三重と福岡 同じ育児時間で幸福度は47位と1位 積水ハウス「男性育休白書」
この前も書いたが、積水ハウスの「イクメン白書2020」の「イクメン力全国ランキング」でわが故郷・三重県は18位と大健闘し、当時の鈴木英敬・三重県知事は「みえの育児男子プロジェクト」を立ち上げ、自治体の首長として初めて「男性育休100%」に賛同し、第一子、第二子とも育児休暇を取得し、2018年度の男性職員の育休取得率は47都道府県でトップの8.1%となったのに、「2021年白書」では何と最下位に転落したのに衝撃を受けた。その理由が知りたくて三重県に問い合わせた。
三重県子ども・福祉部少子化対策課の森田茂樹氏が次のようにコメントした。
「三重県が男性の家事・育児力で47位となったことは大変残念に思います。なかでも、男性自身が感じる家事・育児参加による幸福度の評価が0.49で47位であることに驚いています。
白書によれば、三重県の男性の家事・育児関与度は0.32で35位、家事・育児時間は10.9時間で44位となる一方で、例えば福岡県においては、関与度は0.16で三重県より下位の45位、家事・育児時間も11.6時間で三重県とそれほど変わらない42位であるにもかかわらず、幸福度において福岡県は1.16で1位になっています。
これほど差が出る理由の分析は難しいですが、三重県の男性が家事や子育てを楽しみ、幸福を感じていただけるよう、男性の育児参画における環境づくり等を進めていく必要があると考えています」
さすがというべきか。担当部署の方の見方は鋭い。三重県と福岡県との男性の家事・育児時間はさほど変わらないのに、男性の「幸福度」はトップと最下位だ。
これは深く研究する価値があると思う。そもそも「幸福」とは何か、OECDなどの客観的な指標は信用できるのか、ブータンのような主観的尺度とどう整合させるのか。難しすぎるのでこれ以上書かないが、究極の「幸福」とは、がんじがらめの「国家」の呪縛からどこまで解き放たれるか、「自立」がポイントだと思う。どうだろうか。
不思議なのは三重県と福岡県だけではない。同社の過去3年間の「男性の家事・育児力」全国ランキングの総合スコアを表にした。3年間ともベスト10に入っているのは北から長野県、鳥取県、沖縄県の3県しかなく、ベスト20でも山形県、栃木県、神奈川県、福井県の7県のみだ。3年間とも37位以下のワースト10はどうかというと岐阜県、山口県のみで、ワースト20は青森県、茨城県、愛知県、大阪府、香川県の7府県しかない。
各都道府県とも年度によって乱高下していることが表から分かるのだが、冒頭の三重県のほか、北海道(2020年10位⇒2021年41位)、岩手県(2019年43位⇒2021年5位)、奈良県(2020年46位⇒2021年3位)、佐賀県(2019年36位⇒2020年1位)などがある。
どうしてこのように変動が著しいか。その理由を同社広報は「各項目の1位~47位に47点→1点を足し上げる方法で算出しておりますため、差が出やすい集計方法である点と、この過渡期の環境下での各県同士の相対評価である点を変動要因として考えております」と答えている。
つまり、評価項目は4つあり、それぞれ1位と47位は46点の差がつくので大差が出るということだ。
記者は、このほかにも要因があるような気がする。回答者は祖父母、両親などから父親像、母親像を刷り込まれており、その色眼鏡で自分自身を、そして配偶者を評価する傾向があることと、各都道府県の歴史的文化的風土が影響しているのではないかと考える。
その代表的な例が「家事・育児力」上位の長野県や鳥取県、沖縄県ではないか。長野県は昔から教育県として知られており、時には国の方針に背を向けるなど独自の文化圏を形成している。「男女平等」は徹底して教えられているのではないか。「資本論」はどこの学校図書館にも収蔵されているそうだ。
驚くのは、県歌を知らない県民はいないといわれることだ。記者などは三重県県歌など存在すら知らないし、東京都歌はヤクルトの「東京音頭」だと思っていたほどだ。
島根県もそうだが、鳥取県はどうか。両県ともエビのように反り返って大陸と対峙し、厳しい日本海の自然条件に耐える日本列島の代表格だ。地域や家族同士で支えあわないと生活できない背景があるのではないか。
鳥取県は女性の有業率も全国トップクラスで、25歳から44歳の育児をしている女性の有業率は平成29年調査で全国7位の78.0%に達している。ちなみに1位は高知県の81.2%、以下、島根県80.7%、福井県80.5%、山形県79.9%、秋田県78.7%となっている。
同県は平成26年、「輝く女性活躍強化とっとり会議」を発足(平成29年に「女星活躍とっとり会議」に改称)し、経済団体、労働団体、行政が連携した取り組みを行っている。
沖縄県は、いうまでもなく米軍基地の7割を背負わされており、3K産業(基地、観光、公共事業)に依存をせざるを得ず、あらゆる社会経済指標も全国最低レベルにある。鳥取や島根に似ているといえば似ている。
2021年の白書で1位に輝いたことについて、玉城デニー沖縄県知事は「家事・育児力を決める4つの指標の中でも、男性の『家事・育児時間』が長いという結果については、沖縄県は子どもの数が多いことや、子育てしながら働く女性が多いことから、必然とも言えるかもしれません」とし、幸福度については「私も4人の子どもがおりますが、第3子、第4子が生まれた頃に子育てを分担し、その大変さと楽しさを実感できました」とコメントしている。
