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 大和ハウス工業は2月3日、2024年度以降に着工するすべての新築分譲マンション「プレミスト」をZEH-M仕様にすると発表した。同社は、2022年5月に公表した「第7次中期経営計画」で、2026年度に分譲マンションのZEH-M比率を100%にする目標を掲げているが、その開発・販売態勢が整ったことから、2年前倒しして採用するもの。

 同社は2018年からZEH-M仕様マンションの開発を開始しており、これまで全国で15物件を竣工。全体に占める割合は2022年度には76%(予定)に達している。

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 同社のZEH-Mマンション比率が2022年度で76%(予定)に達していることなど全然知らなかった。知らなかったのは、首都圏での物件は「プレミスト平和台」(2021年竣工)しかないのも理由の一つだ。この物件は最高に素晴らしかった。コロナが怖く、恐る恐る取材したのを思い出す。

 首都圏で供給されているマンションのZEH-M比率はどれくらいだろうか。20%もないはずだ。圧倒的少数なので、このZEH-Mのよさを消費者も知らないだろうし(記者が取材した約30物件はほとんど完成までに売れているはずだ)、ZEH-M仕様でなくとも販売面でマイナスにはならないだろうが、数年後には当たり前になる。そうでないと消費者から見放される。根雪のように残る。

 その意味で、同社は一歩先に出た。主要な住宅・不動産業界では、ほぼ100%近いと思われるオリックスグループや積水ハウスなどとともにトップクラスではないか。住友不動産も2021年9月、同社が分譲するすべてのマンションをZEH-M仕様にすると発表している。

大和ハウス工業「平和台」 同社初の「ZEH-M Ready」 申し込み殺到 早期完売へ(2020/9/15)

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タイトルに目を奪われた。「齊藤ひろ子+浅見泰司 編著 タワーマンションは大丈夫か?!」(2020年、プログレス)だ。いかにも売らんかなの、策略が透けて見えるこの種の書籍を記者はほとんど読まないのだが、業界関係者なら知らない人はいない横浜市立大学国際総合科学部教授・齊藤ひろ子氏と、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授・浅見泰司氏の最強の二人が手を組み、定義・概念はあいではあるが、学者風に言えば人口に膾炙する「タワーマンション」を俎上に載せ、「大丈夫か」と疑問を投げかけ、おまけに学術論文ではまずありえない「?!」の疑問符感嘆符が付いている。全296ページで値段3,500円(税別)が高いか安いか分からないが、お金もないので図書館で借りて読んだ。タイトル通り、残ったのは「?!」だった。誰に読ませたいのか。

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年のせいなのか、馬鹿だからか、多分両方だからだろう。のっけから躓いた。肩透かしを食らった。書籍のまえがきの冒頭は「区分所有型のタワーマンションが増加している。タワーマンションとは、建築基準法に従い概ね高さ60m以上、そして階数にして20階上のマンションをさしている」とあった。

これはないと思った。建基法第20条は「高さが60mを超える建築物 当該建築物の安全上必要な構造方法に関して政令で定める技術的基準に適合するものであること」と定めているが、これがタワーマンションであるとか超高層建築物であるとかは規定していない。

記者は昭和60年代の初め、「超高層マンション」の記事を書いた。東京都やUR都市機構、三井不動産などの「大川端リバーシティ21」の開発が開始され、従来の物差しでは計れないマンションが続々供給される気配を感じたからだ。定義を調べるために日本建築センターに取材したのだが、定義はなく18階以上だとか20階以上だとか聞いた覚えがある。

その後、20階建て超の「超高層マンション」は主流になったが、デベロッパーが固有名詞の物件名に「タワー」と名付けない限り、記事に「タワーマンション」と書いたことはない。記事は正確でなければならない。定義のないものをそう呼ぶには抵抗がある。〝駅近〟もそうだが、業界関係者が〝タワマン〟と呼ぶのも何だか下品に聞こえ、ほとんど使わない。

広辞苑には、「超高層建築物」とは「1963年、31m以上の高度制限が撤廃された後に出現。15階建て以上の建物を指したり、100m以上の建物を指したりすることが多い」とある。記者も100m以上(概ね30階建て以上)とするのが適当ではないかと考えている。

そもそも「タワー(塔)」とは何かという基本的な問題もある。建築史だけでなく幅広い文筆活動をされている河村英和氏は、その著書「タワーの文化史」(2013年、丸善出版)で「『タワーらしさ』とは、それ自身の高さという物差しのみで測れるものではない。高層ビルが密集せず、周りのビルも高くなくてせいぜい四~五階建て、そんな1970年以前のような昔さながらの高さの建物が主流の土地に、唐突にニョキッと一本、さらに際立って高い建物が君臨すれば、瞬時に周りと差別化され、ある種の異質感が出てくる。たとえその塔らしきものが世界のタワーランキングを競うどころか、全く高層建築の部類に入らないものだとしても、その地域ではタワーらしさを演出することは充分可能だ。よって高さが30メートルにすら及ばなくても、周りの建物が低層階のものばかりの場所なら、それは立派にタワーとなりうるのである。…つまり、周りの環境次第で、ある一定の高さを持った塔上の物体は、タワーになりやすくなったり、なり難くなったりする」(まえがき)と述べている。

至極もっとも。建基法でも「低層」「中層」「高層」「超高層」とは何かについて定義していない。高さだけでなく、規模との関係で「中小・大規模」と判断する指標が示されていることと関連する。高いとか低いとか、大きいとか小さいとか、これは文化によっても違い、歴史とともに変化もする。法律はそのような変化を見越して100年、200年耐えられるものにしているのだろう。

なので、齊藤氏や浅見氏ともあろうものが20階建て以上を「タワーマンション」と呼ぶのに違和感を覚えるし、どうして「超高層マンション」にしなかったのか、さらにまた、マンションが抱える問題は基本的には高さに関係はないので「マンションの将来は大丈夫か」ともすれば、インパクトはもっと強かったのではないかと思う。

まあ、これはさておき本題。かく言う小生も、この10年間で「タワー」のワードが付く記事を616本書いてきた。全てがマンションではなく、同じタワーマンションを何度も取り上げている記事もあるので、どれくらいの「タワーマンション」を見学取材したか分からないのだが、いかに多く供給されているかの証左にはなる。

記事の中から20階建て未満の「タワーマンション」を年代の古い順に列挙する。

「ライオンズタワー片瀬江ノ島」(15階建て、1998年)
 「レーベンリヴァーレ中板橋ヴィーナスタワー」(13階建て、2010年)
 「プラウドタワー本郷東大前」(19階建て、2010年)
 「横濱MIDベース タワーレジデンス」(18階建て、2017年)
 「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」(17階建て、2021年)

かなりヒットした。首都圏不動産公正取引協議会の不動産広告に関する自主規約「不動産の表示に関する公正競争規約」にも抵触しない。定義がないのだから当然だ。いずれの物件とも周辺に高い建物がないからそう付けたのだろう。

記者は、「タワー」が付くマンションの嚆矢は黒川紀章の今はない13階建て「中銀カプセルタワー」(1972年)ではないかと思うがどうか。業界では住友不動産の21階建て「与野ハウス」(1976年)が第一号と言われている。記者が強烈な印象として残っているのはオリックス不動産他の58階建て「ザ・東京タワーズ(THE TOKYO TOWERS)」(2008年)だ。

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各章・各論に移る。それぞれ丹念なフィールドワークに基づいた指摘もある。摂南大学理工学部建築学科教授・大谷由紀子氏の「タワーマンションは子育ち・子育ては心配ないのか? 」には胸を衝かれた。

