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「ウォーターズ竹芝」

 水辺や「WATERS takeshiba(ウォーターズ竹芝)」を中心とした街づくりを推進するタウンマネジメント組織・一般社団法人竹芝タウンデザインなどは6月29日、「ウォーターズ竹芝」の報道陣向け内覧会を行った。記者は、施設内のラグジュアリホテル・メズム東京、アトレ竹芝、オートグラフ コレクション、干潟などを約2時間にわたって見学した。

 「ウォーターズ竹芝」は、東日本旅客鉄道が開発した敷地面積約23,030㎡、26階建てオフィス高層棟、6階建て劇場棟、10階建て駐車場棟からなる延床面積約108,500㎡の複合施設。オフィス棟には14階までの全フロアにヤクルト本社が、15階以上はJR東日本グループの日本ホテルが運営する「mesm  Tokyo Autograph Collection(メムズ東京 オートクラブ コレクション)」265室が、劇場棟は「JR東日本四季劇場」がそれぞれ入居している。施工は清水建設。開業は昨年4月。

 竹芝エリアでは昨年10月、敷地面積約12,156㎡、40階建て延べ床面積約182,052㎡のソフトバンク本社が入居する「東京ポートシティ竹芝」が開業している。

 また、近接エリアでは東京建物の32階建て免震タワーマンション「ブリリアタワー浜離宮」420戸が建設中。

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「メムズ東京」ロビーラウンジから

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勝どき、晴海のマンション群(「メムズ東京」ロビーラウンジから)

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「BANK30」

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「BANK30」

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「BANK30」

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 圧巻は「メムズ東京」だ。16階のロビーラウンジは、高さ約9m、幅数十mの180度吹き抜け空間で、眼下の浜離宮恩賜庭園から再開発計画が楽しみな約23haの築地卸売市場-隅田川-「勝どき ザ・タワー」「THE TOKYO TOWERS」などのタワーマンションが近景に広がり、遠景には都心のビル街や東京スカイツリーなどが眺望できる。緑や川・海などの景観や、都心の夜景が楽しめるラグジュアリーホテルはたくさんあるが、すべてを満たすホテルはまずない。「京都ブライトン」は6階吹き抜け、水天宮の「ロイヤルパーク」は5層吹き抜け空間があるが、外の景色は見えない。

 客室は、40㎡台のchapter1から95㎡のchapter3、180㎡のchapter4まで。95㎡のchapter3を見学したが、客室のほか43㎡のバルコニー付きだ。ルームチャージは約20万円。chapter4は60㎡のバルコニー付きでルームチャージは100万円~とか。

 バー&ラウンジ、ダイニング「シェブズ・シアター」などはカジュアルなもので、バンケットルーム(宴会場)は180㎡の1室のみで、大宴会などは想定していないようだ。

 「メムズ東京」は、「Exactly like nothing else(唯一無二)」の価値である水辺と浜離宮恩賜庭園を臨む立地環境を生かした〝五感を楽しむ〟がコンセプト。マリオット・インターナショナルと提携することで、JR東日本グループのホテル全体の底上げを狙う。

 「アトレ竹芝」は、同社初の〝駅外〟施設で、新業態のラグジュアリーオーシャンビューラウンジ「BANK30」は、海を目の前にショーと映像、音楽のセッションの3つのエリアで構成されており、料理、酒などはリーズナブルな値段だ。

 干潟は、JR東日本が整備したもので、広さは150坪くらいか。ハゼなど10種以上の魚が釣れ、マイクロプラスチックごみ、オイルボール(油の固まり)なども流れ着くので、海の汚染状況が勉強できる。

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〝小さなごみのようなものがマイクロプラスチックごみです〟

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干潟で釣れるハゼなど

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干潟

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「東京ポートシティ竹芝」
 

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「三井不動産ロジスティクスパーク船橋(MFLP船橋Ⅲ」

 三井不動産は6月30日、千葉県船橋市の「三井不動産ロジスティクスパーク船橋(MFLP船橋Ⅲ」が完成したのに伴う記者発表・内覧会を行った。7月1日には、約20,000㎡の緑地空間「MFLP船橋・&PARK」も竣工し、一般に開放する。

 「MFLP船橋Ⅲ」は、敷地面積約58,800㎡の8階建て延べ床面積約270,000㎡。各階の倉庫・トラックバース面積は約27,000㎡と業界最大級の規模で、事務所の天井高は全フロア約3.6mを採用し、緑地空間を一望できる開放的なオフィス環境を実現。倉庫内は全館空調を実装し快適な労働環境を整備。トラックバースは国際基準である45ftコンテナ車両にも全フロア対応可能とするほか、免震構造・72時間対応の非常用発電機等のBCP対策や、車番認証システムを採用したトラックゲート、フラッパーゲートや顔認証システムによる入退館管理など、オフィスビル同等のセキュリティ計画も完備している。

 「MFLP船橋」は、8年間かけて開発してきた事業で、2016 年10月竣工の「MFLP 船橋Ⅰ、2019年10月竣工の「MFLP 船橋Ⅱ」、2020年12月竣工の「三井不動産アイスパーク船橋」、2020年12月竣工の「MFLP 船橋・&GATE」と合わせ総延べ床面積約70万㎡の施設全体が完成したことになる。施設は、RE100 やSDGsの達成に向けた取り組みのほか、と「BELS」で「5STAR」を取得している。

◇       ◆     ◇

 記者は、この日の取材を楽しみにしていたのだが、昨日、第2回目のコロナワクチンの接種を受けており、朝起きたら気分が悪く、急遽取材をキャンセルし、オンライン視聴に切り替えた。1回目は日常生活にほとんど問題なかったが、体温も朝は36.6°(記者の平熱は36.2°)あり、昼過ぎには37.5°まで上昇した。いま夕方は落ち着いてきており、味覚も食欲も飲酒の欲求も普段通り。左肩は腫れて痛い。

