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パネルディスカッション(三井倶楽部で)

 三井デザインテックが10月19日、昨年に引き続く第2回目のプレスセミナー&懇親会を三井倶楽部で行った。5mはありそうな天井には豪華なシャンデリアが輝き、壁も床も無垢材が採用されている会場にうっとりしながらも、同社デザインラボラトリー所長・見月伸一氏の報告や、伊藤忠ファッションシステム取締役ifs未来研究所・川島蓉子氏と見月氏などとのパネルディスカッションに夢中で聞き入った。

 「コト」「空間エクスペリエンス」などの魅惑的な言葉の意味を必死で考え、デザインが新しい空間価値を創造し、働き方、住まい方、生き方を変え、さらには日本を変える力になると確信した。ライスは食べなかったが、ビーフカレーは特別だった。ワインもおいしかった。

 セミナーでもっとも心に響いたのは、川島氏が「経営者もデザイナーもいつも未来を見つめている。両者がタッグを組めば素晴らしい未来が開ける」という趣旨のことを話された「コト」だった。

 記者もその「コト」を強く感じる。職場環境が社員同士のコミュニケーションをスムーズにし、生産性を上げることはこれまでもたくさん紹介されている。

 しかし、その動きはあまりにも小さく遅い。なぜか。企業・経営者は労働環境を変えることに後ろむきで、デザイナーもまた真剣にタッグを組もうとしていないのではないかと考えている。

 一例を示す。電通の女性新入社員が過労で自殺したのに衝撃を受けた。〝事件〟が報じられたその日(10月7日)、厚労省は過労死等防止対策推進法が施行されたのを受けて「過労死等防止対策白書」を初めて公表した。

 全体として労働時間(パート含む)は年々短くなっているが、長時間労働はまだまだ高い水準にあり、年次有給休暇の取得率は5割を割る水準で推移したままで、仕事の量や質にストレスを抱える労働者が多く、精神障害に係る労災申請が増加していることなどが報告されている。

 記者が驚いたのは、厚労省が労働時間、労働条件などについて企業1万社と労働者2万人にそれぞれアンケートを行ったのだが、回答は企業が1,743件で、労働者は19,583件だったことだ。回答が件数になっているので単純比較はできないが、仮に回答をそれぞれ社、人とすれば企業は17.4%で、労働者は97.9%となる。法律が施行され、安倍内閣が働き方を改革しようと必死になっているのにこれはどういうことか。

 川島氏が「経営者とデザイナーがタッグを組んだら…」と話したのはこのことだろう。デザイナーは毎日、労働・職場環境を見ており、未来も思考しているはずだ。その知見を生かし、企業・経営者に提案していくことが求められている。劣悪な環境を劇的に変えられるはずだ。

 もう一つ、デザイナーに期待したいのは、戸建てやマンションなどの住宅に対する提案力のアップだ。

 セミナーではユーザーの本物志向、素材へのこだわりが強まっていると報告された。その通りだ。しかし、このところの価格上昇で、設備仕様はケミカル製品だらけになってきた。専有圧縮も甚だしい。この悪い流れを変えてほしい。デザイナーの仕事は単なる意匠デザインだけでないはずだ。商品力を高めるのもデザイナーの役割だ。

 これは余談だが、参考になりそうなマンションのプランについて。三井不動産レジデンシャルが先日、「パークコート青山ザ タワー」のモデルルームをメディアに公開した。巨匠と呼ばれるブルーノ・モワナー氏がデザインを担当している115㎡のプランは、何と玄関がなくリビングインタイプだった。

 記者は欧米のマンションのプランがどうなっているか知らないが、リビングインタイプは少なくないそうだ。わが国で受け入れられるか疑問だが、提案してみる価値はありそうだ。これもまたマンションの間取りを劇的に変えるかもしれない。

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 ついでに三井倶楽部で発見した「コト」を一つ。三井倶楽部には「内外美術の粋を集め、とりわけロダンの彫塑、ターナー、サー・ト一マス・ローレンス、ドービニー、ニコラス・マースの油絵等の逸品があり、各室に配備の家具、什器、その他の調度品等もそれぞれ他に比類を見ない豪華なものです」(三井倶楽部ホームページ)とある。

 昨年は見過ごしたのか気が付かなかったが、はっとする絵を帰るとき見つけた。クロークの前に飾られた年代も画家名も不詳の50号はありそうな大作だ。裸婦がベッドに横たわっていた。絵の傷み方、陶器のような肌から判断して、描かれたのはルネサンス時代だろうと見当をつけた。

