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 アキュラホームグループと地域ビルダー組織・スマートアライアンスビルダーは4月28日、住宅を建てる際に建築費にとどまらず、月額の光熱費(電気・ガス代)を表示する「日本初(※)住宅の燃費表示制度」を5月1 日(土)から開始すると発表した。月額の住宅の燃費(光熱費)を表示することで、住宅のエネルギーを見える化し、省エネや脱炭素社会への消費者意識を高めるのが狙い。

 住宅建設時に1年間の光熱費をシミュレーションした数値を保証し、光熱費がオーバーした分をアキュラホームがキャッシュバックし、下回った場合は差額分を還元する。保証の1年間が終了した後も、省エネを意識した暮らしを促すことを目的としている。

※年間建築棟数2,000棟の全国規模での光熱費表示制度の開始、全棟1年間保証についての取り組みは日本初

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 光熱費の見える化はいろいろなところが取り組んでおり、光熱費アプリも普及している。新築住宅には省エネ等級などを示すBELS表示制度があるが、★印なので消費者にとっては分かりづらいという指摘もあることから、国土交通省は「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」を立ち上げ、検討を進めている。

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「Wood Residence MARE-希-(マレ)」

 大和ハウス工業は4月27日、同社の史上最高級の大都市圏の富裕層向け戸建て商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を4月29日から発売すると発表した。木造とRC造の混構造とすることで設計の自由度を高め、自然素材をふんだんに採用し、自由自在に造ることができるのが特徴。駒沢住宅展示場に設けた2階建て延べ床面積約287㎡(87坪)のモデルハウスは建具・家具、外構などを含めて約3億円(坪単価345万円)と業界最高額となる模様。

 「Wood Residence MARE-希-」は、地下-地上3階建てが可能で、最大10mの大空間や最高天井高4.1mを実現。外壁の仕上げ材に防耐火認定を取得したヒノキ集成材や大判タイル、陶板外壁などを採用。さらに、屋内外の一体感を生み出すため、同じ素材やデザインで仕上げる連続壁や、室内の化粧板素材を連続させた軒天を提案している。

 天然素材には北欧の沼に3000年眠っていた「ボグオーク」をはじめ、天竜スギ、江戸唐紙の収納扉、ガラスコーティングを施したカシのキッチン天板、ナラ材などをふんだんに盛り込んでいる。

 販売に際しては、4 月29日にグランドオープンする住宅展示場「DaiwaHouse 駒沢展示場2」に加え、「ZIZAI DesignOffice Tokyo/Osaka」が手掛けたハイクオリティCGで製作したデジタル邸宅デザインギャラリー「DIGITAL SHOWCACE(デジタル ショーケース)」などのデジタル展開を強化することで、リアルとデジタルで顧客との接点を増やすという。

 販売対象エリアは首都圏、関西圏、名古屋の大都市圏で、本体価格は165万円~/坪(税込)。年間販売棟数は50棟。

 オンラインによる発表会に臨んだ同社取締役常務執行役員・大友浩嗣氏は、「直近の住宅着工は新型コロナの影響を受けダウントレンドにあるが、株価の上昇などを背景に富裕層向けビジネスは伸長しており、当社の5,000万円超の高額商品も堅調に推移している。当社史上最高級の新商品は1棟7,000万円(坪単価165万円)、年間100棟の受注を目指す。駒沢モデルは約3億円」などと、新商品投入の背景や狙いを語った。

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左から櫻井氏、大友氏、山﨑氏

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大空間イメージ

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青森ヒバを採用した天井

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天竜スギを採用した軒天と外壁

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主寝室

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 発表会の冒頭、大友氏が「駒沢モデルは3億円」と話したとき、運動能力だけでなく加齢とともにどんどん退行していく記憶力をフルに回転させて、「3億円」の意味を考えた。

