ランドプラン秀 〝スマートウェルネス〟大和ハウス「藤沢 翼の丘」/県・環境都市認定
「セキュレアシティ藤沢 翼の丘」
大和ハウス工業は3月14日、藤沢市で分譲中の「セキュレアシティ藤沢 翼の丘」の集会所がオープンしたことに伴う記念式典・見学会を行なった。ランドプランが秀逸で、同日、同社として2件目となる神奈川県「環境共生都市づくり事業」にも認証された。
式典で同社取締役常務執行役員・大友浩嗣氏は、「スマートシティとして5件目だが、今後は省エネ・環境・健康に配慮した〝スマートウェルネスシティ〟として全国で展開していく」と挨拶した。
来賓として招かれた藤沢市長・鈴木恒夫氏は、「当地は歴史と伝統を持つ場所で、敷地は統廃合で移転した元県立藤沢高校。ゆかりのものを残してほしいという地元の要望も取り入れられている。健康寿命日本一を目指す当市の目標に添うもの」と祝辞を述べた。
鈴木市長は、ソニーネットワークコミュニケーションズが開発した手首にタグをつけるだけで食事、睡眠、歩数などがチェックでき、玄関ドアの鍵、電子マネー機能などを搭載した「FAITタグ」で健康チェックを実演した。
物件は、小田急江ノ島線藤沢本町駅から徒歩3分・JR藤沢駅から徒歩13分、藤市本町四丁目に位置する開発面積約26,797㎡、全114区画。他に賃貸マンション49戸。敷地は130㎡以上、延床面積は101.25~122.13㎡、建築条件付宅地の価格は2,990万~4,260万円、分譲住宅の価格は6,690万~8,580万円。仕様は太陽光発電システム3.08kW~3.105kW・「D-HEMSⅢ」、 家庭用リチウムイオン蓄電池6.2kWh、エネファーム・LED照明など。「FAITタグ」も1戸につき3台配布される。
昨年1月から分譲を開始しており、これまでに49区画(建築条件付き45区画、分譲4区画)が販売済み。
現地は藤沢高校の敷地跡地。統廃合で移転したことに伴い、神奈川県が2015年に実施した跡地利用に関するプロポーザルに同社が選定されたもの。周辺地区内の環境や景観に配慮した計画、健康に役立つ遊具の設置やIoT技術を活用した健康チェックを各戸で行う仕組みなどが評価された。
傾斜地の住棟は藤沢宿をイメージしたデザインとし、山田耕作が作曲した藤沢高校歌碑や記念碑、バスケットボールリンク、茶室、収納扉、ナショナルの時計などを木造の集会室・交流センターとその周りに再生した。ラウンドアバウトの石積みには藤沢高校の間知石を使用。各住宅の庭先には縦格子デザインを取り込んだ。
公園には、同社グループ・NASが監修した健康遊具を各所に設けている。
まちびらきセレモニー(左から住民代表、鈴木氏、大友氏、同社湘南支店長・松尾憲二氏、藤沢市キャラクター・ふじキュン
健康チェックをする鈴木市長(3種300点満点で243点だった)
左から同社住宅事業推進部東日本住宅設計室課長・井野善久氏、大友氏、同社湘南支店湘南住宅営業所分譲営業課主任・足立英彦氏
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同社の大規模戸建て住宅地を見学するのは「つくば研究学園」以来だ。「つくば」はフラットだったが、今回は傾斜地を巧みに生かしたランドプラン、旧東海道藤沢宿をイメージしたファサードデザインが最高にいい。
分譲地の入り口に着いたとき、コンクリの擁壁部分にグリーンベルト(奥行き50cm)が目に入った。最近はこの種の手間もかかり管理が大変な仕掛けを施すところが少なくなった。
気になったことを一つ。同社は鈴木市長にもモデルハウスを案内した。天井の高さ(2.7~3m)などを説明したのはいいのだが、最大の特徴でもあるフラットなバルコニーには全く触れず、居室のカーテンを閉めたままだった。
記者は我慢がならず、「市長、ほら、バルコニーがフラットでしょ。これをやっているのは大和さんくらい」と説明した。
担当者は当たり前のことだと思って説明しなかったのだろうが、ホームページにもフラットバルコニーは記載がない。営業マンはちゃんと説明しているのだろうか。
グループのコスモスイニシアはフラットバルコニーを最大の売りにしている。
交流センター中庭に残された高校の歌碑、記念碑、樹木など
バスケットリンク(左)と収納扉
街並み(左側にはラウンドアバウトの石積み、ナショナルの時計も見える)
縦格子、地元の鳥などをあしらった石造りのサイン(左)とグリーンベルト
健康遊具だけでなく、歩くだけでバランス感覚、体力が測れる8の字ウォーク空間(左)50mの歩道
約4.5畳大の2階居室は1階と繋がる格子床 リビタ実証住宅「広がる屋根」
「広がる屋根」
リビタとYKK APの戸建てリノベーション実証住宅「広がる屋根」を見学した。東急田園都市線たまプラーザ駅から徒歩13分の築37年の既存不適格中古戸建てを「HEAT20 G1」相当の性能を有する住宅にリノベーションしたものだ。実証実験を行ったあと、約1億円で分譲する予定。
物件は、田園都市線たまプラーザ駅から徒歩13分、横浜市青葉区新石川に位置する敷地面積222.47㎡、建物面積119.43㎡。構造は木造在来2階建て。建築年月は昭和56年築(築37年)。改修竣工は平成30年12月。企画・事業主はリビタ。設計監理は納谷建築設計事務所。構造設計は高橋建築工房。施工は青木工務店。
現地は、たまプラーザ駅からサクラの街路樹が見事な「美しが丘」を通り抜け、鷺沼駅とのほぼ中間にある戸建て住宅街。すぐ近くは高津公園。
YKK APと2017年に協働した「ZEH改修の家」の実証プロジェクトで得た知見を盛り込んでいるのが特徴で、改修のポイントは、①エネルギーパスにより、エネルギー消費を見える化②断熱性能が改修前の約3倍(UA値:改修前1.81W/㎡・k⇒改修後0.51 W/㎡・k)③耐震等級3④外壁・屋根張り替え、窓交換、基礎補強⑤地盤保証、瑕疵保険付、リノベーション住宅推進協議会「R5住宅」取得予定⑦長期優良住宅認定(増改築)-など。