 しかし、その絵は単に裸婦が横たわっているだけではなく、丸裸の女性の前に黒い衣服を着た男が不義をなじるのか、これから犯そうとするかのような形相で見つめているではないか。

 これに似たような絵は、ルーベンス「レウキッポスの娘たちの略奪」を筆頭にいくつか見たし、レンブラント「ダナエ」、マネ「オランピア」、アングル「トルコ風呂」、マネ「草上昼餐」、ジャン・レオン・ジェロームの一連の「奴隷市場」などスキャンダラスな絵もたくさんある。(女性はどう見るかわからないが)率直に美しいと思う。

 ところが、三井倶楽部に飾られている絵には何とその背後のカーテン越しにその場面を覗く、明らかに男と思われる黒い影が描かれている。これには酔いがいっぺんに醒めた(と思っただけかも)。

 この黒い影は画家そのものであり、画家にそのような絵を描かせた王侯貴族だと理解した。年代も画家名も不詳なのは、名前が明らかになればそれこそ袋叩きにあうのを恐れたためだ。王侯貴族は卑猥な絵を描かせ私蔵した。

 この絵も、描いたのは世に伏せなければならないほど著名な画家であり、描かせたのも著名な貴族だったに違いない。鑑定に出せばとてつもない値段がつくかもしれない。そんな絵がさりげなくクロークの前に飾られている。

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懇親会

コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」を観た 三井デザインテックがセミナー(2015/10/22)

 

 

 

 

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「クレヴィア調布国領RESIDENCE」

 伊藤忠都市開発(事業比率50%)・三菱地所レジデンス(同)が11月中旬に分譲する「クレヴィア調布国領RESIDENCE」を見学した。京王線国領駅から徒歩3分の全163戸で、坪単価は280万円。75㎡と70㎡前後の3LDKが中心。ドンピシャリの企画と見たがどうだろう。

 物件は、京王線国領駅から徒歩3分、調布市国領町4丁目に位置する10階建て全163戸。専有面積は55.04~79.06㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は4,600万円台~7,700万円台(最多価格帯6,400万円台)、坪単価280万円。竣工予定は2018年2月上旬。施工は大末建設。販売代理は三菱地所レジデンス。

 現地は、商業ビルやマンションが建ち並ぶ表通りに位置しており、3方が道路。敷地南側は第一種低層住居専用地域。

 建物は3棟構成で、駅に近い部分にグランドエントランスが設置され、他の住棟とは長さ約100mのゲートブリッジで結ばれている。

 住戸プランは第一種低層住居専用地域に面する南側住棟は75㎡が中心で、他の棟は70㎡前後の3LDKが中心。二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機が標準装備。

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中庭

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 この前、NTT都市開発他「ウエリス世田谷砧」の記事でも書いたが、世田谷区内のマンションは軒並み坪単価が300万円を突破し、駅に近い物件などは400万円もする。

 今回の「国領」は、世田谷区に隣接する調布市で、各駅停車駅であることなどから坪280万円という単価設定になったと思われるが、20坪で400万円の差は大きい。

 コスト削減からプランバリエーションを少なくしたのは気になるが、70㎡のプランは7500ミリのワイドスパンで、廊下スペースを少なくし、主寝室を7畳大確保するなど工夫もされている。ここが試金石・分水嶺となる。売れなければ準都心の物件は相当苦労しそうだ。

 商品企画は伊藤忠都市開発で、販売には伊藤忠ハウジングは入っておらず、三菱地所レジデンスが担当するという面白い組み合わせのマンションでもある。

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「伊里前福幸商店街」完成予想図(隈研吾建築都市設計事務所提供) 

ナイスは10月19日、建築家の隈研吾氏が設計を担当した新たな復興のシンボルとなる宮城県南三陸町の「伊里前福幸商店街」の移転新築工事を着工したと発表した。

 「伊里前福幸商店街」の移転新築工事は、南三陸町の市街地再生の中核を担う株式会社南三陸まちづくり未来が進める事業で、同社は「ナイス・志津川・山庄特定建設共同企業体」の代表として参画するもの。全体設計は、新国立競技場のデザインを手掛けた建築家の隈研吾氏が担当している。

 建物は木造・平屋建て延べ床面積672.79 ㎡(202.04 坪)。完成予定は2017年4月末。建物の内外装には南三陸産のスギが用いられる予定。

 事業は、復興庁が認定している「南三陸町まちなか再生計画」の一環として計画されており、地域の生活を支える商材やサービスの提供をはじめとして地域コミュニティーの中核的機能を担い、また、国道沿いの高いアクセス性を生かして観光客も立ち寄りやすい市街地とすることを目指す。

