木造ゼネコン目指す 建築物の木造化に注力 すてきナイス・日暮副会長
2階天井(構造材は欧州アカマツ)
ナイスは11月29日、横浜市保土ヶ谷区の木造2階建て保育園・準耐火建築物現場見学会を行った。
すてきナイスグループ代表取締役副会長・日暮清氏は、「鉄やコンクリは、気が遠くなるほどのCO2を発散させているが、木は100年、200年にわたってCO2を固定化し、再生も可能。国も国産材の活用に大きく方向転換した。当社は『木造ゼネコン』を商標登録済で、一般建築物の木造化も新しいビジネスとして積極的に展開していく。SDGsの視点からも意義のある事業」などと語った。
保育園は、地元商店街が中心になって設立した「西谷保育園」の分園として建設されるもので、設計を担当した雄設計室代表取締役・古谷雄一郎氏は「木造にしたのはコストが一番の理由。本園とのつながりを重視し、1階には奈良県材のヒノキの柱を現しで使用し、すのこを敷いて自然の雰囲気を取り込んだ」と話した。
建物は、相模本線西谷駅から徒歩9分、横浜市保土ヶ谷区西谷に位置する木造2階建て(パワービルド工法)延床面積290.87㎡。設計・監理は雄設計室。施工はナイス。工期は平成30年9月~平成31年3月。
日暮氏
奈良県産材ヒノキの現わしの柱(樹齢250年、長さは4m。価格は30万円だとか)
積水ハウス・マリオット 横浜・みなとみらい21地区に「「ウェスティンホテル横浜」
「ウェスティンホテル横浜(The Westin Yokohama)」
積水ハウスは11月30日、横浜・みなとみらい21地区にマリオット・インターナショナルの「ウェスティンホテル横浜(The Westin Yokohama)」を2022 年春に開業すると発表した。
積水ハウスが事業主となりプロジェクトマネジメントを行い、マリオット・インターナショナルがホテル運営を行う。
「ウェスティンホテル横浜」の総客室数はホテル373 室、レストラン、バンケット、フィットネスなど。長期滞在対応型ホテル201 室も併設する。
ホテルは、みなとみらい線みなとみらい駅から徒歩5 分、横浜市西区みなとみらい4-2-4、敷地面積約9,604.59㎡(約2,905坪)、24階建て延床面積約64,700㎡。
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横浜・みなとみらい地区のホテル戦争が激化している。これからも10棟くらいが建設されるのではないか。「ウェステティンホテル」は恵比寿しか知らないが、もっとも好きなホテルの一つだ。初めて宿泊したとき、あのえも言えぬベージュに魅了された。
「道の駅」ハブに地方創生 ホテル事業 第一弾15カ所1000室 積水ハウス・マリオット
イメージ図
積水ハウスとマリオット・インターナショナルは11月28日、国内の各自治体と連携し、「道の駅」をハブにした「地域の魅力を渡り歩く旅」を提案する地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の駅プロジェクト」を展開すると発表。ファーストステージとして、ロードサイド型ホテルを2020年秋以降に5府県15カ所約1000室の規模でオープンする。
「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、地域に根差した文化・風習・暮らし・食などの資源を提供することで、新しい体験型の旅のスタイルを提案する。
ホテル事業は、マリオット・インターナショナルの日本初上陸となるホテルブランド「フェアフィールド・バイ・マリオット(Fair field by Marriott)」により、シンプルにゆったりとくつろぐことのできる宿泊特化型とするのが特徴。
記者会見に臨んだ積水ハウス代表取締役社長・仲井嘉浩氏は「『道の駅』は拡大しているが、宿泊機能を備えたものは少ない。ホテルをハブに地域のポテンシャルを高め、地域創生に貢献したい。そのために地元の観光事業者、自治体、地域住民、農林水産事業者など多くのアライアンスパートナーとの連携を密にしていく。ファーストステージの投資額は1室2,000万円として200億円。今後10年間でそれぞれ1,000室と仮定すると2,000億円の建築需要が見込まれる」と語った。
