RBA OFFICIAL
 

 大山町クロスポイント周辺地区市街地再開発組合は915日、東武東上線大山駅に近接する再開発事業「大山町クロスポイント」の起工式を97日に行ったと発表した。参加組合員として住友不動産とフージャースコーポレーションが事業参画している。

事業地は、大山駅から約300m西方に位置し、「ハッピーロード大山商店街」の一部と周辺住宅地などを含む約0.7haが施行区域。ハッピーロード商店街の道路を挟んだ4街区で構成。総戸数345戸の住宅と低層階に延床面積約4,000㎡超の商業区画を設けた総延床面積約40,000㎡超の大規模複合開発。竣工予定は202412月。施工は長谷工コーポレーション。総事業費は約193億円。

       ◆     ◇

 大山駅圏では、ハッピーロードを抜けたところで三菱地所レジデンスが11月に「ザ・パークハウス 板橋大山大楠ノ杜」(187戸)を分譲する。立地条件のよさから、記者は坪340~350万円と予想しているのだが、「大山町クロスポイント」はいくらになるか。

 大和ハウス工業は9月15日、2021年基準地価に関する記者レクチャー会を開催。マンション事業については同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏、分譲戸建てについては住宅事業本部事業統括部分譲住宅グループ部長・本間生志氏、物流施設事業については建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室室長・井上一樹氏がそれぞれレクチャーした。

 角田氏は、首都圏市場について都心部も郊外部も引き続き需要は旺盛で、価格水準は高値で推移しており、用地仕入れ価格も上昇しており、入札案件では相場の1.2倍の価格で落札されるケースも出始めていると語った。

 近畿圏もほぼ同様の傾向を示しており、用地取得状況は近畿圏でも賃貸事業者などとの競争が激化し価格が上昇。地方圏でも首都圏や近畿圏のデベロッパーの参入が相次ぎ、用地取得競争は激化していると話した。

 本間氏は、首都圏の1億円超の3階建てを中心に販売は順調としながら、いわゆるパワービルダーの市場占有率が高い北関東などでは苦戦が続いていると語った。

 井上氏は、同社の売上高4兆1,267億円(2021年3月期)のうちセグメント別売上高では賃貸住宅と肩を並べる23%に達していることから、今後も海外を含め積極的に展開していくと語った。

◇       ◆     ◇

 同社のレクチャー会(勉強会)については記事にしてきたが、本間氏は北関東が地盤のケイアイスター不動産や、都心の3階建てを積極展開しているオープンハウス・ディベロップメントなどの具体的な社名を挙げ市場動向について語り、質疑応答の時間も約30分取るなど、他のハウスメーカーやデベロッパーのそれらとは全く異なる。本音で語ってくれるから参加のし甲斐がある。お三方をやり込める記者が現れないかと期待したのが、残念ながらそのような質問は飛ばなかった。記者のような行儀の悪い記者が少ないのは残念だ。

 記者は、角田氏に「昨今のマンション価格上昇から、専有圧縮、天井高の低下などの基本性能の低下、設備仕様レベルダウンを差し引くと、実質的な単価上昇は年率にして10%以上ではないか」「『王子神谷』は坪単価260万なら飛ぶように売れると思いますが、そこまで安くならない、アッパー280~290万円でいかがでしょうか」「大激戦の『調布』の坪350万円はコンパクトですので納得します」などと質問した。

 これに対し、角田氏は用地費や建築費の上昇が単価を引き上げている主な要因とし、基本性能・設備仕様レベルダウンとの因果関係については明言を避けた。また、「王子神谷」の価格は未定としながら「坪250~300万円」を匂わせた。「調布」については、「単価は安くはないが、女性を中心に反響は多い」と語った。(さっき届いた物件販売のプレス・リリースには、ダイニングテーブル、カフェカウンター、リモート用デスクにもなる多目的キッチンカウンター「Nimonal(ニモナル)」を採用しているとある。これは面白い)

 本間氏には、記者は「そもそも建築単価が倍くらい違う分譲戸建て御三家とは争わないで、大手デベロッパーのように都市型に絞り、経営資源もそこに集中したほうがいいと思いますが、いかがでしょうか」とストレートを投げ込んだら、「仰る通り。当社も含め大手ハウスメーカーは互角に戦えない。人的資源を都市部に移すよう着手している」と直球で返してくれた。