一方で「男性の家事・育児力」が全国最低レベルの岐阜県や山口県はどうか。岐阜県は三重県人とよく似た考え方をするはずだが、いま一つ理由は分からない。
山口県もよく分からないのだが、県民性も影響しているような気がする。県の調査では、「男は仕事、女は家庭」という考え方について「賛成」は35.5%に達しており、その理由として「女性が家庭を守った方が、子供の成長などにとって良いと思うから」(60.8%)、「家事・育児・介護と両立しながら、女性が働き続けることは大変だと思うから」(55.4%)などが挙げられている。
仕事と家庭生活・地域活動の両立についても、「両立が望ましい」は55.3%であるが、現状では「両立させている」が25.9%にとどまっている。
総務省の平成26年調査では、共働き世帯は1,077万世帯なのに対し、いわゆる専業主婦世帯は720万世帯で、昭和50年代の構図と逆転しているにも関わらず、家父長制の残滓でもある「男は仕事、女は家庭」という考え方をする山口県人は少なくないということか。安倍晋三氏をはじめ総理大臣経験者は東京都を除けば断トツなのと関連があるのかどうかは不明。隣県の広島県は2020の18位から2021年には46位に転落したが、これも河井夫妻問題と関係があるのかどうか分からない。広島選挙区の岸田文雄氏が総理になったら再浮上するかどうかも興味はあるが…。
◇ ◆ ◇
以下は、積水ハウスのプロパガンダのために書くのではない。数値をみたら、同社の男性社員の「家事・育児力」が図抜けていることが分かる。
〝主夫〟歴10年の記者は昨年8月行われたライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし7stories」のメディア向け見学会で、同社の男性社員の実践ぶりに驚愕した。記事を引用する。
「子育てファミリーの家 小林さんち。」がもっとも優れていると思った。(略)そして、何よりもよかったのは、住生活研究所課長・木野村昭彦氏(41)の堂に入る説明だった。開口一番『リアルを表現した』の短い言葉で特徴を言い切った。子どもとの接し方を話したのを聞いて学校の先生経験者かと思ったほどだし、洗濯物を取り込み、アイロン掛けする〝主夫〟を演じて見せたのには絶句した。
(略)『うちは完全フルタイムの共働きなので、家事は妻と出来る限り平等に分担していて、私も妻と同様に料理や洗濯も普通にこなします。アイロンに関しては妻はあまりせず、主に私が担当しています』と話した」
いったい、どのような「家事・育児」をしているのか。同社の「白書」では、女性が認めるめ男性の家事・育児実践個数を28項目示している。すべてが知りたくて同社に問い合わせた。回答は次の通り。①食事作り(朝)②食事作り(昼)③食事作り(夜)④食事後の片付け・洗い物⑤部屋の掃除⑥水回りの掃除(トイレ・お風呂・キッチンなど)⑦玄関やベランダなどの掃除⑧ゴミ出し⑨植物の水やり⑩洗濯⑪アイロン⑫衣類のクリーニング出し⑬食料品・生活用品の買い物⑭家計・資産(住宅ローンや投資など)の管理⑮子どもの入浴⑯子どもの寝かしつけ、起こす⑰子どもの着替え補助⑱子どものおむつ交換、トイレ付き添い⑲子どものミルクや離乳食の世話、食事の介助⑳子どもと遊ぶ(家の中)㉑子どもと遊ぶ(外遊び)㉒子どもに勉強を教える、宿題の採点をする㉓子どもの歯磨き㉔子どもの保育園/幼稚園/学校や習い事への送迎㉕子どもの保育園/幼稚園/学校に行く支度㉖子どもの保育園/幼稚園/学校で必要なものの購入㉗子どもの保育園/幼稚園/学校の保護者会やPTAへの出席㉘子どもが病気の時の看病や病児保育の手配。
未既婚男性読者の皆さん、いかがか。〝主夫〟経験者の記者はほとんど行わなかった⑭㉓とかなり手抜きした⑤以外は全て行った。妻が生きていた時でもおしめのアイロン掛けやミルクを作った。おしめのアイロン掛けはやり出すととても面白い。生乾きがいい。ミルクつくりは大変だった。夜中に起こされると、湯を沸かし粉ミルクを煮沸した哺乳瓶に入れ、人肌まで水道水で冷ます作業はしんどい。
とんでもない大失態もやらかした。妻の実家に帰っていたとき、「見ててね」と言われたのだが、乳児の子どもが寝ていたので近くの喫茶店に行っていた。帰ったらてんやわんやの大騒ぎになっていた。子どもが起き出し、框から20センチくらいあるコンクリの玄関に落ちたことを知らされた。鼻を擦りむいただけで済んだが、落ち方を考えたら背筋が凍った。子どもの頭が悪いのはあの時の落下ではないはずだが…。
家事・育児が「幸福」かそうでないかはモノサシがあいまいなので分からない(設問方法は改めるべき)。ただ、「不幸」であるとすれば、すべてをこなす連れ合いに「不幸」を全て押し付ける権利は男性にはない。これは断言できる。
同社にはこのほかにも質問した。納得できるものもできないものもあったが、同社広報からは次のような回答があった。
「全体の傾向としましては、調査を開始した2019年から比較し、育休取得率や取得日数が全国で向上してきており、男性の家事育児参加に対するポジティブな意識変化が、家庭でも職場でも起きている、まさに過渡期であると考えております。(略)
