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 会話ができる・通ると音がし、香りも嗅げる・動きに合わせて風が吹く暖簾-こんなユニークなイベント「未来ののれん展」が11月1日(木)~11月11日(日)、日本橋・中央通りの「コレド室町」周辺で行われる。

 2018年7月、日本橋の企業と若手クリエイターが立ち上げた「nihonbashi β」(代表:朴正義氏)が主催するもので、日本橋の伝統と文化を象徴する「暖簾」と新しい感性と共創させ、未来につなげようという企画。

 学生2人を含めた4チーム16名(平均年齢28歳)が、3カ月にわたりセミナーやワークショップを重ね、様々なソフトウェア、人感センサー、バイオメタル、超指向性スピーカーなどの最新の技術を駆使して作り上げた。

 「β」の文字には、前例のないチャレンジを歓迎する開かれた街でありたいという想いと、日本橋から世界に羽ばたくクリエイターを生み出したいという希望が込められているという。掲出されるのは次の4種類。

 「のれんさま/コレド室町」(クリエイター:髙橋紗登美、成田敬、深谷泰士、 藤木良祐)は幅4.5m ×高さ2m。人感センサー・加速度センサーを使用し、暖簾をくぐる人に話しかけるのが特徴。220種のことばを喋れるという。

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「のれんさま/コレド室町」

 「響きあう、今と昔/三井ガーデンホテル日本橋プレミア」(同:石川貴之、佐藤哲朗、鈴木和真、水野直子)は幅2.3m×高さ2.5m。バイオメタル(形状記憶合金)を使用し、静音性の高いのれんの上下運動を実現することによって、暖簾のモアレ現象を増幅させる。

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「響きあう、今と昔/三井ガーデンホテル日本橋プレミア」

 「日本橋 音ノ場/にんべん日本橋本店」(同:小田部剛、馬場隆介、水野諒大、森幸浩)は幅3.5m ×高さ1.5m。max/msp(ソフトウェア)を使用し、調理音を音楽として再構築し、超指向性スピーカーで耳元から音が聞こえるようなシステムを構築。出汁が煮える音、鰹節を削る音のほか、香りも漂う(暖簾自体から香りが出るわけではないが)というのが〝味噌〟。

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「日本橋 音ノ場/にんべん日本橋本店」

 「マンダリン オリエンタル 東京の風/マンダリン オリエンタル 東京」(同:五十嵐優作、斧涼之介、佐藤達哉、水村真理子)は幅7m ×高さ2.7m ×奥行き2m。ファンと音を制御し、測域センサーを使用し、人の動きに合わせて暖簾が美しくなびき、移ろいゆく森の音を体験することができる。

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「マンダリン オリエンタル 東京の風/マンダリン オリエンタル 東京」

◇      ◆     ◇

 記者は、開催に先立って10月31日に行われたオープニングセレモニーを取材した。4チームがそれぞれプレゼンを行い、7名のアーテイスト、デザイナーなどによる審査委員のトークセッションが行われた。

 一つひとつ紹介する余裕はないが、審査委員からは「清々しいテーマ」「可能性を感じた」「すごい」「面白い」「のれんなくてもよかった」「話せる暖簾なんて世界初じゃないか」「精度高い」「感動した」「パチンコ屋のような電飾がつくられるのではないかと心配したが、杞憂に終わった」「何を置いても似合う」「みんな頑張った」「想像を超えた」「(商品を)買いたくなる」「音が香りを引き出した」「大きな一歩」「プロセスが大事」「(企業の代表などと)フラットで話し合える」「経験は次に生きる」「街とつながる」などと感嘆・絶賛の声が上がった。

◇       ◆     ◇

 「暖簾」と言えば、記者などは木綿か麻でできているものしか浮かばないが、マンダリンホテルのそれは「レーヨン」(化繊)で出来ていて、白いカーテンのようだった。しかも5層の奥行きもあり、足元には既設の水盤もあった。日本橋に本社を構える東レが制作に協力していると聞き、なるほどと思った。「暖簾」の既成概念を根本的に変えた作品だ。

