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「薪火グリルazer(アゼル)」(カウンターの目の前に薪窯がある)

 保存料や化学調味料を一切使用しない、素材のおいしさをそのまま味わえる飲食店「薪火グリルazer(アゼル)」が11月22日(金)、小田急線「代々木八幡」駅近くでオープンする。開業を控えた11月15日(金)、マスコミ試食会が行われた。

 「azer」はペルシャ語のアゼル=炎という意味で、保存料や化学調味料を一切使用せず、エゾシカや軍鶏などのジビエ、短角牛、豚、鶏などの肉や自然栽培の季節の野菜のグリルやサラダが提供される。人気NY系グリルレストランに長年勤務した川端康介氏が独立して開業するもの。店は、小田急線代々木八幡駅から歩いて数分、渋谷区富ケ谷1-51-12。広さは20席/10.4坪。 

 出店に当たっては、飲食店の独立・開業支援を行っている株式会社上昇気流がサポートしている。

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薪窯

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川端氏

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 案内状が届いたときは〝不動産に関係ない〟とためらったのだが、〝誘われたら断らない〟のが記者のモットーなので参加した。「命を大切に頂く」コンセプトがいいではないか。

 店内は、サクラの薪がパチパチと音を発し、勢いよくめらめらと燃えていた。田舎育ちの記者は、焚火を囲みながら大人たちのあけすけな身もふたもない猥談を含む世間話を聞きながら育ち囲炉裏火、炭火、漁火、迎え火、送り火、煙火などは日常だったし、付け火などは全くなかったのでとくに驚きはせず、逆に、ゆらゆらと揺らめく暖炉にはらはらと涙し魅入った青春時代を思い出したのだが、最近の人はこのような炎を見る機会はほとんどなくなったのではないかと感慨を新たにした。

 この日供された蝦夷鹿ロース、短角牛Lボーン、プラザオラ(塩漬け)、赤ナス(ヒゴムラサキ)、豚サラミなどは最高に美味しく、本場ドイツ・ゾーリンゲンのナイフの切れ味もよかった。

 中でも赤ナスが絶品だった。薪火の遠火で10分くらいかけてじっくりグリルされたもので、マシュマロのように柔らかく、口腔に甘みが広がった。生でも食べられるのに、たっぷり時間をかけて蒸し焼きされるナスも食べられ甲斐があるというものだ。「本当はもっと時間をかけたかった」と話したスタッフの声にまた驚いた。

 鹿肉も美味しかったのだが、鹿と言えば、そのまま冷凍保存し、スライスしてルイベ状で刺身として食べるのが一番おいしい。赤みの色が美しく、低カロリーなので記者のような糖尿病でもたくさん食べられる。日本酒はもちろん、ワインは赤でも白でもいける。いつもお世話になっている競走馬を思い出し、〝かわいそう〟が先立つ馬刺しとは比べものにならない。

 鹿の生肉を食べたことからE型肝炎を発症した事例が報告され、厚労省が自粛を呼びかけたことから飲食店では供されることがなくなった。残念。

 店の印象としては、薪を燃やすための酸素を送り込む機器と排煙設備の音がやや気になり、店舗デザインにもっと工夫を凝らすべきではないかと感じた。料理を引き立たせる音やデザインの役割は大きいはずだ。

 まあ、残り火のような記者などの年寄りがメインではなく、火傷を恐れず愛やら恋の火蓋を切るのにもってこいの店なのだろう。隣の女性に「30代ですか」と口火を切ったら、「53歳です」と返ってきた…。会話に点火するどころかたちまち消火鎮火した。

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この日供された料理の一部

カテゴリ: 2019年度

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GICROS GINZA GEMS」(ジクロスギンザジェムズ)

野村不動産は1116日、同社が企画監修・設計監修を行い、グループ会社のNREG東芝不動産が運営する「みゆき通り」「と外堀通り」が交差する銀座の一等地に商業施設GEMSシリーズ13棟目の「GICROS GINZA GEMS」(ジクロスギンザジェムズ)をオープンする。開業に先立つ12日、メディア試食会を行った。

物件は、東京メトロ銀座駅から徒歩2分、中央区銀座六丁目に位置する敷地面積約276㎡、鉄骨造(一部鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)地下3階、地上11階建て延べ床面積約841㎡。

建物外観に立地特性にふさわしい市松模様を採用。キービジュアルも市松模様をベースに展開していく。

低層階(地下1階~2階)には物販店舗の旗艦店、空中階(3階~11階)には世界初出店を含む飲食店舗が入居する。

野村不動産は、GEMSシリーズの開発を年間4棟前後のペースで進め、2028年までに40棟の開発を目指している。

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「上杉 銀座本店」

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個室(壁際には百数十万円しそうな瘤付き古木がさりげなく置かれていた)

 

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 他の取材があり、記者が駆け付けたのはイベント終了30分前。同業者の後について最初に入ったのが5階の米沢牛が売りの「上杉 銀座本店」だった。店舗を見るだけにしようと思ったら、スタッフと店を経営するエヌディエス代表取締役・情野薫氏から米沢牛とサラダ、赤ワインを勧められ、しばし歓談。

