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「オーベル志村城山」完成予想図

 大成有楽不動産の「オーベル志村城山」を見学した。駅から徒歩3分の高台に立地する志村坂上の〝一等地〟マンションだ。

 物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩3分、板橋区志村二丁目に位置する9階建て全74戸(地権者予定住戸7戸を含む)。専有面積は62.29~101.68㎡、価格は未定だが、坪単価は230万円前後になる模様。竣工予定は平成27年2月中旬。施工は大成ユーレック。販売開始予定は5月下旬。

 現地は、駅近でありながら車などほとんど通らないマンションや戸建てが建ち並ぶ閑静な住宅街の一角。敷地の近くには、江戸時代に徳川吉宗が鷹狩りの際に立ち寄り、清らかな湧水を称えたという逸話を記す石碑が建っている。北側の道路との比高は約12mあり、眺望もいい。

 マンションのレベルも高い。建物基壇部には自然石を配し、エントランスホールには大理石にガラス素材を貼りつけた「光壁」を採用。

 住戸設計では、天井や壁際の梁の出っ張りを解消した「壁内蔵梁工法」や逆梁ハイサッシを採用。

 モデルルームは100㎡のオーダータイプ。同社のオリジナル商品を開発していく取り組み「O-range LABO(オレンジラボ)」から生まれた「オレンジ収納」をフル装備しているほか、大理石、御影石をふんだんに用いている。キッチンシンクはユーテイリティシンクを採用。ドア把手は壁面から出っ張らないようセットバック。物干しポールをリビングに取り付けている。「スマートマンション」認定も取得している。

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 販売事務所には驚いた。過去6~7年間の間に3度も訪れたことのあるところだったからだ。最初は野村不動産の、その次は三菱地所レジデンス(当時、藤和不動産)、3度目は大京のマンションだった。そして今回。同じ場所で異なる4社のマンションモデルルームを見学するのは記憶にない。

 過去に見学した3物件と比較しても今回が立地は一番いい。そこで記者がはじき出した単価は230~240万円。ほぼぴったりだった。一等地にふさわしい単価設定だ。

 毎回毎回、単価予想が的中することについて読者の方々は不思議に思うかもしれない。「嘘だろう」と訝るかもしれないが、現地取材を重ねると、単価が見えてくるのだ。単価予想が外れるようならよほど市場が激変しているか、記者の見る目がないかのどちらかだ。

 大成有楽不動産のマンションは飛躍的によくなっている。今回の見学でそれを確認することができた。「浦和」でも官庁街の一角で分譲するというので近く見学してまたレポートしたい。

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完成予想CG

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「コーシャハイム千歳烏山」9号棟

 東京都住宅供給公社(JKK東京)、東京建物不動産販売、やさしい手、はなまる会の4者は3月31日、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「コーシャハイム千歳烏山」の現地発表会を行った。サ高住と24時間在宅サービスを組み合わせ、かつ団地内やその周辺に居住する高齢者にもサービスを提供する地域包括ケアシステムの拠点としての役割を担う新しい取り組みとして注目される。

 現地は京王線千歳烏山駅から徒歩5分。世田谷区南烏山6丁目に位置する昭和32年に管理開始したJKKの「烏山住宅」(21棟584戸)の建て替え事業の一環として整備されたもので、サ高住86戸を含む賃貸住宅94戸のほか、居宅介護支援などを行う高齢者施設、認証保育所、クリニック、レストラン、コミュニティカフェなどを備えた多世代交流を促進する機能を持たせているのが特徴。サ高住の専用面積は約25~67㎡、賃料は67,800~184,600円。管理費は約3万円。サービス料は1人入居が33,000円、2人入居が48,000円。オプションの食事代は60,000円。

 JKKが建設した建物を東建不販などが一括賃貸し、管理運営するもの。併設する施設は転貸により運営する。平成25年に工事着手し、今年2月、建物が竣工した。施設事業費は約22億円。

 JKK少子高齢対策部長・狩野信夫氏は、「烏山住宅」の建て替え、今回のサ高住について説明し、「医療・介護などのサービスは入居者だけでなく、団地や周辺の方々にも開放するのが大前提。街の中にサ高住が溶け込むヒューマンスケールの事業にしなければならない。これまでのような囲い込みをする施設・住宅であってはならない」と強調した。

 サ高住と併設施設を管理・運営する東建不販賃貸営業本部シニアレジデンス事業担当部長・菊地達也氏は、「25㎡のワンルームタイプだけでなく、夫婦二人で住むニーズがあると考え50~60㎡台の広めのタイプも多く企画したのが当たった。1期募集55戸には174件の登録があるなど予想通り評価された。5月には引き続き2期として30戸くらいを募集する。賃料はマーケット並みに設定した。多世代の住まいを創出するプロジェクトとして万全のサポートをしていく」と語った。