 にんべんの出汁が煮える音とか鰹節を削る音も流れるという暖簾にもびっくりした。審査員の方も「すぐ買いたくなる」と話したのも大げさではない。これはすごい。だが、しかし、出汁(煮込みか)が煮える音は、窯ゆでにされたような恐怖を覚えないか。入る客も逃げ出さないか、少し心配になった。記者はかつて鰹節を削り、最上の昆布で味噌汁をつくっていたが、だし汁が沸騰する音は聞こえない。

 それにしても、奇想天外な発想に呆れかえりもし、無限の可能性も感じた。あらゆる商品が〝五感に訴える〟時代がやってくるのではないか。〝シズル〟は広告業界の永遠のテーマなのだろう。

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オープンセレモニー 参加者と審査員など

カテゴリ: 2018年度

 昨日(10月31日)書いた2020年東京オリンピック・パラリンピックの選手村にもなる「HARUMI FLAG」の記事のうち、次の文章を削除する。

 「大会終了後の改修費について他の記者の方が質問されたが、これも明確な返事はなかった。報道では約500億円とあるが、これを住宅戸数で割ると887万円になる(タワー棟を除けば1戸当たり1,000万円くらいか)。これはあり得ない。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない。

 大会組織委員会が負担するのであれば、間違いなく国民の批判を浴びる。どのような契約になっているのか情報を開示すべきだ。開発法ではこの改修費をどこが負担することになっているのか聞きたいものだが…。」

 削除するのは、新たな事実が分かったからだ。東京都オリンピック・パラリンピック準備局が平成30年5月7日付で都議会用に作成・公開した「選手村宿泊棟の整備について」と題する文書を入手した。(誰でもホームページで閲覧できる)

 そこには、「東京都が施行する市街地再開発事業において特定建築者が整備中の住宅棟を選手村の宿泊棟として一時借用して活用」「構造躯体の状態まで整備した住宅棟に、組織委員会が大会用の仮設内装を付加し、大会期間中に使用した後、撤去」「大会終了後、大会中に一時使用した宿泊棟は、特定建築者が分譲・賃貸住宅等として改修」「ベッドやテーブル、椅子などの備品は組織委員会が調達」とある。

 また、宿泊棟の大会時内装工事については、住宅棟を選手村として使用するための内装、設備等の新設工事及び解体工事(工事監理業務等を含む)の金額は約444.9億円(工事費:約441億円、工事監理費:約4億円)で、組織委員会と特定建築者の間で平成30年3月27日に契約が交わされたとある。

 費用負担は、宿泊棟の大会時内装工事等の費用、メインダイニングなどの仮設施設を整備する費用、住宅棟等を特定建築者から選手村として借りる費用を東京都が、備品の調達など運営等に係る費用は組織委員会がそれぞれ負担するとある。

 さらに文書には、「選手村宿泊室(イメージ)」の簡単な間取り図が添付されており、給湯器、室内ダンボール建具、シャワーユニット・トイレ、3点ユニットバス、壁ボード、フローリング、天井ボード、エアコンなどは撤去するとしている。

 ◇       ◆     ◇

 この文書から、東京都と組織委員会が特定事業者から建物がスケルトンの状態で借り、組織委員会が内装工事を施し、大会終了後に撤去し、その費用負担は都と組織委員会が追うことが決まっていることが分かる。

 文書を読まれれば、記者が「あり得ない金額だ。三菱地所ホームの全館空調フルリフォームだってこんなにしない」と書いたのはいかに的外れであるかもわかる。知らなかった記者が馬鹿だということだ。

 なので、取り消すが、記者は昨年8月、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に施設の設備仕様などについて問い合わせたところ、「大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」と回答があった…これはどういうことか。セキュリティはどうした。ものごとは全て力関係ということか。

 昨日だって、きちんと説明すれば誰も不思議に思わなかったはずだ。

 選手村としての内装は、キッチンを付けないのは分からないではないが、ダンボール建具や3点ユニットバスを採用するとは…ビジネスホテルと一緒だ。世界トップクラスの選手に失礼ではないか。有名なサッカー、バスケットボール、メジャーリーグの選手は絶対泊まらないと思う。アメリカでは紙のドアは当たり前かもしれないが、この前見た末長組のウォルナットのリビングドアは重さ60キロだった。いっそのこと、伴茂さんの〝紙の家〟にしてはどうか。

 分譲する住戸のリビングの標準天井高は2500ミリで、サッシ高は身長が高い選手が頭をぶつけるような1800ミリということはないようだ。

聞きたいことは不明オリ・パラ選手村の街の名称「HARUMI FLAG」来春分譲(2018/10/31)

東京オリンピック・パラリンピック選手村「施設・設備の仕様は非公開」なぜ(2017/8/1)

 

カテゴリ: 2018年度

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「札幌」の外観イメージ

 大京は10月30日、ホテル開発事業を福岡市、札幌市、熊本市でそれぞれ行うと発表した。

 同社は2017年度を初年度とする「大京グループ中期経営計画」で、新たな事業の柱として不動産ソリューション事業に注力するとしており、「ホテル開発事業」「賃貸マンション開発事業」「CRE 戦略支援事業」「オフィスビル開発事業」などを行う「ソリューション事業部」を今年6月に立ち上げた。年間売り上げ目標は300億円。

 「福岡」は、福岡市地下鉄七隈線渡辺通駅から徒歩4分、敷地面積約1,241㎡の12階建て242 室(予定)。開業予定は2021年9 月。

 「札幌」は、札幌市営地下鉄南北線大通駅から徒歩4分、敷地面積約1,071㎡の12階建て全182室(予定)。 開業予定は2020年6 月。

 「熊本」は、熊本市電辛島町駅から徒歩2分、敷地面積約788㎡の10 階建て200 室(予定)。 開業予定は2021年1月。

 

カテゴリ: 2018年度

 「配偶者を愛している」84%-不動産情報サービスのアットホームは10月29日、「共働き夫婦の実態」調査をまとめ発表した。11月22日の“いい夫婦の日”に合わせて行ったもので、一都三県で持ち家に住み、子どものいない共働き夫婦(DINKS)の男女548名を対象にしたもので、住宅取得価格は平均4,179万円で、「配偶者を愛している」比率は84%、「一緒に風呂」が30%に達するなど〝円満夫婦〟であることを浮き彫りにした。

 調査によると、①自宅の購入価格は平均4,179万円、住宅ローンの借入額は平均3,243万円②住宅ローンを完済した世帯は14.6%③自宅は夫婦共同名義 51.1%④それぞれが自分の給料を個別に管理する世帯は50.5%⑤今後も共働きの生活を継続したいは86.3%⑥配偶者を愛している度合いは平均84.2点-などがわかった。

 このほか、生活が安定している世帯は平均67.7%、仕事に満足している人は65.3%、自由に使えるお金は6.4万円、家事負担は夫が3.3割、妻が6.7割、帰宅時間は夫が18:56、妻が18:34、一緒に風呂に入るが30.3%だった。

◇       ◆     ◇

 予想通りの結果となった。取得価格からして23区の駅近マンションは絶望的であることを改めて印象付けたが、極めて健気で仲良し夫婦像が浮かび上がり、とても嬉しくなった。

 やや意外だったのは、自宅の延床面積が平均83.9㎡と広いことだが、これは中古マンション(16.1%)、新築建売住宅(20.6%)、中古一戸建て(5.5%)の購入者も合計で42%に上っていることの反映か。

 「配偶者の年収を知っているか」の問いでは夫の74.8%、妻の88.3%が知っていると答えたが、知らない人が少なくないのに少し驚いた。

 一緒に風呂に入る世帯が30.3%にも上ったのには嫉妬を感じたが、30代、40代の子どもなしでは当然か。子どもができてごらんよ…野暮なことは書かない。記者は二十歳を過ぎてもお父さんと風呂に入っていた女性を知っている。

 これらの結果をデベロッパーはよく研究すべきだ。70㎡台の平凡な間取りではDINKS層を満足させられないということだ。主寝室を広くする、風呂を豪華にする-などはすぐ実行すべきだ。

 

カテゴリ: 2018年度

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第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式(すまい・るホールで)

 日本木造住宅産業協会(木住協)は10月27日、第21回「木のあるくらし作文コンクール」表彰式を開催した。

 同コンクールは「木造住宅は地球環境にやさしい住宅」であるという同協会の広報・啓発活動の一環として、毎年10月18日の「木造住宅の日」にちなんだイベント。昨年までのテーマ「木の家・こんな家に住みたい」としていたのを応募しやすくするため「木のあるくらし」に変更し、国土交通省大臣賞、文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、環境大臣賞の4つの大臣賞に加え新たに「外務大臣賞」を設けた。

 応募の結果、国内1,087校(前年比62.7%)と海外のベトナム、ニューシーランド、オーストラリア、インドネシア4カ国からの106作品を合わせ10,882点(同47.9%)の作品が寄せられた。審査の結果、各大臣賞と住宅金融支援機構理事長賞、日本木造住宅産業協会理事長賞、朝日小学生新聞賞と木住協地方各ブロック賞など35作品が表彰された。

 同協会・市川晃会長(住友林業社長)は、「今回からより取り組みやすいテーマに変更し、外務大臣賞も設けたことで新たな第一歩を踏むことができました。寄せられた作品は、日ごろ目にされたり触れたりされていることを豊かな文章力で表現されており、感動をいただいた。この感動をみなさんと共有し、自然と共生する大事さを次世代につなげていきます」と挨拶した。

 審査委員長のイラストレーター・はせがわゆうじ氏も、「作文が上手な人は朗読力も上手ということがよくわかりました。驚きの連続でした。他の人は持っていない何かを皆さんは持っている」と絶賛し、「白い紙を広げて、何でもいいから表現してみてください。そうすると自分の気持ちが整理され、見えないものが見えてきます」とエールを送った。

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市川会長

◇       ◆     ◇

 作品は、市川会長やはせがわ氏が「感動的」と話したように、みんな素晴らしいものばかりだった。その中で2つ選べと言われたら、記者も国土交通大臣賞を受賞した群馬県・伊久間彩愛さんの「シマトネリコが守る家」(高学年の部)と、徳島県・中本侑志くんの「ぼくの木のいえ きいくん」(低学年の部)を選ぶ。

 佐久間さんがいきなり「僕の家はいい物件だ」と話しだしたときはびっくりしたが、燕のことだと分かり、鳥の目線から同じ鳥の世界や人間界を観察する洞察力に感嘆の声を上げたくなった。

 佐久間さん、最高に素晴らしい。なにが素晴らしいかと言えば、ツバメのオスの気持ちでものごとを考えられるということです。参考ですが、わたしの好きな小説家・小池真理子さんは「わたしは両性具有。男女それぞれの視点で小説を書ける」話しました。「両性具有」とはミミズとかウニなどオスとメスの機能を持ち合わせている動物です。

 大きくなったらぜひ小池さんの小説を読んでみてください。男や女、社会の出来事をよく観察されていることが分かるはずです。これからの世の中は、男(オス)と女(メス)のそれぞれの立場からものごとを考えるモノサシ(思考力)が必要になるはずです。佐久間さん、今度は虫の目線で書いて。

中本くんは2年生くらいか。曾祖父の時代から育ててきた木を材料にして建てた家を紹介する内容だが、「ぼくの家はヒノキ(桧)、スギ(杉)、マツ(松)、クリ(栗)、ツゲ(栂)、ケヤキ(欅)、カヤ(榧)、ネズ(杜松)で出来ている」と話した。

中本くん、すごいね。おじさんは7つ目までは分かるけど、「ネズ(杜松)」は初めて聞いた名前です。みんな中本くんの住んでいる徳島県で採れた木なんでしょうね。

中本くん、国土交通省の人が「木は人にやさしい、環境にやさしい、地球にやさしい」と言いましたよね。おじさんもそう思う。みんなそう思っている。けど、日本の家は、昔は80%くらいが木で出来ていたのが今は60%くらいに減っています。その代わり鉄やコンクリートの家がどんどん増えています。

なぜだと思いますか。お父さんやお爺さんに聞いてみてください。おじさんもよくわかりません。木住協の中で一番偉い住友林業の市川社長さんにも聞いてみてください。「市川さんの会社は何種類の木を使っていますか。徳島の木は使っていますか」と。

 農林水産大臣賞(低学年の部)を受章した群馬県・小暮浩輔さんと、文部科学大臣賞(高学年の部)を受章した鹿児島県・阿部恵さんはそれぞれ4分間、作文を手にしたままで暗唱した。木住協関係者は「何回も参加しているが、暗唱するのを見たのは初めて」と感嘆の声を上げた。

◇       ◆     ◇

 前段で書いたが、応募作品が激減したのにも驚かされた。昨年は6年連続の2万点超の22,778点だから、今回は半減以下だ。各ブロック賞を含め表彰・受賞した35作品を都県別にみると東京、神奈川、埼玉、大阪、名古屋などの大都市はゼロで、各4作品の群馬、静岡、千葉など21県しかないのも気になった。〝山林王〟諸戸林業を擁し、平成30年度農林水産祭で速水林業の速水亨・速水紫乃両氏が夫婦連名で天皇杯を受賞したわが三重県は作文コンクールに縁のないのはどうしたことか。

 その理由を木住協関係者は、「われわれも驚いている。手を抜いたわけではない。その逆で、取り組みやすいテーマにした。先生の長時間労働が問題となり、働き方改革が進められていることと関係があるのかどうか」「わたしにも子どもがいるが、子どもも先生も負担を減らそうという動きはある」「他の作文コンクールも応募が激減しているという情報もある」などと話した。市川会長も「原因を分析する」と語った。

 なにも知らない記者は言葉を慎まなければならないが、母語(日本語)を読む・書く・朗読することは教育・人格形成の基本ではないのか。「負担を減らす」のは分からないではないが、この基本までも減らしたら思考力はどうなるのか。教育現場で何が起きているのか、何が終わったのか。

 

応募2万点超 木住協 第20回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式(2017/10/29)

 

 

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「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム」(全国都市会館大ホールで)

 書かない(未然)、書きます(連用)、書く(終止)、書くとき(連体)、書けば(仮定)、書け(命令)-書こう。美しいし森林づくり全国推進会議と林業復活・地域創生を推進する国民会議は10月23日、「官民協働で拓く『森林×SDGs』シンポジウム~新産業創出と地方創生につなぐ、分野横断的な森づくり・木づかい~」を行った。約200名が集まった。

 出だしは最悪だった。冒頭、3名の方が挨拶に立たれた。このうちの2人の方はそれぞれ数分間、聴衆に向き合わず、ほとんど(文章が用意されていたのか)下を向くかプロジェクターに呼び掛けるのみで、一通りの挨拶を済ませると〝そそくさ〟と降壇した。情けない。残念至極。

 〝そそくさ〟は記者が受けた印象だが、あり得ない光景だった。これが何かのプレゼンだったら、審査員はみんな×印を付けたはずだ。もう帰ろうかと思った。それでも我慢したのは「森林×SDGs」のタイトルに期待したからだ。

 そのあと基調報告として登壇された川廷昌弘・博報堂DYホールディングスグループ広報・IR室CSRグループ推進担当部長は、「アドレナリンが出っぱなしといつも注意を受ける」と〝過ぎたるは猶及ばざるが如し〟を自覚されていたようだが、熱っぽく聴衆に呼び掛けた。

 それからまた4人の方が合計で約2時間かけて概要報告をされた。配布されたプロジェクター用の資料は全72ページ。すべて紹介されたわけではないが、びっしり文字が書き込まれた図表を1枚につき約30秒で読まされる聴衆はたまったものじゃない。〝文字が小さい!〟と渡辺謙さんのように叫びたくなった。

 それでも救いがあった。最後に登壇された東急リゾートサービス 資産企画統括部グループリーダー・徳田圭太氏は、「アカデミックな話ではなく、現場・生の声を報告したい」と切り出し、660haの「東急リゾートタウン蓼科」が2012年の土砂災害を受け、その復興に取り組むうちに単なる土木対応では災害を奉仕できないと考え、「守る」(間伐)-「つなぐ」(育てる)-「使う」(利用)することこそが「我々の使命」に気づき、「MORIGURASHI」事業を展開するようになったと話した。プロジェクターはほとんど使用しなかった。

 徳田氏から〝森と山と幸と恵み〟と紹介された同じ部署の森山幸恵氏は、様々なイベントなどを行うことで「今年の夏は大盛況だった」と語った。

 二人の概要報告に、パネルディスカッションのコーディネーターを務めた東京農大教授で美しいし森林づくり全国推進会議事務局長の宮林茂幸氏は「それこそSDGsの実践者」と讃えた。

 パネルディスカッションでは、あらゆる生産活動、消費活動をSDGsの視点から問い直し、プラットホームを構築することが必要とパネリスト全員が確認しあった。

 記者は終わりよければすべてよしと安堵した。参加者も同じ感想を抱いたのではないか。

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徳田氏(左)と森山氏

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宮林氏

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 SDGsは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年9月の国連総会で採択された「Transforming our world :the 2030 Agenda for Sustainable Development (我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ)」と題する成果文書で示された具体的行動指針。17のグローバル目標と169のターゲット(達成基準)から構成されている。

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 エコ・ファースト推進協議会は10月22日、第9回「エコとわざ」コンクール審査結果を発表。応募作品630点の中から環境大臣賞には(大口町立大口中学校2年・下山樹さんの「未来の計は エコにあり」、エコ・ファースト推進協議会優秀賞には仙台市立金剛沢小学校5年・佐藤恵音さんの「とりもどせるり色の海を 脱プラで」、日本ことわざ文化学会賞入賞は東近江市立蒲生西小学校2年・和田昂志郎さんの「せかいじゅうの子どもで エコどもサミット」をそれぞれ選んだ。

 各企業賞では、大和ハウス工業賞は川越市立野田中学校3年・藤井隆斗さんの「エコな家 夏はcoolに 冬はポカポカ」、一条工務店賞は磐田市立青城小学校4年・庄司悦梨さんの「木を植えて自然を作ろう人の手で、いのちのバトンつなごうよ」、積水ハウス賞は都城市立沖水小学校4年・坂元律公さんの「リビングで 家族だんらん エコ生活」がそれぞれ選ばれた。

 記者の好きなのはライオン賞に選ばれた常滑市立青海中学校1年・佐々音羽さんの「おさがりは 幸せつなぐ エコバトン」だ。

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「長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム」全景

 長谷工コーポレーションは10月22日、創業80周年記念事業として建設を進めてきた多摩市の「長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム」が完成したのに伴う記者内覧会を行った。

 施設は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩12分、多摩市鶴巻3丁目に位置する敷地面積約17,663㎡、延床面積約8,800㎡。長谷工技術研究所、長谷工グループ技術研修センター、長谷工コミュニティ アウル24センター、長谷工マンションミュージアムからなる3階建て本館と、4階建て住宅実験棟、1階建て多目的実験棟の3棟で構成されている。このほか、地域に開放するビオトープも整備している。

 マンションミュージアムは、企画展示や同社主催のコンテスト当選作品の展示、子ども向けイベントなどを開催し、事前予約制で一般に公開する。

 長谷工テクニカルセンター・長谷工マンションミュージアム館長・江口均氏は、「これまでの各施設はそれぞれ分散しており手狭になっていたので、いいところはないかと探していたら、たまたま(多摩多摩)ここが見つかった。集合住宅の歴史や未来、建て替えを検討されている管理組合や一般の方々にも案内していく」と話した。

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外観

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HASEKOライブラリー

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実験施設

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多目的実験棟

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 ある記者の方が「多摩市、中でも多摩ニュータウンは若者の数が少なく、高齢化が進んでいる」と発言した。

 これにはカチンときた。多摩市民として黙っていられない。確かに数字はそうかもしれない。平成29年の多摩ニュータウンの高齢化率(65歳以上)は23.2%となっており、市域別で高齢化率を見ると、多摩市は29.3%で、八王子市の19.2%、稲城市の17.6%、町田市の11.8%と比べ突出して高く、東京都の平均23.3%、全国平均の27.7%よりも高いのは事実だ。

 なぜなのか。簡単に言えば、昭和40年代の高度成長期、地方から流入する大量の労働者の住まいを確保するために多摩ニュータウンがつくられ、多摩市は他の市よりも早く開発が進められたからだ。

 その矛盾が噴出しているのは言われなくたって理解している。西浦定継・明星大学教授は「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減する」と警鐘を鳴らしている。

 だからこそ多摩市は、そうならないよう「多摩ニュータウン再生」に取り組んでいる。高齢化は進んではいるが、街の美しさと緑の多さはどこにも負けない。元気な高齢者も多いはずだ。その知見を生かせば再生は可能だ。

 お願いだから〝オールドタウン〟などと呼ばないでいただきたい。

 今回の長谷工コーポの施設が「多摩ニュータウン再生」につながるかどうかは分からない。記者は賑わいを創出するために複合タウンを希望していたのだが、この土地は当初の都市計画で業務用とされているので、そうならなかったのは残念だ。

 施設を一般に公開するのは結構なことだ。しかし、マンションミュージアムを小学高学年向け課外授業の対象にするのはやや難しすぎるのではないか。映像や年表、図表とにらめっこしても集合住宅のことを理解するのは容易ではない。むしろ学生さんや一般の方、業界関係者などが見るといい。戦後の集合住宅の変遷がよくわかるはずだ。同社が編み出した「コンバス」は、問題はたくさんあるけれども開発当初はいかに先進的で機能的だったかもわかるはずだ。

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「コンパス」開発当初の広告

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「コンパス」の再現(玄関床は塩ビシート、キッチン吊戸棚には耐震ラッチ)

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子どもの勉強コーナー

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設計担当者のデスク今昔

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多摩中央公園

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レンガ敷きの遊歩道「パルテノン大通り」(距離は約400m、幅員は約50m、クスノキの街路樹は60本以上)

「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減」 西浦・明星大教授(2014/1/29)

カテゴリ: 2018年度

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 三井不動産は10月18日、ミッキーマウスのスクリーンデビュー90周年記念に合わせ、「ディズニー ミッキー90周年 マジック オブ カラー(Disney Mickey 90th Anniversary Magic of Color)」を11月16日から開催すると発表した。

 東京ミッドタウンを皮切りに約1年間かけて各地の施設・店舗で、ミッキーマウス90周年関連商品を販売するスペシャルポップアップショップや、90体のミッキーマウス立像の展示を展開し、限定商品を販売する。

 詳細は専用ホームページ http://www.magic-of-color.jpへ。

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MIMARU京都 新町三条」

コスモスイニシアが118日(木)オープンするアパートメントホテル「MIMARU京都 新町三条」に体験宿泊した。関係者に試泊してもらい、アンケートなどによる声を開業に生かそうという試みだ。

ホテルは、京都市営地下鉄烏丸線・東西線烏丸御池駅から徒歩5分、京都市中京区新町通三条上る町頭町105に位置する敷地面積約1046㎡の5階建て全69室。運営はコスモスホテルマネジメント。

試泊したのは約40㎡のファミリータイプ。記者は第一弾の「上野」と「京都六角」も取材しているので驚きはしなかったが、一般の方ならこの広さに驚くはずだ。ラグジュアリーホテルのツインくらいの広さがある。

しかし、ラグュアリーホテルと根本的に異なるのは、子どもが喜びそうな大人使用も可能な2段ベッド付きの寝室のほか、リビングルームがあり、冷蔵庫・食器類などを備えたミニキッチンがあり、洗濯乾燥機が置いてあることだ。設備仕様を含め、いわゆるコンパクトマンションに限りなく近い。共用部には喫煙室はあるが、レストランなど飲食施設もルームサービスもない(もちろんケータリングは可能)。

つまり、家族、あるいはグループで連泊するお客さんをメインターゲットにしているホテルだ。料金設定もルームチャージ制で、定められた人数以内であれば、たくさん泊まったほうが一人当たりの宿泊費は安くなるというのがミソだ。

記者は、チェックインを済ますとすぐ先斗町と祇園に繰り出し、かみさんと一緒に食事をし、11時前に戻り、翌日は大阪の取材に朝早く出かけたので、キッチンも洗濯機も冷蔵庫も使わなかった。洗面の水栓は確かグローエ、家具類は無印か。

ホテルの〝売り〟の一つである持ち出し可能のスマホは、日本語設定方法が分からず(分かっても使い方を記者は知らないし、かみさんも頼りない)、これも使わなかった。

建物は間口が広く、外観は黒(濃紺か)が基調で同じ色の格子が美しい。

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興味深いのは、わが国では極めて珍しいこの種のホテル利用者がどのような感想を抱いたかだ。早速、口コミサイトをチェックしてみた。概ね評価が高いのにびっくりした。

「とても良い(76%)」「家族の夕食を作るためにキッチンを利用することを強くお勧めします」「今までに滞在した最高のホテル」(以上「上野」)、「とても良い(85%)」「この値段はあり得ない」「お部屋に乾燥機付洗濯機が入っているのは、本当に有難かった」「部屋は最高でした!」(以上、「京都六角」)。

いったい何を基準に評価するかが問題だが、「上野」は上野駅圏でもっともいいと思うホテルより総合点で上回っていたのに2度驚いた。

さらに驚いたのは、同社から紹介された「トリップアドバイザー」のサイトでは、「MIMARU東京 日本橋水天宮前」が都内の名だたるラグジュアリーホテルを抑え堂々の2位にランクされていることだ。自慢でもないが、記者は「マンションの究極はホテル」だと思っているので、いいホテルは泊まるようにしてきた。このサイトでベスト30に入っているうち10近くは宿泊している。トップにランクされている渋谷のホテルはコーヒーしか飲んだことはないが、系列の銀座のホテルの朝食バイキング(デザート)をかみさんは絶賛した。

これも何を基準にしているか調べなかったが、もう「凄い!」としか言いようがない。口コミの凄さは記者でもわかる。

同社の「MIMARU」は「京都新町三条」で7施設目。当分は〝空白区〟のこの種のホテルで独走するのか。間違いなく2番手、3番手が現れる。「マンション? もうあきまへんわ。ホテルに勝てない」タクシーの運転手さんもホテルラッシュにあきれ返っていた。

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ファミリールームタイプ

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寝室

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ロビー

〝家族に愛されるホテル目指す〟 コスモスイニシア「MIMARU京都 堀川六角」開業(2018/4/13

骨太ニッチ〟アパートメントホテルで独走 コスモスイニシア第一弾「上野」開業(2018/2/20

 

 

 

カテゴリ: 2018年度
 

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