価格高騰の23区から脱出 広さ・住環境求めて周辺市へ転出 総務省の人口移動報告

総務省は1月28日、2021年(令和3年)の住民基本台帳人口移動報告をまとめ発表した。
都道府県別の転入超過は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のほか茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県、大阪府、福岡県の10都府県。茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県は前年の転出超過から転入超過へ転じた。転入超過数がもっとも縮小しているのは東京都(2万5,692人)。転出超過となっているのは広島県、福島県、長崎県など37道府県で、沖縄県は前年の転入超過から転出超過へ転じた。
全国1,719市町村のうち転入超過は30.8%に当たる529市町村。転入超過数がもっとも多いのはさいたま市(1万527人)、次いで横浜市(1万123人)、札幌市(9,711人)の順。超過数が多い上位20市のうち首都圏が14市を占めている。
年齢3区分別の転入超過数は、0~14歳はさいたま市、15~64歳は東京23区、65歳以上は札幌市がもっとも多い。東京23区は2014年以降初めての転出超過(1万4,828人)。
3大都市圏は6万3,697人の転入超過で、前年に比べ2万915人の縮小。東京圏は8万441人の転入超過。前年に比べ1万7564人の縮小。26年連続の転入超過。名古屋圏は1万1,237人の転出超過。前年に比べ1,038人の縮小。大阪圏は5,507人の転出超過。前年に比べ4,389人の拡大。
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新型コロナは人口動態にどのような影響を及ぼすか記者も注目していたが、在宅勤務、テレワーク、フレックスの普及・浸透とともに、都心部での住宅価格の高騰が周辺市部などへの移動を加速させたようだ。
東京23区の人口が2014年以降で初めて減少に転じたのは、明らかにコロナの影響だ。新宿、豊島、中野などでは外国人の減少が続いている。
周辺市の転入超過増もコロナが少なからず影響しているはずだ。記者は一般的なファミリーのマンション取得限界は6,000万円、坪単価にして250万円と考えている。例外として浦和、大宮、横浜市の中心部などは坪単価400万円を突破し、23区並みになりつつあるが、転入超過数の多いその他の各市はこの価格帯にほぼ収まっている。アフターコロナを見据え、居住面積の広さ、住環境のよさを求めている住宅購入検討者が増えていることをうかがわせる。この流れは止まらないはずだ。
また、茨城県、群馬県、山梨県、滋賀県が転入超過に転じたのは、マスコミが喧伝している地方移住、二地域居住の効果かもしれないが、記者は〝田舎暮らし〟は楽しくもなく、甘くないと考えているのでコメントは差し控える。地方移住を考えている人は、丸山健二「田舎暮らしに殺されない法」(朝日文庫)を読んでから判断していただきたい。
記者のお勧めは、都心部への程よい距離にあり、漁港がある三浦半島を代表とする東京湾岸(都内を除く)か、風景、水がきれいな相模湖、奥多摩、秩父あたりだ。

※総務省の資料を転載
23区の外国人人口 5年ぶり減少 新宿区はピークから17%減少 新型コロナの影響か(2020/8/19)
マンション価格10年間で5割上昇 延床、敷地狭小化も進む 東京カンテイ・国のデータ



