地価公示コメント 独創性の高い商品・サービス提供 野村不動産・松尾大作社長
今回の地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも、2年ぶりに上昇に転じた。住宅地については3大都市圏・地方圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じ、商業地についても、地方四市では上昇率が拡大、東京圏・名古屋圏で上昇に転じるなど、新型コロナウィルス感染症の影響が徐々に緩和されるなか全体的に昨年から回 復が進んだと考えられる。
住宅市場に関しては、需要が引き続き堅調である一方で供給が限られており、高値安定の状況が続いている。共働き世帯の増加やテレワークの浸透等による住まいへの関心の高さから、旺盛な需要は当面継続するだろう。
顧客のニーズは多様化しており、用地取得も都心・郊外や住宅地・商業地を問わず幅広く行う必要がある。ただし、用地取得競争は激しくなっており、このような環境下では以前にも増して再開発を含めた多角的な開発手法が必要となる。また中古住宅の売買についても、グループ会社における今期業績を上方修正するなど、強い需要が継続している。 ただし、金利の上昇、住宅ローン控除の縮小、原油や資材の高騰に伴う建築費の上昇については、注視しておく必要がある。
オフィス市場に関しては、市場全体で稼働率が下げ止まってきた一方、賃料はまだ下落傾向にある。好調な企業業績を受けオフィスの拡張移転を選択するケースも増えているが、働き方のニーズは多様化しており、オフィスに集まる意義 やオフィスが生み出す価値を再定義し、フレキシブルな働き方を実現するオフィスやサービスの提供を続けていく。
商業・ホテル市場に関しては、コロナの影響により厳しい事業環境が続いているが、商業施設は日用品を中心とした 地域密着型を中心に、ホテルは宿泊に留まらない新たな使い方を提示するなど、事業としての体力を蓄えながら需要 の回復に備える。
物流市場に関しては、eコマースニーズのさらなる拡大を踏まえ、コロナ下においても地価は上がり続けているが、旺盛な投資意欲はなお継続すると考える。
社会や人々の価値観はコロナ禍を経て大きく変化しており、不動産関連商品・サービスも同時に変化がしてゆく必要がある。当社は、グループ全体でDX やサステナビリティの取組みを強力に推進しながら、これまで同様、お客様に寄り添い、ニーズを的確に捉えた独創性の高い商品・サービスの提供を続ける。
地価公示は、不動産の取引動向や中期的な展望を反映したものであり、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標のひとつとして注視していく。
令和4年地価公示コメント 本質的な価値追求・創造図る 三菱地所・吉田 淳一社長
令和4年地価公示は、全国全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じた。新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和され、昨年からは全体的に回復傾向が見られた。
今回の地価公示では景況感の改善が見られるものの、足元の緊迫する国際情勢により、経済情勢含めた先行きは不透明な状況にある。不動産市況や社会・生活への影響を注視しつつ、成長に向けた投資を継続していき たい。
オフィスは、一般的に「毎日同じ人が集まって作業をする場」であったが、多様化するワークスタイル、ライフスタイルへの対応がテナントニーズに加わってきている。
4月からは「フレキシブル・ワークスペース事業部」を新規設置し、オフィス・ラウンジ等のワークスペースの整備や、複合的に利用できるサービスの開発・提供など、ハードとソフトの両面から多様な働き方を支える商品・サービスを拡充していく。
住宅は、都心物件の人気が続く一方、テレワーク需要による郊外の広い物件の引き合いも継続して旺盛である。名古屋駅徒歩圏の大規模マンション「ザ・パークハウス名古屋」、ZEH-M Ready基準に適合した「ザ・パーク ハウス新浦安マリンヴィラ」、木材の持続可能性に配慮した「ザ・パークハウス高輪松ヶ丘」などの販売が好調。
住宅においてもライフスタイルの多様化によって、ワークスペースの設置や気候変動対策の取り組みのニーズが強まるなど、物件検討時に重視する価値や優先順位も多様になっている。
また当社では、DXで目指すまちづくりのビジョンを示した「三菱地所デジタルビジョン」を策定し、リアルとデジタルが一体となったまちづくりを推進している。5Gを必須の社会基盤と位置づけ、丸の内エリア全域の5G化を進めているほか、ロボットを活用しやすくする「ロボットフレンドリー」な環境づくりにも取り組む。
さらに脱炭素社会の実現に向けた取り組みにも、ESG先進企業として引き続き注力していく。丸の内エリアや 主要都市における保有ビルの再エネ電力への切り替えといった継続した活動により、従来の中間目標を前倒しで達成見込みとなったため、先般、CO2等温室効果ガスの削減目標とRE100 達成目標を新たに制定した。具体的には、2050年までにCO2等温室効果ガスネットゼロ達成のほか、2025年度再エネ導入100%達成を目指す。
今後も事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するとともに、空間やサービスに求められる本質的な価値を追求し、価値創造を図っていきたい。
「千葉県建築文化賞」で入賞 ポラス「唯・巧・居(いこい)の家(全4棟)」
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「唯・巧・居(いこい)の家(全4棟)」
ポラスグループのポラスガーデンヒルズは3月17日、2020年に松戸市で開発・販売した、戸建分譲住宅「唯・巧・居(いこい)の家(全4棟)」が第28回千葉県建築文化賞(住宅の部)で「入賞」を受賞したと発表した。
同賞は、建築文化や居住環境に対する県民の意識の高揚と、うるおいとやすらぎに満ちた快適なまちづくりを推進することを目的に実施されているもので、一般建築物の部と住宅の部に分かれている。ポラスグループが同賞を受賞するのは今回が初。
「唯・巧・居(いこい)の家)」は、JR新松戸駅から徒歩10分の全4棟。高層マンションや商業施設、低層住宅が密集・混在しているエリアで、同社は隣家や街との距離感をデザインし直し、繋がりや関わり方を選択・調整する上で影響を与える「程」加減を、「縁庭(へりにわ)」「斜庭(はすにわ)」「路庭(みちにわ)」の3つの庭で生み出した斬新な提案が評価された。
住宅では国内初の「Fitwel 認証」取得 眼前に琵琶湖 野村不「大津京」

