なぜ人気 ポラス「船橋・北習志野」91戸 潜在ニーズ引き出す「ヒーリング街区」①
「ヒーリング街区」モデルハウス
ポラスグループの中央住宅とポラスガーデンヒルズが共演して分譲している戸建て分譲「アドバンスドプレイス船橋・北習志野」を見学した。記者発表会を行った8月末に続き2度目の見学だったが、IoTの機器を装備するだけでなく、機器を使いこなせばどのような生活ができるかをプランに反映していた。わずが5カ月で供給した70戸のうち47戸が成約済みという売れ行きにも驚いた。2回に分けて紹介する。
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今回は、全91棟を「フィンテック街区」(37棟)「ヒーリング街区」(26棟)「サードプレイス街区」(28棟)の3つの街区に分けたうちの「ヒーリング街区」について。
最初の見学会で記者は「今回のIoT商品で言えば、今回のモデルハウスにはなかったが、『ヒーリング街区』『サードプレイス街区』がいい。映像も含めた音や香りなど五感に訴える工夫が住まいを変えるかもしれない」と書いた。〝単にIoT機器を装備しただけでは訴求力は弱い。間取りプランなどでそれを使えば生活がどう変わるか、どれだけ豊かになるかを見える化すべき〟という意味を込めたつもりだ。
なので、2つの街区は必ず見学しようと決めていた。それが実現して嬉しい。
「ヒーリング街区」のモデルハウスは2棟。その一つは、中央住宅戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課1係主任・角張泰広氏が設計を担当した住棟。ヒーリングの意味そのものの癒し効果がある国産材のスギをふんだんに採用したモデルハウス。同社はこれまでも挽き板のフローリング、木材のデザイン壁を採用しているが、今回はリビング天井も含めて「森林浴リビング」を提案している。
東京大学薬学部の竹内春樹氏と共同開発したもので、45度以下の低温で乾燥させることで20年間スギの香りを抜けにくくしているのが特徴だ。見た目が美しく、吸湿、断熱性能のほか鎮静効果があることも学術論文で証明されているという。
国産杉パネル
もう一つのモデルハウスは、ポラスガーデンヒルズ設計部企画設計課課長・工藤政希氏が設計を担当。化粧梁天井、窓から差し込む太陽の光や調光機能付きダウンライトによって空間を自由に変えられる「木漏れ陽リビング」を中心にリビング-ダイニング-キッチンが緩やかにつながっており、家族のそれぞれのシーンに応じ使い分けができるよう間取りも工夫されている。壁には消臭効果のあるエコカラットのデザインウォールが採用されている。
「ヒーリング街区」全住戸のキッチンに1個標準装備されているパナソニックの新製品「ダウンライト付きスピーカー」について。記者はこれを見るのは野村不動産「千里」、大成有楽不動産販売「世田谷弦巻」、東急不動産「中野富士見町」(オプション)に次いで4件目だ。とても音がいい。
今回の同社のモデルハウスでは、「西武ライオンズの応援歌が聞きたい」「にんべんでは鰹節の削る音が流れた」「カエルの合唱」「コオロギの虫の息じゃなかった虫の音」「伊良子岬の波の音」などと口走ったら、何と担当者がものの一、二分で再現して見せた-これだ!真冬にウグイスの鳴き声を駅の構内で流すことに何のためらいを感じず、それを良しとする我々とは違う。狂った世の中に慣らされるのと、進んで狂った自分を演じるのとでは180度異なる。
これからはAI、IoTの時代だ。365日、全国のあるいは全世界の川のせせらぎか海の音か、コケコッコーの声、あるいはまたベートヴェン(今日17日は誕生日だそうだ)の「運命」で目覚め、ヘンデルの「水上の音楽」を聞きながら仕事をし、「五木の子守歌」かグレゴリアン・チャント、あるいはチャイコフスキー「眠れる森の美女」か、ベートヴェンの「月光」で深い眠りに付き、さらにまたエディットピアフの「パダムパダム」で絶望的な永遠の眠りにつく…素晴らしいではないか。
記者は小さいころ、恋に恋焦がれ「山のロザリア」を口ずさみながらほろほろと涙し、独身の頃には起きるとすぐラヴェル「ボレロ」をかけた。約15分だ。最後のジャジャーンの音を聞いて〝今日も頑張ろう〟と出勤した。
AI、IoTならその人の好み・心境に応じて音楽を流してくれる時代がやってくる。そのためにも部屋の設えは大事だ。機器だけを装備して売れるほど甘くない。魂を込めるのは人だ。
