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「レーベン本厚木THE MASTERS TOWER」完成予想図

 三菱地所レジデンス、総合地所、大和ハウス工業に続いて今回が最後のタカラレーベン「レーベン本厚木THE MASTERS TOWER」を紹介する。他社物件にはない1LDK・2LDKの住戸が約4割あるのが特徴だ。北東向きだが、このプランは競合がないだけに圧勝か。単価もそれほど高くないと見た。

 物件は、小田急小田原線本厚木駅北口から徒歩4分、厚木市中町四丁目に位置する19階建て全134戸。専有面積は34.14~115.54㎡、予定価格は1,900万円台~8,900万円台(最多価格帯4,300万円台)。竣工予定は2020年8月末。設計・監理は三輪設計。施工は大末建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョンの石倉雅俊氏。インテリアデザインはM-nessの遠坂麻理子氏。販売開始は2月下旬。

 現地は、前回書いた大和ハウス工業のマンションの隣接地。同じ並びなので日影の影響は受けない。

 建物はメインの南東向き62・65・68・71・78㎡がそれぞれ1スパンの80戸と、82~115㎡のプレミアム住戸6戸、北東向きの34・40・58㎡の1LDK~2LDKが48戸の構成。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ(10階まで)~2600ミリ(11階以上)、たからの水など。

 販売担当者は「モデルルームを公開したのはうちが一番遅く、1月の初めから。それでも来場は先週末まで120組。プレミアムもお客さまが付いている。大和ハウスさんはもっと高くなると思っていましたが…当社の価格はこれから決めます」と話していた。

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 坪単価はまだ決めていないようだが、最低価格は34㎡の1LDKで1,900万円台というから単価は200万円を切りそうだ。他社物件にはこのタイプがないから圧勝か。プレミアム住戸も最高で8,900万円台というからMAXでも坪260万円か。

 大和ハウスと同じ南東向きの80戸の競合は避けられない。価格を決めるのは市場だから、競合はお客さんに有利に働く。単価は意外と高くならないとみた。

食洗器はオプション。記者は共働きファミリーには必須アイテムだと考えるが、同社の調査では意外と使わないユーザーが多いとか。

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モデルルーム

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 3物件を見学し終えたのが17:00前。朝から何も食べていなかったので、駅前の洋食レストランに入った。ビールと店頭に飾られていた写真のカキフライ5個を頼もうとしたら「単品のカキフライは1個からでも大丈夫です」と言われた。それで3個だけ頼み、タバコを吸うために店を出た。

 戻ると、椅子の背もたれに掛けておいたくたびれたコートに布ナプキンが被せられていた。これに感動した。ナプキンは絹製だった。

 しかも、女性スタッフがまた美しい。まるで白磁のような色白の楚々とした姿に、久米の仙人が神通力を失ったように記者は色(これは「いろ」)を失った。

 このおもてなしに、わが多摩センターはマンション単価で敵わないのは当然で、何もかも完全に負けたと思った。そんな店は京王プラザホテルしかないし、京王プラザも最近は若い女性スタッフがめっきり少なくなった。以前は心臓が止まるくらい素晴らしくきれいな女性がいた。

 あとで調べ驚いた。厚木市の人口は約22.4万人だが、男性が約11.6万人なのに対し、女性は10.8万人と男性が上回っていたことだ。都県別では神奈川県や埼玉県、愛知県などでは男性の比率が高いことは知っていたが、これは生産人口が多いということか。

 わが多摩市の人口は約14.8万人で、うち男性は7.3万人、女性は7.6万人と女性が多い。多分お年寄りの。これから多摩ニュータウン再生シンポの取材だ。

お客さまの評価高い〟 プレミスト・大和 激化する本厚木のマンション販売戦 中(2019/2/1)

〝先行逃げ切りだ〟 絶好調スタート ルネ総合 激化する本厚木のマンション販売戦 上(2019/2/1)

地元富裕層を中心に人気 坪単価260万円の三菱地所レジ「本厚木タワー」(2019/1/16)

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「プレミスト本厚木」完成予想図

 「ルネ本厚木」に続いて大和ハウス工業が2月2日にモデルルームをオープンする「プレミスト本厚木」を紹介する。緑をふんだんに配置し、プッシュプルドア、IH、引き戸の多用など細かな点にも工夫を凝らしている商品企画が特徴だ。

 物件は、小田急電鉄小田原線本厚木駅から徒歩4分、厚木市中町4丁目に位置する19階建て全144戸。専有面積は65.17~85.20㎡、価格は未定だが、坪単価は210~220万円くらいになる模様。竣工予定は2020年11月中旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。販売開始は3月中旬予定。

 現地は、旧イトーヨーカ堂本厚木店跡地で、三方道路の角地。全体で約3,971㎡だったうちの約56%を同社が地主から取得。残りの別の地主が所有していた約1,737㎡をタカラレーベンが取得した。

 建物は東南向きで、青山フラワーマーケットの空間デザイン部「parkERs」を起用し、外周のフロントガーデンやガーデンラウンジ、インナーガーデンなどに本物の緑を配し、癒しを演出する。

 主な基本性能・設備仕様は、IHクッキングヒーター、ディスポーザー、ソフトクローズ機能付き引き戸全室採用、プッシュプルドア、スロップシンクなど。

 販売責任者の東京本店マンション事業部・東本剛氏は、「大激戦だが、各物件がよく色分け(住み分け)されている。当社はDINKSや共働きファミリー、アクティブシニア層にターゲットを置き、本物の緑を共用部分に多用するなどほっとできる空間を提案する。事前案内会では、お客さまから『大和さんのがいちばんいい』という言葉をたくさん頂戴している」と話した。