 記者は前回のレクチャー会の記事で「栃木県は飯田グループ・森和彦会長(4月1日付で名誉会長に就任予定)の出身県で、群馬県はケイアイスター不動産の本拠地だし、中古住宅買取再販最大手のカチタスも本社は群馬県桐生市だ。まるで価格帯が異なる。勝てるわけがない。戦っても現場が疲弊するだけだし、ブランド力の低下を招きかねない。あえて火中の栗を拾いに行くような愚を同社が犯すはずはない」と書いた。

 都市型戸建てでは、オープンハウスも伸びてはいるが、一方で三井不動産レジデンシャルと野村不動産の二社は年間数百戸をコンスタントに供給しており、〝二強時代〟が続いている。ここに割り込むのは容易ではないだろうが、外野から眺めるわれわれ記者の立場からすれば、二強に挑戦状を叩きつけられない他のデベロッパー、ハウスメーカーは情けないと思う。

大和ハウス 分譲住宅・物流市況に関する「記者レクチャー会」 質疑応答に1時間15分(2021/3/18)

またまた10年前の感動蘇る 大和ハウス 分譲・物流に関する勉強会 戸建てV字回復(2020/9/25)

01_外観.jpg
「ザ・パークハウス グラン 神山町」(アルミルーバーが美しい)

 三菱地所レジデンスは9月14日、同社のフラッグシップブランド〝ザ・パークハウス グラン〟の第7弾「ザ・パークハウス グラン 神山町」のモデルルームを報道陣に公開した。物件は、高級住宅街として知られる渋谷松濤・神山町エリアの希少な第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積が約4,000㎡の大規模で、坪単価は同社物件のバブル後の最高値を更新する800万円台後半になる。モデルルームの一般公開は9月25日(土)から。分譲開始は10月上旬。

 物件は、東京メトロ千代田線代々木公園駅から徒歩9分、東急東横線渋谷駅から徒歩11分、渋谷区神山町の第一種低層住居専用地域の敷地面積約4,031㎡に位置する地上3階地下2階建て全55戸(分譲対象外5戸含む)。専有面積は71.41~160.56㎡、坪単価は800万円台の後半の予定。第1期(9戸)の予定価格は29,000万円台~58,000万円台(専有面積118.74~160.56㎡)。設計・監理・施工は東亜建設工業。売主は同社のほか東急。デザイン監修はキュリオシティ。竣工予定は2023年11月中旬。販売開始は2021年10月上旬。

 渋谷駅徒歩圏でありながら、高級住宅街として知られる松濤・神山町エリアの一角で、都心3区で全用途に占める割合は4.1%しかない第一種低層住居専用地域に位置し、しかも敷地面積が4,000㎡超という都心3区で過去3物件しか供給事例がないという希少性が最大の特徴。従前敷地は外国人向け賃貸住宅。

 デザイン監修は渋谷を拠点に活躍する「GINZA SIX」などを手掛けたキュリオシティのグエナエル・ニコラ氏。「別荘in渋谷」をコンセプトに日本の美を意識した唯一無二の邸宅を目指す。外観は木調ルーバーを多用することで、コンクリートの存在をかき消す、周囲に調和するデザインとなっている。夜間にはライトアップすることで美しい風景を描き出す。

 住戸プランはPP分離を意識した平均104㎡超で、テラス付き12戸、最上階ルーフテラス付き3戸を用意。キッチンはジ―マティック、リビング天井高2600ミリ、突板仕上げの面材多用、全居室天カセ実装、24時間全熱交換換気。個別設計変更(カスタムアイズ)にも対応。各種の予約・手配・取次・紹介サービスも行う。

 見学会で同社第一計画部長・浦崎康弘氏は、「ザ・パークハウス グランとしては2019年に竣工した『南青山四丁目』に次ぐ7棟目で、1低層・渋谷区初。これまでのノウハウを生かした最高水準の物件に仕上げた」と語った。

03_エントランスアプローチ.jpg
エントランスアプローチ

13_ルーフ.jpg
ルーフバルコニー

◇       ◆     ◇

 同社から見学会の案内が届いたとき、坪単価は1,000万円と予想した。松濤・神山町ではこのところマンションの供給はほとんどなく、お金持ちの垂涎の的であるからだ。浦崎氏は都心3区(千代田区・港区・渋谷区)の1低層の割合は4.1%と話したが、千代田区には1低層はゼロで、港区もわずか1ha(全用途に占める割合0.0%)しかなく、渋谷区の174.3ha(同11.5%)が都心3区の1低層のほとんど全てを占める。松濤・神山町はそんなエリアだ。