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「癒し」の効果を促すカラーコディネト イメージ

 東急不動産は10月18日、分譲マンションBRANZ(ブランズ)の新たな商品企画に東京ガス、資生堂と連携し、各社の調査研究データをもとに“より美しくスマートな暮らし”を実現するための浴室空間と入浴方法、美容方法を加えた「自分を整えるBRANZのバスタイム」を提案すると発表。実際の提案をオリジナル商品企画「MEUP(ミアップ)」の一環として来春分譲する「ブランズ南荻窪」に採用する。

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 東京ガスの「ミストサウナ」を採用したマンションは少なくない。その効用は記者も体験したのでいうまでもないが、今回の商品企画は資生堂が参画したのがみそだ。

 ニュースリリースには「資生堂の研究結果によると、肌を温めることで細胞が活性化し、肌全体に美容成分が届きやすくなることが明らかになっています。資生堂のプレステージブランドベネフィークのスキンケアは、肌温に着目し、独自の『℃(ドシー)美容』で、ひとをあたためて美しくするブランドです。『温・冷・温』のサーマルギャップが“Nカーブ”で冷えた肌をほぐし、うるおい環境を整え、角層深く美容成分の効果をしっかりと受け止める肌へ導きます」とある。

 結構なことだ。しかし、記者は風呂嫌いで、冬場は湯船に入り、寝込んでたたき起こされるまで時間を忘れるが、普段は5~6分のシャワーだけで済ませる。一般の人は15~30分入るようだ。

 そこで、同社に提案。今回の提案もいいが、次は風呂代を浮かせ、浴室スペースも削減できる商品を開発してほしい。

 ネット情報などによると電気、ガス、水道代、洗剤その他を合計すると1日当たり150円くらいで、入浴時間、掃除時間などを時間給1,000円として計算すると月に2万円くらいになる。

 わが国は労働時間が長く、睡眠時間が少ないのが問題になっている。入浴時間を半分以下に減らせは、その分睡眠や余暇時間に充てられるので、月に1万円は節約できる計算になる。手っ取り早いのは、自動身体洗い機だと思う。洗濯機のように身体を入れれば数分で身体を洗い、乾燥もしてくれる機器を開発してはどうか。省スペースにもなるし大ヒットするはずだ。

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千代田区議会 企画総務委員会

 千代田区が計画している街路樹の伐採の中止・保存を求める5件の請願書の取り扱いを千代田区議会から付託された企画総務委員会は10月17日、請願書を採択することを決定、計画の変更、樹木医による街路樹の診断、位置づけを明確にすることなどを議会に報告する。区側もイチョウの伐採を議会や区民に説明してこなかったことに対して「説明不足」「認識不足」であることを認めており、計画が変更されるのが確実となった。

 請願書の取り扱いについての審査は10月3日に次ぐもので、この日は各委員から「基本的な大事なことを議案に盛り込まなかった」「自然が豊かでないと人間も豊かになれない。民主的な手続きがなされなかった。事前に住民に説明すべきだった」「街路樹に込められている地域の思いを軽視した」「区の上位計画で街路樹の保存をうたっている」などとし、保存を求める声が相次いだ。

 これに対して区側は、「安心・安全の道路管理を行わないと管理責任が問われる」(道路管理課長)としながらも、「街路樹が果たす役割、区民の思いに対する認識が不足していた。今後は様々な先進例に学びながらきちんと位置づけしていく」(まちづくり部長)などと答えた。

 最終取りまとめを行った林則行・企画総務委員会委員長は、①神田警察通りの1期工事についてはイチョウの並木を保存するために整備内容を見直しすること②区道の街路樹については安心・安全を基本に樹木医の診断を行い、維持管理に取り組むこと③区道の整備については、専門的見地をふまえ、5,023本ある街路樹のあり方を含め指針等を策定すること④東京都に対し区の方針を反映できるよう要請すること-などを骨子とする議会への報告書をまとめると語った。

 この問題については、今年3月議決された区の自転車通行環境整備第一期工事として業者が共立女子大学と一橋大学施設の間のイチヨウ32本とプラタナス5本を伐採するための枝落としを7月に始めたところ、「切らないで」「かわいそう」「何の説明もなく伐採するのは問題」という声が上がったため工事が中断したままになっている。

