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「これからの『林業政策』を問う-林業基本法制定50年を振り返って-」(港区:石垣記念ホールで)

林家の平均年収は29万円 100haの大規模林家でも36万円

 大日本山林会は3月3日、「これからの『林業政策』を問う-林業基本法制定50年を振り返って-」と題するシンポジウムを行った。約120人が参加した。

 シンポジウムでは、東大大学院教授・永田信氏が基調講演を行ったほか、筑波大教授・志賀和人氏をコーディネーターに林野庁森林整備部長・本郷浩二氏、速水林業代表・速水亨氏、全国森林組合連合会代表理事専務・肘黒直次氏、九州大教授・佐藤宣子氏、筑波大准教授・立花敏氏、森林総合研究所関西支所チーム長・山本伸幸氏がパネリストとなってパネルディスカッションを行った。

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 「公益社団法人大日本山林会」の存在をある人を介して初めて知った。同会の案内書によると、設立は明治15年(1882年)。初代会頭・伏見宮貞愛親王殿下から現総裁・桂宮宜仁親王殿下に至るまで歴代総裁は皇族ばかりで、創立以来130年、わが国でもっとも長い歴史を持つ森林・林業団体だという。民間森林・林業の振興に寄与するのが目的だ。

 記者は他の取材と重なったため、途中からの参加だったが、会場の石垣記念ホールは満席だった。途中休憩はあったのだろうが、11:00から17:00まで6時間もぶっ続けで森林・林業の過去・現在・未来を関係者が論じ合ったのにびっくりした。

 シンポジウムも、コーディネーターとパネリストが語り合うというより参加者の質問に答える形で進められた。参加者は一家言を持つ人ばかりのようで、阿吽の呼吸という形容がぴったりのシンポジウムだった。

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志賀氏

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 森林・林業の現実については、これまで論じられているように高度成長期の木材需要が拡大する一方で、エネルギー革命、円高の進行による輸入材の増加と自給率の低下を招き、国産材価格の下落、林業就業者の減少と高齢化、伐採期に育っているのに赤字になるから伐れない、所有の空洞化などの危機的状況が浮き彫りされた。

 いかに深刻か。速水氏の報告から以下に引用しよう。

 「2002年から為替と自給率、木材価格が関係なく動いている」「『円さえ弱くなれば、世界の木材価格はゆっくりだが上昇しているのだから、国産材の下落も止まる』という期待が出来なくなった」

 「林業での生産拡大は今の時代は、思いの外レスポンスが良い。それに対して需要拡大は時間が掛かる。この時間的ギャップが林業経営をほとんど採算の合わない産業に変えた」

 「林家収入の下落は、いかんともしがたい。1990年までは面積が100~500ha層で5,934千円あり、高額ではないが専業でなければ、この収入は魅力的であるが、その後の下がり方はあっという間に100万円を切り、2005年には361千円である。これでは若者の月給である。2008年になると100~500haの林業所得は259千円で500ha以上でも217万1千円である。これらのことは全ての林業問題を包含した結果である」

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 森林・林業問題は、この前書いた「空き家」問題と根っこは同じだ。間違いなくこの20年間で何かが壊れた。記者が普及することを期待している「CLT」も強度は十分だが、接合部を強化しないと建基法を満たさないようで、実用化するにはまだ3年かかるという。速水氏のいう「時間的ギャップ」は埋まるのだろうか。

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左から本郷氏、速水氏、肘黒氏

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左から佐藤氏、立花氏、山本氏

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左から吉田氏、丸山氏

 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)が先月末に行ったメディア向けのセミナー「身近になった建築家との家づくり」に参加した。

 狭小・耐震・低予算など多様化する消費者のニーズに応えるため、建築家住宅をより身近なものにするASJの独自サービスが紹介され、建築家・吉田研介氏が自らの設計実例を交えながら「建築家との家づくり」について講演した。