男性の家事・育児や育休に関して、日本全体で前向きに議論が広がるきっかけになればという思いで、本調査やフォーラムを発表させていただいております。当社としましては、ランキング下位の県を過度にピックアップするのはあまり本意ではありません」
丁寧に回答していただいた同社広報にはお礼いたします。記者だって過度に反応などしたくありませんが、100点満点で落第点の15点と評価されたら三重県の男性も怒ると思いますよ。
〝近江泥棒、伊勢乞食〟と言われる三重県の男性の皆さん頑張れ!三重県の女性は最高に素晴らしいのだから。
従来の総花的提案から脱却 積水ハウス ライフスタイル型モデル「7stories」開設(2020/8/27)
多様な取り組みのトリガーに/三重県 最下位に転落 男性育休フォーラム2021(2021/9/17)
幸福度トップ自治体は鳩山町 根拠希薄・無神経な大東建託ランキングやめるべき(2021/9/8)
不快な臭い芬々 〝住みやすい〟街ランキング調査 無聊をかこつ記者のつぶやき(2020/12/14)
積水ハウス 「イクメンフォーラム2020」視聴 三重県の男性職員 育休取得率日本一(2020/9/20)
積水ハ イクメン白書2020全国ランク 九州男児が上位独占 かかあ天下群馬は最下位(2020/9/19)
三菱地所など5社 ホテルグランドパレス跡地活用で基本協定締結
ホテルグランドパレス、三菱地所、三菱地所レジデンス、阪急阪神不動産、東宝は9月30日、今年6月30日に営業終了したホテルグランドパレス跡地の有効活用計画に関する基本協定書を9月22日付で締結したと発表した。
三菱地所、三菱地所レジデンス、阪急阪神不動産、東宝はホテルグランドパレス跡地の一部を取得し、ホテルグランドパレスとともに複合ビルを建設する予定。
計画地は、地下鉄九段下駅から徒歩1分、JR・地下鉄飯田橋駅から徒歩7分。敷地面積は約6,604㎡。
三菱地所 北海道産木材を使用した国内初の高層ハイブリッドホテル「札幌公園」開業
「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」(ルーバーはカラマツ)
三菱地所とグループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは9月30日、国内初の高層ハイブリッド木造ホテル「ザ ロイヤルパーク キャンバス 札幌大通公園」を10月1日に開業すると発表した。北海道産木材使用した国内初の高層ハイブリッド木造ホテルで、構造材に使用する木材量は国内最大規模となり、ロイヤルパークホテルズの北海道第一号店舗となる。
施設は、地下鉄大通駅すぐそば、JR札幌駅から徒歩約15分、札幌市中央区大通西1丁目に位置するRC造木造(壁:枠組壁工法・床:CLT)地下1階・地上11階建て延べ床面積延床面積約6,157㎡。客室数は134室。客室面積は19.9 ~47.8㎡。付帯施設:CANVAS LOUNGE「KOKAGE」、レストラン「HOKKAIDO CUISINE KAMUY」、CANVAS ROOFTOP「Outdoor Living SAPPORO」など。建築主は三菱地所。設計・監理は三菱地所設計。施工は清水建設。竣工は2021年8月末。
低中層部(1~7階)は木質化を施したRC造、中層部(8階)1層がRC・木造のハイブリッド造、高層部(9~11階)が純木造。構造躯体に使用する木材量は約1,060㎡となり、そのうち8割がトドマツ・カラマツ・タモなどの北海道産木材。構造躯体に使用する木材量は国内最大規模となる。建物全体をRC造とした場合と比べ約1,380tのCO2発生を抑制する。
フロアは3~8階の「ギャラリーフロア」と9~11階の「キャビンフロア」に分かれており、ギャラリーフロアでは北海道にゆかりがあるアートが楽しめ、キャビンフロアは木造の柱梁のない箱状空間を活かした、木に囲まれた山のキャビンで過ごしているかのような客室となっている。全134室の客室は、北海道の木でつくられた家具やスピーカーを配置するなど、利用者に「北海道を体感する」を提供する「エシカル(=倫理的な)」「サステナブル(=持続可能性)」を念頭に、究極の地産地消を目指す。
外観
レストラン
客室
レコードプレイヤーとスピーカー
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木を多用した高層ホテルでは、三井不動産「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」を見学している。施工は清水建設で、素晴らしいホテルだ。
三菱地所はこの日(9月30日)、地元のメディア向け発表会を行い、動画配信も行っている。画像や動画などでは木の肌触り、ぬくもりが伝わってこないのが残念だが、機会があったらこのホテルと建築家・坂茂さんが手がけた紙と木のホテル「ショウナイホテル スイデンテラス」と合わせて泊まりたい。
フォトセッション
さすが三井不動産 わが国初の本物の木造〝杉乃木〟ホテル「神宮外苑」に誕生(2018/11/13)
野村不動産 駅東口徒歩3分の大規模複合「川口」(全481戸)モデルオープン
「プラウドタワー川口クロス」
