年頭所感 3つの言葉「将来の夢」「旅」「遵」 大和ハウス工業・芳井敬一社長
芳井社長
昨年は、新型コロナウイルス感染症対策とともに社会経済活動が再開し、日本経済における回復の兆しが見えた年となりました。当社では、第7次中期経営計画の初年度となる2023年3月期の第2四半期決算において売上高が過去最高を更新する結果となり、グループ社員全員の底力を実感する一年となりました。心から感謝しています。
一方で昨年から続く資材価格の高止まりをはじめ、エネルギーの供給不安や日銀の金融緩和修正など、国内外には先行き不透明な要素も混在しています。このような2023年の年頭にあたり、皆さんにお伝えしたいことが三点あります。
一つ目は、“将来の夢”です。昨年5月、企業のあるべき姿として、大和ハウスグループのパーパスである“将来の夢”―「生きる歓びを、未来の景色に。」を策定しました。これは「2055年に私たちが創り出したい社会」と「大和ハウスグループの果たすべき役割」を示しています。当社は創業以来3,000万人以上のお客さまと出会ってきましたが、このお客さまとともに生きる歓びを分かち合える世界を実現できるよう、しっかり理解し、自ら実践してください。
二つ目は、「旅」です。私は時間を見つけては、自分で全てを手配して一人旅に出かけていますが、旅での経験は新たな発見や気づき、そして出会いを与えてくれます。当社グループにおいても第7次中期経営計画という5年間の旅路が始まりました。各事業本部や事業所、そして皆さん個人が目標をたて、その達成に向けて努力されていますが、そのなかで経験する様々な出来事は、必ず自分たちの成長へとつながります。この経験を糧として日々業務に邁進してください。
三つ目は、私の今年の一文字「遵」です。改めて襟を正す一年にしたいと思います。当社では近年、コン プライアンス強化に努めており、皆さんにも様々な取り組みを実施いただいていますが、まだ不十分な点も見 受けられます。ルールの遵守なくして企業の成長はありません。法令や会社の規則はもちろん、お客さまとの 約束など、あらゆる決めごとを遵守してください。
最後に、当社を取り巻く事業環境は変化を続けており、年々そのスピードを増しています。しかし、当社において変わらないものは創業の原点である「社会の役に立つ事業の展開」です。この創業者精神を行動の規範とし、皆さんのさらなる飛躍の一年となることを期待しています。
野村不動産HD 新社長に副社長の新井聡氏、沓掛英二社長は会長へ
野村不動産ホールディングスは12月14日、新しい代表取締役社長兼社長執行役員グループCEOに取締役副社長兼副社長執行役員の新井聡氏が、会長には代表取締役社長兼社長執行役員グループCEO・沓掛英二氏が2023年4月1日付でそれぞれ就任すると発表した。現会長の永松昌一氏は4月1日付で、野村不動産顧問に就任する予定。
新井氏は、1965年6月3日生、愛知県出身。1988年3月、東京大学経済学部、同年4月、野村證券(現野村ホールディングス)入社。2011年4月、同社執行役員、2014年4月、同社常務執行役員、2017年4月、野村ホールディングス執行役員・野村證券執行役兼専務執行役員、2019年4月、野村證券代表取締役兼副社長執行役員、2022年4月、野村不動産ホールディングス顧問・野村不動産取締役(現職)、2022年6月、野村不動産ホールディングス取締役副社長兼副社長執行役員(現職)。
「産業デベロッパー目指し、日々妄想」植田俊・三井不動産次期社長
植田氏(左)と菰田氏(東京ミッドタウン日比谷で)
三井不動産は12月9日、社長交代人事を発表し、同日、次期の代表取締役社長 社長執行役員社長に就任する同社取締役専務執行役員・植田俊(うえだ たかし)氏と、代表取締役会長に就任する同社代表取締役社長 社長執行役員・菰田正信氏が出席して、社長交代に関する記者会見を行った。両氏からはとても興味深い話・エピソードが飛び出した。