 記者は肉をあまり食べないが、なにせ本場松坂牛の三重県出身(地元の人間は臓物のなぜそう呼ぶのか分からないが〝とんちゃん〟をよく食べた)だし、米沢は個人的にも縁ある場所で、米沢牛の美味しいのはよく知っている。

 そして何よりも店の名称にも採用されているように、山形は米沢藩主・上杉鷹山を生んだ地だ。記者は政治家や経営者をよく知らないが、童門冬二氏の小説「上杉鷹山」(集英社)を読んだ限りでは近現代のもっともすぐれた政治家&経営者のような気がする。さらにまた、山形県は土門拳、藤沢周平、井上ひさし、丸谷才一など著名な作家・芸術家を輩出しており、好きな県の一つだ。

「上杉 銀座本店」には、専用の化粧室付きの10人くらいが利用できる壁全面が大谷石で張り巡らされた個室もある。客単価は1~数万円とみた。

他の店は、7階の焼き肉店「山科」を少しのぞいただけだが、帝国ホテルのレストランとも競える客単価の高い店が揃っているようだ。「肉屋田中」のおまかせコースは35,000円とか。

カテゴリ: 2019年度

 「KAWAII Japanese Room - Addicted to TOKYO」の追加予約申し込みは失敗した。15:00前にホームページを開いたまではよかった。しかし、15:00丁度に更新することを忘れたので、画面には「申し訳ございませんが、この宿泊施設は現在、当サイトで予約を受け付けておりません」しか表示されず、数秒後に更新ボタンを押さないといけないことを思いだし、予約画面に切り替わったので、住所やらを記入し、予約ボタンを押そうと思ったら、クレジットカード番号を問われた。これで小生はアウト。

 普段クレジットを小生は携行しない。〝落とすと心配だからとか、あなた持ってるとジャンジャン使うから〟などの理由でかみさんに渡してもらえないのだ。

 事前には、予約ボタンを押すだけでいいと聞かされていたのに…。残念。ケッ、クソッ。〝ハレとケ〟の「ケ」は記者が日常的につぶやく「ケッ」のことか。

ハレルヤ! 増田セバスチャン監修〝ハレ〟を演出したホテル一泊2020円 本日受付(2019/11/14)

カテゴリ: 2019年度

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「KAWAII Japanese Room - Addicted to TOKYO」

 世界最大級の宿泊予約サイトBooking.comの日本法人ブッキング・ドットコム・ジャパンは11月14日(木)15:00、先に実施した宿泊施設「KAWAII Japanese Room - Addicted to TOKYO」が好評だったことを受け、11月18日(月)、19日(火)の2泊分を予約サイトで世界同時予約を受け付ける。

 「KAWAII Japanese Room - Addicted to TOKYO」は、ブッキング・ドットコムと増田セバスチャン氏がコラボレーションし、「MIMARU東京赤坂」(港区赤坂7-9-6)内の一室に「東京に夢中!」というコンセプトで表現した豪華絢爛な宿泊部屋。屋上には、ライトアップされたキノコが設置されている。

 11月13日~15日の3泊分を受けつけたところ瞬時に申し込みが入ったことから、11月18日と19日の2泊分の追加予約を受け付けるもの。

 客室面積は約40㎡。1泊あたりの料金は2,020円。定員は1泊2名。宿泊者には増田セバスチャン氏がデザインしたオリジナルの浴衣がプレゼントされる。

 予約はネット申し込みのみで先着順。予約に関する詳細は次のリンク。https://www.booking.com/hotel/jp/kawaii-room.ja.html?

 増田セバスチャン氏は1970年生まれ。90年代より演劇・現代美術の世界で活動をはじめる。独特な色彩感覚からアート、ファッション、エンターテインメントに渡り作品を制作。日本のKAWAII文化を牽引する第一人者。京都造形芸術大学客員教授、ニューヨーク大学客員研究員。

 ブッキング・ドットコムは1996年、アムステルダムで設立。多種多様な宿泊施設への予約をワンストップで提供しており、世界最大の宿泊施設数を誇り、リスティング数は2,800万件以上。うち620万件以上が旅館や民泊などの宿泊施設。

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増田セバスチャン氏

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屋上のアート〝きのこ〟

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〝washitsu〟

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 「KAWAII Japanese Room - Addicted to TOKYO」は11月16・17日(土日)限定で一般に公開されるが、公開に先立つ11月12日、メディア向けに内覧会が行われた。

 公開されたのは、コスモスイニシアの「MIMARU東京赤坂」の1室約40㎡。客室に入った途端、床から壁から天井まで増田セバスチャン氏のアートで埋め尽くされていた。多少は芸術を理解する記者も〝常識〟を超越したピンクを中心とした色彩と柄に仰天唖然呆然自失、色をなくしたが、増田氏は「京都二条城の賓客をおもてなしする客間にヒントを得た。侘び寂ではない〝ハレとケ〟の〝ハレ〟のの非日常を表現した。違和感を覚えるかもしれないが、5分もすれば慣れる。最初の予約は〝秒殺〟で決まったように、間違いなく支持される。通常価格の1.5倍でも受け入れられるのではないか」と平然と話した。

