積水ハウス 取締役室長に井上美穂氏が就任
積水ハウスは1月21日、人事異動・機構改革を発表。秘書部傘下から独立させた取締役室長にコミュニケーションデザイン部 CXデザイン室の井上美穂氏が就任する。2月1日付。
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リリースは9ページにも及ぶもので、飛ばし飛ばし読んでいったら井上美穂氏の名前にたどりついた。とても嬉しくなった。
井上氏とは広報を担当されていた時代からだからもう〇年もお世話になっている。取材申し込みにはすぐに対応していただいた。ヒントもたくさんもらった。記者が馬鹿なことを言うと、やんわりとだがたしなめられることもしばしばで、よくリードしていただいた。
取締役室がどのような部署なのか分からないが、機会があったら聞いてみたい。
「Torch Tower」の賃貸マンションの家賃は124万円(坪5.8万円)でどうか 記者予想

「Torch Tower」完成予想図
三菱地所は1月13日、東京駅日本橋口前の日本最高層の「Torch Tower」の地上高さ約300mのフロアに約50戸(70㎡台~400㎡台)の賃貸マンションを導入すると発表した。
大手町・丸の内・有楽町エリアでは初めての賃貸レジデンスとなり、東京駅前かつ東京駅・大手町駅直結という高い利便性、日本最高層クラスの圧倒的 な眺望、高層部に導入するスーパーラグジュアリーホテルとのサービス連携、足元の約2.0haの屋外空間や複合機能集積により、TOKYO TORCHでしか味わえないエクスクルーシブな超都心住機能を提供するとしている。
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読者の皆さんもそうだろう。一番関心があるのは賃料がいったいいくらになるかだ。記者にもプレス・リリースが届いたが、ただコピペするだけでは意味がないとそのままにしていたが、思い切って賃料を予想することにした。記事化に当たっては、同社広報に「ヒントになる情報提供を」とお願いしたのだが、「賃料については全くの未定」としか返ってこなかった。
なので、以下の記事は同社とは全く関係なく、競馬予想と同じくらいの価値もない記事のつもりで読んでいただきたい。予想が外れたからといって責任を取れと言われても困るし、〝あのバカが〟と笑って済ませていただきたい(いま小生はドストエフスキーの「白痴」=「馬鹿」に挑戦している)。
なにしろ竣工予定は5年も先の2027年だし、大・丸・有エリアで初の賃貸だ。予想は至難を極める。ただ、これが分譲マンションだったら、そこそこ的中させる自信はある。それなりの実績もある。
「HARUMI FLAG」だ。7年前、都がオリンピック選手村となった用地を事業者に売却した時点で坪単価は250万円と大胆予想した。その後、「週刊文春」が2019年、「日本不動産研究所の『調査報告書』をもとに不動産鑑定士らの手を借りて分析した結果、当初分譲1㎡当たり単価は74万円(坪単価244万円)であった」と報じた。真偽のほどはともかく坪250万円と差額はわずか6万円だ。
三菱地所レジデンスが2013年に分譲したフラッグ・シップマンション「ザ・パークハウス グラン千鳥ヶ淵」の坪単価800万円もズバリ的中させているし、「六本木ヒルズ」の地権者住戸が分譲されれば坪1,000万円と予想したが、ほぼその通りになったはずだ。
マンションだけではない。東京ミッドタウンの用地(元防衛庁施設跡地)を2001年に三井不動産など6社が1,850億円で落札したが、記者はその半年前に「落札価格は1,800億円」と予測記事を書いた。
さて、では「Torch Tower」に分譲マンションを導入したらいくらになるか。地価公示で一番高いのは中央区銀座4丁目「鳩居堂」の坪1億7,688万円(2021年)だが、記者は利便性と居住性を兼ね備えた日本一のマンション適地は「東京駅」だと思っている。JRは容積を周辺ビルに売却したが、駅上にマンションを建てたら坪単価は最低で3,000万円、ひょっとしたら坪5,000万円でも売れるのではないかと考えている。駅前の「丸ビル」も同じ評価だ。(東京駅周辺の居住環境としての最大の難点は図書館がないこと。どこかの再開発ビルが誘致すべき)
「東京駅」より「Torch Tower」はやや割引だが、足元の約2.0haの屋外空間は価値がある。よって坪単価は価格時点で2,000万円と評価する。(もっと高いか)
賃貸の利回りを3.5%とすると、2,000万円×3.5%=70万円/坪が年間家賃。月額で坪5.8万円だ。70㎡換算で約124万円となる。最大400㎡だと月額家賃は約703万円。もちろん、社会経済状況次第では坪6万円もありうるし、「Torch」=トイチに合わせた110万円(70㎡)もありうると見た。
この賃料水準は〝日本一〟のはずで、かなりいい線ではないかと思う。申し込みが殺到するのではないか。周辺には名だたるラグジュアリーホテルがたくさんあり、サービスアパートメントもあるが、居住の自由度、たとえばペット飼育などホテルでは禁止されていることも可能なはずで、それらと十分勝負になる。
参考となる賃貸マンションは皆無ではない。三井不動産の全54室の「パークアクシスプレミア日本橋室町」だ。賃料は40万~160万円(54~140㎡)=2014年発表当時。天井高は最大3m、家具付きモデルやナラ材の突板を用いたナグリ仕上げの空間提案もあった。賃料単価は「ミッドタウン六本木」と同じくらいだった。