会見の冒頭、菰田社長は2011年6月に社長に就任してから12年弱(退任時では11年9か月)を振り返り、「就任時は東日本大震災の直後で、リーマンショックの傷がいえない時だったが、これまで若干実績を積み上げてきた」と語った。
具体的には、「イノベーション2017」で①街づくりの進化②スマートシティの実現③グローバル化の戦略課題にスピード感を持って推進した結果、6年間で営業利益は6倍、純利益は2倍という高い目標を達成したことなどを話した。
2018年に策定した「ビジョン2025」では、①持続可能社会の実現②デジタルイノベーション③グローバルカンパニーの進化-などを掲げ、コロナ禍で経常利益は1,000億円近い減益(2021年3月期)となったが、3年が経過し、コロナの収束が見通せるようになり、今期の営業利益は過去最高の3,000億円を達成できる見通しが立ったと述べた。
社長交代ついては、「『ビジョン2025』達成の道筋が見えたことから、その先は次世代のリーダーにバトンタッチするのがふさわしい」と決断。「後任の植田専務は私の右腕として、業績向上に大きく貢献した立役者」と紹介。「人物、見識、能力はもちろん社内外の人望も厚く、リーダーシップを発揮して新時代を切り開いてくれると確信している」と称え、「植田専務は相手の立場に立ってものごとをよく考える。『妄想』の言葉に象徴されるように、既成概念にとらわれない自由な発想で、新たな三井不動産を切り開いてほしい」とエールを送った。
今後の国内外の市場・展開については、「政治経済の動向、地政学的なリスク、気候変動など先行き不透明感は極めて高いが、私も植田新社長とともに社業の発展に全力を尽くしていく」と語った。
印象に残っている事業としては、米国ハドソンヤードでの2つのプロジェクトを「常識を覆して」成功に導いたことと、菰田氏も10年以上かかわった「柏の葉」のスマートシティの街づくりプロジェクトをあげた。
辛かったことについては、「人を集め、街を創るのが仕事のわれわれにとって、コロナ禍で〝人を集めるな〟と言われたのは辛かった」と率直に語った。
記者は、これまでの菰田氏の実績、同社の業績の推移などから、やり残したことなど一つもないだろうと質問したら、菰田氏は「そんなことはない。たくさんある」とし、日本橋川の再生が2040年になっていることをあげた。(小生はかつて、岩沙会長が「わたしの生きている間に再生してほしい」と語ったのを忘れない。あと20年後だ)
◇ ◆ ◇
菰田氏の挨拶を受けて、植田次期社長は「社長の命を受け、その使命の重大さと責任の重さに身が引き締まる思い。本日は、わたしがどんな人間であるか、どんな思いを持っているかお話ししたい」と切り出し、次のように語った。
「わたしが歩んできたビル事業の職歴からして、さぞかし皆さんは、三井不動産の保守本流を歩いてきた男だろうと思われるかもしれないが、実際は、来春で丸40年の会社人生を迎える中で、日本橋本社勤務は2009年からの10数年のみ。それまでの長い間は支店や出向などを繰り返し、外からの目線で三井不動産という興味深い企業グループを見つめてきた。
最初の配属先は、今では百数十人の規模になっている横浜支店だが、当時の横浜事業課はわずか4人のスタートだった。今では清算されて存在しない、6年半勤務した三井不動産ファイナンス時代では、バブル崩壊後の不良債権処理に取り組んできた。毎日が砂を噛むような厳しい仕事だった。10年以上勤務した三井不動産投資顧問は金融危機の直後で、リートなどの証券化ビジネスを立ち上げた。
これらの勤務を通じ、今ではなかなか経験ではないディープで濃厚・濃密な会社人生を送ってきた。その時々で多くの社内外の方々に助けられながらやりぬいてきた自負がある」と振り返った。
どのような考え方をしているかについては、「大切にしているのは『妄想』『構想』『実現』という言葉。一人ひとりの突拍子もない妄想に大義があれば仲間が集まり構想になり、実現につながるという、この三段論法を自己実現に向けて常に心がけている」と語った。
