坪254万円 設備仕様は最高レベル 三菱地所ホーム 新宿(新大久保)にモデルハウス
「新宿ホームギャラリー」
三菱地所ホームは5月30日、CLTを2階床に採用した富裕層向けモデルハウス「新宿ホームギャラリー」と、地下室・屋上・スキップフロアなど7層の「オークラランドホームギャラリー」の内覧会を報道陣向けに行うとともに、全館空調「エアロテック」を全国の住宅事業者に外販する「エアロテック・アライアンス事業」を開始し、大小39パターンの中から好みのプランを選べる第一次取得層向けの定額制商品「SMART ORDER Fit」を発売すると発表した。
記者発表・内覧会に臨んだ加藤博文社長は、同社の35周年記念のCMに起用した作家の村上龍氏が自らの言葉で全館空調「エアロテック」の良さを伝えたことを紹介し、「2019年3月期の売上高は345億円で前期比20%増。非住宅、リフォームなどが伸びた。今回の『新宿』に採用したCLTは森林・林業再生の観点からもグルーブ全体でどんどん採用していく。『オークラランド』は7層住宅で、全館空調のよさが発揮できている。『Fit』は好評で今年度は60棟を目指す。『アライアンス』は東北の『北洲』さんと契約を締結した。今後は全国、海外も狙っていきたい」などと語った。
加藤社長(「ハウジングステージ新宿」で)
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「今日(30日)は午後の最初、ちょうど眠気を誘う時間帯ですが、わたしも含めて皆さんも目が覚めるような分かりやすくて中身が濃いものにします」-業界の名物広報マン・横須賀直人氏のいつもの軽妙な司会で発表会・見学会は始まった。
確かに中身は分かりやすいものだった。さて、何の記事から書こうかと迷っているうちに、結局、〝先入れ後出し〟の形になってしまった。あれから1週間近く経過する。しかし、エアロテックはいつでもどこでも温度が一定であるように、これから書く小生の記事も他の記者の方とは視点を変え、甘辛のスパイスを利かしているので鮮度は落ちていないはずだ。
ここでエアロテック、CLTのよさについて書くゆとりはない。「RBA」のワードとともに検索していただければ、20本はヒットするはずだ。
「新宿ホームギャラリー」のモデルハウスがいい。2階床にCLTを使用しすっきりした水平ラインを強調するとともに、トラバーチンを加工した垂直の壁柱を設けることで水平・平行・垂直ラインの造形美を演出。内外装に自然素材を多用し、五感に訴える仕掛けを施しているのが特徴。建物は2階建て延べ床面積約223㎡。モデルハウス仕様で価格は1億7,200万円(坪254万円)。
小生は、この坪単価の高さに注目した。価格だけなら積水ハウスの古河にある軽量鉄骨2階建て「イズ・ステージ」(約297㎡)が約2億円と聞いたので、それよりは安いが、単価では「イズ・ステージ」の約222万円を上回る。業界でもトップクラスの仕様レベルだと思う。
何がすごいか。階段室の演出だ。階段室の処理に苦労するのが一般的だろうが、同社はそれを逆手にとってアートの壁面に変えた。階段手摺まで計算して画像に取り込んだ。ヒーリングウォールと呼ぶ仕掛けを施しており、プロジェクションマッピングによるデジタルアートと音楽を用い、五感+α(その先を感じる)の価値を提供している。
費用は1,000万円くらいするそうだが、お金持ちにとっては全然負担にならないはずだ。
自然素材を多用した外壁・デッキ・床・天井・デッキなどがまたいい。外壁の壁柱はトラバーチンを加工したもので、ウッドデッキはバイオリンなどにも使用される赤い肌の木をわざと劣化(同社は変化という言葉を使った)させ、変化させた後は劣化が進まないようにしているとのことだった。
床は古材をイメージさせるオーク材の帯鋸仕上げで、1㎡当たり単価は7.7万円。キッチンカウンターはアッシュグレーの左官仕上げで、微妙な凹凸をつけている。リビング天井は波型の手作業による箔塗装仕上げ…。
基本性能では8mのコーナーハイサッシが目を引く。「新宿ホームギャラリー」がある住宅展示場「ハウジングステージ新宿」の他社のモデルハウスは3階建てが多いので、これも差別化につながっているはずだ。
ヒーリングウォール
リビング
キッチン
ウッドデッキ
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「オークラランドホームギャラリー」は、容積率不算入の地下室、小屋裏収納、スキップフロア、ロフト、屋上バルコニーなどを採用することで、建築確認申請上の延床面積を100%(66坪)とすると、有効活用できる面積は136%(90坪)となるよう工夫されているのが特徴。