「プラウドシティ大津京」
野村不動産は3月18日、琵琶湖に近い滋賀県大津市の分譲マンション「プラウドシティ大津京」が建物を利用する人々の心身の健康(ウェルビーイング)・快適性などに配慮した建築物として認定される「Fitwel(フィットウェル)認証」を取得したと発表した。
同認証は、米国疾病予防管理センター(CDC)と米連邦政府一般調達局(CSA)が主導して2017年に開発したもの。わが国では2例目で、住宅での認証は国内初。
12の評価項目のうち、評価の高かったのは、近隣の公共交通機関や商業施設、緑や遊び場の充実などの「立地・周辺環境の良さ」、EVホールのサインや階段のステッカー、階段の利用を促進する仕掛けなど「身体活動を活発にするための仕掛け」、ヨガスペースの設置、すべての共用スペースで自然を眺められる窓を設置などの「快適に住まうための共用スペース・サービス」の3項目。共用部には滋賀県産材のスギ材を多用している。
物件は、JR湖西線大津京駅から徒歩11分の15階建て全357戸。専有面積は63.83~174.16㎡。竣工予定は2023年11月中旬。施工は長谷工コーポレーション。
エントリー開始後1,000件超の反響があり、今年1月のモデルルームオープン後、360組の来場者を集め、2月下旬から販売を開始した第1期では100戸を供給。約7割の申し込みがある。購入者は地元大津市在住が4割で、京都や大阪府在住者の評価も得られているという。

コーチエントランス(緑が本物だったら凄い)
三井ホーム「モクシオン稲城」 第4回「COFI 木造建築デザインアワード」受賞

「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」
三井ホームは3月17日、同社が設計・施工した木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」が、カナダ林産業審議会(COFI)主催の第4回「COFI 木造建築デザインアワード~Big & Tall Wood Challenge ~」を受賞したと発表した。
受賞したのは、「ツーバイフォー工法を軸に、一般に流通する材料の組み合わせで構成した国内最高レベルの高強度耐力壁「MOCXwall(モクスウォール)」(壁倍率30倍超)を開発・採用するなど、我が国において希少な中層共同住宅の木造化促進に寄与する普及性の高いプロジェクトにより、木造マンションという新たなカテゴリーを生みだした点が高く評価された」ため。
受賞したのは、このほか「中央区日本橋3丁目プロジェクト」(東京都中央区)、「髙惣木工ビル」(宮城県仙台市)、「ファミリーホスピス京都北山」(京都府京都市)、「桐朋学園宗次ホール」(東京都調布市)、「星野リゾート BEB5軽井沢」(長野県北佐久郡)、「日立建機株式会社土浦工場事務管理棟」(茨城県土浦市)、「流山市立おおぐろの森小学校」(千葉県流山市)。
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾 三井ホーム「稲城」見学会(2021/7/7)
「上質な非日常」テーマに30㎡~、ルームチャージ制 タカラL 初のホテル「OSAKA」