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 東本氏は、本厚木駅圏の販売合戦について「戦国時代」と称し、「お客さまからしっかりヒアリングし、その方のライフスタイルに最適な物件を勧める。当社の物件もよく説明はするが、お金持ちには地所さんを、ファミリーには総合地所さんをといった具合に」と語った。

 普通なら他社の欠点をあげつらい、自社物件の優位性をアピールするはずだが、東本氏はそんな各社が消耗するような売り方はしないと明言した。久々に本物の営業マンに出会ったような清々しい心地がした。また別の販売現場でお会いしたい。

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 マンションギャラリーに入ったとたん、雲の上に上ったようなハイな気分になった。長い間〝フェイクをやめよ〟と言い続けてきたことが報われ、同じ考えの人もいるのだと思うと嬉しさがこみ上げてきた。

 写真を見ていただきたい。何と天井からポトスが吊り下げられているではないか。他の接遇スペースやモデルルームもすべてほんものの観葉植物が飾られていた。

 もう多くを語らない。一昨年の同社グループのコスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」、昨年4月のマンションモデルルームの記事、今年1月の同社の3階建てモデルハウス「森が家」の記事を読んでいただきたい。

 添付するポトスの写真は、記者の机の上に置いているものだ。業者の方がオフィスの観葉植物を剪定しに来たとき、枝が伸びたポトスを切っていたのをもらったものだ。つまりただ。もう10カ月くらい経過する。水遣りは2週間に一度くらいで十分。肥料もいらない。根腐れも起こさない。

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販売事務所に吊り下げられていたポトス

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記者の机の上のポトス

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 アマゾンのスマートスピーカー「アレクサ」を全戸に導入するのも特徴の一つだ。「OK Google」でもそうしたのだが、「アレクサ あなたはいくつ? 男? 女? 」と聞いたら「分かりません」だった。また、「このマンションは売れますか? 」と尋ねたら「難しくて答えられません」と返事した。

 家電操作は得意かもしれないが、自分の性別、年齢が分からず、主人(大和ハウス)の売るマンションの販売予測もできないようじゃ大したことないね。

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ガーデンラウンジ

〝先行逃げ切りだ〟 絶好調スタート ルネ総合 激化する本厚木のマンション販売戦 上(2019/2/1)

大和ハウス 都市ストレスを解放する3階建て木造モデル「森が家」販売(2019/1/18)

パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」(2017/11/7)

1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)

 

 

 

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「ルネ本厚木」完成予想図

 〝マンション相模川の乱〟に突入-神奈川県央の中核都市・厚木市の小田急線本厚木駅圏で激しいマンション販売合戦が展開されている。昨年末にファミリー向け総合地所他「ルネ本厚木」222戸が第1期100戸完売の狼煙を挙げると、年初には〝駅近〟の三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス本厚木タワー」163戸が富裕層のプライドをくすぐる戦法で応戦。すると大和ハウス工業「プレミスト本厚木」144戸が〝癒し〟を旗幟に掲げ、DINKS、DEWKS層の心を揺さぶる作戦で参戦。さらにまた、大和と隣り合う中堅の雄・タカラレーベンは「レーベン本厚木THE TOWER of PEAKS」134戸を投入。1L・2Lの需要を独り占めしようと企図する。このほか戸建てトップの一建設も43戸を分譲する予定で、その数トータルで約700戸。

 相模川向こうの海老名駅圏でも約2,000戸のマンション販売が佳境に入っており、市場は何やら相模川を挟んだ陣取り合戦の様相を呈している。

 関係者は、厚木市は日産、ソニー、日立、NTTなどの研究所が多く、財政も健全で自立型の市場を形成し、ここ4~5年間はマンションの供給が途絶えていることからマグマは溜まっていると楽観視するが、相模川向こうの海老名市からの需要は見込み薄で、年間150~200戸が販売の限度という見方では一致しており、どこも自陣の引き締めに懸命で、他社の動向に神経をとがらせている。

 いったいどこが抜け出すか、割を食うのはどこか、それとも血を血で洗う乱戦となり最悪の共倒れになるのか。ここは高みの見物-おっと、これは失礼。みんながwin-winのハッピーな結果になることを祈りつつ、昨日(31日)見学した「ルネ本厚木」「プレミスト本厚木」「レーベン本厚木」の順に、見たまま聞いたままを紹介する。提灯持ちにはならないが、火に油を注ぐような記事にはしないつもりだが…。     

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 「うちは先行逃げ切り」-この日、メディア向けに「ルネ本厚木」の見学会を行った総合地所の広報担当者が本音ともとれる冗談を放った。そして販売責任者も控えめではあったが「腕」とつぶやいた。この二人の言葉に物件の特性、自信のほどが全て示されている。

 物件は、小田急電鉄小田原線本厚木駅から徒歩6分、厚木市田村町に位置する15階建て全222戸。第2期の専有面積は60.99〜82.27㎡、価格は3,538万~4,968万円(最多価格帯3,900万円台)。坪単価は195万円。竣工予定は2020年2月。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は同社(事業比率50%)のほか東急不動産(同30%)・西日本鉄道(同20)の3社。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地の用途地域は容積率400%の商業地域。敷地は旧イトーヨーカ堂厚木店の駐車場だったところで、イトーヨーカ堂が閉店し、この駐車場に新たな店舗を建設する際に長谷工コーポレーションが敷地の一部を譲り受けて、同社グループの総合地所などがマンションを建設することになったもの。幅員約3.6mの道路(建設工事に伴い約6mに拡幅)を挟んだ南側は住居系用途。土地は戸建てなどに細分化されているため、高い建物が建つ可能性は少ない。敷地北側の隣接地は4層のイトーヨーカ堂の店舗が今春開業する。

