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登壇者

 デジタルガレージ(DG)は11月8日、不動産関連スタートアップを対象としたグローバルな育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech(https://resitech.onlab.jp/)」を始動し、同日からプログラムに参加するチームの募集を開始すると発表した。プログラムにはパートナーとしてコスモスイニシア、竹中工務店、東急グループ、東京建物、野村不動産ホールディングス、阪急阪神不動産、三井不動産が、協力パートナーとしてカカクコム、KDDIがそれぞれ参画するほか、DGのグローバルネットワークも活用する。

 「Resi-Tech」が支援するのは、プログラム中の活動資金の提供、メンタリング・レクチャー、オフィススペースの提供、 国内外のネットワークの提供など。

 今回募集するのは、住宅・暮らしや街とITが交差する領域での技術またはビジネスプランを持つ人が対象で、応募は2018年11月8日(木)〜2019年1月末。採択チーム決定は2019年3月中旬。

 記者発表会に臨んだDG代表取締役兼社長執行役員グループCEO・カカクコム取締役会長 林郁氏は、「5G(第5世代移動通信)時代を迎えた中で課題も見えてきた。従来のスコープを通じてスタートアップを支援すると、見えないものを排除するというねじれ、矛盾が生じかねない。そのような縦と横の制約を取り除き、ユーザー目線から広義のレジデンシャルを切り口にスコープに入れ込んで、オールジャパンで世界に打って出る」と、プログラムを立ち上げた背景・狙いについて話した。

 パートナーとして登壇した各氏のコメントは次の通り。

 コスモスイニシア執行役員R&D本部副部長・藤岡英樹氏 当社はアパートメントホテル事業をスタートさせたが、今後も新規事業を拡大していく。スタートアップとユーザーニーズを掛け合わせれば何ができるか、面白い展開ができるのではないか

 竹中工務店執行役員技術本部長・村上陸太氏 当社は歴史のある会社だが、だからこそ新しいことに二の足を踏みがちだ。今回の新しいことに挑戦し、社内にも新しい風を吹き込みたい

 東急グループ 東京急行電鉄取締役常務執行役員事業開発室長・市来利之氏 ワクワクしている。ここにいられるだけで幸せ。当社も独自のアクセラレータープログラムがあり、双方の協調が期待できる

 東京建物代表取締役専務執行役員住宅事業本部長・柴山久雄氏 ネット情報などはわれわれよりエンドユーザーのほうがはるかに進んでいる。新たなサービスを発見することにチャレンジしたい

 野村不動産ホールディングス経営企画部長・田辺邦彦氏 当社もCVCの取り組みを行っているが、DGさんの先駆者としての知見、認識を吸収し、また協力したい

 阪急阪神不動産常務執行役員・松田富行氏 プログラムは当社の新しい事業創出とシナジー効果が期待でき、当社のスタートアップ支援オフィス「GVH#5」と協働することでネットワークの拡大につながる

 三井不動産ベンチャー共創事業部統括・光村圭一郎氏 当社は街づくりを中心に事業展開しているが、本質はビルでもマンションでもない人ではないかと。リソースにつなげ、デザインしたい

 カカクコム代表取締役社長・畑彰之介氏 衣食住の中で、人の暮らしを豊かにする住まいはとても重要。参加できてとても嬉しい。コンテクストをつくっていくいいスタートになる

◇       ◆     ◇

 この日集まった記者の数は約50名、関係者と合わせ約100名とか。記者の数は先の「HARUMI FLAG」の半分で、記念写真登壇者でも「晴海」より一人少ない10人だったが、市来氏が「嬉しい」「ワクワク」「楽しみ」を連発したのと同様、ワクワクして聞いていた。

 もちろん、スマホすら満足に扱えない記者は「5Gの時代」などと言われてもちんぷんかんぷん。しかし、この前の三井不動産&プロロジスの物流竣工の記事でも書いたように「物流を制する者が市場を制する」と思うし、信じられないようなスピードでIoT、AIが世の中を席巻するであろうことは容易に想像できる。記者発表会で協力パートナーKDDIライフデザイン事業本部ビジネスインキュベーション推進部部長・中馬和彦氏が「これまで通信はあらゆる分野に溶け込んできたが、5Gの時代では逆にIoT、AIが人間に対抗してチャレンジしてくる」と話したのも理解できる。AIが勝つか人間が勝つか、生きている間に決着を見たいものだ。そのいみで「ワクワク」と書いた。

 そして、何よりうれしかったのは登壇者全員が1分間だったがコメントを寄せたことだった。

 だが、しかし、〝オールジャパンで世界に打って出る〟というのはやや言い過ぎではないか。パートナーは面白い組み合わせだとは思うが、全てではない。入っていない企業が対抗するために同じようなプログラムを立ち上げるような気がしてならない。共食い・共倒れだけは避けてほしい。