既存建物は検査済証が発行されていたが、実測したところ高度斜線制限に抵触していることが判明し、既存不適格建物であったため、改修に当たりその部分を除却。西日を遮るために軒下を深くし、その上に大きな天然芝を敷いた屋上テラスにし、大半のサッシは樹脂窓Low-E真空トリプルガラスを採用している。
リビタ分譲事業本部戸建事業部チーフディレクター・宇都宮惇氏は、「都心の住宅密集地では得られない環境を取り込み、この場所だからこそ楽しめる生活空間を計画しており、地元だけでなく中広域エリアに向けてもプロモーションしていきたい」と話している。
1階
床が格子状になっている2階居室(窓の外は天然芝)
天然芝を敷き詰めた屋上テラス(居室とほとんどフラットでつながっている)
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記者が見学したこの日(3月6日)午後1:30ころは、曇天ではあったが気温は高く、屋内の暖房は点けられておらず、UA値0.51の威力は確認できなかった。大きな窓も開け放たれていた。1階の窓際の温度は13.6℃、2階の居室は17℃前後だった。
素晴らしかったのは、1階、2階とも床は無垢のオーク材なのもさることながら、2階の居室の居室3室のうち4.5畳大の1室は1階の4.5畳大の和室の真上にあり、スノコのような格子床になっていたことだ。
居室として提案されているのが、インナーバルコニーと決定的に異なる点で、階下から空気が流れ、高さ約80センチの腰窓を開ければ天然芝の屋上テラスに抜ける工夫が施されていた。
この上に布団を敷いて寝たらどんな気持ちになるのか、コップ1杯と言われる就寝中の発汗量はどうなるのか、快適だから汗はかかないのか、湿気は蒸発するのか、上と下がつながっているのでゴミ・モノ(スノコとスノコの隙間は2~3センチはあった)を落としたらどうなるのか、裸になったら下から丸見えになるのか、夫はともかく奥さんはやっぱり嫌がるのではないか(スカート穿いてたら大変じゃん=かみさん)、夫婦喧嘩の声やニンニクなどの匂いは筒抜けではないか…考えるだけで楽しくなった。3室全てがそのようなスノコ床だったら、みんなノーサンキューだろうが…。
建物の南西側に設けられている屋上テラスの広さは約40㎡。草むしりは大変かもしれないが(芝生の種類によっては雑草を侵入させないものもあるが)、周辺は一戸建てなので眺望がまた素晴らしい。芝生に寝転ぶのも酒を飲むのも、子どもがいれば折り畳みプールで遊ぶのにも最適だ。
UA値0.51の威力は、冬季の起床時(5~6時)のLDの室温16.1℃(H28の省エネ基準は14.5℃)というシミュレーションデータで示されている。
2階居室の天井
小田急不動産 全185区画の大規模戸建て「リーフィア南大沢ガーデンズ」分譲へ
「リーフィア南大沢ガーデンズ」完成予想図
小田急不動産は3月1日、多摩ニュータウン内の大規模戸建て分譲地「リーフィア南大沢ガーデンズ」の特設サイトを開設した。
物件は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、八王子市鑓水2 丁目に位置する総開発面積5.2ha、全185区画。第1期(戸数未定)の敷地面積は171.59~208.47㎡、建物面積は94.33~113.86㎡。施工は小田急ハウジング・細田工務店。
①各分野の専門家の粋を集めた街づくり②充実の「3rd Place」③敷地面積50坪超、先進の設備を全戸標準装備-などが特徴。
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同社の戸建てはたくさん見てきた。他社の都市型戸建てと比較して相対的に敷地面積が広く、植栽が豊かなのが特徴だった。
ここ10年くらい途絶えてしまった。検索したら〝リーフィア〟シリーズ第一弾の「栗平」と「片平」がヒットした。好調なスタートを切ったことで、案内役を買ってくれた女性がとても嬉しそうだったのを思い出した。
モデルハウスの公開はもっと先だろうが、必ず見学してレポートしたい。京王相模原線は競合も多い。どのような商品企画になるのか。
商品企画の勝利 即完の可能性も コスモスイニシア戸建て「グランフォーラム青葉台」
「グランフォーラム青葉台一丁目」
コスモスイニシアが明後日(2月17日)抽選分譲する戸建て「グランフォーラム青葉台一丁目」を見学した。徒歩4分圏内では過去20年供給事例がない田園都市線青葉台駅圏の全11区画で、敷地南側はサクラがきれいな公園に立地。その得難い土地の価値を最大限に引き出した商品企画が、同業他社をはねのけ事業コンペで選ばれた。価格は1億円前後の高額だが、販売担当は「即日完売の可能性もある」と手応えを感じている。
物件は、田園都市線青葉台駅北口から徒歩4分、横浜市青葉区青葉台一丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全11区画。第1期1次(8棟)の土地面積は125.00~138.88㎡、延床面積は97.66~117.67㎡、価格は8,990万~12,500万円。登録受付は2月16日(土)~2月17日(日)、抽選日は2月17日。入居予定は3月下旬。施工は東急建設。構造・工法は木造(枠組壁)2階建て。事業主は同社のほか中日本高速道路。
現地は、中日本高速道路の社宅跡地。同社が跡地利用に関する事業コンペを行い、大手デベロッパー数社が応札した結果、同社の「収益性よりも土地の価値を最大化した商品企画」が選ばれた。敷地南側はサクラやケヤキなどが植わっている青葉台公園。坂が多い同駅圏の北口にあって駅が近く、比較的坂も少ないエリアの一角。