 真っ先に「3億円事件」が浮かんだが、同社常務執行役員・山﨑考平氏と同社住宅事業本部事業統括部ZIZAIデザインオフィス室長・櫻井恵三氏の話を聞くうちに、今回の新商品は同社の史上最高級商品どころか、他のハウスメーカーのモデルハウスを含めた最高額商品であることを確信した。

 記者が取材した範囲内だが、これまでの最高坪単価モデルハウスは、三菱地所ホーム「新宿ホームギャラリー」の坪254万円(約223㎡、1億7,200万円)で、建物の最高価格は積水ハウスの古河にある軽量鉄骨2階建て「イズ・ステージ」の約2億円(約297㎡)であるはずだ。

 今回の「希」は、坪単価でもグロスでもこれらを上回る。駒沢のモデルハウスは、櫻井氏の説明と画像から判断して、業界トップクラスであることは間違いない。

 例えば、2階の浴室&洗面。床に「ボグオーク」、天井に静岡県産の天竜スギを採用しており、櫻井氏は「洗面のスペースの外側に高いバルコニーの壁を作り、天井の部分から50センチほどはスリットで空けていますが、外からの目線を完全に遮るような形でインナーバルコニーを作りました。インナーバルコニーも緑いっぱいにしており、浴槽からも見ていただけます。外からの目線が切れているので、洗面台も通常だと壁につけるところを思い切って透明ガラスにして窓ガラスにはめ込む形で作りしました。ミラーも同じようにサッシに組み込むような形にして、外とつながりのある気持ちのいい洗面台が出来上がったと思います」と誇らしげに語った。

 1階居間は、床と天井に青森ヒバを張り巡らせ、インナーガーデンには2階の吹き抜けまで届く本物の木が植えられている。階段室は畳コーナーを設け、階段はナラ材で覆っている。

 この他、自然石の浴槽、尾形光琳の光琳柄模様を模した江戸唐紙を用いた主寝室の収納扉など富裕層の心をくすぐる提案が随所に施されている。

 いい商品だから記者がそう思い込んだのか、櫻井氏のスピーチは何の衒いもなく、着ているスリーピースもまた「希」と同じような高額に映った。

 そこで、広報を通じて聞いた。スーツはこの日のために借りた貸衣装ではなく自前で調達したもので、値段は約10万円であることも打ち明けた。高いか安いかはさておくが、映像だけでは伝えきれない「質」をスピーチで補ったから高価なものに見えたのだろう。記者などは何を着ても貧相に見える。うらやましい。

 もう一つ。同社は今回も全体で約1時間の発表会のうち質疑応答に約30分の時間を割いた。的が外れていようがいまいが、質問にきちんと対応する姿勢は他社も見習うべきだ。

坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス(2019/6/5)

人が歩くと床が鳴く「鴬張り」体験 匠の技と現代技術を融合 菊池建設のモデルハウス(2017/1/19)

ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)

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「風通しの良い家」

 三菱地所ホームは4月27日、オンライン記者発表会を開き、コロナ禍によって変化した暮らし方と住まいへの新しいニーズに応える、全館空調「新・エアロテック-UV」を搭載した「風通しの良い家」のバーチャルモデルハウスを同日から公開すると発表した。

 「風通しの良い家」は、場所や用途を限定しないフリーアドレスの考え方を取り入れ、ゾーニング・動線・視線の工夫により、限られた空間を「さわやかな風のように」フレキシブルに活用する“目に見えない心地よさ”をテーマに、帰宅後すぐに手洗い・うがいができるよう「ウイルス・ケア・ゾーン」を設置し、京町屋などに見られる採光、通風、物の運搬など様々な用途に使われる「通り間」をヒントにした「TOHRI-NIWA」や、キッチン(K)を起点として、ダイニング(D)、リビング(L)へ、床レベル差をつけて段々とつながる「ステップKDL」を提案しているのが特徴。

 「新・エアロテック-UV」は、日機装が開発した医療機器に搭載されているものと同じ深紫外線LEDを採用し、空気内のウイルス、臭気、アレル物質をまとめて除去・消臭し、クリーンな空気で各部屋を24時間365日換気するもの。

