木造戸建て住宅に占める木住協会員シェア20% 飯田グループの加入はないのか
木造軸組工法住宅の普及と健全な発展に寄与することを目的にしている日本木造住宅産業協会(木住協)は8月25日、「木住協 自主統計および着工統計の分析報告書」オンライン報告会を開催した。
令和2年度の新設住宅着工戸数は812,164戸(前年度比8.1%減)で、このうち戸建て住宅は463,350戸(同10.7%減)、木造戸建て住宅は414,072戸(同9.9%減)だった。
これに対し、木住協会員の新設住宅着工戸数は86,652戸(同0.7%増)、戸建て住宅は82,647戸(同1.8%増)となり、住宅着工の木造戸建て住宅に占める木住協のシェアは20.0%となった。20%台になったのは平成28年度以来。木造3階建ては8,650戸(19.2%増)と大幅に増加。全体に占める割合も前年度より10.8ポイントアップの35.5%となった。
「設計評価住宅」は21,785戸で全体の26.4%、「建設評価住宅」は14,748戸で全体の17.8%となり、「設計」は前年度より増加したが、「建設」は戸数、率とも減少した。
「長期優良住宅」は28,318戸で、全国統計100,628戸に占める木住協シェアは28.1%、木住協戸建て住宅に占める割合は34.3%(前年度は38.1%)となった。
「太陽光発電搭載住宅」は20,447戸で、新設戸建て住宅の24.7%を占めたが、前年度の23,251戸、29.5%からそれぞれダウンした。「ZEH適合住宅」は10,877戸で、前年度から1.8%増加した。
オンライン説明会で同協会・越海興一専務理事は「住宅着工が2年連続して減少しているが、木住協会員の戸数は令和2年度は増加に転じるなど逆風の中で頑張っている」と総括した。
「報告書」は、A4判53ページに上るもので、令和2年度の住宅着工戸数、3階建て、品確法に基づく設計・建設評価住宅、長期優良住宅、太陽光搭載住宅、ZEH住宅、増改築、3階建てなど国のデータと木住協会員のシェアなど数値を比較できるようにまとめたもの。調査対象は木造軸組工法住宅事業を展開する465社で、回答は80.4%の374社だった。
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〝木造ファン〟の記者は、越海専務も総括したように健闘していると思う。3階建てが大幅に増加したのは、敷地の狭小化が進んでいる都市部では、鉄筋造の単価が上昇している一方で木造はそれほどでもなく、価格的に優位性を保っているのと、耐火・防火技術の向上、木のよさが消費者にも浸透している当然の結果ではないか。
参考までに令和2年度の他の構造などを紹介すると、非木造の鉄筋は222,123戸(前年度比3.6%減)、鉄骨は117,552戸(同12.5%減)、プレハブ住宅は木造が10,566戸(同10.9%減)、鉄筋が2,404戸(同44.5%減)、鉄骨が94,718戸(同12.6%減)、ツーバイフォー住宅も89,580戸(同16.5%減)とそれぞれ大幅に減少している。
木住協会員会社が「頑張っている」のは嬉しいのだが、いつも不思議に思っていることがある。
木造戸建て住宅に占める木住協会員のシェア20.0%についてだ。このシェアが高いのか低いのかよくは分からないのだが、わが国の木造軸組住宅を先導する業界団体としては少ないように思う。単純比較はできないにしろ、分譲マンション市場では大手デベロッパーで組織する不動産協会会員の首都圏供給シェアは83.5%(平成30年度)に達しているし、全住宅着工に占める割合が11.0%のツーバイフォー住宅も、日本ツーバイフォー建築協会会員シェアは高いはずだ。
よく言えば、軸組工法はそれだけすそ野が広く多様性があるということだが、逆に言えば玉石混交、まとまりが悪い業種・業界ということでもある。会員になることがステイタスとなり、消費者にとっては安心・安全につながる団体にならないといけない。
その〝不思議〟の象徴的な存在が飯田グループホールディングスだ。同社グループ主要6社は木住協の会員ではないが、全体の2021年3月期の分譲戸建て売上棟数は46,620戸だ。全国の分譲戸建て市場の約3割を占める。
この飯田グループ各社が木住協に加入したら、平成2年度の戸数は199,267戸となり、シェアは20.0%⇒31.2%にアップする。
同社はまた、今年度から住宅性能評価制度8項目全て全棟最高等級を取得すると宣言した(「設計」か「建設」が明らかではないが、「設計」だと思われる)。これも加えると、全体に占める「設計」割合は17.8%から一挙に34.3%にアップし、逆に「建設」は17.8%から7.4%へ10ポイント以上減少する。同様に「長期優良」「ZEH」などの数値も大幅に減少するはずだ。
