明和地所 新ブランド〝ラベルヴィ〟 第2弾「王子」も好調スタート
「クリオラベルヴィ王子」完成予想図
明和地所が3月中旬に分譲開始した「クリオラベルヴィ王子」を見学した。同社の新ブランド〝ラベルヴィ〟の第2弾で、全36戸のうち21戸が分譲済みで、好調なスタートを切った。
物件は、JR京浜東北線王子駅から徒歩3分、北区栄町に位置する5階建て全36戸。専有面積は32.68~48.69㎡、坪単価は320万円。現在分譲中の住戸(6戸)の価格は3,398.7万 ~4,496.4万円(35.13 ~48.38㎡)。竣工予定は平成29年3月中旬。設計はいしばし設計。施工は坂田建設。
現地は準工地域で、建物は内廊下方式で住戸は南向きと北向きがほぼ半々。2重床・二重天井で、天井高は2400~2600ミリ。2LDKは食洗機付き。
3月19日から分譲が始まっており、これまでに1LDKを中心に21戸が分譲済み。9割が実需。
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年明けの真っ先に同社の新ブランド〝ラベルヴィ〟第1弾「ラベルヴィ市ヶ谷」を見学した。記者の好きな「ボレロ」の作曲家であるラヴェルと、これまた大好きな「四季」の作曲家ヴィヴァルディを足して割ったような名前にほれ込んだからだ。
明和地所といえば創業社長の故・原田利勝氏とその右腕だった高杉仁氏を思い出し、原田氏にそっくりの息子さんの現社長・原田英明氏も含め、その風貌からはとても繊細な名曲を連想できないのだが、その落差がまた面白く、喝さいを送りたくもなった。
もう時効だから書くが、原田氏を取材するのは本当に怖かった。何せ柔道家だ。石もて追われるように大京を去り同社を立ち上げたのだが、怒り出すと止まらないところがあった。一度、当時の大京社長だった横山修二氏との和解を勧めたことがある。そのとき、原田氏は烈火のごとく怒り「なんで俺が頭を下げなくちゃいかんのだ」と一喝された。
高杉氏は、マンションのイロハを教えていただいた恩人なので怖くはなかったが、容貌は原田氏をはるかに上回っていた。本人もそれを自覚していた。どこかの組長の肩書のほうが似合っていた。その鬼の形相が明和地所を立ち上げたとき、横浜駅前の喫茶店でホロホロと涙したのを今でも忘れない。しばらく会っていないが、すっかり好々爺になっているはずだ。
とにかくこの会社が好きなのだ。「国立」の問題が起きるまでは商品企画でも業界をリードした。今でこそディスポーザは当たり前だが、最初に100㎡マンションの「三鷹」で標準装備したのは同社だ。
話を元に戻す。おっとり刀で駆けつけた「市ヶ谷」の単価(坪単価400万円)を聞き、モデルルームを見て、記事にも「もう少し設備仕様〝ラヴェル〟を上げてもよかったかもしれない」と書いたように、〝果たして大丈夫か〟と思った。
ところが、何と「市ヶ谷」は3月末までに完売となった。今回の「王子」の販売を担当しているプロジェクトリーダー・車谷尚亮氏も「最初はやや高いとも思ったが、価格は全然問題なかった。もう少し高くても売れた。ほとんどが実需」と正直に語った。
今回の「王子」も「1LDKはよく売れた。グロスがやや張る2LDKが勝負」(車谷氏)のようだ。
モデルルームは「市ヶ谷」と同じで、記者は坪単価320万円の「王子」なら設備仕様は納得できる。京浜東北線で坪単価300万円以下はバス便か、隣の足立区や荒川超えの川口以遠でないと無理だと思う。
野村不動産グループ 記者懇親会 「結束して目標達成を」沓掛社長
挨拶する沓掛社長(写真提供:不動産流通研究所)
野村不動産グループは4月19日、恒例の記者懇親会を行った。冒頭、挨拶に立った野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長は、「今年は株式上場10年目、来年は野村不動産創業60年。大きな区切りの年に当たり今期より2025年まで10年先を見通した中長期経営計画を発表したが、経営環境が激変しており楽観視できない。グループ全社が結束して目標に向かって進んでいく。ガバナンスをしっかりすることが大事」などと話した。
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同社は今年4月1日付で、これまでのCSR推進部及び広報IR部を統合し、新たにコーポレートコミュニケーション部を新設し、部長には宇佐美直子氏(前広報IR部長)が就任したが、早速その真価を発揮する場面があった。