モデルハウスにはホームエレベータが付いていないので、記者は地下から屋上まで上がるのにさすがにこたえた。これは若年層向けだ。
「オークラランドホームギャラリー」
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「ハウジングステージ新宿」についても一言。JR山手線新大久保駅から徒歩2分、約1万平方メートルの旧ロッテ工場跡地にオープンした全20区画のこの住宅展示場は全20区画。こののうち現在公開されているモデルハウスは12棟。
記者は積水ハウスのモデルハウスも見学した。これまた最高に素晴らしい。カッシーナとコラボし、一分の隙もないモノトーンの空間を見事に演出している。モデルハウスを芸術品の域まで高めた商品だ。
何に例えるべきか迷ってしまうのだが、ミロのヴィーナス像はどうだろう(実在の女性に例えると差しさわりがある)。
だがしかし、あまりにも美しく近づくことも触れることもためらわれそうで、金持ちでも品格がない人は怖気づくのは必至で、住みこなすのは容易なことではないのではないか。
〝百聞は一見に如かず〟-業界関係者も必見だ。
ミレニアル世代向け 2階リビング 三井ホーム新商品 「Lucas(ルーカス)」 は坪69万円
「Lucas(ルーカス)」
三井ホームは5月28日、先に発表した戸建て新商品「Lucas(ルーカス)」のモデルハウス見学会を「tvkハウジングプラザ横浜」で行った。
「Lucas(ルーカス)」は、都市に暮らすミレニアル世代を中心とする層を意識した新商品で、2階リビングにはテレワークも可能な空間と、外部の視線を気にすることなく過ごせる「スカイラナイ(プライベートバルコニー)」を設け、1階には間仕切り可能な大きな主寝室と「ファミリークローク」、〝洗う・干す・乾かす・しまう〟を連続して行うことのできる「ファミリーランドリー」、「マイゴミステーション」などを効率よく配置した「家事ラク」空間を提案しているのが特徴。
2階リビング天井高は最高約5メートル、床・建具・家具にはレッドシダー、ハードメイプル、オーク、ヒノキなどの無垢・突板が多用され、専用の洗濯乾燥機が備えられている。
新商品説明会で同社常務執行役員・幸田知久氏は「日本最大のこの住宅展示場での当社のモデルハウスは既設の3棟に加えて4棟目。場所も角地でよく仕上がった」と挨拶し、執行役員商品開発部長・天池英男氏は「20年前、東京の郊外に2階リビングの狭小住宅を建てた。2階からの外の光景は周囲が平屋に見え、空を独り占めできることが分かった。今回は片流れの屋根にすることによって太陽光発電・全館空調システムを搭載し、無垢材を多用することで当社らしい商品にできた」などと、自らの体験を交え商品の特徴を説明した。
販売エリアは沖縄を除く全国で、参考価格(消費税抜き)は延床面積139.88㎡(42.31坪)で2,919万円(坪単価68.9万円)。基本性能を変えずに、さまざまな仕様グレード設定やプランニングが可能。年間販売目標は300棟。
スカイルーム
スカイラナイ
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商品説明は、建築面積108.01㎡(32.67坪)、延床面積186.95㎡(56.55坪)のモデルハウスプランをもとに行われた。記者は富裕層向けならともかく、それだけの家を建てられる大都市圏に住む一般的な「ミレニアル世代」はどれほどいるかをずっと考えた。
パンフレットでは延べ床面積29坪のプランも紹介されており、これなら建築可能だろうが、1階の主寝室は12.5畳大しかないので、子ども2人世帯は厳しいのではないかとやはり疑問に思った。
しかし、その疑問はすぐ氷解した。29坪プランの2階の「スカイラナイ」の広さは約5.4畳大あり、容積にも算入されている。屋根を付ければ居室にも転用できるので、そこを夫婦の部屋なり、子どもの部屋なりにすることができると判断した。つまり、敷地が30坪、建物が30坪(建ぺい率60、容積率100%)の狭小敷地でもこのプランは十分対応できる。
3.4畳大のランドリー&ドレッシングルーは文句なしにいい。ここではフィットネスも可能だろう。
価格について。同社が6年前に発売開始した第一次取得者向けの「cafe+( カフェ・プラス)」の価格は坪56万円で、太陽光発電システムなどはオプションだった。