「パークアクシスプレミア日本橋室町」が入居する「室町古河三井ビル」
三井不動産 ビルも賃貸も億ション並み「和」盛り込んだ「日本橋再生」(2014/1/29)
国際的な環境認証3つ取得 国内認証と合わせ5つ 大和ハウス 奈良の研修施設

「大和ハウスグループ みらい価値共創センター」
大和ハウス工業は1月20日、研修施設「大和ハウスグループ みらい価値共創センター」が米国のGreen Business Certification Inc.TM(GBCI社)による3つの国際的な環境認証「LEED®」、「WELL®」、「SITES®」を日本で初めて同時取得したと発表した。これにより、同施設は国内認証の「BELS」(省エネルギー)と「JHEP」(生物多様性)と合わせて5つの認証を取得したことになる。
施設は、奈良県奈良市西九条町4丁目に位置する敷地面積約18,251㎡、4階建て延べ床面積約17,048㎡。開所は2021年10月1日。
同規模の一般建築と比較して一次エネルギー消費量を63%削減できる省エネルギー性能を備えており、利用者の心身の健康増進や快適性の向上を図っているほか、敷地南側の外構「万葉の庭」を中心に約60種の「万葉植物(万葉集で詠まれている植物)」を植栽し生態系の再生などSDGsの達成につながる様々な取り組みを設計に採用している。
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約60種の「万葉植物」を植栽しているとか。いいね。コロナが落ち着いたら見学取材を申し込もうか。⼗津川村復興公営住宅も見学したい。
我妹子が 植えし梅の木 見るごとに 心咽せつつ 涙し流る 大伴旅人
あかねさす 紫野行き 標野(しめの)行き 野守りは見ずや 君が袖振る 額田王
道の辺の 草深百合の 花笑みに 笑みしがからに 妻といふべしや 詠み人知らず (道の辺の繁みに咲く百合の花のように、ちょっと微笑みかけたからといって、妻と決めてかからないでくださいよ-という意味らしい)
10歳未満・10代の増加目立つ 都の10日間のコロナ感染者/もどかしい感染データ