不動産業のあり方については、「わたしの経験からして、確かにビル、商業施設などハードな建物をつくり、街づくりを行う意味では不動産デベロッパーだが、これらの事業を通じて産業競争力を強くし、発展させるプラットフォーマーであることを考えると、産業デベロッパーではないかと考えている。つまり、不動産や街づくりなどは手段であって、当社の本質は産業デベロッパーでありプラットフォーマーである」と述べた。
さらに、同社のこれまでの事業を紹介し「わたしがライフワークとしているライフサイエンスをはじめ、日本橋には宇宙、スタートアップ企業、アカデミアが集まり、新たなビジネスが生まれている。今後も取り組みを強化し、産業デベロッパーとして企業や社会、それを構成する人々の発展と成長に貢献していく」と述べ、「当社の羅針盤である『ビジョン2025』の次なる発展形をどこかでお話ししたい。産業デベロッパーとしての『妄想』『構想』『実現』にご期待頂きたい」と締めくくった。
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記者は、植田氏から「日々妄想」「産業デベロッパー」「よそ者、馬鹿者になれる」「日本橋をライフサイエンスの聖地にする」「おせっかいな大家」などのフレーズがポンポン飛び出したのに驚きはしたが、同時になるほどとも思った。
まず「妄想」。妄想とは、「広辞苑」(岩波書店)によれば「①〔仏〕(モウゾウとも)みだりなおもい。正しくない想念。徒然草『所願皆-なり』②〔心〕根拠のない主観的な想像や信念。統合失調症などの病的原因によって起こり、事実の経験や論理によっても容易に訂正されることがない。『誇大-』『被害-』『関係-』-・しょう【妄想症】パラノイアに同じ」(広辞苑)とある。
また、「日本国語大辞典」(小学館)には「(-する)ありえないことを、みだりに想像すること。みだらな考えにふけること。また、そのような想像。空想。夢想」とある。
記者もそうだが、読者の方も植田氏の「妄想」を辞書通り受け取ってはいないはずだが、普通ではなさそうなことは分かる。「日本橋をライフサイエンスの聖地にする」という植田氏のビジョンを聞いたとき、菰田社長は「これは大風呂敷ではないか」と疑ったというエピソードを明かしたことからもそのことがうかがい知れる。
つまり、植田氏の妄想とは、常識的な考えからするとありえない空想、絵空事ではあるが、その常識的な考えが間違っていると仮定したら、妄想こそが事実・現実となる。
記者は、この植田氏の話を聞きながらもう20年くらい前、同社の幹部が〝みだり〟に「不動産はソリューションビジネス」と語っていたのを思い出した。つまり、不動産業は課題解決業だと。今流でいえば社会課題解決業だ。
植田氏が「日々妄想」と語ったのは、この考え方と通底する。絶えず不動産業の現実を凝視し、疑ってかかる姿勢を貫いていると理解できる。そのヒントは、前段で紹介した植田氏の発言の中にある。
約40年の職歴の中で、30年弱は外から、そして、その後の十年余は内から三井不動産の事業を見続けてきたということだ。双方から世界を眺めることで、内外に抱えている課題=妄想をたくましくし、構想として練り上げ、実現してきた。この三段論法の正しさを証明して見せたということだろう。菰田社長は植田氏の発想の豊かさ、交渉能力の高さ、粘り強さを絶賛した。
同じようなことを写真家の今森光彦氏が先の積水ハウスのフォーラムで話した。今森氏は写真を撮るときは被写体と距離を置き、冷静な目で俯瞰し、同時に被写体の中に入り込むようにして、中から見える世界を写し取り、自然と人間の関係性を明らかにするのだと。
「産業デベロッパー」という文言は、植田氏が初めて用いたのではないか。一般的には大手デベロッパー=総合デベロッパーとして理解されている。しかし、劇的に変化、多様化する経済・社会では、従来の発想では課題を解決することは難しいと植田氏は強く感じているのではないか。「産業界に入り込まないとじり貧の一途」とも語った。