 なので、上段の記事はほとんどコピペ。しかし、質疑応答の場面で、面白いやり取りがあった。物流施設を「嫌悪施設」として理解されているのか、一般紙の記者の方が「近隣対策」について質問した。

 なるほど。これには一理ある。詳しくは分からないが、倉庫の建設が許可されるのは準住居地域、近隣商業・商業地域、準工業・工業地域、工業専用地域しかないはずだ。住居系ではまず許可されない。

 逆に、いまは工業系でも商業系でもマンションがどんどん建設されている。そうしたところは物流施設を歓迎しないというのもよくわかる。この質問に対して、三木氏がどう答えるか注目したのだが、三木氏は「当社のこれまでの物流施設で反対されたものは1件もない」と言い切った。

 同社は2021年3月の段階で、開発中を含め全国47か所で事業展開している。1か所も近隣住民などからの反対がないのは驚きだ。

 記者は、もちろん立地条件にもよるが、物流施設とオフィス、マンション、商業施設などとの複合開発の可能性は大きいと考えている。同社の2019年7月に開業した「三井不動産インダストリアルパーク羽田(MFIP 羽田)」を見学した際、設計業の梓設計が本社機能をここに移したのを聞いた。

 細部はまだ手付かずだったが、天井高は5mもあったのに驚愕した。京浜急行空港線穴守稲荷駅から徒歩7分だから、オフィス立地もありかとそのとき思った。

 実は、今回の「MFLP船橋」の「Ⅰ」の竣工見学会が2016年に行われたとき「ここにマンションを建設したら坪単価180万円で売れる」と関係者と談笑したのを覚えている。同社は駅から徒歩3分の「パークホームズLaLa南船橋ステーションプレミア」(231戸)を坪単価210万円で分譲し、早期に完売している。

 物流施設を複合施設にする場合は、容積率などの大幅緩和を行えばコスト的にも見合うはずだ。

 もう一つ。物流施設で「CASBEE」で最高「S ランク」を取得している物件はほかにあるのか。

EC拡大 多様化する顧客ニーズ コロナ禍でも伸びる三井不ロジスティクス事業(2021/3/4) 

 

駅前4.5haの再開発も三井不グループに決定 三井不レジ「南船橋」人気加速か(2020/10/23)

梓設計が本社機能 三井不 街づくり型「インダストリアルパーク羽田」満床稼働(2019/7/5)

わずか7年間でオフィス面積と肩並べる360万㎡開発 三井不のロジスティクス事業(2019/11/6)

 


 

 ポラスグループは6月28日、2021年3月期決算を発表。売上高は2,329億円(前期比3.2%増)、営業利益163億円(同18.9%増)、経常利益176億円(同14.8%増)、純利益50億円(同14.8%増)となり、5期連続で売上高を更新、純利益、経常利益とも2年連続で過去最高を更新した。

 分譲戸建てが好調で業績をけん引し、契約棟数は3,212戸(前期比27.7%増)と過去最高となった。マンションも首都圏供給ランキングベスト10に2年連続で入った。

 プレカットは、加工ラインの新設・更新などにより外販受注棟数は38,912棟となり過去最高を更新した。

 このほか、注文住宅、非木造住宅建築物、住宅展示場での受注棟数、リフォームなども概ね順調に推移した。

 2022年3月期業績予想は、売上高2,400億円(前期比3.0%増)、営業利益170億円(同3.8%増)、経常利益180億円(同1.8%増)、純利益51億円(同1.5%増)を見込んでいる。

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 記者がもっとも関心がある分譲戸建ての業績について、中央住宅・品川典久社長は、「コロナが発生した当初、住宅は全く売れないのではないかと危惧したが、5月下旬以降はネットの反響数が前年の倍以上に増加し、完成在庫は前期末336戸だったのが、現在は66戸に減少している。当社の商圏エリアでは、本拠地の越谷が伸び悩んでいるが、埼玉エリアの京浜東北・埼京線、東武東上線、松戸・城東エリアの常磐線、京葉線が伸びた。マンションの引き渡し戸数も前期より5.6%増で安定してきた」などと述べ、「大事なのは使命。当社は『住まい価値創造企業』をロゴに掲げているように、より豊かでいい街づくりを最大の目標としている。棟数ではない」と強調した。

 これを受けて中内 晃次郎ポラスグループ代表も「(同業他社は)ポラテックのお客さんでもあるのであまり言えないのだが、当社は上場企業のように数字を最優先せず、上棟作業やアフターメンテナンスも社員が行っており、そこの部分を重要視している。人も育てながら力量の範囲内でじわじわと安定的に業績を伸ばすことを経営の基本に据えている」と語った。

 同社の幹部がいつも口にするのはこの企業理念の実践だが、今回の決算数字にも、住宅着工が減少している中、同社の商圏での他社物件より500万円前後価格が高いにもかかわらず、シェアを伸ばし(2019年度10.3%⇒2020年度12.7%)、着工棟数を増やしている(2019年度2,300棟⇒2020年度2,455棟)のは、この理念を実践しているからだと思う。

 両氏の話を聞きながら記者の念頭にあったのは、分譲戸建て御三家の数字だ。ご存じのように、飯田グループホールディングスの2021年3月期決算のグループ販売棟数は46,620棟だ。2020年度の全国分譲戸建ての着工戸数は129,351戸だから、単純比較はできないにしろ市場の36.0%を占めている。1戸当たりの価格も全国展開しているからでもあるが、2,720万円と他社と比較できないほど安い。

 瞬く間に第2位の座に躍り出たオープンハウスの2020年9月期の販売棟数は、オープンハウス・ディベロップメントの2,804戸とホーク・ワンの2,477戸を合わせ5,281戸だ。オープンハウス・ディベロップメントは大都市圏での展開なので1戸当たりの価格は4,160万円と高いが、首都圏のマンション平均価格より2,000万円以上安い。