これほどの差もある年少者と高齢者の感染者

新型コロナ感染拡大が止まらない。1月18日の東京都の感染者は5,185人となり、先週火曜日の約5.4倍に達し、昨年8月21日の5,247人以来5か月ぶりの5,000人台を記録した。直近10日間の年齢別感染者の推移を表とグラフに示した。
10日間の感染者数は約3万人となっており、年代別では20代が最多の約1.1万人で、以下、30代の約5.2千人、40代の約3.8千人、10代の約3.7千人の順。20~30代が全体の53.4%と過半を占めている。
目立つのは10歳未満と10代の増加だ。1月9日比で18日の感染者数は4.2倍なのに対し、10歳未満は9.4倍、10代は7.7倍となっており、6.6倍の60代、4.8倍の50代、4.3倍の40代を上回っている。
また、18日の性別感染者は、10歳未満の男性225人(過去最多は昨年8月26日の172人)、10歳未満女性の181人(同8月21日の177人)、10代男性の393人(同8月19日の284人)、10代女性の376人(同8月13日の276人)を上回り、過去最多となった。(注)
70歳以上の10日間の感染者は約1.1千人で、10日間の増加率は3.7倍となっている。
(注)東京都は昨年10月29日、各保健所から都に報告される感染者について、昨年4月2日から10月2日までの感染者を4,512人追加し、447人を削除しているが、上記の数値は追加・削除する前の数値を示したので、正確ではない可能性もある。
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何とか一人でも感染を防げないかと、東京都が発表する「感染最新動向」データから性別・年代別感染者を毎日のようにエクセルに落とし込み記事にしている。結構読まれているようだが、感染防止にどれほどの効果があるのかさっぱり分からない。
コロナが老若男女を問わず襲い掛かるのであれば、どうして20代が突出して多いのか。年代別グラフは20代を頂点とするピラミッド系になるのか。
若い人ほど三密を避けられない就労環境にあるのは容易に想像できるが、感染源の多くは職場や飲食・飲酒なのか。一口に飲食・飲酒といってもいろいろな形態がある。
この10日間でいえば10歳未満と10代が激増しているのはなぜか。ワクチンを接種していない年少者が多く、家庭内感染や保育園・幼稚園・学校・学童・習い事などからの感染もあるからだろうが、それだけか。
そしてついに、都のコロナ感染者は18日現在、累計411,573人、人口比にして3.0%に達した。保健所業務がひっ迫しているからだろうか、感染拡大を防止する有力な手掛かりとされる積極的疫学調査も十分ではないようで、都の感染経路不明率は18日時点で60.2%になっている。
もどかしい。今流行しているオミクロン株の発生源が南アフリカというのであれば、飛行機・電車・バス・タクシーなどの公共交通移動手段による感染リスクはどれほどあるのか。保健所だけに頼らず民間のデータ収集・分析技術を導入すれば、感染拡大防止に有効な情報をタイムリーに発信できるのではないか。どれだけの効果があったのか知らないが、アベノマスクには260億円(国民一人当たり200円強か)の国費が投じられたではないか。
政府は、先に適用した広島県、山口県、沖縄県の3県に対するまん延防止等重点措置に続き13都県にも適用するようだが、オミクロンは海を越え山を越え瞬く間に世界に広がったではないか。エビのように反り返って大陸にしがみつき、虫眼鏡でしか確認できない小島の領有権をめぐって小競り合いを続けている小国のわが国で、飲食業の営業時間の短縮や酒類の提供自粛で感染を抑えることができるのか。焼け石に水ではないか。記者は文字通り「自衛」するしかないと考えている。
先日、新宿のビルに立ち寄ったら、喫煙室前には蟻のような行列ができていた。仕方なく、取材がある渋谷まで我慢し、タバコが吸えるホテルでワインを1杯飲んだら1,500円かかった。
いい加減にしてほしい。そこで記者の提案だ。公園や道路を開放し、三密にならない飲食業の屋台などを認め、喫煙・飲酒も可能にしてはどうか。路上飲みのどこがいけないのか。寒さに耐えられるかどうかだろうが、独り酒ならうつすこともうつされることもないはずだ。
東栄住宅創業者で飯田グループHD元副会長・佐々野俊彦氏が死去 享年74歳
東栄住宅創業者で飯田グループホールディングス元取締役副会長の佐々野俊彦氏が1月7日、肺がんのため死去したと業界紙が伝えた。享年74歳。葬儀は近親者のみで執り行い、後日、東栄住宅として「お別れの会」を執り行う予定だが、日時・場所などの詳細は未定。
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ショックだ。訃報を聞いて、佐々野さんと初めてお会いしたバブル崩壊後の平成4年(1992年)のインタビューの光景がまざまざと蘇った。
当時は大手中小を問わず、不動産会社が連日のようにバタバタと倒れていた。不動産氷河期に突入したときだった。ところが、多摩エリアを本拠とする東栄住宅がV字回復しているという噂を聞きつけたので、取材を申し込んだ。
本業の建売住宅以外には手を出さず、バブル崩壊後は在庫処分を一挙に進め、資金回転を速めたのが奏功したというのがV字回復の理由だと佐々野さんは話された。金融機関も同社を見放さなかった。奇跡は起きるものだとつくづく思った。
その後、同社は価格最優先の業界とは一線を画し、土地・建物面積を最低限確保するとともに、大規模開発など街づくりも積極的に展開、業績を伸ばした。平成7年(1995年)、業績が悪化していた飯田建設工業が同社などの株式を売却したのに伴い資本関係を解消。平成11年(1999年)、株式の店頭公開を行い、平成14年(2002年)、東証1部に指定替えとなった。
同社はまた、平成9年(1997年)から19年(2007年)までRBA野球大会に参加し、佐々野さんは何度も応援のため神宮外苑野球場に姿を見せた。その都度歓談したのが忘れられない。
平成25年(2013年)、同社など6社が経営統合し飯田グループホールディングスを設立してからはほとんどお会いしたことがない。
合掌
富裕層の〝こころ躍る〟旭化成不レジ 「ATLAS」マンションギャラリー「渋谷」開設