〝よそ者、馬鹿者〟〝おせっかいな大家〟として産業界にイノベーションを巻き起こす姿勢を植田氏は示した。BtoCはもちろんBtoBへの事業展開が加速度的に進むのではないか。
「日本橋をライフサイエンスの聖地にする」-この「聖地」にはさすがに驚いたのだが、同社が2019年5月に行った「賃貸ラボ&オフィス」事業開始に伴う記者会見で、当時、同社常務執行役員だった植田氏は「この種の事業は欧米ではけた違いの規模で行われているが、わが国には市場そのものがない。具体的な事業規模は現段階で申し上げられないが、マーケットメークし、当社の6番目の新しい事業に育てたい。『コミュニティ』の構築、『場』の整備、『資金』の提供を3本柱とし、わが国がライフサイエンス産業における世界に冠たるアジアナンバーワンの地位を確立することに貢献する」と話している。(植田氏には、当時書いた、小生の妄想でもある「新木場」をライフサイエンス拠点にできないかと質問したかったのだが、その機会はなかった)
意外だったのは、苦い思い出を記者団から質問された植田氏の答えだった。「辛いことはすぐ忘れる」と前置きしながら、三井不動産投資顧問に出向していたときの2001年9月17日、防衛庁檜町庁舎跡地を1,800億円で同社など6社が落札した舞台裏を明かした。
「当時は、金融危機が収束しておらず、お金を集めるのが大変な時期で、何とかタイムリミット直前の6月に2,200億円のファンドを組成することができた。落札日は娘の誕生日なのでよく覚えているのだが、その1週間前には日本ビルファンドの上場(記者は当日初値で株を買った。そこそこ儲かった)があり、大変な9月だった。しかし、ふたを開けたら2番札の入札価格が1,200億円とかなり差があったことから、高値で入札したのではないかと文句も言われた。そのとき仲間で話し合ったのは、僕らいつか『プロジェクトX』に出ようと。テーマは決まっていて『金のないのに入札に臨んだ男たち』。結果としていいプロジェクトになった」
小生は、この落札が決まる半年前、「落札価格は1,850億円」と予想した全10段の記事を書いた。それがほぼ的中して快哉を叫んだのを思い出す(外れたら袋叩きにあっていたか)。資金集めの担当者が苦労していたことなど初めて聞いた。そんなに厳しかったのか。記者の仕事も取材先の中に潜り込まないといけないということか。
三井不動産 植田俊(たかし)専務が社長に 菰田社長は会長へ 岩沙会長は相談役へ(2022/12/9)
様々な目線でかつてない試み実現 東大・藤田誠卓越教授 「三井リンクラボ柏の葉1」(2022/6/22)
住宅不可の151ha〝処女地〟新木場にライフサイエンス拠点 三井不の新事業(2019/6/1)
三井不動産 植田俊(たかし)専務が社長に 菰田社長は会長へ 岩沙会長は相談役へ
植田氏(左)と菰田氏(東京ミッドタウン日比谷で)
三井不動産は12月9日、社長交代、代表取締役の異動について発表。2023年4月1日付で取締役専務執行役員・植田俊(うえだ たかし)氏が代表取締役社長 社長執行役員に、代表取締役社長 社長執行役員・菰田正信氏が代表取締役会長に、代表取締役会長・岩沙弘道氏が取締役にそれぞれ就任する。
岩沙氏は、2023年6月開催予定の株主総会で取締役を退任し、同社相談役に就任する予定。
植田氏は1961年2月生まれ。1983年4月、三井不動産入社。横浜支店事業課、三井不動産ファイナンス、三井投資顧問などを経て、2011年4月、執行役員ビルディング本部副本部長、2015年4月、常務執行役員 ビルディング本部副本部長、2020年6月、取締役 常務執行役員 ビルディング本部長、2021年4月、取締役 専務執行役員(現任)。