同社グループの記者懇親会はこれまで新宿野村ビルの48階にある「野村カンファレンスプラザ」で行われていたが、今年は「ヒルトン東京」に変わった。
沓掛社長は一通り話し終えた後、会場を変更したことに触れ、「今年は奮発してヒルトンホテルにしたが、儲かっているからではない」と参加者を笑わせた。そのとたん、司会を行っていた宇佐美氏が「手狭になったからです」と合いの手を入れた。
間髪を入れずとはこのことを言うのだろう。そのタイミングが絶妙だった。沓掛社長とコーポレートコミュニケーション部が一体であることを満場に知らしめた。
それにしても、代表者の話に割って入る勇気のあるスポークスマンなど政府機関にも民間にもいないのではないか。宇佐美氏の〝快挙〟に記者は普段の2倍の酒で応えた。
会場変更については、会場に着いてすぐ宇佐美氏から「これまでの会場が手狭だったので」という理由を聞いていた。
挨拶する沓掛社長(写真提供:野村不動産ホールディングス)
野村不動産HD CSR推進部、広報IR部を統合、コーポレートコミュニケーション部新設(2016/3/8)
「女性活躍」待ったなし 不動産業界の取り組み/野村不HD・宇佐美広報部長に聞く(2015/8/17)
激増する千代田区人口 16年間で61%増 当分続くマンション供給ラッシュ
先日は千代田区や港区などで〝お金持ち〟が増えていることを書き、昨日は千代田区のマンションがよく売れていることを紹介した。なぜ、そんなに同区のマンションが人気になるのか、その理由・背景をデータから探ってみた。
まず、人口。昨年3月、国立社会保障・人口問題研究所から平成22年(2010年)に約1億2806万人だった総人口は平成52年(2040年)には1億728万人へと2000万人以上も減り、65歳以上人口が40%以上を占める自治体が半数近くになるというショッキングな予測が発表されたが、千代田区には全く無縁な話だ。
同区の人口は昭和30年の約12万人を境に減少を続け、平成7年には約3.5万人までに落ち込んだ。その後は減少傾向に歯止めがかかり、平成12年の国勢調査では実に45年ぶりに増加に転じた。
国勢調査によると、平成12年の人口は約3.6万人だったのが22年には約4.7万人に30%も増加し、住民基本台帳による直近のデータでは約5.8万人へ、この16年間で61%も増えている。区の予測によると増加傾向は今後も続き、ピークの平成67年(2055年)には約8.1万人になるという。
ただ一つ気ななる材料もある。人口とは夜間人口のことで、昼間人口は漸減傾向にあることだ。平成12年の昼間人口は約86万人だったのが、22年には約82万人へと4万人も減少している。平成27年度の国勢調査の結果がどうなるか気になるところだ。区でも昼間人口減の要因をつかみかねている。
昼間人口減はともかく、人口増の最大の要因はいうまでもなくマンションの建設増だ。この7年間でも「プラウドタワー千代田富士見」(414戸)、「ワテラス」(333戸)、「パークコート千代田富士見」(505戸)の大規模再開発マンションが竣工している。
マンション建設増を裏付けるデータとして住宅着工増がある。平成5年はゼロだったのが、平成16年には約1,800戸に増加。その後は減少していたが、ここ数年は再び増加に転じ、平成27年(暦年)では1,696戸と平成16年水準に近づいている。〝億ション〟のメッカでもある麹町エリアでのマンション供給ラッシュもこれから本格化する。業界関係者によると20棟近くあるそうだ。
特徴的なのは、区内に建設されているマンションは小規模なものが比較的少ないということだ。区のデータによると、マンションは25年までに432棟、約2.1万戸供給されており、1棟平均は50戸だ。20戸未満が半数を占める都平均と比べるとその差は歴然とする。
マンションの規模は資産性とも密接な関係がある。区内の旧耐震の建築物は確実に減少しており、平成15年から25年までに約3,000戸以上減少し、26年の耐震化率は89.7%に達している。
空き家率の改善も進んでいる。平成20年には25.8%だったのが、25年には13.3%へと都の平均値(11.1%)に近づきつつある。
