防犯ガラスの過信は禁物 旭化成ホームズ・くらしノーベションが衝撃的な調査報告
第15回「くらしノベーションフォーラム」(AP東京丸の内で)
松本氏
知らなかったのは記者だけかもしれないが、防犯ガラスは普通ガラスと比べそれほどガラス割侵入を防ぐことができないことが旭化成ホームズの調査で分かった。同社くらしノーベション研究所所長・松本吉彦氏が12月8日行われた、「科学的根拠に基づいた犯罪予防~防犯環境設計について考える~」をテーマにした第15回「くらしノベーションフォーラム」で明らかにした。
松本氏は、過去10年間の戸建て侵入被害にあった同社施工の事案を様々な角度で分析した結果を報告。
この中で、1階窓の被害があったN=363例のうち、侵入経路について2カ所にロックが付いている防犯ガラス183例ではガラス割侵入が48%、他手段の侵入が29%、ガラス割未遂が16%、他手段の未遂が8%だったと語った。
一方、普通ガラスで被害があった180例では、ガラス割侵入が61%、他手段の侵入が22%、ガラス割未遂が9%、他手段の未遂が7%だったことを明らかにした。
この結果から、松本氏は「防犯ガラスはガラス割侵入防止の効果あり」としながらも、高窓やシャッター付き窓の被害が少ないことなどから、外出時にはシャッター窓を閉め、面格子のある浴室窓を開けたままにしないよう喚起した。
また、死角に侵入させないゾーンディフェンスやハードディフェンス、二世帯住宅や2階リビングなど建て方、さらには「みまもり型防犯設計」など総合的訪販対策を講じれば被害リスクは0.25倍(一般戸建ては0.43倍)に減ると語った。
フォーラムでは、明治大学理工学部建築学科教授・山本俊哉氏が「科学的根拠に基づいた犯罪予防~防犯環境設計の効用と限界~」と題する講演を行った。山本教授は講演の中で「安全教育(Education)」(≒自助)「法制度・システムの執行(Enforcement)」(≒公助)「環境整備(Environment)」(≒共助)の「安全の3Eアプローチ」が重要と力説した。
山本氏はまた、犯罪予防の視点からル・コルビュジエの思想に異論を唱える考えもあると話した。
山本氏
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皆さんは、防犯ガラスと普通ガラスの被害状況の数字をどう思われるか。記者は防犯ガラスの破砕実験を体験している。大きなハンマーで叩いても割れず、破砕するまでずいぶん時間がかかり、ものすごい音が出る。間違いなく向こう三軒両隣に音が響き渡る。
ところが、松本氏の報告では2枚の合わせガラスでも特殊な工具を使うためか約5分で穴があけられるというではないか。普通ガラスは1分間くらいだから効果があるといえばあるのだろうが、防犯ガラスの値段は普通ガラスの1.5倍くらいする。それほどコストをかけても数値は61%から48%にしかならないのであれば、単に気休めに過ぎないとも思える。過信はできない。むしろ、防犯センサーとか松本氏が強調した電動シャッターなどを取り付けたほうがいい。
なお、同研究所が2011年に発表した調査報告書では「普通ガラスの侵入率を1とすると防犯ガラスは0.39と約4割に減ることが分かりました」とあり、今回の調査データを2011年時と同じ計算式で侵入率を算定すると0.6倍くらいになるという。
これだけでは断定的なことは言えないが、防犯ガラス割りの〝技術〟が進歩しているとも受け取れる。防犯対策と泥棒とのいたちごっこは続いているということか。
松本氏によると、この種のデータはどこにもないようで、衝撃的な調査報告ではないか。
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松本氏は、報告の中で2013年を前後に「中部三県」(東海三県ともいい、愛知、岐阜、三重)で侵入被害が〝激増〟したと何度も「中部三県」を口にした。
