三菱地所グループ 山梨県産FSC認証木材の企画提案コンペに当選
三菱地所、三菱地所ホーム、三菱地所住宅加工センターは12月11日、藤原造林(代表企業)、林友、林ベニヤ産業と共同で、山梨県が新設した県有林に関する企画提案コンペ「やまなし提案型システム販売(一般製品部門)」に当選したと発表した。
同制度は、国際的な森林認証であるFSC認証を国内の公有林で初めて取得した山梨県有林木材を認証材需要者に直接、安定的に供給することにより、加工・流通の合理化を促進するとともに、認証材の有利性を生かした販売 網を構築し、需要拡大を図ることを目的に同県が本年度に新設したもの。
今回、同社グループが当選したことで、FSC 認証材の安定的な調達ルートが確立され、川上から川下までを繋ぐ流通体制の構築により、環境や地域社会に配慮し経済的 にも持続可能な責任ある木材の利用をこれまで以上に推進することができるとしている。
三菱地所ホームは2011 年8月から木造ツーバイフォー工法による住宅建築においてFSC認証材の採用を進め、主要構造材におけるFSC認証材比率は、住宅メーカーとしてトップレベルの約20%になっている。
今年度新設の「ウッドデザイン賞」に三井不、ナイス、LIXIL、積水ハが優秀賞
「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」
林野庁が後援し、ウッドデザイン賞事務局(活木活木森ネットワーク・国土緑化推進機構・ユニバーサルデザイン総合研究所)が主催する今年度に新設された 「ウッドデザイン賞2015(新・木づかい顕彰)」で、住宅。不動産業から三井不動産他「ららぽーと海老名 キッズプレイエリア『ウッド キューブ』」、ナイス「住まいの耐震博覧会」、LIXIL「連続開口設計サポート」、積水ハウス「積水ハウス シャーウッド~純国産プレミアムモデル~」が林野庁長官賞(優秀賞)を受賞した。また、ポラス「POLUS学生・建築デザイン コンペティション」、住友林業「木の内装と間接照明を組み合わせた寝室環境による睡眠の質改善効果と疲労軽減効果」が審査委員長賞(奨励賞)を受賞した。
農林水産大臣賞は、西粟倉・森の学校(岡山県西粟倉村)の「『みんなの材木屋』発 森と暮らしを創る六次産業化モデル」が受賞した。
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「グッドデザイン賞」の向こうを張るわけではないだろうが、「ウッドデザイン賞」とはなかなかいい名称を付けたものだ。
「ウッドデザイン賞」は、「木」に関するあらゆるモノ・コトを対象に、暮らしを豊かにする、人を健やかにする、社会を豊かにするという3つの視点から、デザイン性が優れた製品・取組等を表彰する今年度初めて創設されたアワード。
初年度となる今年は、建築家の隈研吾氏、プロダクトデザイナーの益田文和氏、アーティストの日比野克彦氏、慶應義塾大学大学院教授の伊香賀俊治氏ら各分野の第一線で活躍されている方々が審査委員を務めた。
初年度は応募があった882点から二次審査を通過して「ウッドデザイン賞」を受賞したのは397点。今回、農林水産大臣賞(1点)・林野庁長官賞(9点)・審査委員長賞(30点)として40作品が発表された。
「グッドデザイン賞」の今年の応募3658件にははるかに及ばないが、質では互角だと胸を張れるアワードになってほしい。
企業アクセシビリティ・コンソーシアム(ACE)の活動に〝目からうろこ〟
「第3 回ACEフォーラム・表彰式」(イイノホールで)
一般社団法人 企業アクセシビリティ・コンソーシアム(略称:ACE = Accessibility Consortium of Enterprises、代表理事:橋本孝之・日本アイ・ビー・エム副会長)は12月8日、「第3 回ACEフォーラム・表彰式」を行った。
清水建設代表取締役社長・宮本洋一氏、日本アイ・ビー・エムフェロー・浅川智恵子氏、慶應義塾大学教授・中島隆信氏がそれぞれインクルーシブな社会づくりに向けた企業の取り組みや経済学的に見た障がい者雇用について講演。会員企業に在籍する障がいのある社員の中からロールモデルとなるべき人材が表彰された。
