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「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」

 コスモスイニシアの都市型戸建て「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」と「グランフォーラム成城学園前」を見学した。立地条件にふさわしくゆったりとした配棟とし、2階リビングの天井高を4m近く確保し、業界で初めて掃き出し窓をフラット化するなど商品企画が秀逸。価格が1億円台、2億円台であるにもかかわらず人気を呼んでおり、都市型戸建て分野では完全に一頭地を抜いた。ベンチマークになるのは間違いない。

 「田園調布本町 桜坂」は、東横線多摩川駅から徒歩10分(東急多摩川線沼部駅から徒歩5分)、大田区田園調布本町の第1種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全8区画。最終期1戸の土地面積は105.21㎡(一部私道負担あり)、建物面積は99.46㎡、価格は9,980万円。建物は平成29年11月竣工済。施工は東急建設。構造・工法は木造(在来壁)・2階建て。

  敷地は料亭跡地。地名に「桜坂」が付いているように、切通しの上に位置し、南東側には見事な桜並木が眺望できる住宅街。この立地の魅力を最大限引き出すため、当初予定の9戸を敢えて8戸にし、電線類の地中化、オープン外構、インターロッキング舗装(私道)などでゆったりした景観を演出しているのが特徴。

 全棟から桜並木が眺められるようリビングは2階に配し、在来工法とツーバイフォー工法を組み合わせたストローグ社のハイブリッド工法を採用しリビング間口を広くし、かつ天井高(最大約4.35m)を高くし、さらに分譲戸建てでは業界初の掃き出し窓のフラット化を実現、バルコニーにデッキなどを張ればフルフラットバルコニーにできるようにした。玄関・ホールをゆったり取り、床は大判の大理石、下足入れカウンターはフィオレストーン仕上げ。

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桜坂 以上「グランフォーラム田園調布本町 桜坂」

 「成城学園前」は、小田急線成城学園前駅から徒歩5分、世田谷区成城三丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全4戸。土地面積は全棟150㎡以上、建物面積は約120㎡。価格は2億円前後。建物は平成29年12月竣工済。施工は東急建設。構造・工法は木造(枠組壁)・2階建て。

 ここも、駅から徒歩5分の恵まれた立地条件を最大限引き出すよう当初予定の7戸から4戸に減らし、富裕層のニーズを満たす配棟計画にしているのが特徴。

 設備仕様レベルは「田園調布」とほぼ同じだが、ここも2階リビングの掃き出し窓をフラット化することで、最大天井高3.7mの空間と奥行き最大2.7mのバルコニーを一体利用できるようにしている。階段はメーターモジュールを採用。

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2階リビングとバルコニーを一体化した床

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敷地延長部分 以上「グランフォーラム成城学園前」

◇       ◆     ◇

 最初に見学したのは「田園調布本町 桜坂」だった。玉川駅からの道を間違えたために、コイも泳ぐ六郷用水遊歩道と桜坂を歩くことになったのだが、切通しの上にかかる赤い欄干の桜橋と道路の両端に植わっている樹齢100年はありそうな桜並木を見た途端、取材を申し込んだ価値があると思った。

 「成城学園前」と合わせこの高額戸建てを見学したのには特別の理由がある。記事にもしたが、同社のマンション、戸建ての商品企画を約30年間にわたって担当してきた同社の南光浩氏にインタビューした際、南氏が「今後は高額の戸建てが増えてくる」と話したので、それはどのような商品企画、レベルなのか確認したかったからだ。記者の頭の中にあったのは、これも記事にした「グランフォーラム石神井公園」と「グランフォーラム練馬田柄」だった。この2物件を超えられるのかどうか、あるいは新たなアイデアが盛り込まれているか、それを探るのが目的だった。

 道を間違えたために春爛漫の緑陰を楽しんだ半面、15分も歩かされたので悪態もついたのだが、物件を見て〝これは売れる〟と確信した。

 特徴などは前段で書いた。何に感動したかと言えば、2階リビングの掃き出し窓がフラットだったことだ。

 記者は30年も前から、2階の居室やリビングとバルコニーはフラット化すべきだと主張してきた。これを指摘するたび、各社は〝技術的には可能だが、バルコニーからの浸水を防止するために床から12センチ以上立上がり防水面を施す必要があり、コストもかかる〟などとどこも取り合わなかった。その問題を解決してフルフラットサッシを大和ハウスや積水ハウスは採用した。注文住宅でできるのに分譲でできないはずはないとずっと思ってきた。

 それをコスモスイニシアが実現したのが嬉しかった。階段のメーターモジュールもかつて各社が採用していた。ポラスはメーターモジュールどころか1.2m確保したこともあった。ところが最近はほとんどなくなってきた。これは明らかな退行だ。メーターモジュールを標準仕様としているのは積水ハウスくらいではないか。

 このほか圧倒的な天井高、ゆったりした玄関・ホール、電線類の地中化、ハイブリッド工法、モデルハウスの本物の観葉植物…都市型戸建ての商品企画では同社が他社を一歩も二歩も先んじた。一つだけ注文を付けるとするならば、屋内空気環境、全館空調だ。

 同業他社に一言。「田園調布本町 桜坂」は入札ではなく、ある大手の仲介会社を通じで直接地主から用地を取得したそうだ。なぜ他社がこんな魅力的な土地に触手を伸ばさなかったのか。効率的な区画割を最優先したためのようだが、似たようなものばかり供給していたら競争に疲れるだけだ。9区画を8区画にする、7区画を4区画にする、そんな自由な発想ができない想像力、リテラシーの欠如だ。