マリオット・インターナショナルアジア太平洋社長兼マネージングディレクター クレイグ・スミス氏は、「地方のデスティネーションを開拓したいという需要が増えているのにも関わらず、そういった地域には限られた宿泊施設しかない。積水ハウスとともにフェアフィールド・バイ・マリオットが提供するシンプルさと信頼感により、こうしたトレンドを取り込む」と話した。
開業するのは栃木県の宇都宮市、茂木町、日光市、岐阜県の美濃市、郡上市、美濃加茂市、高山市、三重県の御浜町。大台町、京都府の宮津市、京丹波町、南山城町、和歌山県のすさみ町、串本町、田辺市の15カ所。
施設は3~7階建て、延床面積は約2,020~4,240㎡。客室数は50~96室。1室30㎡前後になる模様。
仲井氏(左)とクレイグ・スミス氏(ウェスティンホテル東京で)
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会見場には約120名の記者が詰めかけ、関心の高さをうかがわせた。記者団からの「地方でホテルを展開することのリスクはないか」という質問に対し、クレイグ・スミス氏は「リスクは感じていない。モノを買うよりコトを消費するほうが上回っているように、ミレニアル世代のバランス感覚は鋭く、そうしたニーズを取り込める。むしろワクワクしている」と言下に否定した。
記者もそう思う。ミレニアル世代は訳が分からず、つかみようがないのに困惑するばかりだが、世の中はミレニアル世代が主役の座に鎮座する時代になりつつある。そのニーズをいかに取り込むかが勝敗の分かれ目になるような気がしてならない。
もう一つ、記者が期待したいのはやはり地方再生・創生だ。地方はいま〝青息吐息〟の苦境に陥っている。再生・活性化は喫緊の課題だ。
これまで政府主導による様々な取り組みが行われてきたが、成功しているとは思えない。今回、世界最大のホテルチェーンを展開するマリオットと、やはり世界最大のハウスメーカーが組み、さらに地域との連携を強化すれば間違いなく「未知なるニッポンをクエスト」することができるはずだ。
地方に眠っている文化を掘り起こし、元気を取り戻すプロジェクトになることに期待したい。
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会見場では5府県知事からのコメントが紹介され、「道の駅 銘菓」も振舞われた。三重県知事・鈴木英敬氏は次のようなコメントを寄せた。
「三重県から大台町と御浜町の2カ所が選定されたことを大変うれしく思います。
大台町は、ユネスコエコパークに登録の大杉谷と日本一の清流宮川など雄大な自然に囲まれた地域で、SUPやハイキングなどアウトドア体験が満喫できる地域です。御浜町は、熊野灘を望む温暖な気候を生かし、年中みかんのとれる町として有名で、みかん狩りや世界遺産熊野古道ウォークなどが楽しめます。
県内には、伊勢神宮や忍者、海女をはじめとする歴史文化や、松阪牛、伊勢えびなどの山海の幸にも恵まれ、旅の目的地として訪れる価値がある場所です。今後、世界中からの多くの旅行者に、三重にお越しいただき、楽しんでいただけるよう、本プロジェクトの成功に期待しています」
会見場
大阪・万博開催は日本の新たな国際競争力をもたらす 三菱地所・吉田社長
三菱地所・吉田淳一氏は、2025大阪・関西万博の開催決定について次のようにコメントした。
2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピック、2021年のワールドマスターズゲームズ開催に続いて、日本がますます国内 外の注目を集める機会となり、人やモノ、投資資金を呼び込むことで、日本の持続的な成長につながるだろう。
2024年夏には、当社を代表とするJV9社が開発を進める「うめきた2期」 が先行まちびらきを迎える予定であるが、同プロジェクトでは、「みどりとイノベーションの融合拠点」をまちづくりの目標に掲げ、中核機能として国際集客・ 交流施設のほか、最先端技術を積極的に採り入れたイノベーション創出拠点を整備する。こうした未来志向性は、この度決まった大阪万博の方向性と類似しており、相乗効果があるだろうと感じている。