三重県出身の記者は、被害が多かったのは愛知県で三重県ではないと思い、また温厚な人が多い三重県人の名誉のためにも、「松本さん、私は三重県出身。(近江泥棒、伊勢乞食という言葉はぐっとこらえて)三重県は泥棒が多いはずはない」と迫った。松本氏は「確かに(木曽・揖斐)川を渡るとぐっと侵入は少なくなる」と答えた。
してやったり。松本氏から1本取った。しかし、続編がある。取材を終え、ある忘年会に出席して夜中に帰ったのだが、田舎の身内に泥棒が入ったことを知らされた。
みんなが寝静まっている深夜にどこかから侵入され、リビングに置いていた財布から多額ではないが、忘年会の参加メンバー約40人の会費を賄えるくらいのお金を盗まれたそうだ。それだけではない。娘の下着もなくなったという。
犬も寝込んだのか、全然吠えなかったそうだ。駆けつけてきた警察官には大声で吠えたという。犬まで温厚になってしまったのか、それとも権力には拒否反応を示す県民性を反映したものかよくわからない。おそらく鼻薬をかがされたのだろう。袖の下に弱いのは全国共通だ。犬も一緒。なので記者は犬よりネコが好きだ。
それにしても泥棒の主たる目的は下着なのか金なのか。つかまるリスクとそろばんをはじくとどうなるのか。山本教授が話した、人間は損得の合理的計算のもとで行動を選択するという「合理的選択理論」(ロナルド・クラーク)に照らしあわせると、獲得する報酬はどうやって測るのか。私は人間は損得だけでは動かないと思う。女性の下着の価値は泥棒しかわからないはずだ。
インテリックス 一戸建て中古の買い取り再販業に参入
マンション買い取り再販の最大手インテリックスが一戸建ての買い取り再販業に参入する。現段階で詳細は不明だが、不動産仲介会社を通じて中古一戸建ての仕入れを積極化する模様だ。
同社の平成28年5月期の中古マンション再生流通事業「リノヴェックスマンション事業」は、売上高329億円(前期比32.4%増)、営業利益12億円(同37.6%増)で、販売件数は1,393件(同226件増)、平均販売価格が2,342万円(同11.1%増)となっている。
中古住宅再生事業では、カチタス(群馬県桐生市、旧社名:やすらぎ)がトップで、1戸建てを中心に年間3,000戸を突破する。
大京も今年10月、戸建てリノベーション事業に参入すると発表。リノベーションマンションと合わせて、平成33(2021)年3月期に販売戸数を2,500戸超に拡大する目標を掲げている。
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戸建て買い取り再販についてよくわからないが、当然、旧耐震などは耐震診断・補強を行い、断熱・遮音などの省エネ性向上工事から既存住宅売買かし保険、地盤調査、第三者機関の建物検査などの費用もかさむ。建て替えたほうがいい物件も少なくないし、街並みとの調整も大きな課題になる。
業界大手のインテリックスの戸建て買い取り再販業への参入が業界地図をどう塗り替えるのか注目したい。
モリモトの億ション「ディアナガーデン自由が丘」 モデルなし 会員だけで残り3/14戸
「ディアナガーデン自由が丘」完成予想図
モリモトの自由が丘駅圏の億ション「ディアナガーデン自由が丘」が会員優先分譲だけで、しかもモデルルームなしで全14戸のうち11戸が成約となった。
物件は、東急東横線・東急大井町線自由が丘駅から徒歩6分、目黒区自由が丘2丁目の第一種低層住居専用地域(建蔽率60%、容積率150%)に位置する地下1階地上3階建て全14戸。
全14戸のうち11戸は9月から開始した会員優先で分譲済みとなっており、残りは3戸の第一期(戸数未定)の専有面積は107.15~213.04㎡、価格は未定だが坪単価は550万円。販売予定は平成29年1月中旬。竣工予定は平成29年2月中旬。設計・監理はナチュラル設計企画。デザイン監修はアーキサイトメビウス。施工は東亜建設工業。
〝ディアナガーデン〟は同社の最高級ブランドで、バブル崩壊後の1996年(平成8年)竣工の第1弾「ディアナガーデン麻布」(29戸)、1997年(同9年)竣工の第2弾「ディアナガーデン恵比寿」(73戸)から2006年(同18年)竣工の「ディアナガーデン広尾」(108戸)まで5棟が供給されており、今回が6棟目。