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玄関・ホール

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六郷用水遊歩道
 

波乱万丈30年の「仕事」を語る コスモスイニシア商品企画部部長兼一級建築士事務所所長・南光浩氏(2018/3/9)

パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」(2017/11/7)

価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2016/12/3)

 

カテゴリ: 2018年度

 創建グループの戸建て住宅の管理サービスを展開する日本戸建管理(本社:大阪市)は4月18日、東宝ハウスホールディングス(本社:新宿区)と提携し、日本戸建管理の「家ドック」システムを東宝ハウスホールディングスグループ各社に提供すると発表した。戸建住宅では少ない管理に関するサービスを首都圏でも提供するのが狙い。初年度入会者数1,000件を目指す。

 「家ドック」は、月1,000円で、定期点検・サポート・メンテナンスなどのサービスが受けられるもの。入会すると自宅の約200カ所点検サービスが受けられ、写真付きの報告書が交付されるほか、適切なメンテナンスのアドバイスが受けられる。

 

カテゴリ: 2018年度

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「ハピアガーデン深沢六丁目」

 阪急阪神不動産の戸建てブランド「ハピアガーデン」の「深沢六丁目」と「尾山台二丁目」を見学した。「長期優良住宅」認定と「住宅性能評価」の6項目すべてで最高等級を取得することで他社との差別化を図り、きめ細かな工夫を施すことでじわり首都圏で地歩を築きつつあるとみた。そこには強かな計算があると読んだ。

 阪急阪神ホールディングスグループは今年4月、不動産事業の再編に伴い、不動産事業の中核会社として阪急阪神不動産(阪急不動産から商号変更)を設立した。記者はこれまで旧阪急不のマンション〝ジオ〟は首都圏に進出してからかなり取材しているが、戸建て事業を展開する旧阪神の〝ハピアガーデン〟は一度も見学したことがないので、お願いして実現した。

 「ハピアガーデン深沢六丁目」は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩13分、世田谷区深沢6丁目に位置する全2戸。土地面積96.22~97.98㎡、建物面積94.40~97.68㎡。価格は未定。建物は2×4工法2階建て。設計・施工・監理はイトーピアホーム。販売代理はライフステージ。

 閑静な住宅街で、1階の北側階段部分に光が差し込む窓を設けているのが特徴。LDKの勾配天井はもっとも高いところで約3800ミリ。

 「ハピアガーデン尾山台二丁目」は、東急大井町線尾山台駅から徒歩9分、世田谷区尾山台二丁目の風致地区(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全3戸。土地面積113.00~119.98㎡、建物面積89.84~94.52㎡。価格は未定。建物は在来工法2階建て。販売代理はライフステージ。

 こちらは、風致地区であるため制約が多いが、アウトドアテラスなどと室内を結び、1階の天井高を2号棟のみだが2.7m確保し、かつ周辺に少ない4LDKとしているのが特徴だ。エントランスから主寝室、パティオなどの床はタイル張りで、キッチンカウンターはフィオレストーン。

 双方とも「長期優良住宅」認定と「住宅性能評価」の最高等級を取得し、所在が人気が高い住宅地で、戸数が2~3戸、建物は2×4工法と在来、販売代理は大阪が本社のライフステージというところに〝ハピアガーデン〟の戦略が見え隠れする。

 同社住宅事業本部 宅地戸建事業部 宅地・戸建事業グループ首都圏担当の平山真悟氏は、「首都圏に進出して6年が経過した。これまで宅地分譲を含めて500区画弱供給してきた。当初は関西と勝手が異なり苦労したが、最近は情報収集も販売も順調に推移している。新体制になりスタッフを増やし、戸数も年間100戸くらいを目指す。長期優良住宅と住宅性能評価は大きなセールスポイントになっている。デザインもマンションの設備仕様を参考に+アルファーしてグレード感を出すようにしている」と話した。

 平山氏が話したように大手でも長期優良認定と住宅性能評価を取得しているところはむしろ少ない。同社の主力供給エリアの城西、城南では三井不動産レジデンシャルや野村不動産、その他と競合しそうだが、規模的には三井も野村も小規模はほとんどない。きちんと住み分けがができているように思う。エリアの特性に応じて臨機応変に対応しているようだ。

 城西、城南エリアでは他のデベロッパーも虎視眈々、市場に割って入ろうとしているが、この6年間でしっかり地歩を築いてきた同社がそうやすやすと地位を譲るとも思えない。

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「ハピアガーデン深沢六丁目」

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「ハピアガーデン深沢六丁目」

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「ハピアガーデン尾山台二丁目」の現場近くで群生していたハナニラ

◇       ◆     ◇

 阪神と言えば子会社の阪神タイガースだ。記事とは関係ないが触れざるを得ない。以下は、西武ファン歴60年、アンチ巨人の記者の独断と偏見に満ちた私見だ。関係者は気を悪くなさらないで読んでいただきたい。

 思い出すのは昭和60年(1985年)だ。バース、掛布、岡田が巨人・槙原投手からバックスクリーン3連発を放つなど圧倒的な打撃力で日本一(何と相手はわが西武。記者は戦う前から負けを覚悟していた)になった。