 予想は外れたが、そんなに的を外したわけではない。敷地は北傾斜の比高差にして2層(6m)くらいの傾斜地で、建基法では地階に当たる北向き・西向きの70㎡・80㎡台の住戸の単価が低く抑えられているためで、上層階などは坪1,000万円を突破するはずだ。

 平均で坪800万円台後半というのは、同社物件のバブル崩壊後の最高値だった2013年分譲の坪800万円の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」(73戸)を超え、最高値を更新することになる。ちょうどこの日(14日)、東京株式市場の日経平均株価(225種)は3万795円まで上昇し、バブル崩壊後の最高値をつけた。

LD4.jpg
140㎡のモデルルーム リビング(34畳大、床は突板)

IMG_0416.jpg
洗面浴室(久々にタオルウォーマーを見た)

IMG_0406.jpg
茶室(モデルだからいいが、本物の茶室を提案してほしかった)

IMG_0417.jpg
主寝室クローゼット(いかにも高価そうな衣服がたくさん下げられていた)

社内外で評価された三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」(2014/7/22)

皇居が一望できる唯一無二の地所レジ「千鳥ケ淵」(2013/8/5)

松涛エリアで久々の新規 積水「グランドメゾン松濤」(2008/2/21)

20210914__ND49115.jpg
左からファーストエボリューション社長・須藤憲綱氏、品川氏、小島氏、高橋氏、中村氏、初澤氏(青山グランドホテルで)

 ファーストコーポレーションと中央住宅、中央日本土地建物は9月14日、これまでにないコンセプトの分譲マンションプロジェクト「ウェルビーイングシティ構想」の記者発表会を開催し、第一弾の「CANVAS南大沢」(181戸)のモデルルームを10月2日にオープンすると発表した。

 「CANVAS」は、暮らす人の身体的・精神的・社会的な健康状態がバランスよく調和の取れた状態であることを意味する概念「ウェルビーイング」をコンセプトに、様々なサービスの提供を通じて〈〝自分に正直でいい、自分らしく〟をかなえる暮し>を目指す。

 発表会の冒頭、登壇したファーストコーポレーション代表取締役社長・中村利秋氏は、「従来の分譲マンションは分譲すれば、その後は管理会社に管理を委託し、入居者と関わることはなかった。新規事業を立ち上げるべく検討を重ねてきた結果、生まれた今回のプロジェクトは、人々の暮らしを支える様々なサービスを提供することで持続可能な社会の構築の実現を目指すもの。3社が力を合わせて成功させたい」と語った。

 続いて、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏は、「2年前、中村社長からお話を伺い、地域の幸せ、豊かさを追求するという当社の理念に合致すると事業参画させていただくことを決定した。大きな第一歩としたい」と話した。

 中央日本土地建物専務執行役員・初澤剛氏は、「今回の新ジャンルは持続的、多面的な未来のシニア住宅時代を切り開くものとして育てていきたい」と語った。

 発表会ではこのあと、元フジテレビアナウンサーの小島奈津子氏と後輩の高橋真麻氏によるトークセッションが行われた。

 「CANVAS南大沢」は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、南大沢駅からバス7分徒歩3分、八王子市鑓水二丁目に位置する9階建て全181戸。専有面積は32.47~82.35㎡、価格は未定。竣工予定は2022年10月。設計・施工はファーストコーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 ターゲットは50代から70代で、年齢制限を設けず、子ども世代、孫世代との同居も想定。一般にも開放するレストランを併設しシェフサービスを行うほか、杏林大学病院-新川すみれクリニックとの24時間相談、リモート会議室、節税・自叙伝相談、フィットネス、大浴場、リゾートホテル宿泊優遇、入居者専用畑など多彩なサービスを提供する。橋本駅と南大沢駅を行き来するシャトルバスを運行する予定。

residence-img.jpg
「CANVAS南大沢」

◇       ◆     ◇

 上段は、プレス・リリースをコピペし、3氏が話したことをそのまま紹介した。ここまで読まれた方は、どのようなマンションかさっぱり理解できないはずだ。発表会に参加された約20名の記者の方も同様のはずだ。記者は発表会が始まってから約30分間、各氏の話を必死でメモし、コンセプト動画も見た。意気込みはよく分かるのだが、肝心の中身がよくわからない。どのようなマンションを分譲するのかさっぱり理解できなかった。