「HOTEL THE LEBEN OSAKA」
タカラレーベンは3月17日、グループ創業50周年記念ホテル「HOTEL THE LEBEN OSAKA」のメディア向けオンライン発表会を行った。「上質な非日常」をコンセプトに107の客室は全て30㎡以上とし、ルームチャージ制を採用、朝食はオーダーにより客室ドアまで届けるのが特徴。ホテルは3月24日に開業する。
ホテルは、大阪メトロ御堂筋線心斎橋駅から徒歩8分、大阪市中央区南船場2丁目に位置する全107室。客室面積は30㎡~88㎡。ルームチャージ制を採用し、当面の宿泊料金は15,000円を見込む。運営は昨年9月、国内60か所のホテルの運営を行っているソラーレ ホテルズ アンド リゾーツと共同で設立したレーベンホテルズが行う。
説明会で、同社取締役兼常務執行役員 レーベンホテルズ取締役・秋澤昭一氏は、「当社が50年で培った空間提案などのノウハウを注ぎ込んだ集大成のプロジェクト。2021年に発表した事業計画の7つの柱のうちの一つである流動化事業の一環、グレーを基調に上質な非日常、シンプルでラージをコンセプトにした。コロナ禍での開業ではあるが、2025年の大阪万博、IR(複合リゾート)計画を見据え、開発・所有、リート売却・運営など複合的な展開を行っていく」と語った。
ホテル支配人・立岡秀海氏はホテルの第一の特徴として、空間のゆとりを強調。客室は30㎡以上をスタンダードとし88㎡まで7タイプを用意、仕様ではシモンズのベッド、今治のタオルを採用すると説明。43㎡以上のレーベンスタイルルームは寝室とリビングの間に仕切りを設けるとした。
また、宿泊料金については世界基準のルームチャージ制を導入。朝食はオーダー制で客室入口まで届け、SDGsの取り組みとして脱プラのアメニティ、完全オーダー制によるフードロス対策、抗ウイルス・抗菌の全館光触媒施工、防災体験プランを販売するなどと話した。

テラス

エントランス
◇ ◆ ◇
約1時間の説明会は、コンセプト、特徴などが余すところなく語られたと思う。客室面積30㎡以上、ルームチャージ制の導入、オーダー方式による朝食の客室ドアまでのサービスなどは差別化につながるはずだ。
ひとつだけ残念だったのは、建具・家具、アメニティ、その他設備仕様レベルが説明や画像では伝わってこなかった点だ。同社はメディア向け試泊も行った。泊まるべきだったか。
それと、秋澤氏や立岡氏はシンプルなデザインで、ニュートラルなポジションを強調したが、記者は「非日常」の演出では他を圧倒する同社のマンションモデルルームをそのままホテルでも採用したら関西の人に受けると思った。「上質な非日常」-いま必死でそのようなホテル、マンションはあったかと考えているのだが、思い浮かばない。
50周年記念マンションプロジェクトの一つ「レーベン福岡天神ONE TOWER」は見学取材し、記事にしているので参照していただきたい。最高レベルのマンションだし、「非日常」の極みだ。

レーベンスイート(「博多天神」では壁は本物の大理石だった)
福岡の最高峰 第1期100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15)
威力絶大 PPP×企画提案力 タカラレーベン「レーベン東川口GRANDEST」