 ケイアイスター不動産の2021年3月期の販売棟数は4,457棟で、これまで3位だったポラスグループを抜き去った。

 住宅は〝幸せを売る〟商売でもあるし、記者は最近この3社の分譲戸建てを見学していないので軽々には言えないが、価格の安さと質の担保や緑環境の保全とはどう結びつくのか、それとも背馳するのか、永遠のテーマかもしれない。

 ポラスに期待したいのは、行政や同業他社とも連携して埼玉県の緑環境の改善・向上に取り組んでほしいことだ。同社の分譲戸建てが売れているのは、街並みを整備して差別化を図っているからでもあるが、同時に地域全体の価値向上にも貢献する使命を担っているはずだ。

 同社か商圏とする越谷、草加、八潮、さいたま市、戸田市、川口市、蕨市、松戸市、城東はグロス志向の強いエリアだ。当然、競争も激しい。一方で、これらのエリアの緑環境は都内の世田谷や杉並などと比べて桁違いに貧しい。この前、蕨市の緑環境について書いたので、こちらも読んでいただきたい。

          ◇      ◆     ◇

 最近の分譲戸建て業界の動きとして、オープンハウス、ケイアイスター不動産、三栄建築設計の3社が4月13日付で「「一般社団法人日本木造分譲住宅協会」を設立し、理事長に三栄建築設計の小池信三氏が就任したと発表した。

 木造分譲住宅における国産木材の利用を促進することで、国内の森林が持つ多面的機能の維持回復に資する活動を行い、SDGsの課題解決にも貢献するというのが目的のようだ。

 詳細は分からないが、結構なことだ。ただ、どうして3社のみか、他社に呼びかけを行って断られたか、それとも排除したのか。機会があったら聞いてみたい。

埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)

〝絶好調〟の分譲戸建て市場 着工は激減 各社の動向の一端を遠望する(2021/2/20)

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「ルネ上尾」

 総合地所が分譲中の「ルネ上尾」を見学した。埼玉県初の、同社としては2件目のZEHマンションで、5月22日に竣工販売した結果、第1期45戸が即日完売した。同物件も含めこの3年間で3物件365戸が供給されたにもかかわらず人気になっているのは、物件に力があり、上尾駅から徒歩7分、四叉路の対面に上尾市役所があるなど立地条件にも恵まれているからだ。

 物件は、JR高崎線・湘南新宿ライン上尾駅から徒歩7分、上尾市宮本町の近隣商業地域・準住居地域・第2種住居地域に位置する10階建て全80戸。専有面積は68.02~81.63㎡、坪単価は200万円。建物は2021年4月に竣工済み。販売代理は長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 第1期45戸を5月22日に抽選分譲し、即日完売した。これまでの資料請求は約540件、来場者は約180件。来場者の属性は、年代は30歳代が40%、居住地は上尾市が約50%、桶川市が約8%、さいたま市北区が約7%。年収は400万円台が約15%、500万円台が約20%、600万円台が約12%、700万円台が約10%、1,000万円以上も約15%。家族構成は1人が約15%、2人が約45%、3人が約25%、4人が約15%。

 現地は、駅からフラットな市役所通りに面しており、対面は上尾市役所。従前は商業ビル。

 建物は南西向きで、住戸プランは70戸が3LDKで、10戸が4LDK。主な基本性能・設備仕様は、直床、二重サッシ(室内側は樹脂サッシ・Low-Eガラス)、食洗機、稼働収納「ウゴクロ」、高効率エアコンなど。

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◇       ◆     ◇

 現地、モデルルームを見るまでは坪単価は200万円がアッパーだと思っていた。上尾駅は、大宮駅から2駅だがマンション立地としてはマイナーだ。ZEHは素晴らしいのだが、その良さは説明だけではなかなか伝わらない。そして何よりもこの2年間でタカラレーベンとアンビシャスの2物件で285戸も供給されている。全て需要は吸収されてしまっていると読んだからだ。

 ところが、現地とモデルルームを見学して坪単価200万円は〝割安〟だと上方修正した。

 まず、現地。駅東口から幅員15m以上ありそうな市役所通りをまっすぐ歩くと、ほどなくとても印象的な「スカイブルー乳白色」のガラス手すりの外観が目に入ってくる。四交路の対面にある市役所のほかには高層建築物はないので、端正なこのマンションがひと際目立つ。足元の植栽も豊かで、瞬時にそのデザインにほれ込んだ。外観だけでも、いかにこの物件に力を注いでいるかが伝わってくる。

 ZEHマンションのよさについては省くが、嬉しかったのは二重サッシの居室側には樹脂サッシ・Low-Eガラスが採用されていることだった。関係者ならアルミサッシと樹脂サッシの断熱性は全く異なることはご存じのはずだ。

◇       ◆     ◇

 コロナを避けるため、いつものようにコンビニでおにぎり1個と糖質ゼロの缶ビールを買って、駅から1、2分の市役所通りから一歩入った100坪近くありそうな小公園で食べた。敷地内にはレンガ張りの三角屋根の立派なトイレのほか、ヒマラヤスギ、イチョウ、モミジなどの樹木や滑り台などもあった。

 土地は宮本町内会が所有しているとあったので、課税状況を調べるために市役所に寄った。担当部署では「個人情報なので、固定資産税、都市計画税などの課税がどのようになっているか公表できない。土地の所有関係などは登記簿などで調べていただきたい」と予想された答えが返ってきた。

 住宅地図には「宮本児童公園」となっているので、課税は間違いなく非課税だろう。

 嬉しかったのは、上尾市と西武ライオンズは2018年に「フレンドリーシティ」契約を締結しており、写真のような垂れ幕や等身大の森選手の看板などが設置されていたことだ。西武ライオンズのホームページによると、埼玉県内では2018年時点で31市町村と同様の協定を締結している。

 〝住むなら埼玉〟〝住めば埼玉〟〝埼玉に住もう〟

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「宮本児童公園」

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市役所内

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4~5層ありそうな市役所の吹き抜け空間

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吹き抜け空間に掲げられている西武の横断幕

地所レジから専有卸受け分譲 タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)