 ところが、後にも先にも日本シリーズを制したのはこの1回のみ。これは全球団の最少優勝回数タイ記録(楽天も1回のみだが、楽天の歴史は14年。阪神は82年)だ。だいたいが「死のロード」に疲れ果て、失速し、優勝を逸すパターンがずっと続いている。

 そればかりか、阪神は〝虎ウマ〟のごとく〝ダメ虎〟を象徴する嫌なニュース、出来事がメディアから執拗に繰り返し報道される。展覧試合で長嶋茂雄氏にサヨナラ本塁打を打たれたのがそうだし、「ベンチがアホやから野球がでけへん」と球史に残る名言を江本孟紀氏に吐かれたのが最たるものだ。

 監督と言えば、知的で頭脳的な采配を揮って球界をリードしているわが西武とは真逆の、雑で大雑把な采配がいつも身内からもやり玉にあがる。選手も選手で、素晴らしい力を持ち実績を残しながら、マスコミの餌食になりスキャンダルなどで潰される。

 ファンと言えば、負けることに価値を見出すような、マゾヒスト根性をむき出しにし、何かの間違いで優勝などをすると芥にまみれメタンガスが充満する、下手をすると死を差招くことにもなりかねない、もう畏怖するしかない道頓堀川ダイビングを挙行する。

 阪神ファンで知られる国際日本文化研究センター教授・井上章一氏が「阪神はやめられない。もうこれは、麻薬だ。アヘンである。『宗教はアヘンだ』というマルクスのひそみにならえば、宗教なのかもしれない」(朝日文庫「関西人の正体」)と言った通りだ。

 しかし、それでも本体はびくともしないのが不思議といえば不思議だ。同社の鉄道事業の売上高353億円(平成29年3月期)に対して球団は200億円を突破している模様で、きっちり利益も7億円確保している。いわばドル箱だ。

 それはなぜか。東の「東京」に対抗する西の大阪(甲子園は兵庫だが)なのか、首都の「東京」に敵愾心を燃やす関西圏の象徴なのか、誰が名付けたか知らないが「伝統の一戦」なるプロパガンダ、デマゴーグを流布したのも奏功したのだろう。観客動員数は読売巨人軍に次ぐ多さだ。これだけは西武もかなわない。称賛に値する。なんとも羨ましい限りだ。

 余談だが、販売代理のライフステージの会社概要を見てびっくりした。何と今年2月に東証一部へ上場変更を果たしたビーロットの子会社とあるではないか。ビーロット・宮内誠社長は、オリックスの元社長、会長でオリックス・バファローズのオーナー宮内義彦氏の息子さんだ。阪神とオリックスはどこかでつながっているのか。ビーロットの長谷川進一副社長からは「夢はプロ野球球団を持つこと」と10数年前に聞いたが、ひょっとしたら阪神かオリックスの球団オーナーになれるかもしれない。

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「ハピアガーデン深沢六丁目」の現場近く

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「ハピアガーデン深沢六丁目」の現場近くのハナミズキ

カテゴリ: 2018年度

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仲井社長

 積水ハウスが高級ブランドの木造住宅「シャーウッド」とは別のミドル価格帯のブランド・新会社を立ち上げる。3月9日行われた2018年度経営計画説明会で同社・仲井嘉浩社長が明らかにした。同社と一般工務店の間のマーケットをカバーする狙いだ。

 同社の戸建てを建設し、なおかつ全国の18社で戸建て事業を展開する積和建設の商品企画を統一し「積和の木の家」としてブランド化する。

 仲井社長は「木造住宅が注目され、積和の工事力が高まってきたことが背景にあり、現在、営業100名、受注529棟(売上高123億円)をそれぞれ200名、1,000棟に拡大する。価格帯は当社の1棟単価が約3,800万円であるのに対し、新ブランドは2,200~2,300万円台。全社挙げて取り組んでいく」と語った。

◇       ◆     ◇

 仲井社長の話を聞いていて、次の記事を思い出した。2014年、次のように書いた。

 「『鉄』はやや頭打ちで、『木造』がものすごい勢いで『鉄』を追い上げている構図だ。このまま『鉄』が横ばいを続ければ、10年後には『木造』が逆転する可能性もある。

 この話をすると同社関係者は笑って取り合わない。営業マンの配置構成は『鉄』が7に対し『木造』は3だという。ならばこの比率を変えたらどうなるのか、あるいはまた鉄と木造の垣根を取っ払ったらどうなるか。これは興味深い」と。

 同社の戸建て事業は、高付加価値住宅の提案により1棟当たりの単価は2014年度が3,565万円だったのが2017年度は3,807万円へ、営業利益率も11.4%から12.9%へ伸びているが、売上棟数は木造の「シャーウッド」が健闘しているものの、主力の「鉄骨」は2014年度の9,111棟から2017年度の6,995棟へ23%減らしている。

 分譲住宅も、「鉄骨」は2014年度の1,488戸、428億円から2017年度は1,661戸、515億円へそれぞれ11.6%、20.3%伸ばしているが、「シャーウッド」は2014年度の674戸、201億円から2017年度は990戸、297億円へそれぞれ33.5%、47.8%増と伸び率は「鉄骨」を大きく上回っている。

 新会社はどのような商品を販売するのかいまひとつよくわからないが、金額的には「シャーウッド」の6掛けくらいになる。業界に大きな影響を与えるのは必至だ。三井ホームは先に坪単価60万円のミレニアル世代向けの新商品を投入した。