バーチャルモデルハウスはこちら。

https://www.mitsubishi-home.com/lp/newlife2021

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イメージ

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 記者は、他の取材と重なりオンライン発表会は視聴できなかったが、同社から送られてきたバーチャルモデルハウスを「見学」した。

 バーチャルモデルハウスは、他社を含めこれまで数回見ている。いずれもきれいではあるが、やはり画像では住宅の質感は伝えられていない。今回のモデルハウスも、画像をクリックすれば、ところどころの特徴はコピーで説明されている。例えば、「Family salon」は「吹抜に面したホールは、住まう人により様々な使い方ができるニュートラルなスペースです」とあり、「TOHRI-NIWA」は「フレームレスの全開放サッシにより、庭のような開放感を感じられます。子供が遊んだり、軽い運動をしたり、近所の方との談笑の場にもなる、パブリックとプライベートの中間領域に」などとある。

 しかし、これだけでは肝心の「新・エアロテック-UV」の快適性はもちろん、ホールの天井高はどれくらいあるのか、床や壁、建具家具などはシート張りなのか、本物の木や石が採用されているのかどうかは分からない。

 やはり、画像では伝えきれない弱点をどう補い、分かりやすく伝えるかが大きな課題だ。スウェーデンハウスの村井秀壽社長も言った。「五感」にどう訴えるかだ。画像にナレーションや音楽を入れることなどは容易なはずだ。

 同社でいえば、CMに起用されている村上龍氏に全館空調と仕事について語ってもらうというのはどうか。出演料が高いのであれば、同社の名物広報マンYさんや、野球部のプレイングマネージャーSさんもタレントとして使える。

after&withコロナに即応 三菱地所ホーム ウイルス除去に効果的な新商品など発売(2020/10/21)

 

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 積水ハウスは4月26日、2020年度の新築戸建住宅におけるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の比率が91%となり、第5次中期経営計画(2020 年度~2022年度)最終年度までの目標90%を前倒し達成したと発表した。累積では2021年3月末時点で60,843戸となった。

 また、賃貸住宅でもZEHを推進し、家庭部門のCO2排出量を2013年度比55%削減した。

 同社は、今年4月22~23日の「気候変動サミット」で発表された、日本の2030年の温室効果ガス排出削減目標46%達成に向け、業界をリードしていくとしている。

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サイトページ画面

 スウェーデンハウスと野原ホールディングスは4月20日、世界初の3Dキャラクターによる接客機能を搭載した室内360度バーチャル内覧サービス「VRモデルハウスウォークスルー」を共同開発し、同日からスウェーデンハウスの公式サイトで提供すると発表した。

 「VRモデルハウスウォークスルー」は、両社が共同開発したもので、住宅購入検討者はスウェーデンハウスのモデルハウスをバーチャルで内見でき、オリジナルの3Dキャラクターが内見サポートするウェブサービスだ。

 利用者はWeb上でモデルハウスを内覧することができるだけではなく、好みの3Dキャラクターと営業スタッフに現地で説明を受けているような感覚で会話(ボット機能)をしながら、モデルハウスを内見することができるのが特徴。

 モデルハウス内見用の3Dサービスは、米国マーターポート社(Matterport, Inc.、URL:https://matterport.com/ )が開発した「Matterport® True3DリアリティーキャプチャープラットフォームおよびMatterport Pro2 3D カメラ」を活用しており、このシステムに3Dキャラクター関連機能を搭載したのは世界初という。

 発表会で同社・村井秀壽社長は、「わたしは3年前に終の棲家としてスウェーデンハウスの住宅を建てた。3重窓や高気密・高断熱住宅のよさを実感した。コロナの影響でモデルハウスの来場は減少しているが、Z世代を中心に住宅取得のニーズは高く、当社もまだまだ伸びしろがある。今回の世界初のトライによって業績は10%伸びた」と語った。