 似たようなサービスは、フージャースコーポレーションやコスモスイニシアが展開しているシニア向け所有権分譲マンションや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などにもあるが、シニア向け所有権付き分譲は年齢制限があり、どちらかといえば連れ合いをなくしたお年寄りが一人で入居するケースが圧倒的に多いはずで(コスモスイニシアは都市型なので夫婦入居比率は高いか)、老人ホームもサ高住も法律の規制が多く、そもそも老人ホームは利用権付きが圧倒的に多く、サ高住は賃貸だ。

 これらに対し、新構想は住、食、働、遊、学、健、看の7つのテーマを掲げている。そんなサービスを付加したらとんでもない価格になるのではないかなどと考え、出口、結論がさっぱり見通せず、イライラのみが募った。

 すると突如、鮮やかな「赤」(朱と呼ぶべきか)のドレスと、対照的な純白のドレスをそれぞれまとった女性二人が登壇したではないか。記者は近眼と老眼のため視力は0.2で、しかも遠目であったので容姿などは全然わからなかったのだが、美しさに見とれそれをよしとし、核心に迫る話題を提供してくれるのではないかと期待した。

 しかし、お二人からはそんな話はほとんど出ず、明るく元気なフジテレビパワーなどの話に花が咲いた。

 (お二人は元フジテレビのアナウンサーであることは事前に知らされてはいたが、昔はプロ野球ニュースや競馬中継はよく観たが、いまはお笑い番組など興味はないし、最近はほとんど観ないので、小島さんも高橋さんもどのような方か全く知らなかった。小島さんは50歳以上であることを、高橋さんはコロナ禍で出産したことを明かした)

20210914__DSC3804.jpg
小島さん(左)と高橋さん(共同PR提供=知らないのは記者だけ。かみさんは「昔のフジテレビのトップアナウンサー」と言ってました)

◇       ◆     ◇

 ここまで訳が分からない記事を辛抱強く読んでいただいた読者のみなさんに感謝します。これからが本番だ。まとまりを欠く起承転結がでたらめな発表会に対し、記者は皮肉を込めて「若い赤と白の女性の方が登場されて、もうコンセプトなとどうでもいいと思いましたが、もう少し具体的なプランを説明していただきたい。坪単価は200万円を下回ると思いますがいかがか」と挑発的な質問をした。

 あにはからんや、回答したのは正面に居並ぶお三方ではなく、袖に控えていた方が「価格は未定。申し上げられませんが、コンセプトは老人ホームに近い」と答えた。

 …なるほど。記者はもう少しヒントを得ようとその方に駆け寄った。名刺には「ファーストコーポレーション開発事業本部 第一開発事業部長兼シニア専任部長 細川潤」とあった。細川氏は、シニアに限定したくない、「老人」などの文言も使いたくない、看取りもやる、「介護」の問題はお年寄りだけではないなどと話した。細川氏は、自らトータルブレイン出身であることも明かした。

 これですべての疑問が氷解した。老人ホームでもサ高住でもシニア向けでもない新しい概念のマンションがどのようなものかおぼろげながら見えてきた。「看取り」までやるマンションなど記者も読者の皆さんも考えたことなどないはずだ。3社はそれをやるというのだ。

 まだ詳細は分からないが、記者は質問した「坪単価200万円以下」を取り消し、上方修正する。坪単価250万円は高すぎるような気がする。坪230万円でどうか。コンセプトの具体的な中身を分かりやすく訴えきれれば広範な支持を得るかもしれない。老人ホーム、サ高住、シニア向け分譲マンションの盲点をつく新しい提案になる可能性はありそうだ。

高級住宅街の一角に シニア向けフージャース他「デュオセーヌ緑山」(2016/10/11)

サ高住は終の棲家になるか 日比谷花壇・東建不販「グレイプスガーデン西新井大師」(2014/9/10)

img-main-01-sp.jpg
「プレミスト川口並木」

 大和ハウス工業が今年5月から契約を開始した「プレミスト川口並木」を見学した。駅から徒歩5分の全55戸で、これまでに供給した44戸のうち31戸が申し込み・成約済み。順調に進捗している。

 物件は、JR京浜東北線西川口駅から徒歩5分、川口市並木二丁目の商業・近隣商業地域に位置する10階建て全55戸。現在分譲中の第1期~第2期1次(14戸)の専有面積は61.00~70.52㎡、価格は4,330万~5,940万円(最多価格帯5,400万円台)、坪単価は257万円。竣工予定は令和4年1月下旬。施工は埼玉建興。販売代理は野村不動産ソリューションズ。