「レーベン東川口GRANDEST」
タカラレーベンが埼玉建興とともに埼玉県内初のPPP(官民連携)分譲マンション「レーベン東川口GRANDEST」(143戸)を販売開始してから1か月が経過するが、販売は極めて好調に推移している。第1期分譲は全戸の5割程度の85戸を供給。驚異的な反響を呼んでいる。
物件は、東京メトロ南北線(埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線)・JR武蔵野線東川口駅から徒歩1分、川口市戸塚二丁目の商業地域(建ぺい率100%⇒総合設計により80%、容積率400%⇒同569%)に位置する敷地面積約2,109㎡の地下2階地上18階建て全143戸(他にキッチンスタジオ1戸、市行政施設1区画、交番1区画など)。次期分譲予定の第2期(戸数未定)の専有面積は56.14~77.13㎡、価格は未定。建物竣工予定は2023年11月中旬。設計・監理はGA建築設計社。施工は埼玉建興。デザイン監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン。昨年12月にモデルルームオープン。これまで全体の5割程度が進捗済。
現地は、駅前ロータリーに隣接。徒歩時間は駅から1分だが、歩けばほんの数十秒(30mくらいか)。従前は市営の駐輪場。
埼玉県内の分譲マンションとしては初の「PPP(官民連携)事業」であるのが特徴。2020年9月に実施された市のプロポーザルでは 、駅前広場の整備と市の行政施設、交番を設けることのほか、事業者は川口市に強い地元業者が求められたため、同社は川口市に本社を置き、共同事業の実績もある埼玉建興とともに共同提案した。
建物は地階が駐輪場、行政施設、タワーパーキングスペース、1階がエントランス、行政施設、交番、2階が行政施設、交番、3階以上が住戸で、ほとんどが南向き。プランは16戸が50㎡台、80戸が60㎡台、47戸が70㎡台。18階建てはエリア最高層。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、浴室テレビ、オリジナルウォーターシステム〈ルイックプロジェクト〉、共用部のキッズルームや屋上テラスを備えた「キッチンスタジオ」など。
販売担当の同社マンション事業本部営業推進本部 第1営業統括部 第1営業部次長・花田崇好氏は「販売価格や坪単価については、お客さまは納得されている。人気の要因は駅徒歩1分、南向き中心の配棟計画、デザインなどですが、やはり市が関与しているPPP事業であることの安心感が大きいですね。来場予約はいっぱいで、お客さま対応に追われています」と語っている。

モデルルーム

キッチンスタジオ
◇ ◆ ◇
花田氏も語ったように「東川口」駅圏ではこれまでのアッパー坪206万円をはるかに突破する値段だ。記者予想も大幅に外れた。
しかし、花田氏の説明を受け、モデルルーム(77㎡)を見学して、価格(単価)に納得した。川口駅の再開発物件は坪300万円をはるかに突破し、浦和駅では350万円超だ。「東川口」は商業施設が乏しいが、都心へのアクセスを考えると〝割安感〟はある。
立地条件も申し分ない。敷地南側には道路を挟んで市の駐輪場や民間の駐車場があるので何とも言えないが、3層以上は前建がなく開放感がある。駅前ロータリーもマンションの敷地同然だ。嫌悪施設などもない。
ひとつ書き忘れた。記者が褒めるのではない。パンフレットには同社のオリジナルウォーターシステムを絶賛する声がたくさん寄せられている。

建設現場(商業地域立地だが、周囲に高い建物がないことが分かる)

駅前広場(正面に建物が建つ)
決め手は3LDK70㎡超中心の企画 タカラレーベン「戸田公園」第1期40戸 販売好調(2020/11/18)
分譲戸建て「仕入れ強化。Nearly ZEH進める」本間部長 大和ハウス 恒例レクチャー会
大和ハウス工業は3月17日、恒例の「記者レクチャー会<2022年公示地価>」を質疑応答を含め約1時間45分にわたって開催。分譲マンションについては同社マンション事業本部 事業統括部部長・角田卓也氏が、戸建てについては同社住宅事業本部 事業統括部 分譲住宅グループ部長・本間生志氏が、物流施設などについては同社建築事業本部 営業統括部 Dプロジェクト推進室室長・井上一樹氏が事業概況を説明した。
首都圏マンション市場について角田氏はコロナ禍をきっかけに価値観、生活スタイルの変化に伴う持家志向が強まり、都心部では生活利便性や資産性を重視する富裕層、アッパーミドル、DINKSなどの需要は旺盛で、郊外物件も引き続いて堅調に推移し、近畿圏や地方都市もほぼ同様の動きがみられると語った。
好調市場を背景に、用地仕入れ環境はタイトで、都心案件ではオフィス開発業者や賃貸マンション開発業者との競合が激化、用地取得価格は一段と上昇していると話した。
本間氏は、都心部での2億円前後の3階建て分譲戸建ては年間50~60戸がほとんどが即日完売する人気となっている一方で、マンションと同様、用地取得合戦が激化、従来仕入れられていた年間4,000区画は3,000区画まで減少しており、「死活問題」と危機感を強めていた。来期から仕入部隊を強化し、商品企画にも力を入れるなど回復を期していることを強調した。
井上氏は、同社の売上高4兆1,267億円(2021年3月期)のうち賃貸住宅とほぼ同様の23%を占めることから自信満々で、第6次中計(2019年4月~2021年3月)で掲げている不動産投資1兆3,500億円のうち6,500億円が事業施設で、今後も拡大すると話した。
◇ ◆ ◇
このレクチャー会は、質疑応答にも十分時間を割き、メディアの質問にも丁寧に答えてくれるのでとてもいい。
角田氏は、第1期分譲で200戸以上を成約するなど好調なスタートを切った「ONE 札幌ステーションタワー」や、驚異的な売れ行きを見せている「プレミスト王子神谷」などの具体的物件の売れ行きなどについても説明した。「王子神谷」の坪単価は308万円であることも明らかにした。
いつもそうだが、本間氏の話はとても面白い。価格では圧倒的に負ける飯田グループやオープンハウスなどとも競合せざるをえない特殊な分譲戸建て市場が面白くないのだろう。「来年度からは支店長クラスに任せきりだった仕入れ体制をてこ入れする。商品企画でも分譲住宅専用のNearly ZEH対応の『ΣSc(シグマエスシー)』を投入し、他方では規格化、販管費の抑制なども進めて原価比率を引き下げる」と語ったのが印象的だった。
(本間さん、昨年のレクチャー会では「分譲戸建て御三家とは戦わない」と仰いました。その後どうなったのでしょうか。時間があったら聞きたかった。レクチャー会の時間を延長してはいかがか。記者は現場見学会を増やしてほしいが…)
大和ハウス 販売好調の「プレミスト王子神谷」2期分譲開始(2022/2/19)
北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8)
分譲戸建て御三家とは戦わない 都市部に人的資源移す 大和ハウス(2021/9/15)
「バスターミナル東京八重洲」に名称決定 9月17日開業 UR都市機構・京王電鉄バス