会員企業である積水ハウスからは総合住宅研究所・上野政一氏が準グランプリを受賞した。
ACEは、「障がいというダイバーシティを活かした新たな価値の創造と企業風土の変革、そしてインクルーシブな社会の実現を目指し、企業の成長に資する新たな障がい者雇用モデルの確立と、企業の求める人材の社会に対する発信を目的」とする法人で、設立は2013年8月。会員企業は26社。
冒頭のあいさつで橋本氏は「われわれの活動はコンプライアンスやCSRといった従来の枠を超えた活動。みんな手弁当で論議し、社会のあり方、雇用のあり方の知見を広め、情報を発信し、日本を変える原動力になろう」と語った。
準グランプリを受賞した積水ハウス・上野氏(左は橋本氏)
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積水ハウスからの誘いで、存在すら知らなかったACEの取材をする機会を得た。
宮本氏は自らの経験として、視覚障がい者の音に対する豊かな感性に触れ「目からうろこ」と話したが、浅川氏や中島氏の講演を聞いて、まさに「目からうろこ」だった。と同時に、障がい者に対して少しは理解があると思っていたが、余りにもの無知に恥じるばかりだった。
ぐさりと胸を衝かれたのは中島氏が語った「差別とは何か」だった。中島氏は偏見による「ベッカー型」の差別や統計的な差別(問題行動を起こす確率が高い)のほかに、間接的差別があると指摘した。例えばわれわれが当たり前と考えている長時間労働は、子育てファミリーや障がい者を間接的に差別しているというのだ。
また、改正された障害者雇用促進法は、福祉を「利用」する企業が出てくることや、施設化する恐れがある特例子会社の問題、効率的経営との矛盾などからいずれ大きな壁になり、立ち行かなくなる可能性を指摘。障がい者を配慮するコストが全然考慮されていないと批判した。
さらに中島氏は、「すべての人が何らかの障がいがある。障がいは社会を映す鏡である。国民一人ひとりが自らが負担すべき配慮の経済的コストを自覚するべき」と話した。
宮本氏と浅川氏は、双方が連携して点字ブロックのデメリットを解消する音声ナビケーションの開発・実用化に取り組んでいることを報告した。
たしかに点字ブロックはなくてはならないものだろうが、健常者にとっては転ぶ障がいになりかねないし、点字ブロックそのものもつながって意味があるのにそうなっていない。試しに目をつぶって新宿駅周辺を歩いてみたが、10mも歩けなかった。最新の情報通信技術による音声ブロックの開発は劇的にわれわれの生活を変えるかもしれない。
それにしても、ACEは障がい者の立場から自らの企業をしばるかもしれない障がい者雇用の問題を考えようとしている。大企業は経済合理性だけを考えるものだと思っていたが、考えを改める必要があると痛感した。
ACEの会員は、住宅・不動産業界からは積水ハウスのみで、関連では清水建設、LIXILが、その他ではアサヒビール、KDDI、セコム、TOTO、日産自動車、富士ゼロックス、堀場製作所、明治安田生命保険、ヤマトホールディングス、リクルートホールディングスなどが名を連ねている。
積水ハウスのサステナビリティレポート、ダイバーシティページは次の通り。
マンション管理協 「マンションいい話コンテスト2015」受賞作発表
「マンションいい話コンテスト2015」表彰式(左端が山根理事長)
マンション管理業協会は12月10日、マンション居住者や管理組合向けにマンションライフを豊かにする工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンの第2弾「マンションいい話コンテスト2015」の表彰式を実施。全国1,015通の応募作品からグランプリ、準グランプリ、特別賞の6作品を発表した。
表彰式で挨拶した山根弘美・同協会理事長は、「マンションの本当の価値はコミュニティいかん。阪神淡路や3.11以降は耐震性だけでなく、自助、共助の力が注目されている。防災・防犯、孤立死、幼児虐待、超高齢化社会の問題もマンションのコミュニティの力で乗り越えられる可能性を秘めている。大きなファクターになる。マンションコミュニティが人の心を救う力になるかもしれない。これからもご理解と支援を賜りたい」と話した。
