大和ハウス 埼玉県初の民間主導による建て替えマンション「大宮氷川参道」が竣工
「プレミスト大宮氷川参道」
大和ハウス工業は9月27日、埼玉県初の住民主導により事業化した分譲マンション建て替えプロジェクト「プレミスト大宮氷川参道」(全100戸、うち分譲は62戸)が竣工したと発表した。
これまで埼玉県での建て替えマンションは区画整理事業や道路の拡張工事に伴う事例しかなく、2009年に実施した第三者機関による建物診断・耐震診断の結果、建物の一部で耐震性能を満たしておらず、設備の劣化も見受けられたことから住民主導で建て替えることになったもの。
従前建物は、JR大宮駅から徒歩8分のさいたま市大宮区高鼻1丁目に位置する7階建て全52戸の「大宮高鼻町ハイツ」。専有面積は51.70~93.86㎡で、竣工は1980年。建て替え後は専有面積53.98~109.82㎡、価格3,980万~7,890万円。施工は川口土木建築工業。販売期間は2016年3月~7月。竣工は2016年9月5日。
同社は2011年10月に管理組合から事業協力者に選定され、2013年4月、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(円滑化法)に基づく建て替え決議(全員合意)がなされた。
同社は現在、円滑化法を活用したマンション建て替え事業の第2弾として神戸市灘区の「プレミスト六甲道」(14階建て69戸、分譲42戸)の建て替え工事を進めており、2017年3月に竣工する予定。今年3月に販売を開始し、1カ月で完売となった。
同社は今後もマンション建て替え事業を推進し、3年後には年間200戸、売上高100億円を目指す。
東京都港区 平成28年度 課税標準額1,000万円超が約2万人 過去最多を更新
東京都港区の特別区民税課税標準額1,000万円超の層が最多更新-東京都港区がまとめた平成28年度の特別区民税課税標準額段階別納税義務者数等のデータによると、総所得から様々な控除額を除いた課税標準額1,000万円以上の層は19,783人で、全納税者に占める割合は14.7%となった。前年度と比べると人数は780人、構成比は0.5ポイントそれぞれ増加した。
課税標準額1,000万円超の層の総所得金額は9,332億円で前年度より15.0%増加、所得割額は452億円で前年度より9.2%、構成比で1.2ポイントそれぞれ増加した。
課税標準額1,000万円の納税義務者数は過去最多だった前年度の19,003人をさらに上回り、この10年間で45.2%も増加している。総所得金額もこの10年間で最多だった平成26年度の1兆776億円にあと1,444億円に迫った。
東急リバブル 首都圏4店舗、関西圏1店舗 10月1日に開設
東急リバブルは9月26日、売買仲介店舗「代々木上原センター」(東京都渋谷区)、「田無センター」(東京都西東京市)、「本八幡センター」(千葉県市川市)、「幕張ベイタウンセンター」(千葉県千葉市)、「阿倍野センター」(大阪府大阪市)の5店舗を10月1日(土)に開設すると発表した。
今回の出店により、今年度の売買仲介店舗の新規出店数は12店舗となり、売買仲介と賃貸仲介をあわせた全国のリバブルネットワークは172カ所となる。
積水ハウスグループ 横浜市有跡地で公民連携のサ高住・コミュニティ施設竣工
「グランドマスト横浜浅間町」
積水ハウスグループは9月25日、横浜市の「公民連携による課題解決型公募」で選定されたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「グランドマスト横浜浅間町」が竣工したのに伴い関係者に公開した。居住面積を最低でも約45㎡確保し〝自立型〟高齢者のニーズに応えるとともに、地域コミュニティ・多世代交流施設を併設しているのが特徴だ。
物件は、相鉄線天王町駅から徒歩9分、横浜市西区浅間町5丁目に位置する10階建て全76戸。専用面積は45.15~77.29㎡、月額賃料は147,000~244,000円。管理費は20,000円。生活支援サービス費は1名につき30,000円(2人以上は15,000円)。設計・施工は積水ハウス。貸主は積和グランドマスト。