万博は、地域経済の活性化や日本の魅力発信につながるだけでなく、最先端 技術など世界の英知が結集し、新たなアイデアが創造され、イノベーション創 出の場となる。創造的・革新的なイノベーションは、関西ひいては日本に新たな国際競争力をもたらすと期待している。
ポラス 南柏の木造在来2階建て認定こども園 構造見学会
2階の屋根の部分
ポラスグループのポラテックは11月22日、同社が施工している千葉県柏市の木造在来工法2階建て認定こども園の構造見学会を行った。
12社による指名競争入札で同社が入札した案件で、建物は、学校法人岩崎学園くりの木幼稚園の敷地内の法22条に位置する敷地面積約4,972㎡、保育園機能を備えた認定こども園。構造・規模は木造在来2階建て延べ床面積約1,440㎡(435.60坪)。設計は時設計。引き渡し予定は平成31年3月。
構造材は、同社のプレカット工場で製造可能な住宅などにも利用されているアカマツの集成材を極力採用することでコストを下げ、約10mスパンの空間を確保するため2本1組の120×390トラスや2階の床を吊るすM20のボルトを採用しているのが特徴。
同社は、わが国最大の木造プレカット工場を擁し、年間約3,000戸の住宅を施工・販売しており、非住宅の受注にも力を入れている。2017年度の受注実績は12棟、12.5億円。2018年度は16棟、21.5億円の受注めどが立っているという。
M20のボルト
完成予想図
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トラスの接合についてだったか、工事関係者が「通常の5倍くらい難しかった」と話した。しかし、ゾウの大きさを知らないカエルのお母さんと一緒の記者は、通常の工事の難易度がさっぱり分からない。〝浦和レッズに勝つほどではなく、西武打線を抑えるくらい難しい〟とでも言ってくれれば多少は理解できただろうに。この点については、解説のしようがない。
もっとも興味があるのは〝現わしの見える化〟だ。この2点について質問したら、期待通りの答えが返ってきた。
設計を担当している時設計建築設計部建築設計課課長・吉野達也氏は、「森の中の木造園舎を目指しており、腰壁、柱などに木を貼って、自然なもの、木に囲まれている環境にする」と話した。
ポラテック木造推進課課長・篠田和弘氏は、「建基法の改正により、現わしが可能になった部分も多い。今後も木造の構造美を大切にしたい」と語った。
ポラス所有 越谷市の旧大野家住宅が登録有形文化財に
旧大野家住宅 (はかり屋)
ポラスグループは11月19日、同社が所有する越谷市の旧大野家住宅 (はかり屋)の主屋と蔵が登録有形文化財(建造物)へ登録される見込みと発表した。越谷市の建造物としては2件目の登録となる。
旧大野家住宅主屋は、明治38年に建築されたと推定されている切妻屋根の木造2 階建て。奥に向かって平屋の寄棟屋根がつながっている。越谷宿の風情を色濃く残していることや銘木が随所に使用されていることなどが特徴。住宅蔵は土蔵造2階建て。総檜造りといわれている。
同社は、この古民家を再生し、「はかり屋」として食からインテリア・癒しやクリエイティブスペースまで6軒のテナントからなる「古民家複合施設」としてとして2018 年4月にオープンした。
登録有形文化財(建造物)に登録されると、保存・活用のために必要な修理の設計監理費の2分の1が国の補助を受けられ、家屋の固定資産税が2分の1に減免されるなどの優遇措置がある。
ポラス 越谷市の中心市街地活性化に一役 築120年の古民家でイベント(2017/2/26)
長谷工グループ CSRの一環「東京グリーンシップ・アクション」に54名参加
長谷工グループ11月17日(土)、東京都環境局主催の「東京グリーンシップ・アクション」清瀬松山緑地保全活動に参加。グループ社員とその家族54名は、東京都環境局とNPO法人環境学習研究会、清瀬の自然を守る会の協力のもと、清瀬松山緑地保全地域で草刈り、除伐、落枝整理や木柵交換、自然工作を行った。