私事だが、小生と妻はバブルが発生する前、UR都市機構の昭和30年代築の賃貸マンションでは2人の子どもを育てるのは難しいと判断し、新築マンションを購入した。入居前のチェックを済ませ、いざ引っ越そうとしたときだ。家族が寝静まり、一人で酒を飲んでいたら、小12年の長男が夢でも見たのか突然起き出し「お父さん、引っ越し嫌だ。友だちと別れたくない」と号泣した。

これには負けた。手付金を放棄してキャンセルした。その直後、バブルは発生した。マンション価格は暴騰した。

それから56年後だ。轍は踏まないと上の子が中学に、下の子が小学校に上がるのを待って、多摩ニュータウンの中古マンションを買った。バブル絶頂期の平成2年だ。駅から徒歩16分だが、多摩ニュータウンは完全に歩車分離の街づくりが行われており、東南角の専用庭付き1階が決め手だった。現地は見なかった。見なくともURの性能は分かっていた。

価格は、手付放棄したマンションより2倍以上に跳ね上がっていたが、ローンは株や原稿料などアルバイト代で返せるのではないかと過信した。みんな狂っていた。

元に戻る。大谷氏は、大阪市内のタワーマンション居住者調査で、購入した理由の第一は「駅に近い」ことで、子どもがいることで配慮したことは「保育所、学校、病院などが近い」と報告し、「子育て世帯のなかには通勤・通学・通園の便利がよく、治安がよければ、必ずしもタワーマンションでなくてもよい人が一定割合いるのではないかと推測できる」と喚起している。一定割合の層の一人が小生だ。

大谷氏は、「子どもが育つ環境は物理的環境のみならず、教育、福祉、保健、医療、情報、経済、人的リソースなど、本来は子どもを取り巻くすべての環境を含む」としながら、タワーマンションが抱える課題として①生理的・心理的問題②行動、母子、発達の問題③犯罪、事故の問題④災害、緊急時の課題を指摘。そして、「願わくは、子どもの有無にかかわらず、社会全体が子どもの視点に立って住環境を考えてほしい。子どもは生まれてくる家庭を選ぶことができないだけでなく、『自分で住まいを選ぶことができない』のである。都市の未来をつくるのは子どもだからこそ、安全で、健やかな生育環境を整えるのは『大人の責任』であり『社会的責務』である」と喚起している。

おっしゃる通りだ。国もデベロッパーも子育ち・子育ての視点から都市計画を考えてほしい。

一つだけ、言わせていただくと、先生、大阪は分かりませんが、分譲価格が高騰している都内では子どもだけでなく、普通の世帯も住宅を自由に選択できる余裕はありません。23区では20坪で7,0008,000万円もします。

齊藤氏の「タワーマンションは管理不全になりやすい? 」は、タイトルに「? 」が付いているように、必要な対応策を講じれば管理不全に陥らないと言外に匂わせている。行政の関与、代執行、第三者管理などを含め「地域として適正に維持することが社会的に必要であるという考え方を広めていく必要がある」と述べている。

AGデザイン代表取締役・関栄二氏の「タワーマンションでは修繕費が割高? 」の章で、関氏は「タワーマンションという理由で、外壁を中心とした修繕計画の費用が高くなることはない」としているのも注目できる。他の著者とはやや異なった見解を示している。

大谷氏、齊藤氏、関氏と打って変わって、激論を展開しているのがstudio harappa代表取締役・村島正彦氏だ。「タワーマンションは廃墟化するか? 」の章で、「私のたどりついた結論から述べると、『タワーマンションは廃墟化する』となる」と断定し、「超高層マンションが築年数を重ねていくうちに、価値や魅力を減じて住まうことが忌避されるだろう」「筆者は、築後4550年を超えたマンションで、幸せな将来を見通せているものを残念ながらほとんど知らない」「タワーマンションという形態は、100年を視野に入れて総合的な見地に立てば、サスティナブルな住宅ストックとしては、リスクの高いものと結論づけられる」と主張する。

一寸先は闇の世の中だ。この先、何が起きるか誰も分からない。どのように未来を描こうと村島氏の勝手だ。一つひとつ反論はしないが、東京都の「特定街区」制度でマンションとしては唯一の認定を受けた、第一種低層住居専用地域に位置する1981年竣工の12階建て住友商事「成城ハイム」(200戸)の中古価格は、今でも分譲時価格を上回っているはずだ。1982年分譲開始の「広尾ガーデンヒルズ」(1,181戸)は、バブルの波に翻弄(最高値は坪3,000万円、最安値は坪300万円)されたが、こちらも現在の中古価格は分譲時価格を上回っている。探せばこのような事例は他にもあるはずで、村島氏が知らないだけだ(知らないのは罪ではないが)。

村島氏は重大なミスも犯している。「乱暴な仮定」としながら、「同じ広さの住戸が超高層・通常のものについて、既往のデータから管理費・修繕積立金の平均的な単価」から計算したとして、同じ築年数30年、広さ75㎡、中古価格3,000万円の超高層マンションと14階のマンションの管理費・修繕積立金を比較、月々に支払う「管理費・修繕積立金」は超高層のほうが約1.7倍(年額261,000円)高いとしている。

築年数、広さ、価格(坪単価132万円)とも同じで、超高層と普通の高層マンションの「管理費・修繕積立金」の額がこれほど異なる事例など、村島氏の言を借りれば、小生は残念(幸か)ながら知らない。(個別案件で、最高と最低レベルを比較したらあるかもしれないが)。村島氏はこの数値をはじきだした元データを示すべきだ。

専門外だから許せるのだが、浅見氏も〝無知〟ぶりをさらけ出している。前出の齊藤氏、弁護士の戎正春氏、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授・大月敏雄氏との座談会で、浅見氏は「(タワーマンションは)窓を開けられなくて密閉性が強いことが多いと思います」「洗濯物は外に干せませんよね」と話し、大月氏にやんわりと否定されると「でも、しょせん部屋干しになってしまいますよね」と反論する。大月氏は、これに対しても「外で洗濯物を干すことを嫌がる人も増えています」と答えている。

浅見先生、タワーマンションだけでなく普通のマンションでも、最近は24時間換気です。洗濯は部屋干しが当たり前です。ご家族の方に聞いてみてください。超高層から靴下やハンカチ、下着が落下しても下にいる人に怪我をさせることはないでしょうが、ものによっては凶器になります。忙しい主婦(主夫)は浴室乾燥機か、部屋干しにしてエアコンで乾かすのです。先生も家事労働をされたほうがいいですよ。

その点、さすが大月氏。「2005年ぐらいに、東京では再び超高層がどんどん増えてきたので、私はその時点で建設されていた都内のタワーマンションのほぼすべてを見に行き、いくつかインタビューをしました」と語っている。齊藤氏もそうだが、座学だけではないフィールドワークを通じて習得した知見・知識による言葉・文章には重みがある。

この他の章はしっかり読み込んでいないが、総勢15名の先生方の共著であるため、全体としてマクロデータの紹介、論文の引用が多く、296ページのうち少なくとも2割は論旨が同じなのが気になる。タワーマンションをわが国の都市計画、住宅政策、居住性能、基本性能・設備仕様など多面的な視点で論じてほしかった。

 最後に、日大大学経済学部教授・安藤至大氏が担当された巻頭の章「タワーマンションはコンパクトシティの実現に寄与するのか? 」について一言。

 安藤氏といえば、2012年に行われた国交省の第2回「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」で、マンション管理業をプリンターのリース料を安くして、トナーなどの維持管理費で儲けるのと似ていると〝不適発言〟を行い、発言を取り消したことがあり、また、マンション管理業協会などの第三管理の導入には慎重を期すべきという趣旨の「意見書」に対して、「私の授業なら『不可』にする」などと語り。マンションの合意形成に欠かせない理事会・自治会のコミュニティ活動を徹底して批判した方だ。

