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昨年実施したオープニングセレモニーの様子

 野村不動産は6月12日(日)~6月26日(日)、横浜ビジネスパーク(YBP) で開催している恒例イベント「ホタルがすむ街づくり展」を開催する。

 イベントは横浜国立大学と共催し、「ホタル」を通じて多くの方に自然の尊さや環境活動の大切さを知ってもらうため2008年より開催しているもの。また、11月までの期間、地元の小学生向けに、お米作りを体験してもらう「稲作り」や、YBPテナント企業の協力のもと「おもしろ科学体験会」を開催する。

 同社のこれまでのYBKでの活動が評価され、平成25年度には「かながわ地球環境賞」を受賞し、生物多様性保全に配慮したオフィスビルとしての取り組みは一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)の「いきもの共生事業所[都市・SC版]」として認証を受けた。

 イベントは、会場:横浜ビジネスパーク(相鉄線天王町駅徒歩5分)、主催:野村不動産、共催: 横浜国立大学、後援: 横浜市保土ヶ谷区役所ほか。開催期間(ホタル観賞)は6月12日(日)~6月26日(日)16:00~21:00。

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「多摩ニュータウンと女性―仕事、子育て、地域活動」(首都大学東京で)

 多摩ニュータウン学会が6月4日、「多摩ニュータウンと女性―仕事、子育て、地域活動」と題する討論会を行った。「都心回帰」が進む一方で、職場から遠い郊外は仕事と子育ての両立が難しく、離職につながったり既婚女性は非正規雇用を選択せざるを得なくなったりする研究データをもとに、多摩ニュータウンで活動するNPOや保育園長、都市環境研究者などが問題提起を行い、参加者とともに考えるのが趣旨。

 同学会の理事で東洋大学社会学部准教授・荒又美陽氏が司会進行役を務め、「たまこ部」永山氏と秋好氏、せいがの森保育園園長・倉掛秀人氏、NPO法人シーズネットワーク理事長・岡本光子氏、首都大学東京都市環境学部教授・松本真澄氏がそれぞれの立場から問題提起を行った。

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荒又氏

◇      ◆     ◇

 討論会後の懇親会で参加者の方が「風が吹いている」と話した。記者もその通りだと思う。後述するように、一般的な子育てファミリーの居住環境は悪化の一途をたどっているが、地域に住む子育て女性はお互い手を取り合い、緩やかではあるがさわやかな「風」を多摩ニュータウンにもたらしていると感じた。

 永山氏と秋好氏は、「たまこ部は我が家のマンションの資産価値が下がらないように」という動機から発足した若いママさんたちの団体で、多摩センター周辺のグルメ、子育て、街づくりなどの情報を発信し、たまり場ともいうべき「親子カフェ」を設け活動していることなどを紹介。「保育園拡充で多摩市生きよ!」と結んだ。「積極的、ポジティブに考えるようにしている」という若者らしい言葉が印象的だった。

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秋好氏(左)と永山氏

 倉掛氏は「本当は3時間くらい話したい」と前置きしながら、「赤ちゃんが生まれる前後からサポートする環境が大事」「すべての子どもが育てられる共生の街づくりが欠かせない」「人類は親だけで育ったことはない」「保育園はコミュニティの一翼を担うべき」「子育てなど集中的にお金を使うデザインが必要」などの問題を提起。「保育所は朝の7時から夜の7時までオープンしているが、7時番の保育士のことも考えて」と訴えた。

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倉掛氏

 岡本氏は、原稿を用意し、一字一句わかりやすく語りかけた。これまで10年間のNPOによる一時保育、人材育成、アンテナショップの受託など様々な子育てやコミュニティ支援の活動を紹介。「子育てしながら社会とつながっていたい」という主婦の声を代弁した。

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岡本氏

 松本氏は、この50年間の間に個人の生活がドラスティックに変化し、核家族が固定化した社会・経済環境の下では「価値観の変化に対応する時間と空間をシェアする生き方が求められる」とし、一方で、「今の社会は〝下りエスカレータ〟であることを覚悟しなければならない」と学生にいつも言っているそうだが、「危うさを感じる」と話した。

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松本氏

 多摩ニュータウンの開発に携わった参加者からは「子ども・子育ての視点から街づくりを行わなかった反省はある」との声が聞かれた。

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首都大学東京キャンパスは野草の宝庫

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 埼玉大学准教授・谷謙二氏が「大都市圏郊外における居住と就業」と題する興味深い論文を最新刊の「多摩ニュータウン研究 №18」へ寄稿されている。