参加者からは「自然に親しみながら、保全することの意義を学べた。企業活動において大切な取り組みだと思う」「緑地の保全に様々な方が関わっていることを知った」「親子で参加でき、自然と触れ合える良い経験になった」などの声が寄せられた。
「東京グリーンシップ・アクション」は、東京都に残された山地の森林や丘陵部の里山、市街地近郊の雑木林など、貴重な自然環境の保全を目的として2003年にスタート。長谷工グループは社会貢献活動の一環として2012年から参加している。
住宅立地に特化 コスモスイニシア レンタルオフィス第一弾「目黒不動前」オープン
「MID POINT(ミッド ポイント)目黒不動前」外観
コスモスイニシアは11月15日、住宅立地に特化したレンタルオフィスブランド「MID POINT」の第1弾「MID POINT(ミッド ポイント)目黒不動前」を2018年11月20日(火)にオープンすると発表した。
現在供給されているシェアオフィス、コワーキングスペース、レンタルオフィスなどは都心部が中心で、1名から入居可能な施設は少ないことに着目、「住居と職場の中間点」立地で付加価値の高いサービスを提供する。
第一弾は、築22年・8階建てのオフィスビルを同社が購入し、エントランス・専有部・共用部をフルリノベーションした「リードシー目黒不動前ビル」の5~8階部分をレンタルオフィスとして改装したもの。
記者発表会・内覧会で同社執行役員・藤岡英樹氏は、「2016年に公表した中期経営計画2018は目標通り進捗しているが、売り上げ増のエンジンになっているのはソリューション事業。アパートメントホテルもそうだが、今回のレンタルオフィスも他社との差別化が図れており、付加価値の高いサービスが提供できる」と話した。
物件は、東急目黒線不動前駅から徒歩5分、品川区西五反田3丁目に位置するリードシー目黒不動前ビル5階~8階。延べ床面積は約150坪。区画数は1~3人用まで67区画。一人用ブースの広さは1.5×1.5㎡が中心。月額賃料は1人用が29,000円~/共益費15,000~。共同企画として乃村工藝社がデザイン監修を、非営利型株式会社Polaris(ポラリス)がラウンジ運営をそれぞれ担当する。
特徴は、①1名から入居できるほか、リラックス空間、コミュニティ空間として利用できる共用ラウンジおよびテラスを設置②コミュニティ形成を支援するコミュニティマネージャーが常駐③キッチン&バーカウンター、食器および調理器具を常備④ミーティングスペース、TELブース、PHOTOブースなどの共用スペース⑤専用駐輪場、シェアサイクルサービス、宅配ボックス設置――など。
入居予定者からは、「ラウンジが利用できてこの利用料は割安」(30代男性/経営コンサル)「自宅からも近く、コワーキングではなく、固定席で利用できるところがよい」(30代男性/スタートアップ企業)「他の物件と比較して個室が広く、デザインもよい。仕事をするイメージが沸いた」(20代女性/フリーランス)などの声が寄せられている。
共用ラウンジ
テラス(喫煙コーナーあり)
Before Afterではありません 事業に応じて神出鬼没の藤岡氏(左は「MIMARU京都 堀川六角」で、右はこの日の会見。法被姿のほうが似合いそう)
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国が推し進める働き方改革を受け、テレワークを後押しするサテライトオフィス、コワーキングスペースなどの施設が加速度的に増えそうなことは容易に想像できる。記者もこれまで数回、同じような施設を取材して、賃料の高さやその至れり尽くせりの豪華ぶりに〝生産性向上が前提ではないのか〟〝却って労働強化にならないか〟などと考え込んだこともある。
今回の施設は確かに個室ブースが広く、ラウンジでは酒も飲め、タバコも吸えるスペースが確保されているのがいい。
賃料は正直よく分からないが、同社が想定している稼働率90%などから計算したら坪あたり月額賃料は2万円くらいになった。賃貸マンションよりははるかに高く、かなり高い利回りが期待できる。賃料も高く競争も激しい都心部のレンタルオフィスとの差別化も図れていると思った。