 分譲開始は昨年11月。第1期100戸を完売したのをはじめ、これまでに供給した133戸のうち120戸が成約済みと絶好調。

 来場・成約とも約70%が厚木市内居住者。成約者の年齢層は30歳代が36%(来場は33%)、40歳代30%(同24%)、60歳代~18%(同23%)。年収帯は400万円台19%(同15%)、600万円台15%(同15%)、500万円台11%(同13%)。

 建物は東西軸に細長い全戸南向き。子育てファミリー層をメインターゲットにしており、共用施設には「育てるレジデンス」の意を込めた〝イクレジ〟として「知・食・読・音・色・遊・木・眠」の8つの要素からなる「八育」を盛り込む。

 また、イトーヨーカ堂と提携し、電子マネー「nanaco」の機能が付いた居住者限定カードを採用。様々な特典が受けられるようにしている。

 主な基本性能・設備仕様は、パッシブデザインの玄関ドア脇の窓、キッチンバックカウンター、扁平梁と連窓の2.15mハイサッシ、4本の柱全てアウトフレーム、可変間仕切りシステム「ウゴクロ」が2スパン(28戸)、ディスポーザー、食洗機など。

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キッズスペース

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 いつものことながら、微に入り細をうがつ説明資料を配布する総合地所の見学会に頭が下がる。今回は特に「用地取得額 非公開」とあったのに記者は敏感に反応した。これは間違いなく〝格安〟で取得できたのだと読んだ。

 スーパーの適正床面積は分からないが、イトーヨーカ堂は南側にマンションが建ったほうがコストを下げられ、事業採算もアップすると考えたのではないか。

 好調なスタートを切ったのもよくわかる。郊外型で外廊下側もアウトフレームにしているのは最近では極めて珍しい。スパンも全体的に広めで、角住戸はコーナーサッシ付きだった。

 「全戸南向き」も説得力がある。関係者から住宅地図を見せられたが、ほぼ全域が京都の町家のように東西軸が短く南北に長い区画割になっていた。つまり、これまで建設されたマンションは南向きが極めて少ないことを見ただけで分かるようにしていた。ここにも「腕」が隠されている。

 気になったのは、60歳以上の来場者比率は23%を占めながら、成約比率では18%に下がり、年収700万円以上の来場比率も12%だったのが、成約比率では11%未満になっていることだ。子育てファミリー層だけでなく、多様なニーズに応えるプランも盛り込んでもよかったのではないか。

 先行逃げ切りといっても、競馬に例えれば向こう正面、山なら五合目だ。勝負は4コーナー、八合目を回ったあたりだろう。そこでまた鞭を揮えるか。

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パーティ イメージ図

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 これはおまけ。どうでもいいことも。1つ目。77㎡のモデルルームはよくできていた。しかし、リビングのほぼ中央にフェイクであることが明らかな観葉植物が置かれていた。これは何度も書いてきた。本物とフェイクを並べたら、みんなフェイクに見える。いかがか。

 2つ目。玄関を入ってシューズインクロークを開けたら鳥の声が聞こえた。ウグイスでもホトトギスでもヒバリでもなかった。スズメではなかったか。マイクが仕込まれていた。寝室は麝香の香りがするかと予想したが、無音無臭だった。吉永小百合さんのシカの〝フン フン フン〟でも流したらどうか。

 3つ目。若い女性担当者が「八育」の説明をした。他の7つは全て音読みだったのに、「色育」だけは「いろいく」と湯桶読みした。記者はうろたえ恥ずかしくなった。周りの同業記者から「そんなに過剰反応するのはあなただけ」とたしなめられた。そうかなあ。

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建設現場(右がイトーヨーカ堂)

地元富裕層を中心に人気 坪単価260万円の三菱地所レジ「本厚木タワー」(2019/1/16)

 

 

 

 毎週火曜・水曜日はモデルルームが休みなので暇に飽かせて「住宅新報」の連載「明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見」を読んだ。率直な感想を思いのままに書き連ねる。きつい表現もあるかもしれないが、いつも通りわが業界紙に頑張ってほしいからで、他意はまったくない。

 この連載は、2013年9月24日発行号から始まったもので、1月22日付最新号で第267回だ。5年以上もよく継続していると感心するのだが、記者はこれまでほとんど読んだことがない。読者である不動産のプロもやや物足りないと感じるのではないか。なぜか。一言で言えば、それは虚心坦懐にものを見る姿勢、〝なぜ〟という問いかけにやや欠けるからではないか。世間の常識を疑ってかかるのが学問の初歩だと思うがいかがか。

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 最初に俎上に載せるのが最新号の4年生・Tくんの「邸宅の門」だ。

 Tくんは、「街を歩いていると、広い敷地に立つ(文のまま)格式のある建築物が目についた。もっとも、建築物はくたびれ、門は空き家のように疲弊しているが、人が住んでいる。豊かさを物語る格式の高さと、手入れが行き届かない現状のアンバランスが、ひときわ目を引く」と書き出している。

 その門とは「薬医門」のことで、以下、14行にわたって延々と門の説明が続き、さらに伝統的な建築物がなくなってきたことから始まり、技術革新と低コストを背景に最近の敷地の狭い住宅が主流になり、職人の減少などにより伝統的家屋の修復が難しくなってきたことまで綴り、その保全に取り組む必要があると説く。