郊外復権の一つになるか 外構・壁面緑化が見事 アンビシャス「上尾」(2020/7/18)

住友不動産「シティタワー上尾駅前」 1期115戸が即日完売(2012/8/9)

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「レーベン北戸田   ATOMOS」

 タカラレーベンが分譲中のJR埼京線「北戸田駅」圏3物件を見学した。駅から徒歩12分の「レーベン北戸田   ATOMOS」72戸、駅から徒歩9分の「レーベン北戸田  LUMINOUS」33戸、駅から徒歩7分の「レーベン北戸田  SOLID」36戸だが、何と3物件の所在地は「レーベン北戸田 ATOMOS」(以下、「さいたま」)がさいたま市、「レーベン北戸田 LUMINOUS」(以下、「戸田」)が戸田市、「レーベン北戸田 SOLID」(以下、「蕨」)が蕨市と全て異なっている。自社物件どうしで共食い共倒れになりはしないかと心配したが、そんなことにはならず、3月から分譲開始した3物件合わせて141戸のうちすでに67%に当たる94戸が成約済みだ。3物件とも立地条件のいいのが好調の要因の一つと見た。

 「さいたま」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩12分、さいたま市南区辻7丁目の準工業地域に位置する15階建て全72戸。専有面積は62.92~76.05㎡。竣工予定は2022年3月上旬。設計・監理・施工は埼玉建興。

 「戸田」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩9分、戸田市戸田都市計画事業新曽第一土地区画整理事業地内の第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全33戸。専有面積は66.71~74.99㎡、竣工予定は2021年9月下旬。設計・監理・施工は埼玉建興。

 「蕨」は、JR埼京線北戸田駅から徒歩7分、蕨市蕨都市計画事業錦町土地区画整理事業地内の第一種住居地域に位置する5階建て全36戸。専有面積は57.13~76.55㎡。竣工予定は2021年9月中旬。売主は同社のほか三信住建。設計・監理はデベロップデザイン一級建築士事務所。施工は埼玉建興。

 3物件ともデザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン石倉雅俊氏、インテリアはデザイナー遠坂麻理子氏。

 モデルルームオープンは1月からで、契約開始は3月。これまでに「さいたま」は50戸、「戸田」は25戸、「蕨」は19戸が成約済み。

 基本性能・設備仕様は、3物件とも二重床・二重天井、食洗機、たからの水など。パナソニックの天井埋込形ナノイー発生機「エアイー」を標準装備しており、床、建具、壁などには抗菌・抗ウイルス効果があるものを採用している。

 同社マンション事業本部営業推進事業部第2営業統括部・三澤譲氏は、「用地取得は別々ですが、同時に分譲することで、販売コストを削減し、利益も按分できるので、その分だけお客さんにも還元できます。『戸田』と『蕨』は地元中心ですが、『さいたま』はさいたま市に地縁のない方からも反応が多いのが特徴です。販売状況は偏りもなく極めて順調。営業体制は7名で、週末の4席3サイクルは全て満席です」などと語っている。

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モデルルーム

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モデルルーム

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 販売が好調なのはよくわかる。3物件ともじっくり時間をかけて見学した。「北戸田」は工場街のイメージが強いが、そんなことはなかった。

 「さいたま」は駅からややあるが、広い道路を挟んだ隣接地は小学校。子育て環境は申し分ない。駅までのアクセスも途中桜並木などがありいい。単価も抑制気味だ。

 「戸田」は、通学区の芦原小学校まで徒歩4分。区画整理事業地内なので住環境も悪くない。

 「蕨」は、敷地裏側は戸田市。前面道路は交通量がそれほど多くなく、公園も近接。3物件の中で単価が一番高いのも納得だ。

 モデルルームもよくできている。昨年見学した物件でも書いたが、昔のようにとがったところがなく、洗練されている。他社物件との差別化が出来ているはずだ。

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「レーベン北戸田   ATOMOS」

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「レーベン北戸田  LUMINOUS」

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「レーベン北戸田 SOLID」

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 「快適」「安心」「健康」「美容」を実現するという浄活水装置「たからの水」は、十数年前の発売当初から記事にしてきた。しかし、いくらその良さをアピールしても、経験しないとわからないので、次のように書いた。

 「同社の売りの一つである実用新案登録済みの浄活水システム『たからの水』『マイクロバブルトルネード02(浴槽)』をもっと具体的に見える形でアピールしてほしいということだ。いわゆる〝見える化〟を進めてほしい。

 コーヒーでも豆腐でもいい。水道水と『たからの水』を使用したのとではどれぐらい味が変るのか試飲・試食してもらったらどうか。まさか『マイクロバブルトルネードO2(浴槽)』の入浴ショーをやるわけにはいかないだろうが、少なくとも営業マンは全員体験すべきだろう。百聞は一見に如かず。いくらパンフレットなどで説明しても、営業マン自らが体験していなければ、パンフレット以上に説明しようがないではないか。風呂嫌いの記者などは『湯船につかるだけで垢が取れやすい』マイクロバブルトルネードO2に是非入ってみたいものだ」と。

 その後、「たからの水」はモデルルームで何度も見てきたが、入浴ショーは一度も行っていないはずだ。ところがこの日、販売担当の三澤氏に勧められるままに、「たからの水」のシャワーを右手の甲に受けた。

 その結果の写真がこれだ。今に始まったことではないが、みみず腫れのようにでたらめに血管(パソコンは最初に「欠陥」と変換した)が浮き出ているのが分かるはずだが、汚い手を見せるのがもちろん目的ではない。血管が浮き出るのは加齢によるものと言われている。

 左手と右手を見比べていただきたい。左手より右手のほうの色がやや薄くなっているのがお分かりか。ごしごし垢を落としたわけではないのに、何と肌の色は白くなったではないか。この年になって肌の色などどうでもいいが、これは女性におすすめだ。凄いというほかない。三澤氏は「しばらくすると肌がすべすべするはず」と言ったが、年を取りすぎたためか、そんなことはなかった。