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同社に見学をお願いしたら、「モデルルームはありません。9月から会員の中から約100人の方にお勧めしており、これまで11戸が成約済み」という答えが返ってきた。
だから、現地ももちろん観ていない。物件ホームページの今井敦氏の考えを紹介するほかない。
「『DIANA GARDEN』として、これからの邸宅の姿を指し示す提案性をもたすこと。緻密な設計、重厚な造形、素材のディテールなど、邸宅を形成するすべてにこだわりを尽くし、風格を放ちながらも、次代の邸宅像を予感させるモダンさとシャープさを持つ建築美を実現する」とある。
そしてインテリアデザインが南部昌亮氏だ。坪単価550万円は決して安くはないが、最強のコンビが揃って自由が丘の〝ディアナガーデン〟ならさもありなんと思ってしまう。
〝ディアナガーデン〟の第2弾「恵比寿」は、バブル崩壊の影響から中堅デベロッパーがばたばたと倒れる一方で、同社はいち早く〝デザイナーズマンション〟に特化して急回復-というよりバブル崩壊前の同社は数多くある中堅の1社にしか過ぎなかったのだが-しているころで、坪単価は400万円しなかったのではないか。森本浩義社長が自画自賛したのを覚えている。その3年前に竣工した「恵比寿ガーデンプレイス」は坪単価700万円だったが、設備仕様はそれほどでもなかった。
以下は今井氏の最近の作品の一つ
大京 戸建て「アリオンテラス北小金」分譲開始
「アリオンテラス北小金」完成予想図
大京は12月8日、同社の戸建てブランド「アリオンテラス(ALION TERRACE)」 シリーズの千葉県で初となる「アリオンテラス北小金」を12月9日から発売すると発表した。駅から徒歩6分の全12戸で、中庭(パティオ)の中にあるような街区構成と、自然エネルギーを活用したパッシブデザインが特徴。
物件は、JR 常磐線北小金駅から徒歩6分、松戸市小金きよしヶ丘1 丁目に位置する全12戸(分譲は10戸)。土地面積は100.07~105.33㎡、建物面積は95.65 ~107.93㎡、価格は4,080万~5,280万円。竣工予定は2016年12月22日。設計・施工は津田産業。
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同社が戸建て事業に力を入れるというのは先の取材で聞いている。今回も駅から徒歩6分と近く、価格もリーズナブルなものだ。マンションなら坪単価は180万円くらいするのではないか。マンションより戸建てのほうが安いのが最近の市場だ。
施工の津田産業は三井不動産レジデンシャルや東急不動産の物件施工も多く、最近ではフージャースアベニューの施工もある。
「クリマデザインの時代」 首都大学東京・小泉雅生教授 プレ協が環境シンポ
「ZEH元年-その先の住まいとまちづくり」環境シンポジウム(すまい・るホールで)
小泉教授
プレハブ建築協会は12月7日、「ZEH元年-その先の住まいとまちづくり」と題する2016環境シンポジウムを実施した。関係者ら約200名が参加した。
「2020年までに標準的な新築住宅でZEHの実現を目指す」という国の政策目標の達成に沿ったもので、首都大学東京大学院教授・小泉雅生氏(小泉アトリエパートナー)が「新しい環境文化の形-クリマデザイン」と題する特別講演を行った。
「クリマデザイン」とは、小泉教授や工学者の村上周三氏(建築環境・省エネルギー機構理事長)らが提唱する、パッシブデザインを一歩進めた機械設備(アクティブ)も適宜使いながら環境を制御しつつ地域性を背景とした環境文化を創造しようという新しい考えで、「環境の質を上げ、生きものとしての快適な環境を考え、『気候』をデザインする」(小泉氏)というもの。
シンポジウムでは、積水化学工業、パナホーム、サンヨーホームズの最新の事例報告も行われた。