デザイン監修を担当する乃村工藝社の作品は、東京建物「Brillia一番町」のモデルルームで見た。最高に素晴らしかった。同社は新しい事業に力を入れているようだ。
ラウンジを運営するPolarisは、2010年12月の内閣府による地域社会雇用創造事業ビジネスコンペに採択され、2012年2月に設立。
当日配布された資料には「子どもが生まれ、成長し、女性としてはもちろん、母として、これからの社会、特に愛着のある地元の地域社会のことを考え、自分たちは何ができるだろうかと、創業者である市川望美さんはコンペにチャレンジした。2011年8月、…京王線仙川駅から徒歩3分、商店街の中にある店舗の上の3階の古い住居を改装してコワーキングスペース「cococi」(ココチ)を地域社会で知り合った仲間たちと3人で立ち上げた」「設立以来6年で約500人の女性の多様な仕事、社会との接点を作りだす企業になった」とある。
一人用ブース
コミュニティマネージャーのユニフォーム(これは夏用か。会場にはユニクロ製のカシミヤのセーターが置かれていた)
三菱地所「泉パークタウン」 最終章721区画のスマートタウンに着手
地鎮祭(左から大成建設・村田誉之社長、松下氏、パナソニック・井戸正弘執行役員、西田氏、仙台市・藤本章副市長、勝田氏、三菱地所設計・林総一郎社長
左から西田氏、松下氏、勝田氏
三菱地所は11月12日、仙台市泉区の大規模複合タウン「泉パークタウン」(開発面積約1,070ha)の最終章となる「(仮称)泉パークタウン第6住区東工区開発計画」の地鎮祭を行い、パナソニック、パナソニックホームズ、関電不動産開発とともに先進の技術やサービスを駆使して低炭素社会・循環型社会の形成に寄与する社会課題解決型の街づくりを進めると発表した。
地鎮祭に臨んだ同社・吉田淳一社長は「泉パークタウンは来年で45周年を迎える。最終開発のこの第6住区では、パナソニックさん、パナソニックホームズさん、関電不動産開発さんをパートナーに、SDGsの11番目に示されている『住み続けられる街づくり』の実現に向けオールジャパンの社会課題解決型の開発を行う」と挨拶。
また、パナソニックホームズ・松下龍二社長は「品格のある街づくりに参加できることを誇りに思う。今年4月に社名を変更した当社が目指しているのは『強さ』と『暮らしやすさ』のNo.1。総力をあげて価値の高いスマートな街づくりに貢献する」と話し、関電不動産開発・勝田達規社長は「仙台では松下興産時代から不動産開発を行ってきた。泉パークタウンは目標となる開発だった。今回、パートナーに選ばれて光栄」と語った。
三菱地所の当地での40年を超える街づくりのノウハウに加え、パナソニックグループのエネルギー・セキュリティ・モビリティの先進技術と住まいづくり、関電不動産開発が仙台圏で行ってきた街づくりの経験を融合させ、エネルギー、交通・物流、健康、安心・安全などの課題に挑戦する。
開発計画は、開発面積約481,194㎡、計画戸数721区画。設計監理は三菱地所設計。施工は大成建設。販売開始は2022年春。このほか未着工の「中央西」地区も合わせると計画区画は1,965区画。
一区画は平均70坪くらいになる模様だ。同社関係者は「年間100区画は販売したい」と話した。
地鎮祭 鍬入れ
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同社は地鎮祭後、泉パークタウンの主要ポイント17カ所をバスで巡るメディアツアーを実施した。
記者は過去2度、さらっとだが見学したことがある。1区画200坪はありそうな「桂ガーデンコート」に圧倒され、街路樹など街並みの美しいのと、立派なホテルがあることは確認しているが、1974年の街びらきから現在まで、全1,070haのうち86%・926haが造成済みで、10,156世帯・25,835人が居住し、アウトレットモール、ゴルフ場にテニスクラブ、乗馬クラブ、宮城大学、図書館、物流施設などが整備されているのに驚いた。