全26棟の「ヒーリング街区」のうち供給されたもののほとんどが成約済みというのも、ユーザーに評価されているという証だ。一言で表現すれば潜在的なユーザーのニーズを引き出したということではないか。
この日は、朝から小雨が降りとても寒かった。取材が空振りに終わればせっかく治り始めた風邪がぶり返すのではないかと心配したが、取材途中から気温がどんどん上昇し、終わるころにはコートがいらなくなる陽気になった。お天道様もまじめに取材していることをほめてくれたのだろう。期待以上の成果が得られた。明日には「サードプレイス街区」も紹介できそうだ。
モデルハウス
どうなる分譲マンション・戸建て市場 独断と偏見の私論
ことしもあとわずか。皆さんは今年1年間はどのような年だったでしょうか。わたしは〝古稀〟を目前にしたこの1年間を恙なく過ごし、どれだけ人の役に立ったか立たなかったかは分からないが、そう呼べるなら〝愛〟を込めて記事を書いたつもりだ。以下は、1年というよりもう少し長いスパンでマンションと分譲戸建て(建売住宅と呼びたいのが嫌う人もいるので分譲戸建てと呼ぶ)市場について考えてみた。独断と偏見に満ちた私論として読んでいただいて結構です。
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別表は、ここ20年間の全国のマンションと分譲戸建ての住宅着工戸数の推移をみたものだ。周知のとおり、マンションは平成20年(2008年)のリーマンショックの影響で中堅マンションデベロッパーが軒並み退場を余儀なくされ、中堅が地盤・ターゲットとする第一次取得層向けの物件供給が激減。21年の供給量はそれまでの2分の1から3分の1まで落ち込んだ。最近はやや回復しつつあるとはいえ、戸数的には低空飛行を続けている。
その一方で、分譲戸建ての着工戸数はリーマンショック後の21年は若干減少したもののすぐ取り戻し、ここ数年間は12~13万戸台を維持している。
この結果、着工戸数は分譲戸建てが分譲マンションを上回るという逆転現象がここ数年続いている。マンションと分譲戸建ての比率も従前は6:4だったのが、いまは逆だ。
問題はこの先どうなるかだ。まずマンション。少子化・高齢化、人口減少社会へ突入し、ストック活用の流れも加速していることなどを考えると、年間10万戸を維持できるかどうかも疑わしく、漸減傾向をたどるのは間違いない。大手の寡占化は一層進む。
首都圏では三井、三菱、住友、野村の4強がしのぎを削り、あるいはまた手を握り市場をリードしている。この流れをせき止め、劇的に変えるのはどこかと考えもするのだが、残念ながらその兆しはない。
オリックスの軍門に下った大京も失地を回復するのは至難の業だろう、売上10兆円企業を目指す大和ハウスと連携すれば4強の一角を崩すことができるのではないかと思うが…。
他の電鉄系、商社系なども寄らば大樹の陰とばかり大手連合にぶら下がろうと懸命になっているとしか思えない。
となると、あとはもうこれらの4強が手を出さない中小規模や外周部の〝隙間〟〝空白区〟を埋めるしかなく、あるいはまた突出した商品企画でもって鼻を明かす元気なデベロッパーの活躍に期待する以外ない。
このように分譲マンション市場は先が読める。分からないのは分譲戸建て市場だ。理解不能の異様な展開を見せている。
表でもわかるように、リーマンショックの大混乱に乗じて平成21年度に着工戸数でマンションを逆転すると、一度は再逆転を許したが、その後は再びリードを奪い、その差を広げつつある。
その立役者は飯田グループホールディングスだ。2013年に一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合したころは、企業風土が異なるので成功に記者は懐疑的だったが、その後は建売りの雄として玉座に座り続けている。2018年3月期の売上高は1兆3,353億円、戸建分譲事業(土地売含む)は44,275棟。戸数は全国市場の実に30%を占めるガリバー企業だ。営業所がないのは富山、鳥取、島根、高知、大分、宮崎の6県のみ。全国制覇は時間の問題だ。
同社の強みは何といっても販売価格の安さだ。1棟単価は飯田産業と東栄住宅が3,000万円を超えるが他は3,000万円以下で、一建設は26.1百万円、アーネストワンは23.3百万円。三井不動産レジデンシャルの1棟単価60.2百万と比較するとほぼ3分の1だ。