 さらに言えば、いま世界を支配しているAGFA(Apple、Google、Facebook、Amazon)とMicrosoftを加えた5強の一つくらいと提携してほしかった。そんなことしたら全部乗っ取られるか。

 スタートアップには、パートナーを蹴散らし、5強を震撼させるような技術・ビジネスプランを提示してほしい。「Soy sauce」のような日本発の横文字も編み出していただきたい。

カテゴリ: 2018年度

 ギャハハハハハ…この前褒めたばっかりの不動産流通研究所「R.E.port」が本日(11月7日)、やってくれました。「国土交通省は7日、(株)エクセルシャノンから、同社が戸建住宅等に出火した防火サッシが国土交通大臣認定に適合しない仕様となっているとの報告を受けた、と公表」と記事にした。

 読者の皆さんはお分かりか。記者は、自分の記事はろくに校閲もせずにとにかく他社より早く書くことをモットーにしているので、誤字脱字のオンパレード、目を覆いたくなるほどのひどさだが、他人の書いた記事の誤字はすぐ見つけることができる。誤字が〝わたしを見つけて〟と呼び掛けてくる-そうした感覚だ。この日の「R.E.port」も瞬時にその文字が読むより先にうろんな目に飛び込んできた。

 わたしではない、パソコンを覚えたての記者が新社長就任の記事で「社長? 〇〇氏」と書いて(キーボード一番下の右から2番目は「? ・ / め」が同じボードにあるためのミス。当然「社長・〇〇氏」)、広告がストップしたことがあるが、今回は大した影響も与えず、ただ笑えるという意味では類を見ない大傑作だ。炎上ものだ。座布団3枚! ひょっとしたら書いた記者の炎上を意図した確信犯か。

◇      ◆     ◇

 日本漢字能力検定協会は「広辞苑」に採用されている同音異義語でもっとも多いのは48個の「こうしょう」としているようだが、漢字一文字ではもっと多いのがあるように思う。調べていただきたい。たとえば「き」。この前、中国の人と話していて、日本語は語彙が少ないということで意見の一致を見た。

※記事は7日18:00に発信され、4時間後の22:00には〝鎮火〟したのか、訂正されています

カテゴリ: 2018年度

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「MFLPプロロジスパーク川越」

 三井不動産は11月6日、プロロジスと共同で開発を進めていた大型賃貸用物流施設「MFLPプロロジスパーク川越」の竣工式を行った。竣工時点で賃貸面積の約25%の入居が決まっており、来年の夏までには満床にする予定。

 竣工式の前に行われた記者発表会で、三井不動産常務執行役員 ロジスティクス本部長・ 三木孝行氏は「世界最大のプロロジスさんと共同事業を行うことは、業界では画期的な出来事で、1+1は2ではなく、双方が競合するというのでもなく、相乗効果を期待できる。業界13社による協議会を立ち上げ国を動かすすごい渦を巻き起こしつつある」と話した。

 プロロジス代表取締役社長・山田御酒(みき)氏は、「我々は物流のプロとしての自負はあるが、三井さんの街づくりのノウハウを生かした外構、デザインなどを学ばせてもらった」と語った。

 施設は、西武新宿線南大塚駅から徒歩6分の敷地面積約60,000㎡、鉄骨造4階建て延べ床面積延床面積約130,000㎡。圏央道以南の関越自動車道沿いでは最大の物流施設。テナントはプラスロジスティクス、多摩運送、日本郵便が決まっている。

 三井不動産は2012年に物流事業に参画。これまで稼働施設は19棟、今後14棟の開発・計画を進めている。プロロジスは物流不動産のリーディング・グローバル企業。世界で3,718棟、総所有・運営資産額は90,000百万ドル(約9兆9,000億円)。

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三木氏(左)と山田氏

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 物流施設を見学するのは2度目か。全くの素人なので見学するかどうか迷ったが、三木氏に元気をもらいたくて取材した。

 「大成功」「画期的」「渦を巻いている」-三木氏の話はいつ聞いても気持ちがいい。言葉に迫力があり勢いもストレートに伝わってくる。メディアに何を話せば受けるかしっかり計算しているのだろうし、口説き上手なのは間違いない。山田社長も会食の席で飲みながら共同事業を提案したのだそうだ。

 三木氏は「(プロロジスに)買収されないようにして、IoTやAIなど投資事業で手を携える機会はあるかもしれない」と、今後の展開もほのめかした。

 山田氏の名前がまた「御酒(神酒と意味は同じ)」。〝三木&御酒〟。満床になったら盛大なパーティもやるのだそうだ。

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 素人ではあるが、「物流を制する者が市場を制する」というのだけは分かる。これだけグローバル化が進むと、物流コストはもちろんだが、物流戦略が雌雄を決することになるのだろう。三木&御酒氏はすでに有力なアジア市場で手を組むことを考えているのではないか。わが国は圧倒的に負けているからだ。