高額マンションの供給増はアッパーミドル・富裕層の増加につながっている。所得割の課税標準額が1,000万円以上の「高所得者」は、平成24年度は約3.6千人で、全納税者に占める比率は12.6%だったのが、平成27年度は約4.4千人と3年間で約800人増加し、比率も13.4%へ0.8ポイント増加している。比率は港区の14.5%には及ばないが、23区平均の4.1%を大きく上回っている。
他のデータもなかなか興味深い。保育園・学童クラブの待機児童はゼロだし、生活保護率も特別区の平均より5~10ポイント低い。
喫煙者と非喫煙者の共生を図る取り組みにも力を入れている。区は平成26年度から民間ビルの空き店舗などを活用した屋内喫煙所の設置に対する助成事業を開始し、28年度も引き続き「喫煙所の設置を積極的に推進していく」としている。
このような人口増、マンション建設増を受けて区では、平成27年度から平成36年度までの10年間を期間とした「新たなちよだみらいプロジェクト」を作成。既存施設の更新や住環境の整備、子育て、高齢者支援施設の充実、コミュニティ支援などへ施策の重点を移していくとしている。「付置住宅」や「区営住宅」「区民住宅」の見直しも行われる。
モリモト「ピアース千代田淡路町」 坪単価420万円でもほぼ1カ月で完売へ
「ピアース千代田淡路町」完成予想図
モリモトが分譲中のコンパクトマンション「ピアース千代田淡路町」を見学した。淡路町・新御茶ノ水・小川町駅から徒歩1分の全71戸で、3月末から第1期(45戸)・第1期2次(16戸)が供給されており、残り2期(10戸)を残すのみ。極めて好調な売れ行きを見せている。
物件は、東京メトロ丸ノ内線淡路町駅・同千代田線新御茶ノ水駅・都営新宿線小川町駅から徒歩1分、千代田区神田美土代町に位置する13階建て全71戸。専有面積は25.03~54.78㎡、2期(10戸)の予定価格は3,300万円台~7,200万円台。坪単価は約420万円。竣工予定は平成29年3月上旬。設計・監理は日本エーコン一級建築士事務所。デザイン監修はフレグライン建築設計(福田馨氏)。インテリアデザインはリエゾン(鬼倉めぐみ氏)。施工は森本組。第2期は4月29日から分譲される。
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この物件については、昨年末、他のマンションを取材したときから坪単価が400万円を突破することを聞いていたが、現地周辺は大中小のビルなどが建ち並んでおり、分譲マンションはほとんど皆無。1カ月くらいで完売する勢いにあるのに驚かされる。東急リバブル「ルジェンテ神田神保町」や明和地所「ラベルヴィ市ヶ谷」同様、区内のコンパクトマンションは実需のほかに投資需要が人気の要因の一つであるのは間違いない。そうでないと説明がつかない。
大手デベロッパーのマンションでは、野村不動産が昨年に分譲した坪単価400万円くらいの「プラウド千代田淡路町」(109 戸)が瞬く間に売れたし、三井不動産レジデンシャルも相当の規模のマンショ ンを分譲するそうだ。
この勢いは止まらない。このところ人口が激増している千代田区だが、今後も「麹町」を中心に大量のマンションが分譲される。そして、坪単価は最低で400万円というのが定着しそうだ。人気エリアでは700万円以上になるかもしれない。
バブル期は都心部の人口流失が相次ぎ、コミュニティの崩壊に危惧した行政はビルに「付置住宅」を義務付けるなど対応に追われたが、いまは逆だ。中小ビルがどんどんマンション化している。
モデルルーム
東急リバブル 新卒採用に「叶える選考」「リベンジャー採用」
東急リバブルは今年度から新卒採用の選考に新たに「叶える選考」と「リベンジャー採用」を開始する。
同社は現在、「お客様評価」「生産性」「働きやすさ」の3つの業界№1実現を中期ビジョンに掲げ、積極的な店舗展開や新サービスの創出、ダイバーシティの推進など様々な取り組みを行っており、多様な人材・優秀な人材を確保するのが目的。
「叶える選考」は、選考フローを①通常選考②№1になった経験をアピールする「№1選考」③宅地建物取引士やFPなどの資格を取得した経緯・頑張りをアピールする「資格者選考」④人には負けない披露できる物・事をアピールする「一芸選考」の4つの選考ルートを学生自身が選べるようにするもの。
「リベンジャー採用」は、最終面接で不採用になった場合でも、再度面接にチャレンジできる制度。緊張して本来の力を発揮できなかったのでもう一度チャレンジしたい、といった強い気持ちや意欲のある学生を歓迎する。