 また、同社営業推進部部長・大川保彦氏は、「昨年5月から試行的に3Dウォークスルーを導入したところ、モデルハウス来場予約は2020年3月期の757件から、2021年3月期は1,665件へと2.2倍に増加した。モデルハウス来場者による成約率は2~3%だが、Webを通じた成約率は10%に達している」と具体的な数値を示した。

 野原ホールディングス社長・野原弘輔氏は、「昨年の春以降、VRの撮影依頼が急増している。DXを加速させる」と話した。

 両社は今後、検索項目を増やし、例えばモデルハウスに使用されている家具をクリックすると、製造はどこかいくらで販売しているかわかるようにするなど、ブラシュアップしていくという。

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村井氏(左)と野原氏

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熊谷モデルハウスにおける現地(左)と同サービス(右)の対比

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3D キャラクター

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 スマホすら満足に扱えない記者にとって、発表会の1時間というものはちんぷんかん、何のことなのかさっぱりわからなかった-というよりは、ずっと話を信じていなかった。

 なぜか。昨日書いた積水ハウスのライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし 4stories」の記者発表会・内覧会の記事を読んでいただきたい。積水のモデルハウス内覧会は同社の広報のスタッフが撮影した動画を配信したものではあったが、モデルハウスのよさを伝えきれておらず、プロが担当してもオンラインでは住宅の質感を表現できないと確信したからだ。

 スウェーデンハウスの住宅だってそうだ。いくら村井社長が「三重窓はいい」といったところで、これは実際に体験してみないとそのよさはわからない。

 同社の住宅は、C値(相当隙間面積)もQ値(熱損失係数)もU値(外皮平均熱還流率)も他社を圧しているが、これら優れた数値がもたらす快適な居住環境、空気感、居心地の良さなどのリアル感は、いかなる精巧な3Dキャラクターを駆使し、画像の解像度を上げたところで演出できないはずだ。

 村井社長など3氏の話を聞きながら、3Dキャラクターにトナカイ「ムース先生」やスウェーデンのきれいな女性を起用しようが、劇的に住宅展示場のあり方を変えることなどできはしないと、ずっと考えていた。

 ところが、記者発表会の後のシステム体験会で、その考えがぐらついた。

 自分のライフスタイルにあわせたモデルハウスを選び、こだわりなども設定し、指向性は記憶させることもできるというのは想定内だ。

 驚いたのは、モデルハウスの内観のところどころに◎印がついており、そこをクリックすると、その部位の素材や特徴などが表示されたことだ。読者のみなさんもぜひ体験していただきたい。(VR モデルハウスウォークスルー  https://vr.swedenhouse.co.jp/)本音を言えば、記者は操作も満足に行えないので、VR画像などをWebでほとんど見たことがない。どこまでが従来もある技術で、どこからが〝世界初〟なのかよくわからない。

 それにしても、凄い世の中になってきた。同じようにAI技術を活用したシステムでは、東急リバブルが投資用マンションと顧客をつなぐ「投資用区分マンションAIマッチングシステム」を開発した。これによると、営業経験5年以上の担当者が行う物件選定と遜色ないレベルを実現したというではないか。

 だが、しかし、村井社長も話したように、いかにAI技術が発展しようとも人間の五感に迫るリアル感は開発できないのではないか。

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同社の三重窓(Low-Eガラスは内と外に2枚、木製枠は熱が遮断されるので内側はアルミサッシ、樹脂サッシよりはるかに耐火性能は高い)

リアルを伝えたか 説明的にすぎはしないか 積水ハウス オンライン内覧会の課題(2021/4/20)

東急リバブル 営業職5年以上と遜色ない物件選定AIマッチングシステム開発・稼働(2021/3/31)
 

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「デュオアベニューつくば吾妻」

 フージャースアベニューの分譲戸建て住宅地「デュオアベニューつくば吾妻」を見学した。つくばエクスプレスつくば駅から徒歩7分の公務員宿舎跡地に開発された全82区画で、1区画当たり敷地面積が約200㎡(60坪)以上の素晴らしい住宅地だ。