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 さすがJKKだ。住環境が抜群。各住棟の間隔が十分確保され、植栽計画もいい。分譲マンションなら坪300万円でも売れるような価値のある団地だ。東建不販のサ高住はこれまでも見てきたが、これまた水準以上。

 ただ、既存住宅の躯体を改修した一般住宅との共生を目指すという11号棟のプランは首をかしげざるを得ない。床をバリアフリーにするため200~250ミリかさ上げしており、天井高は2200ミリで、玄関ドア、サッシ、梁型の部分などは1500~1700ミリしかない。入居する人が腰の曲がったおじいちゃんおばあちゃんならいいかもしれないが、住宅としては問題ありだ。

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既存住宅を改修した11号棟

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 一般に開放するカフェレストラン「てらすチトカラ」、コミュニティカフェ「ななつのこ」に注目した。やさしい手・香取幹社長によると、最近はこのように一般に開放した施設の取り組みが増えており、概ね好評とのことだった。

 しかし、記者は一般の人が気軽に利用するにはハードルが高いような気がしてならない。特別養護老人ホームや民間の有料老人ホームにも体験宿泊したことがあるが、要介護の方たちと一般の方が談笑しながら食事をしたりお茶を飲んだりする雰囲気ではない。交流を促す工夫が必要だと思う。サ高住は決して「囲い込み施設」でも「姥捨て山」でもない。高齢者の知見、知識をどんどん引き出し、活用する場にしてほしい。

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クリニック、保育所、コミュニティカフェなどが入居する12号棟

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 医療サービスを担当する医療法人社団はなまる会理事長(院長)矢野孝子氏が素晴らしいスピーチを行った。事業概要の説明が終わるころで、記者は早く現場を見たい一心で矢野氏の話は全然聞いていなかった。

 ところがだ。「戦争に生き抜いた…」という言葉にピクリと反応した。後で矢野氏に詳しく聞いた。矢野氏は、「戦争に生き抜き、戦後の今の豊かな時代を築き上げた人生の大先輩の方々に感謝と敬意を表して、これまでの人生に花丸を差し上げたい」と話したのだそうだ。「はなまる会」の名前はそのために付けたという。

 矢野氏は「父が死んだ病院で介護医療は経験したことがある。理想の在宅医療を求めて医療法人を立ち上げた」と話した。

 矢野氏には、「先生、我々団塊世代も大変な苦労をしてきました。受験地獄を味わいましたし、バブル崩壊にリーマンショック、阪神淡路に東日本大震災。どうぞわれわれにも『花丸』を付けてください」とお願いした。今回開業した「烏山はなクリニック」のカーテンはピンクで統一されていた。先生の好みだそうだ。かかりつけの医院をここにしようかしら。

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クリニック(カーテンはピンクで統一されていた)

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 もう一つ。質疑応答で、介護・福祉関係の記者と思われる方が、24時間サービスを行う「コンシェルジュ」について、「賃金はいくらか」とあからさまな質問をした。香取社長もこのような質問には驚いたようで「普通よりはいいと思います。正社員並み」と答えるにとどまった。

 記者などは「坪単価はいくらか」と必ずマンションの価値を価格に換算して聞くが、さすがに商品を提供するデベロッパーの社員の給与を聞く勇気はない。しかし、専門紙誌の記者の方が単刀直入に聞かざるを得ないほど介護・福祉関係に勤める人の待遇が良くないのは記者も理解している。特養に体験宿泊した翌日、記者は疲れて半日ダウンした。

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「G/CLASSIC 山の手PJ」モデルルーム

商品企画は女性中心リーダー高荒氏は営業統括グループ長に昇格

 タカラレーベンの新ブランド「THE LEBEN」シリーズ第一弾「G/CLASSIC 山の手PJ」を見学した。JR山手線大塚駅から徒歩11分、比高差にして約9mの丘の上に位置し、敷地は江戸時代中・後期の大名で、肥前国平戸藩の第9 代藩主だった松浦清(まつらきよし)氏の私邸跡地。商品企画は女性メンバーが中心の部署が担当。単価320万円は割安感があると見た。

 物件は、東京メトロ丸の内線新大塚駅から徒歩9分、JR山手線大塚駅から徒歩11分、豊島区南大塚一丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する地下1階地上5階建て全43戸。1期(8戸)の専有面積は58.71~80.15㎡、価格は4,998万~7,898万円。坪単価は320万円。竣工予定は平成27年3月上旬。施工は大和小田急建設。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。3月30日に1期分譲が始まる。

 モデルルームは〝非日常を〟演出しているが、玄関床は天然大理石、キッチンカウンターは御影石かフィオレストーンか無料で選択できる。食洗機、ディスポーザ、食器棚、バックカウンターも標準装備。

