立地、仕様、離れ、デザインなど抜群 単価は坪500万円弱 小田急不「調布」
「リーフィアレジデンス調布小島町」
小田急不動産が分譲中のマンション「リーフィアレジデンス調布小島町」を見学した。駅から徒歩5分と近いにも関わらず、商業エリアから一歩入った住居系エリアで、ZEH-M Oriented認定、専有面積平均75㎡超、内廊下方式、「ONEX」(離れ)付きなど商品企画が秀逸。デザインも美しい。坪単価予想(というよりは願望)は外したが、とてもいいマンションだ。
物件は、京王線調布駅から徒歩5分、調布市小島町二丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、地上7階建て全50戸。専有面積は26.10~128.80㎡(6~7階住戸5戸は別に5.40~6.06㎡のONEX付き)、現在先着順で分譲中の住戸(6戸)の価格は8,278万円~14,008万円(専有面積66.69~81.51㎡)。坪単価は500万円弱。建物は2024年6月竣工済。設計デザイン監修は西山建築デザイン事務所(西山広朗氏)、実施設計・施工は風越建設。
現地は、駅から遊歩道・大規模商業施設を抜けた住居系エリア(車道はあるが信号機はなし)。従前敷地は社宅。敷地西側は道路を隔てて第一種低層住居専用地域。建物は三方道路に接道。ZEH-M Oriented認定、内廊下方式を採用。住戸は東向きと西向きがほぼ半々。その他の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(一部除く)、御影石キッチン天板・洗面カウンター天板、食洗機、サッシ高2300ミリ、Low-E複合ガラス、6~7階の5住戸は食器棚標準仕様・5.40~6.06㎡のONEX(離れ)付き、物干しポール、全戸玄関宅配BOX・トランクルーム付きなど。
3月上旬からエントリーを受け付けており、これまでの反響数は約2,100件、7月下旬からのモデルルーム来場者は約280件。10月19日に供給した1期30戸のうち26戸が申し込み済み。申込者の約半数は地元居住者。ほかは世田谷区など中広域にわたっているが、隣接市の府中市は少ないという。
同社住宅事業本部住宅販売部マンション販売グループリーダー・清水徹氏は「用地を取得した段階から〝この価格で売れるのか〟という社内の声もあったが、ピン立地でここしかない条件を生かすよう6~7階をプレミアム住戸として仕様レベルを上げ100㎡超の専有部に『離れ』付きとし、物件全体で75㎡超の専有面積を確保し、1階の1住戸は専用利用権付き平置き駐車場とするなどプランニングには力を入れました。このような点がお客さまにご評価いただいています」と語った。
エントランス
モデルルーム
ドアノブも本物の木
写真左のゲートがあるのが専用カーポート付きの住戸、写真右は屋内から専用駐車場を写す
◇ ◆ ◇
調布市(布田駅)は、50年近く前に結婚して住んだ街だ。今はマンションなどがたくさん建っているが、当時は、畑などがかなり残っていた。住むならここだと思っていたが、バブルが発生し、駅近マンションは坪500万円を突破して、あきらめざるを得なかった。
今回のマンションは、2012年に京王線柴崎駅〜西調布駅、相模原線調布駅〜京王多摩川駅が地下化され、遊歩道などが整備されたことにより、住宅地として注目されるようになった、住宅地としては調布の一等地だと思う。
物件特性は上段で紹介したので省くが、御影石、タイルを多用し水平・垂直ライン、分節を強調したデザインがとにかく美しい。監修した西山広朗氏の名前はどこかで聞いたような気がしたので、「RBAこだわり記事」で検索した。3件がヒットした。一つは同社の「「リーフィアレジデンス上原」で、あとの2つはいずれもモリモトの「浜田山」と「目黒」のマンションだった。近くには大規模商業施設だけでなく市役所、図書館、病院、文化会館などの公共施設も揃っている。
現地を今春に見た段階で、坪単価は400万円台の後半どころか、500万円超ではないかと予想した(というより、500万円を突破している城北の北千住、大山などには絶対負けてほしくないという願望)。若干外したが、それでも予想は間違っていないと思う。
京王線はバブルがはじけてからこの40年近く、他の沿線と比較して割負けしているとずっと書いてきた。街のポテンシャルは負けていないはずなのに、小田急線より2~3割、あるいはそれ以上安い。