全体敷地は三方道路の角地で、街区全体を公園側、中央、北道路側に分けてプランニング。片流れタイプ、リビング天井高を高くし、色彩豊かな植栽、自然石舗装、電線の地中化などが特徴。
サクラが目の前にある南側住戸(4戸)は天井高約5m(一部除く)の2階リビングとし、バルコニーもフラット化している。中央の住戸(3棟)は、南側の建物を南側によせ、幅員約5mの私道と駐車スペースを巧みに生かすことでコモンスペースのような開放感のある構成としている。北道路住戸(4棟)は建物を北側に寄せることでその南側の住棟との間隔を広げ、日照・通風・開放感を確保している。
主な設備仕様は、木目調フローリング、浮造り調建具・家具、フィオレストーン天板、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス、防犯合わせガラス、メーターモジュール廊下・玄関など。
プロジェクトマネージャーの販売担当の同社分譲事業部分譲二部二課・木村健太氏は、「来場は5週で80組。今後の展開を見据え、今回から植栽に力を入れ、木の素材感のある木目調や浮造り、新素材の壁材(エコカラットの倍の価格とか)を多用しているが、お客さまには概ね理解を得ており、『15,000万円くらいでもいいから土地を60坪くらいにしてほしかった』というお客さまもいらっしゃるほど、全体的にはすこぶるいい反応を頂いている。売りづらい住戸がないので、即日完売もありうる」と話していた。
高さ約5mのリビング天井
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書こうと思えばいくらでも書けるのだが、時間がない。価格予想はどんぴしゃりだった。現地は、マンションの取材などでおおよその検討はついていたが、まさか公園に隣接しているとは全然思わなかった。だが、しかし、瞬時に1億円くらいだと読んだ。そして、公園に面した住戸は1億2,000万円くらいでないかと尋ねたらほぼ当たった。人気になるのは当然。同駅圏には信じられないようなお金持ちがたくさんいる。
そんなことより言いたいのは、極めて優れた商品企画が事業者でもある中日本高速道路に評価されたことだ。落札できなかったデベロッパーは地団太を踏んでいるかもしれないが、いま同社の戸建てに勝てるところはないのではないか。
マンションも戸建てもアパートも不祥事が後を絶たないが、企業も地主もオーナーも、儲かればいいというカネの亡者ではなく、中長期的な視点でものごとを考え、街の資産となるような建物を建てるべきだ。
今回の商品企画では、間違いなくこの土地の価値を最大限に引き出しいる。見事というほかない。昨年見学した同社の「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」もそうだったが、戸数を増やそうと思えば増やせたのに、同社は街並みを大切するためにあえて減らした。売却した地主だって、人気になって嬉しくないはずはない。
国土交通省はESGやSDGsに沿った投資環境整備へ向けた「ESG不動産投資のあり方検討会」を立ち上げ、初会合も開いた。地域の環境に配慮した持続可能な開発事業がきちんと評価される世の中になってほしい。
小生は、男か女か年齢も素性も明らかにしないのは卑怯だと思っているのだが、なぜか人気のチコちゃんに「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られないように記事を書いているつもりだ。この記事は(この記事も)多くのデベロッパーの方々に読んで頂きたい。
ちょっと同社を褒めすぎたか。注文を付けるとすれば、設備仕様はもっとあげられる。1億円以上であれば、仕様レベルを上げ価格をもっと上げても売れると記者は見ている。
玄関
主寝室
一頭地を抜く コスモスイニシアの都市型戸建て「田園調布 桜坂」「成城」(2018/4/20)
ポラス 「浦和美園E-フォレスト」第2弾好発進 わが国初のDGRによる電力融通実験も
「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」モデルハウス
ポラスグループ中央住宅は2月7日、さいたま市に指定されている「次世代自動車・スマートエネルギー特区」の第二弾で、わが国初のDGRによる「次世代型電力コミュニティ」実証実験を行う「浦和美園E-フォレスト コネクテッドサイト」の記者見学会を行った。
物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩5 分、さいたま都市計画事業浦和東部第一特定区画整理事業57街区他の保留地に位置する全45棟(同社が33棟、高砂建設が8棟、アキュラホームが4棟)。同社の第1期1次(14棟)・第1期2次(4棟)の敷地面積は150.00~184.51㎡、建物面積は95.43~111.58㎡、価格は4,780万~5,680万円。建物は在来工法2階建て。
1月下旬に第1期18戸を供給、駅に近く質が高い割に価格が抑制されていることから人気を呼び、13棟が成約済み。好調なスタートを切った。来場者数は257組。第2期15棟は4月に分譲する予定。
特区事業は、埼玉県住まいづくり協議会会員3社の共同提案がコンペで選定されたもの。2016年分譲の第一弾「浦和美園 E-フォレスト」(同社は21棟、全体で33棟)は約半年で完売した。
太陽光発電、ハイブリッド給湯・暖房システム、Low-Eガラス、HEMSなど先進の省エネ・創エネ設備を搭載。ニアリーZEH(ZEH率75%)を達成し、UA値0.46以下とすることで、冬季に暖房を使わなくても室温が概ね15°Cを保つ設計となっているのが特徴。