 増田氏の話を聞いて記者も即決で申し込みことを決めた。色彩は派手ではあるが、露悪的では決してない。全体的に統一もされていて美しい。感性豊かな子どもは大喜びするはずだ。15:00きっかりに受け付けるということなので、1,000人が同時に申し込めば1000分の1秒の争いか、いや万に一つか。宿泊が決まったらレポートするが、誰と泊るか、これが問題だ。

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「MIMARU東京赤坂」エントランス

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「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」

 わが国の初の〝見た目〟木造高層建築物が完成-三井不動産は11月12日、新国立競技場に隣接するホテル「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」の記者発表会・内覧会を行った。建築基準法では鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建てだが、外観ファサードに反りを取り入れ、客室バルコニーの側壁と上裏(軒天)に本物のスギ材を張り巡らせていた。記者は感動のあまり〝杉乃木ホテル〟と命名した。11月22日に開業する。

 物件は、都営大江戸線国立競技場駅から徒歩1分、新宿区霞ヶ丘町に位置する鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建て362室。客室は18.5~50.9㎡(中心は24.㎡)。設計は日建設計、施工は清水建設。土地所有者は明治神宮。三井不動産が定期借地として賃借し、三井不動産ホテルマネジメントが運営する。

 客室は扁平梁とガラスの手すりを採用することで、室内から眺める視界が広がる設計を採用。屋上にはルーフトップテラスを配置。1階には、RYコーポレーションが運営するモダンイタリアンレストラン「RISTORANTE & BAR E'VOLTA」(リストランテ&バー エボルタ)が出店するほか、一般社団法人ダイアローグ・ジャパン・ソサエティが提供する体験イベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の常設会場が出店する。

 発表会で同社ホテル・リゾート本部長 ホテル事業部長・小田祐氏は、「当社ホテルブランドの〝プレミア〟シリーズとしては5棟目。たぐいまれな緑に囲まれた都心のど真ん中に立地しており、関係者からは〝こんなホテル他にない〟と評価されている。あらゆる層にディスティネーション目的として利用していただけるよう価値向上を目指す」と語った。

 客室単価は2万円以上を目指す。ルームチャージは最低26,000円からとなる模様。

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外観デザイン

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バルコニー

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ルーフトップテラス

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大浴場のドレッシングルーム(ドライヤーは5万円のダイソン。我が家の小生は4,000~5,000円で、かみさんは15,000円とか)

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客室

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 この日の発表会・内覧会を心待ちにしていた。どんなホテルになるのかと。現地は明治神宮外苑水泳場跡地。記者はその施設と隣接する飲食店をよく知っている。30年昔から取材しているRBA野球大会の会場となっている神宮外苑軟式野球場に通っていたからだ。いつも新国立競技場とこのホテルをJR中央線・総武線の車中から眺めている。ホテルの格子デザインが実に美しい。

 しかし、木材を多用している新国立競技場に調和させる意図は理解しつつも、「木」らしき外装は〝フェイク〟だと決めつけていた。

 この日の発表会・内覧会でも、次のように最大限の皮肉を込めて質問した。「内装材には本物の木を採用しているようだが、外観は(ケミカルの)パネルではないか。本物の木を使う勇気はなかったのか」と。

 あにはからんや。小田氏は「わたしの説明が不足していました。外壁は本物の木です。スギ材です」といけしゃあしゃあとのたまうではないか。

 これには仰天した。すぐ「申し訳ありません。大変失礼な質問をしました」と謝るほかなかった。穴があったら逃げ出したくなるような恥ずかしい思いをした。

 しかし、ただでは起きないのが記者だ。すぐ態勢を立て直し、以下の質問を用意した。

 ①耐火・防火の法規制をどうしてクリアしたのか②内装・外壁にどれほどの木を採用しているのか③コスト・メンテナンスはどうするのか④このホテルはわが国の木造による中高層建築物の嚆矢にならないか-などだ。

 現段階ではこの質問に対する答えは得られていないが、必ず施主の三井不動産、設計を担当した日建設計、施工の清水建設から聞いてレポートする。

 その結果によっては、また大恥をかくことになるかもしれないが、〝見た目〟の本物の木造〝杉乃木ホテル〟(杉乃井ではない)と命名したのは間違っていないはずだ。杉板の厚さは3cmくらいか。バルコニーのデッキ床はケミカル製品だった。

 客室、その他の設備仕様レベルは、これまで取材した同社の〝プレミア〟シリーズのなかでも最上クラスとみた。レセプションロビーのカウンター周りは名栗仕上げ、エレベータホールや壁は本物の木材が使用されていた。

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レストラン(ベーカリー)

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隣接する緑地から

シンプルで端正な姿が美しい 三菱地所 わが国初のCLT高層「高森」完成(2019/3/14)

木造とコンクリートの見事な調和を図った「木材会館」(2012/10/2)

 

 

 

 

カテゴリ: 2019年度

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記者団の注文に応じデモンストレーションして見せる林市長

 横浜市は11月7日、「SDGs未来都市・横浜」の実現を目指すプロジェクトの一つとして、アキュラホームが開発した「カンナ削りの“木のストロー”」の横浜版「SDGsストロー・ヨコハマ」を完成させ、12月1日から販売を開始すると発表した。