例えば、坪単価は730万円くらいで瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャル「パークホームズ代々木西原」(69戸)。物件名にそうなっているように、小田急線(千代田線)代々木上原駅から徒歩9分の渋谷区西原に位置しているのだが(「代々木西原」の地名はない)、最寄り駅は京王新線幡ヶ谷駅で徒歩5分だ。しかも、代々木上原駅からだと坂がきついが、幡ヶ谷駅からだとフラットで緑道も利用できる。物件名を「代々木西原」でなく「幡ヶ谷」にしたら、この単価をつけられるかどうかは記者も自信がないが…。
「調布」とほぼ同じ、小田急線新宿駅から15分圏内の大和ハウス工業「プレミスト世田谷梅丘」(29戸)は、各駅停車の梅ヶ丘駅から徒歩9分だが、坪単価は630万円だ。こちらもわざわざ「世田谷」をつけている。
もう一つ。わが国初の全棟「ZEH-M」と全住戸「ZEH」マンション大京「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」。各駅停車の京王線八幡山駅から徒歩3分の第一種低層住居専用地域立地で、坪単価は540万円台。やはり物件名に「世田谷」がついている。
駅名の看板が外されたり、余計なものがつけられたりする。「調布」も「八幡山」も梅ヶ丘駅とほとんど同じ距離圏なのに坪単価は100万円以上安い。どうしてこのような屈辱的な扱いを受けるのか、京王電鉄も自治体も考えないといけない。
だが、しかし、京王線は笹塚駅~仙川駅間約7.2kmの区間を高架化し、25か所の踏切を除却し、代田橋・明大前・下高井戸・桜上水・上北沢・芦花公園・千歳烏山は高架駅となる工事を進めている。いつ全体が完成するかわからないが、利便性は飛躍的に高まるはずだ。
隣接の遊歩道から写す
現地
エントランス
外観(水平、垂直、分節デザインが美しい)
わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」駅徒歩3分の1低層大京「八幡山」(2024/10/4)
代々木上原の1低層デザイン性高く借景見事小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2022/3/11)
大激戦の「調布」割安単価で他社を圧倒三井不レジ名士の屋敷跡地は坪340万円(2011/5/11)
曰く言い難し三条実美の邸宅跡地価格はいくらかモリモト「ディアナコート目黒」(2018/3/2)
これを見よ比肩するマンションなしモリモト「浜田山」82016/3/2)
呉越同舟 三井不レジ・野村不・三菱地所レジ 674戸の定借「市川」分譲開始
「リーフシティ市川 ザ・タワー」
三井不動産レジデンシャル、野村不動産、三菱地所レジデンスは10月25日、京葉ガスが進める複合開発「リーフシティ市川」内で建設中の期間70年の定期借地権付き免震マンション「リーフシティ市川 ザ・タワー」674戸の第一期販売を11月2日に開始すると発表した。これまで約2,500組超の反響と500組超のモデルルーム来場者がある。
「リーフシティ市川」は、約3.7haの京葉ガス市川工場跡地計画のエリア愛称で、分譲マンションのほか共同住宅(賃貸)、シニア住宅、保育施設、地域貢献施設、レストルーム、中央広場、運動場などが計画されている。店舗(コンビニ)は2023年12月に開業済み。
マンションには、京葉ガス供給エリアでは初採用となる「カーボンオフセット都市ガス」のほか、「ZEH-M Oriented」の取得、「再生可能エネルギー一括受電」などを採用する。
物件は、総武本線市川駅から徒歩7分、市川市市川南2丁目の工業地域に位置する敷地面積約12,200㎡、29階建て全674戸。第1期専有面積は42.70~129.90㎡、予定価格は3,800万円台~19,600万円台(最多価格帯7,700万円台)。竣工予定は2026年12月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
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記者は、千葉県内の好きな住宅地としては、計画的に整備された京葉線沿線以外では総武線の市川と習志野を真っ先にあげる。緑が多いからだ。現地はおおよその見当はつくが、見ていないのでなんとも評価できない。工業地域というのが気がかりではあるが、規模が約3.7haというから住環境は整備されるのだろう。
肝心の坪単価はわからないが、最多価格帯の専有面積を70~73㎡だと仮定すると、350万円前後になるはずだ。船橋駅南口の「西武船橋店」跡地の再開発マンションは坪単価500万円とも聞いているので、市川駅から徒歩7分の定借で坪350万前後というのは納得だ。