今回はさらに、環境省の実証事業としてわが国初の電力融通と電力識別を自動で行うシステムDGR(デジタルグリッドルータ)を5棟(同社は3棟)に搭載する。
実証事業は、デジタルグリッド社が代表として行うもので、イオンモール浦和美園内に設置する太陽光発電と分譲地内の5棟に設置される太陽光発電と蓄電池、浦和美園のイオン系コンビニ5店舗との間で電力の融通実証を行い、仮想的な取引市場を構築する。9年間データを蓄積し、その後は無償譲渡される。
モデルハウス「アートの家」
モデルハウス「スタジオハウス」
モデルハウス「森の家」
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戸建ての基本性能・設備仕様などは添付した「浦和美園 E-フォレスト」の記事を読んでいただきたい。現時点で最高レベルの分譲戸建てだと思う。好調なスタートを切ったのは当然だ。来場者の約26%が都内居住者というのも、第一弾の購入者の声を反映させ、地元パン屋さんと連携したカフェ、ワークショップなどの活動の成果だろう。
細かいことだが、全ての開き戸にソフトクローズ機能が付いていたことに驚いた。これは、先に取材した同社の「氷川台」でそうなっていたのに感動したのだが、関係者によると数年前から1,000棟規模で採用しているとのことだった。同社の戸建ては数えきれないほど見学しているのに、言われるまで全く気が付かなかった。
なぜか。引き戸についてはソフトクローズかどうかを必ずと言っていいほどチェックする。そうなっていないものも多いからだ。一方、開き戸はそうなっていないと思い込んでいたので、チェックする必要などなかったからだ。これまでの同社の見学会でもそれを強調する担当者はいなかった(はず)。このことを企画担当者に話したら、他社はその機能が付いていないことを知らない人もいた。
なにを言いたいかといえば、優れているとか劣っているとかは、基準があって初めて判断できる。判断基準を持たなければ消費者に利点も欠点も伝えられない。われわれ記者も同じだ。いいか悪いかの見る目を養わなければ、それこそ群盲象を評す、木を見て森を見ずだ。小生はこの数年間、何を見てきたのだろう。
今回公開したモデルハウスは、意匠性と使いやすさを両立させたTJMキッチンを採用した「スタジオハウス」、シルキーウッドをキッチンの天井に配した「森の家」、セメントの質感と暖かみが感じられるSOLIDO壁やシナ合板を天井に配した「アートの家」の3棟。
ひとつ付け加えておく。この戸建てには洗面所にも暖房機がついている(17.3度以下に下がらないのであれば付ける必要もないような気がするが)。さらに一言。キッチンにも都心の高級戸建て並みに床暖房機能を付けたら、みんな目を見張り、息を止めるのではなく飲むはずだ。
価格が低く抑えられているのは、「浦和美園」のポテンシャルの反映だ。これ以上書かない。
自然石のピンコロ舗道(電線を地中化、敷地の一部に地役権を設定し、コモンスペースとしているのも特徴)
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DGRについて。あらゆるものが周波数や数値に置き換えられ処理されたり伝達されたりされているのは常識なのだろうが、記者はちんぷんかんぷんだった。電力融通を行い、仮想取引が行われるようになれば、売り買いが交錯し株価のように乱高下するのか、あるいは平準化されるのか。
デジタルグリッド社企画部長・松井英章氏は「環境価値を可視化する」と語った。電気やガスだけでなく水やごみ、ガソリン代などあらゆる消費をCO2排出量に換算し、地球温暖化防止に役立つシステムの構築を目指してほしい。
蓄電池(手前)とDGR(スペースは幅約2m、奥行き約75cm、高さ約1.2m)
ポラス 浦和レッズレディース選手が「ONE LINKカフェ」でワークショップ(2018/7/30)
どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)
三井不レジ 山手線の内側初の都市型戸建て「茗荷谷」「新大塚」早期完売へ
「ファインコート茗荷谷」
三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート茗荷谷」を見学した。20年超の歴史を持つ「ファインコート」の中で山手線の内側は初めて。同社は早期完売を狙っている。
物件は、東京メトロ丸ノ内線茗荷谷駅から徒歩11分・都営地下鉄三田線千石駅 から徒歩10分、文京区千石2丁目の第一種低層住居専用地域(建ペイ率60%・容積率150%)に位置する全7戸。土地面積は95.02㎡(他に私道負担1.18㎡)~115.57㎡(他に私道負担0.83㎡)、建物面積94.59~125.31㎡、予定価格は1億1,500万円~1億5,800万円。入居予定は2019年4月下旬。構造・階数は木造2×4工法2階建て。施工は東急建設。
現地は標高21mの第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだとアップダウンの激しい高台だが、千石駅からだとほぼフラット。
建物は、小石川植物園・六義園などの日本庭園との繋がりを意識した「和」テイストのデザインで、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)レベルの断熱性能を有し、リビング天井高は約2700~3000ミリ、フィオレストーンキッチン天板、食洗機、アルミ樹脂サッシ、Low-Eガラス、エネファーム、タオルウォーマー、リビング・キッチン床暖房、洗面室暖房機付きなどが特徴。
同社地域開発事業部営業室主管・坪井清治氏は、「文京区にわずか10%しかない第一種低層住居専用地域。茗荷谷駅からだと坂がありますが、千石駅からだとほぼフラット。(モデルハウスの)玄関に皆さん驚かれる。最高価格住戸にも希望が入っている」と販売に自信を見せていた。販売開始は2月下旬。
すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」
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山手線内初のファインコートという触れ込みだったのでものすごく興味があった。茗荷谷駅から向かった。途中には野村不動産「プラウド小石川」、住友不動産「インペリアルガーデン」がある。価格は間違いなく1億円以上だ。しかし、後で知ったのだが標高21mの坂は相当きつい。下って上って。誰が買うのかと悪態も口に出た。
ところが、現地に着いてびっくり。すぐそばに「明治天皇行幸記念碑」があるではないか。そしてモデルハウスを見て〝誰が買うのか〟の疑問はどこかに消し飛んだ。巧みな〝魅せ方〟に圧倒された。
玄関を入ってすぐ天井高約3mある大きなリビング空間が広がる。リビングドアは両開きの引き戸で、開け広げると幅は約1.6m。このような圧倒的な空間を提案した都市型戸建ては他にないはずだ。タオルウォーマーが浴室に付いているのもいい。座って化粧できる洗面スペースを提案しているのも人気とか。
20年以上も「ファインコート」を分譲してきた同社だからこそできる企画だと再確認した。来場者が驚くのも当然だ。
逆に言えば、三井ですらここまでやる。ランド力で劣る同業が三井を越えないと絶対に勝てない。
山手線内初の物件では、この「茗荷谷」と2月中旬に分譲する「ファインコート新大塚」5戸がある。「新大塚」は敷地が20坪の3階建てだが、こちらも手応えは十分という。
エントランス&ホール
リビング
タオルウォーマー(左)と洗面室
ポラス 分譲戸建て「氷川台」 開き戸全てがソフトクローズ機能付き エコな暖炉も搭載
「Mode Fines(モードフィネス)氷川台」
ポラスグループ中央住宅マインドスクェア事業部が近く分譲する戸建て「Mode Fines(モードフィネス)氷川台」を見学した。暖炉を設置し、開き戸を全てソフトクローズ付きとしているのが特徴だ。
現地は、都営三田線氷川台駅から徒歩12分、練馬区氷川台2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する1棟現場。保育園、小学校に近接し、敷地は6m道路の南西角地で、南道路の間口は12m。
土地面積は約116㎡、建物面積約115㎡。価格は未定だが9,000万円台の前半になる模様。建物は2階建て2×6構造。
住戸プランは、間口が広いことから約17.6畳大のリビング・ダイニングの上部を吹き抜けとし、自然採光を取り込み、6畳大の小上がり和室り床下に大型収納を設け、2階には約8.2畳大の主寝室の隣に2畳大以上の書斎や約5畳大のロフトを設置している。
設備仕様では、リビングには燃料にバイオエタノールを使用するエコな暖炉を設置しているほか、開き戸・引き戸の全てをソフトクローズ機能付きとしている。
リビング(奥に暖炉、その奥に小上がりの和室)
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現地を見るまでどのような物件なのか全然知らなかった。道すがら価格を予想もした。最初にはじいた価格は9,000万円だが、同社はもっと安くするはずだと考え、8,000万円台の半ばでないかと最終的に判断した。
現地に着き外観を見て、すぐ9,000万円台に上方修正した。敷地条件が恵まれていたからだ。価格予想は当たり。ぴったりだった。
暖炉がいい。記者は心を静めてくれるあの〝ゆらぎ〟と、ときにぱちぱちとはじくおとがよく、対流熱で家全体を温めてくれる薪ストーブが好きではあるが、100万円も200万円もするストーブを付けて薪を調達し、灰を捨てる作業などを考えると設置しない人が多いと考えている。
だから、ハウスメーカーもデベロッパーもフェイクの暖炉を設置する。しかし、これは夏場は具合が悪い。あるたけで暑苦しくなる。
同社はその難点をほぼ解消した。オーストラリア製で、バイオエタノールを燃料に採用しているので、ほとんど無臭で煤も出ないので煙突はいらず、灰の処理もしなくて済む。薪と比べ〝ゆらぎ〟はやや小さく、はぜる音もしないのが物足りないが、夏場はアート、オブジェを飾れる。なかなかのスグレモノだ。周りの造作なども含めて約100万円だそうだ。
〝ほぼ解消〟と書いたのは完ぺきとは言えないからだ。燃料代は純正のものを使っているので10リットル入り5,000円。9リットル入り容器を満タンにして1日13時間点けっぱなしにすると月15万円だ。
建物の断熱性能はUA値0.6以下だから、そんなに使用しなくても建物全体が温かくなり、消しても室温は17度くらいにしか下がらないだろうが、これはちょっと高い。お金持ちしか買えない。だから設置したのだろうが…。
もう一つびっくりしたのは、トイレも含めて開き戸を全てソフトクローズ機能付きにしたことだ。これはすごい。〝バタン〟から解放される。
記者はすっかり忘れていたのだが、この住宅の設計担当者・山口太郎氏にかつて「開き戸をソフトクローズ機能付きにできないか」と話したようだ。山口氏はそれを忘れず、今回の住宅で実現した。
分譲戸建ての開き戸にソフトクローズ機能を付けたのは同社が初めてではないか(他にあったらごめんなさい)。マンションではアパが採用したことがある。
記者はエディット・ピアフの「パダン パダン」が大好きだが…そのうちにドアの「バタン」が消える…やや寂しい。
暖炉(薪ストーブのゆらぎとは明らかに異なる)
大和ハウス 都市ストレスを解放する3階建て木造モデル「森が家」販売
「xevo Gran Wood都市暮らし森が家コンセプトモデル(森が家)」