 商品企画を担当したのは同社第4営業部。女性7人に男性2人の女性が中心の部署だ。物件の販売も担当する同部1課課長代理・岩元里江氏は、「用地は昨年取得。野村(克也)さんが『勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし』と話されたのは、もともとは清の随筆集『甲子夜話』が出典です。2月22日からモデルルームをプレオープンしており、来場者は約300件。巣鴨駅や六義園駅はフラットなのもセールスポイントのひとつ」と話した。

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 記者は、道すがらいつものように分譲単価をはじいた。320万円だった。表通りからなだらかな坂を上った。坂は長所でもあり短所だ。とりあえず坂の上まで上ってみようとのぼった。工事中のその一角だけが大きな区画のままであることからも、邸宅跡地であることがすぐわかった、。現地から周囲を眺めた。南西側は1階部分でも前面の建物の日影をほとんど受けないことが確認できた。敷地南側の法面には竹林が残っていた。これなら340万円でも行けるかもしれないと考えた。

 岩元氏から320万円くらいだと聞いて納得。腹八分目がいちばんいい。この単価なら文京区などの競合物件に負けないのではないか。

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 岩元氏とは他の現場でもお会いしているが、岩元氏が所属する女性中心の部署のリーダーは高荒美香氏だ。初めてお会いしたのは3年前だが、当時は次長だった。現在は営業本部第四営業部副部長で、この4月1日には同部営業統括グループ長兼営業推進部長兼営業企画室長に昇格する。

 同社は4月1日付で現社長の村山義男氏が会長に、副社長の島田和一氏が社長にそれぞれ就任するが、島田氏は高荒氏を以前から高く買っていた。全幅の信頼を寄せているようだ。

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モデルルーム

タカラレーベン 「巣鴨」で同社初の高単価マンション(2011/2/7)

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花牟禮氏

大規模修繕実行委員・花牟禮幸隆氏が改修の経緯などを語る

 マンションコミュニティ研究会(代表:廣田信子氏)は3月20日、多摩市の「エステート鶴牧4・5住宅」大規模修繕実行委員・花牟禮幸隆氏を講師に招き、国土交通省の平成24年度(第2回)「住宅・建築物省CO2先導事業」にも採択された「省エネ改修」について勉強会を行なった。

 「省エネ改修」は、工事を担当した長谷工リフォームと共同で提案したもので、住みながら屋根を含む建物躯体の外側を断熱材で包み込む外断熱工法やインナーサッシを採用することなどでコンクリートの寿命を2倍(45年から90年)に延ばし、CO2排出量を23%削減できるもの。共同住宅の省エネ改修のビジネスモデルとしての展開も視野に入れたプロジェクトとして評価された。

 「エステート鶴牧4・5住宅」は、多摩市鶴牧4丁目に位置する敷地面積約49,000㎡、壁式鉄筋コンクリート造の2~5階建て全29棟356戸の団地。建物完成は昭和57年3月(築32年)。工事期間は平成25年2月~26年3月。工事費は約11.6億円。このうち補助対象部分の50%が補助金で賄われ、1戸当たりの補助額は約100万円。

 花牟禮は、平成23年7月から屋根の葺き替えを中心とする大規模修繕の検討に着手したこと、一度は予算面で外断熱を断念したこと、長谷工リフォームの提案を受けわずか10日間くらいで提案書を作成したこと、4分の3同意を得るため臨時総会の直前までマンガによるニュースなどで説明を徹底させたこと、3億5,000万円の銀行融資を取り付けたこと(金利1.25%のうち1%は都の利子補給)、反対者は25人いたことなどを話した。

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 記者は、康和地所や明豊エンタープライズ、ナイスなどの新築マンションの取材を通じ外断熱のよさは分かっているし、同じ多摩ニュータウンには地元の建築のプロ集団が企画した「永山ハウス」もある。

 よさは分かっていたつもりだが、長谷工リフォームがこの「省エネ改修」のニュースをリリースしたときは驚いた。記者が住む団地は「エステート鶴牧4・5住宅」に近接しており、築年数も住棟構成もよく似ており、「まさかそんな大規模団地で、後付の外断熱なんかできるわけがないし、合意形成も難しい」と思っていたからだ。工事中の現場を何回か見た。外壁に断熱材を張る工事は気の遠くなるような工事に思えた。

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 花牟禮氏の話は、そんな疑問を吹き飛ばした。目からうろこだった。高経年のマンションはどのようにして価値を維持・向上させるか、いかに合意形成を図るべきかなどを教えてくれた。

 まず、団地の価値の維持・向上。大規模修繕は定期的に行なわなければならないのは当然だが、花牟禮氏は「単なる修繕では建物の老化と入居者の高齢化により魅力は低下し、資産価値は低下するばかり。建て替えも選択肢にあると考える人はいるかもしれないが、郊外では駅近辺や、都心部と違い、余剰床を売って資金を捻出しようなどということは絶望的」「改修により建物の維持を図る場合、内外の居住環境の向上、すなわち、建物の長寿命化や、外構、住戸内温熱環境等、住環境の性能アップを計るなどして資産価値をあげ、安心して快適に住み続けられるものにしないと若年購買層に対する団地間競争に勝てない」などと話した。