 このTくんの主張に対し、教員は、「持ち家の価値保全が重要課題の今、住宅への追加投資が『割に合わない』社会を改める必要がある」と締めくくる。

 ごもっともだ。しかし、へそ曲がりで馬鹿を自任する記者はこのような羽織袴と白無垢の欺瞞に満ちた結婚式のような正論はちっとも面白くない。

 もっと具体的に書くべきだ。「くたびれた」は、例えば「老醜をさらしながらそれでも美しい花を咲かす樹齢数百年の石割桜」か、あるいは(書けば単位を貰えないかもしれないが)「着たきりスズメの我が教官」くらいまで踏み込んで、読者をひきつけるべきだ。

 「疲弊」も「くたびれている」のとほぼ同義語。これも「わが両親の夫婦関係と懐具合と同じくらい疲弊している」と書けば誰も文句はつけない。

 「空き家のようだが、人が住む」と書くのは住人に対して失礼。そのような状態になった理由も千差万別のはずだ。きちんと住人に理由を聞くべきだ。その答えにヒントがある。予想するに「先立つものがない」からだろうが、その問題を解決するためにはどうすればいいか、そこでTくんの主張が生きてくる。そんな広い敷地なら売り払ったほうが高値で売れるとか、歴史的建造物に指定すべきだとか、公的資金を投入して保全すべきだ…などと。

 ついでに言えば、人も建築物も年月を経れば「くたびれる」し「疲弊」もする。その老いを覆い隠すサイディングやケミカル建材が当たり前のように使われるほうがおかしいのではないか。経済効率を最優先するいまの価値観を疑ってみてはどうか。

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 第254回では、恵比寿ガーデンプレイスのマンションの外観が美しいと2年生Kくんが書いていた。記者もそう思う。あのカルロス・ゴーンさんが住んでいたマンションとは対照的だ。

 しかし、このマンションは住戸内に柱や梁型が結構出ているのが難点だ。外観だけでは善し悪しが測れないということだ。人と同じだ。よく観察する以外に本質・本性を見抜く手だてはない。

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 最高に面白いのもある。第237回の3年生・Sくんの「閉ざされた公園」だ。「小さい頃、『子供は外で遊べ』とよく言われた…公園の広場は子供が元気に走り回り、鬼ごっこやサッカーをする楽園のはずだったが、そこは閉鎖されていた」と書き出し、「閉ざされた広場は、私権を強く主張する住民や真の公共の福祉を考えない行政ほかが招いた結果だと思う」と言い切る。

 記者も10年前くらいだったか、ある主婦から「子どもを外で遊ばせるようなことを最近のお母さんはしない。危険だから」と聞いて絶句したことがある。

 どこの公園もそうだ。大書きされた入り口の看板の禁止事項には、キャッチボール、サッカー、ゲートボール、ゴルフ、大声、ごみ捨て、花火、犬の散歩などのほかに、喫煙は許されているのに酒気(飲むなとは書いていない)がダメというものもある。いったい酒気を帯びているかどうかを誰が確認するのか。利用時間は平日の9時から午後4時まで、土・日曜日は閉園するものまである。

 Sくんが指摘するように、檻のようにフェンスで囲まれているものも少なくない。主客が転倒している。大事なのは公園か人間か。獣害に悩む農村と同じ光景だ。檻の中に閉じ込められているのは人間のように思えてくる。

 Sくんは都市公園法を読んだことはあるだろうが、禁止事項には「何人も、みだりに…」(第11条)とある。みだりは「妄り」「濫り」(「淫ら」は記者、「みだら英泉」は皆川博子さんの小説)とも書くが、嫌な言葉ではないか。一種の法律用語だ。お上は「公園」すらわれわれを支配する道具にしようと考えていることが分かる。管理責任というものだ。

 しかし、Sくん、東京都は公園の中にマンションを建てさせ、その代わりに公園の維持管理をマンション管理組合に負担させるという画期的な〝民設民営〟制度を活用したことがある。残念ながら1件で終わってしまったが、わが多摩市は中央公園に図書館を建設することを決めた。保育園などの設置例も出て来た。公園の用途も時代とともに変わっていい。

 もう子どもが公園で遊べないのなら飲食、遊戯、宿泊などが行えるようにしたほうがいいというのは言い過ぎか。

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 もう一つ、公園ついでだ。これは不動産の不思議とは関係ないし、小生が言うのでもない。あのロダンが「講演」を頼まれて言った言葉だ。

 「それをお約束する事は出来ません…『教授』というものはもう意味のない言葉です。値打ちのない言葉です。何にも知らない人たち、自分の道を持っていない人たちがみな教授にかつぎ上げられたがるのです。それに、私(ロダン)に出来る最上の講義はそこにあります。私の製作を見ればいいのです!