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小泉氏は、「これまで様々な実践を行ってきた中で、もう一度理念、思想を考え直そう」と、クリマデザインにたどり着いたその経緯などについて話した。
記者は、パッシブデザインとどこが違うのだろうとずっと考えていたが、どうやら高気密・高断熱=アクティブのイメージが強いわが国のプレハブ住宅のいいところと、ややもするとアクティブを否定的に捉えがちなパッシブデザインの良さも取り入れながら、より快適な環境文化を育てようという理念だ。「クリマ」は気候(climate)から取った造語。
なるほどと思った。これからはボタン一つで住宅の温熱環境を自在に操る時代だ。IT技術の進展がそれを可能にする。
しかし、ボタン一つでそれが可能な、均一な住空間が果たして最適な空間かと問われれば「ノー」だ。そのいい例として、小泉氏は、爬虫類の繁殖に成功した札幌市円山動物園の本田直也氏の話を持ち出し、「亀に雨を降り注ぐと交尾が始まる。適度な負荷が必要」などと冗談交じりに話した。
われわれ人間もそうだ。われわれに楽な人生などやってこないかもしれないが、楽しい生活をクリマデザインは実現するのではないか。
興味のある方は、村上周三+小泉雅生+クリマデザイン研究会「 クリマデザイン: 新しい環境文化のかたち」(鹿島出版会)をお読みください。ついでだが、記者が最近読んだ芦原義信「続・街並みの美学」(岩波現代文学)もぜひおすすめだ。小泉氏の考えに近いものがある。
「中古住宅は既存住宅に変更」国交省・谷脇局長/三井リアルティ・竹井会長ら異論
RBA交流会(ホテルニューオータニで)
谷脇局長
国土交通省土地・建設産業局長の谷脇暁氏が「中古住宅」の呼称変更について、「他にいいネーミングがあればそれにしてもいい」としながら、「既存(きそん)住宅に変更するよう作業を進めている」と、12月1日に行われたRBA野球関係者だけでなく、不動産流通会社の会長・役員クラス、デベロッパーの幹部なども参加したRBAの交流会の挨拶で語った。
これに対して、会に出席していた不動産流通業界関係者からはおおむね賛成の声が上がったが、三井不動産リアルティ会長・竹井英久氏らは「新築があるから中古になる。新築の呼称をやめ、中古住宅の中古を取ればいい」と異論が上がった。
中古住宅の呼称変更については、以前から「イメージがよくない」という声が上がっており、積水ハウス会長兼CEO・和田勇氏は「素敵な名前があるはず」としており、当分議論を呼びそうだ。
左から竹井氏、中島氏、岩井氏
左から中島氏、岩井氏、内閣府内閣審議官・佐々木基氏、谷脇氏、三井不動産常任監査役・飯野健司氏
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谷脇局長の発言に対し、会に出席していた住友不動産販売会長・岩井重人氏、同社常務・村井慎一郎氏、東急リバブル会長・中島美博氏、同社専務・三木克志氏、野村不動産アーバンネット元会長・金畑長喜氏、三菱地所リアルエステートサービス専務・斎藤哲二郎氏なども賛意を示した。
これに異論を唱えたのが竹井会長だ。「中古よりいいが『住宅』だけでいいのではないか。もっといい言葉があるはず」と語った。竹井会長の言葉を補強したのが、同社企画部部長・井口正邦氏だ。「新築住宅の新築を取れば問題は解決する。流通量は中古のほうがはるかに多く、これからの時代は新築か中古かの時代でもない」と。
なるほど、これには一理ある。新築は売ったらすぐ中古になるし、中には新築でも中古並みの価格で分譲される戸建ても存在する。質から言えば新築も中古もない。新築より中古のほうが優れている局面もある。
竹井会長らの主張は正鵠を射る-と言いたいが、「新築」も「中古」も取ったら大混乱が起きる。法律の改正も必要かもしれないし、なにより新築住宅を販売するデベロッパーサイドから「われわれはいかに完成在庫をなくすかに粉骨砕身しているのに、新築と中古の区別をなくしたら売れるものも売れなくなってしまう」と猛反撃されるのは必至だ。