野村不動産は9月30日、JR京浜東北線駅から徒歩3分の大規模複合再開発「プラウドタワー川口クロス」のモデルルームを10月2日(土)から完全予約制でオープンすると発表した。事前エントリー数は3,500件を超えており、オンラインでの案内会も開催予定という。
物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩3分、川口市栄町三丁目に位置する敷地面積約9,069㎡、地上28階・地下2階建て全481戸(非分譲住戸31 戸含む)。専有面積は46.63~115.77㎡。竣工予定は2023年2月下旬。施工は前田建設工業・埼和興産共同企業体。
建物の1~3Fを商業フロアとし、医療施設、子育て支援施設など約30店舗の入居を予定。「都市型コンパクトタウン」の街づくりを推進しており、敷地の外に出なくても生活に必要な買い物環境・施設が揃う安心で利便性の高い住環境を提供する。
また、物件は川口駅前に位置する川口銀座商店街「樹モール」と隣接しており、同物件の商業フロアとの相乗効果や、敷地内に川口駅方面から東西に通り抜け可能な敷地内通路を設置することで、駅前エリアの新たな賑わいの創出を見込んでいる。
積水、旭化成、ケイアイスターが受賞/記者にも見る機会を 第15回キッズデザイン賞
第15回「キッズデザイン賞」記者発表・表彰式(六本木ヒルズ アカデミーヒルズ49で)
キッズデザイン協議会は9月29日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・空間・サービス・活動・研究などを顕彰する「キッズデザイン賞」の第15回受賞作品234点の中から最優秀賞、優秀賞、奨励賞、特別賞など優秀作品36点を発表した。応募総数は409点だった。
住宅・不動産業界からは積水ハウスの次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマートイクス)」が経済産業大臣賞優秀賞「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」(一般部門)に選ばれたほか、同社の「台の森プロジェクト」がキッズデザイン協議会会長賞奨励賞「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」(リテラシー部門)に、ケイアイスター不動産の「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」が同「子どもたちを生み育てやすいデザイン」(個人・家庭部門)に、旭化成ホームズの「子育て家族のコミュニティ創造型集合住宅〝子育て共感賃貸住宅 母力〟」が同「子どもたちを生み育てやすいデザイン」(男女共同参画部門)にそれぞれ選ばれた。
最優秀賞の内閣総理大臣賞は新渡戸文化学園/ VIVITA JAPAN / tokotodesignの「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」が選ばれた。
同賞は、2007年に創設されてから累計応募数は5,785点、受賞数は3,439点となった。
内閣総理大臣賞を受賞した「VIVISTOP NITOBE FURNITURE DESIGN PROJECT」
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他の記者の方はどうかわからないが、この記者発表・表彰式の取材は結構疲れる。年を取るごとにそう感じる。開始されるのは午前10:30で、終わるのは12:00だ。この間、主催者のあいさつに始まり、経済産業省、内閣府、東京都のあいさつ、益田文和・審査委員長の講評、各賞の発表・賞状授与が行われる。優秀作品は36点だから、あいさつなどを除けば単純計算しても1作品について1.7分しか割かれていない。マスク越しだし、記者はおまけに耳が遠くなったので、よく聞き取れない。各作品がどのようなものかさっぱりわからない。
なので、広報事務局に「私は過去何度が記者発表・表彰式を取材させていただいておりますが、受賞作そのものを当日見ることができるものはともかく、施設などは実際に見ることはできません。優秀賞を発表されてから、表彰式までの期間を利用して、各受賞者の了解の上で、個別取材・見学を可能にしてはいかがでしょうか」とメールした。
記者の気持ちが通じたか、益田審査委員長は総評で次のように興味深いことを話された。
益田氏
「オリンピック・パラリンピックがやっと終わった。(私は嫌で)見なかったんですけど、すごく気になったことがある。何で勝とうとするんだろう、勝つことばっかり報道されて、それにみんな感動しているが、私は、一人が勝つためにいったいどれだけの人が負けているか、負けていることが普通であることを学ばないといけないと思う。常に勝つこと勝つこと、あげくの果てに震災に勝ったとかコロナに勝ったとか、勝っていないですけど、それを言い出す。これは大きな間違いです。
だって、自然災害や感染症は目の前にあったら『逃げろ!』です。真っ先に逃げないといけない。子どもは知っている。われわれは足を引っ張っちゃいけない。