取材中ずっとこれほどの規模の複合タウン開発は首都圏でどれほどあるか考えた。国家的プロジェクトである「多摩ニュータウン」(施行面積2,884ha)「千葉ニュータウン」(同1,930ha)「港北ニュータウン」(同1,317ha)などには及ばないが、わが国最大級の千葉県の組合施行による土地区画整理事業「国分寺台」(同380ha)の約2.8倍だ。
ランドスケープデザインなどの美しさについても考えた。これは、歩車完全分離を実現した多摩ニュータウンなどのほうが勝るのではないかと思ったが、街路樹の景観は五分五分か。多摩ニュータウンは落葉樹もあるが、常緑樹のクスノキ、シラカシなとも多い。一方の泉パークタウンはメタセコイア、ユリノキ、カツラ、イチョウ、ケヤキ、プラタナス、カエデ、トチノキなどの落葉樹が中心だ。冬場の日照を確保するためか。
生活利便施設、文化施設の集積でも、首都圏の大規模開発に負けない。国際会議が開け、サッカーワールドカップでイタリアチームが借り切ったロイヤルパークホテルのような立派なホテルは多摩ニュータウンにもない。それどころか、埼玉県や千葉県には国際級のホテルは一つもない。ゴルフ場があるのは、多摩ニュータウン(開発区域外だが隣接)や「季美の森」くらいではないか。
そんなこんなを考えると、規模はともかく、もっとも似ているのは新百合ヶ丘の街か、記者が〝奇跡の街〟と呼ぶ山万の「ユーカリが丘」(245ha、計画戸数約8.400戸、計画人口約3万人)か。タウンマネジメント手法を導入しているのも「ユーカリが丘」によく似ている。
なぜ、そんな途方もない開発ができたのか。配布された資料には1970年当時の中田乙一社長の年頭所感が紹介されている。「買った土地を造成し、一割か二割の儲けをみて売るといったことは、当社のやる仕事ではない。我々はよそがやらないこと、我々の資力、経験、智能をフルに活用できる分野に取り組んでいく」と。
吉田社長が同社に入社したのは1984年だ。中田社長の年頭所感など知る由もないはずだが、その思想は生きていたのか。今どき48ha、721区画もある開発に乗り出すデベロッパーなど皆無だ。土地代はただ同然かもしれないが、造成に3年かかる。いったいどのような街を創るのか、楽しみだ。
メタセコイアの街路樹が美しい柴山公園付近のメインストリート
手前が柴山公園
タウンマネジメントも行うパークタウンサービス
記者発表会を取り仕切った三菱地所東北支店主事・宮﨑眞一氏(同社野球部黄金時代の主力の一人)
わが国初CLT床材を利用した高層建築物 三菱地所 仙台「高森2丁目」現場見学会(2018/9/15)
売れ行き順調ほぼ1年間で134区画契約積水ハウス「スマートコモンシティ明石台」(2013/3/29)﨑
坪3.5万円!億ション以上 現地見ずに家賃判断 審査は適正か セーフティネット住宅
賑やかに人が行き交う表通りから一歩入ったT字型道路の奥に件の建物はあった。道路幅は4mギリギリか。周囲は戸建てあり、モルタル造りの店舗併用住宅あり、マンションあり…典型的な下町の街並みだ。用途地域は〝何でもあり〟の準工か、コンクリで覆えば敷地一杯に建てられる商業地域か、その両方か。
建物は木造モルタル2階建て。敷地は20坪あるかどうか。南向きだが、南側には空き家の戸建てを挟んで高い建物が建っており、日照は確保できそうもない。西側道路に背を向けた外壁はグレー。外壁と対照的な南側の入り口にある赤の玄関扉には人の出入りを拒絶する頑丈なチェーンが掛かっており、小さな全ての窓は閉まっている。人の気配は全くない。
敷地の南側には猫の額ほどの自転車置き場がある。値段は高くはなさそうな錆も出ている一部は倒れたままの自転車数台が隣家との境界線に並行ではなく斜めに置かれていた。斜めなのは出入りスペースを確保するたか。
隣家との境の砂利敷きの部分には、日陰に棲む花も咲かない隠花植物か、それとも劣悪環境をもろともせず悪の大輪を咲かせる顕花植物か、名も知らない雑草が車輪の隙間から勢いよく伸びていた。
しばらく様子をうかがったが、野良猫にでも誰何されるのも怖く立ち去った。
空振りは十分予想していた。しかし、ただでは起きないのが記者だ。駅から目的地までの数分の距離に、全国区の誰もが知っている店を含め4軒の賃貸物件を主に扱う不動産会社があることを確認していた。街からどんどん本屋、電気屋、八百屋などが消えていくのにわが不動産業界は元気だ。片っ端から聞くことを決めた。