現地は、古くから地域住民に利用されてきた「横浜市総合福祉センター」の跡地。市は平成25年、高齢者向け住宅を含む施設とすることや、交流スペース、コミュニティハウス、地域防災・地球温暖化対策に供することなどを条件に「公民連携による課題解決型公募」を実施。応募8社グループの中から交流スペース(約484㎡)、コミュニティハウス(約306㎡)の提案が特に優れていた積和不動産が選定された。売却価格は約3億6,000万円(約27万円/坪、容積率400%)。
サ高住は、45.15㎡の1LDK~77.29㎡の2LDKまで6タイプ。各住戸に床暖房、人感センサー、緊急通報ボタンなどが標準装備。もっとも人気があるタイプは48㎡のBタイプで9戸すべてが予約済みだという。
1階の交流スペースには入居者も地域住民も利用できるコミュニティカフェやアクティブスペース、2階のコミュニティハウス内には蔵書約2.8万冊の図書館が併設される。
記者説明見学会で積和グランドマスト・小山健社長は「今後5年間に東京、大阪、名古屋圏で5,000戸を目指す」と積極展開していくことを明らかにした。
コミュニティカフェ
エレベータホール(エレベータは15人乗り2基)
◇ ◆ ◇
これまで記者が見学してきたサ高住は、いかにも高齢者を隔離する〝施設〟のようなものも少なくなかったが、今回は間違いなくレベルが高い。居住面積だけでなく、共用廊下・エレベータホールが広く、災害時には地域住民が避難できるよう防災倉庫やかまどベンチも設置されていた。地域の交流センターや図書室が利用できるのもいい。
PPPの手法がもっともよく効果的に発揮された好例だろう。各自治体は、今回のようなコミュニティ施設などを併設したものについては容積の割り増しなどインセンティブを与えるなどの優遇策を取り、質の高いサ高住やマンションを誘導してほしい。
とはいえ、サ高住が普通の高齢者が無理なく利用できるようにするためには課題も多い。分譲マンションもそうだが、賃貸マンションの家賃は総体的に高すぎるような気がしてならない。東京圏では郊外でも5坪で5万円くらいする。年金生活者にとってこの額の負担は大きい。
また、対象が60歳以上で、居住面積が原則25㎡以上(共用の食堂、浴室などがある場合は18㎡以上)、バリアフリーであること、専門家が常駐し入居者の安否確認をすることなどの条件は厳しいようで曖昧であることから、〝玉石混交〟の市場が形成されている。わかりやすい格付けも必要かもしれない。
2階のコミュニティハウス
図書館
大和地所レジデンス 横浜磯子区の第一種低層で大規模マンション 商品企画に力
グランドアプローチ
大和地所レジデンスが分譲中の「ヴェレーナシティ パレ・ド・シエル」を見学した。京急本線屏風浦駅からグランドアプローチ(敷地入口)まで徒歩8分、横浜市磯子区森6丁目に位置する第一種低層住居専用地域に位置する全240戸の大規模開発で、昨年12月の販売開始から140戸超が契約済みとなり、最終街区の「カルティエ4」(81戸)がこれから分譲される。
物件は、京急本線屏風浦駅からグランドアプローチ(敷地入口)まで徒歩8分、横浜市磯子区森6丁目に位置する3階建て「カルティエ1」~「カルティエ3」まで3棟と4階建て「カルティエ4」の全240。最終分譲となる「カルティエ4」(81戸)会員エントリー制先着順住戸(45戸)の価格は3,498万~5,898万円。竣工予定は平成30年1月下旬。施工はNB建設。設計・監理はDAN総合設計。
現地は敷地面積約1.9haのNTTの社宅跡地。従前は道路から比高差にして4層分くらいの坂を迂回しなければならなかったが、新たに敷地隣地を同社が買収して、入居者専用のエレベータを設置し、「徒歩8分」の表示を可能にした。
植栽計画は日比谷花壇グループの日比谷アメニスが担当。建物は全体で全4棟。住戸商品企画は、雁行設計を一部採用して採光に配慮したほか、奥行き4mのオープンエアリビングバルコニー付き、奥行き3mのオープンエアスペース、ルーフバルコニー、スカイビューテラス付きなどが特徴。
基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、天然御影石キッチン・洗面カウンター、食洗機、ソフトクローズ機能付き玄関収納など。
「ヴェレーナシティ パレ・ド・シエル」完成予想図
◇ ◆ ◇
今年に入って第一種低層住居専用地域の大規模マンションは野村不動産「プラウドシティ阿佐ヶ谷」と東急不動産「ブランズシティ世田谷中町」を見学したが、今回の同社のマンションもなかなかいい物件だ。
同社の〝十八番〟であるオープンエアリビング、オープンエアスペースなどは低層マンションで一層その良さが生かされる。