なので、記者はどちらがいいかよくわからない。しかし、「既存」を「キソン」と読ませることは納得できない。「キソン」は「毀損」を連想させるからで、「毀損住宅」=「欠陥住宅」の誤解を生じないか心配だ。
我々の団塊世代は「キゾン」と読んだ(呼んだ)はずだと思い、68歳の上田清司・埼玉県知事に話を向けたら「そうだ、そうだ、我々は『キゾン』と読んだ」と語り、隣にいた上田知事と同級生という弁護士の香川實氏も「おっしゃる通り。『キゾン』だ」と話した。
谷脇局長、こんなに異論が飛び出すのですから、いっそのこと「不動産流通近代化センター」が公募により「不動産流通推進センター」に呼称変更したように、公募で新しい名前(愛称)を決めたらいかがでしょうか。会場では「一般の人は『キソン住宅』と耳で聞いたら何のことかわからない人も出てくるでしょうね」という声もあった。
国語辞典で調べたら「存」の読み方は以下の通り。
・清音でも濁音でもいい例。「依存」「恵存」「現存」「残存」
・濁音の例。「異存」「一存」「温存」「愚存」「所存」「存ずる」「ご存じ」
・清音の例。「既存」(本来「キゾン」は誤りとある)「存在」「自存」「存否」「存亡」「存立」「存する」
上田埼玉県知事ご夫妻
左から村井氏、東急リバブル元専務・平元詢二氏、三木氏
スムストック住宅の一層の普及を 和田会長 「既存」の発音はなぜ「きそん」(2016/8/30)
「中古住宅」呼称は「既存住宅」か「既築住宅」か それとも妙案はあるか(2016/6/29)
伊藤忠都市開発 「クレヴィア御茶ノ水」販売開始 好調スタート
、「クレヴィア御茶ノ水」完成予想図
伊藤忠都市開発は12月3日、「クレヴィア御茶ノ水」の第1期販売を開始した。第1期1次23戸、第1期2次2戸はともに登録完売し、好調なスタートを切った。
物件は、東京メトロ丸ノ内線御茶ノ水駅から徒歩7分、文京区湯島二丁目に位置する13階建て全53戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は36.41~72.56㎡、坪単価は400万円を切る模様。設計・監理はIAO竹田設計、デザイン監修はインテンショナリーズ。施工は南海辰村建設。竣工予定は平成30年2月下旬。
渋谷ヒカリエ「Sky Lobby」のフロアデザインを手がけた「インテンショナリーズ」による設計デザイン監修で、角住戸率約86%、内廊下設計などが特徴。
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所在地が千代田区ではなくて文京区湯島だったので、坪単価は400万円を突破するようだと完売まで時間がかかると思ったが、そこまでいかないようだ。第1期25戸が完売したのも納得だ。千代田区内では軒並み400万円を突破してきており、30坪でほぼ億ションとなる。
創建 首都圏3カ所で外断熱住宅「宿泊体感会」
創建は首都圏の3カ所の戸建て分譲地で「宿泊体感会」を行っている。同社が推進している外断熱住宅の購入を検討している人に、無料で宿泊してもらうことでその良さを理解してもらうのが目的。
実施しているのは①ルナ印西牧の原 クルムザパーク(北総鉄道印西牧の原駅徒歩6分の全100区画)②ルナつくばみどりのクルムヒルズ(つくばエキスプレスみどり野駅徒歩5分、全93区画)③ルナ稲毛海岸クルムスクエア(JR京葉線稲毛海岸駅徒歩15分、全32区画)。
備えつけられているものは寝具、シャンプー、飲料、TV、DVDプレーヤーなど。宿泊した家族でアンケートに回答した人には3,000円分のQUOカードがプレゼントされる。詳細は同社・電話03-5812-5555へ。
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「外断熱」を体験するにはいちばんいい時期だ。同社の戸建てを購入しなくてもいいはずだから、ぜひ体験していただきたい。