 販売事務所にはナノイーの体験コーナーもあったが、体験しなかった。タバコの匂いを消してくれるそうだ。加齢臭はどうなるのか聞かなかった。

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「たからの水」を浴びた右手がややきれいになっているのがお分かりか

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駅で見かけた雌の1歳の犬(人に触られるのが大好きとかで、すぐはしたなく路上に寝転んだ。記者も触ってみた。もち肌ではなくサメ肌だったので鳥肌が立った。「たからの水」を浴びたらいいかも)

埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)

タカラレーベン「たからの水」「マイクロバブル」の見える化を(2010/2/1)

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「プレディア都筑ふれあいの丘」

 JR西日本プロパティーズ(Jプロ)が分譲中の「プレディア都筑ふれあいの丘」と「プレディアあざみ野」を見学した。前者は駅から徒歩3分の全37戸で、竣工販売の第1期1次19戸と第1期2次7戸がほぼ完売見込み。後者は駅から徒歩10分の全54戸で、第1期27戸が即日完売し、第1期2次3戸も完売。双方とも好調な売れ行きを見せている。

 「都筑ふれあいの丘」は、横浜市営地下鉄グリーンライン都筑ふれあいの丘駅から徒歩3分、横浜市都筑区葛が谷の近隣商業地域に位置する7階建て全37戸。専有面積は36.72~70.11㎡、6月26日(土)に抽選販売される第1期2次(7戸)の価格は3,128万円〜5,788万円。坪単価は257万円。建物は2021年4月22日に竣工済。施工は風越建設。販売代理は長谷工アーベストで、モデルルームオープンは4月29日。

 現地は、幅員8mはありそうな桜並木とレンガタイル敷の舗道に面しており、建物標準階1フロア6戸構成で、南向きと北向きがそれぞれ3戸。角住戸比率は64%。主な基本性能は、直床、リビング天井高2450ミリ、食洗機、御影石キッチン天板、食器棚標準装備など。

 「あざみ野」は、横浜市営地下鉄ブルーライン中川駅から徒歩10分、東急田園都市線あざみ野駅から徒歩15分、横浜市青葉区荏田町の準住居地域に位置する7階建て全54戸。専有面積は57.48〜72.66㎡。7月分譲予定の次期(戸数未定)の専有面積は60.98〜72.66㎡、予定価格は4,300万円台〜5,400万円台(最多価格帯4,800万円台)。坪単価は236万円。竣工予定は2022年2月下旬。設計・施工は新日本建設。販売代理は野村不動産ソリューションズ。

 5月22日に分譲した第1期27戸、6月12日に分譲した第1期2次3戸はともに完売。

 現地は、中高層マンションなどが建ち並ぶエリアの一角。建物は建築デザイナー・空間デザイナーの共演による「日本庭園」をテーマとしたランドスケープデザイン、「モダン・ジャパニーズ」をテーマにした照明デザインを採用。共用部にコワーキングスペースを設置。住戸プランは60㎡台の3LDKが中心で、田園都市線には競合物件が多いことから価格を抑制しているのが特徴。

 オンライン個別相談会などの対応により顧客の絞り込みを行った結果、来場者約100件に占める成約者の割合(歩留まり率)が約3割に達している。

 販売担当の野村不動産​ソリューションズ プロジェクト営業本部住宅販売一部専任課長・石川広勝氏は、「モデルルームでの顧客対応は一般的に3~4時間かかるが、コロナ禍でオンライン商談を導入した結果、1回目のプロジェクト説明会と、それ以降の個別相談会を実施し、価格情報も当初の段階で伝えていることなどから商談時間を大幅に短縮できている。それが歩留まり率のアップにつながっている」と語った。

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「プレディアあざみ野」

◇       ◆     ◇

 読者の皆さんは、2008年に開業した横浜市営地下鉄グリーンライン都筑ふれあいの丘駅をご存じか。記者はまったく知らなかった。駅に降りたとたん、いかにもUR都市機構が整備したと思われるゆったりした街並みが形成されているのにも驚いた。販売担当の長谷工アーベストによると、「この街に住んだら他に移れない」と居住者がいうほど住環境のいいのが特徴で、一部の近隣商業エリアにマンションなどが建っているほかは、駅から数分も歩くと第一種低層住居専用地域の戸建て住宅街が広がっている。

 話を聞き、いつものように坪単価を予想した。先に見学した「あざみ野」が坪236万円だったので、それよりは若干安いとみて230万円と見たのだが、257万円だったので大外れ。郊外部のマンションでこれほど予想を大幅に外したのは記憶にないくらいだ。

 言い訳はしたくないが、この街を全然知らなかったことが最大の理由だ。

 さらに言えば、人気が高いという駅前の大型商業施設「OK(オーケー)」を知らなかったことも響いた。昼から「あざみ野」で頂いたお茶を少ししか飲んでいなかったので、ビールでも飲もうと取材後「OK(オーケー)」に寄った。1階の店舗は広く、隈なく回ってもビールなど売っておらず、店の人に聞いたら2階だというので2階に上った。

 しかし、ボックス・ケース入りはたくさんあるのに冷えたビールなど1本も売っていないではないか。ケース入りをたくさんカートに入れていた利用者に訪ねた。「冷えたビールはどこですか? 」「さぁ、見たことない」仕方なく、また店の人に聞いた。「冷えたビール欲しいんですが? 」「ここはスーパーじゃありません。ディスカウントショップです」「…」この間、10分は無駄になった。やむを得ずコンビニで糖質ゼロの缶ビールを買って、路地裏で飲んだ。