1軒目。店舗内には若い女性が一人、指にはアート。客はいない。「すいません、そこに建っているセーフティネット住宅を見に来たのですが、話を伺える方はいらっしゃいませんか」
-アプローチがまずかった。女性のプライドを著しく傷つけたようだ。「わたしは受付もしますが、営業もします。セーフティネットは存じ上げておりません」言葉は慇懃だが、顔はすぐ立ち去れと語っていた。
2軒目はRBA野球大会にも参戦しているメジャー。同じように質問したが、「セーフティネット住宅? 分かりません」2球目も空振り。
そこで反省。三球三振は避けたい。記者は投手であり打者だ。投手としては単刀直入に聞きすぎた。ここは搦め手から攻めるべき。第一、アポもなしに、白髪交じりの老人斑とも死斑とも区別がつかないシミを顔中に浮かばせ、くたびれたスーツを着ている記者に関りを持とうとしないのは当然だ。
3軒目は、下手に徹した。打ちやすい球をなげた。「わたしのような高齢者とか貧乏人とか、肌の色が違う人の入居を拒否しないようにと国が定めたセーフティネット制度があります。まあ、居室内にトイレも浴室も炊事場がないシェアハウスと似たり寄ったりのものですが…」と切り出した。
店の青年はお客と勘違いしたのか、「シェアハウス? うちも取り扱っています」とファイルを見せてくれた。すぐメモした。「3.9万円、10㎡」「4万円、12㎡」。ともに電気、ガス、水道料金含む。
そして聞いた。「これって坪にするといくらですかね」と。「坪? 坪じゃわかんない。㎡か畳数じゃないと」「えっ、お宅はいくつ? わたしは69。坪に換算しないと不動産や住宅の価格を計れないもんですから」「26歳ですが、…えっと坪1万くらいですよ」「では、わたしがいま見てきた物件を検索してみてください。ホームページですぐ分かりますから」
営業マンは物件のホームページに掲載されている物件の写真などをチェックした。記者は一転、ここぞとばかり畳み込んだ。「ほら、坪3.5万円ですよね。これって、とんでもない価格じゃありませんか」「…でも、洗濯機などみんな新しいし…高すぎるとは言い切れない。値段を決めるのは大家さんですからね」
ダメだ。お礼を言って飛び出した。坪1万円と3.5万円の比較もできないのかと。腹が立った。
4軒目は、いかにも歴史を感じさせる一間もない間口の小さな店だった。机は1つ。記者よりは若いが高齢者の仲間入りをしていそうな男性が暇を持て余しているのか新聞を読んでいた。
「何? 入居拒否。セーフティネットなんか知らないよ。誰を断ろうとそれは大家が決めること。われわれ仲介の仕事は大家のために働くこと。35年間やっているんだから。仕事は信用だ。えっ、坪3.5万円のシェアハウス? そりゃべらぼうだ。かぼちゃ(へちまではなかった)と一緒だよ」
収穫十分。シェアハウスは立派な事業として浸透しており、セーフティネット住宅はまったく認知されていないことが分かった。記者はカボチャをよく食べる。
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冒頭の表は、東京都のセーフティネット住宅の全268戸の登録住戸のうち主なものを抽出したものだ。バスもトイレもないわずか7㎡(2.1坪、4.2畳)の部屋を1戸とみなすことの是非はともかく、268戸を棟に置き換えると二十数棟にとどまる。20例を示した表は都のセーフティネット住宅をほとんど網羅しているはずだ。
表から分かることは、居室内にトイレ、洗面、浴室、台所、洗濯室などがないものの家賃はおおむね4~6万円、居室面積は7~12㎡、坪(3.3㎡)単価は2~3万円だ。
居室面積が7㎡しかないものがどうして多いか。少し説明しよう。
省令では、登録住宅の要件を定めており、必須要件の耐震性のほか、面積については25㎡(共用部分に水回り設備を備えているものは18㎡)以上としている。これとは別に、共同居住型住宅(シェアハウス)では、①住宅全体では40㎡以上②居室面積は9㎡以上③共用部分に居間、食堂、台所、便所、洗面、浴室またはシャワー室などを設け、便所、洗面、浴室は居住人数概ね5人に1カ所以上を基準としている。