福島氏(左)と村上氏
独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)と京王電鉄バスは3月15日、「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」で整備が進められているバスターミナル(第1期エリア)の建設工事現場をメディアに公開。バスターミナルの名称は「バスターミナル東京八重洲」と決定し、令和4年(2022)9月17日に開業すると発表した。
バスターミナルは、東京の玄関口である八重洲側の高速バス、空港連絡バス発着停留所は駅前交通広場では充足できず、周辺の道路上に散在し、鉄道乗り換えや車両交通、歩行者通行が妨げられていることから、八重洲口で施行されている3地区の市街地再開発事業内に集約し、一体的に整備するもの。
ターミナル内にはチケットカウンター、トイレ、授乳室、コインロッカーのほか物販店も併設。歩道上でのバス待ちをなくし、東京駅や京橋駅とも地下通路で結ばれる。第1~第3期のバスターミナルの専有床はわが国最大級の約21,000㎡となり、28か所のバス停が整備され、全体開業されれば1日約1,500便(第1期は約550便)の高速バスが運行可能となる。
UR都市機構は参加組合員として3事業に参画しており、各再開発事業組合からバスターミナル部分(地下)を取得し、それぞれ3期に分けて段階的に公募で選定された京王電鉄バスに賃貸し、応募があった3社から選定された京王電鉄バスが運営する。
今回公開された第1期は、敷地面積約12,000㎡、延べ床面積約283,000㎡の地下4階地上45階建て複合施設。施設内には三井不動産「ミッドタウン八重洲」が整備され、ブルガリブランドのホテル(39~45階)のほか、東京駅周辺では最大級の4,000㎡の基準階のオフィス、約60店の飲食・物販店舗、区立小学校、子育て支援施設などが整備される。施設全体のグランドオープンは2023年3月の予定。バスターミナルの専有床面積は約7,000㎡。
第2期は、令和7年(2025年)竣工予定の敷地面積約10,000㎡、延べ床面積約225,000㎡の地下4階地上51階建て「東京駅前八重洲一丁目東B地区」。参加組合員は東京建物、UR都市機構。バスターミナル部分は約6,000㎡。
第3期は、令和10年(2028年)竣工予定の敷地面積約19,000㎡、延べ床面積約388,000㎡の地下3階地上43階建て「八重洲二丁目中地区」。参加組合員は鹿島建設、住友不動産、UR都市機構、阪急阪神不動産、ヒューリック、三井不動産。バスターミナル部分は約8,000㎡。
見学会でUR都市機構 東日本都市再生本部長・村上卓也氏は、「URは参加組合員として再開発事業に参画しており、バス停を1か所に集約することで利便性を図る事業目的に寄与したい。全体完成すれば『バスタ新宿』より大きいわが国最大級となる」と語った。
また、京王電鉄バス取締役東京駅八重洲高速・貸切バスターミナル開発準備チーム部長・福島八束氏は、「当社のノウハウを生かして収益源にするために公募に名乗りを上げた。当面は運行を予定していないが、空きバースあれば次のステップとして検討したい」と話した。(京王の高速バスは新宿から西がほとんどのはず。八重洲を起点として『KEIO』の名を広めてほしい。京王沿線に40年以上住んでいる小生は京王のファン)