 谷氏は戦後の東京圏の人口動態や移動、就業・雇用データを駆使して大都市圏の郊外居住が抱える問題点を指摘、1990年代の後半あたりから都心部への通勤が減少し、非正規雇用の比率が増大していることを明らかにした。以下、その一部を引用する。

 「(多摩市から)都区部への通勤者数は1990年の2万6千人をピークとしてその後は減少し、2010年では1万8千人となっている。その就業者数に占める比率も低下し、1980年には46%もあったものが、2010年には26%まで低下している」

 「1990年代前半までは、ファミリー向けの住宅供給が郊外に偏っており、結婚後は郊外に転出せざるを得なかった。しかしバブル崩壊後、都心周辺部の…手頃な価格のファミリー向け分譲マンションが供給されるようになった…郊外に転出する必要がなくなった」

 「90年代後半以降、それまで正規雇用が一般的だった若年者においても、派遣やアルバイトなど非正規雇用が拡大した」

 「都区部の常用雇用者に占める正社員の比率は69.6%なのに対し、郊外は56.1%と低い。この傾向は特に女性従業者で顕著で、女性の場合は都区部の正社員比率53.8%に対し、郊外は36.8%と、17ポイントもの開きがある。郊外で女性の正規雇用の割合が低いのは、結婚・出産でいったん退職した後に再就職する際、時間を調整しやすい非正規雇用につくという傾向が強いという労働力の供給側の理由もある」

 「90年代後半以降の人口移動動向の変化により、郊外への人口移動は減少し、また郊外から都区部への通勤者は減少し、非正規雇用が増大する中で職住近接が進みつつある。少子化・高齢化の進展により、単身世帯、DINKS世帯も増加して、人々のライフスタイルは多様化している」

◇      ◆     ◇

 「ライフスタイルの多様化」とはよく言われる。確かに「地域」より「家族」、「家族」より「個」が重視される社会にあって、個々が多様な生き方ができるように見える。

 しかし、記者はアッパーミドルや富裕層はともかく、普通の中堅所得層は自らの意志で様々な暮らし方を選択する自由はほとんどないと思っている。

 生活の基盤である住宅にそれは象徴的に表れている。新築か中古か、マンションか一戸建てか、分譲か賃貸か選択肢はたくさんあるように映るが、それぞれに一長一短があり選択は容易でない。

 東京のマンション事情について概観すればそれはよくわかる。谷氏が言うように「バブル崩壊後、都心周辺部の…手頃な価格のファミリー向け分譲マンションが供給されるようになった…郊外に転出する必要がなくなった」のも事実だ。しかし、これは長くは続かなかった。平成7、8年ころからの数年間とリーマン・ショック後の数年間くらいしかない。この間、子育てファミリーは市場の波に翻弄された。

 そして現在、都心部のマンション価格は暴騰し、もはやサラリーマンの手が届く範囲をはるかに超えてしまった。都心3区のマンション坪単価は最低でも500万円を超え、20坪で億ションとなる。

 そればかりか、都内23区でも交通利便性の高いエリアは坪300万円を突破し、ほとんどの地域で坪250万円以上となっている。ファミリー向けの20数坪で6,000万円というのが相場だ。ローン金利が低いとはいえ、多額の借金を抱えるリスクが付いて回る。

 都心部が絶望的で、23区内でも取得が難しくなったいま、「都心回帰」の選択肢があるのは一部の恵まれた層だけだ。一般的な子育てファミリーは「都心回避」する道しか残されていない。

 耳障りのいい「職住近接」も、職業選択と居住の「自由」を享受できる層は限られている。お金のない人が職を確保することを重視すれば、「より広い」郊外型を断念し、「より狭い」住宅へ移り住むしか選択肢はない。

 「都心回帰」の自由も「職住近接」の選択肢も奪われた子育てファミリーは、谷氏が指摘するように「時間を調整しやすい非正規雇用」という「労働力の供給側の理由」によって郊外居住を選ばざるを得なくなる。

 生きるために子どもを育てるために居住性も職を犠牲にせざるを得ない現状は悲劇だ。「保育園落ちた日本死ね」という悲痛な叫びはわれわれの胸にぐさりと突き刺さる。

 これは、ネオリベラリズムの社会の隅々への浸透の結果というべきか。

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会員の都市計画工房代表・成瀬恵宏氏(懇親会で。成瀬氏とは10年くらい前か、ひょんなことからご一緒に多摩ニュータウンのすし屋で歓談したことがある。最近はイラクだかアフガンだか、インド、パプアニューギニアなどの街づくりに参画している。赤に近い派手なオレンジのシャツなどは岡本太郎でも着なかったのではないか。このデザイン感覚が信じられない。会場には奥さんもいらっしゃった)