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同社は同日、植田氏と菰田氏が出席して、社長交代に関する記者会見を約1時間にわたって行った。両氏からはとても興味深い話・エピソードが飛び出した。詳細は明日以降に紹介します。
富裕層向け、地方展開、JRとの連携に注目 野村不HD 住宅事業ミーティング
「住宅事業スモールミーティング」(新宿野村ビルで)
野村不動産ホールディングスは11月30日、メディア向け「住宅事業スモールミーティング」を実施し、野村不動産取締役兼専務執行役員 住宅事業本部長・中村治彦氏と同社常務執行役員 住宅事業副本部長・吉村哲己氏が最近の住宅市場や同社の事業などについて約1時間半にわたり説明した。
全般的なマンション市場については、民間調査機関のデータを示しながら好調に推移していると話した。野村不動産HDの2023年3月期第2四半期決算でも、分譲住宅の契約戸数は2,446戸(前年同期比+400戸)となり、計上予定売上高2,800億円程度(前期は2,840億円)に対する契約進捗率は93.8%と好調に推移していることを裏付けた。
同社の顧客動向では、首都圏マンション購入者の平均年齢が38.8歳に対し、同社は41.7歳で、世帯年収1,200万円超の世帯が増加傾向にあるとし、とくに「1億円超などの高予算顧客」が増えているとした。1~1.5億円の購入者は、会社員で5割、30・40代で6割、共働きは4割となっており、高額住戸が多い同社2物件でみると7割が駐車場を希望しない「堅実層」が目立つという。
顧客ニーズの傾向では、テレワークの二極化により、「エリア」「駅距離」「広さ」などの趣向性が多様化しているという。
住宅購入マインドは、首都圏の7割が取得に前向きであるとしながら、エリアによっては支払い余力に差が出始めており、注視が必要とした。環境配慮型住宅への意識は8割が持っているが、予算オーバーでも購入する層は約6%にとどまっていると説明した。
今後の展開については、全国で年間4,000~5,000戸供給を継続し、住まいの総合サイトの開設、販売センターの拠点化を進める。来年1月には新宿に販売センターを開設する。
今後の住宅市場動向では、価格動向、建築費動向、金利動向、住宅ローン控除の改正、コロナによるニーズの変化、ライフスタイルの多様化に注目しており、富裕層が増加していることから高額物件専門の部署を設けたことを明らかにした。
脱炭素の取り組みでは、ZEH仕様の「プラウド向ヶ丘遊園」、低炭素住宅認定の「浦安市日の出四丁目Ⅱ計画」などを来年に分譲する。
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歳をとったせいか、コロナの影響か、どうも最近の小生の記事はキレがなく、冗長・冗漫に流れると自覚しているのだが、その舌の根も乾かぬうちにその愚痴から。
同社のマンションや分譲戸建ては「コープ野村」の時代を含めて40年以上、年間少なくとも10物件は見学してきたのだが、今年は5物件くらいしか見ていない。旧聞のマクロデータを示されたって〝そうなの〟と頷くほかなかった。
やはり〝プラウド〟は他社とどこがどう違うのかをもっと話してほしかった。全館空調「床快Full」と樹脂サッシを採用した「亀戸」は市場を激変させたように、同社のマンションは絶えず市場をリードしてきた。同社もまたメディア向け見学会を頻繁に行ってきたではないか。
まあ、愚痴はこれくらいにして、記者は高額物件専門の部署を新設したことに注目している。野村総研のデータによると、2019年の純金融資産保有額1億円以上5億円未満の世帯は124万世帯で、全体の2.30%を占め、純金融資産保有額5億円の世帯は8.7万世帯で、全体の0.16%となっている。数字は年々上昇している。
2020年以降のデータは示されなかったが、記者は毎年、東京都港区の課税標準額が1億円以上の納税者の推移を調べており、今年度は前年度比241人、23.9%増の1,250人となり、この層の所得割額総額も前年度比65.8%増の約280億円となり、高額納税者数、所得割額とも過去最多だった2020年水準を大幅に更新した。アッパーミドル層も漸増している。