「マンションいい話コンテスト2015」は、キャンペーンの第一弾「マンションのWa」サイトの開設に続くもの。国交省、総務省、東京都、住宅金融支援機構、マンション管理センター、NPO全国マンション管理組合連合会、日本マンション学会、明海大学、日本マンション管理士協会連合会、マンションライフ継続支援協会、マンションコミュニティ研究会が後援している。
グランプリ(賞金50万円)は奥村由布子さんの「集会室での育児」、準グランプリ(賞金5万円)は真砂俊和さんの「『親』と『理事』と」がそれぞれ受賞した。
山根氏
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住宅・不動産の業界団体が一般向けのイベントなどを行うことはあまりない。同協会は約1,500万人のマンション居住者に直接サービスを提供する業界であることを考えれば当然でもあるが、どんどんやっていただきたい。山根理事長が話したように「コミュニティが人の心を救う力」となるかもしれない。少なくともその可能性を秘めている。
集まった報道陣は42人。最前列には多数のカメラマンや記者が陣取り、プレゼンターの吉澤ひとみさん、石川梨華さんの写真を撮っていた。お二人とも年齢は30歳で、吉澤さんは結婚したばかり、石川さんは独身であることもお二人のトークセッションで分かった。「モーニング娘。」(なぜ句点がつくのか)で活躍されていたようだ。マンションに住んでいらっしゃることも分かった。
「モーニング娘。」についてはS理事が詳しいようだが、山根理事長も目じりを下げっぱなしだった。記者はまったく知らなかった。
左から山根氏、吉澤さん、石川さん
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表彰式では、グランプリに輝いた奥村さんの作品をもとに製作したという約6分間のミニドラマも放映された。マンションに引っ越してすぐ、下層階に住む女性から「静かにして」という苦情をもらった女性が、砂場で子どもを遊ばせていた時に、同じマンションに住む女性から「集会室で遊びませんか」という声を掛けられてからコミュニティの輪を広げるという内容だった。
事前に山根理事長から「牧田さん、泣けますよ」と知らされていたのだが、全然泣くようなドラマではなかった。「泣ける」ドラマはこれから放映される第2弾、第3弾のようだ。
ドラマの感想を聞かれた吉澤さんが「最初に挨拶していれば苦情をもらわなかったかも」と鋭い指摘をしたのには驚いた。
グランプリに輝いた奥村さん(右)
ドラマは同協会のホームページhttp://www.mansion-wa.com/contest/ で公開されている。
大成有楽不・長谷工コーポ 「品川勝島」の契約者イベントに300名
コミュニティイベント「⼦育て交流会」の様⼦
大成有楽不動産と長谷工コーポレーションは、品川区勝島の分譲マンション「オーベルグランディオ品川勝島」(総数452戸)のコミュニティイベントを11月28日に開催し、延べ約300名の参加を得た。
「品川勝島」はマンション化が進んでいるエリアではあるが、倉庫街のイメージが強く、このマンションでも契約者の現居住地は約80%が品川区以外となっており、両社は契約者同士の交流を深め、不安を解消するために開いたもの。
参加者からは、「同じマンションの中で、同じ世代のお⼦さんのお⺟さんとつながりが持てて良かった」「地元に住んでらっしゃる⽅から保育園・病院などの情報を聞くことができて⼼強かった」「これから同じマンションに住む⽅の顔を⾒ることができて、安⼼できた」などの声が寄せられた。
物件は、京急本線⽴会川駅から徒歩11分、品川区勝島1 丁⽬に位置する20階建て452戸。専有面積62.38〜85.59㎡。竣⼯予定は2017 年1 ⽉下旬。
坪単価が200万円台の前半で、圧倒的に安いことから人気を呼んでいる。今年7月に分譲開始して以来これまで計340 ⼾を販売している。契約者の8割が地元以外というマンションは極めて珍しいと思われる。
大成有楽・長谷工「勝島」 全452戸のうち第1期1・2次211戸が完売(2015/7/30)
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