東京カンテイは1月31日、「マンションデータ白書2021」を発表。首都圏の新築マンションの供給戸数は前年比7.2%増の41,409戸で、1戸当たり平均価格は6,304万円となり前年の5,641万円より11.8%上昇、平均専有面積は61.79㎡となり前年の55.07㎡より12.2%増加し、平均坪単価は337.3万円となり前年の338.6万円より0.4%減少した。
また、中古マンションの平均価格は3,715万円となり前年の3,487万円から6.5%上昇し、平均専有面積は58.94㎡となり前年の61.95㎡から4.9%縮小し、坪単価は208.4万円となり前年の186.1万円から12.0%上昇した。
新築マンションの価格が2ケタ上昇したのは、前年の2020年は新型コロナの影響で高額物件の供給が絞り込まれたことと、ワンルームマンションの供給比率が相対的に高まったためとしている。
平均専有面積が拡大したのは、30㎡未満の供給比率が2020年は20.6%だったのに対し、2021年は13.2%に減少したことなどが要因としている。
専有面積については、70㎡台の供給比率は過去三年間で38.7%⇒32.9%⇒32.6%と減少傾向を示し、50㎡台は7.6%⇒8.4%⇒9.0%と拡大しており、60㎡台も2020年の18.4%から2021年は23.0%へ増加しているとしている。
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同社発表の供給戸数が先に発表した不動産経済研究所の33,636戸より7,773戸多いのは、不動研は調査対象を30㎡以上としているためで、その差が出たものと思われる。
よって、この7,773戸がワンルームなど単身者用・投資用と思われるが、首都圏分譲マンションの着工戸数が年間5~6万戸台で推移(2021年は5万戸割れ)していることからして、1万戸以上がデータには反映されていない。その要因として、記者は再開発マンションなどの地権者向けや事業協力者向けに年間数千戸が充当されており、さらに分譲から賃貸への用途変更、リートなどへの一括売却も相当数に上っているからだと思う。
不動研の記事でも書いたのだが、東京カンテイのデータでもマンションの質(専有面積はその一つではあるが)について言及がないのが残念だ。東京カンテイはその他の設備仕様などについても調査しているはずで、データを公表してほしい。
マンションの質とは直接関連はないが、市場が確実に縮小していることのデータを紹介する。国土交通省の住宅着工データから、全国の市街化区域内の共同住宅(分譲住宅)の10年間の着工戸数、延べ床面積、敷地面積の推移を表とグラフに示したのがそれだ。
年次によって多少の増減はあるが、ほぼ一貫して戸数も延床面積も敷地面積も減少していることがわかる。
いずれも2012年を100とすると、着工戸数は85.3%へ減少し、延べ床面積は70.5%へ縮小、敷地面積は66.0%へ落ち込んでいる。
〝駅近〟がもてはやされる一方で、戸数の落ち込み以上に延床面積(専有面積)、敷地の狭小化が進んでいることがデータにはっきり表れている。
このデータと、不動研や東京カンテイの価格、面積の推移と比較していただきたい。価格も坪単価もこの10年間でほぼ5割上昇した。その一方で敷地の狭小化、さらに基本性能・設備仕様レベルのダウン・退行を考えると、この先が心配だ。
住宅購入検討者が中古マンションに目を向けるのがよく分かる。中古マンションも玉石混交だろうが、いまの新築より立地、質が上回る物件がはるかに多いのは間違いない。
気になる質の低下 平均価格、単価とも過去最高2021年首都圏マンション 不動研調べ(2022/1/27)
「L'and+」企画ヒット 残り僅か〝そうなの!〟 東急リバブル「ルジェンテ日暮里」