「多摩NTにおける人的不良在庫」 吉川徹・首都大教授が軽妙発言

 

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田中理事長

 不動産流通経営協会(FRK)・田中俊和理事長(住友不動産販売社長)は6月9日、同協会定時総会後の懇親会で、「当協会は平成10年に『バリューアッププラン』と称し、独自にインスペクションを実施したことがあるが、残念ながら、ほとんど利用されなかった。今回は国をあげて位置づけて頂いたので、施行まで2年あるが、今年を『既存住宅市場活性化元年』と位置づけ、インスペクションの本格スタートの年にしたい」と語った。

 また、今年4月にスタートした新・住生活基本計画に掲げてある「市場規模倍増に向け、私共も官民一体となって目標達成したい」と述べた。

 不動産流通市場については、「この1年間の不動産流通市場は成約件数、平均価格とも前年を上回り、『好調」と言える1年だった。既存住宅の需要は底堅く、新年度に入ってもレインズの数字は好調を維持している」と話した。さらに、また、「囲い込み問題の懸念に終止符を打てるものと確信している」と問題解決に意欲を示した。

 さらに、「業界の課題は営業手法、法律、ITと多岐にわたるとともにスピードが求められ、既存の委員会などでは追いつかない状況と判断し、私の諮問機関として、協会内部に『これからの不動産流通を検討する会』(通称これ検)を立ち上げた」と発表した。

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総会後の懇親会(ホテルオークラ別館で)

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RBA不動産流通カップ(野球大会)で優勝した住友不動産販売の岩井重人会長(FRK顧問=右)と準優勝した野村不動産アーバンネットの宮島青史会長(同理事)

 

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山根理事長

 マンション管理業協会・山根弘美理事長が6月7日、通常総会後の懇親会の席上で、管理会社の現場担当者が日常的に行っている無償業務について「わかりやすい品質基準があっていい」と一歩踏み込んだ発言を行った。

 冒頭、挨拶に立った山根弘美理事長(大和ライフネクスト会長)は、先の熊本地震について触れ、「私も現地に何度か入りましたが、熊本の皆さんは、そろって『まさか、熊本で…』と思われていた」「マンション防災力強化は、マンション住民、また我々業界の新しい重要な使命の一つになる」と語った。

 また、今年3月に改正された標準管理規約については、「標準管理規約の上位概念である適正化指針には『マンションにおけるコミュニティ形成は重要であり、管理組合においても区分所有法に則り良好なコミュニティ形成に積極的に取り組むことが望ましい』という文言が明記された。協会としましては、今後、講習会、研修会を通し、この改正主旨を正しく伝え、お客様や現場に誤解混乱が生じないようにしっかりと啓発活動を展開していく」と話した。

 平成28年度事業計画については、管理委託契約では明記されていない無償業務の提供について踏み込み、「9割を超える会員社が、委託契約範囲外の業務を無償で提供している。それが社員の、引いては経営上のかなりの負担となってきている」とし、「曖昧な無償サービスで、プロが育つでしょうか? 懸念されるのは、単純な価格競争とサービスの品質劣化です。このツケは、最終的にはお客様に回ってきます。もっとわかり易い品質基準が生まれてこそ、この業界の未来はある。難題ですが、これに取り組みます」と述べた。

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山根理事長と石井国交相らが記念写真(第一ホテル東京で)

 三井不動産レジデンシャルは6月7日、分譲マンション事業における杭施工不良に関する再発防止策を発表した。

 横浜市都筑区で分譲したマンションで杭の一部に不具合が判明したことを踏まえ、売主としての責任を果たし、お客様からの信頼を回復するため、同社単独事業の分譲マンションでの杭施工に関する再発防止策を実施するもの。

 具体的には、売主責任を果たすため「施工者が適切に施工し管理すること」「監理者が施工者の施工状況・管理状況を適時確認すること」が確実に実施され、万一不具合が発生した場合でも早期発見し対応できるように、施工者および監理者の現場立会の強化を求めるとともに、第三者による施工状況の立会確認も新たに実施する。