三井ホーム わが国初のツーバイフォー5階建て(1階はRC)特養が上棟
建築中の「花畑あすか苑」
三井ホームは12月9日、延べ床面積約9,800㎡という規模と5階建てという階数でわが国初の2×4工法による特別養護老人ホームが上棟したのに伴い、プレス向けに内覧会を実施した。建物は1階がRC造で2階から5階が2×4工法。平成26年度の国土交通省「木造建築技術先導事業」として採択されている。
施工にあたっては、地震時の横揺れに有効な新技術としてカナダで開発された木造中層向けの「ミッドプライウォールシステム」を初めて採用。さらに建物強度を確保するため独自金物を用いたタイダウンシステムを採用したほか、個室はユニット組立方式とした。
事業主の聖風会・近藤常博理事長は、「介護施設の報酬は3年ごとに見直され、その都度減額されている。建物の建築費は鉄骨などでは坪120万円というのがざらだが、これではイニシャルコストが回収できなくなってきている。その点、木造はそれより低くて減価償却も鉄骨の50年に対して17~20年で短いので、その分のメリットがある。
さらに、木造は入所者の感染症の発生が少ないとか、素足であるいてもやわらかくて暖かいとか、ぬくもりがあるとか、環境面でもやさしいなどの特徴がある。地域の方にも区の事業にも貢献しようと新しい試みにチャレンジした。私どもの理念である〝最高に価値あるものをすべての人に〟の実践です」と語った。
建物の所在地は足立区花畑4丁目で建築主は社会福祉法人聖風会。名称は「花畑あすか苑」。設計者はメドックス。構造設計は日本システム設計。施工は三井ホーム。敷地面積は約4,551㎡、延べ床面積約9,789㎡。特別養護老人ホーム140室と短期入所生活介護施設20室のほか、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、地域交流スペースが設置される。竣工予定は2016年6月。同社の落札価格は約27億円。
完成予想図
近藤氏
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この施設が「木造建築技術先導事業」として採択された段階から、どこが施工を担当するのかずっと注目していた。木造ファンの記者にとって約9,800㎡という規模と5階建て(1階はRCの混構造だか)の木造建築物ができるということはとてもうれしい。
毎度のことだが、残念なことが一つある。当然ではあるが、建物は青いシートで覆われていた。同社関係者も「コンクリートと同じではないか」と思わず口にしたように、木なのか鉄なのかコンクリートなのかさっぱり見分けがつかない。
内部はもちろん美しい。福島産のスギ材を一部使用するなど林野庁もよろこびそうな配慮をしている。ところが、このままの現わしで事業主に引き渡すわけではない。表面は耐火認定を取るためにボードなどで覆われることになる。
工事関係者にも聞いた。「ここに入所される方は木でできていることが見て分かりますか? 」と。その関係者は「無理でしょうね。我々プロでも一見して木造か鉄なのかの区別はつかない」と答えた。
いまさら木造の良さについて書かないが、今の耐火・防火基準は全て木の良さを覆い隠すイチジクの葉っぱだ。木が恥部のように扱われるのにものすごく腹か立つ。
この日から向こう3日間は、われわれ記者も含めて業界や行政関係者など1,000人くらいが見学に訪れるそうだ。せっかく美しい木の建物を造って、それを覆う愚かしさに気づいてほしい。耐火・防火基準はわが国の文化の否定だとも思う。
外観も少しは木造らしい仕上げをしており、完成するのが楽しみだが、わが国初の記念すべき木造建築物が鉄やコンクリと同じ姿なのを見せつけられるのだろうか。
「ミッドプライウォールシステム」を採用した壁
シートで覆われた建物
三井ホーム 国内初の2×4工法による大規模木造5階建て受注(2015/4/3)
杭打ちデータ流用 再発防止にメド 多重下請け構造は継続課題 深尾委員長が会見
会見に臨む深尾委員長(左から2人目)