その是非は分からないが、木住協は倫理憲章で「法令遵守と公正・透明な事業活動」「地球環境への貢献」「地域社会への貢献」「安全で快適な居住環境の確保」「人材育成」を掲げている。
飯田グループもこの倫理憲章には賛同できるはずだし、何よりも木造戸建て住宅の現状と課題が消費者にも伝わることになる。
記者は報告会で「分譲戸建ての全国シェア3~4割を占めるガリバー企業は加入していないが、加入したらデータは大幅に変わってくるが…」と質問したら、越海専務理事は「私どもは門戸をいつも開けている。(ガリバー企業に)加入していただいたらありがたい」と答えた。
なので、記者は飯田グルーフHD広報に加入する意向の有無について問い合わせた。回答が得られれば報告したい。
木住協には、積水ハウス、ミサワホーム、住友林業、一条工務店、オープンハウス、ケイアイスター不動産、ポラス、アキュラホーム、ナイスなど主な戸建てハスウメーカー・デベロッパーが加入している。
〝駅近〟の呪縛から解き放つ 大規模1低層の住友不動産「下目黒」完成
「シティハウス下目黒」
住友不動産は8月27日、大規模低層マンション「シティハウス下目黒」が完成したのに伴い報道陣に公開した。目黒駅からバス便の坪単価480万円の高額物件だが、希少の第一種低層住居専用地域に位置する立地環境が評価され、全195戸のうち約6割が販売済みで、順調に推移している。
物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分、東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の敷地面積約8.400㎡の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する5階建て(建築基準法上は地上4階、地下1階建)全195戸。現在先着順で販売中の住戸(17戸)の専有面積は55.24~73.55㎡、価格は8,000万~13,000万円。坪単価は約480万円。竣工は2021年5月28日。設計・施工は長谷工コーポレーション。入居は10月から始まる。
現地は、東京学園高校跡地で、近接エリアには2013年竣工の同社の「シティテラス下目黒」(175戸)がある。「都立林試の森公園」には徒歩5分。
建物はロの字型で、公開空地を設けていることから建築基準法55条2項の規定により高さ規制10m⇒12mの緩和を受けている。住戸プランは55㎡中心の2LDKが3割、70㎡中心の3LDKが7割。アウトドアリビングを提案したテラス(専用庭)付き16戸を用意している。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、リビング天井高2400~2500ミリなど。
2020年3月から販売を開始し、これまで2,500件超の反響があり、約6割が販売済み。2020年6月から「オンライン見学会」やYoutube、SNSを活用した販売活動を行っており、Youtubeでは全体で20万件のページビューのうち同物件だけで1.5万件を占めるなどもっとも注目度が高いという。
購入者の約7割が30代・40代のファミリー、2割が60代以降のシニア層。勤務地は渋谷区、目黒区が多く、IT企業など在宅勤務を利用する業種が目立つという。物件選好の理由は「立地(通勤・生活拠点)」「目黒アドレス」「地盤の安定」など。
販売担当者は「コロナ禍で本格的に販売を開始したのは6月から。在宅勤務、テレワークが浸透したことから物件選好は〝駅近〟の呪縛から解き放たれ、その流れに乗ることができた。得難い希少の立地が評価されている。競合物件はほとんどない」と語った。
外観
エントランス
エントランスロビー・ラウンジ
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この物件は、一昨年12月にモデルルーム・現地を見学し、記事にしているので参照していただきたい。その時は坪単価420~430万円を予想した。今回、約480万円と聞いてびっくりしたのだが、同時にさもありなんと思った。準都心部のマンション単価は軒並み坪400万円を突破してきており、駅近などは坪500万円、600万円以上になっている。それでも総じて売れ行きは好調だ。今後コロナの影響が経済面でどのような影響が出てくるか読めない部分もあるが、単価の上昇トレンドは当分続きそうな気配だ。