「ルジェンテ日暮里ガーデン」
東急リバブルが分譲中のマンション「ルジェンテ日暮里ガーデン」を見学した。JR日暮里駅から徒歩8分の全24戸(分譲対象20戸)で、今春の引き渡しを前に残り3戸と好調。設備仕様レベルが高く、きめの細かい商品企画が目立つ。
物件は、JR日暮里駅から徒歩8分の荒川区東日暮里5丁目の準工地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する10階建て全24戸(事業協力者区画4区画含む)。専有面積は35.03~65.42㎡、現在分譲中の住戸(3戸)の価格は5,490万~6,290万円(専有面積53.88㎡)、坪単価は360万円。建物は2021年11月16日に竣工済み。引渡し予定は2022年4月中旬。設計・監理はオーエーシー設計。施工は増岡組。
販売開始は昨年の10月から。11月の竣工までに10戸強が成約しており、12月から建物内にモデルルームを設け販売している。来場者は約80件で、残りは3戸のみ。1LDKタイプは女性に人気で竣工前に完売。
現地は、敷地西側の幅員12mと北側の幅員6メートルに面した角地。道路を挟んだ西側には高い建物がなく、用途地域は準工だが嫌悪施設はほとんどない。住戸は2階からで5階までと9・10階は1フロア3戸、6~9階は2戸の構成。住戸プランは1LDK(35.03㎡)が6戸、その他は53.88~65.42㎡のコンパクト・小家族向けファミリータイプ。角住戸比率は約70%。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、床暖房、Low-Eガラス(一部除く)、下地補強処理壁(一部除く)、浴室タオル掛けなど。
販売担当の鈴木瞳維(Toi)氏は「これまでは竣工売りが多かったのですが、竣工前販売にチャレンジするためVRなどに力を入れました。収納に工夫を凝らした商品力と立地条件が評価されています。『ルジェンテ』は進化しています」と語っている。
同社女性広報によると、「ルジェンテ」シリーズは2005年から展開してから今回が33棟目、「長期間在庫を抱える物件はない」そうだ(口調は米倉涼子さんの「私、失敗しないの」とそっくりだったのにドキリとした)。坪単価460万円の「ルジェンテ文京湯島」(73戸)も竣工前に完売したという。そうなの!

【収納棚+キャットウォーク】

【テレビボード+装飾収納棚】

アイロンスペース(WIC内)

マルチバー(SIC内)
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同社の「ルジェンテ」を見学するのは2017年の「本郷三丁目」以来久々だ。確かに進化している。
現地は昨年、他社物件を取材したときに確認している。表通りの日暮里中央通りから一歩入っており、準工ではあるが嫌悪施設はなく、何よりも前面道路が広く交通量も少ないので、値段によっては早期完売すると予想した。坪単価はズバリ的中。駅近物件では坪単価400万円の事例もあり、高値追求もありうると考えたが、とてもリーズナブルな値付けだと思う。
強調したいのは基本性能・設備仕様レベルの高さだ。この単価水準でこれほどの仕様レベルを維持しているデベロッパーは3割もないはずだ(あったら手を挙げていただきたい)。
また、同社は昨年12月にプレス・リリースしたように、きめ細かな商品企画も好調な売れ行きの要因の一つだろう。
リリースには、2020年4月に不動産開発と新築販売部門の連携強化のため組織を統一し、製販一体による商品開発及び販売力強化を図り、分譲マンション「ルジェンテ」シリーズに、長年の新築販売の経験で培ったお客様目線を商品計画に反映させる企画として「L'and+」(エルアンドプラス)というオリジナル仕様を導入したとある。
「L'and+」の一つが壁面の下地補強処理だ。10キロくらいの重さに耐えられそうで、キャットウォークや飾り棚などにできるようにしている。寝室の収納にはアイロン掛けなどの作業スペースを確保。シューズインクロークもこの種面積にしては広めだ。
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同社のTVCMについて。記者は、東急不動産の〝環境先進を、住まいから。〟という正統的なCMもいいが、コミカルなCMが好きだ。人を食った〝オペンホウセ〟がそうだし、〝そうなの!〟を連呼する同社のCMが面白い。最近では〝1円玉を作るのに3円かかる〟というのにも意表を突かれた。〝そうなの? 〟と聞き返したくなるCMなど他にない。
〝リバブった〟も面白い。同社の仲介部門を通じで売買する人の94%の人がまた利用したいと答えたというのを分かりやすく伝えたものだ。手あかまみれの〝顧客満足度ナンバーワン〟より〝そうなの!〟と子どもに言わせるのがいい。
鈴木氏の名前がまたいい。「Toi」は中国語では「对」。「そうなの」という意味。(「ダメ」は「不对(プトイ)」)。
必見!抱腹絶倒!手を握ってもらいたくなる 東急リバブルの車内吊り広告(2019/12/26)
東急リバブル「ルジェンテ本郷三丁目」 坪単価は400万円強 早期完売か(2017/5/30)
令和3年の首都圏マンション着工5万戸割る 平成21年以来の低水準 住宅着工
国土交通省は1月31日、令和3年12月の新設住宅着工をまとめ発表。総戸数は前年同月比4.2%増の68,393戸で、10か月連続の増加となった。利用関係別の内訳は、持家は22,731戸(前年同月比0.4%減、14か月ぶりの減少)、貸家は25,222戸(同3.3%増、10か月連続の増加)、分譲住宅は19,927戸(同13.1%増、3か月連続の増加)。分譲住宅のうちマンションは7,091戸(同15.3%増、2か月連続の増加)、一戸建住宅は12,723戸(同12.4%増、8か月連続の増加)。
令和3年(1月~12月)では、総戸数は856,484戸(前年比5.0%増)で5年ぶりに前年比増加に転じた。利用関係別では持家が70,666戸(同6.3%増)、貸家が285,575戸(同9.4%増)、分譲住宅が243,944戸(同1.5%増)となり、いずれも増加した。分譲住宅の内訳はマンションが101,292(同6.1%減)、一戸建てが141,094戸(同7.9%増)。マンションと戸建ての比率はマンション41.5%:戸建て58.5%となり、マンション比率は平成21年に戸建てに逆転されてからもっとも低い水準となった。
首都圏マンションは49,962戸(前年比7.3%減)となり、平成21年の40,041戸以来12年ぶりに4万戸台に落ち込んだ。都県別では東京都が31,221戸(同5.1%減)、神奈川県11,181戸(同15.2%増)、埼玉県が3,975戸(同33.7%減)、千葉県が3,585戸(同32.6%減)。
20代女性が最多なぜ 10歳未満・高齢者増は施設・家庭内感染か 都のコロナ感染者