 物件は、つくばエクスプレスつくば駅から徒歩7分、つくば市吾妻三丁目の第一種中高層住居専用地域、第二種住居地域(建ぺい率60/70%、容積率200%)に位置する全82区画。1区画当たりの敷地面積は約200㎡(60坪)以上で、価格は6,000万円台~8,000万円台。建物は2×4工法2階建て。施工・設計・監理はエステーホーム。販売代理はフージャースコーポレーション。

 2018年から分譲開始され、すべて完売となった。

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街並み

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 取材を申し込んだのは、3月22日付でフージャースホールディングスが筑波大学建築デザイン専攻の学生アイデアを採用した3戸の住宅が完成したと発表したからで、プレス・リリースをコピペして書く記事に価値はないと判断し、そもそもこの住宅地がどのようなものか全然知らず、自分の目で確認するためでもあった。

 現地は、つくば駅出口(A2)すぐの中央公園・中央図書館・美術館・つくばエキスポセンターを抜けた住宅地としては一等地。記者はつくば駅圏のマンションを10件くらいは取材しているが、このような低層住宅街が駅近にあるのは全然知らなかった。他の出口はみんな商業エリアだ。

 住宅地にたどり着いたとき、その素晴らしさに圧倒された。何が素晴らしいかといえば、いかにも戸建て住宅街らしいゆったりしたオープン外構&電線地中化の街づくりだったからだ。最近見学するのは敷地が30坪、広くてもせいぜい40坪くらいのものばかりで、敷地が60坪もある最近の大規模住宅地は、小田急不動産の「南大沢」しか知らない。

 ランドスケープデザイン・住戸デザインもいい。同社の戸建てのデザインが10年前くらいに一変したのはよく知っている。設計・施工を今回のエステーホームなど(他では津田産業)に切り替えたからだ。

 街並みをみて、見学の目的の一つは達成された。今回を見逃していたら、ずっと知らないままになっていただろう。やはり記者は現場見学が大事だ。

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中央公園

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近くで咲いていたオオイヌノフグリ

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 もう一つの見学の目的である学生さんのアイデアについて。これは、2018年、同大学芸術専門学群・建築デザイン演習および同大学院芸術専攻デザイン領域群・建築デザイン特別演習の一環として「住み継ぐ家」をテーマに企画・設計コンペを行い、39名の学生・大学院生の提案のうち優秀作3案を選び、その設計意図とデザイン提案を活かした住宅3棟を設計・施工したものだ。

 最優秀賞に選出された染谷美也子さん(芸術専門学群3年生、当時)設計の「ハウス・オブ・プランツ」は、居間や食堂と庭の空間を一体としてデザインしたのが評価された。染谷さんの案は、東京建築士会開催の「第18回 住宅課題賞2018」の審査員賞である「高橋賞」を獲得している。

 優秀賞に選出された安喜祐真さん(芸術専攻博士前期課程1年生、当時)設計の「土間のある家」は、玄関から台所にかけて土間空間を広く取った大胆なプランが、リュウ・T・ペニーさん(豪・クイーンズランド大学4年生・短期留学生、当時)設計の「本棚のある家」は、知的な仕事に携わる住民が多いと考えられるつくば市に建つ住宅ならではのアイデアがそれぞれ評価された。

 この3戸のうち、染谷さんとリュウさんの提案住宅を見学した。安喜さんの提案を具現化した住戸はすでに入居済みで見学できなかった。

 正直に書く。同社は不特定多数に売る建売住宅だから勇気がなかったのだろう。学生さんのプランは一部しか採用していないのは残念だった。

 しかし、3人の方は悲観することなどない。みんな素晴らしいし、入選しなかった方も多分独創的な提案を行ったはずだ。入選することだけが目的でない。その過程が大事だと思う。