 合意形成について花牟禮氏は、「10年前から機会あるごとに団地の価値向上について話し合ってきた。約10人の理事は輪番制だが、10年間となると約100人と意識の共有ができたのではないか。」「価値の維持・向上は一つの団地だけでは限界がある。団地を取り巻く周辺環境が団地の魅力を増す。特に商業は重要であり、近隣の団地とも連携し、地元のスーパーを守ろう、盛り立てようと話してきた」などと語った。

 花牟禮氏は著名な設計会社「アール・アイ・エー」の東京支社設計担当参与を務める一級建築士でもある。建築のプロとして継続して入居者と接し信頼を得てきたのがプロジェクトを成功に導いたのだろう。記者は工事が終わった住棟の居住者から「暖房なんかぜんぜん使わなくても快適」という声を聞いた。

 アール・アイ・エーが設計したマンションでは、記者は首都圏不燃建築公社・三菱地所「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」を思い出す。

後姿が美しい「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」 「マンション環境性能表示」☆3つ(2010/3/8)

 

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、「ルネ新白岡駅前」完成予想図

 総合地所とフージャースコーポレーションは3月27日、「ルネ新白岡駅前」の記者発表・見学会を行った。駅1分で坪単価は130万円弱。かつては総合地所が約1,200戸の戸建て、600戸強のマンション分譲を行ったところで、マンション分譲は14年振り。駅近と単価の安さで人気を呼ぶことができるか。
 物件は、JR宇都宮線・湘南新宿ライン新白岡駅から徒歩1分、蓮田都市計画事業野牛・高岩土地区画整理事業地内57街区に位置する11階建て全124戸の規模。専有面積は71.63~86.46㎡、1期(戸数未定)の予定価格は2700万円台~3900万円台、坪単価は130万円弱。竣工予定は平成27年5月末。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理はフージャースコーポレーション。

 発表会に臨んだ総合地所分譲事業第一部部長・土田晃氏は、「新白岡は、当社が25年以上前から分譲している約1,200戸の『白岡ニュータウン』と3棟で600戸強のマンションを供給してきたところ。今回は駅前の最後の一等地。フージャースさんとは初めての共同事業物件。フージャースさんの女性目線のものづくりとコラボすることで付加価値の高いマンションとなった」と語った。

 これまで約300件の来場があり、現居住地は地元(白岡市・久喜市・蓮田市)が70%で、その他が30%。戸建てから駅近マンションへの住み替え、ファミリー層の来場も目立つという。

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 「新白岡」と聞いて関係者もどこか分からない人が多いのではないか。記者も14年振りのマンション供給と聞いてそれだけ空白が続いたのが意外だった。宇都宮線の大宮以遠では土呂、東大宮、久喜、東鷲宮では結構マンションが分譲されており取材しているが、白岡、新白岡は近年ほとんど降りたことがない。

 しかし、昭和60~60年代にかけて蓮田、白岡、新白岡は埼玉の戸建て・マンションの主な供給エリアのひとつだった。「白岡ニュータウン」は4,000万~6,000万円で結構売れていた。最盛期には億住戸も供給された。そんな街が新白岡だ。空白が続いたことでマイナーなエリアだと思われているが、それをどう払しょくするかが販売のカギだ。

 もう一つはもちろん駅1分(販売を担当するフージャースの女性担当者は「50m。ダッシュすれば8秒」と話した)の近さと坪130万円がいかに安いかをアピールできるかだろう。

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 モデルルームの説明を聞こうと思った途端、酒か仕事のせいか相当傷んでいるという自覚もある記者の脳髄を刺激する音楽が流れてきた。大好きなエンヤだった。もう止まらない。パブロフの犬のように舞い上がって、担当者の話はほとんど聞いていなかった。周りから顰蹙を買ったのは言うまでもない。

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エントランス

 

駅1分で坪単価153万円 新日鉄興和不動産「ハミングテラス」(2014/2/20)

太陽光だけでない圧倒的な安さと広さ 「レーベン東鷲宮Ⅲプロジェクト」(2013/2/26)

 オープンハウスは消費増税を直前に控えた3月26日、首都圏に住む住宅購入意向者500人を対象に動向調査を実施。回答者の4割が直近1年間に「住宅を購入」し、購入者の半数以上が「増税前のほうがオトクだから」と答え、消費増税が購入を決断させた大きな要因であるとしている。住宅を購入しなかった人の7割以上は来年10月に予定されている「10%への消費税増税前には住宅を購入したい」意向があることもわかった。

 一方、意向者の半数以上(56.6%)が「減税措置やすまい給付金について十分に理解できなかった」とし、約6割(57.0%)が「住宅購入を検討するのに十分に時間を費やすことができなかった」としている。