 聡明な若い人たちはそれを見て何かの助けになるだけのものを得るでしょう。見る事です!そして仕事することです!」(岩波文庫「ロダンの言葉抄」高村光太郎訳)

 冒頭にも書いた。とにかく全てを疑い、たくさん見ることを皆さんに勧めたい。

 国土交通省は1月29日、第3回「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」を開催。マンション計画修繕施工協会と住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会がプレゼンを行った。

 検討会は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成21年6月に施行されてから今年6月で10年が経過することから、制度に対する評価や課題を整理し、制度の更なる普及促進に向けた取り組みや方向性を検討するもの。

 同制度が施行されてから平成29年度末の認定累計実績は915,194戸(一戸建て894,943戸、共同住宅等20,251戸)で、平成29年度で見ると、住宅着工に占める割合は一戸建てが24.6%、共同住宅が0.3%となっている。

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 検討会を傍聴するのは今回が初めてだ。マンション計画修繕施工協会と住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会がプレゼンをしっかり聞いた。

 申し訳ないが、記者はこの2団体を全く知らなかった。検討会の松村秀一座長(東大大学院教授)も「ずいぶん長い」と仰ったように、後者は16文字だ。全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の14文字より多い。何とかならないか。国土交通省の「土地・建設産業局」もそうだが、「・(なかぐろ)」が付いているのはどうか。最近は文字を詰めるのが流行りのようで「ワーママ」もあるようだから「住活協議会」はどうか。「土地・建設産業局」もみんな「土建局」と呼んでいる(記者は失礼だから絶対そのようには呼ばない)。

 馬鹿なことを書いたが、両団体のプレゼンを聞いて残念だったのは、同制度の認知度が低く、住宅の品質が高いにもかかわらず(中古)市場で適正に評価されていないことが報告されたことだ。

 松村座長も「法律の目的の本丸はストックだったはずだ」と述べたように、この問題は解消されなければならないと思う。

 現場はどうなっているか、レインズ情報を調べた。レインズ情報は不動産会社が独占的に利用できるもので、一般の人はもちろんメディアもどのような情報が盛り込まれているかを知ることはほとんど不可だ(頼めば見せてくれるかもしれない)。

 分かったことは、まず「長期優良住宅マンション」で検索しても物件はヒットしないであろうということだ。長期優良の認定を受けた物件名で検索すれば売買履歴情報を取り出せるが、そんなデータを不動産流通会社は公表していないはずだ。

 戸建ては大手ハウスメーカーで構成されている優良ストック推進協議会が独自の査定方法を用いた「スムストック認定」を行っており、中古市場でも高い評価を得ているデータを公開している。しかし、これも「スムストック」=長期優良というわけではない。

 問題はこのほかにもたくさんある。第一は、適正に評価されていないこととも密接に関係するのだが、消費者に分かりづらいという点だ。かつて記事にもしたが、長期優良住宅認定を受けたマンションなのに環境性能評価の「CASBEE」で〝並〟の評価しかされない事例があった。特上の料理を食べたはずなのに、別の店では並だったというのでは消費者はたまらない。モノサシが異なると片づけていい問題か。

 同制度では、「良好な居住水準を確保するために必要な規模」として、一戸建ては75㎡以上(一人居住は55㎡)、共同住宅は55㎡以上(同40㎡)の面積要件を定めているが、「良好な居住水準」=「居住面積」と決めつけているところに問題がある。どんな法律にもあるように「その他優れていると思われるもの」などと逃げ道を作っておくべきだった。

 しかし、この面積要件を変更するのは難しいのではないか。これに手を加えれば他の法律や税制全てを変えなければならない。撤廃が一番いい。そもそも国が優良であるとか不良であるとか(そう言っていないが)を定めるべきでないというのが記者の持論だ。大きなお世話だ。

 記者は面積よりも天井高のほうが気になる。「長期優良」と謳うのであれば最低でも居室面積は2500ミリ以上にし、高さ規制、容積規制を緩和したらどうか。

 もうこれ以上書かないが、検討会委員の方も話したように〝見える化〟を進め、何よりも消費者に分かりやすい制度に改めてほしい。

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 どうでもいいことだが、何十年振りで同省の地下1階にある食堂を利用した。よく知られた牛丼屋もあったが、いろいろトッピングできるうどん屋でかき揚げを付けて「なんでも合う」というわかめうどんの小を頼んだら450円だった(伊勢うどんより安い)。昔タバコが吸えた隣の喫茶店は禁煙になっていたので利用しなかった。

 それにしても、国のシンクタンクであるはずの国交省職員はこれではあまりにもかわいそうだ。もっとましな環境を整えられないか。全館禁煙も検討されているとか。喫煙は人権だ。

なぜ伸びない品確法性能表示&長期優良住宅 どうなる中古住宅評価(2015/9/4)

長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)

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「クリオ レジダンス横濱ベイサイド」完成予想図

 明和地所が1月26日から分譲開始した「クリオ レジダンス横濱ベイサイド」を見学した。JR東神奈川駅から徒歩13分の全149戸。再開発が予定されているエリアの一角で、第1期1次15戸は10戸が成約し、残りも予約が入るなど好調なスタートを切った。

 物件は、JR京浜東北線・横浜線東神奈川駅から徒歩13分、横浜市神奈川区星野町の工業専用地域に位置する11階建て全167戸(住戸149戸、事業協力者住戸16戸、事業協力者店舗1戸、管理事務室1戸)。第1期1次(15戸)の専有面積は66.52~105.61㎡、価格は4,982.4万~8,989.4万円(最多価格帯5,600万円台)。入居予定は2020年3月下旬。設計は啓建築設計。施工は三井住友建設。

 現地はスーパーの敷地跡地。用途地域は工業専用地域だが、都市再生特別地区に指定されていることから用途、日影などの規制は受けない。敷地南側は公園。

 近接地の約7.5haでは「高島駅北地区土地区画整理事業」の都市計画決定、組合設立も認可されており、42~52階建てトリプルタワーマンションが建設されることになっている。事業地内にあるJR貨物線は旅客用として利用する構想も浮上している。また、みなとみらい地区(約1.6キロ)まで徒歩や自転車で行けるよう舗道が整備される予定。