今回の商品はそれより坪当たり10万円強高いが、ZEHに対応する太陽光発電システムも24時間全館空調の「スマートブリーズ」も標準装備されている。
これらを総合すると、今回の新商品はユーザーに支持されると思う。
しかし一方で、いま一つ理解できなかったことがある。同社が行ったアンケート結果では、ミレニアル世代は冷凍食品をよく利用し、男女ともスキンケアを行い、虫が嫌い、広いバルコニーを好み、ソーラーパネルを欲しがることなどが明らかになったそうだが、これらは多分に経済社会環境がもたらしたものだと思う。
戸建てもマンションも居住面積が広いほうがいいのに決まっているし、庭が広くて植栽の豊かな戸建てのほうがいいのも言うまでもないことだ。思考がしぼみがちなミレニアル世代を解き放つためにも、夢が持て、実現する社会になってほしい。
ファミリーランドリー
ファミリークローク
玄関
レベル高い分譲戸建て再確認 小田急不動産「リーフィア経堂四丁目」
「リーフィア経堂四丁目」
小田急不動産が6月中旬に分譲する戸建て「リーフィア経堂四丁目」を見学した。閑静な住宅街に位置する全10戸で、プレミアム仕様の住戸は価格に見合う価値はあると見た。
物件は、小田急線経堂駅から徒歩13分・千歳船橋駅から徒歩7分、世田谷区経堂四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全10戸。土地面積は100.26~125.48㎡、建物面積は93.36~133.63㎡、予定価格は9,900万円台~16,000万円台(最多価格帯12,000万円台)。建物は竣工済み。構造・規模は木造2階建て(2×4工法)。施工は東急建設。
現地は、区画整理事業によって前面道路が6m以上確保されている良好な住宅街の一角。
全体敷地は邸宅が建っていたところで、各住戸の外構は風格を漂わせる門塀と植栽を施し、ロートアルミ門扉・装飾、リーフィアをデザインしたサイン付きとしているのが特徴。一部私道はインターロッキング舗装。
約6.25mの南側公道に面した4住戸はビルトインガレージ付き(一部住戸除く)で、主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2,800ミリ、玄関吹き抜け、1620バスルーム、フィオレストーン天板、バックカウンター・吊戸棚(一部住戸除く)、Low-Eガラス、樹脂素材を採用したハイブリッドサッシ、良水工房、スピーカー付きダウンライト(2か所)、エコカラットなど。
8号棟1階LDK
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久々に同社の分譲戸建てを見学した。先月末に同社の「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」を見学・取材はしているが、モデルハウスは見ていない。
第一印象は、かつてたくさん見た同社の都市型戸建てと基本的にはレベルは変わっていないということだ。植栽は豊かだし、同社のブランド〝リーフィア〟をアレンジしたアルミ製サインなど細かなデザインも施されていた。全体的なレベルは高い。これが確認できて嬉しかった。
〝これはいい〟と思ったのが、玄関、洗面などの床や巾木に採用されていた御影石・タイル調のフローリングだった。ほとんどの人は本物の御影石だと思うはずだ。どこの製品だったか聞くべきだったか。
スピーカー付きダウンライトもいい。これを見るのは4物件目か。パナソニック製で、音がすごくいい。スマートスピーカーと連動させればいろんな音楽が楽しめる。ある現場で〝西武ライオンズの応援歌かけて〟と言ったらちゃんと歌ってくれて感激した。
一つ注文をつけるなら廊下・階段のメーターモジュール化だ。最近は一部のハウスメーカー、デベロッパーの戸建てにしか採用されなくなっただが、同社は他のデベロッパーに先駆けて建坪が30坪でも極力メーターモジュールを採用した。
外構
玄関フローリング
小田急不「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」「GW街びらきFESTA」4/30まで
集会所
小田急不動産は4月27日(土)、開発中の大規模住宅地「リーフィア南大沢〈ガーデンズ〉」で「GW街びらきFESTA」を開幕。4月30日(火)まで連日、街のキャラクター「リサとガスパール」との握手会、こどものおかたづけセミナー、ハワイアン&フラダンスショー、ロックバンド&ギター弾き語り、キッチンハーブ寄せ植えレッスン、花の鉢植え、産直野菜・果物の販売会などを行う。