 住宅を購入しなかった人の理由としては、「もっとじっくりと検討したかったから」が72.2%を占め、住宅ローン減税やすまい給付金制度を利用するため「消費税増税時よりも後に購入したほうがオトクと思った」人も15.5%あった。「返済額を見て不安になった」人は19.0%だった。

 また、購入者の約5割(48.4%)が「住宅購入する際、両親から資金援助を受けた」と回答し、その額は「100万円以上500万円未満」(34.8%)が最多だった。

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 調査結果は当然だ。建物価格が2,000万円と仮定したら、現行では100万円の消費税額は160万円になる。さらに、上昇する建築費・分譲価格に対する将来不安も買い急ぎを誘発したのは間違いない。

 しかし、多くの人がローン減税や給付金の仕組みを理解できていない問題も浮上した。政府も住宅メーカー、デベロッパーは増税後の反動を極力抑えるための住宅取得支援策をアピールしているが、伝わっていない。景気回復が鮮明になった現在でも、増税後の景気が読みきれず「漠然とした不安」があることも浮き彫りになった。

 記者は富裕層やアッパーミドル、DINKS層向けのマンションなどは来年の10月までは好調な売れ行きを見せると見ている。

 心配なのは第一次取得層向け住宅の売れ行きだ。消費税の逆進性は生活必需品と同様、住宅も中低所得者により重く働く。マンションを例にすると、課税対象となる建物価格と非課税の土地価格の比率は都心部では3:7くらいであるのに対し、郊外部では逆転し7:3になるからだ。

 ローン控除・住まい給付金も中低所得者は実質的には利用しづらい。年収400万円で、扶養家族2人の人が住宅ローン2,000万円(金利2%、35年返済)を借りた場合をシミュレーションしてみたら、ローン控除は年額約13万円、給付金は30万円となった。しかし、頭金や親の援助があるのならともかく、2,000万円で買えるファミリーマンションは首都圏ではほとんど皆無だ。

 ならばと、他の条件を変えずに年収を500万円、借入金を3,000万円に引き上げて試算してみた。ローン控除額は約22万円、給付金は20万円となった。これなら3,000万円で買える郊外マンションが探せばある。

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宮嶋氏に三鷹市エコタウン開発奨励金制度の「ゴールド」認定証を授与する清原慶子・三鷹市長
 

 野村不動産の都市型戸建て「(仮称)三鷹中原1丁目プロジェクト」が三鷹市エコタウン開発奨励金制度で初の「ゴールド」に認定され、3月25日、認定証授与式が行われた。

 エコタウン開発奨励金制度は、地球温暖化防止、エネルギーの有効利用を促進させるため平成25年度と26年度に限定して行うもの。事業面積3,000㎡以上の戸建て住宅を建設する事業が対象で、太陽光発電、太陽熱利用、蓄電池、電気自動車用充電設備などを設置したものについてそれぞれポイントを与え、1ポイントにつき1万円(最大32ポイント/戸)の奨励金を事業者に交付する(上限1,200万円)。奨励金交付相当額を住宅の販売価格から減額することが条件となっており、最終的には住宅購入者である市民が受益者となる。ポイントに応じて「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のランクが付けられている。

 今回の開発ではトータル855ポイント(855万円)が45戸(1戸当たり19万円)に対して交付される。「ゴールド」認定されたのは今回が初めて。

 野村不動産の宮嶋誠一専務住宅事業本部長は、「私どもは全国で年間約7,000戸の住宅の分譲事業の中で、これまでも環境対応に配慮した住宅づくりをして参りました。この度、三鷹市様より初めてのゴールド認定をいただけましたことを機に、より一層環境に配慮したサステナブル街づくりを進めていきたいと思っています」と話した。

 物件は、京王線仙川駅から徒歩13分、三鷹市中原1丁目に位置する開発面積6,484㎡の全45戸。1戸当たり平均土地面積は約120㎡、平均建物面積は約96㎡。価格は未定。今夏に販売予定。プラウドスマートデザイン「SMART&GROWING」のコンセプトに基づき全45戸に太陽光発電、HEMS、蓄電池、電気自動車充電用コンセントの4つの設備を搭載している。

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「(仮称)三鷹中原1丁目プロジェクト」完成予想図

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 野村不動産がいよいよ大手の都市型戸建て市場で独走していた三井不動産レジデンシャルを追い上げる態勢に入った。今回の物件のほか、「調布市西つつじヶ丘」(20戸)「調布市菊野台3丁目」(51戸)と同じ京王線で一挙に3物件116戸を供給する。