その方が、どのような持論を披瀝するのだろうと期待したのだが、全16ページの大半は国土交通省などのオープンデータの紹介や、学者先生の論文の引用だ。コンパクトシティの実現に向けた取り組みとしては、マンションの総会の議決にボルダールなどを活用すべきとか、第三者管理の活用を検討すべきなどとしているが、その処方箋は示されていない。小生も第三者管理に反対ではないが、その費用をどうしてねん出するか。現状を考えると絶望的にならざるを得ない。

その一方で、安藤氏は「タワーマンションを扱った経済学研究は非常に少ないと認識している」と述べているが、ならば、安藤氏こそがあいまいなタワーマンションの定義をきちんと整理され、その研究の旗振り役になるべきではないかと思う。

また、論文全体の文末は「効果があるだろう」「推進されるだろう」「必要だろう」「期待される」「考えられる」「あるだろう」「ためらう向きも多い」「いえるだろう」「したい」「面もある」「思われる」「報告されている」などのオンパレードで、歯切れが悪い。小生はいささか拍子抜けした。

マンションコミュニティを否定するのか 国交省マンション管理検討会(2015/4/4

 

 

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HARUMI FLAG」全景★

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光井氏(「HARUMI FLAG」タワー棟デビューメディア発表会)★

かつて「パークシティ浜田山」で美しい花を咲かせたように~

 「HARUMI FLAG」のマスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏(光井純&アソシエーツ建築設計事務所 代表取締役)に2023119日、オンラインによる取材の僥倖に恵まれた。テーマは光井氏がデザインするマンションはなぜ美しいか。光井氏は出張先の故郷・岩国から、1時間にわたって建築物と人、街、自然、美とは何かについて語った。( )は記者 写真提供は★が電通PRコンサルティング、☆が光井純&アソシエーツ建築設計事務所(JMA)

光井氏は1978年、東京大学工学部建築学科を卒業後、岡田新一設計事務所で4年間勤務したのち渡米し、イェール大学大学院で建築学を学び、シーザー・ペリ&アソシエーツ(現ペリ クラーク&パートナーズ)勤務を経て1992年に帰国。シーザー・ペリ&アソシエーツ ジャパン(同)と光井純&アソシエーツ建築設計事務所を設立。国内外の様々なプロジェクトに関わっている。

NTT新宿本社ビル、シーホークホテル&リゾート、九州大学新キャンパス、日本橋三井タワー、あべのハルカスなどの施設のほか、パークコート恵比寿ヒルトップレジデンス、青山パークタワー、幕張パークタワー、オーバルコート大崎、芝浦アイランド、パークシティ浜田山、Brillia L-Sio 萩山など数多くの首都圏を代表するマンションを手掛けている。BCS賞、グッドデザイン賞などの受賞も多数。

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メインストリート★

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晴海ふ頭公園から(完成予想図)★

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九州大学 ウエスト1号館(理学系総合研究棟)☆

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NHK大阪放送会館・大阪歴史博物館☆

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東京国際空港(羽田)第3旅客ターミナルビル☆

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あべのハルカス☆

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日本橋三井タワー、日本橋室町三井タワー☆

               

-先生、わたしが2013年以降に書いた記事から「光井純」のワードで検索すると35本ヒットします。これまでマンションは何棟手掛けられたのでしょうか。

光井 進行中のプロジェクトもあるので概算にはなりますが、70棟以上だと思います。そのうち中国、台湾、シンガポールなどの東南アジアを除けば、国内では60棟以上だと思います。

日本に戻って最初に行った仕事はシーホークホテル&リゾートとNTT新宿本社ビルです。そして、縁あって三井不動産の「パークハイム氷川台西」(1997年)のマンションを手伝ったのが、集合住宅としては最初の仕事です。

それから「オーバルコート五反田」(2001年、「オーバルコート大崎」との複合)のデザインコンペがあるというので、応募して競り勝ったのがきっかけで、三井不動産さんとの関係が深まりました。当時、五反田開発を担当されていた現会長の岩沙さん(弘道氏)にデザインを気に入っていただき、意気投合しました。

時代を経るごとに深みを増す建築デザインの在り方と、低層部を張り出すことによってつくられるヒューマンスケールのデザインは、これからの街づくりにとても大事だとする岩沙さんの考え方は、わたしがアメリカで学んだ考え方と一致しました。

それは現在の三井不動産グループの住宅とオフィスなどの複合開発、ミクストユースの街づくりにも基本理念として継承されています。

その意味で「五反田」開発は、その出発点をつくった大事なプロジェクトでした。

-先ほども話しましたが、この10年間のわたしの「こだわり記事」をワードで検索すると、100件ある「隈研吾」は特別として、「光井純」は「安藤忠雄」「青木茂」とほぼ同じの35件です。

そのうち三井不動産関連ですと「SKYZ」に始まり「大崎」「武蔵小杉」「BAYZ」「渋谷大山町」「中央港」「晴海」「幕張」「武蔵小山」「柏の葉」「HARUMI」「白金」「六本木(ホテル)」「豊洲(複合施設)」などです。2013年以前だと「芝浦」「恵比寿」「青山」「浜田山」などが印象に残っています。(このほか、東京建物の「萩山」「聖蹟桜ヶ丘」、フージャースコーポレーションの「府中」「つくば」、オープンハウスの「青山」、伊藤忠都市開発の「松陰神社前」、大和ハウス工業の「有明」、東急不動産の「あざみ野」、総合地所の「名古屋」、相鉄・東急の「横浜」などがあり、モリモトの物件もいくつかあるのに注目)

これが肝心なのですが、「光井純」の次は「吉永小百合」の32件です。わたしもこれには驚いたのですが、つまり先生と吉永小百合さんは美しいということで一致すると。先生のデザインはなぜ美しいのか、人に優しいのか。これが今回の大きなテーマです。

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ブランズシティあざみ野(写真提供:東急不動産)

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デュオ府中駅前(写真提供:フージャースコーポレーション)

光井 (しばし破顔されたあと)吉永さんと一緒? 大変恐縮でございます。わたしの建築は、アメリカで学んだヨーロッパの古典的建築の考え方に大きな影響を受けています。三層構成、シンメトリー、パラディアンコンポジション、ヒューマンスケール、黄金率などです。クラック音楽を学ぶのと同じ側面があるかもしれません。古典をまず学び、それからモダンにつなげていくことが大事です。

ゴーギャンやピカソなどの絵画も学びました。人の肌を描くとき、光が当たっているところは肌色などを使いますが、陰の部分は緑などを使います。色彩の基礎はとても大事だと思います。(光井氏はかなり専門的なことを話されたのだが、これは省略する。何事も基礎が大事だということだ)

-先生、わたしも油絵を描きますのでよく分かります。(ルノワールは肌を描くとき青を使ったと読んだことがある。記者は陰に黒を使って汚い絵をたくさん描いてきた)

光井 主題の絵に暖色を使う場合、陰に黒を使のではなく、補色を使うときりっと締まる。建築も同じで絵画や古典建築のルールを活用しているところはあるかもしれません。

-わたしは建築物を見るときまず注目するのはデザイン(狭義の意匠ではない)で、そのデザインは美しいか、美しくないかです。それと同時に考えるのが機能美です。丹下健三先生は「機能的なものが美しいのではない。美しきもののみ機能的である」と語りました。先生、この考え方はどうでしょう。(これは永遠のテーマ。数十年考えているが、解は見いだせていない)