価格競争になったら、飯田に勝てる企業は皆無だ。同社ホームページのヘッドコピーは〝誰もがあたり前に家を買える、そんな社会にしたい〟-〝家〟とは何かはさておき、これに異論を唱える人はいない。飯田の独走はこれからも続くのか。
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この20数年間、記者の頭を悩ませているのが、マンションや戸建ての若年需要者の消費動向・物件選考の基準が分からない、はっきり言えば理解不能ということだ。
住宅ローンの支払いを終えた団塊世代がより利便性の高い駅近・都心のマンションを志向するのは分かりやすい。自分もそうだ。しかし、ミレニアル世代やバブル後世代、ゆとり世代は何を考えているのかさっぱり分からない。
そうした層を対象にした住宅選好に関するアンケート調査が行われており、
「戸建て志向が強い」「現実的な思考をする」「価格を優先する」などと言われても釈然としない。これらは今も昔も変わらない。戸建てを持ちたいが、買えないからマンションにしたり中古にしたり、価格を優先したりして寸詰まりの基本・居住性能が劣るのを承知で購入する。ましてや世帯年収の低い若年層にとって選択の余地はない。
そもそも、アンケートなるものの信ぴょう性が疑わしい。集計した数を足して割って平均値を出したところで、きわめて個別性が高い不動産に関する考え方など分かるはずがない。ダイコンやニンジンを買うのとはわけが違う。
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とはいえ、デジタルネイティブ=ミレニアル世代の意識、消費志向を探るのはそれなりに意義のあることだとは思う。平成2年のバブル崩壊を境に世の中が暗転したのは紛れもない事実で、経済社会の激変は消費者の消費動向にも大きな影響を与えたからだ。
労働者派遣法が施行されたのは昭和61年で、その後「非正規雇用」が激増した。「専業主婦世帯」と「共働き世帯」が逆転したのも平成4~5年だ。厚労省が「ニート」なる言葉を使ったのは平成16年だ。昔はそんな言葉すらなかった「フリーター」は現在150万人もいるという。「格差社会」「ワーキングプア」なる言葉も一般化した。
このほか、あらゆるデータも社会が変わったことを証明している。例えば出版物。売上高はこの20年間で35%、約8,700億円も減少した。自動車の国内需要もこの20年間ほぼ一貫して減り続けている。百貨店・スーパーも同様だ。
グローバリズムの進展とネオリベラリズムの台頭は、この先も若年層にとっては生き辛い世の中になるのは容易に想像できる。
そうした層が分譲住宅市場では主役になりつつある。どのような住宅を選ぶのか注意深く見守りたい。当面は消費増税が吉となるか凶となるか注目したい。デフレ脱却がまた先送りになるのだけは回避してほしい。
「市場激変 忍の1年」記者が選んだ今年の重大ニュース(2009/12/21)
建売住宅トップ一建設と2位のアーネストワンが激烈な首位争い~建売住宅市場が面白い展開に~(2012/7/17)
「独身でマンションを購入すると結婚できない」噂は迷信 シースタイル調査(2017/7/25)
第一次取得層向けの郊外マンションは復活するのか(2016/8/30)
世相の反映か 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」 アットホーム調査(2017/8/1)
配偶者を愛している84% 健気で円満なDINKS層浮き彫り アットホーム調査(2018/10/30)
「近所付き合い」必要 一戸建て79.8% マンション72.4% アットホーム調査(2016/11/1)
キラリと光る珠玉 大成有楽不販 「オーベルコート世田谷弦巻」早期完売へ
「オーベルコート世田谷弦巻」
大成有楽不動産販売が分譲開始した戸建て「オーベルコート世田谷弦巻」を見学した。桜新町駅から徒歩14分の全10棟。1億前後の価格に見合う上質感に溢れるどこにも負けない商品企画だ。