同社は具体的にどの程度の層をターゲットにしているか明らかにしなかったが、記者は坪単価にして1,000万円以上、30坪として3億円以上を視野に入れているのではないかと想像する。高額マンション市場では、同社は三井不動産レジデンシャルや三菱地所レジデンスの後塵を拝している。沓掛英二社長は地団太を踏んでいるのではないか。
もう一つ注目しているのは地方展開だ。同社はこれまで東京圏、関西圏、中部圏を中心に展開してきたが、最近は首都圏に近い政令指定都市や中核都市での供給を増やしており、今期計上予定戸数4,300戸のうち地方は800戸を予定している。同業他社も地方での攻勢を強めているが、同社としては〝プラウド〟のプライドが許さないはずだ。地方でもトップブランドを目指すとみた。
ミーティングで質問することを一つ忘れた。マンションだけでなくオフィス事業などでJR各社とのJVを増やしていることだ。JR各社も鉄道事業が伸び悩むのは間違いなく、今後は社有地の活用や駅ビル再開発など加速させるためにはデベロッパーとの連携は欠かせないはずだ。同社とJR各社の動向に注目したい。
億万長者の人数&所得割額が激増 過去最多 アッパーミドルも漸増 東京都港区(2022/11/26)
天井高2700ミリ 全戸ワイドスパンに高い評価 野村不・JR東日本都市開発「目黒」(2022/7/24)
単価の安さに驚愕 立地よく設備仕様レベル高い 駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30)
街のポテンシャル 劇的に変えた 野村不の商業施設「KAMEIDO CLOCK」4月28日開業(2022/4/26)
「日本で一番スワローズな家」(8,960万円) 発表後6日目で成約 オープンハウス
オープンハウスグループは11月2日、東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーとして10月18日に発表した「日本で一番スワローズな家」(8,960万円)が、発表してから6日目に成約したと発表した。
「日本で一番スワローズな家」はスワローズCS突破記念として企画したもので、対象となったのは神楽坂駅から徒歩1分の13階建て「オープンレジデンシア神楽坂ファースト」(25戸)の専有面積54.80㎡の住戸で、販売価格は「好きな選手1名と記念撮影」ができる特典付きの8,960万円(坪単価540万円)だった。
同社グループはまた「スワローズスポンサーの応援の記録」のPR TIMES STORYを公開。村上選手が神宮球場で56本塁打を放ったら「1億円の東京の家」プレゼントすると発表した9月4日以降の舞台裏を明かした。
PR TIMES STORYでは、企業版ふるさと納税を利用した地方自治体への支援を行っており、荒井正昭代表個人は故郷・群馬県に10億円を寄付、就学支援を必要とする世帯の子どもたちを対象とした基金を設立したこと、企画発表以降、毎回広報メンバーが球場に手製の「KAMIメーター」を持参して応援し、社内で社内ではパブリックビューイングを実施したこと、56本を放ったときは「感動で涙をながしながら、直後の電話取材を受けた」ことなどがつづられている。
試合に通い続けた広報宣伝部の矢澤氏は、自身も箱根駅伝に出場、2009年箱根駅伝で区間賞、2011年箱根駅伝で優勝した元・アスリートであることも公表した。
社内のパブリックビューイング
スワローズCS突破記念 好きな選手と撮影付きマンション8,960万円 オープンハウス(2022/10/18)
村神様 祝56号!三冠王も確定 オープンハウス「1億⇒3億円の家」に大幅増額(2022/10/4)
スワローズCS突破記念 好きな選手と撮影付きマンション8,960万円 オープンハウス