光井 丹下先生は巨匠ですので、私も学生時代は「形態は機能に従う」など巨匠の考えを学びました。美しいものは機能的であると。自然界では人間も動植物も何百万年の進化の歴史の中で理想的な形になってきました。しかしながら、人間の作為的なデザインは、自然が積み重ねてきた進化の時間に追いついていないのではないかと思うこともあります。ですから、そう簡単に「美しいものは機能的」とはおこがましくて言えない。

また、わたしは「モノ」として建築を見過ぎてしまうと人が不在となってしまうのではないかという反省がずっとあり、常に人を中心に据えながら建築デザインを考えています。

その場所にいる人の暮らしに思いを馳せて、どんな暮らしをするんだろう、どんな故郷になるんだろうと。そこには川があり山があり、海や森もある。建築デザインはその場所にあったものにならなければならない。

美しく機能的ということで「場所」や「人」から逸脱してしまい、建築だけの普遍的なあるいは自律的な価値を探求し過ぎることによって、近代・現代建築の理論は、建築デザインの中核を成す「人」や「場所性」を置き去りにしてきたのではないかと不安に思っています。

ですから、わたしは街の中で建築物は「人」や「場所」に対してどんな役割を持っているか常に考えデザインすることにしています。人が建物の中にあって美しいと感じるデザインが重要です。どんな人が暮らしていて、どんな子どもが生まれて、どんな生活をするんだろうと思うことが、ご指摘された「優しい」建物に繋がっていると思います。

-ちょっと横道にそれますが、小林秀雄は「美しい『花』がある、『花』の美しさといふ様なものはない」といいました。これは言葉が独り歩きし、いろいろ解釈があるのでしょうが、わたしは「花が美しいのではない、花を美しく感じる心が肝心」と解釈しているのですが、いかがでしょうか。先ほど先生が仰った人が肝心、次代に継承する自然を大事にしないといけないということに繋がるような気がするのですが…。(「花」は世阿弥の世界観を小林秀雄が論じたもの)

光井 私もそう思います。人間も、数十億年の自然との関係の中で進化してきました。その進化の過程で生物としての形や仕組みも変化してきました。しかしながら常に自然の中で育まれ、生物としての感性は遺伝子の中に組み込まれて綿々とつながっています。花や山、森を我々が見たときには、その背後にある自然の均衡を、直感的に美しいと感じている。

だから花の美しさを感じる心は、実はわれわれの体の中にある自然そのものだということです。(なるほど。光井氏のデザインを「美しい」「優しい」と感じるのは、光井氏が人を中心に据え、いつも自然や街との関連性を重視するヒューマンスケールを追求しているからだと得心した)

-先生はこの前(110日)も「近景・中景・遠景」から建物がどう見えるかが大事だと仰いました。わたしは先生の作品は遠景からでもすぐ分かります。その象徴的なマンションが「青山パークタワー」(2003年)だと思っています。あの建物は「青山」だからすっきりと街に馴染んでいるのではないかと。(三井不動産のプレスリリースには「ランドスケープデザインは『青山に森を創る』をテーマに、敷地の2/3以上の約5,000㎡を緑地とし、その中に高さ19m・樹齢200余年のケヤキをシンボルツリーとして、また10,000本の樹木・草花を植樹しました」とある)

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青山パークタワー☆

光井 そうですね。アメリカの街のシルエット、例えばマンハッタンを見ると、ロックフェラーセンターとかエンパイヤステートビルが核となって大きな山形のシルエットを作っています。マンハッタンという都市全体が、人々の活動や暮らしを包み込みながら、息づく山のような風景を、何百年にもわたる街づくりの試行錯誤の中でつくりあげている。

青山で言えば、渋谷は谷にあり、「青山パークタワー」は丘の上に建っています。丘の上に建つ建物は、周りの建物・風景の中心として象徴となる。建築家は、遠景から風景の中での建物の役割を見つけて、その役割にふさわしいデザインに到達しなくてはなりません。(そんなマンションはどれだけあるか。100のうち10あるかどうかではないか)

-先生のこれまでのマンションで、衝撃を受けたのは「パークコート恵比寿ヒルトップレジデンス」(2000年)でした。「芝浦アイランド」(2007年)にも驚きましたが、もっとも好きなのは「パークシティ大崎」(2015年)です。あの工場街のイメージを一新された。

光井 大崎地区のデザインでは、古典建築が持っている構成要素の基本をベースにしながら、ヒューマンスケール、リズム、分節、コーナー、スカイライン、陰影、ディテールなどの手法に基づいて丁寧に一つひとつデザインを進めました。

-先生、話の腰を折って申し訳ありません。いま、陰翳観を話されました。あのとき(110日)、実は午前中に東急不動産さんの「千代田富士見」の記者発表会がありまして、デザイン監修を担当されている隈研吾さんが谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を持ち出して、デザインに陰翳を盛り込んだという趣旨の話をされました。わたしなどは「陰翳礼讃」はやたらとトイレ・厠の話が出てくるので〝なんだ、これは〟と思ってしまうのですが、建築家にとって「陰翳礼讃」はバイブルなのですか。

光井 陰翳は建物の表情をつくる上でとても大事です。建築物は太陽の位置や、大気の状態によって刻々と表情を変えるので、陰翳を考えながらデザインをすることはとても有効です。一方で壁面に張り出しなどをつくると、陰影を生み出すだけでなく、雨が降ったときには水が切れて汚れないという効果があります。庇をうまく作ることで影が生まれる。日陰や木漏れ日があったりすると人間はほっとします。機能的にも省エネに貢献します。

-大変失礼な質問です。これまでデザインされた建物の中で、これはまずかったなどというものはないのでしょうか。

光井 どの花が美しいかと同じ論理で、花はがけ地、水辺、森の中とか、それぞれの場所の制約の中で一生懸命咲いています。それぞれが美しく、どれが一番だと比べることはできません。建物も同様に、敷地の特性、気候、場所の文化や歴史などをしっかりと研究しながら建築家が様々な思考を巡らせ時間をかけて取り組んだら、それぞれの場所でその場所でしか咲かない美しい花になれるのだと思います。(これまた含蓄のある言葉だ。デベロッパーや建築家は考えないといけない)

-住宅都市についてです。わたしはこの前の先生のお話を聞きながら、デザインコードに沿った街づくりとして「幕張ベイタウン パティオス」とUR都市機構が整備した「ベリコリーヌ南大沢」などと比べました。いずれも素晴らしいと思っているのですが、「HARUMI」はちょっと違う、これまでにないものになるのではないかと想像しました。

光井 当初、「HARUMI」のタワー棟は、西の運河に寄って計画されていました。これに対して、私はこの広大な敷地を選手村として一体的に開発・利用するというチャンスは今後ないだろうから、レガシーとして残るようにできないかを考え、タワー棟を街の中心軸に据え、シンメトリーを提案して実現しました。

仮に一般的な都市開発として都があの土地を売却したとすれば、分割され、ばらばらに開発されていたかもしれません。選手村として使われるという運命が「HARUMI FLAG」を実現させた。このような街は今後出てくる可能性は極めて少ないと思います。

-「HARUMI」で注目しているのは、駐車場、電柱が地下化され、先生も強調された「地上は緑で覆われている」という点です。いまそのような街はあるか考えたのですが、「広尾ガーデンヒルズ」は緑に覆われてはいるが、駐車場、電柱は地上です。先生の作品で緑が多いのは「パークシティ浜田山」(2010年)ではないかと思いますが、いかがでしょうか。(質問した時点で「浜田山」が地下駐車場、電柱地下化されていることを失念していた)