物件は、東急田園都市線「桜新町」駅から徒歩14分、世田谷区弦巻1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全10棟。第1期(7棟)の敷地面積は100.08~107.20㎡、延床面積は92.32~99.98㎡、価格は9,690万〜11,990万円。竣工は2018年9月。設計・施工は三菱地所ホーム。
現地は閑静な住宅地。開発道路は自然石を円環状に敷き詰めた舗装仕上げ。建物は柱型、デザインウォール、ジョリパット、ボーダータイル、ゲートウォール、鋳物玄関門扉などを多用して上質感を演出している。
住戸プランでは、全熱交換換気システム、東急セキュリティ、宅配ボックス、良水工房、フィオレストーン天板、アルミ樹脂複合窓、パナソニックの新製品スピーカー付きダウンライト、リビング・ダイニング・キッチン床暖房などを採用している。
同社事業推進本部分譲事業室長・靜井耕史氏が「ブランド力は大手にはなかなか及ばないが、それを補うためしっかり造りこみをし、来場者の歩留まり率を高めるように気を配っている。質で勝負。最近は三菱地所ホームの施工が多いのも特徴の一つ」と話した。
モデルハウス
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同社の分譲戸建てを見学するのは4年前の人気になった「オーベルコート葛飾金町」(32戸)以来だった。今春には、4,600万円台平均の「オーベルコート松戸新田」25棟を(1期17棟・2期8棟)即日完売したという。
今回はさすがに1億円前後という価格帯からして即日完売というわけにはいかないだろうが、第1期で7戸を供給したように、早期完売の手応えを感じているようだった。
確かに、靜井氏が「質では負けない」と話したように、外観は同業他社の高額物件と比較して負けないと思った。設備仕様もそうだが、柱型、デザインウォールなどが美しい。
同社が戸建て分譲事業を開始したのは平成6年。以降、手掛けたプロジェクトは100を超えるという。ノウハウを蓄積してきたからこそ継続できたのだろう。不動産流通会社でコンスタントに分譲戸建てを供給しているのは同社だけではないか。玉石混交の分譲戸建て市場でキラリと光る珠玉のような存在だ。
モデルハウス
ナイス ママの過重労働を解放する「DIWKS PARFAIT(デュークス パフェ)」発売
「DIWKS PARFAIT(デュークスパフェ)」プラン
ナイスは11月28日、新商品「DIWKS PARFAIT(デュークスパフェ)」を2019年新春から全国で供給すると発表した。
夫婦ともにキャリアを持ちながら子育てをする世代を意味する「DIWKS(デュークス)」向けで、完璧なものを意味するフランス語「PARFAIT」には、ママの家事を手伝うという発想から脱却し、家族全員が自立する思いが込められている。
ポイントは、「パワークローゼット」「パワー洗面」「パワーキッチン」の3つ。それぞれを寝室からと玄関からの2wayとすることで、ストレスを解消し、家族全員の「時間短縮」を実現する。
「パワークローゼット」は、広さ約3畳大。家族全員の収納ドレッシングルームに、家族それぞれのコーナーを設け、衣類だけでなく、小物やバッグなども効率的に収納できるようにする。
「パワー洗面」は、広さ約2.5畳大。パパ用とママ用の2つのボウル、ミラー裏にはコンセントを2つ配置、充電式の歯ブラシや電気シェーバーの利用に便利な工夫を加え、手元に引き出せるミラーはメイクがしやすい設計となっている。併設したランドリークロークでは洗濯-物干しができる。
「パワーキッチン」は、広さ約3畳大。ママの戦場であることから、手を伸ばせば届く距離で最大限の機能を発揮する「コックピット」のようなスペースとなっている。
販売開始は2019年1月から。年間販売目標は150棟。2019年1月12日(土)、横浜市都築区の街かどモデルハウス港北ニュータウンにモデルハウスをオープンする。
「パワークローゼット」
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この日は、すてきナイスグループの2019年3月期決算業況説明会があり、同社社長・小暮博雄氏が約1時間にわたって第2四半期の業績やトピックスなどについて語った。記者は風邪がひどく、話に集中ができず、ろくに聞いていなかった。