販売担当者も「呪縛から解き放った」とこれ以上ない的確な言葉で語ったように、物件選好もコロナ以降は様変わりしている。〝駅近〟オンリーでなくなった。これは、コロナが思考を変えたというよりは、本来そのようなものの見方・考え方をするよう気づかせたくれたというべきだろう。
記者は、3年前に「マンションは『駅7分以内』しか買うな!」の本が発売されたとき、徹底して批判した。記事のアクセス数は1万数千件にのぼった。記者と同じような考えをする人も多いと溜飲を下げたものだ。
そのように考える人が多いのは理解もするし否定もしないが、マンションは金融商品では断じてない。消費者にアピールする商品企画であれば価格・単価が高い駅近物件と互角に戦えるようになってきた。結構なことだ。
アウトドアリビング
モデルルーム
三菱地所 資源循環の取り組み加速 サステナブルな野菜使ったスープ ホテルで提供
試食会で供されたスープ(ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留で)
食材の玉ねぎとトウモロコシ
三菱地所と三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月25日、「サステナブルな野菜を使ったスープ」のメディア向け発表会・試食会を行った。
野菜スープは「オニオンスープ」と「コーンスープ」の2種類。オニオンスープは皇居外苑濠から除去された水草の「ヒシ(菱)」を堆肥化し、山梨県北杜市の協力農家で栽培された玉ねぎを、コーンスープは三菱ケミカルが開発した水と二酸化炭素に分解される生分解性樹脂「BioPBS」ストローを堆肥化し、長野県諏訪郡原村で栽培されたトウモロコシをそれぞれ使用。いずれも横浜ロイヤルパークホテル総料理長・髙橋明氏が監修した。
提供するのは「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留」など7か所のホテルで、期間は8月25日~10月31日(なくなり次第終了予定)。
「ザ ロイヤルパークキャンバス 銀座8」と「ザ ロイヤルパークキャンバス 神戸三宮」では9月18日と19日、玉ねぎやトウモロコシを含めた野菜のマルシェを開催する。
三菱地所グループは、2019年から「大地への恩返しプロジェクト」として皇居外苑濠から刈り取った水草「ヒシ(菱)」を堆肥化し、この堆肥を用いて北杜市で栽培された野菜を買い取った上で、三菱地所本社カフェテリアやロイヤルパークホテルズで食材として活用している。
また、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月から、運営する一部ホテルの飲食店舗などで使用するストローを三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂製品に切り替え、三菱ケミカルが行う生分解性樹脂の堆肥化プロジェクトに参加する。プロジェクトで栽培された野菜を三菱地所グループが買い取り、ロイヤルパークホテルズが食材として提供していく。
三菱地所グループは、「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」で「Be the Ecosystem Engineers」というスローガンを掲げ、都市と地方が継続的な共生関係を維持するための新たな資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現を目指す取り組みを行っており、今回の一連のプロジェクトもその一環。
ヒシ(夏に大量発生する。小さな生物は大型の生物から身を守る機能があるが、繁茂すると生態系に大きな影響を及ぼすことから「エコシステム・エンジニア」と呼ばれている)
除去作業
生分解性樹脂「BioPBS」ストロー(見た目はプラスチック製とほとんど変わらない)
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記者は、お湯を注ぐだけでいい粉末スープは自宅でよく飲んでいる。文句など言ったことはない。ありがたく頂いているが、自分から進んで飲みたいと思ったことはない。レストランなどでも同じだ。
今日頂いた2つのスープは今まで飲んだスープとは天と地ほどの差があるおいしいものだった。記者などはこのスープと酒と多少のつまみがあれば何もいらない。素材の良さを引き出した髙橋さんの腕の凄さを見る思いがした。