 現地は商業・近隣商業地域だが、通りから一歩入ったところで交通騒音もそれほどなく、嫌悪施設などもほとんどない。従前は駐車場。

 住戸は全戸西向きで、主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2500~2800ミリ、廊下天井高2400ミリ、食洗機、廊下幅最大1300ミリ、間口6300ミリ(一部除く)など。

 販売担当者は、「来場者は地元・川口市居住者が中心ですが、都内からも多く、価格の安さ、広さ、利便性が評価されています」と語っている。

img-08.jpg
エントランス

room_img_01.jpg
モデルルーム

◇       ◆     ◇

 記者は一昨年、駅から徒歩5分で住環境もいいにも関わらず坪単価が214万円という超〝割安感〟のある大京「ライオンズ川口並木グランゲート」(120戸)を取材している。

 今回の物件の坪単価257万円というのはやや高いという印象を受けたが、一駅都心寄りの川口駅の再開発マンションは坪340万円、都内・赤羽は坪400万円近くしていることを考えると、検討者も納得の価格なのだろう。

 63㎡のモデルルームはよくできている。グループのコスモスイニシアが最近力を入れている〝魅せる玄関〟によく似た廊下幅(収納含む)最大1300ミリと廊下天井高2400ミリの提案が目を引き、テレワークに適したリビングの造作家具(有償)もよかった。スパンは6300ミリ確保している。

 そして何より嬉しかったのは、若い女性の販売担当者が何とわがふるさと三重県出身だったことだ。記者は伊勢市の隣町出身だが、この女性の方は名張市だった。名張市は名古屋というより大阪が商圏なので、語尾に「な」が付く〝伊勢のな言葉〟とはややニュアンスが異なったが、それでも優しい語りは来場者にいい印象を与えるはずだ。

 同社に入社してから京都に3年、静岡に2年、首都圏は異動になって1年半とのことだった(年齢が分かってしまうではないか)。次の販売物件が決まったら、また取材を申し込むことに決めた。

IMG_0394.jpg
建築現場

◇       ◆     ◇

 西川口駅に着いたのが12時過ぎだった。取材の約束時間15時までかなり空きがあったので、どこかタバコが吸え、くつろげる場所はないかと2時間近くうろつきまわったが、全くなかった。すると、モデルルームと目と鼻の先に「喫煙可」の飲食店があった。この種の店には1年半以上も利用したことがないが、もう我慢の限界。意を決して入った。

 先客がいた。アンニョンハセヨ、チゲ、アニョー、クンニョー、ビビンバクッパ、チャヒョン、チョンマゲー、ハムニダ、ナムアミダブツ、ハムニダ、♥ Ü{ ♫⍨⍩˙▿˙%?…記者と同じくらいの年齢と思われる女性二人が並んで大きな声で会話を交わしていた。距離は十分あり、飛沫が飛んでくる心配はなかったが、あまりいい気持ちはしなかった。

 「ビールあります? 」「ありません」「ノンアルコールは? 」「あります」「じゃ、ノンアルコールのビールください」と注文し、これだけでは悪いと思い「辛ラーメン」を頼んだ。写真に収めた。半分残した。タバコは3本吸った。

 歩き回ったお陰で、エフ・ジェー・ネクストの「ガーラ・レジデンス川口並木パークサイド」36戸、名鉄不動産のコンパクトマンション「メイツ西川口」84戸の現場を見ることができた。

IMG_0400.jpg
これで料金は1,100円

坪単価214万円 信じられない安さ 大京 西川口駅から徒歩5分「川口並木」好調(2019/8/27)

lounge_p.jpg
ラウンジ

 積水ハウスが今週末の9月18日に抽選分譲する「グランドメゾン白金高輪パークフロント」を見学した。白金高輪駅から徒歩4分の全47戸、港区初のZEH認定を受ける予定で、中層階から隣接する公園の借景が望める港区内の希少立地と商品企画が素晴らしい。人気は必至と見た。

 物件は、東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅から徒歩4分、都営浅草線・京急本線泉岳寺駅から徒歩8分、JR高輪ゲートウェイ駅から徒歩14分、港区高輪1丁目の商業地域・近隣商業地域(建ぺい率100%、容積率378.77%)に位置する13階建て47戸。9月18日に抽選分譲される第1期(30戸)の専有面積は48.60~100.19㎡、価格は8,990万~24,990万円(最多価格帯10,900万円台・11,900万円台)。坪単価は650万円。竣工予定は2023年6月。設計・監理・施工は若築建設。