 さて、「ハウス・オブ・プランツ」は、離れの子ども部屋(仕事場などにもなるはず)を提案しているのがいい。デベロッパーは良さを理解していても売れ残りを心配し採用するところは少ないが、記者はかつて、西武不動産が「所沢」の1億円以上の住戸に素晴らしい離れを採用したのを見学し、そのほかでもいくつか見ている。30坪の敷地では無理だが、この種のプランはもっと増えていい。

 もらった資料では、染谷さんは2階に子供部屋とほぼ同じ広さの浴室を提案している。これは資料には記載がないだけで、浴室だけではないはずだ。何に使うのだろうか。

 リュウさんの提案は記者も大賛成。家全体が書庫のようだ。しかし、リュウさん、造りつけの書棚を建売住宅で提案するわが国のデベロッパーはほとんど皆無です。どのような本を読んでいるか、人に知られたくない人もたくさんいます。これが課題だと思います。絵画、その他置物などにも対応できるといいと思います。

 安喜さんの「土間」の提案は、ハスウメーカーやデベロッパーもよく行うプランだ。実際に建てられた住宅はリビング・ダイニングに面したところに「テラス」として設置されているので、安喜さんの意図とは少し違うのではないか。安喜さん、これも許してやっていただきたい。記者も「土間」は内と街や隣近所の人たちとの外を緩やかにつなぐ空間だと思っています。

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リュウさんのアイデアを盛り込んだ住宅

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安喜さんのアイデアを採用した住宅

カテゴリ: 2020年度

 プレハブ建築協会住宅部会(加盟20社)は3月23日、メディア向け2020年度の活動状況をオンラインで報告した。

 「住生活向上推進プラン2020」の実績(9社)については、①住宅性能表示取得率は戸建て83.5%(目標85%)・共同住宅5.2%(同10%)②入居者アンケート総合満足度76.4%(同85%)③長期優良住宅認定取得率84.0%(同85%)④点検・修理等 履歴管理実施率92.0%(同100%)⑤ZEH供給率61.8%(同70%)⑥居住段階CO2排出量削減率45.9%(同70%)-などと目標を下回ったものの高い数値となった。

 CS品質委員会の「信頼されるすまいづくりアンケート」調査結果では、「とても満足」33%(前回37%)と「満足」44%(同41%)を合わせ77%(同78%)となった。

 環境分科会の環境行動計画「エコアクション2020(2011~2020年)」では、新築戸建てのZEH供給率を国の目標50%を大幅に上回る70%にしているが、7社全社が個社目標を達成すれば70%に達する見込みとしている(19年は7社のうち6社で個社目標を達成)。

 ZEHの普及に伴い強化外皮基準を満たす戸建住宅の供給率が大幅に増加、高効率給湯器はほぼ標準化したほか、燃料電池の普及は前年同程度となり、やや頭打ちで、太陽光発電システムの設置率は2年連続で増加し、過去最高に迫る水準になり、HEMSは約6割、蓄電池も2割強の住宅で導入され、次世代スマートハウスへの進化が着実に進展したとしている。

 工場生産に伴うCO2排出量は、2010年比▲8.5%(総量)となり、省エネ性能の向上に伴うCO2削減貢献量(累積)は排出量の約11倍となった。

 このほか、住宅ストック分科会では、新しい生活様式へのリフォーム各社の対応について昨年8月と12月の2回ヒアリングを行い、新型コロナを経験したことで、潜在的なニーズを顕在化させる提案型リフォームに転換できるチャンスと捉えていることが報告された。

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 へそ曲がりの記者は、以前から思っていることだが、嫌みな質問をした。CS満足度が77%に達しているのは結構なことではあるが、顧客は依頼に応えてくれると期待して発注するのだから満足度がそれなりの数値に達するのは当然だ。気になるのは回答率の低さだ。プレ協担当者は毎年50~60%と話したように、残りの顧客はどう考えているのか、むしろこの人たちから回答を引き出す工夫が必要だと思う。敢えて「不満」を引き出すようなアンケートに切り替え、その不満を解消する取り組みを行えば顧客満足度は飛躍的に増大するはずだ。