 その後、街路樹の伐採の中止・保存を求める5件1,375名の陳情書が区議会に提出されている。共立女子学園出身のブライダルファッションデザイナー・桂由美氏らは〝街路樹は人生の一部〟と陳情書で語っている。

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 審査は前回と今回を合わせ約9時間に及んだ。結局は住民の請願書がほぼ全面的に認められた格好になった。非常に結構なことだ。〝話せばわかる〟機能は生きていた。

 しかし、考えなければならないことも明らかになった。街路樹をそれぞれの立場の人の都合にあわせ考えることの愚を教えてくれた。

 審査の段階で行政は街路樹を道路施設の付属物という認識しかなく、伐採についてきちんと説明しなかったことが明確になった。議会(議員)の行政チェック機能も問われるべきだし、問題をこじらせたのは住民の関心の薄さにも原因がありそうだ。

 千代田区は2002年に策定した「第三次長期総合計画」で、「街路樹は、根や枝葉の成長に必要な日照などの生育条件が成約された環境にある」「街路樹や緑地の樹木が、生き生きと生育するため、適正に管理していく必要がある」とし、また「風格ある都心景観の形成を推進するためには、歴史的な景観を維持・継承し、あるいはこれを強化・発展させるなど、面的な景観誘導、歴史的資産の保全などを積極的に進めていく必要がある」としている。

 今回の問題を契機に、千代田区が先進的な街路樹の取り組みを行うことを期待したい。

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枝落としされた神田警察通りのイチョウ(右の建物が共立女子大の建物。9月撮影)

千代田区「説明不足だった」 「豊洲」と同じ様相 神田警察通りのイチョウ伐採問題(2016/10/8)

神田警察通りの街路樹は人生の一部」 桂由美氏らが伐採中止求める陳情書(2016/10/3)

またまた「街路樹が泣いている」 千代田区 街路樹伐採で賛否両論(2016/9/8)

 

 

 

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「パークコート青山 ザ タワー」外観イメージ

 三井不動産レジデンシャルは10月18日、〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにした曲線美を強調した世界基準のラグジュアリタワーマンション「パークコート青山 ザ タワー」の第1期分譲55戸の申し込み登録を10月15日から開始したと発表した。青山公園を眼下に見下ろす26階建て全163戸で、第1期分譲の坪単価は950万円。もっとも広い約300㎡の住戸(価格は未公表)も含め今回の最高価格15億円(234㎡)住戸にも申し込みが入っているという。登録締め切りは10月23日。来場者は約500組。

 物件は、東京メトロ銀座・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分、港区青山2丁目に位置する26階建て全163戸。第1期55戸の専有面積は70.07~234.04㎡、価格は1億7,880万円~15億円。坪単価は950万円。竣工予定は2018年3月下旬。施工は大林組。売主は同社のほかシンガポールのデベロッパーCITY DEVELOPMENTS LIMITEDがこの事業のために設立した特定目的会社Iconique。

 現地は、道路を挟んだ東側に青山公園、南側に青山霊園が広がる繁華街から一歩入った比較的静かなエリアの一角。

 建物の設計に当たっては、世界的に活躍するインテリアデザイナーであるブルーノ・モワナー氏、ガラス師のエマニュエル・パロワ氏、彫刻家の安田侃氏を起用。〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにし、外観から外装のディテールに至るまで曲線の美しさをデザインに取り込んでいるのが特徴。

 1階部分は人工地盤とし、最高5メートルの高さの石垣で囲う。人工地盤上の2階レベルはプライベートガーデンとし、安田侃氏のアートが配置される。最上階には貸し切り(30分2,500円)も可能なインフィニティプールなど共用施設を設置するなどラグジュアリタワーマンションにふさわしい様々な共用施設・サービスを行う。

 住戸デザインでは、床から天井までのフルハイサッシとガラス手すりを採用。ガラス手すりは眺望の妨げにならないよう笠木を設けず、住宅床よりサービススペース(建物外周のバルコニー)の床レベルを下げ、さらにサービススペースは避難経路と設備配置スペースに用途を限定する。

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スカイラウンジ

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インフィニティプール

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サービススペース

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 曲線美を強調したマンションはそこそこあるが、これほど徹底したマンションを初めて見た。シアターからしてそうだ。マンションの概観や共用部分を背景に背丈の3倍くらいありそうなドレスをまとったバレリーナが優美に舞うシーンが音楽と共に映し出される。ナレーションは一切なし。観る者を異次元の世界に誘い込む。非日常の極みのマンションだ。