実は、キッズデザイン賞は別に勝ち負けをうんぬんしていない。うちはこんなのやったから凄く売れたとか、市場を席巻したとか、そんな話していない。みなさんのいいアイデアや素晴らしい着想、実践を持ち寄って、お披露目して、みんなで見て感心して、できれば自分たちもやってみようと考えていくプラットホーム、対話の場です。このことがとても素晴らしいし、そういう機会を作ろうと私は常に考えている。
私はサステナブルデザインが専門ですので、SDGsなどを考えるにつけ、キーワードがあることに気が付いた。それは、小さくてローカルで、つまり分散していて、オープンで、コネクトされているということです。これが未来の姿、サステナブルな社会、経済の姿です。キッズデザイン賞もみんなそう、そのような仕掛けがある。(中略)
この賞を通じて新しい未来の社会が見えてきているような気がする。何よりもこのことを多分子供たちは感づいているし、ちゃんと評価していると思う。子どもたちと一緒に未来を創っていくつもりでデザインに取り組んでいきたい」
記者は、益田先生のオリンピック・パラリンピックについて話されたことには賛成しかねる。野球だってゴルフだってテニスだってあらゆるスポーツは同じ条件(この同じ条件というのがとても大事)で力やスピード、技、頭脳を競うから人に感動を与える。スコアなどどうでもよければ、だれも見向きもしないし、競技などなりたたない。アスリートはみんな「自己との闘い」を最優先しているはずだ。
しかし、キッズデザイン賞やSDGsに触れられたのはその通りだと思う。先に書いたように、記者もまた作品に触れ、見学する機会を与えられるべきだ。ただ単に受賞作を記事にするのはメディア・ライターの仕事ではない。来年からは記者発表・表彰式の前に見学取材できる機会を与えていただきたい。
もう一つ、お願いだ。益田先生が仰ったことと少し違うかもしれないが、内閣支持率が30%にも満たない、しかも任期(人気)があと1週間もないのにどうして10もの総理大臣賞やら経産大臣賞などを設けるのか。小生はさっぱり理解できない。総理や大臣が作品を見ていないことくらい子どもだって知っているはずだ。〝うそつきは泥棒の始まり〟だ。嬉しく思わないのではないか。タイトルも長すぎる。
それより、19人の審査委員賞としたほうがはるかにいい。子どもたちにも記憶として残るはずだ。
明後日は、ケイアイスター不動産の「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」を取材させていただくことになっている。旭化成ホームズの「母力」は住宅も素晴らしいが、ゴーゴリの「母」を連想させるネーミングがとてもいい。積水ハウスの「台の森プロジェクト」は仙台なのでちょっと遠いか。
積水ハウス「SMART-ECS(スマートイクス)」
積水ハウス「台の森プロジェクト」
ケイアイスター不動産「おおきいおうちとちいさいおうちがあるおうち」
旭化成ホームズ「母力」
総理大臣賞に福祉型障がい児入所施設「まごころ学園」 第14回キッズデザイン賞(2020/9/30)
ワンストップで子育て支援 積水ハウス「大網白里市子育て交流センター」(2020/10/3)
続・駅前の限界集落 後期高齢者は4人に1人の割合 〝死中に活〟光明見出す声も
廃屋になっている住宅
「限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地」(平成24年7月27日付)の記事を書いてから9年。この街をまた訪ねた。予測した通りの限界集落に突き進んでいるのか、それとも再生へ方向転換しているのか、不安と期待が入り混じる中での取材だった。高齢化人口割合は44%に達し、75歳以上の後期高齢者は4人に1人の割合というデータからは前者だが、「街は一度死んだほうがいい」と死中に活を求める説得力のあるもあり、結論を出すのはまだ先のようだ。
平成24年1月(左)と令和3年1月の団地人口ピラミッド
前回の記事では、2つの団地の合計世帯数は1,464世帯(昭和44年4月比5.4%減)、人口は3,302人(同46.9%減)と書いた。
その後、住居表示の変更が行われており、現在の人口統計データからは従前団地と正確に比較することはできないが、約9割をカバーしていると思われる数値で比較してみた。
これによると、令和3年1月1日現在の団地世帯数は1,539世帯(前回の平成24年1月1日比1.3%減)、人口は2,890人(同14.4%減)、1世帯当たりの人口は1.8人(同0.4ポイント減)となっている。65歳以上の高齢化率は44.0%(同12.1ポイント増)、75歳以上の後期高齢者の割合は25.6%(同12.9ポイント増)と実に4人に1人の割合に達している一方で、15歳未満の年少人口割合は4.3%(同3.8ポイント減)と大幅に減少している。
人口構成や世帯数などから類推すると、昭和44年比では人口は半減し、空き家・空き地・駐車場の比率も関係者の話からして3割くらいに達しており、独り暮らしの高齢者もかなりの人数に上っていると思われる。
これを人口ピラミッドにした。ピラミッド型でも釣り鐘型でも棺桶型でもない逆三角形型だ。平成24年ではまだ希望のふくらみがあった若年層が激減しているのがよくわかる。例えていえば、もはや地中から水を吸いあげる力もなくなった老木か、あるいは少しでもバランスを崩せば横倒しになりそうな耕作放棄地の破れ案山子のようにも見える。
きちんと整地されている空き地
シャッター商店街
◇ ◆ ◇