商品企画にも相当力が入っている。敷地入り口に街のシンボルとなる時計塔と入居者専用のエレベータを設置し、入り口部分にキッズルーム、ラウンジ、パーティルーム、バーベキューコーナーなど共用施設を配置したのもそうだが、植栽計画には日比谷花壇グループを採用している。
設備仕様レベルも高い。御影石はカウンタートップだけでなく袖壁も標準だ。玄関収納のソフトクローズ機能も標準だが、これは最近の建築費高で姿を消しつつあるものだし、スロップシンクも設置している。
坪単価200万円強という価格設定もリーズナブルだと思う。全体の質からして、同社が12年前に分譲して圧倒的な人気を呼んだ全戸100㎡超の「レイディアントシティ横濱」を思い出したほどだ。
一つ残念なのは敷地全体ののり面をほとんどコンクリで覆っていることだ。植栽を施せば管理費は年間で数百万円規模に膨れ上がりそうなので止めたと思われるが、四季の草花を咲かせれば素晴らしい景観になるはずだが…。
「カルティエ3」バルコニー
東急不動産 東急プラザ銀座と東急プラザ表参道原宿でピンクリボンキャンペーン
「東急プラザ銀座」(左)と「東急プラザ表参道原宿」
東急不動産は10月1日(土)~31日(月)、「東急プラザ銀座」と「東急プラザ表参道原宿」の2施設で乳がん知識の啓発をするピンクリボンキャンペーン月間に合わせたライトアップを実施する。期間中、東急プラザ銀座の外装と、東急プラザ表参道原宿の5階ミニテラスをピンク色に点灯する。
東京建物 女優・早見あかりさん起用の新企業CMを放映開始
CM ポスター
今年で創立120周年を迎えた東京建物は9月23日、女優の早見あかりさんを起用した新企業CMを東京地区で放映開始した。同社の企業広告としては20年ぶり。
新CMは、同社が開発した大手町タワー・大手町の森を舞台に、緑あふれるオフィスビルの中で早見あかりさん演じる新入社員が仕事に翻弄されながらも懸命にがんばる物語を描いている。
CMには「建物に、物語を。」というコピーどおり、単に「建物」というハードを提供するのではなく、建物を利用する人たち一人ひとりの想い(物語)に寄り添いながら事業を行なう同社の想いがこめられている。
WEBサイトでは、早見さんの部屋着のシーンやカラオケではしゃぐシーンなどテレビCM未公開シーンを盛りこんだWEB限定の長尺CM(99秒)も閲覧できる。
CM紹介URL:http://www.tatemono.com/story
早見あかりさん
積水ハウス・阿部社長 表参道「ベレオプラス」を絶賛 土地の魅力引き出す提案力光る
店舗・自宅併用賃貸マンション「ベレオプラス」
積水ハウス・阿部俊則社長兼COOが先の決算説明会で絶賛した渋谷区神宮前の店舗・自宅併用賃貸マンション「ベレオプラス」を見学した。表参道駅から徒歩1分、大通りから1歩入った低中層住宅・店舗などが混在する地域に建つ、敷地面積約177坪の重量鉄骨造3階建て延べ床面積約923㎡だ。表参道の一等地にふさわしい、土地の魅力を最大限に引き出す企画力が光る。阿部社長が絶賛したのもうなずける。
まずランドプラン。敷地は四角い整形地だが、建物をコの字型に配して、その凹んだ部分に中庭を設け、1階店舗へ誘導するアプローチの役割を果たすのと同時に、住宅部分の採光・通風にも配慮しているのが特徴だ。
建物外壁には彫の深いシェルテック・コンクリートのほかに大判のタイルを貼りアクセントを持たせている。全体的に陰影の深いシンボリックな外観に仕上げている。
外構には同社の「5本の樹」計画を盛り込んで環境・景観に配慮。外周は石積みとし、ふんだんに植栽を施している。玄関までのアプローチにも工夫を凝らしている。舗道は緩やかなカーブを描かせ「間」を持たせ、玄関には風除室を設置。エレベータホールも広い。同社が「ホテルライクスタイル」と呼ぶのも納得だ。
賃貸住宅は1LDK3戸。エネルギーコストをゼロにすることを目標とする「グリーンファースト ゼロ賃貸」の一つで、IHのアイランドキッチン、太陽光発電システム、HEMSを採用。高家賃であるにも関わらず、建物完成前に全戸契約済みになったそうだ。
阿部社長兼COOは、鉄骨造の課題の一つに「表情」(が乏しいという意味)を挙げたが、この「ベレオプラス」はそれを解消している。
エントランスアプローチ
◇ ◆ ◇