途中、ナイス住宅事業本部事業推進事業部設計部・岡部あや子氏が「DIWKS PARFAIT(デュークスパフェ)」について説明したのもよくわからなかったが、会社を出てから子どもを保育園に迎えに行って、家に帰り、食事を作り、食べさせ家事を終え、椅子に座れるのは8時半で、パフェ、p音、戦場、パーフェクト、パワー、フェラーリ、ベンツなどの言葉が発せられ、記者を眠りから呼び戻した。
どのような意味であるかは前段を読んでいただきたい。記者も約10年間〝主夫〟を完ぺきではないにしろこなした経験があるのでよくわかる。食事を作るのは30分。宿題を手伝うのも30分。弁当に5色を入れるのは忘れなかった。洗濯を1日に2回するのはざらで、こんがらかった衣類をほぐしベランダに干すのもまた大仕事だ。ティッシュが入ったままのズボンを洗ってしまうことも度々で、その始末がまた大変。自分の時間が持てるのは10時過ぎだった。それからぐびぐびとウイスキーを飲んだおかげで糖尿病の数値が跳ね上がった。
岡部氏が「パフェ」と「p音」にしたのは、野性味にあふれるボルボ、ベンツ、BMWと違って、ポルシェ、フェラーリと同じように洗練された響きを重視したからだという。
なるほど。読者の皆さんはデベロッパーのマンションブランドも「p音・ハ行」が多いのをご存じか。「パークホームズ・三井不動産レジデンシャル」、「パークマンション・三菱地所レジデンス」、「プラウド・野村不動産」、「ブリリア・東京建物」、「ブランズ東急不動産」などだ。ナイスの戸建て「パワーホーム」も同じだ。岡部氏が話したポルシェ、フェラーリ、ボルボ、ベンツ、BMWもみんな「ハ行」なのは単なる偶然か。
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話が横道にそれた。いまだに時代遅れの田の字型プランを墨守しているところも少なくはないが、ハウスメーカーもデベロッパーも〝家事は戦場〟からの解放に懸命に取り組んでいる。その環境(商品企画)は完成形になりつつあると思う。今回の新商品もその一つだろう。
あとは各企業が働き方改革を進め、ワーク・ライフ・バランスの取り組みを実践するかどうかに掛かっている。長時間働いても生産性は上がらない。多くの人が言うように何にごとも集中してできるのは4時間が限界だろう。
高砂建設 体験宿泊可能の新モデルハウス&ピザレストラン 蕨(川口)にオープン
新モデルハウス「たかさごの家」
埼玉県蕨市に本拠を構える高砂建設は11月23日、LCCM仕様の宿泊体験型新モデルハウス✕リアルサイズモデルハウス✕コミュニティショールームを川口市にオープンする。
新モデルハウスは、京浜東北線蕨駅から徒歩12分、川口市芝2丁目に位置する木造2階建て延べ床面積165.61㎡(50.1坪)。ZEHを超える新たなエコ基準「LCCM(Life Cycle Carbon Minus:ライフサイクルカーボンマイナス)」住宅に認定された「彩樹の家LCCM」と同仕様。同社の注文住宅を検討する顧客は体験宿泊が可能。
「彩樹の家LCCM」は、埼玉県産材・西川材を活用し、外断熱工法と二重通気システム「ソーラーサーキット」を採用することで自然の力を最大限に活用しながら、CO2排出量とエネルギー消費量を削減した自立型循環住宅として、国土交通省の平成30年度(第1回)サスティナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)に採択されている。
敷地内には、従来からある約30坪のリアルサイズモデルハウスのほか、地元に人気のレストラン「ピッツェリアオオサキⅡ」、地域居住者が利用できるコミュニティスペース、西川材を紹介するコーナー、リフォームなどの商談機能を併せ持つコミュニティショールームが新たに併設される。
「ピッツェリアオオサキⅡ」
ショールーム
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新たなモデルハウスは、西川材がふんだんに用いられており、外断熱・ソーラーサーキットだからこそ可能となる大きな吹き抜け空間やライブラリー、リーディングコーナーなどが設置されているほか、同社の女性スタッブによるデザインが採用されているのが特徴。約9畳大の主寝室と約2.8畳大のミセスコーナーの床はヘリンボーン仕上げ。坪単価は80万円くらいではないかと予想したが、その通りだった。