 「カンナ削りの“木のストロー”」は、持続的な森林保全と廃プラ問題の解決を目指して〝カンナ社長〟で知られるアキュラホームが開発。間伐材などの木材を1mm以下に薄くスライスし、手作りでストローにしたもの。G20大阪サミットやG20関係閣僚会議でも採用されるなど関心が高まっている世界初の商品。

 「SDGsストロー・ヨコハマ」は、同社とわが国のSDGs取り組みではトップランナーの横浜市が連携して商品化したもので、市が保有する山梨県道志村の水源林の間伐材(スギ)を「木のストロー」用に薄板にし、厚労省の認可を受けた市内の障がい者の雇用を促進する目的の会社や障がい者地域作業所で製造、市内の飲食店・ホテルなど向けに販売していく。月産1万本で、1本50円(本体価格)で12月1日から販売する。

 林文子横浜市長は同日行われた定例記者会見で、「今回のプロジェクトは、プラスチックごみ対策、地球温暖化対策の『環境』と、ビジネス機会・雇用の創出という『経済』、市民・企業の環境意識の醸成という『社会』の統合的解決を図る市の目指すものと一致しており、実現したことは大変うれしい。今後、他地域へも普及したい」などと語った。

◇      ◆     ◇

 林市長も同社執行役員・滝川健司など関係者も話したが、一般家庭などへ普及させるための壁は厚い。価格だ。ストロー1本の値段は、プラスチック製が0.5円なのに対し、横浜産「木のストロー」は50円。林市長は「木の香りがする」「デザインが美しい」「手になじむ」などと精いっぱいのリップサービスを行ったが、お金持ちはいざ知らず、一般の主婦、あるいは主夫が1本50円もするストローを買う気には全然ならないはずだ。いくら環境問題に理解を示しても、懐に余裕はない。これでは勝負にならない。アキュラホームは1本10円を目指しているようだがそれでも高い。

 林市長、脱プラを本気で進めるなら、プラスチック製ストローを製造するメーカー、使用する飲食店、スーパーなどに重税を課し、逆に木のストローを使用した店・個人は税の減免をしてはどうか。

 わが家はストローなど全く使わないし、外でもストロー付き牛乳や野菜ジュースを飲むのは年に数回しかない。林市長も使ったことがありそうな麦わらストローを復活したら受けるのではないか。使った後は帽子にもなる。木のストローはスギ材もいいが、クスノキもいい。記者はいつも葉っぱをちぎって匂いを嗅ぐ。鎮静剤の役割を果たしてくれる。

アキュラホーム&キャピトル東急 世界初の「木材ストロー」開発・導入へ(2018/12/11)

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「三井不動産ロジスティクスパーク(MFLP)船橋Ⅱ」

 三井不動産は11月5日、ロジスティクス事業説明会を開き、2012年4月の事業参入から開発案件は計画中も含め40物件、総床面積は同社のオフィス事業と同じ約360万㎡にのぼり、累計総投資額は約5,700億円に達すると発表した。

 計画総延べ床面積が約70万㎡という「街づくり型ロジスティクスパーク」の旗艦施設「MFLP船橋」では、第Ⅱ期計画「MFLP 船橋Ⅱ」と付帯施設の「MFLP 船橋・&GATE」が2019年10月に竣工。「MFLP 船橋Ⅱ」は免震構造を採用。第一弾の「MFLP 船橋Ⅰ」と外観デザインの統一を図り、72時間の非常用発電設備を備えたほか、施設従業員の満足度向上施策としてラウンジ、スカイデッキ倉庫内全館空調、セキュリティゲート、顔認証システムを採用するなどBCP設備を充実させた。最上階はオフィスフロアにする。

 「MFLP 船橋・&GATE」にはカフェテリア、シャワー・更衣室を完備したフィットネスルーム、保育施設(企業主導型)、オープンオフィススペース、レストルーム、トランクルーム・ワイン倉庫機能を備えたストレージサービスなどの機能を整備。入荷から出荷まですべての物流業務フローを自動化した「フルオートメーション物流モデル」を展示する物流ICTショールームも併設する。

 「MFLP 船橋Ⅱ」のテナントは8割が決まっており好調なことから、延床面積約268,400㎡の第Ⅲ期計画「MFLP 船橋Ⅲ」を前倒しで開発に着手。「MFLP 船橋Ⅲ」と2021年6月の同時竣工を予定している約20,000㎡の「緑地 空間」には、国際レベルの60m×30mのスケートリンクを併設する。

 今回、新たに発表したロジスティクスパーク(MFLP)は「八千代勝田台」「鳥栖」「所沢」「大阪交野」「海老名」の5物件。タイで地元デベロッパーと共同で開発を進めている海外事業第一弾となる案件は2物件合計で敷地面積は約54万㎡、総延べ床面積は約25万㎡、総投資額は約185億円(同社は約半額)となる。2020年に開業する。

 記者説明会に臨んだ同社常務執行役員ロジスティクス本部長・三木孝行氏は、事業が順調に伸長していることを受け「『MFLP船橋』は日本一、世界初、これ以上のものはない」とアピールし、「国や各社とも連携を図り、知恵を出し合い、物流から自動運転にトライしていく」などと自動運転にも言及、意欲を見せた。