 建物はL字型で東向きと南向きが中心。冬至時には、敷地東南側に建つ「コットンハーバータワーズ」の日影の影響を受けるそうだ。1階にはスーパーマーケットが設置予定。

 主な基本性能・設備仕様は、ディスポーザー、食洗機、2200ミリハイサッシ、ワイドスパンなど。スパンが8.7m以上の100㎡以上は27戸。

クリオライフスタイルサロン横浜の前田崇裕氏は、「エリアの将来像が明確になっておらず浸透もしていませんが、価格についてはみなさん値ごろだと思っていらっしゃる」と話した。

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 値付けが難しい。同社も迷ったかもしれない。東京建物が2年前、東神奈川駅前で分譲したマンションの坪単価は約350万円。瞬く間に売れた。しかし、これは参考外。立地がまるで異なる。

 10年くらい前にJFE都市開発、三菱地所、野村不動産の3社による「コットンハーバータワーズ」4棟926戸は坪単価160万円で、こちらもあっという間に売れた。これとの比較も難しい。時代が異なる。

 頼りになるのはみなとみらい21地区や横浜駅圏のマンションは軒並み坪400万円を突破してきており、横浜市外でも利便性の高い物件は坪300万円を超えてきていることだ。

 区画整理事業地内で建設される三井不動産レジデンシャルとJRのタワーマンション3棟は1棟500戸として1,500戸くらいになると思われるが、間違いなく坪300万円を超えるはずだ。仮に貨物線が旅客用として供用されるようになったら、価格はさらに跳ね上がる。

 今回の同社の単価ははじいていただきたい。記者はびっくりした。〝安い〟という意味で。みなさんはいくらの値を付けるか。

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現地(手前が公園)

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 この物件のためにリニューアルした2つある常設モデルルームのうち一つは約100㎡。デザイン監修は、昨日のモリモト「高津」でも書いたカン・デザインオフィスの鈴木ふじゑ氏だ。同氏を起用するのは「クリオ駒沢公園」「横濱ザ・マークス」以来だそうで、これだけでもいかに力が入っているかがうかがえる。

 間口が9mくらいあり、コットンハーバーをイメージした白を基調としたマットなデザインが美しい。

  一つだけ納得できなかったのは廊下のデザインウォールだ。白と対照をなす黒のガラス素材を使用したもので、壁そのものは美しい。光の反射具合や見る角度によって微妙に変化した。黒というより濃い藍色にも見えた。ドアノブは全て壁面までセットバックされていたのもいい。

 しかし、その壁面にアトランダムにスパティフィラムのような観葉植物の文様がはめ込まれていたのを見て、すぐ記者は不要だと思った。これはオプションだし好みの問題だが、鈴木氏のファンの一人である記者は容認できない。なにもないほうがいい。

 アクセントをつけるなら足元に白砂や波、貝殻などを控えめに散りばめたほうがいいのでは。

 前田氏と同社の女性広報担当者とこの問題についてしばし論議もしたが、二人は「好みがあるので…」と言葉を濁した。

 100㎡のモデルルームにも注文を一つ二つ。同社は大和地所レジデンスとともに100㎡マンションで業界をリードしてきた。ディスポーザーを業界で初めて標準装備したのも同社だ。二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、フラットサッシ、メーターモジュール廊下幅は標準装備にし、死守してほしい。

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廊下(写真では見づらいが、葉っぱの文様が散りばめられている)

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リビング(ペンダントの裏には花の文様がある。ライトの下のカサブランカは家庭では絶対置かないフェイク)

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模型(実際は全体がもっと白い。完成予想図よりも美しい)

立地・プランがいい 価格も妥当で人気必死 東京建物「Brillia Tower 横浜東神奈川」(2017/4/18)

明和地所「クリオ駒沢公園」 全53戸のうち10戸は億ションかプレミアム仕様(2015/10/30)

明和地所 フラッグシップ「横濱ザ・マークス」 神奈川県初の低炭素認定「綱島」(2017/3/9)

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「アールブラン高津レジデンス」完成予想図

 モリモトの「アールブラン高津レジデンス」を見学した。もともと同駅圏での供給が多い同社の10件目の物件で、高さ規制が20mのエリアであることから近隣物件はほとんどが地階を設け7階建ての直床なのに対し、6階建ての二重床・ワイドスパンプランにすることで差別化を図っている。第1期は半分くらい供給する模様だ。

 物件は、東急田園都市線・大井町線高津駅から徒歩11分、川崎市高津区北見方1丁目に位置する6階建て全88戸。専有面積は54.64~77.70㎡、予定価格は3,900万円台~6,500万円台(最多価格帯4,200万円台)、坪単価は270万円弱。完成予定は2020年1月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修はSKM設計計画事務所。施工は新日本建設。分譲開始は2月中旬の予定。

 現地は、敷地の西側一部が府中街道に面しているが、騒音を遮断する反射ガラスを採用。全体の5~6割を占める南側は4m道路に面し、その先は低層の住宅街。

 建物はL字型で、住戸プランはワイドスパンが特徴。専有面積50~60㎡台には6m前後のスパンの住戸は26戸あるが、その他の60~70㎡台は最低でも6.4m確保し、中心は7m台、最大は11.5㎡としている。

 階高は約3mでリビング天井高は2400~2450mmだが、二重床・二重天井、玄関・廊下・洗面所は磁器質タイル、食洗器、一部壁面は木調パネル張り仕上げ。

 販売担当の定方鋼太氏は、「他物件との競合もあるが、南側が住宅街で、ワイドスパン、二重床・二重天井のプランに対する評価が高い。第1期は半分くらい行けそう」と自信を見せていた。

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西側外観

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 数年前の同社の物件だったらキッチン天板は御影石を採用していたはずだが、今回は人造大理石だ。建築費上昇がこの物件にも反映されている。