記者はヘリンボーンが大好きだが、どちらかと言えばパブリックスペースで利用されるほうが多いのではないか。今回は主寝室とミセスコーナーに採用されているのが面白い。材料はヨーロピアンオーク。
外断熱のよさは、経験しないと分からない。同社はもう25年も前から体験宿泊が可能な同社単独の川口、浦和、ふじみ野、練馬などの展示場を展開してきた。
同社社長室広報課リーダー・吉松史章氏は、「モデルハウスで体験宿泊を可能にしたのは当社が初ではないか。これまで約1,000組が泊っている。宿泊者の成約率は申し上げられないが、間違いなく高い」と話した。
主寝室
新モデルハウス
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同社が建設した分譲戸建ては、さいたま市が取り組む「次世代自動車・スマートエネルギー特区」に指定された「浦和美園E-フォレスト」で見学している。埼玉県産材の西川材(檜)を多用しているのが特徴だった。
吉松氏から「浦和美園E-フォレスト」の第2弾「T-Avenue」の概要を聞いた。浦和美園駅から徒歩5分の全45戸で、内訳は同社が8棟、ポラスグループの中央住宅が33棟、アキュラホームが4棟。来年2月から販売開始するという。5,000万円台が中心になるというから、申し込みが殺到すると記者は読んだ。
玄関正面の西川材のデザインウォール
外観
三菱地所ホーム 関西初 CLTを床に採用した「オーダーグラン」千里にオープン
「千里ホームギャラリー」
三菱地所ホームは11月17日、同社の富裕層向けブランド「ORDER GRAN(オーダーグラン)」関西エリア初出展となる「千里ホームギャラリー」をオープンした。
国産のスギ材を用いたCLTパネルを建物2階の床面に採用しているほか、来客をもてなし、家族それぞれの趣味嗜好を反映する空間「「LOUNGE(ラウンジ)」を随所に提案しているのが特徴。
オープンの前日16日に行われた記者発表・内覧会に臨んだ同社・加藤博文社長は、「2年半前に発売開始したオーダーグランの受注第一号は関西だった。ようやく関西圏で発表できることができた。富裕層マーケットに強い当社の従来商品企画に加え、今回はCLTを採用するなど東京にないモデルハウスができた。CLTは新たな領域に入っていくもので、三菱地所グループ全体として業界に先駆けて取り組んでいく」と話した。
千里ホームギャラリーは延床面積約259.88㎡(78.61坪)。1階の天井高は約3m、サッシ高は約2.7m、床はオーク材。
ウエルカムラウンジ
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関西圏のモデルハウスを見学するのは初めてなので、見たまま感じたままを率直に書く。
まず、全館空調「エアロテック」について。同社関係者は「同業他社と比べて当社が一番いいとお客さんから評価はされているが、首都圏ほど全館空調のニーズは高くないのが関西圏の現状」と話した。
最近、埼玉県住まいづくり協議会が主催したシンポジウムで、星旦二・首都大名誉教授の「健康な住宅を創りましょう」と題する講演を聞いた。星氏は「冬期の風呂場気温が18度以上、壁が漆喰、床は無垢材」を強調された。医療・健康の視点から住宅のあり方を考える機運が高まっている。これは粘り強く訴えるしかない。
次に、CLT。モデルハウスには厚さ210ミリのCLTパネル材が2階の約40坪の床全面に採用されている。
残念なのは、予想されたことではあるが、CLTのよさが一番わかりやすい現わしにはなっておらず、外から見ても内から見てもコンクリや鉄との区別がほとんどつかないことだ。
ただ、同社もそのあたりの事情は百も承知のはずで、現在工事中の沖縄・下地島空港ターミナル施設、宮城県・仙台市の賃貸住宅などでCLTの普及に積極的に取り組んでいることを内外にアピールするのが狙いなのだろう。
コンクリや鉄と木を同じ土俵で戦わせるべきではないというのが記者の持論だが、〝悪法も法なり〟-建基法などの基準を満たすためにはこれらの問題をどうクリアするか。さらにまた、非住宅の大規模建築物はともかく、個人向け住宅の普及にはまだまだ課題は多い。
パネル板は同じ容積のコンクリと比べはるかに軽いが、強度を確保するためには厚みが必要となり嵩張り、道路事情が悪いところでは搬入が難しく、狭小敷地ではパネル板の置き場や重機の作業スペースを確保するのは容易ではない。