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三木氏

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 三木氏は記者説明会で「わたしの話より気合いを入れてつくったムービーを見ていただきたい」とムービーを紹介した場面もあったが、ほとんど約1時間を事業説明と質疑応答に割いた。この間、大成功に終わったラグビーW杯日本大会を意識したわけではないだろうが、〝日本一〟〝世界一〟〝トライ〟などを連発した。ロジスティクスには疎い記者も引き込まれてしまった。

 そして何より驚いたのは、2012年に事業に参入してから開発案件の合計延べ床面積は同社のオフィス面積とほぼ同じ360万㎡に上ると説明したことだ。

 同社の「霞が関ビル」が竣工したのは1968年だ。それから50年以上かけて実績を積み上げてきたオフィスの延べ床面積と同じ規模をわずか7年で肩を並べるまでに成長させるとは…もう絶句するほかなかった。

 三木氏は急速に事業を拡大できた要因として、入札には参加せず相対取引に徹してきたことを上げた。上場会社だけで40社近くある既存ロジスティクス事業者は何をしているのだろうという疑問も新たに沸いた。

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「MFLP船橋」計画図

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セキュリティゲート付きエントランス

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「MFLP 船橋・&GATE」

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カフェテリア

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 三木氏の話を聞きながら考えたことがある。建ぺい率、容積率だ。配布された資料に記載されている新規プロジェクトのうち「船橋Ⅱ」「船橋Ⅲ」の容積率は400%と思われるが、それ以外の5物件はすべて200%のはずだ。用途地域は分からないが、おそらくすべて準工業地域のはずで、建ぺい率は60%、容積率は200%ではないかと思われる。

 これを緩和してはどうかということだ。もちろん闇雲に規制を緩和するのは問題だろうが、立地条件や計画によってはオフィス、その他の用途利用は十分考えられる。同社の「インダストリアルパーク羽田」のオフィスフロアの天井高は実に5mもあった。

 建ぺい率、容積率を緩和すれば、その分地価を押し上げることにもなるのだろうが、賃料を引き下げることにもつながるはずだ。準工での〝住工共存〟〝複合タウン〟もいいのではないかと考えるようになってきた。オフィスやスケートリンクを誘致する同社の〝街づくり型〟ロジステックス事業は倉庫=嫌悪施設という記者の既成概念を根底から覆す。

 東京都の場合、準工地域の建ぺい率、容積率はそれぞれ原則として60%、200%としているが、土地の利用状況や都市型工業などの育成を図るべき区域は建ぺい率、容積率は最大それぞれ80%、500%にすることができるとしている。

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オープンオフィススペース

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フィットネスルーム

アナログの世界に楔IoT活用で物流市場を変えるHacobu多業種と連携し課題解決構想(2019/9/22)

梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2019/7/5)

カテゴリ: 2019年度

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芳井社長がいたく感動した祝詞(部分)

既報のように、大和ハウス工業は1029日、横浜市栄区の「上郷ネオポリス」で建設を進めてきたコンビニ併設型コミュニティ施設「野七里(のしちり)テラス」が完成したのに伴うオープニングセレモニーを実施したが、同社・芳井敬一社長が「(竣工式の)これほど心がこもった祝詞は聞いたことがない」と語った。

好奇心が旺盛でかつへそ曲がりの記者は、この言葉に素早く反応した。祝詞はこれまでも取材先で何回か聞いているが、そもそも〝神様 仏様 稲尾様〟とすがったこともあるが、〝どこに神や仏がいるのか〟と呪ったことも一度や二度ではなく、つまり神や仏など信じていないし、あの間延びし勿体ぶった「かしこみ かしこみ もうす」の詞は実に退屈でほとんど意味が分からず、だしぬけに「だ・い・わ・は・う・す・こ・う・ぎ・ょ・う・か・ぶ・し・き・が・い・し・ゃ・だ・い・ひ・ょ・う・と・り・し・ま・り・や・く・し・ゃ・ち・ょ・う・よ・し・い・け・い・い・ち・ど・の…」などと企業名やらの現(うつつ)が延々と述べられるのに違和感を覚えるのだが、数えきれないほどの祝詞を聞いているはずの芳井社長がいたく感動された祝詞とはどんな内容なのか、古酒のような味わい深い古典のようなものか知りたくなり、同社広報にお願いし、神主様からも了解を得て、全文を送ってもらった。

それを1時間かけてワードに書き写した。文字数にして1,000字強。そのまま紹介しても記者本人も読者のみなさんもちんぷんかんぷんだろうから、さらに2時間くらいかけて記者なりの解釈を( )書きで加えた。間違っていたらごめんなさいと謝るほかない。

さて、芳井社長はどこの部分に感動されたのか、これがまた分からない。当たり前だ。数えるほどしか経験しておらず、意味もろくに分からない、つまり馬の耳に念仏の記者に神の声が届くわけがないということをいまようやく分かった。何だか3時間もかけたのが徒労だったような気がしてきたが、一人でも二人でもこの祝詞を読まれて芳井社長のように感動される業界の人がいれば神主様のご厚意も同社広報担当者の努力も報われる。みなさん、どうか最後まで以下の祝詞を読んで頂くよう恐み恐み白すか・し・こ・み・ か・し・こ・み・も・う・す)。