 また、施工過程を把握できる施工記録が適切に作成、保存されるように施工者および監理者による確認の強化も求めていく。

 同社は6月30日を期限に、都筑区のマンションの施工不具合について建基法に基づく報告を横浜市に提出することになっている。

◇      ◆     ◇

 「第三者による立ち合い確認」を実施することに驚いた。再発防止に施工者や監理者が適正に施工、監理するのは当然だが、第三者が立ち合い確認をするというようなことは聞いたことがない。同社がマンション施工の「安心・安全」の取り組みに大きく前進したのは間違いない。同業他社に波及するのは必至だ。

 この第三者はその物件の施工監理に関わる監理者ではないが、同社では性能評価機関を考えているようだ。いま話題になっている「第三者」とは全然異なるのはいうまでもない。

 

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「グランコスモ武蔵浦和」

 コスモスイニシアは6月7日、アクティブシニア向け第1弾分譲マンション「グランコスモ武蔵浦和」が竣工したのに伴うマスコミ向けの見学会を行った。武蔵浦和駅前の複合再開発「武蔵浦和SKY&GARDEN」(全776戸)の一角にあり、全160戸のうち120戸が契約済み。分譲単価がファミリー向けより約16%高いにも関わらず、大浴場・レストラン付き、共用施設の充実、24時間見守り・コミュニティ支援サービスなどが支持された。同社は今後も積極的に展開していく。

 物件は、JR埼京線・武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩4分の13階建て全160戸。専有面積は44.00~73.54㎡。現在分譲中の住戸(28戸)の価格は3,398万~5,938万円。坪単価は255万円。設計は久米設計一級建築士事務所。施工は清水建設。

 見学会で事業説明した同社執行役員でコスモスライフサポート社長・藤岡英樹氏は、「1LDKと2LDKの比率を60:40%にしたが、契約者も1人入居が59%、夫婦2人とその他で41%となるなど想定通り。夫婦の場合は、契約を渋る男性を奥さんが説き伏せて契約するケースが目立った。現在、大和ハウスを中心に10数件の複合案件の引き合いがあり、積極的に展開していく」と語った。

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エントランスホール

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大浴場(左)とレストラン

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 所有権付きのアクティブシニア向けマンションは、首都圏ではフージャースコーポレーションやダイヤモンド地所が展開中だが、これらはどちらかといえば郊外型で、今回の同社の物件は利便性が高いエリアでの分譲であるため、同業からの関心も高かった。

 新日鉄興和不動産などのファミリー向け616戸(非分譲15戸含む)の坪単価は220万円(西向きは210万円)であるのに対し、アクティブシニア向けは西向きで255万円とかなりの単価差があったが、売れ行きは前者が520件超(3月末)に対して後者は120件。単価の高いのは全くハンディにならなかった。 

 しかも、管理費・修繕積立金、サービス費の合計が52,500円~73,000円(1人入居)かかるにも関わらず、現金購入が約8割に達するなど、資金的に余裕のある人の購入が目立った。購入者の現居住地もさいたま市と埼玉県が60%であるのに対し、東京都が20%、神奈川・千葉県が10%、その他が10%に上るなど広域からの購入も多い。

 ただ、隣のファミリー向けとの親子近居は数件にとどまっており、新日鉄側とコスモスイニシアが当初から連携して販売していたらまた違った結果が出たと思われる。

 売れ行きが好調に推移し、またフージャースの「柏の葉」もファミリー向けより坪30万円近く高いにもかかわらず好調な売れ行きを見せており、参入機会をうかがっているデベロッパーを勇気づけるかもしれない。有料老人ホーム、サ高住などとともにユーザーの選択肢が増えることはいいことだ。

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ラウンジ

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 開業したレストランのメニューの安さにびっくりした。セルフサービスだがカツドンが350円、かけそばが210円、カレーが330円、コーヒーが100円(このコーヒーはおいしかった)、ビールが280円。廊下にある自販機のVolvicは90円だった。

 各フロアに設けられていたラウンジの広さは全体で住戸10戸分もあった。麻雀室では男性1組に対して、女性2組が楽しそうにゆっくりと牌を並べていた。大浴場は旅館並みで、これを利用すれば、風呂代として月額1万円はかかるという自宅の電気・ガス・水道代を浮かせると思った。自宅の風呂に入らなければ掃除もしなくて済む。

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麻雀室

「ららぽーと」に隣接 シニア向け「デュオセーヌ柏の葉キャンパス」坪単価230万円でも人気(2016/5/2)

 

 

 

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「ONE AVENUE(ワンアベニュー)一番町文人通り」完成予想図