もう一つ、ボタニカルについて。積水ハウスの「5本の樹計画」もいいが、住宅内に緑をふんだんに取り込んだ企画は同社が突出している。「浜田山」や「ONE ORDER(ワンオーダー)」には驚愕した。今回も本物の観葉植物を各所に配置している。これはいいのだが、フェイクの地衣類を本物の植物に添え物のように置いてあるのにはびっくりした。これでは刺身のツマにもならない。
本物にするか省くかは社内でも意見が交わされたようだが、記者は即刻取り払うべきだと思う。〝本物は管理が大変〟などと考えるのは当事者だけで、お客さんはそんなこと考えていないのでは。いやならやらなければいいことだ。
木の住宅が人と環境にいいのと同様、ボタニカルの果たす役割が再認識されつつある。ハウスメーカーもデベロッパーもみんなフェイクの植物を平気で使うのが記者は信じられない。
本物の観葉植物に寄り添うように配置されたフェイクの苔類(これでは完全にフェイクが勝っている)
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発表会で司会役を務めた経営企画部広報戦略グループ・横須賀直人氏がまたまた「大きく書いて」と話されたので、以下はおまけ。
モデルハウス見学会を終えて新大阪駅に帰ろうと万博記念公園駅に向かっていたら、加藤社長と同社スタッフに出会った。記者はゆっくり1~2泊して京都の紅葉でもと考えていたのだが、カネもないし他の仕事も重なり「せっかく金曜日に見学会をセットしていただいたのに…」などと加藤社長に話した。
加藤社長はてっきりラグジュアリーホテルに泊まっているものとばかり思っていたが、全然そうではなかった。朝4時半に起きて、新幹線で京都に途中下車し、市内の自社の戸建て現場を2物件見て回り、午後の会見に臨んだのだという。
それで仕事が終わりかと思いきや、これまた外れ。これから市内の取引先を回るのだという。
さすが、地所ホームの社長だ。出張に行けば飲むことしか考えない記者などとはレベルが違う。
だがしかし、加藤社長、働きすぎもいかがなものか。健康を害すれば会社の大きな損失になるし、スタッフも気苦労だ。リッツなどに宿泊し(当然自腹)、ホスピタリティを学ぶことは今後の事業展開に参考になると思いますが、いかがでしょうか。もうずいぶん昔ですが、ロイヤルパークホテルの社長さんは「わたしはリッツだけは正規の値段で泊まることにしている。ホスピタリティ・クレドは半端じゃない」と語されたのをよく覚えています。
記者はといえば、風邪を引いており、のどが悲鳴を上げていたので千里中央の医者に駆け込んだ。薬を処方してもらったまではよかった。聞いたのがいけなかった。「酒は飲んでいいですよね。1合くらい大丈夫でしょ」「何を言っとるんだ。それじゃ治らんよ。絶対ダメ」と一喝された。お陰で新幹線の中では本がたくさん読めたが…。
横須賀さん、これくらいでどうでしょうか。
ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設(2017/10/20)
三菱地所ホーム 富裕層向け注文・3階建て・戸建てリフォーム同時発売(2016/4/14)
積水ハウス 積和建設の木造軸組「積和の木の家」発売 坪55万円から
「PARTAGE(パルタージュ)」
積水ハウスは10月25日、同社グループの積和建設18社の木造軸組構法による戸建住宅「積和の木の家」の事業強化・拡大の一環として、11月1日(木)から初の全国統一新商品「PARTAGE(パルタージュ)」を発売すると発表した。調達や物流を一本化することで坪単価55万円~(消費税抜き)という価格を実現した。年間販売目標は300棟。
「PARTAGE(パルタージュ) 」は、積和建設18社が各社独自に運用していた商品や調達、物流などを全国で一本化し、コストパフォーマンスを高めた商品にすることで、戸建住宅取得者のボ リュームゾーンである30~40代の共働き子育て世帯の暮らしのニーズに対応するもの。
新たなブランドコンセプト「仕立てのいい家、ちょうどいい家」に基づき、家事を効率よくこなせる機能と家族の団らんや趣味を楽しめる空間をコンパクトに集約した「家事も、楽しみも、わかちあう」住まい。
モダンで優れた耐久性を持つガルバリウム鋼板の屋根や外壁、樹脂サッシ+遮熱断熱複層ガラス、国産ヒノキ材の木製玄関ドアなどグレード感の高い仕様を厳選して20プランを中心に展開する。