ただし、地方公共団体が供給促進計画を定めれば、耐震性の要件を除き緩和することができることになっており、都は今年3月、「多様なニーズを満たす」という理由から面積を省令の9㎡から7㎡に引き下げた。だから7㎡が多い。
ここで指摘したいのは、水回り設備が整っている住宅は相場並みの価格だが、シェアハウス型は全て賃貸住宅の相場を大きく上回り、中には〝法外〟な家賃もあるのではないかということだ。
具体的に事例を見てみよう。日暮里駅から徒歩5分で、家賃が7.5万円、面積は7㎡だから、坪単価は3.5万円。居室内に水回りがないから明らかにシェアハウス型だ。記者は法外な値段だと思う。あり得ない。全ての設備が整っている〝億ション〟の代名詞「広尾ガーデンヒルズ」だって坪単価は2万円くらいではないか。坪3.5万円は都心の一等地のビルの賃料単価だ。
登録住宅の規則には、「家賃が近傍同種の住宅の均衡を失しないこと」と定められている。住宅と呼べない(と記者は思う)シェアハウスを賃貸住宅と同等に扱い、その基準で家賃が適正かどうかを測るモノサシが果たして適当か。
そこで、家賃が適正かどうかを判断する東京都民間住宅課に問い合わせた。担当者は「当該物件の現地調査は行っていないが、ネットで検索した近傍同種の住宅(シェアハウス)と比較して適正と判断した。審査は国交省の基準に沿って適正に行っている」と語った。こうも付け加えた。「問題があるなら指摘してほしい」と。現場を見ないで審査するのは問題ではないのか。
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読者の皆さん、品が悪い記者を許していただきたい。〝味噌くそ一緒〟とはこのことを言うのではないか。現場を見ないで、ネットで検索して出てきた物件の質を調べるのでもなく、家賃の額だけで判断して「適正」とする横着が役所では通用する-これは許せない。
生活困窮者や高齢者、子育て世帯などの入居を拒まず、居住安定を図るセーフティネット住宅制度は、このままでは目的とは真逆の最低の居住水準を固定化、下支えすることになるような気がしてならない。さらに言えば、セーフティネット住宅は改修費補助、家賃補助の対象となるだけに、シェアハウスがそのモデルとして定着すれば、もっとも救われるべき住宅確保要配慮者の賃貸住宅の質の向上が後回しになる危険性をはらんでいると思う。
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記者はシェアハウスそのものを否定するわけではない。一定のニーズは確かにあるはずだ。以下に示した事例のように〝単価では計れない〟価値がある物件も少なくないのだろう。
しかし、シェアハウスなる言葉がなかった20年前以上昔に見た走りともいえるそれは〝たこ部屋〟だと思った。
国交省も都の職員も、そしてシェアハウスをもてはやした学者先生方にもぜひ市場に流通しているシェアハウスを見学していただきたい。手放しでほめちぎっていいのか。
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住宅セーフティネット法の改正法が昨年10月25日に施行され、高齢者、低額所得者、子育て世帯などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録情報を公開する「セーフティネット住宅情報提供システム」の運用が始まってから1年以上経過する。
同システムのホームページによると、現段階で総登録件数は302件、総登録戸数は 4,448戸。政府は2020年度末までに全国で17万5,000戸にする目標を掲げている。達成率は現段階で約2.5%だ。
浸透度がいま一つと判断したのか、国土交通省と厚生労働省は今年10月から全国10都市で説明会を開催中だ。国交省は登録申請書類や審査の簡素化、面積要件の緩和などをアピールし、厚労省は住宅と福祉の連携を強化するなど普及促進に乗り出している。
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