 その資料の一つを示す。国土交通省が作成した「世界の港湾取扱貨物量ランキング」がある。2001年と2016年を比較したもので、2001年のランキングはトップがロッテルダム(オランダ)で313,764千トン、以下、シンガポール313,487千トン、サウスルイジアナ(米国)252,819千トンがベスト3。ベスト10は上海(中国)、香港(同)、ヒューストン(米国)、千葉、名古屋、ウルサン(韓国)、クァンヤン(同)の順。ちなみに横浜18位、大阪26位、北九州27位、東京29位、神戸30位とベスト50にわが国の港湾は7つ入っている。

 ところが、2016年になると、上海が2001年比2.9倍の647,446千トンに増やしトップに踊り出ており、3位広州、5位寧波、7位青島、8位天津、10位大連と中国勢がベスト10のうち6港湾を占めている。ロッテルダムは47.0%増の461,177千トンながら7位に後退。シンガポールは2001年比2倍近く伸ばし2位を確保している。

 わが国は、18位の名古屋が最高で、2001年比26.9%増の193,257千トンながら世界には大きく水をあけられ、24位千葉、40位北九州、41位神戸、47位東京、50位大阪と大幅に順位を下げている。

 このまま地盤沈下が進むのか、巻き返しがなるのか。

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「カフェテリア」

 内覧会で説明担当者は「カフェテリアに緑を配した」と話した。写真ではよく分からないが、本物の観葉植物ではなく、フェイクそのものだった。流行らない飲食店のトイレに置いてあるものとほとんど変わらない。

 〝三木&御酒〟さん、これはない。働く人をコストとしか考えていないとわたしは受け取った。本物を置けばお金がかかると思えばなくしたほうがいいし、気持ちよく働けて、その癒し効果を考えればこれは絶対本物にすべき。わたしは、オフィスのポトスを定期的に剪定しに来る業者の方から枝葉を貰い、自宅と会社のデスクに置いている。ただ水をやるだけでどんどん増殖している。10年だって20年だって持つはずだ。

「最早、後発でない」「嫌悪施設でもない」 三井不 ロジスティクス本部長・三木氏(2018/5/21)

三井不動産 物流革命の先導役になるか 船橋ロジスティクスパークにICT LABO開設(2017/9/17)

カテゴリ: 2018年度

 リンナイが11月1日、全国47都道府県の20~60代の男女計2,350名を対象にした「入浴」に関する同社初の「全国47都道府県別徹底調査」結果を公表した。調査で分かったことは次の通り。

 ①ヒートショック予備軍がもっとも多い県は千葉県・宮崎県、もっとも少ないのは長野県②ヒートショックの内容・対策法を知っている人はわずか2割未満③日本人の平均入浴時間は12.6分、日本一の長風呂県は千葉県④ヒートショック危険度の高い「41°C」以上の温度で入浴している人は半数以上、日本一の熱風呂県は愛媛県⑤深夜の1人風呂がもっとも多かったのは茨城県⑥母親より父親が子どもをお風呂に入れる「パパ風呂家庭」がもっとも多いのは青森県⑦風呂の掃除を担当するのは「父(夫)」がもっとも多い県は三重県⑧浴室暖房機の設置率は関西地方が一番高い—など。

 入浴科学者の東京都市大学人間科学部教授・早坂信哉氏は早坂教授は結果について、「ヒートショック危険度の高い県は意外にも暖かい と考えられる千葉県、宮崎県、沖縄県などでした。西日本でヒートショックの危険度が高いのは、暖かいからと油断をしているせいかもしれません。逆に危険度の低いのが長寿で有名な長野県、埼玉県、寒いと思われる北海道などでした。温かい地方だからと言っても冬は脱衣室の室温は下がりますので油断せず、備えをしてもらいたいものです。ヒートショックの認知度が高いにも関わらず、危険度が高い県もあり、認知と対策の実行に差があるのは意外な結果でした」とコメントしている。

 ニュースリリースには早坂教授による「ヒートショック危険度チェックシート」やコメント、ヒートショックから身を守る「入浴前準備呼吸」も紹介されている。

 「ヒートショック危険度チェックシート」は10項目あり、チェック数が5個以上ある人は「ヒートショック予備軍」だそうだ。シートは次の通り。

 ①メタボ、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、心臓・肺や気管が悪いなどと言われたことがある②自宅の浴室に暖房設備がない③自宅の脱衣室に暖房設備がない④一番風呂に入ることが多いほうだ⑤42度以上の熱い風呂が大好きだ⑥飲酒後に入浴することがある⑦浴槽に入る前のかけ湯をしない、または簡単にすませる⑧シャワーやかけ湯は肩や体の中心からかける⑨入浴前に水やお茶など水分をとらない⑩1人暮らしである、または家族に何も言わずにお風呂に入る