東京ヤクルトスワローズのトップスポンサーのオープンハウスグループは10月18日、ヤクルトがクライマックスシリーズ突破を記念して「日本で一番スワローズな家」を実施、マンションの1戸を「8,960(ヤクルト)万円」で分譲し、特典として「好きな選手1名と記念撮影」を用意したと発表した。
対象となるマンションは、東京メトロ神楽坂駅から徒歩1分、新宿区神楽坂6丁目に位置する13階建て「オープンレジデンシア神楽坂ファースト」(25戸)の専有面積は54.80㎡で、販売価格は8,960万円(坪単価540万円)。竣工予定は2023年8月下旬。
問い合わせはこのメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。まで(期間:2022年10月31日まで)
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いいね! やや品に欠けるがこのような企画に大賛成。オリックス(大京)はどうした。負けた阪神(阪急阪神不動産)、巨人(三井不動産レジデンシャル)、西武(西武プロパティーズ)、日ハム(日本エスコン)も応援感謝セールをやってはどうか。
相場としては安いような気もするが、「神楽坂」の価格についてはコメントしない。評価するのはマンション購入検討者だ。好きな選手と記念写真が撮れる価値も人それぞれ(小生は西武の松井さん&東尾さんと焼肉店で記念写真を撮ったことがあるし、野村さんとも話したことがある。倉持さんはRBA野球リストの、G.G佐藤さんはトラバースの監督だから、いつもお会いしている。ものすごい価値があると思う)。
神宮外苑に総力を注いだ「つば九郎ハウ巣」公開 オープンハウス(2022/10/10)
村上選手「3億円の家」プレゼント 現段階で未定 戸建ての可能性大 オープンハウス(2022/10/10)
「島田、よくやった」村山会長 「MIRARTH HD」創業50周年祝賀会に1,100名
「MIRARTH(ミラース)ホールディングス 創業50周年記念祝賀会」(パレスホテル東京で)
島田氏
「MIRARTH(ミラース)ホールディングス」は10月13日、「創業50周年記念祝賀会」をパレスホテル東京で開催。今年9月に創業50周年を迎えたのを機に10月1日付で持ち株会社体制に移行し、商号を「タカラレーベン」から変更したのを祝すイベントで、同社代表取締役兼グループCEO兼グループCOO兼社長執行役員に就任した島田和一氏は「不動産総合デベロッパーの枠を超えて、50年、100年の未来を志向する未来環境デザイン企業へと進化させていく」と挨拶した。
創業社長でタカラレーベン取締役会長・村山義男氏(76)も奥さんと車椅子で参加し、発声することはできなかったが、血色はとてもよく「島田、よくやった」と言いたげだった。
祝賀会には、村山氏の高校時代の同期で山田建設会長・山田健治氏(76)も出席。「村山は臆病(慎重=記者注)だったのが幸いした。だからバブルを乗り越えられた。引き際も立派だった。島田さんはいいところを引き継ぎ、新しい事業にチャレンジしここまで成長させた」と称えた。
また、村山氏と山田氏と同い年の日神グループホールディングス創業者の神山和郎氏(76)が登壇し、「村山さんと山田さんと組めば何かできると考えたときもあったが、実現しなかった。後悔している。島田さんには業界のリーディングカンパニーになって業界を引っ張っていただきたい」と祝辞を述べた。
祝賀会には招待客約850名、社員約250名、合計約1,100名が参加し、同ホテルのコロナ以降の最多参加者イベントとなった。
村山氏
山田氏(左)と神山氏
左からMIRARTH(ミラース)執行役員・手島芳貴氏、同・原忠行氏、レーベンコミュニティ代表取締役社長・保東實氏
〝業界のレディ・ガガ〟ことMIRARTH(ミラース)執行役員・髙荒美香氏