 三井不動産レジデンシャルは年間800~900戸位を最近供給しているが、一方の野村不動産は今年度が約700戸も来年度は約900戸を計画。同社住宅本部戸建事業部長・市原幸雄氏は、「中長期的には1,000戸を目指す。これまでは大型案件が中心だったが、10戸くらいの規模でも地形や開発道路の関係で街づくりが可能なものもある」と、これまで三井不動産レジデンシャルが得意としてきた中小規模の案件も手掛けることを臭わせた。

 三井不動産レジデンシャルは先に首都圏の全棟でエネファームを搭載すると発表。両社のつばぜりあいが見ものだ。

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 良好な戸建て住宅に対して奨励金制度を設けるのは賛成だ。額的には1戸当たり約19万円と多くはないし、自然の力を取り込むパッシブ手法がポイントに盛り込まれていないのは課題と言えば課題だろうが、分譲価格に反映されるというのは消費者にとっては分かりやすい。2年間限定と言わずに継続してはどうか。現金だけでなく地元商店街などと連携した地域通貨も考えられる。

 加速度的に進む少子高齢社会では、若者や子育て世代をどう呼び込むか都市間競争は激化する。これについて、三鷹市生活環境部長・清水富美夫氏は「街の価値を高めていくために環境や子育て、学校教育など多面的に取り組んでいる。総合力ではトップクラスではないか」と話した。三鷹市の取り組みは周辺区市に刺激を与えることになりそうだ。

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授与式で挨拶する清原市長

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 「これからのマンション管理と管理会社の活用」(千代田区役所で)

 「これからのマンション管理と管理会社の活用」と題するマンション管理セミナーが3月22日、公益財団法人まちみらい千代田が主催して千代田区役所で行われた。約60人が参加した。

 まちみらい千代田は、ワンストップでマンション管理に関する助成制度や相談に応じる公益財団。区内には約400の分譲マンションが存在し、人口約52,000人の8割以上がマンション居住者であることから、マンションでのコミュニティ形成、管理会社の役割、防災対策などが話し合われた。

 コーディネーターはまちみらい千代田の顧問でマンション管理士の飯田太郎氏、パネラーはマンション管理業協会理事長・山根弘美氏、明海大学教授・齋藤広子氏、千代田区長・石川雅巳氏。

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山根氏

 さすがマンション管理のプロ中のプロ。山根氏の話は非常に面白かったし、最後はドキリとさせられた。普段は業界の会合などでしか話を聞かないが、一般の人にどのように話せばいいかよく分かっていらっしゃる。面白すぎて「みなさん、私の話など終わった瞬間から忘れるでしょうから」と、忘れないでほしいことを3点ぐらいに絞った。それも自らの体験に基づいたことだから説得力がある。以下に紹介する。

 「私は結婚して35年。単身赴任で20年。子どもは6人いた(これは後述する)。今日終わったら、かみさんに会いに行くんです。鞄にはいつも非常時に備えてカロリーメイトなどを入れている。首都直下型の地震の確率は向こう30年で70%ですから、宝くじに当たるより、タクシーの運転手が事故を起こすよりはるかに確率が高い」

 「大事なのは自分の子どもなど大事な写真などを身に着けておくことです。工事関係者などは手袋に子どもの写真を縫いこんでおくことは気の緩みをなくすことにつながる。災害時には高齢者だけでなく、乳幼児が災害弱者になる。その一方で、中学生は体力もあり災害時には戦力になる」

 「私は500戸のマンションに住んでいるが、メールボックスに名前を表示しているのは私だけ。『山根弘美』ですから男だか女だか分からないので、管理人さんは『止めたほうがいい』という。これが現状。どこにだれが住んでいるか分からなければ災害時にどうなるか。福岡ではありえない話です」

 「災害時にマンション管理会社は当てにならないと考えたほうがいい。委託管理契約に災害時対応をする条項などないからです。これは別バージョンで考えないといけないこれからの課題」

 「これはまだ正式に決まっていないが、コミュニティ形成に成果を上げている事例を管理組合から募集して紹介する事業も行う」

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齊藤氏

 齋藤氏は学生さんにいつも講義をされているから当然と言えば当然だが、割り当てられた20分間しゃべり続けた。ほとんど息継ぎをしない。立て板に水とはこのことをいう。「私は無口なタイプですので、資料は多めにしました」と話したときは唖然とした。

 自らが居住する新浦安の例を紹介しながら、マンションは地震に強いこと、共助の管理組合がしっかりしていれば災害時に大きな力を発揮すること、顔を知る・助け合い・共同管理の3つのコミュニティが連動すればより強固なマンション管理ができることなどを話した。

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石川区長

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 石川区長は、「災害時には行政の力には限界がある。最後は人力。まちみらい千代田を窓口にして防災隣組を組織する」と語った。耐震補強については、「区の補助金で改修工事をして価値をあげても、固定資産税や都市計画税は都税だから、区民感情としては理解されない。税の仕組みも問題。また、個人の財産にどのように行政が支援していくか理論構築も必要」などと話した。