三井ホーム ミレニアル世代向けに坪単価60万円の新たな商品投入(2018/2/28)

三井ホーム 単価56万円の1次取得向け新商品「cafe+( カフェ・プラス)」(2013/4/11)

戸建ての落ち込み賃貸、ストックがカバー 木造も健闘 積水ハウス2Q決算(2014/9/5)

 

 

 

 

カテゴリ: 2017年度

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「SEJOUR DD-1(セジュール ディーディー・ワン)」習志野モデルハウス

 大和ハウス工業は3月9日、同社グループの大和リビングが管理する賃貸住宅の入居者向け犬小屋付き賃貸併用分譲住宅「SEJOUR DD-1(セジュール ディーディー・ワン)」の販売を開始した。販売に先立つ8日、メディア向け説明会&実棟内覧会を行った。マイホームが取得でき、賃貸することでローンの負担を軽くし、しかもペットが飼えるという一石二鳥どころか〝一石三鳥〟の企画商品だ。

 同社はこれまで100万戸を超える賃貸住宅を建設しており、大和リビングが管理する約53万戸の「D-room」のうち年間約11万戸の入退去があり、退去理由に持家の購入をあげる顧客が約13%あることに着目し、退去後も同社の住宅に住んでもらおうという狙いで商品化したもの。

 100㎡の住宅のほかに賃貸住宅40㎡を併設してセットで販売し、賃貸住宅は大和リビングが一括借り上げをするシステム。毎月の住宅ローン支払い額14万円から家賃収入7万円を差し引くと、居住中の「D-room」家賃9万円(60㎡)より安い7万円で済むようにしているのが特徴。さらに、最近のペットブームを受け犬小屋も提案し、賃貸も「ペット可」とする。

 説明会と実棟内覧会に臨んだ同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏は、「当社の賃貸セグメントは1兆円を超える。当社の賃貸を毎年退去される11万世帯のうちうち約1,500世帯は住宅を購入される。この資源はもったいないと考え、SEJOUR DD-1(セジュール ディーディー・ワン)を投入した。100㎡のマイホームを取得でき、しかも犬が飼えて、賃貸収入を差し引けば毎月のローン支払いはむしろ安くなる。頭金は双方の親御さんの支援があれば1,500万円くらい用意できる。最近の賃貸市場はシェアハウス問題、過剰融資に対する金融庁の監視強化などいいニュースがなく、住宅の庭は猫の額ほどもないが、明るい話題となるはずだ」と語った。

 モデルプランは、京成大久保駅から徒歩7分、軽量鉄骨造2階建て敷地面積165.29㎡(50坪)、延床面積150.31㎡(45.56坪)、自宅面積107.97㎡(32.66坪)、賃貸面積42.34㎡(12.80坪)、参考価格5,240万円(税込)。年間販売目標は100棟。

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堀氏

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 土地持ちオーナー向けの賃貸併用住宅ではなく、賃貸居住者向けに販売するというのが味噌だし、面白い企画だと思う。他のハウスメーカーが取り組んでこなかったのが不思議なくらいだ。賃貸居住者だけでなく、分譲戸建ての購入を考えている人にも訴求するのではないかと思う。

 分譲マンションでは同じような発想のものがある。2014年にグッドデザイン賞を受賞した横浜・リッチライフが展開する「リッチライフプラン」だ。

 ファミリータイプのマンションにドアで繋がったワンルームを設置。ワンルームにはミニキッチン、バス、トイレなどが付いており、賃貸や趣味室、あるいは2世帯同居もできるようにしている。賃貸することでその収入をローン返済に充てることも可能というものだ。三井不動産レジデンシャルも2014年に二世帯隣居を想定した隣り合った2つの住戸を連結した「TSU-GU-IE〈ツグイエ〉」を「パークタワー新川崎」に採用した。

 課題もありそうだ。京成大久保駅から徒歩7分で、土地が広く、賃貸収入が得られるとはいえ5,240万円という価格はやはり高い。親の援助がないと取得できないだろう。

 もう一つは、設備仕様。自宅部分は明らかに賃貸仕様だ。2階のリビングの天井高は2400ミリだし、配管の関係か、洗面・浴室部分は20センチくらいの段差があった。設備仕様レベルは高くすべきだろう。

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ドッグハウス

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 堀氏の話はいつも面白い。今回も〝堀節〟がさく裂した。

 前半の説明会では、冒頭に「明るい話題」を強調し、冗談を交えながら具体的な数値を根拠にして論理を展開した。マイホームが取得できて、賃料収入が得られて、無理なくローンが返せるなどという〝夢〟みたいな話ではあったが、説得力があった。

 現場内覧会でも、「当社は過去28年間、賃貸に絡む訴訟はゼロ。家賃下げ提案はゼロではないが、建物が古くなっても、他社の新築と競合しても8対2くらいで勝てる。なぜか。金は出せないが、人を出し、エアコンやカーテン、LED照明などを提供して欠点を補う。農業や漁業のために山に木を植えるのと一緒」などと手の内まで明かした。リップサービスを忘れない。

 先ほど指摘した課題も堀氏は百も承知だろう。販売目標も年間100棟と低めに設定し、反響をみながら徐々に拡大しようという戦略だと読んだ。

カテゴリ: 2017年度

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「NATURAL HYGGE STYLE (ナチュラル ヒュッゲ スタイル)」