前回取材したときはなかった駅前のスーパーに寄ってみた。入口近くには薬品や化粧品が並んでおり、線香のコーナーもあり、大人用の紙おむつなど介護品も多くのスペースを占めていた。生鮮食品はコンビニに負けそうな品揃いしかなかった。
商店街は前回と同様、シャッター商店街化しており、居酒屋などはコロナの緊急事態宣言下でもあるからか、ほとんどが9月末まで休業するとのビラが貼られていた。広い表通りには街路樹が1本も植わっていない。
街並みは、「3分の1は空き家、空き地、駐車場」と居住者から聞いていた通り、乱杭歯か歯抜けトウモロコシ状態だった。前回取材と少し違ったのは、2015年2月に施行された「空き家対策特別措置法」(空き家法)の影響か、雑草が生い茂ったままの廃屋は少なく、地面がコンクリで固められたり、雑草が刈り取られたりしている空き地・駐車場が増えたように感じられたことだ。役所によると、老朽建築物の除却・建て替えに最大50万円(国が2分の1負担)の補助制度を利用したのは過去3年間で11件とのことだった。
1本の街路樹も植わっていない広い道路
空き家になっているアパート兼用住宅か
「売地」の看板が掛かっている空き家
◇ ◆ ◇
団地に隣接する公園のベンチに座ってタバコを吸いながら談笑していた3人の男性に声を掛けた。( )内は記者。
(タバコが値上げになりますが)87歳の男性は「俺、10万円分買った。一番安い『わかば』や『ラーク』など全部で9万7,800円。値上げされると10万5,500円になる。年金生活じゃやっていけない」(…)
続けて、「俺、団地内に4つ(4軒)持っている。昭和50年に1軒買った」(50万円でしょ)「よく知ってるね。そう。そして1年後に隣の一戸建てを100万円で買い、その後10年くらい経ってから900万円で買い増しした。(バブルのころの値段か)そして今から10年前に更地を400万円で買った。4軒のうち3軒は地続きだから60坪。女房? 昨年亡くなった」(お父さん、職業は何だったんですか)「アブラショッコ。17歳からそれ以外の仕事をやったことない」(アブラショッコって何ですか)「車の修理。組合が強かったから稼げた」
70歳の男性は「以前住んでいたところで親父が93歳で死んで、女房は施設に入っているので、8年前からここに引っ越しして一人でアパートに住んでいる。家賃? 3万7,000円。一戸建ては4万5,000円から5万円が相場」
生まれたときから団地の近くに住んでいるという80歳の男性は「みんな人間的にはいい人ばかりだが、どこか病んでいる。俺? とび職だった。全国歩いてた」
そこに、隣町に住んでいるという昭和13年生まれの男性(83)が加わった。「往復2時間、土手を超えて県道に出て田んぼを通って、歌を歌いながら散歩している。歌? 警察予備隊を経験したので軍歌も歌うが、学校唱歌もよく歌う。歌はいいよ。田んぼで大声を出しても誰からも文句言われない。〝勝ってくるぞと…〟〝君の名は…〟〝京都、大原、三千院…〟知ってるか? 」(もちろん)
さらにまた、白い毛の犬を連れた同年代と思われる女性が現れた。驚いたのはその犬だ。何と里芋のように茶色く膨れ上がっ睾丸が股間からはみ出ているではないか。(どうしたんですか)「これ、病気。年齢は16歳。人間なら90歳近い」
3人組は「こうしてここに集まることを日課にしているから、みんなお友達になれる。朝6時半に来るといいよ。オジンオバンが50人くらい集まって体操している」
団地の近くの広い敷地の住宅が多い住宅地に住む30代の女性にも話を聞いた。
「子どもが生まれるのがきっかけで、夫の実家があるここの分譲住宅を買ったのは6年前。土地が30坪ちょっとで価格は1,500万円。買い物は駅前のスーパーを利用しています。団地の商店街はほとんど閉まっているので利用しません。近くできる大型店舗まで歩いて数分。わたし? 普通のパート」と話した。
大型商業施設は駅から約7分の調整区域。実現までずいぶんもめたそうだが、住民の期待は大きいようだ。
股間にぶら下がっている睾丸
大型商業施設の建設現場
◇ ◆ ◇
前回取材したときと同じ不動産会社に取材を申し込んだ。社長(47)が気安く応じてくれた。
社長は「10年前? 覚えていないが多分わたしが応じた。これは私の見解ですが」と前置きしたうえで、「このままでは団地再生は無理。寝たきりだと立ち直れない。一度死んだほうがいい。そうすれば、駅近の地の利が生かせる。2つの敷地を一緒にして、ニーズが高い40~50坪の立派な住宅に再生できる。大型商業施設の工事も始まったし、これをきっかけに光明を見いだし、10年後、20年後には団地は生き返っているかもしれない。当社の業績? 10年前と比べれば地価が下がっているので1件当たりの単価は下がっているが、買い増しニーズを取り込めており、件数は1.5倍くらいに増加し、売上高は堅調に推移している。」と語った。
第三者は口が裂けても口にできない「一度死んだほうがいい」は正鵠を射る言葉ではないか。きれいごとでは済まない現実を見続けている当事者だからこそ言える言葉だ。
先ほど、「人口ピラミッドは破れ案山子」と書いたが、そうではなくてバランスを崩しても倒れない「やじろべえ」と訂正する。死中に活とはこのことをいう。
喫茶店に置かれていたアケビとカボス(利用者の庭で採れたそうだ)
空き家の花にはたくさんチョウが集まっていた