 旭化成不動産レジデンスは6月7日、千代田区一番町の建て替えマンション「ONE AVENUE(ワンアベニュー)一番町文人通り」のモデルルームを報道陣に公開した。江戸時代に幕府の旗本の屋敷町が置かれた「番町」エリアの中でももっとも地位が高い「一番町」に立地する「ホーマットカヤ」の建て替え事業。設備仕様レベルが高く、上階からは千鳥ヶ淵の緑が見渡せることなどからオールド・リッチを中心に人気を集めそうだ。

 物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅から徒歩5分、千代田区一番町20に位置する14階建て全32戸(事業協力者住戸10戸含む)。専有面積は94.68~170.66㎡、価格は未定だが、坪単価は800万円前後の予定。設計はアーキサイトメビウス。施工は松井建設。引渡し予定は平成30年5月下旬。販売開始は平成28年6月下旬。

 現地は、明治・大正・昭和にかけて多くの文化人たちに愛された「番町文人通り」に面する立地。隣接地は串田孫一の居住跡で、通りには与謝野鉄幹・晶子、有島武郎、菊池寛、泉鏡花、島崎藤村、藤田嗣治などの居住跡がある。「一番町」の「文人通り」に面したマンションは36年ぶりだという。

 同社は平成26年、従前のマンション「ホーマットカヤ」の建て替えの検討に参画。同年に等価交換方式による建て替えの合意に達していた。

 企画担当者の同社開発営業本部技術部商品企画一課・和田悠氏は、「社内はもちろん、激戦のエリアでどこにも負けないものをつくろうと今井敦先生(アーキサイトメビウス)と相談し、自然石や天然木をふんだんに用いた。『タマモク(玉杢)』は世界の銘木の中から選んだ。権利者の方々にも励まされた」と語った。

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エントランス

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 「番町」エリアでは昨年から東急不動産、三井不動産、大和ハウス、三菱地所など大手デベロッパーが相次いでマンションを供給し、今後も十数物件の供給が予定されているなどアッパーミドル・富裕層向けの供給ラッシュが続く激戦地だ。坪単価は600万円を一気に突破すると、今回もそうであるように一等地は800万円以上に高騰した。

 見学会では、「文人通りサロン」所長代理の同社開発営業本部販売部第二課・茂田貴志氏や和田氏の話を聞き、同社の最高単価マンションにふさわしく、かなり力が入っていることが伝わってきた。ラウンジに自然石を配し滝を流すという大胆な演出(同じような仕掛けは数例みているが)に驚き、玄関ドアのスリットに用いられた「タマモク(玉杢)」に目が吸い寄せられた。初めて見るもので、ウォールナットの根っこの部分の微妙な文様が〝唯一無二〟を象徴していた。

 もうひとつの特徴は、玄関から廊下-居室-リビングや建具・家具の高さを2.4メートルにそろえていることだ。

 さらにドアノブ(コロンボ製)を極力少なくし、把手部分を彫り込んで壁面をすっきりさせるなど細部にもこだわるなど、全体として奇を衒わない玄人好みのオーソドックスな億ションだ。

 同社の〝アトラス〟は、渋谷、新宿、文京区などでの供給はあったが、都心3区では今回の「一番町」のほか「御茶ノ水」があり、港区三田でも分譲するという。富裕層向けを積極展開するということか。

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玄関(床は大理石)

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

 

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吉川氏

 首都大学東京教授で多摩ニュータウン学会の理事を務める吉川徹氏が「多摩ニュータウンにおける人的不良在庫」という、極めて刺激的で機知に富みかつ本質をついた、ひょっとすると今年の流行語大賞にノミネートされそうな言葉を発した。6月4日に行われた学会が主催する「多摩ニュータウンと女性」と題する討論会場での質問に答えたもの。

 「人的不良在庫」発言のきっかけはこうだ。

 討論会では、「たまこ部」の永山菜見子氏・秋好宏子氏、せいがの森保育園園長・倉掛秀人氏、NPO法人シーズネットワークの岡本光子氏、首都大学東京助教・松本真澄氏がそれぞれの立場から問題を提起した。

 記者は、問題提起者が楽観的、ポジティブに多摩ニュータウンについて語ったのに対し、「多様なライフスタイルといわれるが、普通のサラリーマンにとって多様な選択肢などない。都心のマンションは20坪で億ションになり、23区でも子育てファミリーマンションは6,000万円くらいする。時間と空間をシェアするなどとてもできない。絶望的な世の中にしたのはわれわれ団塊の世代の責任だろうが希望もある。学会と多摩ニュータウンを再生・活性化させるためには、吉川先生が仰ったマンションなどのハードとしての『在庫』と、老人力といっては失礼だが、この方々のソフトとも言うべき『知見』を結び付けるべきではないか」と質問した。