「ATLAS GALLERY SHIBUYA」受付

旭化成不動産レジデンスは1月17日、渋谷マークシティ内に1月8日にオープンしたマンションブランド「ATLAS」の新コンセプトが体感できる「ATLAS GALLERY SHIBUYA」をメディアに公開した。モデルルームは2つで、坪単価500万円台を想定した「Superior」はともかく、坪単価800万円以上の高額物件に対応した「Premium」は同業他社も含めてトップレベルだ。
開設したのは、京王井の頭線渋谷駅改札上に位置する渋谷マークシティWEST棟11階で、広さは全体で約160坪。「Superior」「Premium」の2つのモデルルームのほか、アロマの香りが漂う「Corridor」、アーティスト・野口真理氏のガラスアートを配した「Foyer」、商談個室「Meeting Room」10室、事務所など。
新しい「ATLAS」を立ち上げるに当たっては、社内ヒアリングをおこない、「入居者に対する発信力」「課題は(JVの際)頭(=トップシェアという意味か)を取らないと名前が付かない」「現状のアトラスは上質感がない」などの声が上がったとした一方で、販売会社に対するヒアリングでは「マンション建て替えナンバーワンの実績がある」「地権者の声をよく聞き粘り強く事業を進めている」「将来のリフォームにも対応している」などと評価されたとしている。
新ブランドロゴは、これまでのゴシック体の「ATLAS」はフォルムの弱さや文字間のバラツキにより印象に残らないことなどから、明朝体のクラシカルな「ATLAS」に変更。ブランドメッセージは「こころ躍る、上質。」とした。
冒頭、同社取締役経営戦略部長・加藤宣広氏は、これまで取り組んできた等価交換132件、マンション建て替え42件、法定再開発27件の実績を紹介し、中でも建て替えは国土交通省が把握している295件のうち同社が最多で、都心物件を中心にSDGsの11番目の都市再生にも貢献してきたと語り、「他社の総合ギャラリーを見学したが、当社は敢えてリアルにこだわり、五感に訴えるギャラリーとした」と話した。
販売を開始した「アトラスタワー白金レジデンシャル」(96戸)は坪単価660万円、間もなく販売を開始する「アトラス青山レジデンシャル」(61戸)は坪単価650万円前後、「アトラス恵比寿景丘」(57戸)は坪単価680万円前後となる見込みであることも明らかにした。

コリドー

「Foyer」
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見学会は午後4時から。先週取材した見学会の報道陣は、大和ハウス工業「空中タッチインターホン」が約40名、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」が約20名だった。住友不動産の「総合マンションギャラリー新橋館」の広さは圧巻の710坪だった。「ATLAS GALLERY SHIBUYA」はどうかと胸をときめかせながら参加した。
会見途中で流されたCMは人間の肉声にもっとも近い音域を持つチェロのパッヘルベルのカノン変奏曲とかで、チェリストは崎元蘭奈さん。これはなかなかいいと思ったのだが、ギャラリーの広さは〝惨敗〟だ。加藤氏が紹介した「名前が付かない」「上質感がない」などのあからさまな自己批判を覆すことなどできるのかと不安も募った。
最初に見学したモデルルーム「Superior」は〝並〟で、失望感はさらに大きくなった。ところが「Premium」を見たとたん、不安・失望は雲散霧消、期待感が一挙に広がった。〝これはいい〟と。
モデルルームは、案内担当の一級建築士で同社営業本部再開発営業部企画グループグループ長・和田悠氏自ら関わったもので、記者は約8畳大の独立型キッチンにほれ込んだ。アイランド、対面、ペニンシュラ(同社もこれが多いが)も悪くはないが、独立型がもっともいいのは言うまでもない。来客があったときなど、てんてこ舞いの台所など見せたくない。誰が見ていようときっちり調理をこなせるのはプロしかいない。
さらに驚いたのは、全体の端正できりりとしたデザインだ。天井高は浴室も含めて全て2400ミリで統一。建具・家具類もその高さに合わせている。織り上げ天井は派手ではなく抑制気味で、多用しているアッパーライトの間接照明が実によく馴染んでいる。
天井高について補足するが、低く感じるのはリビング天井高と廊下・キッチン、トイレ、サッシなどの高さがまちまちで、柱・梁型もあるので全体としてバランスが悪いからだ。全体を同じにすればその低さはあまり感じられない。
設備仕様レベルも一級品だ。BOSCH、Miele、HANSGROHEのほか、ドアノブはCOLOMBOだ。(このほかも確認したかったのだが時間がなかった。他の方は分からないが、約30分に2つのモデルルーム見学は短すぎる)
和田氏に「社長さんは見学されたのか」と質問したら、ややあって「『こころ躍る』と話された」と返ってきた。
ハスウメーカー担当の記者の方にも〝毒〟をまた一発。マンション事業にはデベロッパーとハスウメーカーの垣根などないのに、皆さんはデベロッパーのマンションを全然取材しない。木を見て森を見ないのと一緒だ。今回の同社のモデルルームがいいのか悪いのか、判断などできないだろう
一つ肝心なことを書き忘れた。紹介された「白金」「青山」「恵比寿景丘」は現地を見ていないが、価格は安すぎないか。