さて、これが売れるかどうか。千葉県居住者は都内に近い市川で7,700万円台(70~73㎡として)は魅力だろうが、都内居住者は江戸川を超えるのは抵抗感を感じるかもしれない。総武線沿線ではいま「駅近」の再開発マンションが猛烈な勢いで供給されているからだ。ここ数年間の総武線(都内)で分譲された再開発物件と、今後分譲される予定の主な物件を紹介する。
・野村不動産他「プラウドタワー小岩ファースト」(233戸)2022年竣工
・住友不動産「シティテラス新小岩」(268戸)2022年竣工
・野村不動産「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)2022年竣工
・野村不・阪急阪神不「プラウドタワー平井」(374戸)2024年11月竣工予定
・野村不動産他「プラウドタワー小岩フロント」(367戸)2025年11月竣工予定
・三井不レジ他「パークシティ小岩ザ・タワー」(731戸)2027年1月竣工予定
・日鉄興和不他「南小岩七丁目駅前地区」(約1,000戸)2029年度竣工予定
・三井不レジ他「「新小岩駅南口地区」(543戸)2032年竣工予定
以上、8物件でトータルすると4,450戸(販売対象外住戸含む)だ。このほかの物件も供給されているので、その数は数千戸に上るとみられる。
価格上昇も著しく、「プラウドタワー平井」までは坪400万円以下だったのが、「パークシティ小岩ザ・タワー」も「プラウドタワー小岩フロント」も坪400万円をはるかに突破している。20坪で8,000万円台の半ばか後半だ。(駅から距離のある物件は坪300万円以下もあるようだが)
ただ、この単価でも、他の沿線、例えば北千住、赤羽、大山などの城北エリアは坪500万円を突破しているので、これらと比較すれば割安感がある。
面白いのはこの3社の組み合わせだ。三井レジと野村不は総武線(都内側)で大激戦を展開しているのに、江戸川を渡ったら手を組むとは…経営者は何を考えているのかさっぱりわからない。三井レジ・嘉村社長、野村不・松尾社長、三菱地所レジ・宮島社長はほんの数か月しか違わない同じ1960年生まれの同学年だ。呉越同舟と言ったら怒られるか。
「リーフシティ市川」
中央広場
坪単価399万円圧倒的な割安感あり野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)
総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車再開発中心に5000戸超「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)
わが故郷・伊勢市駅前の再開発マンション 坪単価は200万円弱か 長谷工不
「ブランシエラ伊勢市駅前」
長谷工不動産は10月20日、わが故郷・伊勢市の一等地のマンション「ブランシエラ伊勢市駅前」第1期30戸の抽選販売を開始した。
物件は、JR・近鉄山田線伊勢市駅から徒歩3分、伊勢市宮後一丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する14階建て全102戸(一般62戸、非分譲40戸)。第1期(30戸)の専有面積は64.99~95.72㎡、価格は3,560万~5,950万円(最多価格帯4,100万円台)。竣工予定は2026年1月。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
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現地はよく知っている。従前は三重交通のバスターミナル・三交百貨店で、百貨店は2001年5月に閉店となった。
全体敷地はA・B・C地区に分かれており、A地区は三交イン伊勢市駅前「本館」(129室)として2016年に、B地区は三交イン伊勢市駅前「別館」(37室)などとして2023年にそれぞれ開業している。
今回のマンションは「伊勢市駅前C地区市街地再開発事業」(0.3ha)として令和2年に都市計画決定されている。
百貨店が閉店となってからほぼ四半世紀。ここまで再開発計画がまとまらなかったのは、地権者の調整がうまくいかなかったからだと聞いている。一般分譲の約半数が供給されたのだから何よりだ。坪単価は200万円を割っており、ぎりぎりの採算ラインか。
令和6年地価公示で、伊勢市の住宅地価格は平成26年度比で18.0%下落しており、人口10万人以上の244市のうちワーストの桐生市の19.0%下落に次いでワースト2にランクされており、隣接の松阪市も17.3%下落のワースト3に入っている。
令和6年地価公示バブル期の〝半値戻し〟上昇20市のみ福岡県4市がベスト10入り(2024/4/6)