 現地は、オフィスビル跡地。駅から4分の商業・近隣商業エリアではあるが、表通りから一歩入った魚籃坂に面しており、敷地の西側は約5層分高い公園に隣接。将来にわたって(絶対ではないが)日照・眺望が担保されているのが特徴。

 建物は、魚籃坂に面した東側に内廊下を配し、住戸は西向き。13階建ての商業エリアが1フロア2戸、8階建ての近商側は1フロア4戸の2棟構成。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH、リビング天井高2450~2500ミリ、食洗機、ディスポーザー、食器棚、クォーツストーンキッチン天板、ハンズグローエ水栓、ミストサウナ、床ワイパー洗浄、「乾太くん」(有償)、メーターモジュール廊下をはじめとするUD仕上げ、空気環境配慮システム「エアキス」など。

 販売担当の同社東京マンション事業部販売課マンションギャラリー店長・金子氏は、「港区×駅徒歩5分以内×敷地が3,000㎡以上の公園に隣接している物件の条件でくくると、今回の物件は過去26年間に港区で供給された590物件のうち3件目という希少物件。エリアには大小を含め6~7競合物件がありますが、集客状況は順調」と語っている。

lighthall_p.jpg
エントランスの和紙の光壁

IMG_0384.jpg
隣接公園から建設現場を写す

IMG_0385.jpg
公園

IMG_0388.jpg
公園から三菱地所レジデンスの建設現場を写す

◇       ◆     ◇

 今日(9月13日)は、この物件と大和ハウス工業の「川口並木」を見学したのだが、取材時間が異なったため約8時間というもの、ほとんど歩き放しだった。コロナから逃げるため飲食店には入らず、たばこが吸える場所を探したためでもあるが、へとへとに疲れた。万歩計は久々に1万歩を記録したが、コロナ前は平気でこれくらい歩いていたので、いかにコロナに足腰をやられたかを改めて思い知った。

 なので、細々したことまで「書こう」「書きます」「書く」「書くとき」「書けば」「書け」という記者の別の声もあるが、「書かない・書けない」という結論に達した。申し訳ない。コロナが悪いのだ。

 坪単価が低く抑えられているのは、公園レベル以下の4階までの住戸の価格が低く設定されているためだ。第1期30戸のうち価格が1億円を下回るのは2戸しかないので(2期以降も1億円以下は1戸くらいか)、お金持ちしか買えないだろうが、文句なしにいい物件だ。

 隣接する公園は、現況では迂回してきつい坂を上らなければならないが、記者が確認したところ、公園と敷地との間に閉鎖はされていたが5層(約15m)の階段があった。建物が完成したらまた復活するかもしれない(復活しない可能性ももちろんある)。そうなったら、上り下りは大変だろうが、公園が我が家の庭のように利用できる。公園には差し渡し1mを超えそうなクスの大木などが植わっている。由緒ある公園のようだ。

 同社の「白金」エリアの物件は主だったものだけで5物件あるそうだが、今回の物件はあらゆる条件が揃った物件ではないか。

IMG_0389.jpg
早期完売した大和ハウス工業のマンション

積水ハウス 同社の首都圏初のZEH「センター北」好調スタート/20年間の記事も再録(2021/2/3)

先行逃げ切りか まくり一発か レベル高い 大和ハウス「プレミストタワー白金高輪」(2020/9/19)

坪単価は700万円を超えるかどうか 東京建物ほか 山手線内最大級「白金ザ・スカイ」(2019/7/29

三菱地所レジ 高輪・三田で4物件580戸 常設モデル開設 第一弾「高輪」は坪640万円(2019/1/18)

積水ハウス「グランドメゾン白金の杜ザ・タワー」「伊勢山」と肩を並べる記念碑的マンション(2013/8/20)

比較表.png

9月グラフ.png image002.png

 東京都の新型コロナ感染者に占める年少者の割合が激増していることはこれまでも指摘してきたが、直近の9月5日から11日までの1週間の感染者10,474人と1月17日から23日までの1週間の感染者9,099人の年代別感染者数・比率を比較してみた。

 20歳未満の感染者と全体に占める割合は、直近1週間は1,981人で18.9%に達しているのに対し、1月時点の感染者は763人で8.4%だった。10ポイント以上も上昇している。

 一方、ワクチン接種が進んでいる70歳以上の感染者は、1月では1,380人、15.0%だったのが、直近1週間は496人、4.7%となっている。60代も直近1週間の感染者は1月よりほぼ半減し、比率も1月の9.0%から4.3%へ減少している。