ブランドキービジュアル

「Premium」リビング

「Premium」キッチン
坪300万円の壁厚く…駅2分のマリモ「千葉駅前」はいくらか 競合物件は早期完売狙う

「グラディス千葉駅前」
マリモが1月29日、千葉駅前の再開発マンション「グラディス千葉駅前」のモデルルームをオープンする。14日、準備中の販売事務所を訪ねた。千葉駅から徒歩3分圏では実に20年ぶりの新規物件であり、いったいいくらになるか興味津々だ。販売担当者は「競合物件もありますので、坪単価は300万円を切りたいのですが…」と語っている。
再開発事業者は、新千葉2・3地区市街地再開発組合(事業名称:新千葉2・3地区第一種市街地再開発事業)で施行面積は約0.3ha。9階建てN棟(ワンルームマンション)と、同社のマンションS棟で構成されており、施行期間は令和2年度~令和5年度。総事業費は約47億円。同社は参加組合員として事業に参画している。
S棟の「グラディス千葉駅前」は、JR千葉駅西口から徒歩2分、千葉市中央区新千葉二丁目に位置する15階建て87戸(販売戸数79戸)。専有面積58.59~113.85㎡、価格は未定。1階は商業施設、2階は駐輪場と千葉市の防災備蓄倉庫、住戸は3階以上で南西向き・西向き。完成予定は2023年1月末日。設計・監理・施工は奥村組。
マンションギャラリー所長で同社マンション事業部おもてなし課・中村巡洋氏は、「『グラディス』は当社の最上位のブランド。施工の奥村組さんは、わたしも担当した『昭和記念公園』と同じ。直床ですが、リビング天井高は2480~2600ミリ、食洗機、床暖房、ソフトクローズ引き戸、タンクレストイレ、浴室タオル掛けのほか、玄関には姿見を標準装備します。設備仕様レベルは競合物件に負けないはず」と語っている。

エントランス
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記者がもっとも注目しているのは価格・坪単価がいくらになるかだ。首都圏の県都では横浜は坪単価500万円を突破し、浦和、大宮も坪400万円を突破しているのに、千葉駅圏はこれまで坪300万円以上はなく、県下でも坪300万円を突破しているのは浦安市、市川市、船橋市の一部しかない。
千葉駅から徒歩2分なら坪300万円を突破しても不思議ではないが、中村氏は競合物件を意識してか詳細は語らなかった。競合物件とは、駅東側の千葉パルコ跡地の新日本建設・中央日本土地建物・あなぶきホームライフ・長谷工コーポレーション・東方地所の5社JV再開発「エクセレント ザ タワー」(397戸)だ。この物件の値付けがカギを握っている。
「エクセレント ザ タワー」はJR千葉駅から徒歩9分、千葉都市モノレール葭川公園駅から徒歩2分の31階建て全397戸。専有面積は32.44~101.54㎡。価格は未定。竣工予定は2023年12月中旬。施工は新日本建設、長谷工コーポレーション。
こちらは、千葉駅からはややあるが、三井ガーデンホテル、中央公園、43階建て「千葉セントラルタワー」(436戸)が近接。市の一等地でもある。しかし、関係者によると早期完売を狙っているようで、価格は坪300万円を割り、坪280万円くらいに抑えられそうだ。
記者の記憶は確かでないのだが、「千葉セントラルタワー」はオリックス不動産・ニチモが売主で、2006年に分譲開始された。最高に素晴らしいマンションだった。坪単価は200万円を割っていたにも関わらず、高額住戸が完売するまで数年かかった。「エクセレント ザ タワー」関係者もこの悪夢から抜け出せないのかもしれない。(記事参照)
となると、マリモも強気な価格設定は難しくなる…千葉の価格が低いのは、デベロッパー同士が〝価格優先〟の足の引っ張り合いをしているからと言ったら怒られるか。マンションの壁は薄くなり、天井も低くなる一方なのに、坪300万円の壁は厚い。