 三井ホームは2月28日、ミレニアル世代向けのシンプル・高性能・コストパフォーマンスに優れた新しい暮らし提案型商品「NATURAL HYGGE STYLE (ナチュラル ヒュッゲ スタイル)」を3月1日から販売を開始すると発表した。

 「もっと家を楽しむ」をコンセプトに、コト消費ニーズの高い30代から40代のミレニアル世代をターゲットにした商品で、インテリアに天然木をふんだんに採用、家族がアクティブに過ごせる内と外をつなぐテラスリビングや、新しい試みとして子供も大人も楽しめるDIYスペースを提案する。

 外観は特徴あるフレームデザインとし、壁面の一部に天然木を採用し、太陽光発電システム(3kw)を標準装備する。

 同社取締役常務執行役員・河合淳也氏は、「近く発表する浜田山、駒沢の富裕層向けの『プレミアム』も強化するが、今回は初めて家を建てるミレニアル世代向けにリアルサイズの商品にしたのが特徴。三井のリハウスと連携して土地なしや狭小敷地にも対応していく」と話した。

 プロトタイプは延床面積33坪で1,980万円(坪単価60万円)~。販売目標は年間100棟。当面、埼玉、千葉方面が対象。

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テラスリビング

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魅せるキッチン

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 河合氏など関係者がミレニアル世帯向け、第一次取得層向け、リアルサイズなどと強調したので、ひょっとしたらローコスト住宅を提案するのかと思ったが、単価が示すように、同社としては安い部類かもしれないが、ミレニアル世代向けにしてはずいぶん高いというのが率直な感想だ。

 つくばエクスプレス柏たなか駅から徒歩7分に設けられているモデルハウスは土地が172㎡(32坪)、建物が114㎡(34坪)で、外構・インテリア込み5,600万円と聞いてびっくりした。

 担当者は「売るのが目的ではなくて、モデルハウスとしてお客さんに見てもらうための外構、インテリアを含めた高めの価格設定」と話したが、目が飛び出る価格だ。相場と比べれば少なくとも1,000万円は高い。

 それだけの価値は確かにある。設備仕様はものすごくレベルが高い。外壁にスギの天然木を一部採用し、1階に天井高約2600ミリの土間空間と、挽板仕上げの節有バーチフローリング、三井不動産の森のトドマツの間伐材を用いた天井、九州産のスギを使ったアクセントウォール、ヒノキのウッドデッキなどは明らかにアッパーミドル向けだ。

 ミレニアム世代に対して、ものすごく自己中心的で、雇用や社会保障など将来不安が大きいにも関わらずいまの生活に満足しており、選挙では保守というよりは我利我利亡者の候補に大きな支持を寄せ、住宅だけでなく恋人さえもシェアする-このようなイメージしか持ち合わせていない記者が間違っているのか。

 プレミアムかミレニアルかさっぱりわからなくなってきた。まさか世界で8,000万部以上が売れた小説「ミレニアム」にあやかろうという訳ではないはずだ。

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繋がるデッキ

「全150棟、2年間で売る」 ポラス・柏たなかの分譲戸建て 好調スタート(2017/7/10)

カテゴリ: 2017年度

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「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」モデルハウス

 ポラスグループの大型分譲住宅地「パレットコート」シリーズの企画・開発、設計、販売をする中央グリーン開発は2月17日、元荒川沿いの「パレットコート北越谷 フロードヴィレッジ」の第1次販売を3月3日から開始すると発表。同日、地域自治会、越谷市と協力して進めているワークショップ「未来会議」も含めてメディアに公開した。

 物件は、東武スカイツリーライン北越谷駅から徒歩13分~、越谷市大字南荻島字出津に位置する信用金庫研修所跡地の全64区画。敷地面積は135.30~150.11㎡、建物面積93.77~116.29㎡、価格は未定だが3,000万円の半ばから4,000万円台の半ばの予定。建物は木造在来工法2階建て。

 現地は、元荒川の川沿いに位置することから、北欧の「PASSIVE DESIGN」、「HYGGE(ヒュッゲ)」、「SUSTAINABLE」を採用。川沿いの自然を感じるランドスケープを取り入れ、家族とゆったりと過ごす住空間を提案し、地域の新しいコミュニティづくりを支援する街づくりを目指している。

 見学会に臨んだ同社開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は、「昨年行った棟下式には700名を超える方が参加し、施設内の食器・家具などが持ち帰ることができる『お宝発見ツアー』では8割以上がリユースされた。反響は現段階で地元以外には広がっていないが、紹介による来場が多く、手応えは十分。7期に分けてこの1年間で完売したい」と話した。

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23号棟 モデルハウス

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12号棟 モデルハウス

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 記者は昨年の「棟下式」も取材している。その時の記事を参照していただきたい。

 元荒川は名前の通り昔は本流だったのが、江戸時代に熊谷あたりで締め切られ、入間川に付け替えられたためにこのように呼ばれるようになったようだ。北越谷駅とは直線にしたら数分くらいの距離だが、川はかなり蛇行しているため徒歩13分の表示になっている。(渡しを付ければ「矢切の渡し」に対抗できるが)