安否確認47%⇒64%に伸ばす 「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」防災訓練
市のはしご車も出動して行われた防災訓練
三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは4月17日、千葉市習志野市の全721戸の大規模マンション「ザ・パークハウス 津田沼奏の杜」で管理組合と協同して防災訓練を実施した。昨年3月に続く第2回目で、昨年は安否確認率が約47%だったのが、今年は約64%まで飛躍的に伸ばすなど、取り組みが〝進化〟していることを示した。
防災訓練は、防災ルールを定めた「防災計画書」に従い、館内放送や安否確認マグネットを使って全住戸の居住者の安否確認を行ったほか、①習志野市危機管理監による講演会②防災ゲーム③防災セミナー④トイレ組み立て・凝固剤の使い方⑤バルコニー避難・蹴破り訓練⑥防災ビデオ上映会-など様々なイベントを任意参加で行った。
安否確認は、昨年は全721戸のうち338戸(47%)だったが、今年は目標に掲げた85%には及ばなかったが、64%に当たる458戸に伸ばした。イベント参加者は160組、約340名だった。マンションは2013年6月に竣工。
管理組合防災担当理事の安部修氏は、「昨年12月に落雷があり、火災報知器が鳴り出したのをヒントに安否確認の数を増やすことを考えた。結果として大きく増やすことができた。防災態勢は本部長-副本部長の下に情報・消火・救助・避難・生活担当を置き万全を期しているが、男性は仕事で昼間留守のケースも多いので、女性活用や街の防災力の拡充など点から面の展開を考えたい」と感想を語った。
また、防災訓練を見学した隣接する「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(全869戸、2015年9月竣工)の管理組合理事長・横井正文氏は、「理事10人のうち8人が自分で手を挙げた。わたしも公認会計士の資格があるのでお手伝いできることをしたい。防災組織は1年間くらい検討して独自のものを作り、ここのマンションやエリア全体で取り組みたい」と、共同で防災訓練を行う意向を示した。
奏の杜のエリアマネジメントを推進する一般社団法人奏の杜パートナーズ理事長・織戸久雄氏(65)、同副理事長・五関清氏も顔を見せ、「一般社団は平成23年6月に設立した。居住者、事業者、地権者からなる組織で、会費は戸建てで月額800円、マンションは400円。会員は1,800戸で加入率は90%超。将来的には2,500戸、7,000~8,000人の街になる。街の価値を上げるべく、市や町内会などとも連携して街づくりを進めていく」と話した。
防災訓練に参加した居住者は「昨年は欠席したが、防災の意識を高めたい」「3.11で経験したが、マンホールトイレは使いづらい」「凝固剤を買う気になった」などと話していた。
午前9時30分 ブロックごとに避難場所に集合
マンホールトイレ
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収穫の多い取材だった。この防災訓練は昨年も取材しており、同じ内容だろうと思っていたが、はるかに進化を遂げていた。熊本地震のさ中だったこともあるのだろう。主催者も参加者も緊張感が漂っていた。
嬉しかったのは安部氏が声を掛けてくれたことで、元気な様子が何よりだった。防災体制は政府顔負けだと思った。防災ゲームでは、5年生の女の子を安否確認の〝戦力〟にしていた女性がいた。「エレベータを使わず、ちゃんと確認した」とその女の子は話した。花丸をあげたくなった。
エリアマネジメント組織「奏の杜パートナーズ」の存在にも驚いた。津田沼エリアにこのような組織があることを知らなかった。織戸氏は話しぶりから普通のサラリーマンに思えなかったので、「ひょっとしたら地権者? 」と聞いたらその通りだった。「わたしは地権者で居住者。マンション1棟では街の価値は上げられない」
エリアの地価が上昇し、「固定資産税が上がったが」と苦笑を浮かべたが、(「税金をたくさん払うのはいいこと」との記者の問いに)「その通り。税金を払うのは国民の義務」と話した。間違いなく街づくりの旗振り役として大きな力を発揮するに違いない。