 「入浴前準備呼吸」は①脱衣室で下着になる②両手をへその上に置いて、お腹を膨らませながら鼻から3秒で息を吸う③口から5秒で息を吐く。②-③を5回繰り返す。④浴室にはいって下着を脱ぐ

 詳細は次の同社ホームページへ。

PDF
https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/1101/images2/releases20181101.pdf
Web 
https://www.rinnai.co.jp/releases/2018/1101/index_2.html

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 興味深い結果だ。記者も予備軍は寒冷地のほうが圧倒的に多いのではと思っていたが、そうではないのが意外だった。

 予備軍の割合がもっとも多いワーストワンは千葉県(宮崎県も同じ値)なのに、隣接の埼玉県はベスト2位なのはどうしてか解せないが、こんなデータが公表されたら、千葉県のポテンシャルがまた下がるのではないかと心配だ。

 サイトで調べた。千葉県がランキング上位なのは、読売新聞、日経新聞の販売部数、15歳以上買い物時間、自動車盗認知件数、女性の家事労働時間、非正規労働者数など。逆に下位にあるのはホテル軒数、名勝数、睡眠時間、1世帯あたり負債額に占める住宅ローン比率(首都圏マンションの価格は一番低いのになぜか)などだ。

 長野県はどうか。長野県は死亡率が低い県でソープやギャンブルがないことは記者も知っているが、相対的貧困世帯率、生活保護受給世帯数も全国トップレベルで少なく、2017年衆議院比例代表:自由民主党得票率がもっとも低く(一番高いのは安倍総理の地元山口県)、インスタントラーメン消費量、労働時間、プロ野球選手出身地、殺人事件被害者数、待機児童数、殺人事件被害者数なども少ない。

 まだある。これは最近知ったのだが、長野県民のほとんどが歌えるという県歌「信濃の国」について。明治時代につくられたもので、「海こそなけれ 物さわに 万足らわぬ 事ぞなき」「山と聳えて 世に仰ぎ  川と流れて 名は尽きず」などと韻を踏んだ七五調で、気候風土が豊か、学問、武芸でも秀でた人を輩出しているという「県民意識」を高揚させる歌詞になっている。6番まである。みんなが歌えるというのが信じられない。

 そこで、生まれてから離れるまで18年間、一度も聞いたことがないわが故郷三重県歌を調べてみた。1番は「明けゆく朝の陽に映(は)えて むらさき匂う吉田山 展(ひ)らける街に 野に山に みんな明るく 呼び交わす ああ三重県は 躍進の 希望にもえる ふるさとよ」だ。3番まで同じ調子だ。

 伊勢出身の記者は「むらさき匂う吉田山」が理解できない。「吉田山」は聞いたことがあるような気がするが、津市の県庁が所在する高台一帯のことのようだ。しかし、このことを知っているのは地元の人だけだろう。「むらさき」はムラサキツユクサかムラサキシキブか。しかし、この花は匂わないし、におい立つような花ではない。ひょっとしたら醤油のことかもしれないが、醤油は伊勢醤油のほうが有名だ。「躍進の 希望にもえる ふるさとよ」などと言われると赤面するしかない。これはもう完全に長野県にかなわない。

 参考までに。記者もチェックシートに添って数えたら6~7つあった。糖尿だし脱衣場、浴室に暖房設備はないし、風呂は嫌いだから冬以外は浴槽に入らないし、浴槽に入ると寝入ってしまい、たたき起こされることもしばしば。だいいち毎日酒を飲む。飲む前に風呂に入るのは温泉旅館くらいだ>

カテゴリ: 2018年度

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 会話ができる・通ると音がし、香りも嗅げる・動きに合わせて風が吹く暖簾-こんなユニークなイベント「未来ののれん展」が11月1日(木)~11月11日(日)、日本橋・中央通りの「コレド室町」周辺で行われる。

 2018年7月、日本橋の企業と若手クリエイターが立ち上げた「nihonbashi β」(代表:朴正義氏)が主催するもので、日本橋の伝統と文化を象徴する「暖簾」と新しい感性と共創させ、未来につなげようという企画。

 学生2人を含めた4チーム16名(平均年齢28歳)が、3カ月にわたりセミナーやワークショップを重ね、様々なソフトウェア、人感センサー、バイオメタル、超指向性スピーカーなどの最新の技術を駆使して作り上げた。

 「β」の文字には、前例のないチャレンジを歓迎する開かれた街でありたいという想いと、日本橋から世界に羽ばたくクリエイターを生み出したいという希望が込められているという。掲出されるのは次の4種類。

 「のれんさま/コレド室町」(クリエイター:髙橋紗登美、成田敬、深谷泰士、 藤木良祐)は幅4.5m ×高さ2m。人感センサー・加速度センサーを使用し、暖簾をくぐる人に話しかけるのが特徴。220種のことばを喋れるという。