取材の帰り、「認証ワイン」でも買って帰ろうとレストランに寄ったら、販売はまだだった。担当者の方は「フェアトレード認証コーヒー」についても話された。価格は2,000円くらいになるという。これには驚いた。ラグジュアリーホテルでも1,500円くらいのはずだ。なぜそんなに高くなるのかについて、担当の方は「現地で働く人が適正な報酬を受け取り、安定的に良質な商品を提供するにはそれくらいコストがかかるということです」と語った。
なるほど。記者も昨年からSDGsのバッジをつけるようにしているが、まだまだ甘い。記者もそうだが、読者の皆さんは1杯2,000円のコーヒーが飲めるだろうか。17のゴール到達への道のりは平易ではない。それでもSDGsの取り組みを加速させようとする同社の姿勢はさすがというべきか。
使用済みの生分解性樹脂ストローを堆肥に利用し、今年10月に開業する国内初の高層ハイブリッド木造の「サ・ロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」では、歯ブラシ、シェイバー、ヘアブラシなどのアメニティの一部はもみ殻を原料にしたものにするというのもとてもいい取り組みだ。
この点について、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ・仲條彰規副社長は、「SDGsの認識は急激に高まってきたが、業界全体としての取り組みは緒に就いたばかり。排水を再利用したり食材などをコンポストにしたりすることは進んでいるが、生分解性樹脂ストローを堆肥にするのは当社だけではないか」と話した。
環境省は先日、6月にプラスチック資源循環促進法が成立したことを受け、大量の使い捨てプラスチック製品を扱う業者に対して、削減策を義務付けることを決定した。対象となるのはホテルのクシや歯ブラシなどのアメニティも含まれる。
発表会でも少し話題となった山梨県北杜市の「空と土プロジェクト」は2度取材している。機会があったらまた行ってみたい。
三菱地所CSR「空と土プロジェクト」10周年 純米焼酎「大手町」販売など活動強化(2017/9/9)
ビーロット 創業来最大の事業 芦ノ湖畔の一等地で分譲ホテル74室PJ始動
ビーロットが、同社創業来の最大事業となる分譲「箱根芦ノ湖ホテルコンドミニアムプロジェクト」を始動させた。
箱根芦ノ湖畔に面した国立公園内の敷地面積約33,000㎡にホテル(NAGAYA)/53室とヴィラ(VILLA) /21室を合わせた延べ床面積約約13,100㎡(74室)のコンドミニアムを建設するもので、「運営会社は世界的に有名なラグジュアリーホテルオペレーターによる運営で、日本で2番目の案件、リゾート案件としては日本初」(同社)になる予定。現在、建築確認申請を進めている段階で、竣工予定は2024年の春。すでに10億円の資金調達も完了させている。
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分譲ホテルのことはよくわからないが、業界ではサンフロンティア不動産が「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」(203室)を坪単価350万円くらいで分譲しており、販売は好調と聞いている。残りはわずかのはずだ。
また、京都では、京都東山ホスピタリティアセット特定目的会社が「フォーシーズンズホテルレジデンス京都」の13室(専有面積83.33~190.95㎡)を4億6,380万~11億9,493万円で分譲している。
価格からも分かるように、坪単価は一般的な分譲マンションとは比べものにならない。もちろん、価格のほかに管理費や修繕積立金もかかる。
リゾートマンションでは、平成2年完成のリブラン「別邸桜乃庄」(25戸)の坪単価550万円が最高値のはずだ。「芦ノ湖」の一等地に立地するビーロットの価格はどうなるか。この価格を上回るのは間違いなさそうだ。
コロナ禍で人気急浮上「辻堂」の住宅街の一角 反響も広域 リスト「湘南辻堂」
「リストレジデンス湘南辻堂」
リストが9月に分譲する「リストレジデンス湘南辻堂」を見学した。駅から徒歩8分の準工エリアだが、周囲は一戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角で、地元だけでなく広域からの反響を呼んでいるのが特徴だ。