三菱地所ホーム 国産材使用率82%に 2×4住宅メーカーでトップクラス
三菱地所ホームは11月以降の全ての受注物件に国産材の壁枠組を採用する。これにより、国産材使用率は82%となり、ツーバイフォー工法による住宅メーカーとしてはトップレベルに引き上げる。
同社の市川ホームギャラリーの施工事例によると、構造材の使用割合は、国産壁枠組が32%、国産合板が35%、国産床枠組が15%、輸入材が18%。
同社は、2015年以降、JAS規格、構造計算指針の改定などで、輸入木材以外でも設計しやすい環境が整いつつあり、品質管理を十分行った材料を使用すること、輸入材の価格が上昇し、コスト的にも対応できるようになってきたことから標準採用したといっている。
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記者は木造ファンだから、とても嬉しい。ことの当否はともかく、消費増税に伴うエコポイント制が復活しそうだ。記者は、是非ともこのような国産材を採用した住宅建設のメーカーと消費者にこそ税の減免税措置を取るべきだと思っている。
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わが国の森林・林業が危機的状況にあることは言うまでもないことだが、国土に占める森林の割合が66%に達しているのに、林業関係のGDPは2,016億円(平成28年)しかなく、もはや「林業」と呼べないような悲惨な状況にある。林業従事者も昭和55年の14.6万人から4.5万人に激減している。
参考までに。林野庁の平成31年度予算概算要求は3,452億円(平成30年度当初予算額比15.2%増)なのに対し、防衛予算は5兆2,926億円(同7.2%増)。自衛隊員は約25万人(定員)。国を守る人と山を守る人の数字がこんなに違っていいのか。国破れて山河在りはどういう意味だ。
三菱地所ホーム 第一次取得層向け「エアロテックFit」発売開始(2018/10/16)
三菱地所ホーム 「エアロテックFit」記念キャンペーン 坪50万円台の定額制企画設計(2018/10/16)
三菱地所ホーム 「エアロテックFit」記念キャンペーン 坪50万円台の定額制企画設計
オーセンティック
先に書いた「エアロテックFit」の発売を記念したキャンペーン商品「SMART ORDER Fit SELECTION」について。
同社の企画設計注文住宅「WIZE-H(ワイズ エイチ)」の価格をさらに抑えたもので、大小20パターンかライフスタイル、家族構成などにわせてプランニングできる定額制企画設計住宅。
「エアロテックFit」を搭載するほか、間取りが自由に選べ、長期50年保証「ロングサポート50」が受けられる。
キャンペーンは10月18日(木)~2019年3月31日(日)。販売価格(税別)は1,430万円(24.04坪)~1,610万円(32.56坪)。販売目標は30棟。
モダン
三菱地所ホーム 第一次取得層向け「エアロテックFit」発売開始(2018/10/16)
三菱地所ホーム 国産材使用率82%に 2×4住宅メーカーでトップクラス(2018/10/16)
積水ハウスが新商品 「LDK発想」から脱却 約30畳大の〝ファミリースイート〟提案
「IS ROY+E Family Suite (イズ・ロイエファミリースイート) 」
積水ハウスは10月3日、新コンセプトモデル「IS ROY+E Family Suite (イズ・ロイエファミリースイート) 」を発売すると発表した。
同モデルは、企業では日本初の「幸せ」を研究する住生活研究所の「住めば住むほど幸せ住まい」研究の成果と先進技術を具現化し、「わが家だけのファミリースイート」を提案するコンセプトモデル。
従来の「LDK発想」から脱却し、家族が思い思いに過ごし、家族みんながワクワクできる「新しいリビングのあり方」を提案している。
仕切りの少ない業界随一最大7mスパンの大空間リビングを、同社標準梁の約10倍の強度をもつ高強度梁により可能となった進技術と、設計士集団の「設計提案力」によって、30~40坪のコンパクトな住宅でも約30畳大のリビングを実現した。
構造は軽量鉄骨造。販売地域は全国(沖縄県を除く)で、価格は3.3㎡当たり69.5万円から(本体のみ・税抜)。