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「のれんさま/コレド室町」

 「響きあう、今と昔/三井ガーデンホテル日本橋プレミア」(同:石川貴之、佐藤哲朗、鈴木和真、水野直子)は幅2.3m×高さ2.5m。バイオメタル(形状記憶合金)を使用し、静音性の高いのれんの上下運動を実現することによって、暖簾のモアレ現象を増幅させる。

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「響きあう、今と昔/三井ガーデンホテル日本橋プレミア」

 「日本橋 音ノ場/にんべん日本橋本店」(同:小田部剛、馬場隆介、水野諒大、森幸浩)は幅3.5m ×高さ1.5m。max/msp(ソフトウェア)を使用し、調理音を音楽として再構築し、超指向性スピーカーで耳元から音が聞こえるようなシステムを構築。出汁が煮える音、鰹節を削る音のほか、香りも漂う(暖簾自体から香りが出るわけではないが)というのが〝味噌〟。

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「日本橋 音ノ場/にんべん日本橋本店」

 「マンダリン オリエンタル 東京の風/マンダリン オリエンタル 東京」(同:五十嵐優作、斧涼之介、佐藤達哉、水村真理子)は幅7m ×高さ2.7m ×奥行き2m。ファンと音を制御し、測域センサーを使用し、人の動きに合わせて暖簾が美しくなびき、移ろいゆく森の音を体験することができる。

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「マンダリン オリエンタル 東京の風/マンダリン オリエンタル 東京」

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 記者は、開催に先立って10月31日に行われたオープニングセレモニーを取材した。4チームがそれぞれプレゼンを行い、7名のアーテイスト、デザイナーなどによる審査委員のトークセッションが行われた。

 一つひとつ紹介する余裕はないが、審査委員からは「清々しいテーマ」「可能性を感じた」「すごい」「面白い」「のれんなくてもよかった」「話せる暖簾なんて世界初じゃないか」「精度高い」「感動した」「パチンコ屋のような電飾がつくられるのではないかと心配したが、杞憂に終わった」「何を置いても似合う」「みんな頑張った」「想像を超えた」「(商品を)買いたくなる」「音が香りを引き出した」「大きな一歩」「プロセスが大事」「(企業の代表などと)フラットで話し合える」「経験は次に生きる」「街とつながる」などと感嘆・絶賛の声が上がった。

◇       ◆     ◇

 「暖簾」と言えば、記者などは木綿か麻でできているものしか浮かばないが、マンダリンホテルのそれは「レーヨン」(化繊)で出来ていて、白いカーテンのようだった。しかも5層の奥行きもあり、足元には既設の水盤もあった。日本橋に本社を構える東レが制作に協力していると聞き、なるほどと思った。「暖簾」の既成概念を根本的に変えた作品だ。

 にんべんの出汁が煮える音とか鰹節を削る音も流れるという暖簾にもびっくりした。審査員の方も「すぐ買いたくなる」と話したのも大げさではない。これはすごい。だが、しかし、出汁(煮込みか)が煮える音は、窯ゆでにされたような恐怖を覚えないか。入る客も逃げ出さないか、少し心配になった。記者はかつて鰹節を削り、最上の昆布で味噌汁をつくっていたが、だし汁が沸騰する音は聞こえない。

 それにしても、奇想天外な発想に呆れかえりもし、無限の可能性も感じた。あらゆる商品が〝五感に訴える〟時代がやってくるのではないか。〝シズル〟は広告業界の永遠のテーマなのだろう。

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オープンセレモニー 参加者と審査員など

カテゴリ: 2018年度

 昨日(10月31日)書いた2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「HARUMI FLAG」の記事のうち、次の文章を削除する。

 「大会終了後の改修費について他の記者の方が質問されたが、これも明確な返事はなかった。報道では約500億円とあるが、これを住宅戸数で割ると887万円になる(タワー棟を除けば1戸当たり1,000万円くらいか)。これはあり得ない。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない。

 大会組織委員会が負担するのであれば、間違いなく国民の批判を浴びる。どのような契約になっているのか情報を開示すべきだ。開発法ではこの改修費をどこが負担することになっているのか聞きたいものだが…。」

 削除するのは、新たな事実が分かったからだ。東京都オリンピック・パラリンピック準備局が平成30年5月7日付で都議会用に作成・公開した「選手村宿泊棟の整備について」と題する文書を入手した。(誰でもホームページで閲覧できる)

 そこには、「東京都が施行する市街地再開発事業において特定建築者が整備中の住宅棟を選手村の宿泊棟として一時借用して活用」「構造躯体の状態まで整備した住宅棟に、組織委員会が大会用の仮設内装を付加し、大会期間中に使用した後、撤去」「大会終了後、大会中に一時使用した宿泊棟は、特定建築者が分譲・賃貸住宅等として改修」「ベッドやテーブル、椅子などの備品は組織委員会が調達」とある。