またショック全国10万人以上259市の地価公示下落率最大はわが故郷・伊勢市(2023/3/25)
記者予想「坪単価は300万円超」的中 相鉄不「ゆめが丘」 第1期103戸を供給
相鉄不動産は先に全335戸の「グレーシアウエリス横浜ゆめが丘」のうち第1期として103戸を供給し好評を得たと発表したが、坪単価は315万円程度とみられ、「坪300万円超」とした記者予想が的中した模様だ。
同社は、3月の同物件ウェブサイトの公開以来2,700件超の問い合わせがあり、相鉄線沿線や神奈川県内を中心に、東京都23区も含め幅広い年代の600件以上の来場があったとし、来場者の評価ポイントは①駅徒歩1分の立地(84%)②シネコン併設、約130店舗が集う大規模複合商業施設「ゆめが丘ソラトス」近接(55%)③横浜市営地下鉄ブルーライン下飯田駅徒歩5分。2路線利用可能(48%)④ゆめが丘総合病院、クリニックモール新設など、安心の医療サポート環境(42%)-などとリリースした。
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同社のプレス・リリースでは価格について触れていないが、12月以降に販売する予定の住戸(9戸)の専有面積は55.80~81.62㎡で、予定価格は5,100万円台~7,900万円台としている。
これから推測すると、坪単価は302~332万円で、平均値は315万円くらいになる模様で、記者が7月にモデルルームを見学した際の記事で「坪300万円を突破する可能性が高いと見た」と書いたのが的中した。
比較する物件がほとんどなかっただけに、的中はとてもうれしい。「駅1分」「大規模商業施設近接」の威力をまざまざと示した。
坪300万円超か駅前&すべて完結する「ゆめが丘ソラスト」近接相鉄不「ゆめが丘」(2024/7/22)
野村不 4物件目「新浦安」全戸80㎡以上 ラウンド形状の外観 坪約320万円でも販売好調
「プラウド新浦安パークマリーナ」(手前は「日の出おひさま公園」)
野村不動産が分譲中のマンション「プラウド新浦安パークマリーナ」を見学した。駅からはややあるが、大型商業施設が揃うシンボルロードから少し入った公園に隣接しており、全218戸のうち残りは37戸(先着順9戸含む)と好調。
物件は、JR京葉線・武蔵野線新浦安駅から徒歩21分(バス約5分・徒歩6分)、浦安市日の出四丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約19,405㎡、4階建てⅠ~Ⅲ街区218戸(募集対象外住戸1戸含む)。先着順で分譲中の住戸の専有面積は80.01~90.17㎡、価格は7,098万~10,798万円(最多価格帯7,500万円台)、坪単価は約320万円。竣工予定は、Ⅰ街区は2024年9月竣工済、Ⅱ~Ⅲ街区は2024年12月下旬。施工は三井住友建設。
現地は、ニューコースト新浦安、ケーズデンキ、ケーヨーデイツー、フォルテ新浦安などの大型商業施設が建ち並ぶ幅員約50mのシンボルロードから少し入ったところで、従前敷地は社宅。建物は約5,000㎡の「日の出おひさま公園」に隣接。公園に面したⅠ街区(アリーナヴィラ)はシンボリックなラウンド形状となっている。
マンション設計段階から野村不動産パートナーズと連携し、発電出力112KWの大規模太陽光システムを導入。同社グループの一括受電スキーム「enecoQ」を採用することで、共用部だけでなく、専有部にも太陽光発電による電力供給を可能にし、電気とガスを組み合わせたハイブリッド給湯器(年間約4万円の光熱費を削減)を備えている。
このほか主な基本性能・設備仕様は、「ZEH-M Oriented」水準、「低炭素建築物」認定、コンクリバルコニー隔て板(一部除く)、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、サッシ高2300ミリ、ディスポーザー、御影石キッチン天板、食洗機、幅広リビング収納(約1畳大)、Low-Eガラス、浴室タオル掛け2か所など。
共用部は約2,800㎡超の2つの中庭と、それぞれ機能が異なる2つの木造共用棟を採用。駐車場設置率は100%。
販売開始は今年1月からで、これまで177戸を成約。残りは40戸(うち先着順11戸含む)。11月に第4期(戸数未定)を供給する。
モデルルーム
リビング収納
◇ ◆ ◇
同社が新浦安エリアでマンションを分譲するのは、2008年竣工の「プラウド新浦安」(733戸)、2009年竣工の「プラウドマリーナテラス」(179戸)、2011年竣工の「プラウド新浦安パームコート」(550戸)に次いで今回で4物件目。同駅圏でのマンション供給は、2022年竣工の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」(528戸)以来となる。