記者はモンゴルのホテルで何度もその良さを体験しているし、明豊エンタープライズが10年前に実施した体験会で宿泊したことがある。もちろん酒代は自腹だったが、無料でホテルのような億ションに泊まったことがある。
郊外マンション・戸建て不振 もう〝駅近〟を強調するのはよそうではないか
郊外マンションや一戸建ての売れ行きがいま一つだ。いろいろ理由はあるが、最大の理由は価格が高くなったことであり、子育て世代にとって保育所を確保するのはもちろん、子どもの送迎に時間が係るために、住環境などを犠牲にしてより勤務地に近い駅圏のマンションを選び、さらに〝駅近〟を選好する傾向が強まっているからだ。
専業主婦世帯と共働き世帯の数が逆転したのは1990年代に入ってからだ。バブル崩壊とほぼ一致する。バブル崩壊前は、結婚して退職する女性が多数派を占めていたのは、夫の収入だけでなんとかやりくりできたからだ。その図式がバブル崩壊で一挙に崩れた。その間隙をついて、新自由主義(ネオリベラリズム)が台頭し、世の中を支配するようになった。
その是非はともかく、〝駅近〟のマンションや戸建てしか売れないというのはどう考えてもおかしい。記者も〝駅近〟に加担したとは考えていないが、人気の要因に〝駅近〟を挙げたことはたくさんあるので、その責任の一端はある。反省の意味を込めて、〝駅近〟に反撃しようと思う。
◇ ◆ ◇
1日24時間。個人差もあるだろうが、このうち睡眠時間8時間、労働時間8時間、朝・昼・晩の食事時間1時間30分として、残り6時間30分をどう使うかだ。
残り時間のうちもっとも時間を要するのが通勤時間だろう。仮に片道1時間とすると、残り時間は4時間30分。主婦、あるいは主夫の家事労働も無視できない。食材などの買い物、調理時間、後片付け、掃除、洗濯などを2時間30分とすると、残りは2時間。
子どもがいる家庭の場合はさらに保育園の送り迎えがあり、さらにその世話も加えると、主婦、または主夫の可処分時間は限りなくゼロになる。読書をしたり音楽を聴いたり、テレビを観たりする余暇時間はいくらも残されない。
では、どうして時間を工面するかだが、やはり通勤時間を何とかしようという家庭が圧倒的に多いはずだから、より職場に近いところに住まいを定めようと考えるのは当然だ。
だから「駅近」のマンションや戸建てが選好されるのは当たり前で、郊外住宅地が敬遠されるのはよくわかる。
解決法はないのか。考えられるのはより住居に近いところに夫、又は妻が職場を変えるか、専業主婦、または専業主夫になるか、労働時間を削ることが可能なパート・アルバイト、フリーターに変わるか、あるいはまた自由業に転身するかだ。いずれも厳しい選択だ。
となると、残された道は働き方を変えるしかないのだが、残念ながらフレックスやみなし労働も進んでいない。
厚生労働省の平成27年就労条件総合調査結果のデータでは、「フレックスタイム制」を採用している企業は従業員が1,000人以上の企業では21.7%だが、全体では4.3%(不動産業・物品賃貸業は6.2%)しかない。フレックスタイム制の適用を受けている労働者割合も全体では6.7%(同8.5%)に過ぎない。
みなし労働時間制(裁量労働)を採用している企業割合は13.0%(同20.0%)となっており、その適用を受けている労働者は8.4%(同10.1%)だ。
このほか、所定労働時間、年次有給休暇取得率などあらゆる指標はこの5年間ほとんど変化がなく、改善はされていない。
こうなると、〝駅近〟に反撃を加えようにも突破口すら見つからない。あとはもう子どもを育てるには緑が豊かな郊外住宅のほうがいいというほかない。
私事で恐縮だが、記者はバブルの発生の頃、ある郊外マンションを購入した。契約も済ませ、引っ越しが直前に迫ったとき、小学低学年の長男から「お父さん、友だちと別れたくない。引っ越しイヤだ」と泣きつかれ、手付金を放棄して契約を解除した。その後、あれよあれよという間に価格が暴騰したことは経験者の方はご存じのはずだ。