 だが、しかし、いつものことだがプランがいい。どれほどいいか。パンフレット資料にある「アウトフレーム工法×ワイドスパン設計によるプラン」を紹介する。次のようにある。

 「間口を広げ、正方形に近い間取りにすることで廊下部分を短く無駄を排除し、居室の有効面積を広げます。一般的な70㎡台の間取りと比較して、本物件の64㎡の住戸は有効生活面積がより広くなります」

 そして、一般的な間口が6.2mの72㎡と、同社の間口が7.2mの64㎡の間取り図が例示されており、前者の生活有効面積が35.2畳大であるのに対し、後者は36.2畳大としている。

 つまり、専有面積が約4.8畳小さいにもかかわらず、生活有効面積は逆に約1畳広いとしている。当たらずとも遠からずだと思う。最近はみんな右に倣え。70㎡台でもスパンは6mくらいが幅を利かせている。いかがなものか。

 モデルルームは72㎡。8.5mスパンに圧倒されるはずだ。デザイン監修はカン・デザインオフィスの鈴木ふじゑ氏。これまたいつもそうだが、ベージュを基調にしたカラーリングがいい。玄関・廊下などのタイルはまだ発売されていないもので、限りなく自然石に近いものを採用しているという。

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モデルルーム

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CAFÉSPACE ...」完成予想図

小田急電鉄と小田急不動産は125日、小田急多摩線栗平と黒川駅前にそれぞれ新しいライフスタイルを提案する拠点をオープンすると発表した。

栗平駅前の「CAFÉSPACE ...」は、幅広い世代が集まり、笑顔で団欒する地域のLDK(リビング・ダイニング・キッチン)のように、地域住民同士、地域住民と小田急グループが繋がる場所になって欲しいという想いを込めた。コミュニティカフェ、キッチン付きを含む3部屋からなるレンタルスペース、仕事や趣味などに集中して取り組めるワークスペースなどからなる。開業は3月中旬。

黒川駅前の「ネスティングパーク黒川」は、「巣(Nest)」と「Nesting(つどい)」を合わせ、産まれ、巣ごもり、巣立っていく「Nesting Park」と名付けた。小田急グループの神奈川県内で初めての取り組みとして、シェアオフィス「キャビン」を核とした複合施設を新設する。施設の企画・設計監理はリノベーション賃貸住宅「ホシノタニ団地」などで実績があるブルースタジオが担当する。開業は5月。

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 結構なことだ。ライバルの京王電鉄は昨年10月、駅前の京王プラザホテル多摩内にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」をオープンした。会員制でICカードを使って入退室でき、月単位や時間単位で利用できるようになっている。東京都の「サテライトオフィス設置等補助事業」の第1回採択事業でもある。同社は駅前の保育所開設も積極化している。

 双方が競い合いこの種の施設をどんどん設置して、地域のポテンシャルを引き上げてくれることに期待したい。マンションの分譲単坪単価は、足立区の北千住で300万円台の後半に迫り、埼玉県の所沢、神奈川県の大船は350万円だ。本厚木だって260万円で人気を呼んでいる。

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 記者は小田急線に乗って通勤したことは一度もないが、いつの間にか速くなっている。ネットで調べたら小田急多摩センター-新宿は最速33分で370円。一方の京王線は京王多摩センター-新宿は39分で319円。本数は京王線のほうが多いから、小田急に追いつかれることはないと思うが…。

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「ネスティングパーク黒川」完成予想図

 

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平成31年 新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪で)

 すてきナイスグループは1月25日、恒例の平成31年 新春経済講演会を行った。三部構成で、第一部の日本総合研究所会長・寺島実郎氏による講演から第二部の同社会長兼CEO・平田恒一郎氏、同社副社長・日暮清氏、同社社長・木暮博雄氏、ナイス社長・杉田理之氏によるグループの近況・方針発表、第三部の日刊木材新聞社社長・岡田直次氏をモデレーターとする業界8社社長によるパネルディスカッションまで、イベントは約4時間に及んだ。

 「Gywood®(ギュット)」詰まった中身に約1,500名の参加者は、寺島氏が話した日本の〝針路〟を見失ったかのように船を漕く人も一部見られたが、最後は新春賀詞交歓会に酔いしれた。

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 他の取材もあり、駆け付けたときは平田会長が「今年のキーワードは『素敵ワクワク』。新しい時代をワクワクして迎え、全社一丸となって全力で邁進する」と挨拶し終えたときだった。

 続いて登壇した日暮氏はグループの事業はSDGsの目指す方向と一致すると強調、さらに木暮氏はそれを補強するかのように最近の具体的事例を紹介、最後は杉田氏が同社も開発に関わった「Gywood®(ギュット)」で締めくくった。

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 第二部あたりからコクリコクリとする人も散見されたが、第三部のパネルディスカッションは中身がぎゅっと詰まった素晴らしい内容だった。

 詳細は同社が会報紙誌などで掲載するはずだからそちらを読んでいただきたい。ここでは中身をぎゅっと絞ったエッセンスだけを紹介する。

 パネリスト8氏は「平成30年」を次のように色紙1枚にまとめ振り返った。(発言順)

 「謝」 大建工業社長・億田正則氏 昨年はシステム障害などを起こし皆様にご迷惑をおかけした。まず陳「謝」します。この30年間は選択と集中を進め、撤退したものもあるが、素材事業は平成の初めは11%だったのを35%まで伸ばした。輸出も大幅に増やした。新陳代謝の「謝」でした。事業伸長はお客さまや皆さんのお陰、感「謝」申し上げる。