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 取材後、山根氏に「しゃべったこと記事にしていいですか」と尋ねたら、山根氏はポケットからネーム入りのボールペンを取り出した。「これぼくの死んだ子どもの誕生日。1988年7月25日です」「命日は1989年7月26日。生まれた翌年の翌日に死んだんです。10㎝しか水が入っていなかった浴槽に伝え歩きして入ったんです。だれも気が付かなかった。ぼくはこの子と二人分生きている」(記者は前職を辞めたとき、二人の女性からネーム入りの万年筆をもらった。最近、それを飲み屋でなくした。それでも10年以上使い続けたのは記録的だ)

 「そうなんです山根さん。住宅内での死亡事故で結構多いのは溺死なんです。だから、積水さんは溺死しない浴室のドアを開発したんです」(記者)「そう、そりゃ積水さんに負けちゃおれない。うちもちゃんと取り組まなくちゃ」(山根氏は大和ハウス工業の管理会社ダイワサービスの会長)

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飯田氏

積水ハウス 藤井瑛美氏が「建築・住宅技術アイデアコンペ」最優秀賞(2014/2/28)

 

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新社長に就任する池田氏

 旭化成ホームズは4月1日付で副社長の池田英輔氏が社長に、現社長の平居正仁氏が旭化成の副社長に就任する人事を発表しているが、3月24日、両氏が出席して記者会見を行った。

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 記者は会見の時間を間違ったため、新しい社長に就任する池田氏の第一声を聞き逃した。同社はこの日付で、台湾最大の民間企業グループと台湾での個人向け住宅の試作棟の建設を行うと発表したが、基本的には「方向性は変わらない」(池田氏)ようだ。

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 この日の会見でもっとも注目したのは〝企業は人なり〟-平居氏がどのようにして人を育ててきたのか、今後本体で担当する人事・総務などでどのような舵取りをするかである。

 記者は「これからの時代はいかに優秀な人材を確保するか、ユニバーサルデザインと同様、男も女も高齢者も身障者も働きやすいユニバーサル就労を目指すべきではないか」と聞いた。これに対して、平居氏は次のように語った。

 「考え方はシンプルです。みんなが交流を深めてどう目標に向かっていくか。これはトップダウンでできるものではない。みんなが作り上げていくものです。RBA野球も同じ。ミッションは1つ〝勝ち続けること〟です。これからも同様に応援していきます」

 同社は平居氏が社長に就任してからの4年間で売上を3割、利益を倍増させた。市況の追い風もあっただろうが、業績アップは「社員が育ったから」という声を内外から聞く。平居氏は「業績アップ? 記事にならないファクターが多い」とはぐらかしたが、「僕は会社にいたら仕事にならない」といつも現場に飛び、社員と交流を深めてきたのが実ってきたということだろう。

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 新社長に就任する池田氏について平居氏は「私はわがままだが、池田は堅実。自分の意見を持っているし、やりたいようにやってくれるはず。僕が抜けたら池田が社長になることはみんな分かっていたはず。既定路線。私は何年も前から考えていた」と紹介。

 池田氏は人柄やこれまでのエピソードを記者団から聞かれると、「ないんです。一日一日仕事をこなしてきたとしか言いようがない。営業マンとして働いていたときは、最初に契約を断られたお客さんから契約したこともありますが、どうして最初で契約できなかったかを考えるタイプです。劇的なことなどない。ドラマ作れない」と話した。

 この言葉こそ池田氏の真骨頂だ。話は変わる。記者は20年以上RBA野球大会で同社チームを見てきた。RBA野球は住宅・不動産・建設など業界を横断する野球大会で、毎年50チームくらい参加している。過去24年間に同社は11回優勝し、勝率は.862の最強チームだ。平居氏が人事担当の時に育てたチームだ。なぜ強いのか、一言でいえば〝フォア・ザ・チーム〟に徹しているからだ。断っておくが、選手の多くは全国レベルの優秀な営業マンだ。今の時代、野球やスポーツだけできる新卒などどこも採用しない。

 あるとき同社の選手が中堅前安打を放ち、走者を生還させた。「よかったですね」と声を掛けたら、「監督の指示はゴロを打てだった。間違いなく生還できたからだ。ライナーを打った僕のミス」と反省した。この選手と池田氏は同じことを話していると思う。

 この日、日本航空を再建した京セラ、KDDIの創業者である稲盛和夫氏は、60年に及ぶ経営者人生について朝日新聞に「経営の目的は、全従業員の物心両面の幸せの一点」と話している。

 分かりやすくてシンプルな経営哲学が大事だということではないか。

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池田氏(左)と平居氏

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完成した「千駄ヶ谷緑苑ハウス」

 築43年の旧耐震賃貸住宅(一部事務所)を耐震補強し、内外装や設備を一新するリファイニング手法を用いた分譲マンション「千駄ヶ谷緑苑ハウス」が完成し、3月22日、関係者に公開された。約140人が参加した。