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芳井社長

             ◆     ◇

祝詞(のりと 祭事に神道にのっとり神様に仕える神主が神様にささげる言葉・歌)

打見せる(接頭語か。ちょっと見たところ)物皆清く美しく装(よそおい)成れる是の野七里(のしちり)テラス新築工事(たくみのわざ)の広庭(美化語。おダイコンと一緒。実際は広庭と呼べるか微妙)の真中を厳(おごそか)の斎竹(いみたけ)注連縄(しめなわ)引廻らし刺立て(葉のついた青竹にしめ縄を張り、四方に張り巡らす)招ぎ奉る掛巻も綾に畏き(かしこき 畏れ多き様子)屋船二柱大神(やふねふたはしらおおかみ)袚戸四柱大神(はらえどのしちゅうのおおかみ)大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)産土大神(うぶしなのおおかみ)と称え奉る思金(おもいかね)神社に鎮り奉り坐す八意(やごころ)思金大神下照姫神(したてるひめかみ 女神)等大前(おおさき 神や天皇の前を敬っていう語)宮司(ぐうし 神職)恐み恐み(かしこみかしこみ 謹んで)も白さく(もうさく 言う)現代の進み行く隋々(すみずみ)に社会の人等生活の状態(さま)も千々(ちぢ)に変わりつつ万に移り行くに伴い是の横浜栄区野七里に便利宜しき上郷ネオポリスの町作りの一還(一環の誤りか)として清き赤き(清き明きとも書く 清きさま)真心こめて奉仕の誠を尽し如何にしても実現せねばならぬと一念発起し上郷ネオポリス自治会・上郷ネオポリス町作り委員会が仲執(なかとり)持ちて関係ふ(かかずらう)諸人等深く思いを凝(めぐら)して相議(あいはか)りて其の甲斐(かい)在りて此の処に工事の鍬(くわ)を入れしは去(すぐ)る令和元年五月二十七日の事とは在りぬこれの町作は年号も変りし発(はじ)めの年五ケ月の間(ほど)にて大神等の甚(いと)も尊き御神徳(みいず)を蒙(こう)ふりて滞り事なく過つ事なくメーン(メイン)テナントなる施工主大和ハウス工業㈱代表取締役社長芳井敬一位(この位は名前の後についているが、「殿」とでもいうのか) 株式会社ローソン執行役員開発本部長千尋俊彦氏位 大和リビング㈱代表取締役社長明石昌位 山岸建設㈱代表取締役社長山岸邦太郎位 ピースアーキテクツ代表取締役浦野幸一位 上郷ネオポリス自治会の長家成栄子位 上郷ネオポリスまち作り委員会座長吉井信幸位 等を始め万の装(よそおい)設計(もくろみ)の如く今日はしも工匠等が巧に残し隈なく美しく造り竟(を)へぬるを以て歳の中に八十日日(やそかび) 多くの日。生まれて80日の赤ちゃんではない)は有れども今日を生日(いくひ)の足日(たるひ いい日のこと)と選び定める新室祝(ほがい)の御祭(みまつり)仕(つかえ)奉(まつ)らむを思もへば日の本の国は古しゆ(この「ゆ」の意味が分からないのだが、「田子の浦ゆ」と同じで、「古くから」の意味か)親は子の為子は親の為に結ぶ心の一筋に清く明るく人の心を思いやり生かさる生命の尊さを忠実にかしずき人の人たる道を厳しく受け継ぎ守り来たる時のうつろいに伴いて家族の在り方等が変りて縁(ゆか)りある人々ややかそけき(認知症など加齢現象が現れた)翁媼(おきなおうな 爺さんばあさん)の人等弥増し(いやまし 益々)加わる現(うつし)の状を見るに付けて聞くに付け此の良き甘し所(あましところ いいところ)に野七里テラスが竣工し住み良い町作り培(つちか)いて喜びて豊かなる心根をもちて集う上郷ネオポリス自治会まちづくり委員会の町民等が睦(むつ)び和(なご)みて病む事を忘れ嬉々(れいれい)遊びたわむれつつ優れたる世に成さしめ給い大前に御食(けみ)御酒(みき)海川山野(うみかわやまの)の種々珍物を弥益に沢々(つやつや 色とりどり)に置足らはしめて拝み仕(つかえ)奉らしめて給いて今日より往先築き建てたる柱の底つ磐根(そこついわね 地の底にある岩盤)堅く厳(いか)しく動く事なく取葺ける甍(いらか)のさやぎなく地震(なぬ)加具土(かぐつち 火の神様)の荒(災難のことか)が在らしめ給わず千代に八千代に守り幸へ給いて其の野七里テラス新築工事は晩秋の良き日(この日10月29日は大安)を頂いてみそぎの雨の中(この日はセレモニーの間ずっと雨が降っていたが、神様はそれを禊ぎの雨と捉えるようだ。なるほど)心穏やかに咲く黄菊花(ネットで調べても中国語しか出てこない。ひよっとしたら金木犀か)の梢に集う百鳥(ももとり 多くの鳥)のい群(一群か)如す(ごとしか)人々に賑いつつ行末ながく立榮へしめ給へと宇自物頸根突抜きて(うじものうなねつきぬきて 深くお辞儀をする様)恐み恐み(かしこみかとしこみ)も乞祷(こいのみ)奉(たてまつ)らむと白す(もうす)