国土交通省は12月8日、横浜傾斜マンション問題に端を発した「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催。会合のあとで深尾精一委員長(首都大学東京名誉教授)らが会見を行い、データ流用の再発防止策については要因分析、業界の取り組みなどから年内に防止案をまとめるめどが立ったことを明らかにした。建設業界の多重下請け構造が背景にあるのではという問題については、根源的な問題であり、今回の事件と直接的な因果関係が不明であるとし、腰を据えて継続的に検討していく必要があるとした。以下、深尾委員長の発言要旨。
旭化成建材によるデータ流用があった物件の中から先行調査した82件のうち調査確認中の10件を除き、傾斜、ひび割れなどの不具合はなく、72件は安全性が確認できた。データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低いと判断した。
再発防止については、喫緊の課題であり、建設業界全体の構造的な課題を含めて広く意見交換した。かなり熱の入った論議ができた。個人的な考えだが、多重下請け構造問題は、長期的にどうあるべきかを考えるべきで、今回の問題とは分けて考えるべきだ。
論議は①「安心・安全」②業界の風潮・風土、個人の意識③責任体制④設計と施工⑤ハード(機器、装置など)の5つの論点を委員間で共有した。
ただ「安心・安全」については、国民の信頼を取り戻す必要があり、「安全・安心・信頼」というような捉え方で防止策を考えるべきとの意見があった。
具体的な再発防止については、日建連が指針の検討を精力的に進めておられるようで、それらの取り組みを踏まえて再発防止策を検討する。杭打ち工事は、地盤調査、設計、施工のそれぞれの段階で責任・役割の分担を明確にし、施工に支障が起きたときやデータ取れなかったときなどの対応策などを明確化すべきという意見がかなり出た。
深尾氏
野村不「プラウドタワー木場公園」 都心に3つしかない眼下に大規模公園
「プラウドタワー木場公園」完成予想図
「最高峰」のマンションを立て続けに2物件みた。一つは野村不動産「プラウドタワー木場公園」で、もう一つは三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス浦和タワー」だ。最高峰とは文字通り建物が高いという意味ではなく、それぞれの駅圏で坪単価がもっとも高いという意味なのだが、これまでの最高単価をやすやすと超え、しかも売れ行きが好調ということからしても最高峰と言えるかもしれない。先に「木場公園」から紹介する。
物件は、東西線木場駅から徒歩7分、江東区木場3丁目に位置する27階建て全204戸。専有面積は65.30~103.90㎡、坪単価は323万円。入居予定は平成29年8月上旬。施工は前田建設工業。
物件の最大の特徴は、道路を隔てて木場公園に隣接しているタワーマンションということだ。敷地は3方道路に囲まれており、建物は中央にエレベータや階段室があるロの字型。東側、西側、北側が木場公園と木場親水公園に隣接・近接しており、南側住戸は下層階を除き公園が見渡せる。
もう一つの特徴は、最近少なくなってきている都の総合設計制度の適用を受けていることだ。そのため容積率の緩和を受けて27階建てが実現したのだが、敷地の約4割を公開空地としている。建物は制震構造。
住戸の商品企画・設備仕様は、これまでの同社の「プラウド」と同様トップクラスとみてよい。
9月から分譲開始されており、これまで140戸が契約済み。第2期2次15戸が12月13日に登録分譲される。価格は6,319万~8,719万円(最多価格帯7,200万円台)。
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このマンションが坪単価300万円を超えるだろうということは、昨年末、日本綜合地所(現大和地所レジデンス)の「ヴェレーナ木場公園」を取材したときから分かっていたのだが、300万円を軽々超え、それでも極めて売れ行きが好調というのにはやや驚いた。
木場駅圏や門前仲町駅圏はここ数年、同社をはじめ三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産などの大手デベロッパーの独擅場となっているが、坪単価はせいぜい260万円がアッパーだった。それを日綜が280万円で超え、今回300万円を軽々と突破した。