 また、宿泊棟の大会時内装工事については、住宅棟を選手村として使用するための内装、設備等の新設工事及び解体工事(工事監理業務等を含む)の金額は約444.9億円(工事費:約441億円、工事監理費:約4億円)で、組織委員会と特定建築者の間で平成30年3月27日に契約が交わされたとある。

 費用負担は、宿泊棟の大会時内装工事等の費用、メインダイニングなどの仮設施設を整備する費用、住宅棟等を特定建築者から選手村として借りる費用を東京都が、備品の調達など運営等に係る費用は組織委員会がそれぞれ負担するとある。

 さらに文書には、「選手村宿泊室(イメージ)」の簡単な間取り図が添付されており、給湯器、室内ダンボール建具、シャワーユニット・トイレ、3点ユニットバス、壁ボード、フローリング、天井ボード、エアコンなどは撤去するとしている。

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 この文書から、東京都と組織委員会が特定事業者から建物がスケルトンの状態で借り、組織委員会が内装工事を施し、大会終了後に撤去し、その費用負担は都と組織委員会が追うことが決まっていることが分かる。

 文書を読まれれば、記者が「あり得ない金額だ。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない」と書いたのはいかに的外れであるかもわかる。知らなかった記者が馬鹿だということだ。

 なので、取り消すが、記者は昨年8月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に施設の設備仕様などについて問い合わせたところ、「大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」と回答があった…これはどういうことか。セキュリティはどうした。ものごとは全て力関係ということか。

 昨日だって、きちんと説明すれば誰も不思議に思わなかったはずだ。

 選手村としての内装は、キッチンを付けないのは分からないではないが、ダンボール建具や3点ユニットバスを採用するとは…ビジネスホテルと一緒だ。世界トップクラスの選手に失礼ではないか。有名なサッカー、バスケットボール、メジャーリーグの選手は絶対泊まらないと思う。アメリカでは紙のドアは当たり前かもしれないが、この前見た末長組のウォルナットのリビングドアは重さ60キロだった。いっそのこと、伴茂さんの〝紙の家〟にしてはどうか。

 分譲する住戸のリビングの標準天井高は2500ミリで、サッシ高は身長が高い選手が頭をぶつけるような1800ミリということはないようだ。

聞きたいことは不明オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)

東京オリンピック・パラリンピック選手村「施設・設備の仕様は非公開」なぜ(2017/8/1)

 

カテゴリ: 2018年度

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「札幌」の外観イメージ

 大京は10月30日、ホテル開発事業を福岡市、札幌市、熊本市でそれぞれ行うと発表した。

 同社は2017年度を初年度とする「大京グループ中期経営計画」で、新たな事業の柱として不動産ソリューション事業に注力するとしており、「ホテル開発事業」「賃貸マンション開発事業」「CRE 戦略支援事業」「オフィスビル開発事業」などを行う「ソリューション事業部」を今年6月に立ち上げた。年間売り上げ目標は300億円。

 「福岡」は、福岡市地下鉄七隈線渡辺通駅から徒歩4分、敷地面積約1,241㎡の12階建て242 室(予定)。開業予定は2021年9 月。

 「札幌」は、札幌市営地下鉄南北線大通駅から徒歩4分、敷地面積約1,071㎡の12階建て全182室(予定)。 開業予定は2020年6 月。

 「熊本」は、熊本市電辛島町駅から徒歩2分、敷地面積約788㎡の10 階建て200 室(予定)。 開業予定は2021年1月。

 

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 「配偶者を愛している」84%-不動産情報サービスのアットホームは10月29日、「共働き夫婦の実態」調査をまとめ発表した。11月22日の“いい夫婦の日”に合わせて行ったもので、一都三県で持ち家に住み、子どものいない共働き夫婦(DINKS)の男女548名を対象にしたもので、住宅取得価格は平均4,179万円で、「配偶者を愛している」比率は84%、「一緒に風呂」が30%に達するなど〝円満夫婦〟であることを浮き彫りにした。

 調査によると、①自宅の購入価格は平均4,179万円、住宅ローンの借入額は平均3,243万円②住宅ローンを完済した世帯は14.6%③自宅は夫婦共同名義 51.1%④それぞれが自分の給料を個別に管理する世帯は50.5%⑤今後も共働きの生活を継続したいは86.3%⑥配偶者を愛している度合いは平均84.2点-などがわかった。

 このほか、生活が安定している世帯は平均67.7%、仕事に満足している人は65.3%、自由に使えるお金は6.4万円、家事負担は夫が3.3割、妻が6.7割、帰宅時間は夫が18:56、妻が18:34、一緒に風呂に入るが30.3%だった。

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 予想通りの結果となった。取得価格からして23区の駅近マンションは絶望的であることを改めて印象付けたが、極めて健気で仲良し夫婦像が浮かび上がり、とても嬉しくなった。

 やや意外だったのは、自宅の延床面積が平均83.9㎡と広いことだが、これは中古マンション(16.1%)、新築建売住宅(20.6%)、中古一戸建て(5.5%)の購入者も合計で42%に上っていることの反映か。