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パークシティ浜田山☆

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パークシティ浜田山☆

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パークシティ浜田山☆

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パークシティ浜田山☆

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パークシティ浜田山☆

光井 「浜田山」は力を尽くしたマンションで、駐車場、電柱は地下化され、地上は緑で覆われています。理想的な街づくりができたと思っています。あのような開発のプロトタイプとして挙げられる例は、バンクーバー、サンフランシスコ、ポートランドなどの街でしょうか。

世界の優れた街の開発では、基本的には駐車場などは地下に潜らせて、地上は人の空間にするということが当たり前になっているのです。「HARUMI」も駐車場と電柱を地下化したのは都やデベロッパーの素晴らしい決断でした。諸外国のどこの街にも負けないものをつくろうとしたということです。そういった点からも「HARUMI」も「浜田山」と同じように素晴らしい街になるでしょう。

-最後の質問です。今後、どのような仕事、街づくりをしたいかについてです。

光井 子どもたちの故郷になって、親から子へバトンタッチできるような街、ずっと住み続けたくなるマンションを作りたいですね。

-先生、いまそんなマンションはありません。(もともとが狭いし)世帯分離によって子どもはどんどん去っていく。

光井 これからは変わると思います。「浜田山」「HARUMI」もそうですが、〝他にはない〟〝ずっと住み続けたい〟と思える未来の世代のために良質な住環境を残していきたい。その場所にしかない、美しい花を咲かせたい。

(光井氏はインタビューの冒頭、「わたしはいま故郷・岩国にいます。前日は東京の本社、その前は広島です。どうしたら地方の街おこし、再生によって元気な街を作れるか、毎日のように考えています」と語った…「毎日考える」ぐさりと胸を衝かれた。先生ですら毎日考える、われわれは怠惰な毎日を過ごしていいのか…)

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光井氏★

               

以上、約1時間のインタビューの要約だ。本当は全文を紹介したかったのだが、余裕がない。光井氏は同社のホームページで次のように述べている。こちらも参照していただきたい。

建築を「モノ」としてではなく、文化の一部、そして、優れた街並みの一部となって街と共に成長する、あたかも生き物のように捉えてデザインすることである。この考え方を受け継いで、敷地をとりまく自然環境、街並み、文化、歴史、そして建物に関わる人々、その他多くの設計条件に対して、的確なレスポンス[応答]を行いながら設計を進めていくことを大切にしている。

               

「『パークシティ浜田山』と同じような素敵な街になる」と光井氏が話した「浜田山」は2007118日付の記事で次のように書いた。

「建物外観は光井純氏が総合監修を担当。屋上緑化、地下駐車場、免震構法の採用のほか、スラブ厚280300ミリ、リビング天井高2600ミリ、床、建具・面材は全て天然石、タイル、突き板仕様で、トータルとしてのグレードが極めて高いのが特徴だ。

高級マンションとしては、広尾ガーデンヒルズが連想されるし、同社の億ションなら『麻布霞町パークマンション』があるが、記者は、立地・コンセプトの違いはあるにせよ、ほぼ同等の価値があると思う。ランドスケープデザインが特に優れている。同社の記念碑的なマンションになるのは間違いない」

本当にそうなのか。いまどうなっているか確認しようと、インタビューの翌日120日に現地を見学した。

「浜田山」の全体敷地は約25,000坪。従前は三井グループの運動場として利用されていた。記者はRBA野球大会の取材で何度か訪れている。

1998年だった。勝てば東京ドームという三井不動産V.S.三井不動産販売(現三井不動産リアルティ)の準決勝戦が行われた。三井不リードの最終回、一打逆転の場面で三井不・志村亮投手が三井不販の主砲・江川尚志氏を三振に斬って取った場面が忘れられない。江夏の9球ではなく7球くらいだったと思うが、江川氏ファウルを打つなど粘ったが、最後は空振り三振。「志村さんは本気で投げてきた。最後は球が消えた」と話した。勝った三井不は優勝した。

当時も運動場は緑に覆われていたが、この日見た「浜田山」は成長途上だった。既存樹の巨木はたくさん残されていた。低・中層住宅地であり、街路樹や敷地内の樹木は冬季の日照を確保する目的もあるのだろう。常緑樹は少なく、高木はケヤキ、サクラ、コブシなどの落葉樹が主体だったが、春から秋にかけては緑にあふれ、四季折々の花が咲き、紅葉を楽しませてくれることはすぐわかった。

HARUMI」が完成すれば素晴らしい街になるだろう。「浜田山」で美しい花が咲いたように、「HARUMI FLAG」にもその場所でしか咲かない美しい花が咲くことを期待している。

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「浜田山」の外周の既存樹のケヤキ(従前は2段植栽によって内と外は閉ざされていた)

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駐車場が地下化されていることが分かる(記者は車に乗らないが、この価値は計り知れないと思う)

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エントランスの植栽は3段(こんなマンションはそうない)

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もう絶句!(モンドリアンの絵画を見るよう)

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シンメトリーのデザイン例(右の写真の下部は水盤。景色が映り込む)

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隣接の「三井の森公園」

HARUMI FLAG」最終章のタワー棟分譲へ 光井純氏「街」について語る(2023/1/12

街の価値を評価したい 三井不レジ他「パークシティ大崎 ザ タワー」(2013/11/27

感動的なマンション 三井不動産レジデンシャル「浜田山」(2007/11/8

 都の民設公園第1号「萩山 四季の森公園」開園祭り(2009/10/5

 

 

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「ブランズ上目黒諏訪山」

 東急不動産は1月26日、全19戸にEV充電器付き駐車場を設置した「ブランズ上目黒諏訪山」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。アドレスは上目黒三丁目だが、「目黒諏訪山」にふさわしい最高レベルのマンションだと思った。

 物件は、東京メトロ日比谷線・東急電鉄東横線中目黒駅から徒歩6分、目黒区上目黒三丁目の第一種低層住居専用地域に位置する地下1階・地上3階建て全19戸。専有面積は約127~188㎡、価格は3億円台~5億円台。坪単価は800万円強。建物は2022年11月に竣工済み。施工は淺沼組。設計・監理は坂倉建築研究所。

 現地は、数億円以上しそうな戸建てや低層マンションなどが建ち並ぶ高級住宅街の一角。敷地は、植物家の邸宅などが建っていた敷地跡地。

 1年半くらい前から販売しており、現在、残りは1戸で、価格は36,000万円(131.33㎡)。これまで契約済みの住戸の購入者は約4割が目黒区内、約7割が都内という。駐車場賃料は約4万円/月。全て申し込み済み。

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地下1階の駐車場

◇        ◆     ◇

 内覧会では、住戸の案内はなかったので設備仕様レベルは分からないが、ホームページからして、同社がかつて分譲した高額マンションブランド〝プレステージ〟並みだと判断した。

 坪単価は高いような気がしないわけでもないが、外観デザインを見たとたん、価格に見合う価値があると判断した。設計・監理に坂倉建築研究所を起用していることからも、相当力を入れた物件であることがわかる。

 EVについては、車のことはさっぱりわからないのでコメントのしようがない。数年先には当たり前になるのか…。

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樹齢80年はありそうな敷地内のソメイヨシノ

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「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」

 三井不動産レジデンシャル、日鉄興和不動産、三菱地所レジデンス、首都圏不燃建築公社の4社は1月19日、「三田小山町西地区第一種市街地再開発事業」の権利変換計画が2022年12月21日に東京都知事の認可を受けたと発表した。