東京都の新型コロナ感染者の最近の年代・性別推移を表・グラフにまとめた。感染者は増加の一途だが、性別や年代別では第5波とは様相がやや異なる。これまで一貫して最多だった20代男性に代わり、20代女性が1月18日~28日まで11日間〝首位〟の座をキープし、累計感染者数では1:4の10歳未満:10代は、10歳未満が1月23日に10代を逆転すると、28日まで6日連続して〝上位〟になっている。
1月19日から1月28日間の年代別男女比では、全体では男性51.5%:女性48.5%だが、20代は男性48.1%:女性51.9%と女性の比率が高いのは謎だ。
記者は〝密〟を避けられない就業形態の会社員が多いためだと推測するのだが、第5波までは20代男性より感染者ははるかに少なかった。第6波になって20代男性と就業形態が変わったとは思えない。仕事以外で密になる機会が増えているためか。オミクロンは重症化しないと考え、行動範囲が広まったのか。
他では、30代と40代の男女比は縮まりつつあり、50代以降は感染者は爆発的に増加しているが、男女比は第5波依然とそれほど変化はない。
10歳未満の層が10代を抜いたのは分からないでもない。第一はワクチン未接種であることだろう。10代のワクチン接種率は分からないが、50%くらいはあるのではないか。もう一つの原因は、保育園や幼稚園、小学校、学童などの環境下ではマスクを外す機会は多いだろうし、〝黙読、黙食しなさい〝などと指導するのも難しいのではないか。言葉は声にして出さないと覚えられないはずだ。
全体の感染者に占める割合が低い高齢者は、感染者数そのものは第5波よりはるかに多い。家庭内感染が増えているためか。とくに100歳以上も連日のように発生している。
三菱地所 渋谷に初進出 マークシティ隣接の再開発事業に参画
三菱地所は1月28日、事業協力者として参画している渋谷区道玄坂二丁目の「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」の再開発組合が同日設立されたと発表した。同社が渋谷エリアの再開発事業に参画するのは初。
同事業は、京王井の頭線渋谷駅直結、JR他渋谷駅から徒歩2分、渋谷区道玄坂二丁目に位置する渋谷マークシティに隣接する敷地面積約6,720㎡。30階建てオフィス棟、11階建てホテル棟からなる延べ床面積約87,100㎡。設計は三菱地所設計・山下設計設計共同体。デザイン総合監修は北川原温建築都市研究所。施工は未定。竣工予定は2026年度。
同社が渋谷駅周辺の大規模再開発に参画するのは今回が初。同プロジェクトは新大宗特定目的会社をはじめとする地元権利者が中心となり2012年4 月、まちづくり勉強会を設立。2017年9月、再開発準備組合を設立。
同社は2020年4月から事業協力者として事業推進に協力してきた。今後は参加組合員として事業参画する。他のプロジェクトにも参画する模様だ。
アキュラホーム「木のストロー」開発秘話 フジテレビ 2月26日にドラマ放映決定