集会所(左)キャラクター
街並み
住宅地内の公園
ヴェール脱ぐ 全185区画、敷地170㎡以上の小田急不「リーフィア南大沢ガーデンズ」(2019/4/17)
冷暖房・光熱・自動車燃料-3つの費用ゼロに 「令和」迎え記念商品 アキュラホーム
「ミライの家・Rei」イメージ図
アキュラホームは4月24日、令和元年にふさわしい未来型住宅「ミライの家・Rei」を5月1日(水)から全国 JAHB-netの有志とともに全国一斉発売すると発表した。
「ミライの家・Rei」は、太陽光発電の買取価格の低下や、2019年に10年間の住宅用固定価格買取制度(FIT制度)が終了することを受け、太陽光発電は自家消費を中心とする「自立分散型エネルギーシステム」への移行が急務として、太陽光発電を自家消費する蓄電池(現在価格20万円/kWh前後)を搭載。
さらに、数百万円かかると言われる全館空調システムを、従来の約半額の初期費用で搭載することを可能とした。
また、電気自動車の標準装備により40kWh(約800 万円相当)の蓄電池を備えている。これにより、“全館冷暖房費ゼロ・光熱費ゼロ・自動車燃料費ゼロ”―のトリプルゼロを実現した。
同社グループが昨年10月に40 周年を、同社が主宰する日本最大級の工務店ネットワークJAHB-net(ジャーブネット)も25 周年を迎え、「令和」とともにトリプルの節目を記念するもの。
同社は、補助金制度を活用すれば東京都の場合、実質負担2,315万円(税抜)で購入することが可能としている。
販売期間は2019 年5月1日(水)から7月31日(水)まで。全国限定300 棟。
ミレニアル世代を意識した2階リビングの「Lucas(ルーカス)」発売 三井ホーム
「Lucas(ルーカス)」イメージ図
三井ホームは4月23日、ミレニアル世代を中心とする層を意識した新商品「Lucas(ルーカス)」を4月25日から発売すると発表した。
「スカイルーム」(スロープシーリングによる光あふれる伸びやかな2階リビング)にテレワークも可能なスペースを併設するとともに、外からの視線を気にせずくつろげる「スカイラナイ」(プライベートバルコニー)を隣接することで開放感とプラバシーの両立を実現しているのが特徴。
また、1階には主寝室をはじめとするプライベートゾーンを配置し、家族の衣類を1か所にまとめ着替えもできる「ファミリークローク」、「洗う・干す・乾かす・しまう」を連続して行うことのできる「ファミリーランドリー」、ゴミ出しのストレスを軽減する「マイゴミステーション」など家事の負担を軽減する「家事ラク」空間も提案している。
販売エリアは沖縄を除く全国。施工延床面積139.88㎡の参考プランの消費税抜き本体工事価格は29,186,000円(坪単価68.9万円)。販売目標棟数は年間300棟。
イメージ図
ZEH比率加速 2018年度は目標の76%超える79%、累積44,247棟 積水ハウス
積水ハウスは4月22日、2018年度の新築戸建住宅ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が目標の76%を上回る79%となり、2013年から供給開始したZEHの累積普及棟数は44,247棟(2019年3月末現在)となったと発表した。
81支店(賃貸住宅支店を除く)のうち35支店で既に2020年度目標であるZEH比率80%超を達成し、このうち6支店ではZEH比率90%を超えている。
政府は「2020年までにハウスメーカーなどの新築注文戸建住宅の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ ハウス化する」との方針を出している。
ヴェール脱ぐ 全185区画、敷地170㎡以上の小田急不「リーフィア南大沢ガーデンズ」
「リーフィア南大沢ガーデンズ」
小田急不動産の全185区画の大規模戸建て住宅地「リーフィア南大沢ガーデンズ」がいよいよヴェールを脱ぐ。敷地面積は最低でも170㎡あり、最近ではほとんどみられなくなったレベルの高い住宅地だ。4月27日(土)に街びらきを行う。