大和ハウス工業は1月17日、予防医学研究者の石川善樹氏とのコラボレーションで実現した人生100年を見据えた「都市ストレスから解放する」木造3階建てモデルハウス「xevo Gran Wood都市暮らし森が家コンセプトモデル(森が家)」を1月19日に「品川シーサイド展示場」でオープンすると発表した。
人生100年時代を迎え、心身ともに健やかな暮らしを営むためには「都市ストレスからの解放」がカギと考え、予防医学研究者の石川善樹氏の知見を得て、森の香りや音、植栽、火のゆらぎなど「五感のゆらぎ」「人とのつながり」を盛り込んだ商品。
開発・販売開始に至った背景について、同社上席執行役員・林直樹氏は都市部では3階建てが増加し、年代別では若年層より50歳以上の人が建てる比率が高いことに着目したと話し、「省エネ性・耐震性・耐久性すべて含め進化させたシステムを導入する。今年は東日本が対象だが、来年からは全国営業所で展開する」と語った。
石川氏は、「都市ストレス」は造語であることを断ったうえで、「森が家」には都市住宅では得られない「五感のゆらぎ」を再現し、都市が与える心身のストレスを解放した結果、ストレス度、インタレス度、認知テストの実証実験でも効果が得られたと話した。
モデルハウスは、3階建て延床面積約312㎡。1階は落ち着きのあるダークのカラーリングが基調の「森の入り口」。アロマや自然の音が演出されている。2階は天井高約2.6mのリビング中央に暖炉(フェイク)が据えられており、3面に広がる最大奥行き2mのワイドバルコニー・オープンエアリビング・ダイニングの「森の隠れ家」。3階はチーク材のへリーボーン仕上げの寝室とワイドバルコニーがある「森の寝室」。グーグルホームも置かれていた。
当面は東日本の富裕層をターゲットにするが、来春からは全国販売する。モデルハウス仕様の価格は坪120~130万円。
石川氏(左)と林氏
モデルハウス 1階
モデルハウス 2階
モデルハウス 3階
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とても面白い発表会だった。記者は三重の田舎の薪炭・囲炉裏・焚火が日常だった自然の中で生まれ育ったから、石川氏から森の効能を聞かなくても「森が家」がいいのはよくわかる。
嬉しかったのは、タバコ、酒、運動不足、メタボなど健康長寿を阻害する要因を語ったうえで、石川氏は「孤独はタバコより悪い」と言い切ったことだ。
「孤独」とは、石川氏はそのように語ったわけではないが、つまるところは〝社畜〟なる言葉で象徴されるように社会から隔絶され、家でも職場でも狭い箱の中に閉じ込められ、他人との会話(私語)も遮断され、太陽がどこから昇りどこに沈むのかの確認もできず、満天の星を観察できない不夜城の、さらにまたどうでもいい戦争ごっこに国民を巻き込み不安をあおり、限られた自分自身の時間をスマホゲームで空費させる都市環境・生活が人の健康にいい影響を与えるわけがないということだ。「個」は「孤」の同義語だ。
社会はタバコの弊害をまき散らしているが、その前に「孤独」からどうして解放するか考えたほうがいい。
石川氏はもう一つ面白い話をした。記者はここ数年、モデルルームやモデルハウスのフェイク(造花)をやめよとしつこく書いてきた。今回公開された「森が家」には1本の造花も置かれていなかった。数えなかったが数十鉢の本物の観葉植物・低木が植えられていた。
そこで、石川氏に「フェイクでもいいのか」と質問した。石川氏はやや考えた末、「分からない。フェイクを超える緑のフェイクが現れるかもしれない。設置した暖炉はフェイクだが、これは間違いなく効果がある」と答えた。
「フェイクを超える緑のフェイク」はひょっとしたら実現するかもしれないので深入りしないが、フェイクの暖炉は効果があるのは理解できる。
記者は実際の暖炉を経験したこともあるし、夜中に静かな音楽を流しながら暖炉のゆらぎを静かな音楽とともに放映していたテレビに魅入ったことがある。先に書いたようにエネルギー革命が起きる昭和40年代までは薪炭の環境で育った。父親が灰に書く字で漢字の書き順を覚えたし、焚火で田舎の経済を学んだ。
残念なのは、今回の「森が家」はモデルハウス仕様で坪120~130万円もし、土地持ちでない限り普通のファミリーには手が届かないということだ。仮にお金があって建てられたとしても、あの鉢の数からして旅行など自宅を留守にするときはどうするのだろうと考え込んでしまった。水遣りロボットは開発されるのか。
もう一つ。参考までに。同社がオープンする「品川シーサイド展示場」の隣接地では積水ハウス「グランドメゾン品川シーサイドの杜」が分譲されている。〝5本の樹計画〟をモデルルームにも再現している。よく売れているのはその圧倒的な緑も要因だと記者は考えている。
三菱地所ホームのtvkハウジングプラザ横浜内のモデルハウス「ONE ORDER(ワンオーダー)」と、浜田山ホームギャラリーの「ボタニカル リラクゼーション」も必見だし、昨年書いた「1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物」の記事も読んでいただきたい。
フェイクを超えるか? コスモスイニシア・豊田通商「イニシア高輪プレシアスコート」のモデルに採用されているアーティフィシャル・フラワー(花器はカキの殻で造ったもの)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)
呉越同舟効果 「5本の樹計画」の本領発揮 積水「品川シーサイド」1期207戸!(2017/3/24)
富士山に登らなくて済む!? 忙しいママ・パパ向け ナイス「DIWKS PARFAIT」
パワーホーム 街かどモデルハウス 港北ニュータウン