花を植えている空き地も結構あった
美しい庭の家もたくさんあった(白とピンクの花は酔芙蓉、下方は江戸萩)
〝見かけないやつだな、お前は誰だ〟(決して怪しい者ではありません)
駅距離・準工のハンディものともせず ポラス中央住宅「柏」全196戸ほほ完売
「ルピアグランデ柏」エントランス
ポラスグループの中央住宅は9月28日、「ルピアグランデ柏」のメディア向け完成見学会を行った。販売開始は昨年7月からで、これまでに全196戸のうち188戸を成約。坪155万円という圧倒的安さと、価格に見合う価値以上の提案が奏功、駅から徒歩15分と準工立地のハンディをものともしなかった。
販売代理の長谷工アーベスト、同社関係者らの説明によると、駅からやや距離はあるもののイオンモールへ徒歩3分の立地、敷地面積10,000㎡超に〝西海岸のリゾートを創る〟をコンセプトに、戸建てとマンションの複合開発とし、共用部分にヤシやソテツなどをふんだんに用い、マンションは70㎡超、ピアキッチン設置比率45%、ディスポーザー、食洗機、リビング天井高2440ミリ以上などの設備仕様レベルが高い評価を得たという。
これまでの来場者は約750組。〝柏にリゾートが現れた〟と評判になったという。
残り8戸はリノベーション研究・開発のため敢えて残し、モデルルームとして模様替えし来年1月に販売する予定。
エントランスの植栽
インナーガーデンの植栽
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記者は昨年10月に行われた記者発表会の記事で「感動の金児氏vs宮崎氏トーク」と絶賛した。その記事と一緒に読んでいただきたい。もう何も言うことはない。
完成した建物を見て、植栽の見事さはどこにも負けないと思った。総延長500mの「ウエストコーストアベニュー」(敷地延長部分)に植えられていたヤシの木14について冗談半分で「このヤシはいくら」と聞いたら、同社マンションディビジョン課長・湯村元昭氏は「高さが8m超は1本85万円、6mのほうは1本45万円」ときちんと答えた。これだけで710万円だ。こんなことをするデベロッパーはまずない。
共用部分や専有部分の仕上げは、坪単価155万円であることから〝さもありなん〟と納得したのだが、この単価でこの水準のマンションを分譲できるのは奇跡に近い。今は、郊外マンションでも3LDKは20坪そこそこで、ショートスパン、床暖房、食洗機、ディスポーザーなしが当たり前で、それでも坪単価170万円以下はありえないと思う。
どうしてこんな奇跡的な安値で分譲できるのかが唯一の疑問だったのだが、その謎が解けた。坪単価155万円(消費税込み)の建物価格と土地価格の比率は75%:25%であることを同社担当者は明かした。
早速計算した。坪当たりの建物価格は155万円×75%=116.3万円で、土地価格は155万円×25%=38.8万円だ。ただし、建物価格には消費税率10%の値段が積み上げられているので、実質的な建物価格は116.3万円-(116.3×10%)=104.7万円となる。
この建物価格でこの水準の設備仕様レベルを確保できるのは不思議だが、やはり謎解きの解は仕入れ値の安さにある。1種坪38.8万円という土地価格は首都圏では最低ラインのはずだ。同社がこの土地を取得したのは2018年12月だ。入札だったが、同業他社は駅からの距離、準工立地などに腰が引けて応札できなかったのだろう。
参考までに紹介するが、記者は「HALUMI FLAG」の坪単価は250万円が妥当と書いてきた。その根拠は、事業者が土地を1種(容積率100%)8万円という値段で取得したからで、実際の「HALUMI FLAG」の土地価格と建物価格の割合は「7:93」となっている。今回の「柏」の「25:75」と比較していただきたい。「柏」の土地価格の割合はかなり低いが、「HALUMI FLAG」は桁違いだ。その異常さが見えてくるはずだ。
戸建て購入者も利用できる木造の集会所(庭には50m掘り下げ、飲料にもなる井戸がある)
集会室内部
感動の金児氏vs宮崎氏トーク 全196戸のポラス「柏」3カ月で100戸成約(2020/10/10)
選手村裁判 開発法による鑑定手法が適法なら当初の坪単価250万円は妥当(2021/9/19)
「HARUMI FLAG」 土地と建物の価格比率は調整区域並みの7:93 算定は妥当(2019/9/30)
セルリアンタワー東急ホテル アクティブシニア向け 年間500万円宿泊プラン開始
「セルリアンタワー東急ホテル」
東急ホテルズは9月28日、東急ラヴィエールと協働し、アクティブシニア層向けの1年間にわたる長期宿泊プラン「ロングステイ 365days」を「セルリアンタワー東急ホテル」で2021年10月1日(金)から開始すると発表した。募集開始から1週間ですでに約30組の応募があるという。
宿泊期間を長期の1年間とすることで、「スタッフが家族の一員のように毎日の暮らしに寄り添い、日常を支える存在となり、我が家のような暮らしがホテルで叶う」をコンセプトにしている。
宿泊プランは、参考部屋タイプ:スーペリアツイン/キング(19~31F、37.6㎡)、参考価格:1室(最大2名)、一括払い500万円(サービス料込・消費税・東京都宿泊税込)、月払いの場合(前払い制)1か月当たり平均42万円。フィットネスクラブの利用やランドリー・駐車場利用無料などの特典のほか、エグゼクティブラウンジ利用券(月5回利用)、バースデーディナー招待券をプレゼントする。