 この質問に、ブレ協は新たな質問を検討していると答えた。期待したい。

 もう一つ、「都内を中心に敷地規模が20坪以下の狭小住宅がものすごい勢いで増えている印象を受ける(住宅着工統計などでは戸建ての敷地面積については非公開)のだが、良好な住環境は担保されるのか危惧している。プレ協の会員は狭小敷地にも対応できるのか、データはあるか」の質問をした。

 担当者は、「技術的には対応は可能だが、各社ともそれを売りにするような営業は行っていない」とのことだった。

 この問題については、行政がデータを公表し、考えることができるようにすべきだと思っている。

カテゴリ: 2020年度

 小田急不動産は3月19日、小田急線相模大野駅エリアの分譲戸建て計画「相模大野プレミアムプロジェクト」第1弾「リーフィア相模大野マスタープレイス」(14戸)と第2弾「リーフィア相模大野リンクプレイス」(12戸)が2021年2月28日(日)に完売したと発表した。

 「リーフィア相模大野マスタープレイス」2020年11月14日(土)、「リーフィア相模大野リンクプレイス」は同年11月21日(土)から販売を開始。両物件ともに約3か月での完売となった。

 好調の主な要因は、①神奈川県央に位置する相模大野エリアでは約3年ぶりとなる10戸以上のまとまった区画数②ニューノーマルな暮らしに合う多彩なアイデアを盛り込んだプランニングとしている。両物件合わせ173件の来場があった。

 「リーフィア相模大野マスタープレイス」は、相模原市南区相模大野九丁目、敷地面積100.27~123.57㎡、建物面積90.05~105.16㎡、価格は5,968万~7,388万円。2×4工法2階建て14戸。施工は三菱地所ホーム。

 「リーフィア相模大野リンクプレイス」は、相模原市南区上鶴間本町二丁目、敷地面積107.57~137.69㎡、建物面積85.40~107.66㎡、価格は5,188万~6,588万円。2×4工法2階建て12戸。施工は細田工務店。

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「イニシアフォーラムたまプラーザ」

 コスモスイニシアは3月22日、分譲戸建て「イニシアフォーラムたまプラーザ」(7区画)を2021年2月20日に契約開始し、2021年3月7日に全戸完売したと発表した。

 物件は、田園都市線たまプラーザ駅から徒歩5分、横浜市青葉区美しが丘5丁目に位置する全7区画。敷地面積は126.01~145.14㎡、建物面積は101.97~106.32㎡、価格は10,980万~12,980万円。竣工は2020年12月中旬。施工は東急建設。構造は木造枠組工法2階建て。

 2021年1月上旬のモデルハウスオープンから100件を超える来場を集めた。敷地の中心を南北に延びる道路を囲むように7区画を配置。道路はインターロッキング舗装とし、建物を道路からセットバックさせ、季節ごとの花や実などを楽しめるさまざまな樹木を植栽。光や風をたっぷり取り込む最高天井高約3.6mの2階リビング「ソラリビング」を採用した。

 駅徒歩5分の立地と、美しい街区設計のつくりこみが評価されたという。

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モデルハウス

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 プレス・リリースだけではよくわからないが、おおよその見当はつく。低層マンションや戸建てなどが建ち並ぶ住宅地ではないか。

 同社の田園都市線の物件では、一昨年の2月、「青葉台」を見学している。立地も商品企画も似ているのではないか。売れるのは当然のような気がする。マンションより全然安い。よくぞそんな土地を仕入れられたものだ。

商品企画の勝利 即完の可能性も コスモスイニシア戸建て「グランフォーラム青葉台」(2019/2/15)