 モデルハウスの2棟はよくできている。同社の戸建てはたくさん見ているのでもう書かないが、さすが年間3,000戸を販売する会社だ。同業がみたら腰を抜かすはずだ。男性向けのモデルハウスは高さ3mくらいの書棚(ギャラリー)と小上がりの「スタディコーナー」が圧巻。一方の女性を意識したプランは、家族それぞれが多様な用途に使えそうなスペースをリビング周りにたくさん用意しているのが特徴。

 元荒川の冷風を取り込むパッシブデザインもいい。冬は北風が寒いが、夏場は体感温度にして数度は低くなるはずだ。

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街並みパース

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 「未来会議」の取り組みも大賛成だ。どこかに意見を誘導する会議でなく、ワークショップ形式なのがいい。

 この日は、ポラスや市の関係者も含めて20数名が参加していた。「河川敷を公園にしよう、桜を植えよう、遊具を設けよう」「集会所には食堂や居酒屋、カフェが欲しい」などの意見が飛び交った。

 河川敷を管理するのは国か県だ。そこを公園にしたり、占有使用したりするこることはまず許可されない。

 また、「集会所」の定義は明確ではないが、「越谷市まちの整備に関する条例」では公共施設扱いとなり、帰属は市となり、「食堂」「居酒屋」「カフェ」などは許可を得ないと設置できない。当然に建築基準法の建蔽率、容積率(該当地は50%、100%)や用途規制により店舗などは許可されない(非住宅部分が50㎡以下は可能だが)。

 「未来会議」は今後、これらの法律・条例の壁にぶち当たることになりそうだ。あらゆる手法を駆使してこの壁を乗り越えてほしい。近接する文教大学と連携するのもいいし、同社がまとめたCSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)の小冊子も参考になる。この前、取材し記事にした横浜市金沢区の「さくら茶屋」に学んでほしい。基本は「自助」だ。

 市もまた、条例の目的である「長年にわたり育まれた本市の歴史、地勢、社会的環境等に根ざした都市施策の継続及び計画的なまちの整備の推進を図る」(第1条)ことに背馳しないでいただきたい。

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「未来会議」

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 理解できなかったこともある。物件名だ。「フロード(FLOD)」はスウェーデン語で、「川」という意味だそうだ。スウェーデンといえは、全世界で8,900万部(シリーズ全体)が売れた、処女作品にして絶筆となったスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」を思い出すが、いま戸建てもマンションも北欧ブームだ。各社が競って北欧をテーマにした商品を発売している。

 しかし、ここはストレートに「パレットコート 川沿い(リバーサイド)北越谷」とでもしたほうがよかった。井上陽水の「リバーサイドホテル」が大ヒットしたではないか。

 「毎年1万羽を超える野鴨などの渡り鳥が越冬のため飛来し」「鴨の狩猟期間(11月中旬から翌年2月中旬)に,天皇陛下の思召しにより内外の賓客の接遇の場として使用」(宮内庁ホームページ)されている、対岸の約12,000㎡の宮内庁「埼玉鴨場」にも一言。

 「棟下式」にも思ったのだが、この「埼玉鴨場」には北米などに広く分布する見事なメタセコイアの高木が植わっている。これはこれで美しいが、わが国では絶滅種のメタセコイアが植えられているのは、「1949年、日本と皇室がそれぞれメタセコイアの挿し木と種子を譲り受け、全国各地の公園、並木道、校庭などに植えられている」(ウィキペディア)ためのようだ。地元の人によると戦後、進駐軍が利用していたともいう。

 なるほど。メタセコイアは、わが国がアメリカの軍門に下る象徴的な樹木であるということだ。記者は国粋主義者ではないし、日本国憲法の精神は美しいと思うが、その理由を知ってしまった以上、反米感情が沸々と湧き上がる。「隠された日本の財産」という意味の日本の固有種のスギ(学名:Cryptomeria japonica)に植え替えてはどうか。どう見てもあの大男のメタセコイアは見事に腰が据わったサクラと似合わない。

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このメタセコイアそのものは美しいが、宮内庁「鴨場」にそぐわない 

業界初「棟下式」「お宝発見ツアー」大賑わい700名超 ポラス 開発予定地でイベント(2017/4/16)

住民主導のもう一つの「奇跡の街」 横浜・金沢文庫 西柴団地「さくら茶屋」見学(2018/2/14)

カテゴリ: 2017年度

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「浦和BRIGHTS(ブライツ)」モデルハウス サンクンリビング

 ポラスグループ中央住宅の「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」が絶好調という記事を先に書いたが、今回は販売開始から1週間で全20棟のうち6棟を成約した「浦和BRIGHTS(ブライツ)」を紹介する。県都・浦和にふさわしいハイグレードの認定低炭素住宅&長期優良住宅だ。

 物件は、JR浦和駅から徒歩24分(バス9分、徒歩4分)、さいたま市緑区原山2丁目の第1種中高層住居専用・準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全20棟。敷地は県警の官舎跡地。土地面積は100.10~118.50㎡、建物面積は95.22~109.5㎡、現在分譲中(14戸)の価格は4,280万~6,380万円(最多価格帯5,400万円台)。構造は木造2階建て(在来工法)。完成予定は6月16日。

 現地は、戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、駒場スタジアム(駒場運動公園)に隣接。浦和高校も徒歩圏。

 建物は、周囲の戸建て環境・景観に配慮して屋根には敢えて太陽光パネルを置かず粘土瓦を採用。外構・舗道には鳥海石、ピンコロ石、天然石などの天然素材を配し、外壁には汚れにくい光触媒のサイディングを施し、各戸に宅配ボックス、サイクルポートを設置している。