同社は先に平成29年1月期第2四半期決算を発表。ほとんどの事業セグメントの利益率の改善が継続していることから、通期の連結業績予想を当初計画から平成28年3月10日に発表した通気予想を売上高2兆円(前期比7.6%増)、営業利益1,750億円(前期比16.9%増)、経常利益1,780億円(前期比10.8%増)、当期純利益1,130億円(前期比34.0%増)にそれぞれ修正、4期連続での過去最高益予想をさらに上乗せした。
阿部社長兼COOが「ベレオプラス」を絶賛したのは、業績好調の背景には同社の企画提案力があることをメディアにアピールしたかったからだろう。今度は木造「シャーウッド」で3・4階建てに挑戦してほしい。
エントランス
ポラスグループが準優勝と審査員特別賞 第19回木造耐力壁ジャパンカップ
準々決勝戦で対決したポラス暮し科学研究所「軌条(きじょう)」(左)とポラス建築技術訓練校「ジャパドゥビ」
稲山教授
実物大の木造耐力壁を油圧ジャッキで〝綱引き〟をし、どこが一番強いかをトーナメント方式で競う「第19回木造耐力壁ジャパンカップ」が9月17~19日、静岡県富士宮市の日本建築専門学校で行われ、ポラスグループのポラス暮し科学研究所の「軌条(きじょう)」が準優勝した。また、ポラス建築技術訓練校の「ジャパドゥビ」が審査員特別賞を受賞した。コスト、デザイン、環境負荷など総合的評価を争う総合優勝は四国産業能力開発大学校の「壁SANUKI」が、トーナメント戦はkiba勝timbers(東京木場建材・東日本パワーファスニング・東大木質材料学研究室)の「HAMEX」がそれぞれ獲得した。
「木造耐力壁ジャパンカップ」は、NPO法人・木の建築フォラムが主催して行なわれているもので、今回は10体が参加。17、18日の予選を勝ち抜いた8体が19日の準々決勝-準決勝-決勝戦を行った。試合は、耐力壁の土台を固定し、それぞれの桁同士の間にジャッキを装着し引き合って行い、破壊されたほうが負けとなる。破壊されない場合は、お互いの壁頂部の水平変位の合計が450mmに達した場合の水平変位の大きいほうが負けとなる。
試合後の壁の状態を食い入るように見つめる参加者
◇ ◆ ◇
トーナメント決勝戦で「軌条」を30キロニートン当たりで破壊した「HAMEX」の設計を担当した東大木質材料学研究所博士課程・落合陽氏と同修士課程・佐々木賢太氏は、「土台にカラマツのLVLを採用し、ホゾの部分を浅くする一方で、長いビスを使って補強したのが勝因」と語った。
耐力壁を紹介するパンフレットには「白鵬がツッパリを全力でかましてもビクともしない某ハウスメーカーのような堅固なストラクチャーを兼ね備えた銀河系最強の耐力壁」と自画自賛していた。試合後の強度検証では50キロニュートンだった(過去の記録は62キロニュートン)。
大会の進行役を務めている東京大学木質材科学研究室・稲山正弘教授は、「今回の作品には私は関与していない。LVLを普及させるためにはコストと防腐・防蟻処理をどうするかが課題」と話した。
LVL(LaminatedVeneerLumber)は、切削機械でスライスされた単板(Veneer)を平行に積層・接着して造られる木材加工製品。CLTより強度が高いとされるが、コスト面などで住宅の構造材に使われることはないという。
優勝したkiba勝timbers(東京木場建材・東日本パワーファスニング・東大木質材料学研究室)「HAMEX」(左)と「軌条」
カラマツのLVLを土台に用いた「HAMEX」
「HAMEX」のメンバー
落合氏(左)佐々木氏
「HAMEX」に完敗した「軌条」のポラス暮し科学研究所・上廣太主席研究員は、「決勝戦までの戦いで弟分の『ジャパドゥビ』にダメージを受けていた」と敗因を語り、訓練校の健闘を称えた。
「軌条」には補強材として湿ると強度が高くなるというグラスファイバーテープを土台部分に使用しており、地元の川の水を「聖水」としてスプレーでテープに欠けるなどのパフォーマンスを行った。
「軌条」に使用されている金輪(左)とグラスファイバーテープ
「軌条」のメンバー
◇ ◆ ◇
20歳前後のメンバー8人で構成されているポラス建築技術訓練校の「ジャパドゥビ」が、金物を使用せず兄貴分の「軌条」に善戦したことなどが評価されて審査員特別賞を受賞した。稲山教授も「非常にいい」と褒めた。
メンバーは「本当は施工部門で1位を取りたかった。来年は1位になれるよう頑張る」と話した。
上段左からポラスグループの小暮涼太、冨田力也、澤田渓史、工藤嵩大、下段左から落合敦哉、林竜樹、甲斐優輝、田川樹の各氏