現地
平均74㎡、競合物件意識した商品企画 マリモ・小田急不の駅前再開発「厚木」(2021/11/3)
20・30代が55% 60歳以上は7% 都の1週間のコロナ感染者1.7万人(1/15現在)


新型コロナの感染拡大が止まらない。1月9日から1月15日までの1週間の東京都の感染者の年代別人数を表とグラフにまとめた。
1週間の感染者は16,990人で、前週より4.8倍に増加。年代別では20代が突出しており、1週間の感染者のうち36.9%に当たる約6.3千人に上っている。以下、30代が18.0%の約3.1千人、40代が12.8%の約2.2千人、10代が11.0%の約1.8千人となっている。
60代は3.4%の585人、70歳以上は3.7%の627人で、双方を合わせた全感染者に占める割合は7.1%となっている。その一方で、10歳未満、10代の増加が目立っている。
DINKSやLGBTs向けのリノベマンション開発・分譲 コスモスイニシア&IRIS

「センチュリー中野南台」イメージ図
コスモスイニシアは1月14日、DINKSやLGBTs世帯の“大人の二人世帯”向けのリノベーションマンションをLGBTs当事者が中心となって運営を行っている不動産仲介会社IRIS(アイリス)と共同で開発し、昨年末から販売を開始したと発表した。
物件は、東京メトロ丸の内線中野新橋駅から徒歩10分、中野区南台1丁目に位置する2001年5月竣工の14階建て「センチュリー中野南台」(全57戸)の2LDKで、専有面積64.55㎡、価格は6,380万円。
商品開発に当たってはIRISの意見を聞き企画に反映。洋室2部屋をそれぞれ独立した空間とし、1室は寝室として、もう1室をワークスペースとして使用することも、それぞれ寝室を分けて使用することも選択可能な間取りとし、洗面室は2ボウルの洗面台を採用、鏡も2種類設置。
キッチンは二人での調理もスムーズにできるL字型とし、玄関からも室内からもアクセスできる「ハーフ土間収納」はゴルフやアウトドア用品も収納できるようにしている。浴室は調光機能・間接照明・全自動浴室洗浄機能付き。
ZEH、ランドプラン、共用施設…単価では計れない価値あり 三菱地所レジ「新浦安」

「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」
三菱地所レジデンスは1月12日、2030年までにCO2排出量を50%削減すると発表したが、その先陣を切る同社初の「ZEH-M(ゼッチマンション)Ready」の認定を受けた「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」第Ⅰ工区(234戸)のメディア向け竣工見学会を行った。バス便で第一種低層住居専用地域の厳しい建築規制を受けながら、そのハンディを巧みに利用した商品企画が評価され、人気を呼んでいる。
物件は、JR新浦安駅からバス13分、バス停下車徒歩2分。浦安市高洲6丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)・第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約47,199㎡で、建物は「テラスプラザ」(101戸)と「ベイプラザ」(133戸)からなる第Ⅰ工区(234戸)と「サニープラザ」(168戸)と「カームプラザ」(126戸)からなる第Ⅱ工区(294戸)の4階建て15棟構成の全528戸。このほか木造1階建ての「ヴィラハウス」、鉄骨造2階建ての「アネックスハウス」(パーティールーム・ゲストルーム・ジム施設棟)。第Ⅰ工区は2021年10月に竣工済みで、第Ⅱ工区の竣工予定は2022年8月上旬。売主は同社(事業比率90%)のほか近鉄不動産(同10%)。設計・施工は長谷工コーポレーション。
同社としては初の「ZEH-M Ready」認定を受けているのが特徴。建物は開口部のほか戸境壁と天井の断熱性能を向上させるため5面断熱構造とし、太陽光発電による太陽光エネルギーを湯に変えて蓄熱(蓄エネ)するシステムを構築。蓄電池なしで日中の太陽光発電電力を100%使い切ることで、一次エネルギー消費量の削減率50%を実現した。
同社は、断熱性能を向上させるため200万円/戸のコストを掛けたというが、50万円/戸の補助金が出るため、エアコン2台を標準装備することで入居者にも一部を還元した。
販売開始は2020年11月で、第Ⅰ工区の価格は5,148万~9,998万円、専有面積は86.09~126.67㎡。坪単価は225万円。これまで第1工区の全戸と第二工区の約130戸が成約済み。総問い合わせは約7,000件、総来場件数は約2,700件。
顧客の属性は、居住地は地元浦安市が4割強、東京都は4割弱、その約半分が湾岸エリア、年齢層は30代~40代で6割、職業は会社員が7割弱、会社役員が1割強。
購入者からは、平均約96㎡の住戸の広さ、海・川・公園が隣接している自然環境の良さ、低層4階建てのランドスケープ、「ZEH-M Ready」の環境配慮などが評価されたという。