 住戸の商品企画では、全熱交換型24時間換気システム、高性能樹脂窓のU値は北海道の基準値2.33を超える1.67を実現。さらに先進の省エネ、ハイブリッド給湯・暖房システムを搭載し、低炭素住宅&長期優良住宅認定を受けている。

 天然素材を多用しているのも特徴で、床は厚さ2ミリのビーチ、オーク、ウォルナット、バーチの無垢材挽き板、壁は珪藻土塗り壁や銘木の端材を活用した壁材を用いている。

 設備仕様では、ワンランク上のキッチン「ベリー」を、浴槽はミストサウナを、階段は16段を、窓にはタイマー式電動シャッターをそれぞれ採用している。

 同社は今後、ハイスペックの「BRIGHTS(ブライツ)」をシリーズ化することも検討している。

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ステージリビング

◇       ◆     ◇

 同社の戸建てのリビング天井高は2700ミリが標準であることは何度も書いてきたが、今回のモデルハウスではダイニングの床面よりさらに200ミリ下げて「サンクンリビング」とし、天井高を際立たせるとともに、段差を設けることで上段に腰掛けるなどして多様な使い方ができる空間としている。天井高が一般的な2500ミリではこのような演出はできない。

 一つ驚いたのは、すべての窓にクレセントが付いていなかったことだ。記者は2階だからコストを下げるためだろうと思ったのだが、そうではなくて気密性が高い樹脂サッシだから不要なのだそうだ。鍵はきちんとドア枠のところについているので防犯面でも問題はない。

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クレセントがない2階窓

◇       ◆     ◇

 「BRIGHTS(ブライツ)」のシリーズ化だが、同社が地盤とする埼玉県内にはそのような適地は少ない。強いてあげれば、何度も記事にしている浦和美園だ。産官学が連携して街づくりを進めれば、広域からも集客できる街になる。「浦和美園E-フォレスト」がそれだ。

 都内でも十二分に戦える商品企画だと思うし、傍観者としての記者は真っ向勝負を挑んでほしいと考えるが、問題は〝ポラス〟のブランド力だ。同社はこれまで板橋区や練馬区、城東エリアなどを除く23区内での供給は少ないから、即完売というわけにはいかない。〝浦和レッズのスポンサー〟はサポーターの役割を果たすかもしれないが、決定力不足といわれる日本サッカー同様、あと一歩足りない。

 同社(ポラテック)は三井不動産レジデンシャルの戸建ての施工実績があり、好評を博した。販売代理として三井不動産リアルティや野村不動産アーバンネットなどと組めば成功するような気がするが、同社・中内晃次郎代表は石橋を叩いても渡らないような慎重派だし、販売を他社に委託するようなことはやらないはずだ。(中長期的にはありうるか)

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現地(住宅の後ろに駒場スタジアムの照明塔が見える)

〝魂が込められている〟4カ月で31棟成約 ポラス中央住宅「浦和美園」絶好調(2018/1/16)

どこにも負けない先進の街づくり「浦和美園E-フォレスト」竣工 街びらき(2017/3/27)

カテゴリ: 2017年度

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「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」森の家

 ポラスグループの中央住宅が分譲中の戸建て「ボゥ ヴィラージュ浦和美園~イストワール87~」と、1週間前に分譲開始した「浦和BRIGHTS」を見学した。「浦和美園」は昨年9月から分譲しているもので、わずか4カ月で全87棟のうち31棟を、「浦和」もまた全20棟のうちすでに6棟をそれぞれ成約している。なぜ売れるのか。一言でいえば1棟1棟に〝魂が込められている〟からだと思う。

◇       ◆     ◇

 まず「浦和美園」から。同社は昨年9月、全体で87戸の戸建て「イストワール」を販売すると発表し、同時に記者見学会も行った。その時の記事も参照していただきたい。

 今回見学したのは、「+Smart」「+Comfortable」「+Health」の3つの〝もっと〟をプラスした「ハイグレードタイプ」の4棟。全棟に2ミリ厚の挽き板フローリング、銘木の端材を活用した壁材「レリーフ」、珪藻土壁、タイマー式電動シャッター、高性能ハイブリッド窓、ミストサウナ、4枚引き戸などを採用、モデルハウスはすべて家具付き分譲というのが特徴だ。

 4棟のうち「和みの家」と「森の家」は1.25坪の浴室を採用しているのが特徴だ。1.25坪の浴室はバブル時に各デベロッパー、ハウスメーカーが積極的に採用したが、その後はすっかり見なくなった。これはインパクトがある。

 「森の家」はブラックウォールナットのフローリングや壁材を採用することで落ち着いた空間を演出し、マスターウォールの本皮ソファをコーディネートしている。

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森の家(古垣氏担当)

 「繋がりの家」は、床から約800ミリスキップさせた「スキップリビング」付き。1階の天井高を2.7m確保、スキップリビングの天井も上げているので、狭さを感じさせないのが特徴だ。

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繋がりの家(角張氏担当)

 「つどいの家」は、他のモデルハウスと異なり、床をコーティング加工して艶やかな表情にしており、回遊性のキッチン天井は一部下げ、間接照明とダウンライトを採用しているのが特徴。

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集いの家(山口氏担当)