物件は、JR東海道線辻堂駅北口から徒歩8分、茅ケ崎市本宿町の準工業地域に位置する7階建て全61戸。専有面積は63.48~70.31㎡、価格は未定だが、坪単価は245~250万円になる模様。販売開始は9月下旬の予定。竣工予定は2022年8月中旬。売主はリストデベロップメント。販売代理はリストインターナショナルリアルティ。設計・監理は叶設計。施工は鉄建建設。
現地は、二方道路に接道する準工業地域(建ぺい率60%、容積率200%)だが、周囲は2階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街。「テラスモール湘南」へは徒歩10分。
住戸プランは3LDK中心の南東向きが約7割、南西向きが約3割。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、共用部分のシャワーコーナー、ボード置き場、テレワーク対応の集会室など。
販売を担当するリストインターナショナルリアルティ販売営業部主任・山中勇樹氏は、「反響は200組を超えているが、地元は3~4割。他は都内を含めた広域。コロナ禍の住宅選好は、テレワークができる住宅環境、買い物などが便利な施設が整っていることが重視されるようになってきたことを反映している。現地は準工エリアだが、周囲は戸建て住宅街。敷地の南側方向には工業専用地域があるが、ばい煙も騒音も悪臭もない。単価は245~250万円を予定しているが、これから分譲される他社物件は坪単価300万円と聞いているので、当社物件の優位性をお客さんにアピールできるはず」と話した。
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山中氏から現地は準工地域で、近くには工専があるというのを聞いて、住環境に問題がある住工混在エリアではないかと思ったのだが、山中氏の言葉に嘘はなかった。
建設現場の周囲は2階建ての戸建てばかりだった。確かに工専エリアに建っている建物もあったが、蓄電池を製造している工場とのことで、嫌悪施設には全く見えなかった。詳細な都市計画図は確認していないが、関東特殊製鋼(カントク)関連の工場がたくさんあったからこのような用途指定になっているのだろう。
その関東特殊製鋼工場跡地に整備された「テラスモール湘南」が駅北口の街を一変させたのは確かだ。店舗数は「ラゾーナ川崎」に次いで神奈川県で第2位で、全国でも9位という。これが押し上げたのか、「辻堂」は、SUUMO(スーモ)の「住みたい街ランキング2021」で前年の86位から36位に浮上し、アルヒの「本当に住みやすい街大賞2021」で3位(前年は不明)に浮上した。
記者はこの種のランキングを信じていないのでコメントを差し控えるが、海好きにはたまらない街だ。
これも「辻堂」人気の要因の一つなのだろうが、今年3月のJRのダイア改正で特急「湘南」が運行されるようになり、辻堂駅にも停車し、上りは東京駅まで48分で着くということだった。全席指定で料金は660円(キャンペーン中の現在は460円)。
記事とは関係ないのだが、山中氏はリスト野球部の監督に2年前に就任した。RBA野球大会はコロナの影響でこの2年間は中止になったが、同社には神奈川県下でベスト4の力がある平塚学園の投手と、強豪校の横浜創学館のスラッガーが入社したという。
同社チームの課題は投手難なので、その新人投手次第では上位をうかがえる戦力が整う。来年に期待しよう。
現地
大和ハウス 湘南最大級全914戸の「プレミスト湘南辻堂」が完成(2021/1/22)
アンビシャス安倍徹夫社長の実兄 大京元副社長の安倍毅夫氏が死去 82歳
アンビシャス安倍徹夫社長の実兄で、同社元監査役、大京元副社長、大京住宅流通(現大京穴吹不動産)社長などを歴任された安倍毅夫氏が8月17日、死去した。享年82歳。病気療養中だった。
葬儀・告別式は、故人の遺志により家族葬で執り行われた。
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ラスト侍の一人がまた消えた。
記者はかつて大京がマンション市場を席巻したころ、黒澤明の「七人の侍」になぞらえ、躍進・大京を象徴する幹部として「大京七人衆」を選んだことがある。驚異的な販売力で同社をけん引した当時の東京支店長の安倍徹夫氏、横浜支店長の故・原田利勝氏のほか、故・横山修二社長の女房役を務めていた仕入れ担当の安倍毅夫氏も同社には欠かせない〝知将派〟として選んだ。
黒子に徹し他のデベロッパーとのもめごとなどをことごとく処理したと聞く。あの福の神か恵比寿さんのような温和な顔をみたらみんな戦意をなくす。毀誉褒貶は人にはつきものだが、毅夫氏を悪く言う人はいないはずだ。
毅夫さん、さようなら。献杯!