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 同社は、これまで建築家に住宅設計を依頼するのは富裕層のみというイメージだったのを一般の人でも建築家に相談できるサービスを構築した。

 ①同社の審査をクリアした若手から著名な建築家まで全国の建築家約2,400名を登録②同社と運営契約を結んだ加盟店が設置した全国187カ所のスタジオを通じて年間570回(昨年)の「建築家展」などのイベントを実施してASJアカデミー会員を募集③会員は入会金3万円を払うことで建築家を選定・変更でき、納得できるまで何度でも無料でプランニングやコストについて打ち合わせできる-というのが特徴で、独自に開発したITソフト「COSNAVI」が売りだ。

 「COSNAVI」は、これまで7日~10日間くらいかかった積算を3時間くらいで完成させることができ、図面に沿って寸法などの基本情報を入力するだけで自動計算され、見積書、仕上げの変更も自由自在にできるという。

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 同社は今年2月、5年以内に家づくり・住宅購入を検討する全国の男女516人を対象に「建築家との家づくり」についてアンケート調査を実施。これによると、予算ボリュームゾーンは4,000万円未満で、理想の住宅トップは「建築家が建てた家」の39.7%だった。

 一方で、「建築家との家づくりに不安がある」人も48.1%に達し、「不安がある」と答えた人の不安要素は「費用がかかる」というのが69.8%で、「どんな建築家に依頼すればいいかわからない」が49.2%と高い数値を示した。

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 同社のビジネスは、「建築家の住宅」が理想ではあるが、「設計料が高そうで不安」という難問を「ニュートラル」な立場で解決しようというものだ。セミナーに出席した同社・丸山雄平社長は、イベントを今年は600回くらいに増やし、加盟店を近い将来300店に増やすと話した。会員数は現在3万人。

 同社のホームページには2,400人を超える建築家が紹介されており、受賞歴などのプロフィールや作品、コメントなどが検索できるようになっている。

 そこで考えた。作家や画家、アーティストなどは一つの作品を見れば作風が分かるし、好きか嫌いの判断も容易だが、建築家は難しい。建築家も施主(ユーザー)に媚びるようなことはしないだろうが、施主の要望に応えるのが建築家だ。大勢の建築家の中から自分に合う建築家を選び出すのは大変な作業になるのではないかと。その場がイベントなのだろう。機会があったら取材したい。

 

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「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」

 三菱地所レジデンスは3月3日、中央区晴海の大規模タワーマンション「ザ・パークハウス晴海タワーズ クロノレジデンス」が竣工したのに伴い竣工見学会を報道陣向けに行なった。全883戸のうちモデルルームとして使用していた3戸を除く880戸が完売しており、これからは隣接する「ザ・パークハウス晴海タワーズ ティアロレジデンス」(861戸)を本格的に分譲する。

 物件概要などについてはこれまで何回も書いてきたのでそちらを参照していただきたいが、予想していた通りレベルの高いマンションだ。

 記者がもっとも注目していた世界的な建築家リチャード・マイヤー氏による外構は、まだ完成したばかりだったので完成形にはほど遠かったが、エントランス部分の池などはさすがだ。

 プロの料理人の総合監修によるキッチン&パーティースタジオやキッズルーム、フィットネスルーム& ゴルフレンジ、ゲストルームなどの共用部分も充実している。約50㎡のゲストルーム(スイート)は1泊3,500円だが、「宿泊料」として徴収すると旅館業法に抵触するので、リネン料金として徴収するのだという(これまで取材してきたマンションはすべて宿泊料ではなかったか)。防災備蓄倉庫は50㎡くらいある広さで、自転車、リヤカーなども備えられていた。各フロアに防災倉庫も併設されている。

 モデルルーム住戸は南向き74㎡で6,688万円(坪単価299万円)。最上階の特別仕様の81㎡が7,998万円(坪単価326万円)。全体の平均坪単価は275万円。

 「ティアロレジデンス」は120戸が成約済み。今後分譲する価格については明らかにされなかった。

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マンションエントランス部分の外構(左)と隣接する建設中のマンション(その奥が豊洲)