 モデルルームもしかり。115㎡と234㎡は角住戸タイプで、床、壁、天井、家具調度品に至るまでアール状のものばかり。ドアノブも握り玉にする凝りようだ。デザインを担当したブルーノ・モワナー氏が映像で紹介され、浮遊感を演出した旨のことを話したが、記者などはガラスの向こうから自分を見つめる醜悪な顔に愕然とし、眩暈を起こしそうになった。来場者の多くも「初めて見た」と驚くそうだ。

 素材はコルキア(大理石)、シカモア、黒檀、オーク、本皮などがふんだんに用いられ、設備機器はジェシー、ガゲナウ、ミーレ、ジャクソン、ドンブラハなど外国製ばかりで、日本製はTOTOの便器くらい。ガラス製のオブジェでもあり腰掛は数百万円するそうだ。同社の最高級シリーズ〝パーク・マンション〟とほぼ同等のグレードと見た。

 300㎡の最高価格住戸の価格は未公表だが、20億円を突破するのは間違いない。30億円と聞いても驚かない。

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234㎡のモデルルーム 

 野村不動産アーバンネット10月14日、不動産情報サイト「ノムコム」にホームステージング物件特集サイトを設置するとともに、対象物件を拡大し、サービスを恒久化したと発表した。

 ホームステージングとは、売却物件の室内にインテリアコーディネートを施してモデルルームのように演出することで、中古住宅を早期に売却できるようにする手法の一つ。アメリカではかなり普及しているといわれる。

 同社は2014年11月、20階以上のタワーマンションで専有面積60㎡以上を対象に導入、780を超える物件にホームステージングを行ってきた。ホームステージング実施物件は、未実施の物件に比べて、売買契約の成約率が約1.5倍、販売活動開始から売買契約までの期間が約2割短縮された。

 成果があったためにホームステージングサービスを恒久化し、対象物件を拡大することにしたもので、首都圏・関西圏の営業エリアの2000年(平成12年)1月以降竣工のマンション・戸建て(マンションは50㎡以上、戸建ては80㎡以上)を対象に、「野村の仲介+(PLUS)店舗」と専属専任・専任媒介契約を締結した個人・法人(宅建業者を除く)の顧客などを条件としてサービスを実施する。家具などの設置期間は最長3カ月。

日本ホームステージング協会、今秋に世界規模のイベント開催(2016/2/25)

 

 

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「グラディスさいたま新都心」

 マリモが10月から竣工販売を開始した「グラディスさいたま新都心」を見学した。JR埼京線北与野駅から徒歩3分、京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分の全36戸で、この半月で18戸を成約(申し込み含む)するなど好調なスタートを切った。

 物件は、JR埼京線北与野駅から徒歩3分、JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分、さいたま市中央区上落合2丁目の第二種住居地域に位置する7階建て全36戸。専有面積は65.51~70.00㎡、現在分譲中の住戸(9戸)の価格は4,740万~5,420万円(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は250万円。建物は平成28年6月完成済み。設計・監理はイクス・アーク都市設計。施工は飛島建設。販売代理はアートランド。

 現地の用途地域は第二種住居地域だが、敷地南側は第一種低層住居専用地域で2~3階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角。住戸は全戸南向きでのファミリータイプ。

 10月から販売を開始しており、低層階住戸や角住戸、高層階住戸中心に第1期18戸が完売・申し込み済み。販売担当者は「スタートとしては順調。立地・アクセスのよさが評価された」と話している。

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 初めてマリモのマンション「ポレスター飯能」を見学してから9年。その後、リーマン・ショックの打撃を受けながら経営の立て直しを図り、ここ数年はマンションデベロッパーから総合デベロッパーへの転換を図っている。

 市街地再開発事業、戸建事業、戸建賃貸事業、インバウンド、アウトバウンド事業、収益不動産事業(流動化事業)に参入、さらに中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど南アジアへも進出した。

 新しい事業が開花するのはこれからだろうが、「利他と感謝の精神」を経営理念に掲げるこうした中堅デベロッパーを応援したい。

 「グラディスさいたま新都心」は、やはり建築費高騰の影響を受けているのだろう。植栽など外構には力を入れているが、設備仕様は普通で、専有面積も圧縮気味だ。坪単価も安くはないが、浦和・大宮駅圏は坪300万円を突破してきている現状を考えれば妥当な値段か。