三菱地所レジデンスのスタッフの奮闘も光った。そのリーダー的な存在である同社商品企画部商品企画業務室業務グループ長・岡崎新太郎氏は先日も記事にした「箱の間」の開発者で、「これは管理会社の仕事かもしれないが、〝おひとり様〟が中心の小規模から今回のような大規模マンションまで双方が連携して取り組んでいる。満足度調査などしない。むしろ〝不安〟〝課題〟を発掘するような取り組みにしたい」と、頼もしいことを話した。
マンホールトイレの設置・凝固剤の使い方などを説明した平澤龍一氏の本業は聞かなかったが、会社員より講釈師が似合っていた。「緊急時のテントは絶対足りなくなる。マンションも横管が外れる危険性がある。トイレを我慢しないほうがいい。水なしで用が足せる凝固剤は必需品。わたしはいつも持ち歩いているし、娘にも持たせている。お宝はわたしも経験していないが、消臭効果もあり、3カ月は(溶けないで)持つ。普通ごみとして捨てられる。100個入りで15,000円。普通の人で1日5~7回とすると、3人家族で15回。使用期限は10年。それと薬手帳。非常食も重要だが、いつも飲んでいる薬の名前などなかなか伝えられない。冷蔵庫の中にあるものは腐らいうち、自分が好きなものから食べたほうがいい」などと、1時間近く話し続けた。参加者を「わたしも買おうかしら。どこで売っているの? 」とその気にさせていた。
平澤氏は、約10万人と言われる「防災士」の資格も取得している。1カ月くらい勉強し、講習を受けないと合格しないそうだ。
「被災時にトイレは我慢できませんし、我慢しちゃいけない」平澤氏
「凝固剤は1個150円。3人家族で1日15個。考えたら安いもんです。普通ごみとして捨てられる。わたしは持ち歩いています」(記者は浦安の液状化取材で躊躇なく公園の隅っこで用を足したが、若い女性が歩いて10数分の駅まで歩いたと聞いた)
織戸氏(左)と五関氏
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余談だが、記者も非常時は〝人助け〟が必要なことを学んだ。この日、現地は海風も手伝って猛烈な風が吹いた。取材を終え、駅に向かって歩道を歩いていたときだ。風速30mはあったはずだ。若い女性がよろよろと記者に向かってきたかと思うと、ぶつかるようにして何やら耳元で囁いた。
ドキッ。この30年来、若い女性、しかも真っ昼間から言い寄られた経験などないから、恐怖を覚え、知らんぷりをして歩を進めた。5、6歩進んだとき〝待てよ、女性はメ・ガ・ネ…としゃべったような気がする。風でメガネが吹き飛ばされたのかも〟と考え直し、立ちすくんだままの女性のところに戻り、確かめたらその通りだった。目は宙を泳いでいた。相当視力の弱い人だ。
しかし、この風だ。道路に転がったら車にひかれるか、はるか彼方に吹き飛ばされるはずだ。どうしよう? まごまごしていたら看板か何かが飛んできて憤死するかもしれないと新たな恐怖と闘い、絶望的な気分に陥りながら探した。そのとたん、何と目と鼻の先の敷石の隅に、いかにも女性ものらしい赤い縁付きの眼鏡が転がっているではないか。
これほどうれしかったことはない。「これでしょ、よかったね」と一声かけて記者は近くのビルに駆け込んだ。
防災セミナー(左)と防災ゲーム
初の防災訓練に350人 「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」管理組合(2015/3/1)
大和ハウス 熊本地震に対する対応を発表 現時点で建物の倒壊なし
支援物資搬送
大和ハウス工業は「熊本地震」に対する4月16日と17日の両日にわたる取り組みを公表した。
備蓄品の輸送については、16日、水:2,200本、アルファ米:1,200食、カロリーメイト:1,500箱 簡易トイレ:400個、毛布:600枚などを午後3時、岡山工場の災害備蓄品を熊本支店、福岡支社に向け搬送。翌17日午前8時、熊本・福岡支店に到着。お客様に配布する予定。
現場の状況については、賃貸住宅の建設現場の1カ所で建築資材が落下するなどの被害あり。熊本県下の建設現場は4月24日まで休工。
社員の状況については、熊本支店は停電・断水などで建物内に入れない状況。18日、仮事務所を建て、発電機も導入し対応する。熊本支店の社員約120名は全員無事。九州の9事業所は営業中。
応急仮設住宅については、依頼を受けた時点で対応できるよう取り組む。