 「配偶者の年収を知っているか」の問いでは夫の74.8%、妻の88.3%が知っていると答えたが、知らない人が少なくないのに少し驚いた。

 一緒に風呂に入る世帯が30.3%にも上ったのには嫉妬を感じたが、30代、40代の子どもなしでは当然か。子どもができてごらんよ…野暮なことは書かない。記者は二十歳を過ぎてもお父さんと風呂に入っていた女性を知っている。

 これらの結果をデベロッパーはよく研究すべきだ。70㎡台の平凡な間取りではDINKS層を満足させられないということだ。主寝室を広くする、風呂を豪華にする-などはすぐ実行すべきだ。

 

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第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式(すまい・るホールで)

 日本木造住宅産業協会(木住協)は10月27日、第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式を開催した。

 同コンクールは「木造住宅は地球環境にやさしい住宅」であるという同協会の広報・啓発活動の一環として、毎年10月18日の「木造住宅の日」にちなんだイベント。昨年までのテーマ「木の家・こんな家に住みたい」としていたのを応募しやすくするため「木のあるくらし」に変更し、国土交通省大臣賞、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、環境大臣賞の4つの大臣賞に加え新たに「外務大臣賞」を設けた。

 応募の結果、国内1,087校(前年比62.7%)と海外のベトナム、ニューシーランド、オーストラリア、インドネシア4カ国からの106作品を合わせ10,882点(同47.9%)の作品が寄せられた。審査の結果、各大臣賞と住宅金融支援機構理事長賞、日本木造住宅産業協会理事長賞、朝日小学生新聞賞と木住協地方各ブロック賞など35作品が表彰された。

 同協会・市川晃会長(住友林業社長)は、「今回からより取り組みやすいテーマに変更し、外務大臣賞も設けたことで新たな第一歩を踏むことができました。寄せられた作品は、日ごろ目にされたり触れたりされていることを豊かな文章力で表現されており、感動をいただいた。この感動をみなさんと共有し、自然と共生する大事さを次世代につなげていきます」と挨拶した。

 審査委員長のイラストレーター・はせがわゆうじ氏も、「作文が上手な人は朗読力も上手ということがよくわかりました。驚きの連続でした。他の人は持っていない何かを皆さんは持っている」と絶賛し、「白い紙を広げて、何でもいいから表現してみてください。そうすると自分の気持ちが整理され、見えないものが見えてきます」とエールを送った。

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市川会長

◇       ◆     ◇

 作品は、市川会長やはせがわ氏が「感動的」と話したように、みんな素晴らしいものばかりだった。その中で2つ選べと言われたら、記者も国土交通大臣賞を受賞した群馬県・伊久間彩愛さんの「シマトネリコが守る家」(高学年の部)と、徳島県・中本侑志くんの「ぼくの木のいえ きいくん」(低学年の部)を選ぶ。

 佐久間さんがいきなり「僕の家はいい物件だ」と話しだしたときはびっくりしたが、燕のことだと分かり、鳥の目線から同じ鳥の世界や人間界を観察する洞察力に感嘆の声を上げたくなった。

 佐久間さん、最高に素晴らしい。なにが素晴らしいかと言えば、ツバメのオスの気持ちでものごとを考えられるということです。参考ですが、わたしの好きな小説家・小池真理子さんは「わたしは両性具有。男女それぞれの視点で小説を書ける」話しました。「両性具有」とはミミズとかウニなどオスとメスの機能を持ち合わせている動物です。

 大きくなったらぜひ小池さんの小説を読んでみてください。男や女、社会の出来事をよく観察されていることが分かるはずです。これからの世の中は、男(オス)と女(メス)のそれぞれの立場からものごとを考えるモノサシ(思考力)が必要になるはずです。佐久間さん、今度は虫の目線で書いて。

中本くんは2年生くらいか。曾祖父の時代から育ててきた木を材料にして建てた家を紹介する内容だが、「ぼくの家はヒノキ(桧)、スギ(杉)、マツ(松)、クリ(栗)、ツゲ(栂)、ケヤキ(欅)、カヤ(榧)、ネズ(杜松)で出来ている」と話した。

中本くん、すごいね。おじさんは7つ目までは分かるけど、「ネズ(杜松)」は初めて聞いた名前です。みんな中本くんの住んでいる徳島県で採れた木なんでしょうね。

中本くん、国土交通省の人が「木は人にやさしい、環境にやさしい、地球にやさしい」と言いましたよね。おじさんもそう思う。みんなそう思っている。けど、日本の家は、昔は80%くらいが木で出来ていたのが今は60%くらいに減っています。その代わり鉄やコンクリートの家がどんどん増えています。

なぜだと思いますか。お父さんやお爺さんに聞いてみてください。おじさんもよくわかりません。木住協の中で一番偉い住友林業の市川社長さんにも聞いてみてください。「市川さんの会社は何種類の木を使っていますか。徳島の木は使っていますか」と。