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モデルルーム

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 見学する目的は他にもあった。「不動産ビッグデータでビジネス展開する」スタイルアクトが10月3日、「首都圏エリア別『沖式儲かる確率上位物件ランキング』2016年10月版」を発表したのだが、この「沖式儲かる確率上位物件」の首都圏エリア別トップマンションに埼玉県ではマリモのこの「新都心」が選ばれていたからだ。他のエリアは住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、新日鉄興和不動産など大手が並んでいる。

 「沖式儲かる確率」とは、簡単に言えばマンション収益(家賃相当額+売却時損益)を新築時分譲価格で割って、「マンション利回り」を算出し、2%以上だと資産性が高く、1%台だと平均的、1%未満だと資産性が低いとするものだ。

 投資用マンションならともかく、ファミリーマンションを収益面だけで「儲かる」「儲からない」などとする乱暴な手法にあ然とするほかないのだが、スタイルアクトが宅建業者であることには注目したい。同社もいわゆる「不動産テック」の部類に入るのだろうが、レインズのビッグデータは不動産業者のみが利用可能なもので、その優位性を武器に消費行動を左右させる情報を提供する商行為はいかがなものか。

 「新都心」の販売担当者にこの件について聞いたが、「全然知らない。70㎡のモデルルームは家賃相当額18万円としているが、価格は5,300万円台。利回りは決して高くない」と戸惑っていた。他のデベロッパーも同じではないか。 

マリモ「弊社の健全な経営状況について」公開(2008/11/30)

造り手の心を伝えるマリモのマンション(2007/3/26)

 

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 野村不動産アーバンネットは10月13日、「野村の仲介+(PLUS)」の新テレビコマーシャルの放映を開始した。

 第4弾となる今回のCMでは、一億総活躍社会の実現に向けて注目されている「近居」がテーマ。キャッチフレーズは「言われていないご希望にさえ、こたえる仲介でありたい。」

 「子育て」と「高齢者」の視点から積極的に近居をお客さまに紹介していることをアピールする。

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 同社が2013年に新ブランド「野村の仲介+(PLUS)」を立ち上げてから4年目。過去のCMのキャッチフレーズを紹介すると、

・2013年10月 「家を買う。家を売る。その不安のひとつに、仲介業者はなっていないだろうか」

・2014年10月 「ただ住まいを探すだけなら、不動産仲介なんていらないと思う。」

・2015年10月 「不動産仲介だから提案できる、人生設計もある」

 そして今回は、「言われていないご希望にさえ、こたえる仲介でありたい。」

 「近居」をテーマにしたのは正解だ。先日もUR都市機構と千葉市が「近居」を推進する記者説明会を行った。親子がそして地域が支えあわないと生きられない社会になってきた。

千葉市に住もう〟UR都市機構と千葉市が連携「近居」を支援(2016/10/13)

野村アーバン またまた刺激的CM 富裕層取り込む狙いか(2014/10/7)

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「祝・飛龍不二法門」

 積水ハウスは10月13日、梅田スカイビル内に新しい芸術文化発信拠点となる「絹谷幸二 天空美術館」を2016年12月23日(金・祝)に開館すると発表した。

 梅田スカイビルは1993年3月に竣工した40階建て二棟連結の斬新なデザインのオフィスと商業施設からなる複合施設。2008年、英国TIMES社の「世界の建築物20選」に選ばれている。最上部の「空中庭園」には2015年度は過去最高の121万人(うち海外より72万人)が来場した。

 絹谷幸二氏はわが国のアフレスコ画の第一人者で、日本芸術院会員、東京芸術大学名誉教授、日本芸術家連盟理事。2001年、「蒼穹夢譚」で日本芸術院賞受賞。

 「絹谷幸二 天空美術館」は、大阪湾に臨む街を見渡せる眺望の開けた「梅田スカイビル タワーウエスト27階」に開館。象徴的なプロローグ展示と、3D映像による絵画の世界を空間として体験できる「シンボルゾーン」、絹谷幸二氏の絵画のイメージに合せた青や赤の「展示ゾーン」、制作過程の絵画も見ることができる「アトリエ」、子どもの絵画教室などを開催する「ワークショップスペース」などで構成される。

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エントランス イメージ図

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 絹谷氏は記者がもっとも好きな画家のひとり。絹谷氏が有名になる前に絵の購入を考えたことがある。結局買わなかった(買えない値段ではなかった)のだが、NHKの日曜美術館は必ず観ていた。有名になってから絹谷氏がデザインしたネクタイを買い、擦り切れるまで身に着けていた。

 渋谷・セルリアンタワー、松戸競輪場、みなとみらい線横浜駅、京都ブライトンホテルなどで作品を見ることができる。

 

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