吉永小百合さんと八千草薫さんを足して2で割ったミューズワン社長・小林美穂氏(左)と不動産経済研究所前社長・角田勝司氏
浮利を追わず 今後も貫くか 「MIRARTH(ミラース)HD」へ移行 タカラレーベン(2022/10/1)
村上選手「3億円の家」プレゼント 現段階で未定 戸建ての可能性大 オープンハウス
プロ野球ヤクルトスワローズの村上選手が、ペナント最終戦の143試合目で巨人・王選手の記録を抜く56本の本塁打を神宮球場で放ち、なおかつ86年のプロ野球の歴史の中で、わずか7人しかいない本塁打、打点、打率でトップという「三冠王」を、しかもプロ入りしてから5年目の22歳という史上最年少で獲得したことから、同チームのトップスポンサーであるオープンハウスグループが当初公表していた「56本以上打ったら東京の家1億円プレゼント」を、荒井正昭社長の〝ツルの一声〟で「好立地の東京の家 上限価格:3億円(税込)プレゼント」に大幅修正したことから、その成り行きが注目されているが、いまのところ動きはなく、ヤクルトがCSに負けたらその後、あるいは日本シリーズまで勝ち進んだら、話し合いはシリーズ最終戦の10月30日(日)以降になることが分かった。同社グループ広報担当者が明らかにした。
記者は、同社グループが分譲している価格が3億円のマンションはないはずで、同社グループが分譲(仲介もありか)する土地に建物を建てて贈呈する可能性が高いのではないかと考え質問した。広報担当者はそれを否定しなかった。
地価公示では、都内の高級住宅街の住宅地は坪単価200~300万円で、都心の商業地は1,000万円前後だ。村上選手が田園調布や成城学園を希望する可能性は低く、ヤクルトの本拠地の神宮外苑周辺となると30坪で約3億円だ。それだと建物が建たないので、もっと狭くなるのか。
記者が「渋谷区北参道には坪1,000万円で1戸3億円くらいのいいマンションが分譲されていますが、他社物件は対象外ですか」と聞いたら、「他社物件を仲介してプレゼントすることは考えていない」とのことだった。やっぱり、渋谷区あたりの敷地が20坪くらいの戸建てになるのか。(渋谷区内でも地区計画で最低面積を30坪以上と定めているところあり)
RBA屈指の好投手・川崎引退 大阪桐蔭・中田と同期の謝敷も戦力外か オープンハウス
コロナの影響でこの3年間は中止を余儀なくされているが、平成元年に始まった三十余年の歴史を誇る、不動産・住宅・建設業などを横断的に束ねる、参加チームが属する約60社の売上高をトータルすると40兆円にもなるRBA野球大会の歴史に名を刻む、屈指の好投手、例えればオリックス山本投手かソフトバンク千賀投手のような(わが西武ライオンズの高橋、今井投手はいい投手ではあるが甘い。下位打線に四死球を与え、自らピンチを作り、最強打者に3ラン、満塁弾を打たれる。考えたほうがいい。増田投手ももはやストレートは通用しない)、ノーヒットノーラン試合を何度も達成したオープンハウスの明大卒の川崎投手が、投げ過ぎによる肩やら肘の痛さに耐えかねたのか、寄る年波には勝てないのか、昨季か今季に引退を表明した。
さらにまた、大阪桐蔭時代は日ハム-巨人の中田選手と同期で中田選手の前後を任されていた、明大卒の巨砲謝敷選手も、肝心の本業では業績が絶好賞の同社グループ荒井正昭社長に一番可愛がられ、社長室に元気で勤務しているそうだが、最近4人目の子どもが生まれたそうで(もちろん産んだのは奥さんのはず)、子育てに忙しいか、玉を打ち尽くして空砲になったかは定かではないが、野球は戦力外となる可能性は否定できない。
担当者は「有力な新人も入っている」と話したが、川崎や謝敷を超える選手かどうかはやってみないと分からない。ピンチだ!オープンハウス!
以上は同社グループの広報担当者が明らかにしたもので、本人に確かめたわけではない。虚報、誤報かどうかは分からい。記者も責任は取らない。
「有力新人が入った。来年は優勝だ」 オープンハウス光永監督 吠える(2021/7/23)