皇紀二千六百七十九年十月二十九日(神武天皇即位の年を元年とする紀年法。西暦に660年を加える)

郊外住宅団地の再生モデルへ 大和ハウス「上郷ネオポリス」コミュニティ施設完成(2019/10/30

 

 

 

カテゴリ: 2019年度

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「芝生懇談会」(第3回)

〝うちなんちゅう〟(沖縄人)の象徴で、世界遺産にも登録されている旧国宝の首里城が1031日未明焼失した。この日行われた国土交通省の有識者からなる「芝生懇談会」(第3回)の冒頭、座長を務める涌井史郎氏(東京都市大学環境学部特別教授)は沈痛な面持ちで「首里城の焼失は慙愧に堪えない」と語った。

       ◆     ◇

 涌井氏は「首里城は…」と自らの関係について話したのだが、会場となっている国土交通省の会議室はマイクの調子がよくないのか、記者の耳が悪いのか(おそらく両方)聞き取れなかった。

 真意を会合の後に聞こうと考えたのだが、記者も6時ころに起き、いきなり首里城が真っ赤に燃えている映像をテレビで見せられ唖然とするほかなく、悪いことにこの日に限って朝食を摂らずに出かけたため、血糖値が下がり(記者は糖尿病と友だち)気分がすぐれず、会合が終わるまで待ちきれず退出したので、残念ながら涌井氏の真意は聞き出せなかった。

 おそらく、涌井氏は首里城の復元にも関わっており、〝火災、防火についてきちんと対応策を提案すべきだった〟という自責の念がそのような言葉になったのだと思う。終始うつむき加減で声も小さく、いつもの涌井節は影を潜めていた。

 会合そのものも何か新機軸が打ち出されるのではないかと期待したが、真新しいものは示されなかった。ゲストの話題提供として都市再生機構とランドスケープ・プラスの取り組み、事例紹介が行なわれたが、素人の記者だってすでに知っている事例も多く、さらにまた前述したように声が聞き取りづらく、収穫はなかった。ランドスケープ・プラスの平賀達也氏には自らがランドスケープデザインを担当した豊島区新庁舎の維持・管理などについてもっと掘り下げて話してほしかった。

       ◆     ◇

 国交省に取材に行くのは久々だった。危惧していたことが現実のものとなっていた。中央合同庁舎2号館と3号館の間にあった喫煙室がなくなり、立派なスギ材によるベンチのみが置かれていた。かつてはいつ行っても少なくとも10人くらいは利用していたが、ベンチ室に入っている人は皆無だった。3号館のかつては喫煙室だったところも入り口にべたべたと見苦しい醜悪なガムテープで封鎖されていた。

 もう馬鹿馬鹿しいから書かないが、これはファッショだ。

 腹立ちまぎれにもう一つ。わがかみさんは「あれって(首里城)、木造の3階建てだって? だから燃えちゃうのよね」…これだから建築物の木造化は進まない。反論する元気もない。

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これが公共建築物等木材利用促進法の〝見本〟

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かつては喫煙所だったスペース(座って吸えるようまた灰皿を置いてくれることにはならないはずだ)

屋上に里山とせせらぎ 格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成(2015/3/26

豊島区新庁舎 盲導犬トイレがあるのにどうして食堂や喫煙室はないのか(2015/5/8

タバコ消費税は税金の三重、四重取りではないか 愛用タバコの総額据え置きには安堵(2019/10/4

強まるバルコニーでの禁煙 「共同の利益」に反しないのか(2014/9/27

 

カテゴリ: 2019年度

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「野七里(のしちり)テラス」オープニングセレモニー(右から3人目が芳井氏) 

 大和ハウス工業は10月29日、郊外型既存戸建住宅団地の再耕(再生)事業「リブネスタウンプロジェクト」の一つとして取り組んでいる、横浜市栄区の「上郷ネオポリス」で建設を進めてきたコンビニ併設型コミュニティ施設「野七里(のしちり)テラス」が完成したのに伴うオープニングセレモニーを実施。同社・芳井敬一社長をはじめ地元関係者など多数が開業を祝った。

 同社は、1962年から全国61カ所・延べ7万区画の大規模戸建住宅団地「ネオポリス」を開発しており、開発後40年以上が経過することから、少子高齢化や将来的な空き家・空き地の増加、建物の老朽化など様々な課題を抱えている。

 同社は、産官学民が連携して課題解決に取り組むとともに、新たな「まちの魅力」を創出することが必要と捉え、「上郷ネオポリス」と「緑が丘ネオポリス」(兵庫県三木市)で「リブネスタウンプロジェクト」に取り組んでいる。プロジェクトで培ったノウハウを他の団地再生に生かしていく。

 「上郷ネオポリス」は、1970年に開発を開始したJR根岸線港南台駅からバス18分、横浜市栄区野七里に位置する約46ha、総戸数868戸。2017年9月現在の高齢化率は約50%、2019年9月現在の空き家率は約2%。