 農林水産大臣賞(低学年の部)を受章した群馬県・小暮浩輔さんと、文部科学大臣賞(高学年の部)を受章した鹿児島県・阿部恵さんはそれぞれ4分間、作文を手にしたままで暗唱した。木住協関係者は「何回も参加しているが、暗唱するのを見たのは初めて」と感嘆の声を上げた。

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 前段で書いたが、応募作品が激減したのにも驚かされた。昨年は6年連続の2万点超の22,778点だから、今回は半減以下だ。各ブロック賞を含め表彰・受賞した35作品を都県別にみると東京、神奈川、埼玉、大阪、名古屋などの大都市はゼロで、各4作品の群馬、静岡、千葉など21県しかないのも気になった。〝山林王〟諸戸林業を擁し、平成30年度農林水産祭で速水林業の速水亨・速水紫乃両氏が夫婦連名で天皇杯を受賞したわが三重県は作文コンクールに縁のないのはどうしたことか。

 その理由を木住協関係者は、「われわれも驚いている。手を抜いたわけではない。その逆で、取り組みやすいテーマにした。先生の長時間労働が問題となり、働き方改革が進められていることと関係があるのかどうか」「わたしにも子どもがいるが、子どもも先生も負担を減らそうという動きはある」「他の作文コンクールも応募が激減しているという情報もある」などと話した。市川会長も「原因を分析する」と語った。

 なにも知らない記者は言葉を慎まなければならないが、母語(日本語)を読む・書く・朗読することは教育・人格形成の基本ではないのか。「負担を減らす」のは分からないではないが、この基本までも減らしたら思考力はどうなるのか。教育現場で何が起きているのか、何が終わったのか。

 

応募2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式(2017/10/29)

 

 

カテゴリ: 2018年度

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「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム」(全国都市会館大ホールで)

 書かない(未然)、書きます(連用)、書く(終止)、書くとき(連体)、書けば(仮定)、書け(命令)-書こう。美しいし森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議は10月23日、「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム~新産業創出と地方創生につなぐ、分野横断的な森づくり・木づかい~」を行った。約200名が集まった。

 出だしは最悪だった。冒頭、3名の方が挨拶に立たれた。このうちの2人の方はそれぞれ数分間、聴衆に向き合わず、ほとんど(文章が用意されていたのか)下を向くかプロジェクターに呼び掛けるのみで、一通りの挨拶を済ませると〝そそくさ〟と降壇した。情けない。残念至極。

 〝そそくさ〟は記者が受けた印象だが、あり得ない光景だった。これが何かのプレゼンだったら、審査員はみんな×印を付けたはずだ。もう帰ろうかと思った。それでも我慢したのは「森林×SDGs」のタイトルに期待したからだ。

 そのあと基調報告として登壇された川廷昌弘・博報堂DYホールディングスグループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長は、「アドレナリンが出っぱなしといつも注意を受ける」と〝過ぎたるは猶及ばざるが如し〟を自覚されていたようだが、熱っぽく聴衆に呼び掛けた。

 それからまた4人の方が合計で約2時間かけて概要報告をされた。配布されたプロジェクター用の資料は全72ページ。すべて紹介されたわけではないが、びっしり文字が書き込まれた図表を1枚につき約30秒で読まされる聴衆はたまったものじゃない。〝文字が小さい!〟と渡辺謙さんのように叫びたくなった。

 それでも救いがあった。最後に登壇された東急リゾートサービス 資産企画統括部グループリーダー・徳田圭太氏は、「アカデミックな話ではなく、現場・生の声を報告したい」と切り出し、660haの「東急リゾートタウン蓼科」が2012年の土砂災害を受け、その復興に取り組むうちに単なる土木対応では災害を奉仕できないと考え、「守る」(間伐)-「つなぐ」(育てる)-「使う」(利用)することこそが「我々の使命」に気づき、「MORIGURASHI」事業を展開するようになったと話した。プロジェクターはほとんど使用しなかった。

 徳田氏から〝森と山と幸と恵み〟と紹介された同じ部署の森山幸恵氏は、様々なイベントなどを行うことで「今年の夏は大盛況だった」と語った。

 二人の概要報告に、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた東京農大教授で美しいし森林づくり全国推進会議事務局長の宮林茂幸氏は「それこそSDGsの実践者」と讃えた。

 パネルディスカッションでは、あらゆる生産活動、消費活動をSDGsの視点から問い直し、プラットホームを構築することが必要とパネリスト全員が確認しあった。

 記者は終わりよければすべてよしと安堵した。参加者も同じ感想を抱いたのではないか。

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徳田氏(左)と森山氏

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宮林氏

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 SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連総会で採択された「Transforming our world :the 2030 Agenda for Sustainable Development (我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成されている。

カテゴリ: 2018年度
 

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