ナイスは1月12日、DIWKS(ダブル・インカム・ウィズ・キッズ)にパーフェクトな家を提案する「DIWKS PARFAIT(デュークスパフェ)」コンセプトモデルハウスを報道陣に公開した。
横浜市都筑区荏田南3丁目の「パワーホーム荏田南ガーデンズ」内に建設したもので、土地面積約168㎡、延べ床面積約112㎡、価格は2,400万円台(坪72万円)。建物は、長期優良住宅基準を超える高耐震、高断熱が特徴の「パワーホーム」で、平屋建てにプラスαの住空間メザニンを設けたタイプ(建基法では2階建て)。
「DIWKS PARFAIT」は、「Double Income With Kids」からもじった、子どものいる夫婦ともに収入がある意味の「DIWKS」に、Perfectな住まいを提供する意図を込めた「PARFAIT」からなる造語だ。登録商標出願済み。
モデルハウスは、調理を手早くでき、来客のときなどはバックカウンターの間仕切り扉を閉めることができる「コックピット」とも名付けた「パワーキッチン」(4.8畳大)と、家族全員がそれぞれ身支度できる窓付き「パワークローゼット」(4.7畳大)、ダブルボウル・ダブル収納付きで洗濯物をその場で干せる「パワーSENMEN」(3.5畳大)が、それぞれ家事動線を考慮して配置されているのが特徴。
その他、玄関ドアは観音開きで、ホール-リビングダイニング-キッチンにウォールナット挽き板ヘリンボーン(永大産業の4枚1ピース)を敷き詰め、廊下・居室などはアカマツのフローリング、メーターモジュールの階段が採用されている。
パワーキッチン
ヘリンボーンの挽き板
パワークローゼット
◇ ◆ ◇
個人的には、バックカウンター収納は〝魅せる〟機能を考えるともう一工夫あってもいいのではないかと思ったが、「パワーキッチン」「パワークローゼット」「パワーSENMEN」は設計意図が明確でよくできていた。
意表を突かれた説明もあった。女性担当者から「富士山」の言葉が発せられた。
一瞬何のことか分からなかったのだが、「パワーSENMEN」を採用したことで、2階に洗濯物を干しに上り、取り込む作業もしなくていいので、その作業量を距離に換算したというのだ。
つまり、階段を14段、踏み上げを20cmと計算し、1日2回上り下りするとすれば年間では4,088mとなり富士山の高さ(3,776m)より高くなるとことだった。
なるほど。主婦あるいは主夫は洗濯物を干し、取り込む作業だけで富士山に登はんする以上の距離を費やしているというのか。手ぶらではない。洗濯物は結構重い。両手を使えば転落する危険性は高まる。一つ間違えれば死に至ることもありうる。
そのリスクまで考慮すると、女性スタッフの説明は説得力を持つ。洗面所には湿気を取り除くため除湿器もセットされていた。
洗面室に洗濯物を干したら梅雨時や冬場は乾かないだろうと書こうと思ったら…(自宅マンションの場合だが)洗面所は空調設備が整っているのでよく乾くのだそうだ。洗面に暖房設備を設置すれば、ヒートショック対策にもなり万全だろう。「パワーホーム」はUA値0.6以下だからその必要はないのか。
ひとつ提案だ。距離節約も結構だが、ユーティリティ動線によってどれだけ家事労働の時間が節約できるかについても数値で示すべきだ。
家事労働は、介護・看護、ボランティア活動などとともに「Unpaid Work(無償労働)」と呼ばれているが、内閣府は平成25年、無償労働をお金に換算したらいくらになるかを公表している。
それには、「女性の場合、無業有配偶(専業主婦)の無償労働評価額が最も多く、年齢平均では304.1万円、有業有配偶の無償労働評価額は223.4万円となっている」とし、男性の場合はその3分の1以下に留まっているという。
この額は正鵠を射ているはずだ。記者は記者の約10年の主夫生活から判断して、月額30万円とはじいたことがある。女性の場合は、家事のほか夫の世話(とくに性的欲求を満たす行為=これは労働でも片務契約でもないし、夫から妻に対するお返しもあるので差し引きゼロかもしれないが)を考えると、普通のサラリーマンでは絶対〝主婦〟を雇えないと愕然、呆然、慄然、絶望した。
その後、働き改革を進めるべきと盛んに書くのは、このままでは結婚しない女性、結婚できない男性が劇的に増え、わが国の将来は絶望的だからだ。
話を元に戻す。家事動線が家事労働の時間短縮にどれだけ効果があるかについて、アキュラホームが2016年、フルマラソン3回分の約122km、時間にして約1日分の家事労働時間の短縮を実現したという調査結果をまとめ発表している。
ナイスの女性担当者の話とアキュラホームの調査結果からして、主に女性がいかに過酷な労働を家庭でも強いられているかがわかる(嬉々としてやっている人も多いかもしれないが)。
取材後、街行く人に家事労働を時間給に換算したらいくらになるか聞いた。「分からない」という人が圧倒的に多かった。「家事」を「労働」と捉えていない人が多いだろうからこれは当然だ。答えが返ってきた10人くらいでもっとも多かったのは1,500~2,000円で、1,000円と答えた人も2人いた。
聡明そうな女子高生にも声を掛けた。「分かりませんが、母は日曜日以外働いていますむ「えっ、どんな仕事ですか? 」「歯医者です」
蓋で覆い隠されたバギーを引いていた、とっくに子育てを終えているはずの70代と思しき女性にも聞いた。「これ? ネコ。子ども産んだことない」「…」(子どもを産んだことがないのはネコなのか本人なのか聞き忘れた。乳母車にはいろいろ用途があるものだ)
働き方改革で30分、AI、家事ロボット技術の向上で30分、1日1時間の余裕が生まれたら、郊外の住環境に恵まれた30坪のマンションに住めると思うのだがどうだろう。
現わしの梁(イメージ図)
マラソン3回分122kmの家事労働短縮 動線や洗面室の工夫で実現 アキュラホーム調査(2016/8/16)