 プロジェクトは、東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線麻布十番駅に近い区域面積約2.5haの規模。北街区と南街区に分かれており、北街区は42階建て住宅A棟と8階建て事務所棟、南街区は31階建て住宅B棟と16階建て住宅C棟で構成。約1,400戸の共同住宅のほか、オフィスや店舗、保育園、公園を一体で開発する。事業推進コーディネーター施設建築物設計者はアール・アイ・エー、特定業務代行者は戸田建設、大成建設。竣工予定は2028年。

三井不レジ・日鉄興和・三菱地所レジ・首都圏不燃公社 麻布十番駅近接の2.5ha再開発(2020/9/19)

三井不レジ他「パークコート麻布十番ザ タワー」竣工 単価だけでは計れない価値あり(2010/5/26)

住友不動産 都心再開発2物件「大崎」と「麻布十番」(2008/7/8)

 

 


 

 

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「クレヴィア西葛西」

 伊藤忠都市開発は1月19日、「クレヴィア西葛西」のコンセプトルームを「ギャラリークレヴィア有楽町イトシア」1月21日にオープンし、可動収納やT字型ウォールドアを採用することで間取りを1LDKから3LDKまで自在に可変できる「間取りのない家」プランを提案すると発表した。販売開始は2月下旬。

 「間取りのない家」プランとは、キャスター式で設置位置を移動できる「可動収納」と、住戸内の間仕切りを自在に変更できる「ウォールドア」とを組み合わせ、広々とした1LDKから、間数を増やした3LDKまで、ライフスタイルに合わせて変更することを実現したプラン。具体例として1LDKは夫が30歳の夫婦のみ、2LDKは夫が36歳の夫婦と子ども2人(幼児・小学生)、3LDKは夫が50歳で夫婦と子ども2人(中学生・小学生)を提案している。

 物件は、東京メトロ東西線西葛西駅から徒歩6分、江戸川区西葛西六丁目に位置する12階建て49戸。専有面積は33.43~71.71㎡。坪単価は350万円を想定している。竣工予定は2024年2月中旬。設計・監理は三輪設計。施工は川村工営。

 「低炭素建築物」認定を取得し、スマートフォンで住宅設備や家電を操作できる「loT」設備を導入している。

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エントランス

◇        ◆     ◇

 同社は、プレス・リリースで〝画期的な住まい〟と謳っているが、同様のプランは同社を含めてたくさん見学取材している。その多くはウォールドアが開発されていなかったころのものなので、あるいは今回の物件は〝画期的な住まい〟なのかもしれない。

 ライフステージにより間取りが変えられるのは当然といえば当然だ。田の字型プランから脱却できない業界に問題がある。

「カスタムプラン144+」秀逸 単価も割安 伊藤忠都市開発「クレヴィア浅草」(2017/2/1)

三井不レジ 可動間仕切りで間取り自由自在 「駒沢」に初採用(2014/5/27)

マンションの間取りは「自分で作る」時代へ(2013/10/4)

 

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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は1月13日、2022年12月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表した。中古マンションの成約件数は2,835件で前年比1.6%減少し、5か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価は69.94万円(230.8万円)で前年比9.0%上昇し、20年5月から32か月連続、成約価格は4,373万円で同6.2%上昇し20年6月から31か月連続で前年同月を上回った。専有面積は62.52㎡で前年比2.5%縮小し、21年6月から19か月連続で前年同月を下回った。

 地域別では、成約件数は東京都区部以外の各地域が前年比で減少が続き、横浜・川崎市と埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は32か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は31か月連続、千葉県は29か月連続、神奈川県他は25か月連続、多摩は22か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建て成約件数は1,036件で前年比マイナス10.5%の2ケタ減となり、12か月連続で前年同月を下回った。成約価格は3,872万円で前年比8.7%上昇し、20年11月から26か月連続で前年同月を上回った。地域別動向では、成約件数は千葉県以外の各地域が前年比で減少が続き、東京都区部と多摩、埼玉県は12か月連続で前年同月を下回った。成約価格はすべての地域が前年比で上昇し、千葉県は22か月連続、神奈川県他は18か月連続、東京都区部は12か月連続、埼玉県は8か月連続で前年同月を上回った。

◇      ◆     ◇

 中古マンション、中古戸建とも成約件数は減少を続ける一方で、成約価格と㎡単価は上昇し、新規登録件数、在庫件数が増加し続けている。このデータをどう読むか。

 中古マンションの成約件数だが、コロナ前の2019年はほぼ毎月3,000件前後で推移しており、減少が顕著というよりはコロナ前の水準に戻ったと解すべきだろうと思う。

 それより注目すべきなのは価格・単価の上昇と面積の縮小だ。2022年12月と2019年12月を比較すると、価格は2019年12月の3,550万円から23.2%、㎡単価は27.4%それぞれ上昇し、逆に専有面積は3.3%減少している。

 価格・単価上昇率は異常とは言えないまでもかなり高く、専有面積の縮小と合わせ、市況は高止まり、踊り場に差し掛かっているのではないか。

 単価水準は平均的な需要層の取得限界に近付いている。記者は無理なく取得できる坪単価は今も昔も坪250万円とみており、それでも活況を呈してきたのは低金利のお陰だ。

 その肝心の金利が転換期を迎えた。日銀の金融緩和政策の軌道修正だ。長期金利の変動幅を従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に変更したのは、明らかに住宅市場にはマイナスだ。1.5%の変動幅自体は大きくないが、物価高もあり住宅購入検討者のマインドを冷やすことになるのは間違いない。中古マンション価格は4,000万円を超えると鈍くなると言われており、現状でもそれをはるかに超えている。価格を引き下げようにも、専有面積圧縮も限界だ。この先、どう動くか注視が必要だ。

 ひとつだけ楽観的な見方をすれば、新築マンション市場は引き続き供給減少が続き、価格も上昇する気配を見せており、その分だけ中古価格の割安感は増すことだ。基本性能・設備仕様レベルも現在分譲されている物件より10年くらいの物件のほうが相対的に高いものも少なくない。一筋縄では計れない市場に突入するのではないか。

 中古戸建ても同様のことが言えそうだが、成約価格は中古マンションと約500万円の差がある。これが今後の市場にどのような影響を与えるか。

 いずれにしろ、ここ1~2か月の動向から目が離せない。これまでの市場のターニングポイントはカレンダー変わりにあったからだ。年明けとか年度変わり、ゴールデンウイーク、夏休み明けだ。

 

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「ウエリス八千代村上」(物件ホームページから)

 NTT都市開発、名鉄都市開発、西日本鉄道、関電不動産開発、東方地所の5社は1月13日、千葉県八千代市内最大級となる総戸数967戸の大規模プロジェクト「ウエリス八千代村上」を着工したと発表した。2023年6月下旬から販売を開始する。

 駅とのつながり・商業施設とのつながり・自然とのつながり・人とのつながりを生み出す「ゆめいっぱいYACHIYO CONNECT TOWN」をコンセプトに、国民的人気アニメ「ちびまる子ちゃん」を広告キャラクターに起用する。

 物件は、東葉高速鉄道村上駅から徒歩3分、千葉県八千代市村上南1丁目に位置する敷地面積約23,292㎡、15階建て全967戸。専有面積は3LDK・70 ㎡超を中心に54.90~91.85㎡。設計・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定はI工区が2025年2月上旬、II工区が2027年3月下旬。

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◇        ◆     ◇

 このプレス・リリースを見て、コロナ禍でも驚異的な売れ行きを見せた、坪195万円の東武鉄道他「ソライエグラン流山おおたかの森」(794戸)と、坪190万円の大和ハウス工業「船橋グランオアシス」(分譲は571戸)を思い出した。