 感染者がもっとも多い20代の直近の感染者は1月より人数も比率も増加しているほか、30代も同様の傾向を示している。

20歳未満・高齢者の比率増加20代は減少 グラフで見る東京都のコロナ感染者(2021/9/4)

 

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は910日、首都圏の20218月度の不動産流通市場の動向を発表した。中古マンション、中古戸建ても新規登録、在庫が減少し、価格は上昇傾向を示す一方で、土地面積、専有面積は縮小傾向にあるなど、市場はひっ迫の度合いを強めている。かつてのバブル発生時は中古市場が新築市場をけん引したが、今回は双方が影響を与え合う様相を呈してきた。

中古マンション 新規登録、在庫減少し成約単価は16か月連続上昇

中古マンションの成約件数は前年比で14.3%減となり、7月に続いて前年同月を下回った。成約㎡単価は前年比7.9%上昇し205月から16か月連続、成約価格は同3.5%上昇し、206月から15か月連続で前年同月を上回った。専有面積は同4.1%縮小した。

新規登録件数は前年比12.4%減の1,319件で、在庫は同19.0%減の34,594戸となっている。

地域別では、成約件数は7月に続いてすべての地域が前年比で減少し、東京都区部と多摩は3か月連続、他の地域は7月に続いて前年同月を下回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇し、東京都区部は16か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は15か月連続、千葉県は13か月連続で前年同月を上回った。

中古戸建て 新規登録21%、在庫31%減 価格は10か月連続上昇

中古戸建ての成約件数は前年比で9.9%減少し、206月以来14か月ぶりに前年同月を下回った。成約価格は前年比で6.1%上昇し、10か月連続で前年同月を上回った。土地面積は前年比で6.2%縮小、建物面積は同1.4%縮小した。

新規登録件数は前年比20.6%減の3,689件で、在庫件数は同30.7%減の13,690件となっている。

地域別では、成約件数は東京都区部以外の地域が前年比で減少し、横浜・川崎市と埼玉県は13か月ぶり、神奈川県他は11か月ぶりに前年同月を下回った。成約価格は東京都区部以外の地域が前年比で上昇し、埼玉県は9か月連続、横浜・川崎市と千葉県は6か月連続で前年同月を上回った。

新築戸建ての成約件数は前年比34.7%減、成約価格は同4.3%減、新規登録は同38.3%減、在庫は同45.9%減となっている。

 

 積水ハウスの「ウッドショック」による損失額は2022年1月期第2四半期決算段階で50億円となり、「鋼材値上がり」(アイアンショック)による損失額20億円と合わせ70億円を顧客負担に転嫁せず、自社で負担したことが分かった。代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏が9月10日行われたオンラインによる経営計画説明会で明らかにした。

 同社の2022年1月期第2四半期決算は、戸建て住宅や賃貸住宅事業が堅調に推移し、増収増益となり、通期でも3月4日に公表した業績予想を上方修正。通期で2円の増配も予想している。

積水ハウス2022年1月期2Q 戸建て・賃貸事業好調で増収増益 通期予想も上方修正(2021/9/9)

R0008875-thumb-621x411-1822.jpg
「現代数寄屋『檜の家』」

 別掲のナイスが9月18日にオープンする注文住宅モデルハウス「tvkハウジングプラザ横浜」とともに、隣接する同社グループ菊池建設のモデルハウス「現代数寄屋『檜の家』」を見学した。木造ファンの記者は「tvk横浜」にある50以上のモデルハウスのうちどこが好きかと聞かれたら、ここを真っ先に挙げる。モデルハウスは、木造2階建て延べ床面積約224㎡(68坪)。

 宮大工・菊池安治が1955年に創業した同社ならではのモデルハウスだ。社寺・仏閣の工事事例が豊富な、その匠の技がいたるところに施されていた。

pho_mod0202_ga_002.jpg
玄関

pho_mod0202_ga_005.jpg
「広間茶室」

R0008847.jpg
「群青の間」

 外観-アプローチ-玄関は高級料亭そのもので、そのまま酒席に案内されるのではないかという錯覚を覚えた。

 最初に案内されたのは、8帖の「広間茶室」と6帖の「群青の間」だった。見たとたん記者が育った昔の住宅がよみがえった。昔の住宅の欄間には贅を尽くした装飾が施され、その奢侈のほどが家の格にもなった。