物件は、京王相模原線南大沢駅からバス11分、徒歩1分(多摩境駅から徒歩16分)、八王子市鑓水2丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全185区画。5月中旬に分譲開始する第1期24戸の土地面積は171.59~208.47㎡、建物面積は94.33~113.86㎡、予定価格は4100万円台~4900万円台(最多価額帯・4300万円台・4500万円台)。建物は2019年2~3月に竣工済み。構造・規模は木造2階建(2×4工法)。施工は細田工務店、小田急ハウジング(建物)、ランドフローラ(外構・植栽)。
集会所
エントランス
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現地をみたとたん「小田急elタウン南大沢フロンティア」を思い出した。15年前だ。区画数は31区画で、東京都から土地を取得して分譲したものだ。敷地の広さに圧倒されると同時に、一方では、最低面積を定めた東京都の無慈悲に怒りすら覚えた。バブルが崩壊し市場が一変し、戸建ての敷地面積はみんな30坪(100㎡)になった。最低170㎡(約50坪)はあまりにも厳しい規制だったからだ。
物件は素晴らしかったが、販売は苦労するだろうと思った。完売まで相当の時間がかかったはずだ。添付した記事は当時、同僚の記者が書いたものだが、想いは小生も同じだ。
そして今回も同じ規制がかけられているという。しかも規模は、「elタウン」より、2013~2016に供給した全68区画の「リーフィア南大沢」よりもはるかに大きい。
戸数の多さとアクセスに難はあるが、この厳しい規制を逆手にとって他では得難い街並みの美しさをアピールしてほしい。4,300万円台・4,500万円台が最多という価格も信じられないほど安いはずだ。(失礼)
モデルハウスは見学できなかったが、敷地の間口が10m以上で、対面の住宅までの距離も10mくらいあり、豊かな外構が施されていた住宅ばかりだった。戸建て3棟分の費用をかけた集会所も完成していた。
全体の街並みは完成していないが、その見本は隣接地にある。「小田急elタウン南大沢フロンティア」と「リーフィア南大沢」だ。
ここには「昭和」の時代はごく当たり前で、「平成」になり姿を消した街並みがある。同社はいまも「昭和」の街づくりを行っている唯一のデベロッパーかもしれない。(都は「令和」になってもこの最低面積規制を墨守するのだろうか)
余談だが、住宅地に隣接する道路の見事な街路樹が目に入った。ユリノキだった。同社住宅事業本部住宅販売部第1販売グループ上席チーフ・加藤浩二氏は、「(住宅地に日陰を落とし、落ち葉の処理も困るだろうからという意味か)市から伐りましょうかという相談があったのですが、『とりあえずそのままにしてください』と返事しました。わたし個人的にも強剪定は好きではない」と話した。
ユリノキは樹高20mにも30mにもなる高木だが、多摩ニュータウンに「ユリノキ通り」があるように素晴らしい街並みを形成している。そもそもケヤキ、ユリノキ、クスノキなどの高木の剪定は最小限にとどめるべきだと記者は思う。街路樹は街のポテンシャルを引き上げる大きな役割を果たす。
「小田急elタウン南大沢フロンティア」(中央にあるのは記者の影)
「小田急elタウン南大沢フロンティア」
「小田急elタウン南大沢フロンティア」
広い軒下空間をリビングに取り込んだ「ファミリー スイート」発売 積水ハウス
「ファミリー スイート」内観
積水ハウスは4月10日、「幸せ」研究と先進技術の成果で家族の幸せを実現する「ファミリー スイート」の新しいコンセプトを盛り込んだ新商品を発売したと発表した。
昨年発売した大空間リビングのファミリー スイートが好評なのを受け、新たに広い軒下空間をリビングに取り込むことで、より「くつろぎ」のある家族の暮らし方を提案する。
構造(鉄骨造・木造)や内外装のテーストを問わず対応する。
鉄骨住宅「IS ROY+E(イス・ロイエ)WA MODERN」の価格は3.3㎡当たり72.4万円から(本体のみ・税抜)。販売目標は6,000棟/年。
木造住宅シャーウッド「Gravis Bellsa(グラヴィス ベルサ)モダンライン」の価格は3.3㎡当たり73.8万円から(本体のみ・税抜)。販売目標は1,500棟/年。
昨年10月に発売した「IS ROY+E Family Suite(イズロイエ ファミリースイート)」は約3割のお客様が大空間リビングのファミリースイート提案を採用しているという。
コモン合わせ100坪の里山住宅博 開催へ つくば市/街路樹伐採ストップ 五十嵐市長
模擬上棟式でお菓子を拾う子どもたち