三菱地所レジデンスの坪単価は222万円だったので、ずいぶん高くなった印象を受けるが、最近のマンション価格の高騰からして納得もした。
モデルルームはラグジュアリータイプの約90㎡で、サッシ高2300ミリ(一部除く)、フィオレストーンキッチン天板(コンフォートタイプは御影石)、幅広のリビング収納(1畳大)、エコカラットの玄関アクセント壁(オプション)、百数十万円はしそうなダイニングテーブルセットなどが目を引いた。
現地
現地
ZEH、ランドプラン、共用施設…単価では計れない価値あり三菱地所レジ「新浦安」(2022/1/16)
東京建物 三井ホームの木造技術を採用した賃貸「(仮称)洗足池プロジェクト」着工
「(仮称)洗足池プロジェクト」
東京建物と三井ホームは10月10日、主要構造部や共用部に木材を使用した5階建て賃貸マンション「(仮称)洗足池プロジェクト」を着工したと発表した。プロジェクトは、令和6年度優良木造建築物等整備推進事業に採択されている。
主要構造部や共用部内装に木材利用、建築時のCO2排出量を削減するとともに、天然素材の風合いを感じられる住まいを提供するほか、太陽光パネルの設置など省エネ・創エネの取り組みにより環境負荷低減。ZEH-M Oriented取得。三井ホームの木造技術ブランド「MOCX(モクス)」を採用している。
物件は、大田区東雪谷一丁目の敷地面積約1,117㎡、木造枠組壁工法、一部RC造・5階建て延床面積約 2,075㎡の42戸。事業主は東京建物、設計・監理・施工は三井ホーム。竣工予定は2026年3月。
マンション管理適正評価制度 9月末登録は5,798件 目標の年度末1万件達成は微妙
マンション管理業協会は10月11日、2024年度第2四半期終了時点(9月末)のマンション管理適正評価制度の登録状況をまとめ発表。登録件数は5,798件で、2024年4月末の4,311件から約1,500件の増加。
★別内訳は、★5つが1,639件(28.3%)、★4つか2,449件(42.2%)、★3つが1,362件(23.5%)、★2つが346件(6.0%)、★1つが2件(0.0%)。
同協会は2024年度末までに登録件数を1万件に増やす目標を掲げている。昨年6月に行われた総会後の懇親会で、副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)は「マンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割で達成できます」と呼び掛けた。残り半年で1万件に到達するには月700件の登録が必要で、このペースだと達成できるかどうかは微妙になってきた。
タカラ「レーベンサロン秋葉原」開設/〝タカラのニンフ〟セレモニー盛り上げる
3面シアター室で挨拶する〝タカラのニンフ〟こと我妻美香氏
MIRARTHホールディングスグループのタカラレーベンは10月11日、総合マンションギャラリー「レーベンサロン秋葉原 エクスペリエンス」を10月12日にオープンすると発表した。
同社は、これまで銀座、札幌、仙台、京都で常設サロンを展開してきたが、今回は、モデルルームに加え、VR技術を駆使して造られたLEDビジョンを導入するなど、時代の変化に合わせたマンションサロンとしてオープンするもの。
施設は、JR秋葉原駅から徒歩1分の秋葉原センタープレイスビル6階。同社初となるVR(仮想現実)内覧システムを採用し、都内最大級の楯8m×横6m×高さ2.5mの3面LEDビジョンを設置。実物サイズで間取りや眺望などを体感することができるほか、約72㎡のファミリー向けと約31㎡のコンパクトタイプのモデルルーム、ラウンジ、共用部・専有部の実物展示スペース、サンプルルーム、カフェコーナー、ミーティングブースなどが設置されている。サロンのオープンに合わせ「レーベン江戸川中央CENTER PLACE」の案内を開始する。
開業を前日に控えた10月11日のメディア向け見学会で、同社マンション事業本部 事業部長・我妻美香氏は「アクセスの良い秋葉原で複数の物件をご案内することに加え、当社が展開するマンションを体感いただけるモデルルーム、そして、実寸大でマンションの暮らしをイメージいただける3面シアターを導入するなど、お客様のご負担を減らし、検討しやすい販売拠点を目指しました。販売拠点を集約することで、コスト削減にもつながり、価格面でもお客様のご負担を軽減できると考えております。これからマンションを考える方や、住まいに関してこれから考えたいという方にもぜひ、お越しいただければと考えております」と挨拶した。