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 このマンションが分譲される前、記者は坪単価は300万円をはるかに突破すると見ていたが、2016年のオリンピック招致に失敗、物件のナビゲーターに起用されたプロゴルファー石川遼選手がその直後から勝てなくなり、そして東日本大震災に見舞われたことなどが重なり、単価は結局275万円に落ち着いた。

 2020年のオリンピック誘致が決まったことで人気を取り戻すのは必至だが、いったいいくらになるか。同じ晴海地区の大規模ツインタワーマンション住友不動産「ドゥ・トゥールキャナル&スパ」も現段階では価格は公表されていない。

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エントランスホール

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 三菱地所レジデンスのマンションの隣接地では三井不動産レジデンシャルが大規模マンションを予定しているが、こちらは詳細が決まっていない。対岸の「ららぽーと豊洲」まで直線で500mくらいだそうで、関係者からは「三井さんは橋を造るのではないか」という冗談が飛び交った。

 橋はともかく、往復する船の運航はあり得ない話ではないと思う。住民はもちろん、都もそれこそ「渡りに船」ではないか。実現したらマンションの単価を大幅に引き上げる要因になる。

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防災備蓄倉庫

住友不動産 晴海のツインタワー「ドゥ・トゥール」来春分譲へ(2013/11/22)

オリンピック招致決定 三菱地所レジデンス「晴海」に予約殺到(2013/9/9)

三菱地所レジデンス 全1744戸の「晴海」 2棟目の「ティアロ」分譲(2013/5/30)

三菱地所レジデンス・鹿島建設「ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンス」(2011/12/6)

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「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」

 国土交通省は2月28日、第5回目の「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を開き、「報告書(案)」を取りまとめた。

 「検討会」は、全国の空き家が約760万戸(平成20年)に及び、そのうち個人住宅が約270万戸を占め、防犯・防災・衛生・景観など環境面でも地域の大きな問題となっていることから、質の高い既存の住宅ストックを活用した賃貸流通や住み替えの促進を図るため、所有者、利用者、関係事業者、行政などの当事者に向けて、先進的な取り組み事業や契約の枠組み(ガイドライン)を整備する方策を検討するもの。

 「報告書(案)」では、一定水準の賃料を得られる都市型と、賃料水準の低い所有者が修繕などの負担を追わずに、貸主が自費で模様替えなどができるDIY型の3パターンが示された。

 また、当然のことながら、「単に住宅の視点のみならず、子育てや雇用、福祉等の公共サービスを含め、総合的な地域経営の観点から、地域の活性化に取り組むことが求められる」ともしている。

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 住宅数が世帯数を上回ったと発表されたのは昭和48年だ。その後、空き家は一貫して増え続け、平成10年には10%を超えた。記者は賃貸経営は疎いが、空き家率が10%を超え、その後も増え続けるとすればやがて経営は成り立たなくなり破たんするのは目に見えている。平成20年の賃貸住宅の空き家率は18.8%というから危機的な状況にあるのだろう。

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 「検討会」では、不動産業界の代表側から「物件が出てこない」という声が聞かれた。記者はわが耳を疑った。全国に760万戸も空き家があるのに、どうして民間の不動産業者に物件が出てこない=流通しないのか。そんなはずはない。

 「物件が出てこない」のではなく、不動産業者に空き家を流通させる能力、ノウハウがないのだと思う。外国人居住を増やそうというのが国策である現在、いまだに戦前の商行為「礼金」を、「KARAOKE」「TENPURA」「TSUNAMI」のようにそのまま「REIKIN」として通用するとでも考えているのだろうか。まず、このような「前近代的」な姿勢を改めないと、不動産賃貸業の将来はないのではないか。

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 記者は一昨年の夏、限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地を取材した。昭和37年から同44年にかけて東京の開発業者によって開発された2団地合計の開発面積が約17万㎡で、総戸数1740戸。1区画あたりの平均面積は約20坪から約27坪というものだった。

 訪れたのは30年ぶりだったが、限界集落になっているという確信があった。最初は実名をあげるつもりで書いたが、直前になって匿名にすることにした。反響が怖かったからだ。

 しかし、この団地の例は極端ではあるが、どこの郊外団地でもやがて直面する問題だろうと考えている。空き家問題というよりは、もっと深刻なコミュニティ・街の崩壊の問題だろうと思う。

 そうした難問に「検討会」はどのような解決策を打ち出すのだろうと期待していたのだが、「検討会」の主旨はそうではなかった。冒頭の通り、空き家の賃貸借契約のガイドラインを示すことに主眼が置かれていた。

 国交省住宅局住宅総合整備課長・里見晋氏が「空き家対策については法制化が検討されており、市町村計画で調査を進めているところもあるが、この検討会は定住促進のために行っているわけではなく、空き家を活用して流通の仕組みを整備することにある。この問題はゼロサム(ゲーム)と一緒だ。市場性のない劣悪なものはシュリンクしていく。一方で、いいものもある。それを発掘し、資金面などで問題を抱えている子育て世代などを支援することで流通するようにしたい。完成形として世に問いたい」と話した通りだ。

 空き家問題は喫緊の課題だが、小手先の対策では解決はしない。街を再生するビジョンが必要だ。

限りなく限界集落に近い首都圏の郊外団地 人口4割減 55歳以上の人口比率は48.7%(2012/2/27)

 積水ハウスは2月27日、建築研究開発コンソーシアム(CBRD)主催の「第11回 建築・住宅技術アイデアコンペ」で同社が提案した「子どもの安全配慮に関する研究」が最優秀賞に選ばれたと発表した。

 研究をまとめたのは同社技術部の藤井瑛美氏で、ユニバーサルデザインの視点から、住宅内の子どもの事故防止のためのプラン提案、部材・設備などの提案を行ったのが評価された。

 受賞について同社は、「女性ならではの視点も評価されたのでは。2月より『ダイバーシティ推進室』を設け、女性を中心に多様な社員の活躍を目指す中での受賞」とコメントしている。このテーマについて約1年間、社会に還元できる具体的成果を目指して合同研究を行うという。

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 同社のユニバーサルデザインの取り組みは業界では抜きんでており全産業を通じてもトップクラスだろうと思う。しかし、藤井氏も指摘しているように、小さなこどもの事故防止については盲点となっているのも確かだろう。記者も風呂場での溺死が相当あるのに驚いた。研究成果の発表を待ちたい。

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 同社は2月に「ダイバーシティ推進室」を設置したようだが、記者もこれから「ジェンダー」について勉強しようと思う。

 2月15日に行われる予定だった日本学術会議のセミナー「法の世界とジェンダー 司法と立法を変えることはできるのか? 」を楽しみにしていたのだが、大雪で急きょ中止になり参加できなかった。32ページにもわたる資料だけは頂いた。

 そこには、報告を行うことになっていたお茶の水大学名誉教授・戒能民江氏の「立法は政治的意思の欠落を隠蔽する。政治的意思の欠落と結合した弱い法律は、法の効果そのものを蝕む」(国連女性に対する暴力特別報告書クマラスワミ)「新しい理論形態は『顔面を殴るこぶしという現実に関与する』」(マッキノン2005)などの鋭い文言・語句が満たされていた。

 記者が一番注目したのは、ある大学の履修科目「ジェンダーと法」の最終回授業(15回目)では「男らしさと女らしさ」を論じるとあったことだ。男を自覚するようになって60年、記者はこのテーマの解答が分からない。

 それを知りたくて、上野千鶴子氏と角田由紀子氏のそれぞれの近著を買った。同世代の作家、小池真理子氏は「私には両性具有の眼がある」と語ったが、やはり小池氏は素敵な女性だと思う。ミミズやカタツムリを研究するほうが手っ取り早いか。

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「ヴェレーナ大宮大門町」完成予想図

 日本綜合地所が3月に分譲開始する「ヴェレーナ大宮大門町」を見学した。大宮駅から徒歩5分と近く、スーパーマーケットチェーンの㈱マルエツとの共同事業マンションで、単価もリーズナブルだ。

 現地は2017年竣工予定の「大門町2丁目中地区再開発エリア」に近接しているのが最大の特徴。再開発計画の詳細は未定だが、ショッピングモール、公共公益施設、大小のホールなどが予定されている。

 最寄り駅となる大宮駅は14路線が乗り入れをするビッグターミナル。マンションが立地するエリアは大宮駅前から広がる商業地域だが、現地から先は氷川神社の参道に向けて住宅が増えていく地域。建物は14階建て、1、2階は24時間営業を予定しているマルエツとなり、住居部分は3階以上の全48戸(非分譲4戸含む)。全住戸が間口8m以上のワイドスパンとなる。

 物件は、さいたま市大宮区大門町三丁目に位置し、専有面積は65.00~70.15㎡、第1期の価格は3,990万円台からで坪単価は220万円前後になる模様。竣工予定は2015年1月下旬。施工は風越建設。

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 同社の「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」を見学したとき、この物件のおおよその概要を聞いて坪単価220万円を予想した。

 大宮駅から徒歩5分、中規模物件、商業地域の住環境、このエリアでの同社の知名度などを総合的に判断して予想したが、モデルルーム、現地周辺を見て坪単価250万でもいいのではと思うほど割安感があると思った。

 大宮駅東口は駅前から商店街が広がっていて駅から徒歩5分圏内のマンションは希少性がある。

 敷地形状は南北軸に長く配棟は東向きとなっていて、中層階以上からは氷川神社の参道も眺められる。商業地域の立地だが、住宅地エリアに向いていることもあり日照も確保されている。専有面積は最大でも約70㎡だが、全住戸8m以上のワイドスパンで廊下面積を圧縮し居住性を高めているのも評価できる。

 大宮区を中心に告知を行っているようだが、竣工は1年先であり、現在は同エリアでの競合物件も少なく早期の完売が期待できる。

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モデルルーム

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「帰宅困難者」受付風景

 三井不動産は2月27日、今後予想される首都圏直下型東京湾北部地震(M7.3)を想定した帰宅困難者受け入れ訓練をテナントなどとともに日本橋「江戸桜通り地下歩道」で行った。

 訓練は昨年4月に施行された帰宅困難者対策条例に基づき中央区の要請により、江戸桜通りの地下歩道での帰宅困難者の受け入れを決定し、ゾーニングから受け入れ態勢の整備、非常用備品の配布など一連の流れを実施した。

 中央区のモデル事業としても実施されたもので、参加者は三井不動産の社員、テナント企業、中央区など。スタッフ20名を含む180名が参加した。

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訓練開始時の三井不動産スタッフによる説明

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 この種の訓練を見学するのは初めてだった。地下歩道は三井不動産など事業者が整備し、管理は区が行うもので、広さは約3,000㎡。帰宅困難者約1,800人を収容可能。非常食やトイレを整備、災害時には約450人が3日間利用可能な水槽を設置している。非常用の自家発電も完備しており、停電時でも3日間電源が確保されている。

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 帰宅困難者に扮した若い女性に声をかけたら、「自家発電? 知ってますよ。3日間大丈夫と聞いています」と答えが返ってきた。びっくりしたが、「三井さんの社員でしょ」と聞いたらその通りだった。

 帰宅困難者には1人分約1畳分のシート、四角い座布団のような断熱クッション、金銀のアルミシートが配布された。アルミシートはサイズ約210×130で、金色は吸熱、銀色は断熱効果がある。「MADE IN CHINA」だった。

 避難場所は禁煙だが、酒については、お巡りさんが「本人の判断に任す」と話した。もちろん参加者は勤務中。酒など飲む人はいなかった。

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金銀のアルミシートで体をくるむ参加者「結構あったかいですよ」

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災害情報も刻々と伝えられた

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「江戸桜通り」の地下歩道

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「スカイティアラ」完成予想図 

 住友不動産は2月27日、記者見学会を行い、板橋区・志村坂上の大規模マンション「スカイティアラ」のモデルルームを3月1日にオープンすると発表した。ガラスをふんだんに採用し、白と黒のデザインが美しいマンションだ。

 物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩8分、板橋区小豆沢一丁目な位置する敷地面積約16,000㎡の19階建てウエスト棟(456戸)と13階建てイースト棟(165戸)合わせ全621戸の規模。専有面積は57.20~88.40㎡(平均74㎡)、価格は未定だが坪単価は230万円の予定。完成予定は平成27年4月中旬。設計・施工は大林組。敷地はアステラス製薬の工場跡地。

 総合設計制度の適用を受け、広大な敷地内に提供公園を含めた4つの公園を配し、約1,000本の樹木を植樹。

 外観はモノトーンのタイルとガラス手すりのバルコニー、ガラスカーテンウォールで構成。黒や白のマリオン、サッシ枠を巧みに取り入れることでデザイン意匠に工夫を凝らしているのも大きな特徴。最上階は「ティアラ」にふさわしくガラス貼りとしている。

 共用廊下には同社独自のメーターや室外機を外廊下側に設けたシャフトに格納する「S-マルチコア」を採用。天井高は標準階で2,550ミリ。好みの間取りやインテリアカラーが無償で選べるカスタムオーダー対応とする。

 昨年11月から告知を開始しており、これまで広域から約2,000件の問い合わせがあるという。

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最上階の住戸部分

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 物件名に「TIARA」を冠し、〝光景(シーン)となる象徴(シンボル)〟をうたい文句にしているように外観のデザイン意匠に力を入れている物件だ。特に北側の表情が美しい。

 記者の知る限りこれまで物件名に「ティアラ」を付けたマンションは、大成有楽不動産・平和不動産「ティアラシティ」(松戸市、2000年竣工)とタカラレーベン「ティアラの丘」(八王子市、2009年竣工)がある。「ティアラ」が美しいのは何と言ってもオリックス不動産「ダ・タワーズ台場」(港区、2006年竣工)だ。

 「ティアラシティ」はオードリー・ヘップバーンをイメージ・キャラクターに採用した最初のマンションで、マンションに「ティアラ」があったわけではなく、「ローマの休日」のティアラ姿が広告の前面に押し出されたものだった。外観はベージュ・アールを多用していた。

 今回のマンションは今までの「ティアラ」を冠したマンションと比べてもひけはとらない。むしろ「白と黒」のデザインに記者は惚れ込んだぐらいだ。後姿がとくにいい。シアターでは、商品企画を担当した同社製品企画室シニアエンジニア・山田武仁氏が数分間にわたって物件に込めた「想い」を語っていたのが印象的だった。

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 坪単価は予想していた通りだった。坪250万円を超えてくると準都心部でも販売は苦しくなる。これくらいの単価設定が楽ではないがサラリーマンに手が届く価格帯だ。

 山田氏のシアターでのトーク・出演料を単価に置き換えると1万円/坪の価値はあると思うがどうだろう。ご本人は安すぎるというだろうか。山田氏は間違いなく同社の名物男だし、これ以上ない宣伝マンだ。

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販売事務所に設けられている模型

「シティテラス加賀」 住友不動産・山田氏、商品企画を熱く語る(2013/12/11) 

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三枝氏

 東急不動産社長に業界最長身183cmの三枝利行氏-東急不動産ホールディングスは2月26日、東急不動産社長に東急不動産ホールディングス取締役で東急不動産取締役常務執行役員・三枝利行氏が、東急コミュニティーの新社長には同社取締役で東急不動産取締役副社長・岡本潮氏が4月1日付でそれぞれ就任すると発表した。金指潔・東急不動産社長は会長に、中村元宣・東急コミュニティー社長は会長にそれぞれ就任する。

 三枝氏は1958年生まれの55歳。東京都出身。青山学院大卒。身長は183cmで、これまでの大手デベロッパーの社長としては断トツの長身社長になりそうだ。

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三枝氏(左)と岡本氏

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 社長交代のニュースは、同日、ザ・キャピトルホテル東急で行なわれた恒例の東急不動産ホールディングスグループ記者懇親会でもたらされた。記者は会場をセルリアンタワーだと間違えたために、金指潔・東急不動産ホールディングス社長の話を聞きそびれたが、金指社長は準備万端、ずっと以前からこの日を発表の日と決めていたのではないか。

 懇親会の締めで挨拶した東急リバブル・中島美博社長の言葉がそれを裏付けた。中島氏は「わが社の業績は他をしのぐ勢い」と話し、「ホールディングス体制に移行して5カ月、当社グループは化学反応を誘発している」と、経営陣の若返りを「化学反応」に例えた。足し算でも掛け算でもない、さらに高いステージへ止揚する意味と受け取った。

 大手デベロッパーの社長就任年齢としては、昨年52歳で就任した住友不動産・仁島浩順氏や、故・安芸哲郎氏が東急不動産の社長に就任したのは53歳だったようなので、両氏には及ばないが、三井不動産・岩沙弘道会長(72)が社長に就任したのは56歳だった。

 年齢もさることながら、三枝氏の身長は、同社はもちろん同業他社の歴代社長と比較しても断トツの高さだろう。長身の社長としては三菱地所の元社長・高木丈太郎氏や東京建物の現社長・佐久間一氏などを思い浮かべるが、せいぜい170cm台だろう。他の社長は縦糸より横糸のほうがはるかに目立つ短身メタボの方が多数派を占めている。

 三枝氏は圧倒的な背の高さと若さで「化学反応」を進め、業界に旋風を起こすか。金指社長は三枝氏のフットワークの良さにほれ込んだそうだ。

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左から金指氏、三枝氏、岡本氏、中村氏

 建築工事費の上昇、職人不足は深刻の度を増しているが、その影響はマンションの広告にも表れている。施工会社が決まらず、物件概要に「未定」とするものが散見されるようになってきた。そのような「広告」を見るにつけ、デベロッパーの苦悩が伝わってくる。

 広告の開始時期の制限を定めた宅地建物取引業法第33条には、「宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法第29条第1項又は第2項の許可、建築基準法第6条第1項の確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ、当該工事に係る宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をしてはならない」とあるが、この規定には施工会社を明記しなければならないとはなっていない。

 つまり、施工会社が決まらなくても広告は打てる。不動産広告の自主規制団体、不動産公正取引協議会では「好ましくはないが違反ではない。施工会社が決まっていないマンションを消費者がどう判断するか」(首都圏)「厳密に言えば違反だが、諸事情があり『予告広告』の段階では未定でも認めている。本広告の段階ではきちんと明記するよう指導している」(近畿地区)としている。

 記者はマンションの施工会社も設計・監理会社も極めて重要な選択肢の一つだと思うが、やはり一番重要なのはデベロッパーの姿勢だ。施工がどこであっても、「これが当社のマンション」と自負できるようなブランドを目指すべきだ。

 とはいえ、施工会社が分からない(そもそも設計会社も監理会社も管理会社も広告で表示する義務はない)マンションの購入を検討する人はどれくらいいるだろうか。施工や設計、監理、管理がどこであるかも重視されるのが本来の姿であると思う。

 

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