 この質問に対して、20歳代と思われる永山氏が「そのようなおじさん、どこにいるんですか」と鋭く切り返してきた。

 ドキッとした記者はとっさに「西浦先生に聞いてください」と振ったら、西浦氏は自らの論文の締め切りが迫っているのかパソコンに熱中されており、「ダメ」の目線を送られたので、「吉川先生、お願いします」と下駄を預けた。

 すると吉川先生は「『年度』ごとに同じメンバーだけで凝り固まるのが悪い。学会もそう。年度ごとに(会員が)いなくなる。リノベして戻ってくるような、豪胆な人的在庫の組み換え、たな卸し(棚ざらしとは仰らなかったはず)をしないと人的不良在庫化する。世代間の交流がなく、若い人に知見が受け継がれていないのも問題。(高齢者を)おだてて引っ張り出してはどうか」と話した。(「年度」というモノサシに注文をつけられたのに大賛成。高齢者の時間はゆったり流れる。どうしてテニスと同じ時間でものごとを測ろうとするのか、世の中が間違っている)

 吉川氏は最近発行された「多摩ニュータウン研究 №18」で、吉川氏が「大好きな」ショスタコーヴィチが他の作曲家の旧作から頻繁に「引用」「転用」したことを紹介し、「優れた建築物や基盤施設の『在庫』に満ちた多摩ニュータウン」の「在庫」を「引用」「転用」してはどうかと結んでいる。

◇    ◆   ◇

 記者も学会の末席を汚しているのだが、ここで学会の紹介。

 何よりいいのは年会費3,000円で学者先生の論文が読めることだ。学会誌は横文字で、表記が句読点ではなくカンマ・ピリオドのため、老眼のため区別がつかない年寄りには全然親切ではないのが残念だが、会費が会費だから文句は言わない。

 それより素晴らしいのは、新潟県出身の学会会長・西浦定継氏(明星大教授)が会合のあとの懇親会などにショスタコーヴィチ級の1杯で3,000円の価値がありそうな特上の日本酒をプレゼントしてくれることだ。この日も、獺祭と同レベルという山口県の「雁木」と佐渡島の「風和(かぜやわらか)」に、赤と白のワインまで大判振舞をされた。

 もうひとつは、総会などの会場となる首都大学東京や明星大学のキャンパスの自然と触れ合うことができ、大学の先生はもとより若い学生さんなどとも交流できることだ。知的な刺激は間違いなくボケ防止につながる。

 つまり、①年間3,000円で論文が読める②1杯3,000円の酒がタダで飲める(この日は予定参加費2,000円が消費増税も延期されたためか1,000円にプライスダウンされたのがうれしいやら悲しいやら)③若者・(記者のような)馬鹿者・よそ者と交流できる-こんな素晴らしい会はない。「不良在庫化」しないためにも高齢者にお勧めだ。わが国の社会・経済状況を映す鏡のように予算も決算もどんどんシュリンクする学会を活性化させていただきたい。学会のリンクを貼り付ける。

◇    ◆   ◇

 これはおまけだが、吉川先生は相当な「ショスタ」ファンだ。ここに音楽をこよなく愛した作家・辻邦夫のエッセー「わが音楽遍歴の風景」の一部を紹介する。「小説」の代わりにあらゆる仕事が当てはまるのではないかと思うからだ。

 「現在、世界が危機に晒され、人々が頽廃と混迷の中に喘いでいるにもかかわらず、私が、廻転するコマの中心にも似た不動の一点に身を置いたような感じで世界を見られるのも、この<美なるもの>が私の運命の始まりであり、終わりであると思えるからだ。官能の陶酔に根ざしながら、官能を超えて精神の全オクターブを激しく燃え立たせ、その一瞬に『すべてよし』と叫ばせるような、そうした高揚した甘美な恍惚と充実と解脱感を、私は<美なるもの>の根源的特徴と考えているが、音楽の形でそれを受け取り、小説の形でそれを吐き出すことが、私の唯一の在り方なのだ。私はそれ以外のどんなものも欲しくない。そのかわり音楽を聴くことと小説を書くことだけは何としても与えてほしい。それだけは、大地に跪いても、懇願しつづけるつもりである」