手前は境川

ヴィラハウスデッキ

ウィズラウンジ
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現地の周辺には、UR都市機構のほか「パークシティ新浦安」「プラウド新浦安」「クオン新浦安」など民間の優れたマンションもあるが、今回のマンションはこれらと肩を並べるか、あるいはそれ以上の価値があるとみた。坪単価は信じられないくらい安いが、平均96㎡なのでグロス価格が張るにもかかわらず分譲開始から1年強で残り約160戸という数字にも、購入者から高い評価を受けていることが分かる。
何が素晴らしいかといえば、ランドスケープデザインだ。空地率は敷地面積約47,199㎡の半分以上の54%で、数千本の中高木を植栽し、リゾートマンションのような雰囲気を演出している。1低層の大規模マンションといえば、同社の「ザ・パークハウス 上鷺宮」をはじめいくつか思い浮かぶのだが、これほどの規模は首都圏に他にないのではないか。
用途地域について少し補足する。同社は2017年、千葉県企業局から用地を取得しているのだが、敷地の大部分は建ぺい率50%、容積率100%の第一種低層住居専用地域(1低層)だ。
周辺エリアはどうかというと、ほとんどは建ぺい率60%、容積率200%の住居系だ。同地も従前は建ぺい率60%、容積率200%の第一種住居専用地域だったが、市は平成20年2月、地区計画の見直しを行い1低層に変更した。
4階建てになっているのは、「建築物の高さの限度が10メートルと定められた第1種低層住居専用地域又は第2種低層住居専用地域内においては、その敷地内に政令で定める空地を有し、かつ、その敷地面積が政令で定める規模以上である建築物であって、特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの高さの限度は、同項の規定にかかわらず、12メートルとする」という建築基準法第55条第2項の適用を受けているからだ。リビング天井高が2450ミリというのもそのためだ。
記者はこの建基法の高さ規制を緩和すべきだとずっと以前から主張してきた。10m、12m、15m、20m…とほとんど3mと5mの倍数の現行規制は合理的ではない。階高を3.2~3.3mとしてその倍率まで緩和し、容積の割り増しを行えば良好なマンションが建てられる。
人気の要因の一つになっている共用施設も目を見張るものがある。見学会ではブックカフェ、ウィズラウンジ、キッズルーム、サイクルスペース、パーティルーム、フィットネス、ゲストルーム、レンタルコーナーなどが紹介されたが、24時間利用可能の施設も多く、使用料は無料か低料金に設定されているのにびっくりした。単価では計れない価値があるマンションだ。
設備仕様レベルについて。用地取得費が安かったためもあるのだろうが、坪単価225万円でこれほど質の高いものができるのに嬉しくなった。リビング天井高2450ミリが低い(今は普通か)のは規制があるためで、床暖房が付いていないのには驚いたが、断熱性能を高めたことでどれほどの光熱費を削減できるか、その効果を知りたいものだ。
他では、ディスポーザー、食洗機、1620バス(一部除く)、ワークカウンター、メーターモジュール廊下(一部)など。浴室にはタオル掛けが2つ、シャワースライドバーのフックも2つついている。モデルルームの浴室には脱衣スペースもあった。
レンタルコ―ナー

浴室脱衣スペース
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