エントランス
3面シアター
ラウンジ
◇ ◆ ◇
今から6年前、銀座7丁目に開設した同社の常設サロン「SALON DE NEBEL」と同じように、今回も業界の〝レディ・ガガ〟が登場するのではないかとわくわくして参加したのだが、肩透かしを食らった。だが、しかし、施設のメインである3面シアター室に入った途端、今春オープンした同社のリゾート施設「那須 無垢の音」の景観が眼前に広がった。
これまで、この種の総合マンションギャラリーはたくさん見学しているが、これほど見事な景観を見たのは初めてだった(VRで美しい女性の水着姿が目の前に現れたときは思わず手を出そうとした経験はあるが)。
ほどなくして、空から舞い降りたのか、あるいは地下から湧き上がったのか、ほっそりとした女性が現れた。レディ・ガガとは対照的に黒一色。記者は一言も聞き逃すまいと必死にメモを取った。やや長いとは思ったが、施設の特徴を余すところなく語った。セレモニーを盛り上げた。
取材後、名刺交換をした。「我妻美香」とあるではないか。ン? レディ・ガガこと髙荒美香氏と同じではないか。指にネイルが施されていたのも同じだった。これは、レディ・ガガに負けない称号をつけないと失礼だと思い、〝タカラのニンフ〟と名付けた。ありふれた〝タカラの妖精〟〝眠りから醒めた森の美女〟よりはるかにいいと思うが、皆さんはどうか。
肝心なことを書き忘れた。72㎡のモデルルームは、十数年前のレディ・ガガが監修したものより角が取れており、とてもよくできている。「タカラの水」はいいですよ。みんな美しくなる。
3面シアター室
我妻氏
モデルルーム
わが国初 VRとMR組み合わせたモデルルーム 三井不レジ「池袋サロン」(2024/5/21))
「水庭」と「ヴィラ」見事な人と自然の共生演出タカラレーベン「那須無垢の音」(2024/3/28)
「目指すは企業価値の向上」タカラレーベン・髙荒美香氏女性活躍の視点から注目(2021/11/4)
タカラレーベンコンパクトに参入業界の革命児高荒美香氏がコーディネート(2018/1/13)
9月の成約件数 中古マンション3か月連減 中古戸建て8か月連続増 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、首都圏の2024年9月度の不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は3ね047件(前年同月比4.5%減)、坪単価は250.3万円(同4.7%増)、価格は4,861万円(同5.3%増)、専有面積は64.09㎡(同0.5%増)で、成約件数は3か月連続で前年同月を下回った。成約価は20年5月から53か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建ての成約件数は1,281件(同16.6%増)、価格は4,061万円(同3.5%増)、土地面積は139.66㎡(同0.1%増)、建物面積は103.71㎡(同0.6%減)で、成約件数は4か月連続で前年同月を上回った。成約価格は8か月連続で前年同月を上回った。
「月例レポート」携え1日2~3社、月50社駆け回るトータルブレイン杉原氏
杉原氏(2021年写す。今回は一段と黒くなっていた)
分譲マンション事業に関する市場調査から商品企画、設計・監理まで幅広いサービスを提供しているトータルブレイン取締役副社長執行役員・杉原禎之氏に2年ぶりにお会いし、最近のトレンド、展望などについて話を聞いた。もともと顔は黒かったのだが、真っ黒だった。ゴルフ焼けでも酒焼けでもない。日焼けだ。雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケズ、自ら構想を練り仕上げた「月例レポート」を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る〝足〟のなせる業でもある。
マンションデベロッパー50社といえば、ほとんどのプレイヤーを網羅していることになる。「月例レポート」は2008年の第一号から直近の2024年9月発行の「首都圏超ハイグレードマンション市場検証~@8,000千円/坪オーバーの市場状況を探る~」まで246号を数える。年間にして約10回発行していることになる。1号当たりのページ数は20ページ前後で、小説にすれば短編小説だが、ぎゅっと詰まった中身を加味すれば中編小説か。つまり、年間にして長編小説を3~4編発行していることになる。その価値たるや、金額に換算したら1冊数十万円だろう。