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西浦会長と理事の荒又美陽氏(東洋大准教授) 荒又氏はこの日(6月4日)が誕生日とかで、総会・討論会後の懇親会でケーキをプレゼントされていた(首都大学東京で)

多摩ニュータウン学会

 

 

 

 「マンションコミュニティ」や「マンションWiki(住適空間)」を運営しているミクルが5月10日から新しいブログコンテンツ「スムログ」を開始した。

 「スムログ」は、著名なブロガーが自由に書くことができる、マンションに特化したブログポータルサイトだ。

 記者が書いているRBAの記事は、〝記事はラブレター〟をモットーに極力わかりやすく面白く書くように心がけているので、あるいは「ブロガー」と呼ばれる範疇に入るのかもしれないが意識したことはない。そもそも「ブログ」なるものの定義すらわかっていない。

 なので、以下の文章がブロガーやその読者の方々にどのように受け取られるのかわからないが、率直な感想を述べたい。

◇               ◆       ◇

 不動産ポータルサイトには、住宅・不動産会社の数だけあるとすれば10万くらいあるのだろうが、一般的には賃貸&分譲不動産情報サイトラングでダブル総合1位の「SUUMO(スーモ)」、不動産情報サービス業のパイオニア「at home(アットホーム)」、物件数№1の「HOME'S(ホームズ)」、わが国の住宅・不動産情報サイトのイノベーションを目指す「O-uccino(オウチーノ)」などがある。

 Webサイト分析ツール「Similarweb」によると、月間ユーザーは「SUUMO(スーモ)」が1,200万、「HOME'S(ホームズ)」が1,100万もあるようだ。

 もう一つが、「マンションコミュニティ」を代表する購入検討者や購入者、入居者が〝掲示板で〟意見交換をするサイトだ。ミクル取締役の山下肖武氏によると「マンションコミュニティ」の月間ユーザーは200万人もあるという。

 記者は物件検索サイトもコミュニティサイトもほとんど利用しない。直接デベロッパーのホームページから物件を選択している。

 コミュニティサイトは、当事者しか知りえない情報が書かれていることもあり、正直、閲覧するのが恐い。正義感による内部告発もあるが、業界では販売会社による競合排他の投稿や、ステルスマーケティング目的など、利害関係者による意図的な投稿も中には存在し、そういった問題投稿を確認次第、削除など適切な措置をとっているという。

 早速、新しいブログコンテンツ「スムログ」を読んでみた。

 驚いたのは、スムログに登場しているブロガーの物件見学数だ。覆面座談会なるものの中で数人の方がほとんど年間数十物件を見学していると話している。これはとても大事なことで、記者は現場を見ない〝記者〟を記者だとは思っていない。

 もう一つ、これは称賛に価すると思ったのだが、記者のようにネガティブ情報などは自主規制しまいがちなのに対して、デベロッパーにおもねることなく自由な立場で書かれている方も多いということだ。

 何人かのブログも読んだので紹介する。

 嬉しかったのは「モモレジ」さんの「モモレジのスムログテーマは『間取り』ではなくデザイン!」で、この方は記者と同様、マンションのデザイン・外構を重視されているようで、モリモトの物件を褒めている。ブロガー仲間ではよく知られている方のようだ。

 「マン天」さんもすごい方だ。「マン天からのご挨拶」の中で「マンションアナリスト。11年間で5,000枚のマンション・チラシを“読破”したマンション・チラシ研究家。一級建築士」と自らを紹介している。マンションの何が大事かといえば物件概要だ。これを読みこなせるようになれば一流だ。記者はかつてマンション・戸建て合わせて年間3,000件くらいの物件概要を読んでいた。概要を読むと、ほとんどその物件の売れ行きが予測できた。

 「はるぶー」さんは、以前、記者の記事について言及されていたので名前だけは知っていた。実際に部屋に1万円札を並べ、「1万円札の坪単価は272万円」と題するブログを書かれていた。「坪単価」が頭から離れない記者はドキリとした。

 「マンションマニア」さんの「マンションマニアの活動日誌(ブログ)」では、マンションの概要をしっかり書かれていた。これもとても重要なことだと思う。記者も用途地域や容積率は書くべきだとも思っている。

 「DJあかい」さんは、「マンションコミュニティの歩き方」の中で「掲示板」について「掲示板は掲示板。匿名さんは匿名さん。あなたはあなたなわけです。買わない(かもしれない)人の意見に心を惑わされるのではなく、自己との対話、あるいは伴侶との対話に焦点を絞って、それでOKならOKじゃないかと思います。『ひき返せ!』『ひき返したほうがいいぞ!』の合唱に負けず、孤独に耐えて突き進んだ先でなければ、得られないものもあるでしょうから」と書かれている。なるほどと思った。