大和ハウス ZEHマンション「靱本町」 大阪府内の上半期成約戸数第1位の150戸成約
「プレミストタワー靱本町」
大和ハウス工業は8月19日、今年3月から販売を開始したOsaka Metro四つ橋線本町駅から徒歩1分の36階建てZEHマンション「プレミストタワー靱本町」が6月末時点で1,000組の来場者、成約戸数150戸を突破し、2021年上半期の大阪府内の分譲マンションで成約戸数第1位となったと発表した。分譲坪単価404万円は同社の大阪圏の最高値。
物件は、地下鉄四つ橋線・御堂筋線・中央線本町駅から徒歩1分、大阪市西区靱本町一丁目に位置する敷地面積約2,397㎡、36階建て全350戸。3月13日に販売開始した第1期1次~5次(163戸)の専有面積は40.04~170.45㎡、価格は4,460万~2億7,980万円、坪単価は392万円。8月20日販売開始の第2期1次(37戸)の専有面積は42.08~170.45㎡、価格は4,880万~2億5,800万円、坪単価は404万円。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2023年2月。
2020年上半期(1~6月)に販売された大阪府内の新築分譲マンションの平均価格4,726万円(平均坪単価214万円)と比較して、第1期平均価格が8,519万円(平均坪単価約392万円)と高額だったが、2021年1月9日のモデルルームオープン以降、約1,000組(2021年6月末時点)の来場があり、2021年3月13日の第1期販売開始から約1か月で100戸、6月末までに150戸を成約。2021年上半期の大阪府内の新築分譲マンションで成約戸数第1位を達成した。
契約者の年齢層は20代~30代が約2割、40~50代が約5割、60代が約3割。7割以上が買い替え、買い増し。ZEHに加え、3路線が集まるOsakaMetro本町駅へ徒歩1分、大阪都心のオアシス「靱公園」へ徒歩1分という利便性と住環境を兼ね備えた立地で、四つ橋筋沿いにおける駅前ランドマークタワーとしてのシンボル性や資産性が評価されたという。
1か月で9.9万人 今年1月28日までの累計感染者と同数 東京都 新型コロナ
新型コロナの感染拡大が止まらない。東京都の公表データによると、緊急事態宣言下で、しかも高齢者その他のワクチン接種が進んでいるにもかかわらず、7月22日(木)から8月18日(水)までの4週間の感染者は98,795人に達している。この数字は、都が最初の感染者を発表した昨年1月24日(金)から今年1月28日(木)までの約1年間の感染者98,404人とほぼ同じだ。感染経路不明率もこの4週間平均は63.5%となっており、感染爆発を抑えられない要因の一つとなっている。
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NHKによると、第1回目接種修了者は45.70%、第2回目接種終了者は32.69%となっているが、仮にその中間の約40%の人の感染がないとすると、未接種者約830万人のこの1か月間の人口10万人当たり感染者(率)は1,190人だ。対応策が手探り状態だった昨年1月24日から今年1月28日までのそれは710人だから、約1.8倍だ。感染力がアルファ株より1.5倍強いとされるデルタ株の恐ろしさを裏付ける数字だ。
苔のサイン、2段ベッド…ハンズ&AP貸し会議室とコラボ 東急ステイ「東新宿」
「東急ステイ新宿イーストサイド」
東急リゾーツ&ステイは8月30日、全国で30店舗目、新宿エリアでは西新宿店、新宿店に次ぎ3店舗目となる「東急ステイ新宿イーストサイド」をオープンする。東急不動産ホールディングスグループの東急ハンズとTCフォーラムとの初コラボによる東急ハンズのコンセプトルームや貸し会議室「AP東新宿」を併設しているのが特徴。開業を前にした8月18日、報道関係者向けの内覧会を行った。