最新号は、2007年以降の坪単価800万円以上の51物件がデータとしてまとめられており、うち12物件について物件の特徴、販売手法、購入者の傾向が紹介されている。
一つひとつ紹介したいのだが、著作権の問題もあるし、杉原氏自らがまとめたデータを第三者に流すことなどできない。興味のある方は直接同社に問い合わせていただきたい。(記者は51物件のうち半数近くを取材しており、『RBAタイムズ こだわり記事』で紹介している。検索していただければただで読める)
冒頭に「自ら構想を練り仕上げた『月例レポート』を携え、毎日2~3社、月にして50社に説明して回る」と書いたが、これは知らない方に説明が必要だ。記者はトータルブレイン創業者の故・久光龍彦氏とは長谷川工務店時代からのお付き合いで、師と仰ぐ業界人3人のうちの一人だ。亡くなられる2019年までは定期的にお会いし、酒を飲みながら歓談していたのだが、「月例レポート」は杉原氏がまとめているとは全然知らなかった。久光氏が1か月に回る会社は40社くらいだったから、この5年間で10社くらい増加している。これまたすごい。
久光氏と杉原氏が異なるのは睡眠時間くらいか。久光氏は20時には床に就き、4時に起きていた。杉原氏は22時に就寝し、起きるのは5時だそうだ。
実はもう一つ、久光氏と杉原氏の違いがある。価値観、人生観の違いだ。久光氏は、記者もそうなのだが、「不動産の価値」として居住環境を重視した。不動産(マンションなど)はあちこちに所有していたようだが、住んでいたのはカバザクラの突板がふんだんに用いられていた山の手のマンションだった。一方、杉原氏が最初に買ったのは港区の湾岸マンションだった(その後買い替えたかどうかは不明)。杉原氏がそのマンションを買ったとき、久光氏は笑って何も言わなかったが、〝なんであんなところに住むか〟という表情をしていた。
この違いは、今回の「月例レポート」でも確認することができた。昨年ほぼ同時期に分譲された「三田ガーデンヒルズ」(1,004戸、以下「三田」)と「ワールドタワーレジデンス」(389戸、以下「浜松町」)の評価についてだ。
記者は「三田」が分譲開始される10か月前に「坪単価は1,300万円でどうか」という記事を書いた。結果はその通りとなった。未分譲住戸が13戸あるが、どのような形で分譲されるのか(一般公開はされないのではないか)。「三田」は、「広尾」「六本木」「虎ノ門」「麻布台」とともに「5大ヒルズ」と称されるのは間違いない。
「浜松町」は取材を申し込んだが断られた。なので設備仕様レベルはわからないのだが、坪単価1,176万円万円は妥当な値段だと思う。ところが、杉原氏は「私はもっと高くても売れたと思う」と話した。
皆さんはいかがか。記者は「浜松町」の施工を担当した鹿島建設のファンで、ハイスペックだとは思うが、超高層建築物に四方八方囲まれている。「三田」と異なり、投資需要もあったはずだから、杉原氏が考えるように坪1,500万円でも〝先物買い〟で購入する投資家はいただろうが〝格〟が違う。「三田」は第2種住居地域(容積率400%)立地、「浜松町は商業地域(同900%)立地だ。
つまるところ、数えれば20も30もある「不動産の価値」の要素のうち何を重視するかの違いだ。われわれ年寄りはみんな「居住環境」を重視するが、最近の人は「資産性」を重視する傾向が強い。
一般的には、資産性とは値下がりする可能性が少なく、交通利便性が高いエリアと解され、23区でいえば港区、千代田区、渋谷区や中央区、新宿区、文京区の一部だろう。今後も東京-有楽町-新橋-浜松町-品川ゲートウェイ-品川エリアは国際交流拠点として異次元の再開発プロジェクトが目白押しだ。これらのエリアに立地するマンションは、よほどの社会・経済状況が変化しない限り、資産性が担保されるはずだ。将来性を考慮すれば、杉原氏が「浜松町」を「三田」以上に評価するのはわからないわけではない(先日、三菱地所関係者と話をしたのだが、仮に皇居が見下ろせる「大・丸・有」エリアでマンションが供給されたら、坪単価は5,000万円くらいになるという点で意見の一致を見た)
だが、しかし、お金持ちは城南5山に代表されるように昔から高台立地を好んだ。1988年にバブルが崩壊するまでは、億ションといえば住居系立地がほとんどで、商業系エリアの物件は数えるほどしかなかった。「高台」であって「タワマン」ではない。
「タワマン」好きのお金持ちには「齊藤ひろ子+浅見泰司 編著 タワーマンションは大丈夫か?!」(2020年、プログレス)に関する記事を添付したので読んでいただきたい。
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