 物件は、JR中央線千駄ヶ谷駅から徒歩3分、渋谷区千駄ヶ谷5丁目に位置する7階建て全17戸(事務所3/住戸13)。専有面積は30.50~86.12㎡。建設年は昭和45年(築年数43年)。事業者はハチハウス。設計・監理は青木茂建築工房(意匠設計)、金箱構造設計事務所(構造設計)。施工は山田建設。竣工は平成26年3月。

 建物は、道路を挟んだ北側に新宿御苑があり、屋上からは新宿のビル群や神宮外苑花火が眺められる好立地にありながら、旧耐震であるうえ間取り・設備の陳腐化が進んでいた。建物を建て替えずに先代から譲り受けた建物をそのまま残したいという意向を受けてハチハウスが物件を取得。

 改修にあたっては、耐震性能を向上させるため構造・計画上不要な部分を撤去して軽量化を図り、使い勝手や意匠を損なわないよう補強をバランスよく行い、北側や南側の開口部を大きく取る工夫を行っている。

 外壁は中性化対策としてタイルを使用。屋上は外断熱として緑化も図っている。防音対策としてはスラブ厚が120ミリだったため、遮音性能の高いフローリングを採用。設備計画では縦配管を共用廊下側に設置することでメンテナンス性を向上させた。

 建物の価値向上のために1,600ページに及ぶ補修個所の全数を記載した「家歴書」を作成。耐用年数は第三者機関の調査の結果、推定耐用年数は残り50年と診断された。耐震性の確保、建物の長寿命化、適法性の確保、商品競争力を確保したことなどで住宅ローンが借りられるようにもした。

 現在まで13戸が全て契約・申し込み済み。坪単価は290万円。

 設計・監理を担当した青木茂建築工房・青木茂主宰は、「リファイニングによる住宅の再生は、賃貸の再生、居ながらの再生、分譲の再生、賃貸から分譲への再生をこれまで行ってきた。金融も含めどのようなケースでも対応できるという意味で集合住宅の再生は完成した」と話した。

 ハチハウスのオーナー・岡本軍八氏は、「私は74歳。これまで50年間、不動産事業にかかわってきた。最後の仕事として社会に還元したいという思いで取り組んできた。当初予算は坪70万円と想定していたが、耐震補強費などがかさみ結果的には坪100万円になった。しかし、分譲単価は想定していた240万円から290万円に上昇しても、お客さんが商品性を評価してくれた。内覧会でみなさんびっくりしていた。〝死ぬしかない〟と思っていた建物がリファイニングによって生まれ変わり、十分採算に乗ることが実証できた。夢のチャレンジが成功した」と語った。

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岡本氏(左)と青木氏

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 「千駄ヶ谷 緑苑ハウス」については、工事中の段階でも記事にしているのでそちらも参照して頂きたい。百聞は一見に如かず。青木先生のすごさが分かった。デザイン力も素晴らしい。倉庫だった1階は天井高が4mあったことから、ロフト付きにし、耐震性を確保しながら開口部を大きくしたこと、梁やカーテンレールの部分はライティングを施し、最上階は外廊下部分を専有化するなどの工夫を凝らしている。リフォームや今流行のリノベーションとは全く異なるものだ。

 もうひとつ驚いたことがある。岡本軍八氏が登場したことだ。岡本氏については別掲の記事を読んでいただきたい。記者は9年前、岡本氏にお会いし、記事にもしているが、すっかり忘れていた。岡本氏には失礼だが、もう過去の人だと思っていた。岡本氏自身も「浦島太郎になっちゃった」とその時話している。

 昨年取材したとき「ハチハウス」はどこかで聞いたような気がしたが、ハチハウス・青木歩実社長が軍八氏の娘さんだとは全然思わなかった。「ハチ」はロッキード事件のハチのひと刺しか連想できなかったし、青木茂氏の娘さんかと思って質問したぐらいだ。軍八の「ハチ」を社名に使うなどやはり岡本氏は只ものでなかった。

 岡本氏は、「山田建設の山田社長は長いおつきあい。どこも工事を受けてくれなかったのに意気に感じてやってくれた。近く中堅のデベロッパー向けに説明会をやる」と意気込んでいた。すっかり旬が過ぎた岡本氏がよみがえったのが何よりうれしい。リファイニングは人間再生にも応用できるのか。

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梁の部分をライティング処理               屋上の緑化

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窓の外は新宿御苑                 倉庫だった1階部分の天井高は4mのロフト付き

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リファイニング事例のひとつ「清瀬けやきホール」のビフォー(左)とアフター(写真撮影は「イメージグラム」)

千駄ヶ谷のリファイニング建築に見学者300人(2013/11/12)

岡本軍八氏に久しぶりにお会いして(2005/3/3)

 

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