ホテルは、都営大江戸線・東京メトロ副都心線東新宿駅から徒歩3分、新宿区歌舞伎町二丁目の明治通りに面した敷地面積約1,162㎡、12階建て延べ床面積約8,321㎡の全208室。ルームチャージは36,300円(レジデンシャルダブル)~。時間貸しにも対応する。
2階がフロント・ロビー・レストラン・ミーティングスペースなど、3階が貸し会議室など、客室は4階からで、面積は18~69㎡。全ての客室に洗濯乾燥機、電子レンジ、加湿空気清浄機が付いているほか、12階の69㎡のガーデンスイートには約71㎡のテラス、パーティールーム、85インチテレビ、プロジェクター、ワインセラー、大容量冷蔵庫、LGスタイラー、BBQコンロなどを装備。
コンセプトルームは3タイプで、ベッドは1400×2000ミリ/900×2000ミリの2段ベッドを採用。東急ハンズの店内を想起させる有孔ボードに様々な備品を設置し、それを体験し、気に入った商品を「ハンズネット」で購入できるようにしている。
3階の「AP東新宿」は、34~125㎡の5つの貸し会議室からなり、天井高は3.3m。一般的なオフィスは1時間に2回の換気であるのに対し1時間に5回の空気の入れ替えを行うほか、4Kビデオカメラ、LED照明、パソコン、プロジェクター、オペレーターなどを備え、専有回線の高速インターネットを利用できるのが特徴。
2階レストラン
最上階のテラス
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「いかがですか? 」ひと通りホテルの客室を見て回ったあとだった。6階エレベータホール前で、東急リゾーツ&ステイのステイ営業統括部に所属する女性担当者に声を掛けられた。他の記者の方はどうか知らないが、マンションであれ何であれ、この種の内覧会で担当者側から感想を求められることはまずない。記者の側から質問し、担当者が答えるというのが普通だ。
一瞬、どう答えたらいいか戸惑ったが、正直に言うべきと判断し、「フェイクだらけの観葉植物が気になった。ほら、この階数を示すサインもそう」と答えた。
ところが、その女性担当者からは思いもよらない答えが返ってきた。「いえ、これはフェイクではありません。本物の苔を着色しているものです」と。
嘘だろうと思い、あちこち触ってみた。確かに苔の根元の部分は湿り気があった。すぐに謝った。「申し訳ございません。声を掛けられなければ『フェイクだらけの観葉植物はいかがなものか』と書くところでした」
と同時に、一つ疑問が浮かび上がった。本物の苔を使ってさりげない演出を行うのはさすがだと思うが、なぜ着色する必要があるのだろうか。
どうしてこんな些細なことを書くかといえば、記者は見学会などでもっとも重視するのはデザインだからだ。もちろん単なる意匠デザインのことではない。観て触ってあるいは匂いを嗅いで、そのテクスチャーを通じて企画担当者と会話を交わしていると感じられる時間を大事にしている。この価値は何物にも代えがたい。
世の中はオンライン流行りだ。しかし、リアルの体験に勝るものはない。本物の苔であることを教えてくれた女性担当者に改めて感謝したい。どうして本物の苔に着色したか、デザイン担当者の考えも聞きたいのだが…。
エレベータホール前のサイン
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客室では東急ハンズがコーディネートした18㎡のコンセプトルームが面白い。2段ベッドを備えているものは他のホテルでも見たような気がするし、マンションではコスモスイニシア「イニシア板橋 桜レジデンス」の「つむぐユニット」や、三菱地所の「箱の間」でも見学している。