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「プレディア都筑ふれあいの丘」の北側舗道

◇       ◆     ◇

 駅は知らなかったが、駅から徒歩4分の2000年竣工の「藤和ライブタウンセンター南」はよく知っている。全162戸の低層マンションで、〝ペット飼育可〟の走りの物件だった。よく売れた。さらにまた、ここには圧倒的人気になった伊藤忠都市開発「タンタタウン」もある。

 もう一つ、「都筑区」について。記事も添付する。これはパンフレットにも記載されているが、同区は「暮らしやすさ」が第1位のほか、景観のよさ、自然の豊かさ、子育て環境、歴史的公園面積でも市民意識調査でトップの評価を得ている。

圧倒的人気呼んだ長期定借付マンション第2弾 「タンタタウン・アルボの丘」(2005/2/4)

「港北センタープレイス」の現地で見た光景(2005/1/12)

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PDFはこちら 感染者比率.pdf

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 東京都の新型コロナ感染者は、70歳以上の高齢者の実数も感染比率も減少する一方で、20歳未満の年少者の実数、比率が増加するなど対照的な動きを見せている。高齢者や医療従事者へのワクチン接種が進んでいる効果がはっきり表れているが、年少者にも感染しやすいといわれる変異株の影響か、気掛かりな材料だ。

 別表・グラフは、東京都の5月8日以降の新型コロナ感染者の推移を見たものだ。感染者は5月上旬では1,000人を超える日もあったが、その後は漸減し、6月14日には209人まで減少した。1週間ごとの感染者は5月上旬の5,000~6,000人台から6月の第3週は2,644人へ減少した。

 この間の大きな特徴は、70歳以上の感染者・比率が確実に減少していることだ。5月8日は91人(比率8.1%)で、5月26日は83人(比率11.2%)にのぼっていたのが、この10日間では感染者は30人を割っており、比率も数%台に減少している。6月24日は2.5%、25日は2.7%と3%を割った。

 都のデータによると、約311万人の65歳以上を対象としたワクチン接種者は6月24日現在、 1回目が1,660,474人、2回目が605,415人となっており、1回目接種者は53%となっている。また、約56万人の医療従事者を対象としたワクチン接種者は6月25日現在、1回目が494,036人、2回目が423,361となっている。

 しかし、一方で気になるのは20歳未満の年少者の実数と感染比率の増加だ。5月9日は132人(比率12.8%)と100人を超えたが、その後は徐々に減少し、比率も10%前後で推移してきた。

 ところが、6月23日には92人(比率14.9%)に増加し、実数・比率は増加傾向にある。変異株は若年層へも感染しやすいと報告されていることを裏付けているのか。

 感染経路不明率も6月8日に60%を超えたのをきっかけに25日までの18日間で60%を割ったのは6月23日(58.3%)しかなく、18日間の不明率は62.8%に達している。都のデータでは、6月25日現在の7日間移動平均値は114.5%と増加傾向を示している。

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「鍋島松濤公園トイレ」(撮影:永禮賢氏、提供:日本財団)

 日本財団は6月24日、誰もが快適に使⽤できる公共トイレを渋⾕区内17か所に設置するプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の9カ所目となる、建築家・隈研吾氏がデザインした「鍋島松濤公園トイレ」のメディア向け見学会を行い、同日から⼀般利⽤を開始した。

 タイトルは「森のコミチ」で、緑豊かな松濤公園に、集落のようなトイレの村をデザイン。ランダムな角度の耳付きの吉野杉の杉板ルーバーに覆われた5つの小屋は「森のコミチ」で結ばれて森の中に消えていくというもの。

 ⼦育て、着替え、車いすなど多様なニーズにあわせて、村を構成するひとつずつのトイレの、プラン、備品、内装も異なるそれぞれの個室を分棟とすることで、公園に開かれた⾵通しの良い、通り抜けのできる「公衆トイレの村」としている。

 隈研吾氏は、「今回様々な候補地がありましたが、⼀番緑の深い鍋島松濤公園に設計することで、これまでの公共トイレのイメージを払拭できると思い、この場所を選びました。トイレだけでなく、動線となる道も含めて設計しています。建築物に加えて、その周辺の環境など、トータルな体験として捉えていただければと思います。 また、従来の公共トイレは全て均⼀なデザインでしたが、今回はお子さんが利⽤できるトイレや、イベントの多い渋谷の街に合わせて着替えができるトイレなど、小さな5つのトイレを設計しています。これまでの公共トイレと異なり、様々な人に使⽤いただける点も大きな特徴です」と述べた。

 ⽇本財団常務理事・笹川順平氏は、「プロジェクトは、今回の鍋島松濤公園トイレで9か所⽬になります。このプロジェクトは建築までが半分、適切に維持管理しながらご使⽤いただくことが残りの半分だと考えています。従来の公共トイレに持たれている〝暗い・汚い・臭い・怖い〟といったイメー ジを取り払うモデルケースになることを⽬指すべく、ご使⽤いただく皆さまにもご協⼒いただけますと幸いです」と語った。

 「THE TOKYO TOILET」は、日本が世界に誇る「おもてなし」文化の象徴であるはずの公共トイレが利用者に不評であることから、性別、年齢、障害を問わず、誰もが快適に使⽤できる公共トイレを2021年秋までに区内17カ所に設置するもの。プロジェクトには建築家の隈研吾氏、伊東豊雄氏、安藤忠雄氏、坂茂氏、槇文彦氏、クリエイティブディレクターの佐藤可⼠和氏など16人の専門家が参画している。トイレの設計施⼯は⼤和ハウス⼯業、現状調査や設置機器・レイアウトの提案はTOTOが担当している。

 THE TOKYO TOILETの特設ウェブサイトはhttps://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/thetokyotoilet

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撮影:永禮賢氏、提供:日本財団

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撮影:永禮賢氏、提供:日本財団

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※以下は全て記者写す

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◇       ◆     ◇

 上段は、日本財団のプレス・リリースをほとんどコピペした記事だ。隈氏は、実際にはたくさん面白い話をされた。忠実に再現したいのだが、申し訳ない。その後、別の取材があり、うちに帰ってから酒も入ってしまったので、記事を書けなくなった。