地域工務店など21社が結集し、地元の木材を使ったモデルハウス23棟を含む環境共生型の街づくりを目指す「里山住宅博inTSUKUBA2019」プレオープンイベントが3月24日、茨城県つくば市で行われた。五十嵐立青・つくば市長が来賓として挨拶、地元の子どもなど家族連れ約200名が参加。天皇陛下在位30周年記念のヤマザクラのほか、隣接の雑木林にある二十数樹200本の中高木の苗木を植え、プロジェクトの成功を願った。
プロジェクトは、つくばエクスプレスつくば駅から車で約10分、つくば市中根・金田台特定土地区画整理事業地内にある街区面積約25.6haの全75区画(建ぺい率40%、容積率80%)。敷地面積は207.22~280.55㎡(このほか共有のコモンスペース約11,400㎡)。アキュラホームなど21社によるモデルハウス23棟のほか分譲住宅と建築条件付き宅地分譲となる。土地価格は17~18万円/坪となる模様。従前の土地所有者はUR都市機構で、サンヨーホーム(山川洋社長)が土地を取得。各社に卸売りする形態をとる。すでに35区画が販売・予約済み。
イベント実行委員会会長の山川氏は、「21社には地元茨城県産材をたくさん使っていただき、33棟のモデルハウスを建てていただく。さらに苗木を植えて里山を作り、天皇陛下在位30周年の植樹も行っていただくことができた。二重三重の喜び」と語り、主催者を代表して茨城県産材普及促進協議会会長・中村公子氏(茨城県南木造住宅センター代表取締役)は、「県産材の木材を使う工務店の力を結集したプロジェクト」と挨拶した。
来賓の五十嵐市長は、「わたしは2年前、市長に就任して街路樹が伐採されるのにストップをかけた。伐ることと同時に植えることも大切。つくば市の自然、緑、里山こそ他の自治体にない特長。皆さんの街の価値を上げる取り組みを市政につなげていく」と述べた。
街づくりにはプロデューサーとして町の工務店ネット代表理事・小池一三氏、マスタープランナーに神戸芸術工科大学名誉教授・小玉祐一郎氏のほか、エステック計画研究所代表取締役・大澤良二氏、ランドスケープデザイナーのプランタゴ・田瀬理夫氏、ICA建築設計事務所代表・矢口博幸氏、佐久間達也空間計画所・佐久間達也氏など多くのプロも参画している。
左から山川氏、中村氏、五十嵐氏
天皇陛下在位30周年記念植樹(樹木はヤマザクラ。スコップを持つのは五十嵐氏と山川氏)
ドローンによる記念写真
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現地に着いたら、北方にある筑波山からではなかったが、南方から寒風が吹き募っていた。しかし、五十嵐市長ほか数十人の関係者はスーツ姿で、約200名の子供連れ家族も「筑波おろしには馴れている」といいながらセレモニーの開始を待っていた。
それから約2時間。寒さに震えながらしっかり取材し、とても楽しい時間を過ごすことができた。
何が嬉しかったかといえば、五十嵐市長の祝辞だった。「わたしは街路樹伐採にストップをかけた」と話したことだ。「街路樹が泣いている」記事を書き続けてきた甲斐があった。このような動きが全国に広がるのを期待したい。街のポテンシャルは街路樹で決まると確信している。
街づくりのコンセプトもいい。つくば駅から車で10分もかかるのだから、普通の区画割ではまず売れない。敷地内の約3,800㎡と全体敷地の傾斜地の約7,600㎡の合計11,400㎡(1区画当たり46坪)をコモンスペースとして、75区画の土地所有者が共有して、自宅とコモンで約100坪を所有する。景観協定も結ぶ。
将来にわたって樹木を育てるため3,000円/月の共益費を徴収し、その一部をプロの植木屋さんや近隣の農家などに樹木の管理を委託する費用に充当する。傾斜地の固定資産税は里山にすることから免除されるという。
建築条件に原則として県産材を50%以上使用することを義務付けているのもいい。スギBP材を用いた延べ床面積約39㎡の集会所も45日間で完成させたという。
6月にはモデルハウスを公開するという。また見学してレポートしたい。過去2度取材した隣接の「春風台」は分譲当初より地価は2倍くらいに上昇しているとも聞いた。
「何の木? コブシだよ。ここに書いてある」植樹に参加する五十嵐市長
45日間で建設した集会所
構造材はヒノキとスギBP材
プロジェクトに参画している関係者
〝ホーホケキョ〟ウグイスも歓迎 つくば・春風台の販売進む(2016/5/9)
平成の田園調布になるか1区画200坪の街づくり つくば市の「春風台」(2015/5/26)