あれから人生が狂ったかもしれないが、後悔はない。マンションは金融商品ではない。買わざるを得ない各家庭の事情がある。子ども育てるには、嫌悪・娯楽・遊興施設が全て揃う、交通事故の心配を絶えずしなければならない、寸詰まりの面積しか買えない都心部のマンションより郊外のほうがいいに決まっている。孟母三遷の教えだってあるではないか。
デベロッパー各社も、いい加減〝駅近〟を強調するのをやめようではないか。〝駅近〟だけを分譲できるデベロッパーは皆無だ。都合のいい時だけ〝駅近〟を謡うのは自殺行為にならないか。
行政も、流山市のように大規模マンションには保育施設を併設することを義務付けたり、駅前の保育ステーションサービスなどを導入したりするなど問題解決に当たってほしい。
物件購入を考えているユーザーの方もよく考えていただきたい。〝駅近〟の魅力はよくわかるが、それと同じくらいデメリットもあるはずだ。もう都心ではワンルームだって億ションの時代だ。〝保育園はどうする〟と詰め寄られれば返す言葉はないのだが、郊外なら30坪で5,000万円のエリアは探せばまだある。
あとは安倍総理にお願いだ。安倍総理が昨年9月27日、総理大臣官邸で開かれた第1回「働き方改革実現会議」で語った一部を紹介する。
「『働き方改革』は、第三の矢、構造改革の柱となる改革であります。大切なことは、スピードと実行であります。もはや、先送りは許されないわけでありまして…多くの人が『働き方改革』を進めていくということは、人々のワーク・ライフ・バランスにとっても、あるいは生産性にとってもいいと思いながらできなかったわけでありますが、いまこそ我々は必ずやり遂げるという強い意志を持って取り組んでいかなければならない」「『働き方改革』のポイントは、働く方に、より良い将来の展望を持っていただくことであります。同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋め、若者が将来に明るい希望が持てるようにしなければなりません」
三井不動産レジデンシャル 戸建て「ファインコート深沢七丁目」 好調な滑り出し
「ファインコート深沢七丁目」
三井不動産レジデンシャルが分譲中の都市型戸建て「ファインコート深沢七丁目」を見学した。桜新町駅から徒歩15分の全21戸で、リビングのほかキッチンも床暖房を標準装備し、リビング天井高は約2.7m確保。1住戸にはスマートウェルネス機能を備えている。先週末に第1期として11戸が分譲され、9戸に申し込みが入るなど好調なスタートを切った。
物件は、東急田園都市線桜新町駅から徒歩15分、世田谷区深沢7丁目の建ぺい率50%・容積率100%に位置する全21戸。土地面積は96.95~107.26㎡、建物面積91.03~114.52㎡、価格は10,000万円台が中心。入居予定は平成29年2月下旬。構造・階数は木造2×4工法2階建て。施工は三菱地所ホーム。
現地は、東急不動産が分譲中の定期借地権付き複合開発「ブランズシティ世田谷中町」の対面。一部の2階住戸からは富士山も見える住宅街の一角。
住戸プランは、1階のリビング天井高を約2.7m(1住戸除く)とし、床暖房はリビングだけでなくキッチンや隣り合わせのDENにも標準装備。21号棟は同社基準のスマートウェルネス住宅。
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第1期11戸のうち9戸に申し込みが入ったというからすごい。現在分譲中の住戸は10,180万円(敷地延長があり、この住戸のみリビング天井高が2.550ミリ)と11,880万円。
隣接の東急不動産の定借マンションは坪単価300万円強で、30坪だと9,000万円になるから、戸建てのほうが安いと感じるユーザーもいるのだろうか。
同社は最近、キッチンやDENも床暖房付として差別化を図っているが、キッチンに床暖房を設置するのは大賛成。主婦(主夫)の家事労働を考えた商品企画にすべきだ。
外構
モデルハウスから西側を写す(隣の東急不のマンション工事の向こうに富士山が見えた)