 「後塵」 パナソニックエコソリューションズ社長・北村亮氏 先進国であったわが国は発展国に追い上げられ追い越された30年。平成元年のとき、世界トプ企業50社のうちわが国企業は32社だったが、今は18位のトヨタのみ。後塵を拝した。当社もデジタルまではついていけたが、ネットに後れを取った。反省を込めて新しい時代を迎えないといけない。

 「再生」 セイホク社長・井上篤博氏 平成元年からの3年間は、米ソの冷戦終結、天安門事件、東西ドイツの統一、湾岸戦争があり歴史の大きな転換期だった。それは元に戻らないという意味の創造的破壊でもあった。わが国は阪神淡路や新潟、東日本大震災により素地や故郷が破壊された。「再生」はコピーではなく新しいものを生み出さないといけない。

 「復興」 SMB建材社長・角柄明彦氏 わが国の国土は地球の0.28%しかないのに巨大地震の2割を占める地震国。数々の大地震が強く記憶に残っている。その都度、建基法改正、耐震化、耐震リフォームなど防災の取り組みも力強く行われた。今後は都市の分散が論議されるだろうし、再生可能エネルギーの活用など防災に強い都市計画を強力に推し進める必要がある。

 「次世代への布石」 吉野石膏社長・須藤永作氏 平成は昭和から引き継いだ課題全部を整えた時代ではなかったか。国も企業も家庭もどう行動するか、その布石を敷いたのが平成ではなかったか。大きな地震や台風などの被害を受けた。その経験を将来にどう生かすか。石こうボードもその布石を生かし、水に強い、音に強い商品開発を行わなければならない。

 「エクセラード」 ニチハ社長・山中龍夫氏 「エクセラード」は平成2年に発売した商品だが、現在では売り上げの6割を占めるほど貢献している。木造の外壁は平成の当初はモルタルが47.5%だった。今は逆転し、モルタルは7%に減少し、当時32%だったサイディングは78%に増加している。時代の変化をチャンスと捉えたい。

 「変革」 TOTO社長・喜田村円氏 ウインドウズが発売されたのは1985年。いけいけどんどんの昭和はバブルで崩壊し、それからアイフォンが普及し、働き方や家族、コミュニティのあり方も変わった。平成は給与が下がったという論議もあるが、観光産業が伸びている。日本は安全でおもてなしの国であることを示した。「変革」には平成は平和だったという意味も込めた。

 「加速」 LIXIL Water Technology Japan CEO・大西博之氏 入社して社会人になった人生そのものの30年間だった。グローバル化、イノベーションが進み、当社の売上げの半分が海外事業となった。とくにスピードが速くなった。トレンドに乗り「加速」することが大事だが、その基となる力がないと流れに乗れない。その力をどうするかだ。

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 パネルディスカッションはその後、予定されている消費増税の影響、対応などに話が及んだ。企業トップとしては当然だろうが、駆け込みに期待し反動減におびえるような声はほとんど全くと言っていいほど聞かれなかった。発言順に各氏の声を紹介する。

 LIXIL・大西氏 崖下に落ちないようジャンプしたい。国策をジャンプ台にして中長期的な視点でリフォーム事業を仕込んでいく

 TOTO・喜田村氏 心配していない。もっと豊かな生活をしたい願いは不変。それをどう後押しするか。ホテルの改装・改修が伸びるのではないか

 ニチハ・山中氏 アメリカも中国も金融引き締めに動きそうだし、イギリスのEU離脱も深刻な影響を与える。日本国内より海外からの直撃に注視する

 吉野石膏・須藤氏 リーマンの影響を受けたが、考えてもしょうがない…というわけではないが、足元をしっかり見つめ、己の信念を貫く

 SMB建材・角柄氏 アメリカも中国も〝自分ファースト〟だが、〝柔よく剛を制す〟だ。50年前と(経済の)力が違う。オリンピック後も景気は持続する

 セイホク・井上氏 消費増税やその他で約8兆円の可処分所得が吸い上げられる不安はあるが、いい国づくりに寄与する素材メーカーとして需要を取り込む

 パナソニックエコ・北村氏 住宅市場が縮小していくのは自明。しかし、オリパラ、非住宅、万博、スポット地方も開発が進む。明るい材料を取り込む

 大建工業・億田氏 むしろ増税後が楽しみ。私は昭和25年生まれだが、これからは若年層と高齢者の人口構成が逆になる。働き甲斐のある社会にしたい

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 国土交通省は1月24日、住宅内の室温変化が健康に与える影響について調査した結果をまとめ中間報告(第3回)として発表した。

 調査は、日本サステナブル建築協会のスマートウェルネス住宅等推進調査委員会(幹事:伊香賀俊治慶大教授)が平成26~30年度の間に実施したもので、断熱改修を予定する住宅に居住する人4,131人(2,307軒)と、断熱改修を実施した人1,194人(679軒)についてそれぞれ改修前と改修後の健康診断結果をまとめたもの。

 調査の結果、①室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい②居住者の血圧は部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い③断熱改修後に居住者の起床時の最高血圧が有意に低下④室温が低い家ではコレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い⑤就寝前の室温が低い住宅ほど過活動膀胱症状を有する人が有意に多い⑥床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い-などの新たな知見が得られたとしている。

 日本サステナブル建築協会は2月1日(金)13:30~17:00、第3回中間報告会をホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区隼町1-1)で行う。定員は300名で参加費は無料(登録制)。詳しくは同協会HP(http://www.jsbc.or.jp/)へ。

 

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