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「体感すまいパーク東浦和」

 ポラスグループは3月18日、埼玉県初となるグループ単独の住宅展示場「体感すまいパーク東浦和」のモデルハウスを報道陣に公開した。同社単独の〝体感型〟住宅展示場は2018年に開設した「体感すまいパーク船橋」「体感すまいパーク柏」に次ぐ3か所目で、全4棟から構成。1月3日のオープン以来2か月で550組の来場者を集め、13棟の契約を結ぶなど好調なスタートを切った。宅建免許(従たる営業所)を取得しており、分譲や仲介部門などとスピーディに連携できるのも特徴の一つ。

 公開したのは、フラッグシップブランドの「PO HOUS(ポウハウス)」、リーズナブルな価格の「北辰工務店」、2×6工法の「HaS CASA(ハスカーサ)」、鉄骨造の賃貸併用の「GRANSSET(グランセット)」の4棟。他に事務所1棟。

 ポラテック取締役木造建築事業部事業部長・橋本裕一氏は、「『船橋』『柏』と比較すると、開設1か月目の来場者数は約1.5倍増。2月末現在の注文住宅部門全体の受注状況は前年同期の17%増で、新型コロナの影響は、過去の消費増税時と比較して〝中・小規模の波〟程度に収まっている印象を受ける。単独展示場は、他社の情報に惑わされず、総合展示場のように設置期限がなく、今回は宅建免許を取得しているので、ワンストップでスピーディに分譲や仲介部門との連携も図れるメリットがある。同様の体験型は越谷エリアに出店することが決まっており、2022年には県西部にも開設する」と語った。年間成約目標は100棟。

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「PO HOUS(ポウハウス)」

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「PO HOUS(ポウハウス)」内観

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左から「HaS CASA(ハスカーサ)」「GRANSSET(グランセット)」「北辰工務店」

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 見学会には20人以上の報道陣が参加した。密を避けるため会場はテント張りの屋外で、モデルハウス見学も4組に分かれた。小生が振り分けられた4組の1番最初の見学は「PO HOUS」だった。

 「PO HOUS」はこれまで数か所は見学しているが、外壁にアルミ材ではなく本物のアカマツの縦格子が採用されているのを見て、ほとんど瞬時に〝これが一番〟と評価した。記者の見立ては間違っていないはずだ。

 玄関を入ってすぐにおしゃれな手洗い場があり、壁は塗り壁、床はカバサクラの突板、巾木は集成材、リビングのテーブルは木目が美しい杉の一枚板、通り土間から差し込む自然光を取り込んだ畳リビング、リモートワーク用の書斎、高低差を演出したスキップフロア、自然木のウッドデッキを敷いた天井付きのインナーバルコニー、檜風呂…。

 70万円からという坪単価は、新大久保や渋谷の大手ハウスメーカーの坪100万円どころか坪200万円以上もある富裕層向けの豪華なモデルハウスにはかなわないが、同社のターゲット層はアッパーミドルのはずで、少し背伸びすれば手に届く価格設定になっている。デザイン性、設備仕様などから判断してコストパフォーマンスが最高に素晴らしい。建物は木造3階建て延べ床面積約133㎡(約34坪)。

 他では、建物を右と左に鋭角的に切り離し、小さいほうの三角形のスペースを〝離れ〟とし、双方の玄関先の「通り庭」の壁面にせせらぎの音を演出した「HaS CASA」が目を引いた。好みはあるだろうが、アーチやアールを多用し、鮮やかなオレンジ、グリーン、唐草模様の壁面カラーリングなどは女性に好まれるのではないか。ベッドルームには天幕が掛かっていた。

 4番目に見学した同社野球部の通算打率4割くらいありそうな4番バッター・藤田俊介氏が担当する「北辰工務店」は坪単価45万円からで、「PO HOUS」とのすみ分けを図っている。

 「GRANSSET」は、初のモデルハウスで、賃貸住宅オーナー向けの提案になっている。

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高さ10mくらいに強剪定された東浦和の街路樹

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いま満開のハナニラ(黄色い花はカタバミ)

〝総合展示場からの脱却〟に拍手喝さい ポラスが宿泊可能な単独展示場 開設(2018/10/5)

カテゴリ: 2020年度
 

 

 

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