なぜ人気 ポラス「船橋・北習志野」 在宅ワークも視野に「サードプレイス街区」②
「サードプレイス街区」モデルハウス
一昨日のポラスグループ「アドバンスドプレイス船橋・北習志野 ヒーリング街区」に続いて「サードプレイス街区」(28棟)を紹介する。
「サードプレイス」については、一般的に職場・学校と家庭とは別の、かといって独立したものではなく、いわばつかず離れずの関係を保てる「第三の居場所」と理解されている。自分の時間が持て、かつ他人とも緩やかにつながり気兼ねなく過ごせる空間とも言われている。
最初に同社がその「サードプレイス」の考えを街づくりに取り込むと聞いたとき、どのようなプランを提案するのか想像もできなかった。家族それぞれが憩う場所とは別のスペースを設けることは、下手をすれば家族間をバラバラにし、「孤立化」を一層助長しかねないのではと心配もした。
そうした危惧を抱きながら2棟あるモデルハウスの一つ目に入った。玄関を入るとすぐ大きな「土間」空間が広がっていた。広さは約4.3畳大。上がり框があり、スライドウォールもあるので仕切ることはできるのだが、その奥の約20.7畳大のLDKとは繋がっていた。全体の広さは約24畳大だ。
初めて見るらしい同社の女性広報担当者は「凄い!」と歓声をあげた。記者はマンションにしろ戸建てにしろ、この種の大空間は高額物件で結構見てきているのでさほど驚かなかったが、確かに郊外の分譲住宅では珍しい、というより皆無かもしれない。敷地が30~40坪、建物が30坪前後の一般的な分譲戸建てに約4.3畳大の「土間」を設けることなど、普通の企画担当者はまず考えないはずだ。
しかし、だからこそその思い切った提案に声援を送った。お金持ちだけが享受できるこの種の大空間を一般住宅に解放した意味は大きい。近所の人との語らいの場、ギャラリーなど多目的に利用できる空間になる。
このプランを担当したのは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部部長・野村壮一郎氏であることを聞いて納得もした。万人向けの没個性的なプランを野村氏はつくらないことをよく知っている。
「土間」
もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部部長・安藤欣司氏が設計を担当。仕事場・書斎などとして利用できる中2階の〝フロートリビング〟、その下の玄関ともつながっている収納、2階の居室と繋がっているロフトを合わせれば3層、4層にもなる住宅だ。
記者はデザイン・カラーリングがいいと思った。黒、グレー、グリーン、ブルーなど結構色を使っているのだが、それぞれがよく調和してしっとりとした空間となっている。バーカウンター付きの対面キッチンの提案も面白い。
「サードプレイス街区」は、Wi-Fiアクセスポイントを標準設置。在宅ワークなどの「自宅のサードプレイス化」も視野に入れているのも特徴の一つだ。
モデルハウス
売れ行きについて。分譲開始からわずか5カ月で47棟の成約は驚異的だ。販売担当者は「5,000万円を超える住戸は成約まで時間がややかかるが、他社の物件などと比較して結局はうちの物件に戻ってきてもらえる」と話した。
なぜ売れるか。一言で言えば、商品企画が優れているからだ。今回見学した4棟で共通しているのは、1階のリビング天井高約2.7mの利点を最大限生かしていることだが、それぞれが微妙に異なる。中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演している効果が表れている。
細かいことだが今回、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。マンションやホテルなどで出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
同社の2018年3月期の契約棟数は、分譲住宅2,300棟と注文住宅683棟を合わせると約3,000棟に達する。圧倒的な実績を踏まえ、地域のニーズを熟知しているからこそできる芸当だ。
今回も細かいことだが、玄関ドアにガラススリットが付いていたのに気が付かなかった。もちろん玄関サイドの下足入れの上にも窓はついているのだが、このガラススリットと窓があることによって、暗いときでも明かりを付けなくても済むという工夫だ。記者などは一人で出かけるときや帰ったとき、スイッチや鍵の位置を探すのに苦労することがある。皆さんもそんな経験をされているはずだ。
玄関ドアのスリットと窓
最後に、この「アドバンス ド プレイス船橋・北習志野」が2018年度グッドデザイン賞を受賞した際の「一方で、せっかく街を作っているのに、フィジカルな部分に対してあまり言及がなく、風景としての豊かさに対してどのような思想を持つのか、より明らかにすべきであろう」という審査員のコメントについて。
これは記者も分からない。AIやらIoT、ビッグデータなどのサイバー空間に対して、現実社会という意味でフィジカル空間という言葉が用いられるようだが、そのサイバー空間とフィジカル空間が相互連携・融合したCPS/IoT社会や第5世代モバイル通信システム(5G)が本当に我々を幸せ・豊かにしてくれるのか。
英語で馬鹿を意味する「idiot」をGoogleで検索するとトランプ大統領が真っ先にヒットする時代だ。心配になって「牧田」で検索したらサブマリンの牧田投手が最初に出てきた。当然か。「こだわり記事」も上位にあった。「牧田 馬鹿」と検索したら、先月書いた「HARUMI FLAG」の記事が出て来た。
モデルハウス
設計担当メンバー写真左上から野村氏、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課2係係長・山下隆史氏、写真左下から角張氏、安藤、工藤氏