地下1階 案内・チケットカウンター

地下1階のチケット売り場について説明する担当者

地下2階 待合ラウンジ

地下2階のバス乗降エリア(階高は4.5mくらいあり、1辺約1.5mの柱が10m置きくらいにあった)

地下2階 乗り場
◇ ◆ ◇
現場見学会では質疑応答もあったが、記者は門外漢だ。黙って聞いているつもりだったが、名称が「バスターミナル東京八重洲」と発表されたので黙っていられなくなった。
「バスタ新宿」では、不快な思いをさせられているからだ。小生は加齢も手伝って耳がよく聞こえなくなっているのだが、「BASUTA」は「MAKITA」と聞こえるのだ(嘘だと思ったら。聞いてみてください)。駅に着くと選挙演説のように自動音声による「MAKITA」が連呼される。そのたびにギクッとさせられる。落とし物でもしたのか、あるいは犯罪者として呼び止められたのかと。
「ターミナル(Terminal)」も嫌な言葉だ。小生などは「終末医療」と結びつけてしまう。最近はできるだけ使わないようにしている。
そこで質問した。「こんなことをいうから私は嫌われるのですが、『バスタ新宿』が連呼されるたびに嫌な気分になる。今回の名称はその二番煎じではないか。『ミッドタウン』と『京王(KEIO)』、『URであーる』を組み合わせるとか、『トーチ・タワー』も含めた街を総称する気の利いたネーミングはできないのか。ネーミングライツの導入もいいのではないか」と。
意想外だったのは、UR都市機構東日本都市再生本部都心業務部担当部長・大貫英二氏の返答だった。当たり障りのない人を煙に巻く答えが返ってくると思ったら、大貫氏は「ご指摘は仰る通り。ネーミングライツを検討したこともある。全体完成したら名称を変更することもありうるが、何しろ法に基づく届け出なので」と語った。
「法に基づく届け出」とは、交通行政をつかさどる国土交通省の様々な法律のことだろう。それもよく分かる。そしてまた、八重洲を訪れる人のうちバスの乗り降りが目的の人は少数派であることを考えると、例えば「ミッドタウンKEIO八重洲ターミナルであーる」などと連呼されたらみんな行く先が分からなくなる。あまり出しゃばらないほうがいいかも。
街の総称は「ザ・東京(The Tokyo)」か「ウォーカブル東京(Walkable Tokyo)」はどうか。

工事中の「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」
三井不動産など 「タクシー相乗りサービス」提供開始
三井不動産、ShareTomorrow、NearMe(ニアミー)の3社は3月15日、有償の「タクシー相乗りサービス」の導入を3月10日から開始したと発表した。
三井不動産とShareTomorrowがサービス提供する「&MOVE」と、ニアミーが湾岸エリアなど4区を中心に提供する相乗りサービス“nearMe.Town(ニアミー タウン)”と連携したもので、通常のタクシーのように希望する地点での乗り降りが可能で、同じ方向に行く人を見つけてマッチングし、相乗りすることによって、手ごろな料金でドアツードアのサービスを提供する。
運行時間は7時(乗車)~22時(降車)まで、サービス提供エリアは東京都内4区(中央区、千代田区、港区、江東区)の全域、乗車可能人数は最大5名、1組あたりの乗車数は最大4名、利用方法はWhimアプリより、乗車前日の18時までに予約、料金はタクシー一名乗車比で最大▲50%(相乗り通達内容に沿って料金を算出)。
◇ ◆ ◇
タクシーは許認可事業なので詳しくは知らないが、かつて公営ギャンブル場や深夜の駅前では、「多摩方面、あと3人」などと運転手が相乗りを呼び掛け、違法と知りながらそれに同調する人は日常茶飯だった。いわゆる「白タク」と呼ばれるもので、記者もよく利用した。料金は割引にはならず、それぞれが目的地までの料金を払った。呉越同舟だ。そもそも違法なので、誰も文句など言わなかったし、客同士で会話することなどもなかった。
相乗りは法律の改正により昨年11月から解禁になったようだ。記者は今後激増するとみている。お客さんが相乗りに同意すれば、予約なしでも、走行中でも利用できるようにすべきだと思うが…。