 山下氏によれば、この分野でも「レッドオーシャンに突入しつつある」とのことであるが、間違いなく消費者の物件選考に少なからず影響を与えると思う。

 デベロッパーはメディア向けのマンション発表会、見学会を行う際に、こうしたブロガーもぜひ加えていただきたい。実際に自分が見たにもかかわらず、発表資料以上のことしか書かず、商品紹介でもっとも肝心な「価格」についてほとんど言及しないような記者よりはるかに物件告知の効果がある。

「スムログ」

「マンションコミュニティ」

 

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左から菰田氏、岡野氏、植田氏

 三井不動産と一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)は6月3日、産官学連携によるライフサイエンス(生命科学)領域でのオープン・イノベーションを促進し、新産業創造を支援する活動を開始すると発表した。

 ライフサイエンスは、医学をはじめ、理学や工学、ICTや人工知能といった新たなテクロノジーなど対象は広範に及んでおり、LINK-Jはそのネットワークを通じ、分野を超えた内外の人的交流・技術交流を促進し、シーズやアイデアの事業化を支援するために設立されたもの。

 LINK-Jの理事長には慶應義塾大学医学部長・岡野栄之、副理事長には大阪大学大学院医学系研究科長・澤芳樹が就任した。

 事業運営のアドバイスを行う運営諮問委員会には理化学研究所理事・松本洋一郎氏、京都大学iPS細胞研究所所長・山中伸弥氏など13名の識者の参画を得ており、取り組みを支援するサポーターの参加も増やしていく。

 LINK-Jは今後、参加メンバーを募り「交流・連携事業」としてシンポジウムやセミナーなどのイベントを提供していく。

 三井不動産は、事業領域拡大のための新産業創造を重要な戦略として位置付けており、医療関係の企業が集積する日本橋を拠点とするライフサイエンス・イノベーション推進事業を展開していく。事業拠点として既存の「日本橋ライフサイエンスビル」「日本橋ライフサイエンスハブ」に、新たに「日本橋ライフサイエンスビル2」を加えた。

 岡野氏は会見で取り組みの背景・経緯について、「この30年間で基礎医療、再生医療は革命的な発展と飛躍を遂げ、わが国の研究は世界トップクラスだが、臨床医療は立ち遅れている」などと話した。

 会見に臨んだ三井不動産社長・菰田正信氏は、「ライフサイエンス・イノベーションの推進に挑み、日本橋のさらなる価値向上、世界の人々の健康長寿に関わる課題解決に貢献していく」と語った。

◇       ◆     ◇

 配布されたニュースリリースや資料を読むと、三井不動産と「LINK-J」が目指す方向性がよくわかるのだが、会見で話された岡野氏、菰田氏、三井不動産常務・植田俊氏の合計約30分の話はかなり専門的な医療に関する言葉が飛び交った。

 もちろん会見場には「よく分かった」というわが業界ではよく知られたT大卒のジャーナリストの方もいたが、記者はほとんど理解できなかった。記者の習性で、一言一句を聞き逃すまいとしたが叶わなかった。

 同じように考えた記者もいたようで、「中学生でもわかるようにやさしく話してください」とその方は質問した。

 同感だ。相手にもよるだろうが、人に話す場合〝難しいことはやさしく、やさしいことはより深く」が基本であることを誰かが言った。会見場には医療に詳しい記者もいただろうが、記者のように門外漢もいたはずだ。やはりわかりやすく話してほしかった。

 それと、この種の会見でいつも思うのだが、登壇者のスピーチの長さと、文字数について考えてほしい。記者は、スピーチの文字数は1分間に250字くらいが適当ではないかと思っているが、それくらいに収まっている発表会などは極めて少ない。今日の発表者の言葉を文章にしたらいったい何文字になるか。1分間に400字くらいに達するのではないか。

 評判になったオバマアメリカ大統領が広島平和公園で行った17分にわたるスピーチの日本語訳は約3,200文字だ。英語と日本語の違いはあるが、1分間にすると188字だ。政治家の言葉としてはどうかと思ったが、文章は優秀なスピーチライターが作成したはずで、名文なのは間違いない。

 最近のスピーチでは記事にもした矢野龍氏(住友林業会長)が出色ものだった。

 

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