 とりあえず、写真だけを紹介します。続きは明日、明後日にします。

 (続き)

 隈氏の木の格子デザインはたくさん見学してきたので、今回も鉄やコンクリではなく木がふんだんに採用されているのではないかという予感はあった。その通りだった。ただ、使用されている木の名前はわからなかった。スギのようには見えたが、木目が密で、記者の田舎・三重のスギとは異なっていた。

 直接、隈氏から吉野杉であることを聞き、納得もした。三重のスギも美しいと思うが、関係者の間では吉野杉のほうが建築材としては使用部位にもよるが優れていると評価されているのだろう。

 トイレの個室に採用されているメタセコイア、サクラ、コナラ、ケヤキ、イチョウなどの木片は、「相模原津久井産材」の廃材・端材になるものをそのまま生かしたことも聞いた。

 素晴らしい公園トイレに仕上がったのは、隈氏と笹川氏のやり取りからもよく伝わってきた。

 公衆トイレについて隈氏は、「1990年にバブルがはじけて、東京の仕事が全部キャンセルとなり、仕事がなくなったとき、いちばん最初に頼まれた仕事は高知県の梼原(ゆすはら)町の公衆便所でした。町長さんから『隈さん、公衆トイレの設計できる? 』と聞かれ、『公衆便所すごく得意です』と答えました。木を使った建物の設計は公衆便所から始まりました。私の人生にとっても大きな転機でした。30年たってもう一度公衆便所に出会え、公衆便所を通じて新しい都市像を提案できた。縁の深さを感じている」と語った。

 笹川氏は、「最初に先生の事務所に伺い、依頼したときは断られると思ったが、『これまで関わったプロジェクトの中で一番面白そうだ』と仰っていただいて、とても嬉しかった。これまでの9か所のプロジェクトの中で自然との共生をテーマにしたのは今回が初めて。もっと驚くことに、トイレを楽しもうというコンセプトも今回が初めて」と返し、嬉しさを隠しきれない様子だった。

 高知県梼原町は、隈氏の作品がたくさんある町として知られているが、公衆トイレが最初の案件だったのを初めて知った。

 隈氏はまた、自らが審査委員長となり、在学生を対象とした東大赤門脇のトイレデザインコンペを行い、採用案も決定したと話した。

 この件に関し、ネットで調べた。隈氏は講評として次のように述べている。

 「小さな公共トイレを入り口にして、これほどに深い世界にはいってゆけるとは、僕自身正直なところ全く予想していなかった。

 『インクルーシブな社会の実現』が重要であるということについて、反論する人はいないであろう。しかし、その総論に賛成な人も、それが具体的にどんなトイレのプランニングになり、どんなデザインになるべきかと問われると、はたと考え込んでしまうだろう。それほどに、僕らは無意識にトイレを使い、無意識に様々な人たちをエクスクルード(排除)したり、差別したりして、毎日を過ごしているのである。建築に携わり建築を作っている人間が、実はその問題に対して最も無意識で、無知であったかもしれない。

 審査していて、その事実をつきつけられ、僕自身にとっても貴重な体験をさせていただいた。

 大学という場所は、専門家を育てる場所である以上に、専門家が傲慢と偏見に陥りやすいことを教えるべき場所でもある。今回のコンペは、小さなトイレを通じて、そのとても大事なことを発信できたように、僕は感じた」

 この隈氏の言葉は重くて深い。これまで9か所すべてのトイレを見学してよかった。「THE TOKYO TOILET」プロジェクトは凄い展開を見せてきた。「無意識にトイレを使い、無意識に様々な人たちをエクスクルード(排除)したり、差別したりして、毎日を過ごしている」われわれの意識を劇的に変えるはずだ。

 今回採用されたスギの学名「クリプトメリアヤポニカ(Cryptomeria japonica)」は「隠れた日本の財産」というではないか。隈氏の作品は5年、10年、20年と時間が経過することで色合いが変化し、周囲の風景によく馴染み、同化していくに違いない。

 

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隈氏(左)と笹川氏

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「鍋島松濤公園」入口

〝汚い・臭い・暗い・危険〟公共トイレ利用率13.5% 日本財団18歳意識調査(2021/6/22)

素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)

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「リーフィアレジデンス橋本」

 小田急不動産は6月23日、大規模マンション「リーフィアレジデンス橋本」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。JR・京王相模原線橋本駅からバス便の全425戸で、分譲開始から1年半で約9割を成約するなど極めて好調に推移している。敷地内の里山を所有し、維持管理も行うというほとんど前例のない企画がヒットした。

 物件は、JR横浜線・京王相模原線橋本駅から徒歩19分(バス3分、バス停徒歩3分)の町田市小山ヶ丘六丁目に位置する敷地面積約21,850㎡、12階建て全425戸。平均専有面積は78.7㎡。最多価格帯は3,300万円台、坪単価は150万円。売主は同社(事業比率50%)のほか、積水ハウス(同40%)、神鋼不動産(同10%)。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工は2021年4月。

 2019年12月から販売を開始し、当初は町田市、相模原市などの地元中心だったのが、昨年6月以降は広域からの集客ができており、これまでに累計来場者は2,000件を突破し、約9割が成約済みとなるなど好調に推移している。

 約21,850㎡の敷地の4割を占める「民有緑地」=「里山」の保全・維持管理を居住者が行うという提案が支持された。行政、環境シンクタンクとの協議や緑地内の環境調査などを重ね、20201月に「いきもの共生事業所認証(ABINC=エイビンク)」の「優秀賞」を受賞している。