東急は、アクティブシニアに対しワンストップでサービス提供を目指す東急ラヴィエールを設立。本プランは東急ホテルズが企画し、東急ラヴィエールがTOKYU POINT会員を対象とした約36万人(1都3県、40歳以上)に対して、計4回の「いきいきわくわく東急ラヴィエールだより」を配信し、本プランを紹介していく。
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5つ星ホテルに年間500万円で宿泊できるなんて羨ましい。その他、食事代などの費用を含めたら最低で年間1,000万円だろう。「ザ・キャピトルホテル東急」も追加しないのだろうか。
世界に誇れる隈研吾氏デザインの「ザ・キャピトルホテル東急」(2011/2/25)
明和地所 江ノ島の一等地で67戸 億ションの100㎡超プレミアム住戸も16戸
「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」
明和地所は9月22日、「クリオ湘南江ノ島グランマーレ」を9月24日(金)から販売開始すると発表した。小田急線片瀬江ノ島駅から徒歩4分の全67戸で、オーシャンビュー&富士山の眺望が期待できる江ノ島の一等地であることから人気は必至だ。16戸用意した100㎡超は同駅エリアでは19年ぶりという。坪単価は400万円を突破するか。
物件は、小田急江ノ島線片瀬江ノ島駅から徒歩4分、江ノ島電鉄江ノ島駅から徒歩 3 分藤沢市片瀬海岸一丁目の商業地域に位置する地上13階・地下1階建て全67戸。専有面積は55.04~111.01㎡。第1期(30戸)販売価格は4,353.2万~17,998.3万円(最多価格帯7,500万円台)。竣工は2023年3月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工は三井住友建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン石倉雅俊氏。
現地は、小田急線と江ノ電・江ノ島駅のほぼ中間。メイン通りに面しており、境川がすぐそば、片瀬江ノ島海岸-江ノ島から富士山も眺望できる絶好の立地。三方道路に接道。建物は内廊下設計。
住戸プランは、標準階フロアは東向きのオーシャンビュータイプが3戸と富士山ビューの西向きが3戸の6戸構成。角住戸は1フロア4戸。100㎡超のプレミアムプランは16戸。ロングボードにも対応した洗い場付きサーフボード置場、Wi-Fi対応のオーナーズラウンジを備える。
主な基本性能・設備仕様は、食洗機、ディスポーザー、二重床・二重天井、インテリアを好みに合わせて自由に設定できるセレクトシステム「conomi(コノミ)」、バルコニースロップシンクなど。
同社の建設担当者は「江ノ島の風景と美しく調和するアースカラーを基調として低層部と上層部のデザインに動きをつけ、エントランスアプローチは、ロートアイアンの門扉と木目調のキャノピーが海辺の邸宅らしさを演出し、エントランスホール脇のラウンジは水盤と緑に彩られたテラスと一続きの空間となり、リゾートのような寛ぎの時間を過ごしていただけるよう計画。各住戸プランは、オーシャンビューが中心で、もうひとつのリビング空間として江ノ島の海を間近に感じられる2m幅のバルコニーを設えています」とコメントしている。
水盤ラウンジ
集会室
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現地は今年6月に確認済み。海好きにはたまらない立地だ。第1期の分譲戸数が30戸と全住戸の半分近いということからも人気になりそうなことがうかがわれる。
坪単価は問い合わせ中だが、平均で300万円を突破しそうだ。機会があったら見学してレポートしたい。
モデルルーム
バブル時 坪450万円⇒リノベ 坪211万円 コスモスイニシア「湘南タワーズ」分譲(2021/6/10)
大和ハウス 大和リビングを存続会社として大和リビングマネジメントと合併
大和ハウス工業は9月22日、同社グループの大和リビングマネジメントと大和リビングを2022年1月1日付で合併し、大和リビングを存続会社とすると発表した。意思決定の迅速化とワンストップ体制によるステークホルダーの利便性向上を実現するため。
大和リビングは1989年設立。大和ハウス工業が施工する賃貸住宅の管理・運営を担ってきた。業容拡大を受け2012年、大和リビングマネジメントを設立し、マスターリース・サブリース事業の移管による機能分担の明確化を図るとともに、大和リビングマネジメントを完全親会社、大和リビングを完全子会社とする組織体制の刷新を行った。
大和リビングの2021年3月期の売上高は998億円、経常利益は90億円、純資産は475億円、大和リビングサービスの2021年3月期の売上高は5,311億円、経常利益は208 億円、純資産は139億円。
合併後の大和リビングは、所在地 東京都新宿区西新宿6丁目11番3号、代表者は匝瑳繁夫氏、事業内容はマスターリース・サブリース事業およびメンテナンス関連事業賃貸住宅、賃貸マンションの管理・運営事業など。資本金は1億円。