お客様対応の状況については、被災エリアに住宅・賃貸住宅・マンション・店舗・建築等などが震度5弱以上で24,000棟、6弱以上で約7,000棟あり、6弱以上の物件を優先的に連絡し、現場確認を行っている。ドア・サッシ、建具が開かない、ガラスが割れる被害、エアコンの室外機が落下する、立体駐車場が停止するなどの被害がでている。
現場支援については、地震発生時から大阪・東京に「災害対策本部」を設置し、18日には福岡支店に「現地災害対策本部」を設置し、対応にあたる。
支援物資搬送
被災当日の災害対策本部設置に関する打ち合わせ
積水ハウス 「グランドメゾン江古田の杜」モデルルームオープン
「グランドメゾン江古田の杜」完成予想図
積水ハウスは4月16日、中野区江古田3丁目で開発している「江古田の杜プロジェクト」の分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」モデルルームをオープンする。
「江古田の杜プロジェクト」は、同社、総合東京病院、UR都市機構が共同して進めている事業で、A・B・C3つの街区に分かれており、A街区に同社分譲マンション「グランドメゾン江古田の杜」が建設される。B街区には総合東京病院新棟が、C街区には同社による賃貸マンション、学生寮、高齢者住宅、介護施設、コミュニティ拠点などが設けられる。
マンションは、都営大江戸線新江古田駅から徒歩10分、江古田の森公園に近接する全531戸。全戸に「エネファーム」を搭載する。
全国90万人の「高所得層」のうち21%、19万人が東京23区に集中
平成27年度の市町村税課税標準額が1,000万円以上の「高所得者」は約90万人で、全納税者に占める割合は1.7%であることは先に紹介したが、この〝お金持ち〟が全国にまんべんなく存在しているわけではなく、東京23区、とりわけ港区や千代田区、渋谷区、世田谷区などに集中していることが分かる。
東京都23区の平成27年度納税者の課税標準額を段階別にみると、平均では200万円以下が54.6%、200万円超~700万円以下が37.8%、700万円超~1,000万円以下が3.5%、1,000万円超が4.1%となっている。「高所得者」は前年度と比べ9千人、4.5%増の約19.2万人となり、高い伸びを示した。全国約90万人の「高所得者」のうち21%が23区に集中している。
これを区ごとに見ると、「高所得者」がもっとも多いのは世田谷区の約3.0万人(構成比6.5%)で、以下、港区約1.9万人(同14.5%)、杉並区約1.3万人(4.5%)、渋谷区約1.2万人(同9.5%)の順。もっとも少ないのは荒川区の約1.9千人(1.9%)。
「高所得者」の比率がもっとも高いのは港区の14.5%(約1.9万人)で、以下、千代田区13.4%(約4.4千人)、渋谷区9.5%(1.2万人)、文京区8.0%(9千人)の順。もっとも比率が低いのは足立、葛飾区で1.5%。足立区は課税標準額が200万円以下の比率は63.6%に達している。
総所得などは約21兆円で、前年度比0.2%減となった。総所得、退職金所得などは前年度比3.4%増の約19.7兆円になったものの、株式譲渡に伴う軽減税率廃止による駆け込み需要がみられた平成26年度に対して、27年度はその反動による分離課税所得が前年度比34.5%減の約1.3兆円だったのが影響したため。
23区全体の一人当たり特別区民税額は9.9万円で、対前年度比1,000円増となった。10区で区平均を上回り、13区で下回った。
「高所得層」23年度と比べ9.8%増の90万人27年度 市町村税課税状況(2016/3/31)
住友不動産 武蔵小山再開発事業に参画 住宅約500戸建設
「武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
武蔵小山駅前通り地区市街地再開発組合と住友不動産は4月14日、「武蔵小山駅前通り地区第一種市街地再開発事業」が平成28年4月13日付で再開発組合の設立認可を受けたと発表した。
事業地は、東急目黒町線武蔵小山駅東南側に位置し、細分化された敷地の統合と建物の共同化によって土地の高度利用を図り、区画道路や広場などを整備することで、市街地環境の改善と防災性の強化を図るもの。住友不動産は地権者、参加組合員として事業に参画する。
所在地は品川区小山三丁目、施行面積は約0.7ha、敷地面積は5,420㎡、延床面積は53,870㎡、建物は地上41階・地下2階建て。住宅は約500戸。竣工予定は平成32年度。総事業費は約321億円。