工したのに伴う記者内覧会を行った。1~2階の共用部分や地階2階のゴルフラウンジ、20・21階のビューラウンジ、36階のモデルルームなどが公開された。
物件は、山手線渋谷駅から徒歩8分、原宿駅から徒歩12分、渋谷区宇田川町の商業地域に位置する期間約70年の定期借地権付き、地下4階地上39階建て全503戸。専有面積は40.01~208.89㎡、坪単価は780万円(前払い地代含む)。竣工は2020年8月下旬。設計は日本設計。施工は東急建設。
2018年10月から販売を開始し、販売予定戸数の353戸のうち300戸が成約済み。残りの50戸は来年年明けに供給し、未販売の150戸は分譲にするか賃貸にするか現時点で未定。
開発スキームは、渋谷区庁舎・公会堂の敷地約12,418㎡のうち約4,565㎡に期間70年の定期借地権を設定し、事業者として選定された同社が定期借地敷地にマンションを建設して分譲するというもの。渋谷区は地代収入を建て替え費用に充当するため実質的に建築費はゼロとなる。
外観デザインは「東京ミッドタウン日比谷」も担当したホシノアーキテクツ・星野裕明氏。代々木競技場などと調和するように、上層階に向かって広がりを見せる曲線美を表現している。
エントランスロビー(左側は垂直に流れる水景)
クリエイティブステップラウンジのアート
ステップラウンジ
ステップラウンジ アート
ザ・パークビューラウンジ
ゲストルーム
パーティルーム
◇ ◆ ◇
2年前に眼が眩むほどの「パークコート青山 ザ タワー」を見学しているので、今回は落ち着いてみることができた。
素晴らしいのは1階と2階の共用部分だ。1階のエントランスロビーは天井高約7.2m、床は花崗岩、壁は垂直に流れる水景を演出。その奥のクリエイティブラウンジから2階の様々な共用施設までのアプローチはスパイラル状の階段、スロープでつながっており、テイストが異なる家具調度品、壁面アートが眼を射る。
2階のパーティルーム、コワーキングラウンジ、ミーティングルーム、ライブラリー、スタディルームなどは広々としており、言葉も出ない。ゲストルームは約50㎡。ホテルのスイート並みだ。
20階と21階の2層の「ザ パークビューラウンジ」は螺旋階段でつながっており、吹き抜け部分の天井高は6.1m。ピクチャーウインド越しの代々木の森が圧巻。
36階の141㎡の3LDKモデルルームは北向きだが、間口は約18m。全居室から代々木公園が展望できる。リビング天井高は2700ミリ。価格は4億9,040万円。
坪単価は想定内だった。当初、記者には900万円くらいではないかという情報がもたらされたが、所有権付きでも坪900万円くらいだろうと予測していたので、そんなに高いはずはないと思っていた。前払い地代を含めて780万円というのに納得した。最上階の住戸の坪単価は2,400万円というが、これも驚きはしない。
参考までに紹介すると、東急不動産が2007年に分譲したコンパクト「クオリア神南フラッツ」90戸は坪単価456万円だった。また、2012年分譲の日鉄興和不動産の建替えマンション「テラス渋谷美竹」196戸は坪440万円くらいだった。それからほぼ倍の価格になった。
未分譲の150戸がどうなるか。担当者が「共用部の評価が高く、契約者の中には買い増しを検討される方もいる」と話したように、年明けの次回販売の反響によっては分譲に割り当てられる可能性もあるとみたがどうだろう。それとも近接する住友不動産「ラ・トゥール渋谷神南」54戸のように賃貸となるのか。
コロナ対策としてWOTA社製のポータブル手洗いスタンドが共用部分に設置されていた。タンク方式のため20リットルの水を入れて電源に繋ぐだけでいいので、水道栓がなくても使用できるのが特徴で、スマホの除菌もできる。値段は150万円とか。
モデルルーム
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)
非日常の極み 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」は坪単価950万円(2016/10/18)
住友不 高級賃貸5千戸突破 〝ラ・トゥール〟「渋谷神南」「渋谷宇田川」完成(2019/2/23)
東急不動産「クオリア神南フラッツ」も即日完売(2007/2/21)