もう一つ驚いたのは、この物件の希少性だ。パンフレットには「『東京駅5㎞圏』「階層20階以上」「20万㎡超の国民公園・恩賜公園・都立公園・都立庭園(これに該当する公園は新宿御苑、上野公園、木場公園)まで徒歩1分以内」というくくりでは、過去20年を振り返ってもわずか2物件しかなく、今回の物件が3件目だということだ。
同じナレーションがシアターからも流れたので、いったい他の2物件はどこだろうと考えた。真っ先に浮かんだのは三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」だが、これは皇居だ。皇居は公園ではない。同社が皇居を除外したのは正解だと考え直した。(あとで分かったのだが、代々木公園は5キロ圏外)。
さて、この20万㎡超の公園に隣接・近接している残りの2物件とは、一つは同社が分譲した「プラウド新宿御苑エンパイア」で、もう一つは大京の「ザ・ライオンズ上野の森」だという。三井不動産レジデンシャル「パークタワー上野池之端」もそうだと思うが、なぜか入っていない。
参考までに。パンフレットには世界のパークサイドマンションが紹介されており、世界最高額は2014年に分譲されたイギリス・ロンドンの「ワン・ハイド・パーク」で、価格は日本円にして253億4,000万円だそうだ。米国・ニューヨークの最高層タワーマンション「One57」は2015年に日本円で約119億円の価格で取引されたという。
わが国の最高額マンションは、バブル時にドムスから分譲された「南麻布」のマンションが確か44億円だった。この記録はまず更新されないだろう。海外から「日本のマンションは安い」と言われるのも納得だ。今回の「木場公園」も1億円超えは10戸くらいしかないはずだ。
モデルルーム
日本綜合地所「ヴェレーナ木場公園」 木場・東陽町駅圏&同社物件の最高値更新(2014/11/26)
名鉄不動産「三郷中央」 坪単価は160万円以下か
「メイツガーデンズ三郷中央 フロントコート」完成予想図
名鉄不動産の「メイツガーデンズ三郷中央 フロントコート」を見学した。郊外部のマンションもじわじわと価格が上昇しているが、ここは坪150~160万円に収まり、東向きの住戸は60㎡台がほとんどで、3,000万円以下になりそうだ。全戸平置き駐車で、料金がゼロというのも訴求ポイントの一つ。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩12分、三郷市中央4丁目に位置する9階建て全169戸。専有面積は65.86~84.23㎡、予定価格は2,300万円台~4,400万円台(最多価格帯3,100万円台)、坪単価は150万円台の半ばから後半あたりになる模様。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2017年2月中旬。販売代理は長谷工アーベスト。分譲開始は1月中旬。
現地は、三郷中央駅周辺の土地区画整理事業地内の一角にあり、総合病院と公園、保育園が近接。建物はL字型で南向きと東向きが半々くらい。駐車場は平置きで全戸分確保。料金は無料。
分譲単価は未定だが、価格の割には設備仕様レベルが高いのが特徴だ。ディスポーザ、食洗機、床暖房が標準装備。ドア小口は巻き込み式。
1月16日(土)には、元西武の石井一久氏と人気芸人・ペナルティ・ワッキー氏によるイベント「スポーツ教室」を開催する。
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単価はほぼ予想通り。数年前、大京が駅前の「ザ・ライオンズ三郷中央」(318戸)を坪単価150万円台で分譲し、早期完売した。そのとき、記者はもっと高くても売れるだろうと思ったが、同社は戸数が多かったので低めに設定したのだろう。
それが今の中古市場で坪単価は180万円も190万円もしているそうで、もう少し駅から離れた物件でも170万円くらいだという。この単価差をユーザーはどう考えるか。
難点といえば、三郷中央から秋葉原駅には20分くらいと近いのだが、駅周辺の商業施設がいま一つであることだ。
申込殺到も 大京「ザ・ライオンズ三郷中央」(2010/11/18)