 今回の物件は、施工が長谷工コーポレーション、都心の大手町駅まで50分前後という大規模開発というのがよく似ている。坪単価は200万円を突破しそうだが、果たして〝三匹目の泥鰌〟はあるのか。

 もう一つの注目点は「ちびまる子ちゃん」だ。過去、俳優などを起用したマンションはたくさんあり、概ね成功しているが、漫画・アニメとなると、記憶にあるのは「アルプスの少女 ハイジ」を新聞の2ページ見開き広告に登場させたリビング住販「ロワジール那須高原」(452戸、1992年11月竣工)くらいだ。

 版権は著名人よりは安いと思うが、果たして費用対効果は。肝心なのは商品企画だ。寄りあい所帯なのは気になる材料だ。

 記者が思い浮かぶ漫画・キャラクターを列挙する。イガグリくん、赤胴鈴之助、月光仮面、鉄腕アトム、スーパーマン、バットマン、ポケモン、ゴジラ、サザエさん、ドラえもん、キティちゃん、クレヨンしんちゃん、アンパンマン、忍者はっとりくん、タイガーマスク、巨人の星、たっち、キャプテン翼、セーラームーン、ゴルゴ13、ドラゴンボール、鬼滅の刃、キン肉マン…。(このうちよく知っているのは10個くらい)

 「ちびまる子ちゃん」が成功したら、もう何でもありだろう。ヤクルト村上選手の人気にあやかりたい。

◇        ◆     ◇

 記者がこれまで見学取材したマンションの中から、俳優など著名人をイメージキャラクターとして起用した物件を・著名人 売主「物件名」(総戸数)竣工年月順に紹介する。敬称略

・ハイジ リビング住販「ロワジール那須高原ハイジ」(452戸)1992年11月
・オードリー・ヘプバーン 有楽土地「ティアラシティ」(279戸)2000年8月
・城戸真亜子 総合地所他「ルネアクシアム」(721戸)2001年5月
・片岡鶴太郎 モリモト「クレッセント東京サウス」(113戸)2002年10月
・東儀秀樹 三井不動産レジデンシャル「東京パークタワー」(324戸)2003年3月
・三國連太郎 野村不動産他「神楽坂トワイシア」(237戸)2004年2月
・古田敦也&中井美穂 モリモト「クレッセント川崎センティア」(116戸)2004年2月
・飯島直子 東京建物他「ガーデンアソシエ」(1,502戸)2004年8月
・本木雅弘 三菱地所「Wコンフォート」(1,149戸)2005年2月
・米倉涼子 オリックスリアル他「横浜タワーリングスクエア」(625戸)2005年3月
・ジャン・レノ 東京建物「ブリリアタワー東京」(644戸)2006年2月
・スマップ 三井不動産他「芝浦アイランド」(約4,000戸)2006年11月
・新庄剛志 名鉄不動産他「スターコート豊洲」(740戸)2007年2月
・田原俊彦 アパ「アップルタワー東京」(440戸)2007年2月
・渡辺謙 野村不動産「プラウド新浦安」(733戸)2008年1月
・リチャード・ギア オリックス不動産他「THE TOKYO TOWERS」(2,801戸)2008年1月
・太田光 相鉄不動産他「サクラディア」(821戸)2008年2月
・黒木瞳 三井不動産レジデンシャル他「パークシティ豊洲」(1,481戸)2008年2月
・中山美穂 伊藤忠都市開発他「ザ・コスギタワー」(689戸)2008年5月
・ディカプリオ オリックスリアル「レコシティTOKYO」(450戸)2008年10月
・マドンナ 東京建物他「ブリリアマーレ有明」(1,081戸) 2009年3月
・オダギリジョー 東京建物「ブリリア有明スカイタワー」(1,089戸)2011年3月
・米倉涼子 丸紅他「AQUA VISTA(アクアヴィスタ)」(308戸)2015年2月
・江口洋介 三井不動産レジデンシャル他「東京ワンダフルプロジェクト」(1,110戸)2015年3月
・石川遼 三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス晴海タワーズ」(1,744戸)2016年4月
・江角マキコ 東京建物他「BAYZ TOWER&GARDEN」(550戸)2016年7月
・前田敦子 東武鉄道他「ソライエグラン流山おおたかの森」(794戸)2021年7月

◇     ◆     ◇

 リストを観ていただければお分かりのように、バブル崩壊後の大規模マンションが中心で、著名人などを起用することで大量集客・大量販売につなげようというデベロッパーの意図がうかがえる。デベロッパー別ではジャン・レノ、マドンナ、飯島直子、江角マキコなどを起用した東京建物や、スマップ、黒木瞳などの三井不動産レジデンシャル、リチャード・ギア、ディカプリオのオリックスグループが目立つ。

 記者がもっとも衝撃を受けたのはオードリー・ヘプバーンを起用した有楽土地(当時)「ティアラシティ」だった。故人であるため肖像権は知名度の割には破格の安さだったとも聞いた。パンフレットを入れる袋、テレカももらった。探せばどこかに保管しているはずだ。ヘプバーンは他の物件にも起用されているはずだが、どこだったか思い出せない。

 米倉涼子さん、モックン(本木雅弘氏)、オダギリジョー氏などはよく知らないので集客効果を疑った。スタイルのよさが強調された米倉さんのポスターに目を見張ったが、オダギリジョー氏は小田原城かと思ったほどだ。

 石川遼氏はイメージキャラに起用された途端成績が落ちたのも印象に残っている。地所の幹部が嘆いていたのも思い出す。

 このほかにもタレントマンションはかなりありそうだが、残念ながら記憶がない。

大和ハウス 再生可能エネルギー100%の街づくり「船橋グランオアシス」完成(2021/4/2)

4LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」(2020/8/25)

東京建物・東武鉄道「ブリリア有明スカイタワー」モデルルームを披露(2009/12/14)

〝ハッとしてお台場、グッときて銀座〟〝トシちゃん〟マンション アップルタワーに注目(2005)

 

 

 


 

 

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「TERRACE(テラス)浅草橋」

 大成有楽不動産は1月12日、同社の賃貸マンションブランド「TERRACE(テラス)」の「TERRACE(テラス)浅草橋」をメディア向けに公開し、1月14日から入居を開始すると発表した。

 物件は、JR・都営浅草線浅草橋駅から徒歩2分、JR浅草橋駅から徒歩3分、台東区柳橋1丁目に位置する13階建て全90戸。間取りは1K~2LDK(専用面積25.44~50.88㎡)、賃料は103,000~265,000円。管理費は12,000~20,000円。竣工は2022年12月。施工は大成ユーレック。

 同社の分譲マンションブランド〝OBER(オーベル)〟のオリジナル収納〝O-range STORAGE(オレンジ収納)〟を初めて賃貸で採用(一部)したほか姿見、コートフック、ソフトクローズ機能付き引き戸・開き戸、物干しポール、人感センサー玄関照明、Wi-Fiを装備。リビング天井高は2~11階が2450ミリ、12~13階は2500ミリ。12・13階の6mスパンの50㎡の住戸(6戸)はエリアの最高値となる賃料261,000万~265,000円(坪1.7万円)。フィオレストーンキッチン天板、食洗機、ハンスグローエ水栓、14×18浴室など、〝オーベル〟並みの仕様となっている。

 このほか、共用施設・設備として1階に約30㎡のラウンジ、屋上にはテラス(ともに利用時間は8:00~24:00)を設置したほか、全戸分の無料駐輪場や宅配ロッカー、バイク置き場、駐車場など。