◇ ◆ ◇
素人の記者が注目したのは、東京理科大高橋研究室の「富士の鬼蜘蛛」だった。壁のほぼ中央に奇怪でしかも稚拙な(失礼)、とても耐力と関係があるとは思えない白い〝蜘蛛の巣〟が貼られていた。
記者は固唾をのんで四国産業能力開発大学校の「壁SANUKI」との戦いを眺めたが、あっさり敗退した。蜘蛛の巣は全く反応せず、肝心の主(蜘蛛)も出現しなかった。審査員も「効果? ないですね。単なるデザイン」といま一つの評価だった。
しかし、当事者は真剣そのもの。メンバーを指導した東京理科大工学部建築学科・高橋治教授は、「初めて大会に参加した。蜘蛛の巣に使用した材料は鉄よりも強い新素材の『テクノーラ』で、様々な製品に採用されている。木との接合が課題だが、来年は改良して再挑戦したい」と敗戦にも屈しなかった。高橋氏は「大会はちょっとレギュレーションが細かすぎるのではないか」と注文もつけた。
新素材といえば、木の繊維でできている「セルロースナノファイバー」もあるではないか。新素材で構造材に新風を送ってほしい。
四国産業能力開発大学校「壁SANUKI」(左)に敗れた東京理科大高橋研究室の「富士の鬼蜘蛛」
〝鬼蜘蛛〟
東京理科大高橋研究室「富士の鬼蜘蛛」メンバー
◇ ◆ ◇
予選で敗退し、作品を見ることができなかった初参加の日本工学院専門学校の「竹筋壁」も面白いと思った。貫(ぬき)の部分に竹を用いているのが特徴で、メンバーは「学校では座学ばっかり。木にも用具にも触るのが初めて」と語った。担任の同校建築学科・井口純先生は「竹を構造材に採用するのは珍しいのではないか。いい経験になった。来年も挑戦したい」と意欲を見せた。
日本工学院専門学校の「竹筋壁」メンバー
解体作業(作業をする人数、男女差、時間、一定の枠から部材などが飛び出した場合のペナルティ、掃除などもきめ細かに評価される)
マンション管理協 マンションでの「民泊」の可否について国交省に要望書
マンション管理業協会は9月21日、「管理組合として民泊を禁止または容認する場合の管理規約の例および考え方を作成・公表いただきたい」とする内容の要望書を石井国土交通大臣宛に提出した。
要望書では、「分譲マンションは、そのほとんどが区分所有者が生活の本拠を置く実住型で、平穏に暮らすことを目的としており、不特定多数の者が出入りする民泊は、これを阻害するものとして、関係方面から多くの反対意見が表明されており、一方、リゾートマンションや繁華街等に位置する一部の投資型マンションでは、その利用形態から民泊制度を活用したいニーズもあるのが現状」とし、「国土交通省が作成・公表する現行の『マンション標準管理規約』では、民泊のような利用形態は想定されていないことから、これに準拠する各分譲マンションでは、管理規約上、民泊はそもそも認められていないと考えてよいか、また、今後、認める場合・認めない場合にどのように規定すればよいか混乱が生じています」としている。
◇ ◆ ◇
この要望書に対して国交省がどのような回答をするかだが、法律に照らし合わせると、マンションでの民泊は不可と解されるのではないか。
区分所有者の権利義務を定めた区分所有法第6条では、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」と定めている。民泊利用が区分所有者の共同の利益に抵触する可能性が高いと理解されそうだ。
また、マンションの規約の設定、変更などを定めた同法第31条では、前段で「規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする」とあり、また後段では「規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と規定されており、規約変更によって民泊利用を可能にするのは大きな壁がある。
さらに、国土交通省が作成した「マンション標準管理規約」の専有部分の用途を定めた第12条には「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」としている。
常識的に考えるなら、「専ら住宅」は他の用途を想定していない。ただ、「専ら」の文言は「主として」とも解されるので、住宅以外の用途を完全に排除したものではないとも受け取れる。
なので、投資用マンションなどでは民泊を認める動きが出てくる可能性もありそうだ。