 「和みの家」は、天井が網代仕上げの和室が印象的で、オレンジのソファが美しく、勾配天井のリビングによくマッチしている。

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和みの家(山口氏担当)

◇       ◆     ◇

 この日は、同社戸建分譲設計本部設計一部 営業企画設計課課長の古垣雄一氏と同じ部署の主任・角張泰広氏、さらに同社の広報マンに案内してもらった。全部で4棟。このあと「浦和BRIGHTS」の2棟も見学したので都合6棟見学した。

 この間、サッカーに野球、街づくりなどについて侃々諤々の争いをするもんだから何が何やらさっぱりわからなくなった。どういうやり取りをしたのか、少し紹介する。

 記者が「浦和レッズは昨年7位。観客数も39万人、多い時より半減。人気ナンバーワンにしては情けない。〝レッズタウンにしたい〟と熱く語る淵田敬三社長は立派だが、タウンマネジメント協議会は機能していないではないか。一方の西武ライオンズは2位。観客数も167万人。どうしてポラスは西武を応援しないのか。サッカーは裸になって踊ったり、頭突きをしたりと野蛮で、しかも1試合に2点くらいしか入らない退屈なスポーツ」などと〝挑発〟すれば、「野球とサッカーは異なるので比較はできない。西武の1試合当たりの観客数は2万人強でしょ。浦和レッズは平均3.2万人、最多は5.7万人。西武を応援しようにも、野球はみんな親会社がスポンサーになっている」などと広報マンが反撃する。また「あんたたちは立派な本物の木を使っているのに、どうして観葉植物はフェイクを相も変わらず飾るのか」と一発放てば、「本物は枯れたり、虫が付いたり手入れが大変。その代わりうちは1棟1棟インテリアコーディネーターが知恵を絞っている。同じものは提案しない。書院造の窓は右か左か」などと返され、どこまで行っても平行線だった。

 しかし、何が何やらわからないということは、どれがいいか選別するのが難しいという意味で、みんな同じということではない。甲乙つけがたい出来であるのは間違いない。

 そして何より、同社の力の注ぎようが並外れていることは、昨年の9月からすでに31棟を成約したという数字に如実に表れている。年間にすると80~90戸になる計算だ。このペースだと、全体で87戸を計画している「イストワール」を今年中に完売するかもしれない。

 価格もしかり。坪単価150~160万円のマンションが四苦八苦しているエリアで、高いものは6,000万円を超えてくる。これはマンションにもヒントになる。価格を安くすれば売れる時代ではない。ユーザーの心に響く商品企画であれば売れるということだ。

 〝閑古鳥が鳴く〟この街でこの販売スピードと価格は信じられない。ポラスに拍手喝采だ。

 その一方で、街づくりを主導するさいたま市やUR都市機構関係者も奮起していただきたい。イオンモールとポラスや浦和レッズに〝おんぶにだっこ〟でいいのか。大学にも声を掛け協議会活動を機能させてほしい。都市間競争は益々激化する。浦和美園が取り残されないか心配だ。

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和みの家

ポラス 浦和美園で大規模戸建て87棟分譲 マンション340戸含め1000戸 複合開発強化(2017/9/17)

 

 

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「プラウドシーズン横濱洋光台」 「つながるHOUSE」

 当欄11月4日付で紹介した野村不動産の分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」を見学した。全203戸の大規模事業だからこそ可能になった入居者向け共用施設「つながるHOUSE」はコミュニティ醸成へ大きな可能性を秘めている施設だ。

 「つながるHOUSE」は、専任のスタッフが勤務(月・水・土/11:00~17:00)し、いろいろな利用相談に応じるほか、子どもの見守りなどを行う。コーヒーベンダーやFree Wi-Fi、スポーツ観戦などにも利用できる大型スクリーンを備える「コミュニティスペース」や、児童書や雑誌など200冊以上の本を保有する「ライブラリー」を設置。簡易トイレ、発電機、テントなどの防災備品を常備し、災害時の「防災拠点」としても機能する。

 戸建ての分譲開始は今年3月。第1期として53戸を供給し、6月の時点で完売となった。引き続き31戸を供給しているが順調に進捗しているという。価格は5,000万円台の前半が中心。購入者の約6割が横浜市居住者で、地元のほか広域からも集客できている。3年間くらいで全戸完売する目標だ。

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モデルハウス

◇       ◆     ◇

 大規模マンションでは戸数にして数戸分かそれ以上のラウンジ・コミュニティ施設・ゲストルームなどを備えるのは当たり前だが、分譲戸建てでこのような施設を設けるのは珍しい。一昨年、ポラスが千葉県野田市の大規模分譲戸建て「パレットコート七光台」でカフェを開設したのを見学したことがあるが、それ以来だ。

 隣はバス停留所で、雨が降っているときなどは雨宿りができるベンチも設置されている。

 戸建ての街並みは、同社の他の戸建てと同様の南欧風の外観。モデルハウスは約2.4畳大の収納スペースと約1.5畳大のカウンターを備えたファミリーコーナーの提案がいい。双方合わせ4畳大近い。いろいろな用途に使えそうだ。

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ファミリーコーナー

野村不 全203戸の分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」に入居者用共用施設(2017/11/4)

ポラス 〝奇跡の街〟野田市七光台に地域コミュニティ支援のカフェ オープン(2016/11/19)

カテゴリ: 2017年度
 

 

 

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