東急ハンズの2段ベッドは売り物でなく、ホテルサイズに合わせて作ったものだが、肌触りのいい本物の木が採用されていた。東急不動産の「ブランズ」マンションにも採用したら受けるのではないか。
最上階のテラスを含めた3人利用可能な140㎡のガーデンスイートもいい。値段は時期によって変動するのだろうが、ルームチャージは5万円からというのはいかにも安い。浴室は猫足つき浴槽だった。
ホテルに採用されたのは初めてという、衣類のしわ伸ばしだけでなく花粉・菌・ウイルスを低減するLGスタイラーも装備されている。庫内は無理すれば人が入れるような大きさだったので、「ここに入ったら加齢臭を消し、体も洗ってくれないか」と馬鹿なことを聞いたが、もちろんそれは不可。
2段ベッド
備品
第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用(2021/8/11)
桜並木が眼前 コスモスイニシア「桜レジデンス」が竣工・完売(2021/5/20)
ダウンサイジング流行りにぴったり 三菱地所〝部屋の中の小屋〟「箱の間」発売(2019/8/27)
三井不レジ 住まいのサードプレイス「イエチカBASE」 武蔵小杉にオープン
「イエチカBASE」受付
三井不動産レジデンシャルは8月17日、多様なライフスタイルに合わせた最適なソリューションと、場所・期間にとらわれないフレキシブルな新しい暮らし方を提案する「Life-stylingプロジェクト」を始動し、その第1弾として、三井のすまい居住者と三井不動産グループのメンバーシップ・サービス「三井のすまいLOOP」会員を対象としたすまいのサードプレイス「イエチカBASE」を8月23日に武蔵小杉でトライアルオープンすると発表した。
「イエチカBASE」は、JR・東横線武蔵小杉駅北口駅からすぐの武蔵小杉一丁目に位置。周囲を気にすることなくWEB会議や動画鑑賞・ゲームなどに集中できる「個室ゾーン」、ソファで寛ぎなら仕事のアイデア出しや好みの本・雑誌の読書に没頭できる「プライベートゾーン」、貸切可能の「リラックスゾーン」など様々な利用シーンを想定している。
同社は、「Life-stylingプロジェクト」を立ち上げた背景として、「人口減少や人生100年時代の到来に加え、昨今のコロナ禍を経て、人々の生活様式・行動様式は短期間で大きく変容し、これまでのようなすまい・オフィス・商業施設・ホテルといった生活空間の在り方の境界線が曖昧となり、人々のくらしの基盤となる『すまい』に求められる価値観はより多様化している」とし、「もっと手 軽に身近なところで、お客様自身が必要に応じて、好きなエリア、好きな拠点、好きな用途、好きな時間(期間)を自由に選んで利用できるような新しいすまいや暮らし方が必要であると考えた」としている。
「イエチカBASE」に続く第2弾として「多拠点居住サービス」のトライアルも行う予定。
ワークスペース
コミュニティスペース
プライベートゾーン
カフェゾーン
◇ ◆ ◇
いい取り組みだと思う。場所は、同社が再開発を予定しているエリアの一角で、三井不動産レジデンシャルサロンがあるところのはずだ。
そこで、各社にも提案。現在、多くのデベロッパーが主にマンション購入予定者を対象にした常設のギャラリー・サロンを設けているが、ほとんどは予約制のはずで、敷居も高い。対象をもっと広げ、自由に利用できるようにしたらいいと思うがどうだろう。喫茶店・本屋・飲食店などとコラボする手もあるのではないか。ナイスが行っているように、仲介店舗は地域住民が自由に利用できるようにしてはどうか。