 内覧会に臨んだ同社住宅事業本部開発企画部長・髙橋浩朗氏は、「敷地は小田急電鉄が所有していたのを吸収分割手法により当社が取得したが、事業化するにあたって2つの課題があった。一つは、バス便で400戸を超える需要が果たしてあるのかということ。もう一つは、敷地は市の地区計画による『民有緑地』に指定されており、一切自然の植生に手を加えてはならないという規制があったこと。開発を断念することも考えたが、思い切ってチャレンジした。販売状況は当初の想定をはるかに超えている。自然と共生する取り組みが高い評価を得た」と語った。

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「さとやまの森」木道もあるので登るのに苦労しない

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「さとやまの森」登り口

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フォレストテラス

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2層吹き抜けラウンジ(正面にフォレストテラスが額縁絵のように見える)

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キッズルーム

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 この物件については、同社が2019年10月7日に行った記者内覧会を取材しており、「坪単価は都内ではまずない150万円くらいに落ち着きそうだ」とし、「売れるかどうかは価格もさることながら、カギは『さとやまの森』の魅力をアピールできるかどうかだろうと思う…似たような事例は『フォートンヒルズ』がある。ここは信じられないような売れ行きを示した」と記事に書いた。

 分譲価格(単価)は、土地代がただでも建たないような破格値で、大型商業施設が近接するのは訴求力があるが、橋本駅からバス便というのはネックになるはずで、で400戸を超えたら、いかに隣接地に大型商業施設があるとはいえ、売れるのは年間100~150戸として、完売まで3~4年かかるのではないかと予測した。「いきもの共生事業所認証(ABINC=エイビンク)」認証は必ずしも販促につながらないこともこれまでの事例で分かっていた。

 そしてまた、当時は「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」というプロパガンダが新型コロナのように市場に蔓延していた。下手をすると在庫は根雪のようにずっと残るのではないかと危惧もした。

 この日(6月23日)、販売住戸は残り約1割と聞いて安堵した。記者の予想を覆したのは、大型商業施設に隣接し、新型コロナによる〝新しい生活様式〟も大きな要因だろうが、「フォートンヒルズ」と同等かそれ以上の取り組みが自然志向の消費者の心を捉えたからだと思う。高橋氏も「想定外の売れ行き」と語ったように、ここまで売れると考えていなかったようだ。

 約21,850㎡の敷地を戸数で割ると、1戸当たりの持ち分は約51㎡。1戸当たりにするとそれほど大きくもないが、これをみんなで所有し、維持管理をし、毎日のように散策したり様々な交流イベントなども行ったりできる〝価値〟はお金には代えられないものがある。維持管理費として1戸当たり月額500円を徴収するというのも妥当な価格のはずだ。

 1階部分からの比高差約30mの里山にも上った。枕木などで木道が整備されており、年寄りでも苦もなく登れる。樹木はクヌギが多く、草花を含めて約200種とのことだった。山椒の木がたくさん生えており、タラの木もあるとのことだった。原始規約では喫煙禁止というのはどうかと思うが、飲酒は定めがないので、飲めるはずだ。(入居者の1~2割は喫煙者のはずで、管理組合も喫煙くらい認めてもいいのではないか)

 里山は八王子市との市境にもなっており、フェンスの先には八王子市が所有する手つかずの雑木林が広がっていた。

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このヤギは記事とは関係ありません。多摩センターの駐車場の雑草狩りに駆り出されているヤギです(「さとやまの森」のイベントに出演させたら受けるはず)

小田急不他「橋本」 坪単価は150万円か 敷地の3分の1が里山 自然派の心捉えるか(2019/10/7)

また怒り沸騰 「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本は買うな!(下)(2018/2/1)

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安藤忠雄氏が担当した「神宮通公園トイレあまやどり」(撮影:永禮賢氏、提供:日本財団)

 ⽇本財団は6月22日、オリンピックを契機に⽇本の「おもてなし」⽂化としても注⽬の⾼まる「公共トイレ」をテーマに実施した「第38回18歳意識調査」結果をまとめ発表した。

 調査は、2021年5月14日~18日、全国の17歳~19歳男女1,000名を対象にインターネットにより実施したもので、外出した際に公共トイレを利⽤すると答えた⼈は70.5%に上る⼀⽅で、設置場所によって利⽤率やイメージに大きな差があることが明らかになった。

 調査によると、「デパートや映画館など商業施設内のトイレ」の利⽤率が57.1%ともっとも⾼かったのに対し、「公園内や歩道にあるトイレ」は13.5%と低い数字となった。「公園内や歩道にあるトイレ」は、他の設置場所と⽐べ「汚い(67.6%)」、「臭い(28.6%)」、「暗い(23.4%)」、「危険(22.8%)」といったネガティブなイメージが特に強く、「綺麗」や「安全」といったポジティブなイメージを想起する⼈は約3%に留まっている。

 とりわけ、⼥性の場合は「危険(27.2%)」というイメージを持つ⼈が多く(男性では18.4%)、安全⾯や防犯⾯の改善を求める声も多く寄せられた。

 公共トイレの現状が「おもてなし」⽂化の象徴としてふさわしいかという質問には約3 割が「そうは思わない」と回答。その理由として掃除不⾏き届き(71.2%)、⼊ろうと思えないような外観(36.9%)、盗難などの利⽤者のモラル(30.3%)などが挙げられた。

◇       ◆     ◇

 「公共トイレ」が嫌われているのは、国土交通省などの調査でも明らかになっているが、若い人も同じであることを今回のアンケートは示している。

 だからこそ、記者は同財団の渋谷区の「THE TOKYO TOILET」プロジェクトを支持し、応援したい。6月24日には、隈研吾氏が設計・デザインを担当した「鍋島松濤公園トイレ」が公開される。隈氏は何を語るか楽しみだ。

 「THE TOKYO TOILET」の第1号が開設されてからもうすぐ1年が経過する。同財団と渋谷区には、他の公共トイレと比べ、利用者にどのような変化があったか、維持管理費などはどれだけ差があるのか公表してほしい。

コンセプトは温故知新 デザインはNIGO®「神宮前」 日本財団 渋谷区公園トイレPJ(2021/5/31)

 


 

 

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