 今回の「檜の家」の欄間は端正な格子模様で奢侈に流れる嫌みは全くなく、見えないところに匠の技が注ぎ込まれていた。

 説明を行ったのは同社代表取締役社長・松本敏氏で、わが国には天然針葉樹で建材に用いられるのは木曽ヒノキ、秋田スギ、青森ヒバの3種しかなく、「広間茶室」に使用されている化粧柱は伊勢神宮に用いられている木曽ヒノキそのものと松本社長は話した。

 それだけではない。柱は樹齢300年、差し渡し1mもある巨木のうち、芯を外した部分を使用することで、柱の4面には板目がまったく出ない、分かりやすく言えばバームクーヘンのような切り口にはならないものを使用しているとのことだった。

 柾目と板目の区別は記者もできるが、4面とも均一の表情になるのか説明はさっぱり理解できなかったので値段を聞いたら、松本社長は「市場には出回らないから値はつけられない。普通の柱との比較? これくらい(長押まで手を伸ばした)」と語った。

 記者は、同社の「ハウジングプラザ松戸」モデルハウスに使用されていた古木の「神代欅」を見ているがそれと同じような希少なもののようだ。

 その柱をしげしげと眺め、触ってみた。樹齢300年、築30年ものなら、記者のような醜い老人斑だらけになっておかしくないのに、木肌にはシミなど一つもなく、肌触りは例えていえば芳紀まさに十八か、あるいは鬼も十八番茶も出花というべきか、薄絹のようなきめの細かさだった。その美しさにほおずりしたくなったが、あの金メダルをかじって顰蹙を買った市長さんが目の前にちらつき思いとどまった。

 この柱に舞い上がり、香気に酔った記者は、もう充分、早く帰って記事を書こうと決めたのだが、それだけでは済まなかった、次に紹介された「和厨・茶の間」にとどめを刺された。

 主人(料理人)と家族、友人知人などが食を通じて語り合う空間デザインにほれ込んだ。目線を近づけるように「和厨」は「茶の間」より20cm下げ、床はケヤキのナグリ仕上げだった。

 説明をした方は、まるで高級料亭のシェフかデパートの催事のトップセールスマンかと見まがうほどの巧みな話術でもってまくし立てた。記者は、どこかから借りてきた講釈師ではないかといぶかり、名刺交換をした。「菊池建設 取締役営業本部本部長・二瓶正裕」とあり、松本社長と同じ「一級建築士」だった。

 松本氏や二瓶氏の凄いのは、口八丁手八丁の手練手管で客を丸め込むタイプとは真逆の本物の「士」であり、手抜きをしそうな添え物にまで細やかな気配りをしていることにもそれが現れていることだ。

 添付した和食を擬した写真を見ていただきたい。住宅展示場は火気厳禁なので料理を作り、供することは不可能なので、削り節に似せたものは鉋屑であることはすぐわかった。和食料理の添え物としてよく利用されるヒノキも添えられていた。てっきりフェイクだろうと思ったが、本物だった。鉢物にはこれまた本物の杉の種子が使われており、鰹節もまたスーパーなどで売っているような安価な代物ではなく、最高級の土佐の鰹節だったし、玄関正面の飾り床にも本物のヒノキが飾られていた。

 記者は、これまで何度もモデルルーム・モデルハウスのフェイクの観葉植物はやめよと書いてきた。フェイクはおもてなしの心の欠片もない、「画竜点睛を欠く」そのものだ。せっかくの立派な設備を台無しにする。菊池建設はそんな愚を犯していなかった。ここに匠のこだわり、矜持を見た。

 ナイスは有線テレビ事業も行っている。「檜の家」の販促のテレビショッピングを立ち上げ、「茶室・群青の間」には松本社長を、「和厨・茶の間」には二瓶氏をそれぞれギャラなしの講釈師に起用して宣伝すれば、ジャパネットたかたも真っ青の売り上げを達成するのではないか。お二人には成果報酬としてストックオプション制度を導入すれば文句は言わないだろうし、費用も最小限に抑えられるではないか。

IMG_0367.jpg
広縁-書院-広間茶室の床の間

IMG_0369.jpg
左が築30年の和室柱、右が新しい木曽ヒノキの板

IMG_0373.jpg
「和厨」のケヤキのナグリ床

IMG_2396.jpg
菊池安治が開校した日本建築専門学校キャンパス(トイレは出たくなくなるほど気持ちがいい空間だ)

ナイス46種の「木」を使用した注文住宅モデルハウス 「tvk横浜」にオープン(2021/9/11)

人が歩くと床が鳴く「鴬張り」体験 匠の技と現代技術を融合 菊池建設のモデルハウス(2017/1/19)

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン