大東建託 セーフティネット住宅の登録住宅は約45万戸 全国の90%超か
セーフティネット住宅の登録件数・戸数が激増していることは先に書いたが、激増をけん引している大東建託パートナーズから記者の質問に対して以下の回答があった。
2021年7月12日現在、同社の全国登録住棟は63,686棟、住戸450,435戸となっている。同社は登録戸数に関し、「条件を満たす物件情報をデータで提供しており、直接登録作業を行っているわけではございません。登録作業につきましては、国交省の委託先企業様と各自治体において行われているため、1年間で登録された戸数に関しては、国交省の委託先企業様に確認作業が必要」としている。
このため、セーフティネット住宅情報提供システムに登録されている現在の総登録件数67,728件(棟に読み替えることができるのか)、総登録戸数496,884戸とデータは必ずしも一致しないかもしれないが、単純比較すると、同社の比率は棟数にして94.0%、戸数にして90.7%に達している。平山教授が指摘する「住宅セーフティネットとは大東建託物件のこと」を裏付けている。
登録を増やしている理由について同社は、「住宅セーフティネット制度発足時に、国交省より弊社に登録の協力依頼がありました。担当官より、制度の主旨および内容の説明を受け、それに賛同した為、ご協力させていただいております。弊社が進んで登録を行うことで、制度の認知度拡大や他社様の登録促進に繋がればよいと考えております」と回答している。
今後の方針については、「建物オーナー様や賃借人様への積極的なアピール等は実施しておりません。昨年より、国交省の委託先企業様へセーフティネット住宅制度の条件に合致する物件データを提供しております。提供した物件データは、各自治体の審査を経て、システムが整い次第、順次、セーフティネット住宅情報提供システムにアップされる仕様となっています。今後も国交省および各自治体と協力しながら登録を進めてまいります」としている。
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記者は賃貸住宅市場や同制度のことはよくわからないのでこれ以上書かないが、「住宅確保要配慮者の入居を拒まない」セーフティネット住宅法の趣旨からして賃貸管理トップ企業の同社が積極的に登録を進めているのはよく理解できる。
「住宅セーフティネットは-少なくとも現在の制度では-住宅困窮への対応に関し、ほとんど役に立ちそうにない」と結論づけた平山論文(「世界」2021年5月号)に関係者は向き合い、法が実効あるものになるよう取り組んでいただきたい。絶対的な量不足時代の陋習にしがみつく、利回りありきの賃貸市場から脱却してほしい。
リスト AIシステムを用いた高額中古マンション価格上昇率ベスト10発表
リストは7月13日、同社が開発したAI査定システム「mAI List(マイリスト)」を用いた高額帯マンションの査定額騰落率ランキングを作成・発表した。
東京23区内の築15年以内、新築時の平均販売価格が2億円以上の高額帯マンションに絞って作成したもの。
リストグループで都心の高額帯物件の仲介を行うリストインターナショナルリアルティ ウェルス事業部執行役員・銀座オフィス支店長の福島麦氏は次のようにコメントしている。
高級マンションが立ち並ぶ3Aエリアや人気の番町エリアが上位に来ていることは納得。また、有名建築家デザインのマンションや供給の少ない立地のマンションが上位に来ている印象。平均価格2億円以上の高額帯のマンションは、強固なセキュリティやコンシェルジュサービスなどソフト面の充実、大型車が置ける駐車場付きであることが必須条件に挙げられることが多い。
加えて、ペントハウスや庭園付き、300㎡以上の広々とした専有面積、眺望が良いなどの条件は、都心エリアでは供給が限られるため希少性が高く価値がつきやすい傾向にあり好まれる。
特に最近は、在宅時間の増加から広い家を求める富裕層顧客も多く、広い住戸は価値がより一層つきやすいのではないか。
インバウンド顧客は眺望を最も重視することが多い。また、新築マンションの供給は限られているので、築年数にこだわる顧客は減っている。
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この10物件のうち1位の「パークマンション三田日向坂」、10位の「ブリスベージュ神宮前」は取材しておらずよくわからないが、他の8物件は全て取材している。記事を検索した。「プラウド南青山」「パークマンション白金台サンク」はヒットしなかったが、残りの6物件は記事が残っていた。添付したので参考にしていただきたい。絶賛した物件もあり、それがAIに評価されているのはとても嬉しい。
現在の査定価格でもっとも坪単価の高いのは「パークコート青山 ザ・タワー」の1,510万円だ。この価格に記者も納得。コロナが収束し、再び経済が活性化すればまだまだ都心の好立地・高額マンションの価格は上昇するはずだ。新築で坪3,000万円は時間の問題だと思っている。
10物件のうち半分が三井不動産レジデンシャルの物件で、大和ハウス工業が2物件、野村不動産、三菱地所レジデンス、オリックスが各1物件だが、三井不動産レジデンシャルが高額マンション市場で独走しているのもよくわかる。2位以下との差は大きい。
機会があったら、同社のAIと対決したい。どちらの見る目が正鵠を射るか勝負しようぜ。
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)
乃木神社に隣接 垂涎の立地 三菱地所「乃木坂パークハウス」(2008/3/7)
「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)
またまた千葉NT中央で驚異的な売れ行き 大和地所レジ「アリーナ」176戸
「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央アリーナ」
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央アリーナ」を見学した。駅北口から徒歩5分のイオンモールに近接する100㎡中心の全176戸で、3年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央ザ・フロント」234戸からまだ2年半というのに、分譲開始2か月ちょっとですでに100戸弱を成約するなど信じられない売れ行きを見せている。
物件は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分、印西市中央北一丁目の商業地域(建ぺい率は角地緩和により90%、容積率600%)に位置する15階建て全176戸。8月分譲予定の第2期1次(戸数未定)の専有面積は85.28~100.35㎡、価格は3,800万円台~4,900万円台、坪単価は160万円。竣工予定は2022年10月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。
5月から販売を開始し、これまでに100戸弱を成約している。買い替え希望は約4割。買い増しも目立つ。
現地はイオンモールに徒歩3分、二方接道の角地。従前は駐車場(所有者はUR都市機構)。建物はL字型で、標準階の住戸は南南西向き7戸:南南東向き5戸。100㎡超の住戸割合は約67%。
主な基本性能・設備仕様は、奥行き約4メートル、広さ約10畳大のオープンエアリビングバルコニー付きが74戸、直床二重天井、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、メーターモジュール廊下、スロップシンク、1620浴室(85㎡除く)、天然御影石キッチンカウンター(11階以上)など。共用施設としてキッズルーム(集会室)・パーティルーム(集会室)など。駐車場は全戸分。
モデルルーム
玄関・廊下
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今回も坪単価から。この前の東京建物「ブリリアタワー前橋」も大成有楽不動産「オーベル戸田公園レジデンス」も単価予想はズバリ的中した。今回も的中させて3連勝といきたいところだが、同社が3年前に分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央ザ・フロント」(記事参照)の例もあるので一筋縄ではいかないのは百も承知だ。
振り返ってみる。「中央ザ・フロント」は、駅南口から徒歩5分、住戸プランは8mワイドスパンの100㎡が中心で、その他の設備仕様レベルは今回とほとんど同じだった。(坪単価は140万円)
今回は駅北口のイオン近接の一等地だ。「中央ザ・フロント」のような価格では無理で、坪175万円以下はありえないと読んだ。
しかし、予想は大幅に外れ坪160万円。「奥の手を使ったのか」と担当者に質問したが、用地を安く仕入れられたことをにおわすのみで、それ以上の回答は得られなかった。
これ以上は深入りしない。同社は、千葉ニュータウンエリアで今回の物件を含め6物件1,420戸、戸建て274戸の合計1,694戸と他社を圧倒する供給量を誇り、街づくりに貢献していることが考慮されているのではないか。
商品企画では、「中央ザ・フロント」と異なっているのは玄関で、「中央ザ・フロント」では幅1.4m×奥行1.6mだったのを今回は1.4m×2.2mとし、広くなった部分にはコートなどが掛けられる収納にしていることだ。それにしても1坪近い玄関スペースを設ける郊外型マンションなど皆無だろう。100㎡だからこそできる芸当だ。主寝室はほとんどが8畳大。
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今回の取材でさもありなんと思ったことが一つある。これは同社に限ったことではないが、マンションが分譲されるたびに近隣住民が見学するケースは多い。ましてや同社は1,420戸もの住宅を分譲している。既購入者がわが家と比較しようと見学に訪れるのは当然だ。
そこで、同社はコロナ禍でもあり、一般にモデルルームを公開する前に既購入者限定の見学会を実施したところ、紹介契約が10件前後もあったという。レベルが低いマンションならまずありえないことだ。
建設現場
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記者は全国住宅産業協会(全住協)とずいぶん前に縁を切ったが(切られたのではない)、同協会の優良事業表彰に同社は第8回の「ヴェレーナシティパレ・ド・シエル」、第9回の「ヴェレーナガーデン千葉ニュータウン中央Ⅰ街区」、第10回の「ヴェレーナグラン山手」、第11回の「ヴェレーナシティ上大岡」と4年連続で受賞した。
記者はこれら全てを見学しているが、11回の「上大岡」は2019年に分譲された首都圏の代表的なマンションだと思う。来年の12回では「ヴェレーナグラン赤羽北フロント」が受賞するのはほぼ間違いない(エントリーすればだが)。
このところの建築費の高止まりを背景に、マンションの基本性能・設備仕様はどんどん退行している。第一次取得層向けの専有面積は70㎡を割り込み、昭和50年代後半に流行った66㎡(20坪)の3LDKが堂々とまかり通っており、天井高も2400~2450が主流になり、床暖房、ディスポーザー、食洗機もない郊外部マンションがたくさん供給されている。
それだけに同社の商品企画は異彩を放つ。完成在庫を出さないのは商品企画が優れているからだ。100㎡住宅を3年間で400戸超も供給するデベロッパーなどほかにない。中堅所得層にとって希望の星というのは言い過ぎか。
駅前の広場
駅近100㎡ 商業隣接 驚愕の坪140万円 大和地所レジ「千葉NT中央ザ・フロント」(2018/10/30)
価格と駅距離の壁跳ね返す 大和地所レジ「西新井」5カ月で半数成約(2021/5/10)
大和地所レジデンス2020年3月期 計上870戸 期末まで全戸完売(2020/4/2)
大和地所レジデンス 横浜磯子区の第一種低層で大規模マンション 商品企画に力(2016/9/23)
大和地所レジデンス 千葉NT中央でユーロデザインの戸建て全275区画分譲へ(2016/11/2)
景観風致地区の一角 大和地所レジデンス「ヴェレーナグラン山手」(2018/5/8)
2019年ベスト3マンション 三井他「晴海」地所「北千住」大和レジ「上大岡」(2019/12/24)
天晴れ!大和地所レジ 仕入れの妙 商品企画にも生かす「赤羽北フロント」(2020/9/9)
激増セーフティネット住宅 1年で政府目標の2.8倍 大東建託がけん引/必読の平山論文
7月6日付「週刊住宅」がセーフティネット住宅について次のように報じた。
「当初政府は20年度末までに全国で17万5000戸の登録住宅確保を目指すとしていたが、本紙の取材で、21年度6月末の段階で登録数は47万8102戸と予想を大幅に上回っていることがわかった」
最近の同紙はニュース・リリースのオンパレードで、独自取材記事などほとんどないのでびっくりした。
登録数増加の背景としては、「現在空き家の数が過去最高の846万戸(2018年住宅・土地調査統計)に上っていることが挙げられるが、一方で、シェアハウスに関しても基準を満たしていれば賃貸物件として登録が可能になったこと、また、高齢者の入居支援を行うNPOや社会福祉法人、さらに関連業務を行う企業も『居住支援法人』として都道府県から認められたことが大きい」としている。
なるほど、そうかもしれない。しかし、同紙は政府目標をはるかに上回る戸数に伸びたその具体的な理由については触れていない。同制度の普及に国土交通省などが力を入れてきたことは理解できるのだが、常識的に考えればそんなに一挙に伸びるはずはないし、空き家の増加は今に始まったことではない。コロナ禍とはいえ、住宅困窮者向けの申請もまたそんなに激増することなどありえないではないか。
そこで、裏に何かが隠されていると直感し、セーフティネット登録住宅の推移を調べた。別表・グラフがそれだ。その激増ぶりは目を見張るものがある。平成30年11月では全国で4,448戸しかなく、令和2年4月の段階でも約3.0万戸だったのが、同7月には約6.0万戸へと倍増し、同11月には約13.6万戸へとさらに倍増し、令和3年2月には約30.2万戸へと一挙に政府目標を達成すると、同7月には約48.2万戸へ政府目標の実に約2.8倍に達した。同紙は「本紙の取材で…分かった」としているが、同制度の登録件数などはセーフティネット住宅情報提供システムで誰でも自由に閲覧できるから、実際は取材で分かったのではなく、取材してこなかったから〝知った〟というべきだ。(かくいう記者も同様だ)
なぜ、そんなに増えたか。国土交通省は「法改正当初はなかなか認知されなかったが、その後、普及活動に力を入れ、公共団体とも連携し、申請にかかる手数料を減免し、煩雑だった申請手続きの簡素化などを図ったのが大きな背景」としている。
東京都と埼玉県にも聞いた。東京都は、昨年の今ごろは二千数百戸しかなかったのが現在約4.1万戸に増加したことについて「大東建託パートナーズさんの申請があったため」と答えた。令和元年度末では800戸弱だったのがいまは約4.5万戸に増加した埼玉県は「特定の法人の申請がたくさんあったため」としている。なぜ増加したかについては、双方からは「申請が増えたため」と木を鼻でくくるような回答しか得られなかった。
しかし、「大東建託パートナーズ」という具体的な名前が得られたのは大きな成果だった。さらにネットで検索したら、凄いデータに突き当たった。
全国借地借家人組合連合会の2021年5月15日付の全国借地借家人新聞だ。それには「平山(洋介)神戸大学大学院教授は国交省の登録住宅のインターネットに掲載されている『セーフティネット住宅情報システム』から、住宅セーフティネット登録住宅の実態について分析し、日本住宅会議会報2021年111号に発表しました」とあり、「登録住宅21万7308戸(2月5日現在)の実に85%は大東建託の物件で、ビレッジハウスが9.8%を占めています」とあるではないか。
つまり、「昨年まで低迷していた登録住宅が大東建託の物件の大量登録で国の目標を一気に超過達成」した理由であることを平山教授が突き止めたというのだ。
記者は2018年11月、東京都の登録物件を全部調べ、現地取材も行い、ずさんな審査(失礼)と億ション並みの家賃設定に批判的な記事を書いたが、平山教授は全国の21.7万件を全て調べたというから脱帽する以外ない。
平山教授からは、「世界」2021年5月号に掲載された「これが本当に住まいのセーフティネットなのか」と題する8ページに及ぶ論文を送っていただいた。そこには「『住宅セーフティネットとは大東建託物件のこと』といっても、それほど過言ではない」とあり、住宅確保要配慮者のみを対象とする専用住宅は、登録住宅全体のわずか1.3%しかないと指摘し、「住宅セーフティネットは-少なくとも現在の制度では-住宅困窮への対応に関し、ほとんど役に立ちそうにない」と結論づけている。
これには頭をどやされた。関係者の皆さんもぜひ「世界」5月号を買って読んでいただきたい。これを読まずしてセーフティネット住宅を語れない。必読の論文だ。ただ一つ、論文で気掛かりなことがある。住宅確保要配慮者のみを対象とした専用住宅は、なんだか姨捨山のような施設のイメージしか湧いてこないことだ。集合住宅を含めた街というものは、お金持ちも貧乏人も年寄りも若い人も健常者も障がい者も一緒に住めるのが本来の姿だとずっと前から考えてきた。画一的な街づくりやマンションの失敗例をたくさん見てきた。専用住宅の増加は手放しで喜べない。
「いい部屋ネット」で全国展開している大東建託は、「当社の2020年3月末時点における居住用の管理戸数113万218戸が、(週刊「全国賃貸住宅新聞」)が調査した管理会社1,083社の中で第1位となりました。当社は、同ランキングにて1997年から24年連続で第1位を獲得」(同社ホームページ)している賃貸管理トップ企業だ。同社にはどうして申請が増えたかを問い合わせ中だ。回答が得られれば記事に追加する。
平山教授が喝破したセーフティネット住宅の現実を突きつけられると、低所得者や被災者、高齢者、障がい者、子どもがいる世帯、その他住宅確保要配慮者が差別されない良質で安価な住宅が供給されるのは夢物語に過ぎないのか-「週刊住宅」には気づかせていただいたことには感謝するが、もっとしっかり取材していたら「シニア住宅にビジネス好機」の見出しは付けられなかったはずだ。小生もそうだが記者は〝全て疑ってかかれ〟というのが基本だ。
坪3.5万円!億ション以上 現地見ずに家賃判断 審査は適正か セーフティネット住宅(2018/11/9)
駅6分のアプローチは緑道 現地は公園隣接 大成有楽不「戸田公園」好調スタート
「オーベル戸田公園レジデンス」
大成有楽不動産が分譲中の「オーベル戸田公園レジデンス」を見学した。駅から徒歩6分の全43戸で、車道をほとんど渡らずに済む緑道アプローチと、小公園に隣接しているのが特徴。5月末販売開始の第1期27戸のうち20戸が成約するなど好調なスタートを切った。
物件は、JR埼京線戸田公園駅から徒歩6分、戸田市本町二丁目の近隣商業地域、第1種住居地域、第2種中高層住居専用地域に位置する11階建て全43戸。専有面積は55.82~66.59㎡。坪単価は250万円。竣工予定は2022年5月下旬。設計・監理は安宅設計。施工は東鉄工業。5月末から販売を開始し、第1期27戸のうち20戸が成約済み。
現地は、二方道路に接道。敷地西側は「かじやさくら緑地」に隣接。建物は全戸南東向き。主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450~2800ミリ、食洗機、ミストサウナ、防音&Low-Eガラスなど。
販売を担当する同社マンション事業本部事業室(第二)係長・岩橋亮介氏は、「この物件は、自社で直接販売も担当する第一号。わたしはかつて販売会社(大成有楽不動産販売)に在籍していたので、顧客対応は全く問題ない。販売状況はまずまずのスタート。立地条件は競合物件に負けない」などと語った。
モデルルーム
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マンション見学で何が楽しいかといえば、もちろん商品企画の優れた物件に出会い、街並みを確認できることが一番だが、単価予想を的中させることもそのうちの一つだ。自慢ではないが、8割くらい的中する。40年以上もずっと継続して取材しているからだ。
今回も、駅に降り現地に向かいながら予想した。戸田市は財政力が豊かなのに、緑被率は埼玉県下で下から数えて4番目の0.18と極めて低い(最低は蕨市の0.04)のが難点だが、この物件は、埼京線の線路に沿って整備されているサクラやクヌギの並木が美しい緑道を通っていけるではないか。徒歩6分のうち車道を渡らなければならないのは2か所くらいしかない。駅と自宅の間にストレスがかからないのは何よりも嬉しいことだ。
そこで思い出したのは、昨年11月に見学したタカラレーベン「レーベン戸田公園GRANVARIO」58戸だ。今回の物件とは方向は逆だが、やはり駅から続く緑道を抜けたところに立地していた。坪単価は260万円だった。
今回の物件は、タカラレーベンの物件より1分だけ遠いので坪単価は250万円と予想した。前述したとおり予想はどんぴしゃり。
モデルルームは、ハーフモデルだったが、専有面積が65~66㎡のコンパクトであることを考慮し、居室ドアは全て引き戸とし、使い勝手と収納力が〝売り〟の同社オリジナル「O-range STORAGE(オレンジストレージ)」が標準装備されている。TOTO製の偏心洗面ボウルは新製品なのか、美しい。
この偏心洗面ボウルは美しい
建設現場
「かじやさくら緑地」(この背後がマンション)
第6のアセットクラス「三井のラボ&オフィス」 住宅不可の新木場に開業
「三井リンクラボ新木場1」
三井不動産は7月8日、賃貸ラボ&オフィス事業「三井のラボ&オフィス」の都心近接型施設の第二弾「三井リンクラボ新木場1」が7月1日に開業したのに伴うメディア向け見学会を行った。通常のオフィス空間に加え、実験専用の排気ダクト、空調室外機、緊急用シャワー施設などの増設スペースを確保しているのが特徴。
物件は、東京メトロ有楽町線・東京臨海高速鉄道りんかい線新木場駅から徒歩11分、江東区新木場2丁目に位置する敷地面積約3,300㎡、5階建て延べ床面積約11,169㎡。総貸付面積約7,867㎡。基本計画は日建設計。設計・監理・施工は鹿島建設。建物は今年3月に竣工済み。入居希望企業は、竣工後の仕様を確認してから決定したいということから、現段階では6~7割の入居率という。
今回のプロジェクトは、国際基準の本格的研究が可能なBSL2対応のウェットラボ仕様とし、スタートアップ企業やCRO、異業種からの参入までを可能とするライフサイエンス領域の様々なイノベーションプレイヤーの入居を想定。1フロア約110~1,600㎡のニーズに対応する。また、100人収容の会議室も設置しているほか、社内外のコミュニケーションを活発にさせるためのラウンジ、カフェを設置し、エントランスにはキッチンカー専用の駐車場も設けている。
「三井のラボ&オフィス」は、ライフサイエンス領域において一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)とともに2016年に立ち上げたもので、参加特別会員は461会員、2020年のイベント実施回数は357件に達するなど、国内外の連携の輪が広がっている。
同社はオフィスビル、住宅、商業施設、ホテル・リゾート、物流施設に続く「第6のアセットクラス」としてこの事業の拡大を図っていくとしており、2021年11月竣工予定の「(仮称)三井リンクラボ柏の葉」、2023年春竣工を目指す「新木場エリア2棟目」も計画。先に竣工稼働している「三井リンクラボ葛西」も含め4棟4棟体制となる。また、米国ボストンの「(仮称)イノベーションスクエアPhaseⅡ」(延べ床面積約28,400㎡)も2021年に竣工する予定。
コミュニケーションラウンジ
様々な配管が設置されているバルコニー
会議室
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オンラインで発表会に参加した記者の方が、事業費や賃料について質問した。同社は当然答えなかった。
この記者の方は答えが返ってこないのを承知のうえで聞いたのか、それとも特別の意図があったのかわからないが、記者は全く別のことを考えていた。設計が日建設計で、施工が鹿島建設であったことだ。わが国を代表する設計会社とゼネコンが、約11,000㎡(3,000坪)程度のオフィスビルを設計・建設した事例はそうないはずだ。ここに隠された何かがある。単純計算だが、レンタブル比率は7,867÷11,169=70.4%だ。こんなビルも少ないはずだ。
さらに言えば、賃料などは同社も入居を考える企業も二の次の問題ではないかということだ。普通のオフィスビル立地として、「新木場」はまずありえない。記者は計画が発表された2019年6月、現地を見学取材している。それまで知らなかったのだが、この新木場一帯は、規模にして皇居をはるかに上回る約151haが地区計画によって「住宅不可」に定められている。
「住宅不可」といえば調整区域だが、調整区域は住宅や商業施設はないかもしれないが、その分だけたっぷりの緑環境が確保されている。ここ新木場は、図体がでかい分だけ大きな騒音を撒き散らすトラックの往来が激しく、飲食店や遊興施設、公園など一つもなかい。あったのは1軒のコンビニだけだった。いくら賃料が安くても、普通の企業はこんなところに事務所を構えようと考えないはずだし、そんな会社に入社を希望する人など皆無のはずだ。
それでも「三井リンクラボ新木場1」を可能にしたのは、同社取締役執行役員/LINK-J専務理事・植田俊氏がいみじくも言ったように「バイオハザード」だろう。事務所で扱う有害化学薬品などか適正に処分できるか、社外秘の研究内容が漏洩しないかが最優先されるはずだ。
だが、しかし、外界と遮断できる職場環境が整っていることに経営者は満足しても、ここで働く研究者などはストレスの固まりになるのではないかと取材したとき考えた。昼食はどうするか、同僚などとの飲み会は駅前のどこにでもある居酒屋で満足できるのか(駅前にはホテルがその後建設されたが)、緑など全くない環境で精神に異常をきたさないか…などだ。
いまもこの疑問・懸念は払しょくされていないのだが、ここに入居しているNECソリューションイノベータ(デジタルヘルスケア事業推進室)シニアプロフェッショナル・堀井克紀氏は「(研究に)集中できるのでいい」と言い放った。同社が借りているのは約200㎡で、5人が勤務している。1人当たり約40㎡だ。大会社の社長室でもあるかないかの広さだ。ここで堀井氏らは抗体の一種であるアプタマーの研究を行っており、新型コロナウイルスのDNAなども調べているそうだ。(ワクチン開発は別の部署で進めているそうだ)
記者などはもろもろの誘惑があってこそ生きるに値する世の中だし、仕事をするときはどんな誘惑にも負けないで集中する自信はあるが、そんなことより、同社にぜひとも聞きたかったことがある。現地を見学取材したときも感じたのだが、貯木場など一つも稼働していない。住宅不可の今日的意味はないのではないか。コンテナの積み下ろしなどの機能はあるのかどうかはわからないが、記者は都心に残された最後の大規模処女地だと思う。
地区計画を変更し、商・住・公(あるいは工)の複合タウンは可能ではないか。すでに同社はそうすべく、その先鞭をつける、外堀を埋める突破口としてこのプロジェクトを位置づけているのではないか。
そんなことを質問しようと、最初から最後までずっと手を挙げたが、指名されなかった。小生はきちんとマスクを付けており、外見はメガネザルに似た目と、白と黒の淫らではないまだらの髪の毛くらいのもので人畜無害のはずなのに…どこかの人も人気がないのは質問を無視したりまともに答えなかったりするからだ。(大和ハウスはその点偉い。質疑応答に1時間くらいかけることもある)
愚痴っぽいことを書いたが、1階には150坪はありそうな入居者が自由に利用できる天然芝張りの立派な広場空間も整備されていた。サクラやヒマラヤスギ(未確認)の高木も植わっていた。
エントランスロビー ラウンジ(壁、天井は本物の木材、観葉植物は本物とフェイク)
誤って薬品などを浴びたときなど非常時に使用できるシャワー(日常的に使用できるかどうかはわからない)
広場(左の樹木はヒマラヤスギとみたが)
住宅不可の151ha〝処女地〟新木場にライフサイエンス拠点 三井不の新事業(2019/6/1)
らしき建築物発見!住宅不可の151haの江東区・新木場に88人が住む不思議(2019/6/4)
「木」の中層マンション「MOCXION(モクシオン)」第一弾 三井ホーム「稲城」見学会
「稲城・木造マンションプロジェクト」
三井ホームは7月7日、建築時のCO2排出量をRC造より半減させる枠組壁工法による日本最大級の「稲城・木造マンションプロジェクト」構造現場見学会を行った。国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁や高性能遮音床システムなどを採用している。プロジェクトは、国土交通省の令和2年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されており、一次エネルギー消費量を約30%低減するZEH-M(Oriented)を取得する予定。
物件は、京王相模原線稲城駅から徒歩4分、稲城市百村に位置する5階建て(1階:RC造、2~5階:木造)耐火ハイブリッド構造の延べ床面積約3.738㎡の賃貸マンション51戸。最上階には90㎡の住居も2戸設けられる。木造部分の階高は2980ミリ、リビング天井高は2450ミリ。着工は2020年10月。竣工予定は2021年11月。
プロジェクトでは、中層の建築物を木造化する場合、規定の構造性能と耐火基準を満たすためには、構造壁が厚くなることなどが設計上の課題とされてきたが、その課題を解決するために、枠組壁工法では国内最高レベルの壁倍率30倍の高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」を開発。これにより、従来と比べ壁厚を約半分に減らすことを可能にしたのが大きな特徴。
また、鉄筋コンクリート造と同等クラスの高性能遮音床システムを開発。鉄筋コンクリート造の集合住宅で求められる要求性能(重量床衝撃音LH-55以下、軽量床衝撃音LL-45以下)と同等程度の遮音性能を実現した。
さらに、準耐火建築物への採用が可能となった構造材「NLT」を一部に採用し、施工の検証を行う。「NLT」は、北米で100年以上前から利用されてきた意匠デザインの幅を広げる構造材で、「大空間」の設計に利用可能なほか、特別な生産設備が不要であり、資材調達におけるコストメリットも期待されている。
このほか、同社は国内初の試みとして、信州カラマツ材による2×10材を床組みの一部に採用し、三井不動産グループの保有林(北海道)の木材や間伐材を軒裏や内装材として活用。国産材の用途拡大に貢献する。
同社は、中層以上の共同住宅の木造化・木質化も促進することで、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献するため、「木」を構造材に用いた木造マンションの新ブランド「MOCXION(モクシオン)」を立ち上け、今回の「稲城・木造マンションプロジェクト」を第一弾とすることを発表している。
高強度耐力壁「MOCX wall(モクス ウォール)」
高性能遮音床システム
「NLT」材
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見学会では、同じ壁の厚さで通常の壁の30倍の強度を持つとか、地震時の耐力壁の回転を抑える金物「ロッドマン」は1本で通常50本の金物の役割を果たすとか、矢継ぎ早に発せられる担当者の言葉に記者はあっけにとられるばかりだったが、一つだけ木のよさと技術の高さがよくわかったことがあった。
見学中、サッシは通常のアルミサッシのように見えた。ZEHマンションなどでは断熱性を高めるため二重サッシにし、しかも室内側は樹脂サッシが採用されているものが多い。どうしてアルミなのか聞いたら、担当者は断熱性が十分担保されるので、樹脂サッシを採用する必要がなく、それだけコストも抑えられるということだった。
アルミサッシの開口窓
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会場に着いたら、同社関係者はみんなSDGsバッジを付けていた。記者は「バッジを付けているのは〇〇ハウスさんがおそらく一番多い。御社はどうか」と質問した。「当社は希望するグループ社員全て。2,000人強が対象」とのことで、「〇〇ハウスさんは木製ではない」と聞かないことまで返ってきた。確かにバッジは木製だった。
木製のSDGsのバッジを付けているのは住友林業の役員(一般社員はわからない)とアキュラホームだ。
木製SDGsバッジ
:建設現場
免震、超高層、ディスポーザー、億ション…初尽くし 公・商・住の東京建物「前橋」
「ブリリアタワー前橋」
東京建物は7月5日、群馬県の県都・前橋市の前橋駅前の〝公・商・住〟一体複合再開発免震タワーマンション「ブリリアタワー前橋」のメディア向けモデルルーム発表会を行った。同社にとって前橋市でのマンション供給は初めてで、免震、高さ94mの超高層、ディスポーザー付きなども同市にとって初で、初物尽くしのマンションだ。
物件は、JR両毛線前橋駅から徒歩2分、前橋市表町二丁目に位置する敷地面積約3,870㎡、27階建て全203戸。専有面積は60.85~123.88㎡、価格は未定だが3,000万円台前半からで、坪単価は208万円になる模様。売主は同社(事業比率80%)のほかファーストコーポレーション(同20%)。設計・監理は宮田建築事務所。構造監理はサイエンス構造。デザイン監修は野生司環境設計。施工はファーストコーポレーション・小林工業・鵜川興業・吉田組。竣工予定は2024年3月下旬。
事業は、前橋市が進める「市街地総合再生計画」区域内の重要施策区域に位置する再開発事業の一環であり、東京建物が分譲事業の幹事会社と事業の個人施行者として、ファーストコーポは事業の個人施行者代表企業、分譲事業の共同事業者、物件施行者1社として参画するもの。
四方道路の周囲には、デッキ広場や並木の遊歩道などを整備し、建物デザインには、「糸」「水」「並木」「山並み」「レンガ」といった、前橋の歴史や自然に縁のあるモチーフを取り入れ、前橋駅前のランドマークにふさわしい外観が特徴。
建物の1階に商業施設、2階に子育て支援施設などを整備するほか、災害時における帰宅困難者の一時避難場所としても提供する予定。住戸は2階からで、標準階は1フロア9戸、26・27階は1フロア6戸。
主な基本性能・設備仕様は、免震のほか二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(上層階26、27階は2700ミリ)、ディスポーザー、食洗機(収納との無償セレクト)、Low-Eガラス、玄関プッシュプルドア、ホーローキッチンパネルなど。共用施設として2階にリモートワークに対応するワーキングラウンジと個室のワーキングブースのほかパーティールーム、キッズルームなどを設置する。駐車場は全213台(うち住宅居住者用203台)。
発表会に臨んだ同社住宅事業第一部長・浅沼正樹氏は「当社が個人施行者となって分譲するもので、免震、高さ94mというのは前橋市で初めて。今週の土曜日から一般公開を開始するが、東京圏からも問い合わせがある」と手ごたえを感じている様子だった。
これまで約600件の反響があり、モデルルーム来場予約は200件を突破。向こう3週間は全て満席(営業スタッフ8人対応で3回転)。年代は40歳代が最多で、60歳以上は約1割、居住地は。地元が約65%、高崎、東京圏がそれぞれ約1割、買い替え希望は約2割。分譲開始は9月の予定。
エントランス上部のアルミ素材による格子状のデザインには、前橋の発展を支えた生糸へのオマージュが込められているという
2層吹抜けエントランスラウンジ
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まず坪単価から。記者はリーマン・ショック後の2010年9月、大京「ライオンズ前橋大手町」112戸とタカラレーベン「レーベンリヴィバーレ高崎グレイス」109戸を見学取材している。坪単価は前者が110万円、後者が120万円だった。
そして今回。いかに地方とはいえ、県都だから坪200万円以下はありえず、とはいえ200万円をはるかに突破することもないと読み、坪210~220万円くらいではないかと予想した。
その通りになった。とても安いとは思うが、高いか安いか判断するのはお客さんだ。
全然知らなかったのだが、関係者から聞いたらこのマンションは初物尽くしだ。以下にそれを列挙する。
①同社初の前橋市での分譲(同社は4年前だったか、高崎で分譲したマンションは人気になった)②免震③最高峰(これまでは群馬県庁か)④ディスポーザー⑤スライドドア⑥億ション(最上階の123㎡)などだ。
不思議に思ったのは60歳以上の反響が1割にとどまっていることだ。その理由はよくわからないが、前橋市の中心市街地は駅から少し離れたところで、その先に県庁などの行政の中心地がある。生活利便施設は中心市街地や行政エリアのほうが充実しているので、通勤する必要のない高齢者などは〝駅近〟に魅力を感じていないためだろうか。
東京圏の反響が1割というのはよくわかる。県都の駅前に立派なマンションが建つなら、地縁のある人ならみんな関心を示す。一方で、高崎も1割というのはよくわからない。前橋の立派なケヤキ並木は高崎にはないのではないか。
建設現場
駅前のケヤキ並木
甲府に続く県都の一等地 大京「ライオンズ前橋大手町」(2010/9/3)
市街地活性化に一役買う タカラレーベン「レーベンリヴァーレ高崎グレイス」(2010/9/3)
いいオフィス 埼玉県最大級のコワーキング「いいオフィス南越谷」開業
「いいオフィス南越谷」
全国に400店舗以上のコワーキングスペースを展開するいいオフィスが7月1日オープンした埼玉県内最大規模の「いいオフィス南越谷」(https://e-office.space/minamikoshigaya/)を見学した。
総席数は140席で、1人用の個室13部屋や2〜6名部屋の個室もあり、4名・6名・8名定員の会議室5部屋用意し、ホワイトボードやモニター、プロジェクターなども利用可能なオンライン会議(テレカン)も設置。
設備はオープンスペース/個室/会議室/テレカンブース/キッチンなど。各種サービスはWi-Fi/スタッフ常駐/複合機/ホワイトボード/モニター貸出し/プロジェクター&スクリーン/フリードリンクなど。法人登記や郵便物受け取りも可能。英語学習ができる「Kids In」(https://kids-in.ib-tec.co.jp/)も併設。喫煙は不可。
施設は、JR南越谷駅・東武スカイツリーライン新越谷駅から徒歩3分の複合商業施設「南越谷ラクーン」4F。元スポーツジムだった区画を居抜きで入居し、リニューアルしたもの。利用料金はドロップイン(当日利用)が1時間660円~、月額会員は13,200円/月~。
同社は、首都圏を中心に日本全国とフィリピンなど国内・海外含め448店舗を展開。2021年度中に契約ベースで1,000店舗の展開を目指している。
消費者に分かりづらい長期優良住宅 見直しへ 住宅性能表示と一体化すべき
国土交通省は6月29日、第1回「長期優良住宅認定基準の見直しに関する検討会」(座長:松村秀一・東京大学大学院工学系研究科特任教授)を開催した。令和3年5月に「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律」が成立・公布されたことを受け、長期優良住宅認定制度に新たに創設される災害配慮基準や共同住宅での認定促進、脱炭素社会に向けた省エネ対策の強化に係る認定基準の見直しなどについて議論するのが目的だ。
先に報告された「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」(同)最終とりまとめでは、平成21年6月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」(長期優良住宅法)による累計認定戸数は約102万戸(平成30度末時点)にのぼり、良質な住宅の供給に一定程度貢献しているとしながらも、消費者への意識向上につながっているかどうかは住宅事業者間で評価が分かれ、①共同住宅の認定がほとんど進んでいない②住宅性能表示制度と重複する評価項目が多いにも関わらず、別の制度であるために申請者の負担が大きい③建設コストが通常より高くなるにも関わらず、流通市場では認定制度はあまり評価されない④税制優遇などのインセンティブは10年後になくなり、増改築認定の場合は当初からインセンティブがほとんどない⑤賃貸住宅の認定実績がない⑥地価が高い都市部では規模の基準が厳しすぎる-などの課題も指摘されている。
「見直し検討会」は、これら「あり方検討会」が指摘した課題に基づいて、具体的な見直し案をまとめることになる。
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記者は、「あり方検討会」で各委員が指摘した「容積率等の緩和の可能性も検討することが望ましい」「長期優良住宅と住宅性能評価の仕組み自体をなるべく整合できるような形にしたほうがいいのではないか」などの声に賛成だ。
制度・モノサシが異なるといってしまえばそれまでだが、住宅性能評価制度と長期優良住宅制度は分かりづらい。
令和2年度の住宅着工戸数に占める住宅性能評価書交付件数は27.9%の約24.5万件で、長期優良住宅認定件数は12.5%の約10.1万戸しかないのは、消費者にとって分かりづらいのが最大の理由だと考えている。以下、まとまりを欠くが、記者なりの考えを紹介する。
住宅性能表示は、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき10分野・34事項について等級表示することで消費者が住宅の品質を理解しやすいように定めた制度だ。紛争処理体制を整え、消費者保護を図り、住宅ローンの優遇が受けられるという目的には賛成だが、当初からずっと腑に落ちないものを感じていた。
国土交通省のガイドラインには「建築基準法で定める基準を下回る住宅については違法と考えられますので、住宅性能評価書を交付することはできません」とある。
当然のことだ。しかし、逆に考えれば、建基法をクリアすれば「等級1」を取得できる。これは〝違法建築ではありません〟と消費者自らか費用(数万円から20万円と言われている)を払っているようなものだ。そうまでしないと、消費者に信用されない業界は情けないと思った。(それでも違法建築は防げなかった)
言い過ぎかもしれないが、住宅性能表示制度はお上がお墨付きを与えることで、建基法を満たしているに過ぎない住宅でも質の高い住宅であるかのような〝誤認〟を消費者に与えたという疑念をずっと抱いてきた。
長期優良住宅制度も同様だ。全然〝優良〟でないのに「優良」のお墨付きを与えた旧住宅金融公庫時代の「優良(中古)マンション」制度と大差ないといったらこれまた失礼か。
この制度の欠点を一つ指摘する。記者は住宅の価値は緑被率など緑環境や地域との親和性が重要だと考えている。長期優良住宅制度の9項目の評価基準の中に「良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること」とする「居住環境」がある。これは所管行政庁が審査することになっており、各行政庁が定める地区計画、景観条例などに適合させることが求められている。
これまた当たり前のことだ。しかし、地区計画、景観条例などは最低限の条件を定めたものが多く、「長期優良」にふさわしいかどうかは別問題だ。記者は、プレハブ建築協会が取り組んでいる「エコアクション」を高く評価しているが、それでも緑化面積率40%以上を目標にした建売住宅の供給率は2019年度実績で14.5%(前年比7.6ポイントマイナス)しかなく、2020年度目標の50%にはるかに及ばない。
大手ハスウメーカーですらこれが現状だ。建売住宅大手も含めた戸建てはコンクリで地面が固められたぺんぺん草も生えない住宅地がどんどん広がっている。この流れを変えるためにも長期優良住宅にふさわしい独自の指標を設けるべきだ。
住宅の質を計るモノサシは住宅性能表示制度、長期優良住宅制度だけではない。2001年に立ち上げたCASBEE、2012年運用開始の低炭素建築物認定制度、2013年運用開始の建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)、2016年ころから取り組みが始まったZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などだ。最近はZEHに力を入れているハウスメーカー・デベロッパーが多い。
この中で、記者はCASBEEとZEHをチェックするようにしている。CASBEEは評価結果を「Sランク(素晴らしい)」から「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」の5段階で評価するもので分かりやすい。東京都の場合は、同様の「マンション環境性能評価」制度を平成17年に設け、断熱性、省エネ性、みどり環境など5項目についてそれぞれ★印3つ(満点は★15個)で評価している。これまで満点を取得したマンションはどれも素晴らしい物件だ。
ZEHは、国土交通省、通産省、環境省など別々の取り組みもあり分かりづらいところもあるが、目指す目標は一つなのでとても分かりやすい。
これらの制度と住宅性能表示、長期優良住宅は相互に関連していることではあるが、消費者は混乱するばかりだ。
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事業者は住宅性能表示制度と長期優良住宅をどのように利活用しているか。事業者のスタンスの置き方、制度の方向性を考えるうえで参考になりそうなので紹介する。
2021年3月期は46,620戸の戸建てを計上した飯田グループ6社は、住宅性能表示制度7項目で全て最高等級を取得しており、それを最大の〝売り〟の一つにしている。一方で、長期優良住宅認定は東栄住宅(2021年3月期は4,954戸)一社のみのはずだ。
住宅トップの積水ハウスは、2019年度の長期優良住宅認定取得率は93%だが、同社は最近ZEHに力を入れており、2020年度のZEH比率が91%に達し、2021年3月末時点で累計60,843戸となったと発表した。
デベロッパーはどうか。三井不動産レジデンシャルは、長期優良住宅認定を取得したマンションは数件あるが、年間数百戸をコンスタントに分譲している戸建てで長期優良住宅認定を受けたのは1件しかない。その理由を同社は「ファインコートの仕様から馴染まないところがいくつかあり、評価をクリアできないのと、維持保全計画は、建売住宅には馴染まない」としている。
では、同社の戸建てのレベルが低いかといえばそうではない。記事にも添付したが、2016年に分譲した首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟「ファインコート等々力 桜景邸」などは長期優良住宅レベルをはるかに超えていた。
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「見直し検討会」に提出された出口健敬委員(不動産協会事務局長代理)と西澤哲郎委員(住宅生産団体連合会 住宅性能向上委員会SWG1リーダー)の資料について。
出口委員は、集合住宅の現行55㎡の面積要件を単身者の都市居住型誘導居住水準である40㎡に引き下げることを要望している。記者はこれに賛成だ。
住宅の質は基本的には広さではあるが、そもそも面積要件は官主導の住宅金融や税金控除などにはつきものだ。どこかで線を引かざるを得ないのだろうが、合理的な説明がつかないものは多い。記者はローン控除の面積要件を30㎡に引き下げろと20年前から主張してきた。
西澤委員が要望した低層賃貸住宅の可変性に関する認定基準である躯体天井高2,650ミリ以上の基準の緩和には同意しかねる。技術的なことは分からないが、天井高は住宅の質にとって重要だ。最近はコストを削減するためどんどん天井高を低くしているのは残念でならない。賃貸住宅でも躯体天井高2,650ミリというのは譲れないラインではないのか。
この点については、先の出口委員も20mの高さ規制を想定した場合「居室天井高2.45~2.5mを保持しようとすると、1層(階)減り、分譲売上の低下を招き、事業の起点である土地購入の難度が上がります」としているが、これは5m刻みが多い高さ規制に問題がある。1層を3mではなく、3.1とか3.2m刻みにすれば天井高は確保されるはずだ。長期優良など天井高の高いものについては容積の割り増しを行い、質の担保を図るのが合理的だと考える。記者は高さ規制を撤廃すべきというのが持論だ。
また、西澤委員が求めている床面積要因を55㎡以上(現行75㎡以上)に引き下げるというのは基本的には賛成だ。理由は出口委員の要望について書いたのと同じだ。
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住宅性能表示と長期優良住宅の申請に掛かる費用は1件5~10万円として、双方で年間35万件だから5~10万円×35万件=175~350億円となる。もちろん負担するのは他の誰でもない消費者だ。ローン控除などで還元されるとはいえ巨額だ。
長期優良住宅制度の合理化を図り、ハードルを高くして事業者や消費者がチャレンジしたくなるような制度にするか、それともCASBEEのようにランク付けして選択制にしたらいいと思うのだが、どうだろうか。
なぜ伸びない品確法性能表示&長期優良住宅 どうなる中古住宅評価(2015/9/4)
長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)
敷地60㎡未満の分譲「狭小住宅」 都心部は軒並み50%超 最少の練馬は1.9%(2019/8/19)
首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟完成 三井不レジ「等々力」(2016/3/24)