三井不 「ららぽーと立川立飛」12/10オープン 客が客を呼ぶ店舗づくり
「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」
三井不動産は12月10日(木)、立川市に西東京エリア初のリージョナル型ショッピングセンター「三井ショッピングパーク ららぽーと立川立飛」を開業する。7日(月)、開業に先立ってプレス・関係者に公開された。
同施設は、JR中央線立川駅から多摩モノレール線で2駅の立飛(たちひ)駅と新設の連絡ブリッジで直結した西東京エリア最大級のショッピングセンター。敷地面積は約9.4ha、建物は鉄骨造3階建て延べ床面積約15.4ha。駐車台数は約3,100台。いつも訪れたくなる“居心地のよい空間“を目指す。
モールには高感度ショッピングからデイリーユースまで、幅広くカバーする250店舗が出店。「音楽」「文化」「子育て」の3つをキーワードに、新たなサービスの提供やショップ間のコラボレーションに取り組んでいく。
10日には、8時25分から清水庄平・立川市長も出席してオープニング テープカットセレモニーを行うほか、様々なイベントやキャンペーンが行われる。
公共交通機関の利用を促すこともあり、12月10日から来年の1月11日までの毎週土曜・日曜日は立飛駅やバスを利用して訪れた人には買物券500円がプレゼントされるほか、先着100名限定で宅配サービスやクロークサービスの半額チケットが当たる抽選もある。
初年度売り上げ目標は330億円。3,000人を超える雇用が生まれる。
「テラリウム」(直径10m、中にはシラカシが植わっていた)
武蔵野美大生によるスペースデザイン プロジェクト
スペースデザイン プロジェクト
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立川市に本社を構える「いなげや」の旗艦店「blooming bloomy by Inageya」が、これまでにない売り場や、地元直送野菜や多摩地産を集めた〝さんさん市〟を開くというのでどのようなものか見に行くことにした。
しかし、ここ10年以上、ほとんどスーパーで買い物をしたことがないので、〝これまでにない〟売り場とはどのようなものかさっぱり分からず、売られている生鮮食品が高いのか安いのかも全く分からず、とりあえず「紅化粧」という名の皮が赤い128円の大根を買い右往左往していたら、「どうですか? おいしいピザを一緒に食べませんか」と声を掛けられた。
一瞬躊躇した。ピザは好きではないからだ。しかし、断るのは失礼と思い、話を聞くことにした。頂いた名刺には「いなげや専務取締役 営業統括 木村博尚」とあった。しめた!(もちろん「ピザは嫌いでして」などとは口にしなかった)
木村氏は「わたしがここの責任者。このピザは桜島の溶岩窯で焼いたからおいしいですよ。フレッシュジュースもどうぞ。ここは〝くつろぎスペース〟と呼びまして、買っていただいたものを自由に食べていただくとか、パソコンの利用も可能にします。酒? もちろん結構です。デリカッセンやフレッシュジュース売り場なども新しい試みで、チラシも基本的にまきません。お客さまがお客さまを呼んでくれる店舗づくりをめざします」と話した。
スーパーがチラシをまかないでどうして集客するのか分からないが、いなげやも含めてこの「ららぽーと立川立飛」は〝今日は何があるかしら〟と行きたくなるような店舗づくりをしているのかもしれない。社に戻って女性に聞いたら、最近の大手スーパーはそのような店舗づくりをしているとのことだった。
「紅化粧」はあきる野産で、赤いのは皮だけで中身は普通の大根と同じ。皮ごと漬物やサラダにしたらカラフルなものになる。そのままおろしたら、辛くない〝紅葉おろし〟になるかも。普通の大根は1本158円だった。
いなげや専務取締役・木村氏(久々にピザを食べたが、ネギが入っており美味しかった。キウイのジュースもおいしかった。1杯200円で、ほかより100円は安いとか)
〝さんさん市〟(手前の赤いのが「紅化粧」。大きさは普通の大根の半分くらいか。その手前のネギは128円、その奥の白菜は250円)
三越伊勢丹「エムアイプラザ」(買い物かごを持って商品が買えるカジュアルな店ということだった)