 同社投資開発事業部事業室(第二)次長・前田慶介氏は、「リーシングはこれから本格的に開始しますが、直前の三連休で約40件の来場があり、募集開始して4日間の内覧会で17件の申し込みが入りました。極めて順調なスタートが切れた。平均賃料は16,600円」と語った。

 同社の資料によると、「TERRACE」シリーズは2014年竣工の第一号の「上石神井テラス」からこれまで22物件が竣工・着工済み(1,059戸)。

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屋上テラスからはスカイツリーも眺望できる

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物干しポール(家事労働をしたことのない人はこの価値が分からない)

◇        ◆     ◇

 前田氏から微に入り細を穿つ説明を受けた。以下、記者のやり取りの一部を紹介する。( )が記者。

 (これ、分譲にしたら単価はいくらですかね)

 「わたしは分譲担当でないので…」

 (坪430万円でどうですかね)

 「そんな安値では売りませんから」と前田氏ではなく記者もよく知るI氏

 (なるほど、ならば坪450~475万円でどうですかね。500万円は無理なような気がします。わたしは売る自信がない)

 「どうですか。この50㎡の中住戸。スパン6mですよ、キッチンはフィオレストーン、水栓はハンスグローエ。2畳大のワークスペース付き。浴室も1418。オーベル仕様かそれ以上」

 (わたしは「築地」を観ていますからね。あれは最高によかった)

 「この屋上テラスからはスカイツリーも富士山も見えますから…」

 (タバコは? 酒は飲めないの? )

 「禁止です」

 (ペットボトルに酒を入れて持ち込んだら…)

 「騒がれると問題になるでしょうから、大人の対応で…」

 (このエントランスの有孔ブロックはいいね)

 「そうでしょ。ブロックそのものは高くありませんが、基礎の部分にお金がかかりました」

 (浴室にタオル掛けが付いているのはきちんと書きますから。最近の郊外マンションは1本も付けていないのが多い。浴室にタオル掛けは必要だと思いません? 前田さんは独身? 奥さんと一緒のタオル使います? )

 「既婚です。かみさんと一緒のタオルでもわたしは構いませんが…」

 (うちはひどいもんですよ。わたしのタオルは何年もつかっているガバガバのもの。ふかふかのよりよく拭けるとは思うんですが…。かみさんはきっとふかふか)

 (浴槽を取り払ってシャワー室のみという提案はどうですか)

 「以前検討したことがあるんですが、コストは浴槽付きの倍だったのでやめました」

 説明はものすごく分かりやすかった。これが分譲だったら、ものの1~2分で設備仕様レベルを判断し、売れる単価もはじき出せる自信があるのだが、そもそも賃貸マンション市場はあまり取材したことがないし、同社の賃貸を見学するのは初めて。設備仕様レベルが他と比べていいのか悪いのかさっぱりわからない。

 賃料は正直高いと思ったのだが、高いからこそ賃貸脱出派が分譲マンション市場を支えているのだから、なんとも言えない。本来は分譲であろうと賃貸であろうと、戸建て、マンションの別なく自由に選べるのがあるべき姿だと思うが…。

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エントランス

樹脂サッシ、ミストサウナ…水準以上大成有楽不のコンパクト「両国」(2022/4/25)

大成有楽不動産「銀座築地」同業他社に一括売却か(2019/11/27)

 

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高松氏

 マンション管理業協会は1月12日、令和5年新年賀詞交換会を開き、同協会理事長・高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は次のように挨拶した。

 皆さんあけましておめでとうございます。

 理事長の高松でございます。

 年頭に当たり新年のご挨拶を申し上げます。

 まず、本日は3年ぶりの賀詞交歓会に、斉藤鉄夫国土交通大臣をはじめとする国会議員の先生方そして国土交通省をはじめとする多くの関係者の皆様にご臨席いただき厚くお礼を申し上げます。

 丸3年となるコロナ禍は、日本政府の舵取り、医療関係者の努力により、経済活動が緩やかに再開しつつあります。

 一方で、ロシアによるウクライナ侵攻による資源価格の高騰など、コスト上昇圧力が、当業界含め、今後の国内経済の課題となっています。

 マンション管理につきましては、昨年は大きなトピックスがあった年でした。まず昨年4月に国の管理計画認定制度が施行されました。

 認定制度の目指すところは、適正な管理・修繕の実施により、マンションストックの長寿命化を図ることにあります。さらに12月には、同認定を受けたマンションを対象とした「マンション長寿命化促進税制」が与党税制改正大綱に盛り込まれました。

 当協会がかねてより要望を続けていた事項が初めて取り上げられたものと理解しており、ご尽力いただいた先生方、国土交通省はじめ関係者の皆様に深く感謝しております。

 次期通常国会で関連法案が成立した暁には、本税制を管理組合に適切に説明することで、将来に向けた修繕積立金の積み増しが可能となり、適時必要な修繕工事の実施につながるものと、大いに期待しているところでございます。

 また、当協会は、認定制度と同じく昨年4月にマンション管理適正評価制度を始動させました。

 評価制度は、管理組合が管理の状況を毎年チェックし等級評価するもので、いわば人の健康診断と同じく良いところ、悪いところを自己確認していくものです。

 令和5年1月5日時点で215件の登録があり、協会HP上で情報を公表しています。また、不動産ポータルサイトや流通事業者のHPともリンクしています。

 この「管理の見える化」によってマンションの良質な管理が、資産価値、居住価値の維持・向上にも繋がって行く大事な制度と考えています。

 当協会は、評価制度の社会的定着に向け、令和6年度末までの3年間で1万件を超える登録を目標とする機関決定を行いました。

 この実現に向け、今後、評価制度の適正かつ円滑な運用のためシステムの改善を継続して参ります。

 また国の認定制度と評価制度の一括申請を可能とするワンストップサービスを実施しておりますが、より申請者や地方公共団体が利用しやすいよう改善を図って参ります。

 合わせて評価制度の登録促進に有効な損害保険のインセンティブの実現に向け、引き続き関係機関との折衝を進めて参ります。

 建物と人、いわゆる2つの高齢化は待ったなしの状況です。築40年以上のマンションストックは2021年末現在で115万戸、10年後には2.2倍の249万戸、20年後には3.7倍の425万戸に急増する推計もあります。

 ここに住まう居住者の方々の高齢化も進んでおり、役員の担い手不足による組合運営の機能不全、積立金不足により適切な工事の未実施からなる建物の不具合の進行など、ソフト、ハード両面からの管理不全が懸念されます。

 このため当協会は管理組合活動をサポートするマンション管理会社の団体として、管理組合運営を円滑化するための諸施策を強く推進して参ります。

 一方、従前より申し上げているマンション管理業界の成長発展と社会的評価の向上、業界従事者の処遇の改善と社会的地位の確立については、評価制度による業務の「見える化」の推進、適切な業務水準の確保と幅広い人材活用ならびにDX化も視野を置いた、標準管理規約、標準管理委託契約書の改正について関係機関との協議を進めて参ります。

 また社会的評価の向上は業界の信頼確保と表裏一体のものです。このため協会の基幹業務である会員会社のコンプライアンス体制の整備、各種試験講習の的確な運用、厳正な入会審査と与信管理の徹底等、web化を含め進めて参ります。

 当協会は本年も様々な課題に積極的に取り組んで参ります。

 そして、こうした諸施策を次期中期事業計画としてまとめ、令和5年度より実施して参ります。

 結びに、関係各位の協会活動への一層のご支援とご協力をお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝、またご活躍を心よりお祈り申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。

カテゴリ: 2022年度
 

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