アキュラホームは1月28日、同社が開発・販売している「木のストロー」の開発秘話が、フジテレビでドラマ化されると発表した。
同社広報課・西口彩乃氏の著作「木のストロー」(扶桑社刊)を原案としたもので、放映日は2022年2月26日(土)15:30~16:30(関東エリア)。出演者は堀田真由さん、鈴木保奈美さん。
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まさか!記者は2020年10月24日付記事で、「『木のストロー』をテレビドラマ化すれば、視聴率が長期低迷・凋落しているフジテレビの起死回生策、例えていえば今日(10月24日)のCSに夢をつなぐ西武・中村選手の逆転満塁本塁打になるのではないかと思う。あらゆる世代に人気の米倉涼子さんが主演のテレビ朝日『ドクターX~外科医・大門未知子~』(観たことはない)を蹴散らすのではないか」と書いた。
その通りとなった。記者がテレビ局のディレクターだったら、西口さんと宮沢社長もノーギャラで出演させる。そうすれば最高の喜劇に仕上がるはずで、視聴率は前代未聞、空前絶後の記録的な数字に上るはずだ。フジテレビの力量も問われる。
ショック 分譲戸建ての施工・デザインが最高の西武建設の身売り
ミライト・ホールディングスは1月27日、西武ホールディングスの連結子会社である西武鉄道が保有する西武建設の株式の95%を取得し子会社化すると発表。同時に西武HDは、西武鉄道が保有する西武建設の株式の95%をミライトHD に譲渡することについて決議したと発表した。実行日は2022年3月31日で、取得・譲渡額は約620億円。
ミライトHDは株式の取得について、グループの新たな成長戦略として、「環境にやさしく強靭な街づくり・里づくりへの貢献」「脱炭素化の時代に貢献するグリーン発電事業への参入」など、「みらいドメイン」と位置付ける成長領域への経営資源の結集による事業構造の転換を図るとしている。
西武HDは株式の譲渡について、アフターコロナの社会において「最良、最強の生活応援企業グループ」を目指す上での事業ポートフォリオのあり方を検討した結果、ミライトHDへの株式譲渡が西武建設の今後の中長期的な成長に寄与するものと判断したとしている。
西武建設の2021年3月期の売上高は686億円(前年度比14.5%減)、営業利益は29億円(同33.8%減)、経常利益は30億円(同33.2%減)、当期利益は24億円(同45.7%減)。総資産は698億円。
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もう60余年、西鉄・西武ライオンズファンで、西武建設が施工した分譲した戸建てを数えきれないほど見てきた記者はとてもショックだ。同社は建設工事などを請け負う受注産業であるが故に、企業発信力が弱いとずっと考えてきたが、同社の施工した分譲戸建てのデザインは他社のどこにも負けないはずだ。
西武HDが目指す「最良、最強の生活応援企業グループ」と西武建設の施工力・デザイン力は一致しないのか。
記者は、西武不動産流通が2009年1月に解散したときもショックを受け、「解散によって赤字はなくなるかもしれないが、失う利益のほうがはるかに大きい」などと批判的な記事を書いた。今でもそう思っている。鉄道会社はいまマンションなどの不動産事業や再開発事業に力を入れている。西武HDのみが縮小している。
西武建設の社名も変更されるのだろうが、こちらからアプローチして同社施工の戸建てを継続して見学しよう。「栗山巧の家」はどうなるのだろう。
左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たす コスモスイニシアのリノベ「中野南台」

「センチュリー中野南台」モデルルーム
コスモスイニシアが分譲開始したDINKSやLGBT世帯向けリノベーションマンション左利きの数ほどいるLGBTのニーズ満たす コスモスイニシアのリノベマンション「センチュリー中野南台」を見学した。百聞は一見に如かず。SDGsやユニバーサルデザインを考えるうえでもとても参考になった。
物件はLGBT当事者が中心となって運営を行っている不動産仲介会社「IRIS」(アイリス)と共同で開発したもので、東京メトロ丸の内線中野新橋駅から徒歩10分、中野区南台1丁目に位置する2001年5月竣工の14階建て「センチュリー中野南台」(全57戸)の2LDKで、専有面積64.55㎡、価格は6,180万円。
昨年末から予約制で住戸を公開しており、毎週コンスタントに集客があり、これまで案内したのは16件。見学者の2~3割が同性カップル、他は家族、プレファミリーがそれぞれ同率。同社は来場者の声を聞きながら、LGBTでも住宅ローンが組める「パートナーシップ証明書」を発行済みの渋谷区、中野区などを中心に導入を検討していく。
同社流通事業部流通二部一課・末吉渉氏は「従来、LGBTカップルは収入合算やペアローンで住宅ローンが組めなかったのですが、自治体が『パートナーシップ証明書』を発行するようになってから借り入れ可能な金融機関が出てきました。この『証明書』はLGBTカップルが2人でローンを組んで購入するという選択肢を付与したという点で意義深い。LGBTカップルの世帯年収は1,000万円を超え、個性的な飲食店やスポーツジム、花屋さんが近くにあることを重視されることも分かりました。SDGsが当たり前になったように、数年後にはLGBTカップル対応のプランが当たり前の時代がやってくる」
また、同課・阿久澤恵里氏は「LBGTの方は左利きの方と同じくらいいらっしゃる」との興味深い話をした。(「私の彼は左利き」という歌を思い出した)

「センチュリー中野南台」外観
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百聞は一見に如かず。プレス・リリースではよく分からなかった部分がすんなりと理解できた。〝なるほど〟と合点がいくものがたくさんあった。
物件はフルリノベーションしたもので、原形をとどめるのは2400ミリのリビング天井高、1800ミリのサッシ高くらいで、梁型の存在が気にならないようダウンライトを設けるなどの工夫を行っている。
玄関に入ってほとんど瞬時にLGBT仕様の企画意図を理解した。玄関サイドに設置されている「ハーフ土間収納」だ。扉はソフトクローズ機能付きの引き戸で、大きさは1坪くらいか。ゴルフバッグが2つ入るスペースも確保されていた。ゴルフバッグが2つ入るクローゼットが用意されている一般的な20坪程度のマンションモデルルームなど見たことがない。カップルがそれぞれの趣味を共有できるようにという配慮が伝わってきた。
居室は5.5畳大と4.8畳大の2つ。これは高齢者世帯のニーズも満たすものだが、洗面所は普通のモデルルームと全然違っていた。高級マンション並みの2ボウルで鏡も2つ。一つは調光機能付きで朝の顔、昼の顔、夜の顔に使い分けることができ、音楽が流せるスピーカー付き。床にはヘルスメーター。共働き世帯が多く、出勤時間が同じだとバッティングすることを解消するためだという。
浴室は16×16サイズで、扉にはタオル掛けが2つついており、調光機能付き。浴槽は自動洗浄機能付き。これも家事労働の負担を軽減するためだ。
L字型キッチンにも工夫があった。従前は6畳の和室だったのを模様替えしたもので、システムキッチンはL字型で、二人で調理したり友人を呼んで語らいをしたりできるよう、カウンタートップは敢えてフラットにし、幅は90cm確保している。シンクはユーティリティ。
このプランはDINKSや高齢者世帯にも通用し、SDGsやユニバーサルデザインの考えとも合致する。

「ハーフ土間収納」

洗面室

ヘルスメーター

浴室(タオル掛けも2か所)
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記者は、スーツの襟にSDGsバッジをつけるようになって2年以上経過する。「誰一人残さない」持続可能な社会を2030年までに実現するという趣旨に賛同するからだ。
しかし、SDGsが掲げる17のゴール目標を全て実践しているかと問われると自信はない。思うことと実践することは異なるからで、実践しているのは17項目のうち半分くらいではないか。
LGBTも同様だ。LGBTに対する差別に反対するが、住宅購入に際して共有名義でローンが借りられないとか、住宅の設備にも改善すべきことがあることなど考えたことなど全くない。
考えてみれば、様々な法律の壁や世間の冷たい風にさらされながら、自己の人間としての尊厳、自由を希求し実行しているのはLGBTだ。花屋を求めるのも「美しい生き方」を貫き通すためだと理解した。これは名もない野草をこよなく愛す記者と通じるものがある。
LGBT対応をテーマにした分譲マンションを企画したのはおそらく同社が初めてだろう。これは、いつも先進的な取り組みをする同社のDNAだ。拍手喝さいを送りたい。
IRISによると、「パートナーシップ証明書」を発行しているのは東京都では12、全国では130の自治体だという。また、LGBTの全人口に占める割合は1.6~8.9%と推定されるという。推定値の幅が大きいのは潜在的な人数の把握が難しいためのようだ。
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「パートナーシップ証明書」を最初に導入したのは渋谷区だ。同区は平成27年11月、「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」に基づき、男女の人権の尊重とともに、「性的少数者の人権を尊重する社会」の形成を推進することを目的に同証明書を発行した。
同証明書は、戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活における関係を「パートナーシップ」と定義し、一定の条件を満たした場合、法律上の男女の婚姻関係と実質的に異ならないパートナー関係であることを証明するものだ。
条件として付されているのは、①区内に居住し、住民登録があること②20歳以上であること③配偶者がいないこと及び相手方当事者以外のパートナーがいないこと④近親者でないこととなっている。
同証明書の交付を受けることで、ペアローン、連帯債務型、連帯保証型(収入合算)の住宅ローンの借り入れも可能になった。このほか、公営住宅などへ家族として入居可能で、生命保険の受取人として指定でき、クレジットカードの作成、社会福祉施設の利用が可能となった。
DINKSやLGBTs向けのリノベマンション開発・分譲 コスモスイニシア&IRIS(2022/1/16)
リスト 2021年の海外不動産取引 前年比倍増 ハワイの価格も大幅上昇

ハワイ不動産イメージ
リストグループのリストインターナショナルリアルティは1月27日、2021年の海外不動産取引件数が2020年と比較し約2倍に増加したと発表。海外不動産取引は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、ハワイ現地とリアルタイムで中継を繋ぎ、物件内覧や物件説明などを行うオンライン商談での成約が約8割を占めた。
2021年のハワイ・オアフ島の売上高は2020年と比較し、戸建てで17.9%増加、コンドミニアムは53.1%増加。全体では2020年比37.3%増加。
2021年の売り出しから買い付けまでに要した平均日数は戸建てで9日、コンドミニアムは12日(2020年の平均日数は戸建てが17日、コンドミニアムが25日)。
2021年の戸建ての年間販売価格中央値は前年比19.3%上昇の$990,000(約1憶 1,250万円)。コンドミニアムの年間販売価格中央値は前年比9.2%上昇の$475,000(約5,400万円)。
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同社は母数を公表していないのでよく分からないが、国境を越えた富裕層向け不動産取引は活性化するのは間違いない。記者がとくに注目しているのは分譲ホテルだ。わが国ではそれほど普及していないが、所有と利用を兼ね備えているのがいい。