 2016年、同社と自治会が「上郷ネオポリスにおける持続可能なまちづくりの実現に資する諸活動についての協定」を締結。同時に明治大学、東京大学、高齢者住宅協会も加わった「上郷ネオポリスまちづくり協議会」を発足させた。 

 同協議会が実施した住民意向調査の結果、「買い物・交通の不便」「高齢者の見守りや支えあい」などのニーズが高いことが分かったため、横浜市などと協議を重ね、第一種低層住居専用地域にコンビニを設置することを可能にし、今回、コンビニ併設型コミュニティ施設を完成させたもの。

 「野七里(のしちり)テラス」は、敷地面積約589㎡、鉄骨造平屋建て延べ床面積約149㎡(コミュニティスペース約58㎡、コンビニ約91㎡)。同社が建物を大和リビングに賃貸し、運営は一般紙や団法人野七里テラスに委託する。コンビニの店長を含めた従業員は地域住民を中心に雇用する。ボランティアによる様々な活動も行っていく。課題であるモビリティの導入も検討していく。

 「野七里(のしちり)テラス」は国土交通省の「平成30年度スマートウェルネス住宅等推進モデル事業(住宅団地再生部門)」にも採択されている。

 竣工式の後、会見に臨んだ同社・芳井敬一社長は「開発当初のマイホームを実現するという『夢』をかなえたという意味では一定の役割を果たしたが、これほど急速に少子高齢化が進むということは読み切れなかった。当初の『夢』が第一章なら、今回のプロジェクトは『夢』の第二章。産官学民が連携してサポートしていく。(竣工式の)これほど心がこもった祝詞は聞いたことがない」と語った。

 また、上郷ネオポリス自治会会長・家成智榮子氏は「素晴らしい施設が完成して喜びと感動で心が震えている」と声を詰まらせた。

 横浜市栄区区長・星崎雅代氏は「この取り組みが全国の郊外住宅地の再生のモデルになってくれることに期待している」とエールを送った。

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「野七里(のしちり)テラス」

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芳井氏(左)と家成氏

◇       ◆     ◇

 郊外住宅地の再生問題はこの十数年間、熾火のように記者の胸の内にくすぶり続けている。昭和50年代から60年代にかけて建売住宅をたくさん取材し、取得を煽る記事を書いてきた責任を感じているからだ。

 これまで、何回か取材もしてきた。その記事も読んで頂きたい。横浜・金沢文庫の「西柴団地 さくら茶屋」、埼玉県鳩山ニュータウンの再生活動を取材したときは心底から感動した。だが、しかし、成功事例はつくれるだろうが、全国に数千カ所もある郊外大規模住宅地の再生は容易なことではないと思う。絶望的ではないかと思わざるを得ない。

 だからこそ、今回の上郷ネオポリスの取り組みがモデルケースとなることを祈るほかない。

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現在の住宅地

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現在の商店街

◇       ◆     ◇

 一つ、弁解させていただきたい。自治会の事務局長がメディアに向かって「皆さんは限界集落などと書き立てるが、うちの自治会の介護保険利用率は市の最低レベル。このことも考慮していただきたい」との主旨のことを話された。

 確かにわれわれメディアは、記事を読む当事者がどのように傷つこうがお構いなし、センセーショナルに書くことのみに重きを置く悲しき習性を持つ。

 かく言う記者も7年前、添付した「限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地」の記事を書いた。予想していたことではあったが、あまりにもの惨状に驚き、記事化したときの影響の大きさにおののき、多少のリテラシーを働かせて団地名は匿名にした。それが逆にいけなかったのか、記事にアクセスが殺到した。大マスコミも含め具体的な団地名を教えてほしいとたくさん連絡を受けたが、一切答えなかった。今もってその団地がどこかを口外したことはない。

 一つ救われたのは、その団地(地域)の再生に自治体が動き出したことだ。国土交通省にもその取り組みが紹介されている。

 事務局長さん、記者などは警鐘を鳴らす程度のことしかできませんが、受けを狙った為にする記事は極力書かないように努力していることを分かってください。

 もう一つ。芳井社長は「これほど心がこもった祝詞は聞いたことがない」と話した。記者はこれに反応した。その祝詞を紹介しようと同社広報に頼んで手に入れた。コピー&ペ―ストすればいいと思ったら、何と祝詞そのものを写真に撮ったものだった。

 これをワードに書き換えていたら…いま20:30過ぎ…あと少なくとも1時間はかかる。まだ酒も食事もしていない。とりあえず記事だけアップして、祝詞をどうするか考える。神主様、ありがとうございます。芳井社長はこれまでどれくらいの祝詞を聞かれているのか、これも知りたい。

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オープン初日のローソン店内(ローソンの部長職以上約500人はSDGsバッジを付けていると聞いた)

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店内のトイレ(特別仕様だとか)

鳩山NT活性化を「私自身がアート」藝大卒・菅沼朋香氏「ニュー喫茶 幻」開業(2019/3/23)

住民主導のもう一つの「奇跡の街」 横浜・金沢文庫 西柴団地「さくら茶屋」見学(2018/2/14)

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地 人口4割減55歳以上の人口比率は48.7%(2012/7/27)

カテゴリ: 2019年度
 

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