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 国土交通省は1月29日、第3回「長期優良住宅制度のあり方に関する検討会」を開催。マンション計画修繕施工協会と住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会がプレゼンを行った。

 検討会は、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が平成21年6月に施行されてから今年6月で10年が経過することから、制度に対する評価や課題を整理し、制度の更なる普及促進に向けた取り組みや方向性を検討するもの。

 同制度が施行されてから平成29年度末の認定累計実績は915,194戸(一戸建て894,943戸、共同住宅等20,251戸)で、平成29年度で見ると、住宅着工に占める割合は一戸建てが24.6%、共同住宅が0.3%となっている。

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 検討会を傍聴するのは今回が初めてだ。マンション計画修繕施工協会と住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会がプレゼンをしっかり聞いた。

 申し訳ないが、記者はこの2団体を全く知らなかった。検討会の松村秀一座長(東大大学院教授)も「ずいぶん長い」と仰ったように、後者は16文字だ。全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の14文字より多い。何とかならないか。国土交通省の「土地・建設産業局」もそうだが、「・(なかぐろ)」が付いているのはどうか。最近は文字を詰めるのが流行りのようで「ワーママ」もあるようだから「住活協議会」はどうか。「土地・建設産業局」もみんな「土建局」と呼んでいる(記者は失礼だから絶対そのようには呼ばない)。

 馬鹿なことを書いたが、両団体のプレゼンを聞いて残念だったのは、同制度の認知度が低く、住宅の品質が高いにもかかわらず(中古)市場で適正に評価されていないことが報告されたことだ。

 松村座長も「法律の目的の本丸はストックだったはずだ」と述べたように、この問題は解消されなければならないと思う。

 現場はどうなっているか、レインズ情報を調べた。レインズ情報は不動産会社が独占的に利用できるもので、一般の人はもちろんメディアもどのような情報が盛り込まれているかを知ることはほとんど不可だ(頼めば見せてくれるかもしれない)。

 分かったことは、まず「長期優良住宅マンション」で検索しても物件はヒットしないであろうということだ。長期優良の認定を受けた物件名で検索すれば売買履歴情報を取り出せるが、そんなデータを不動産流通会社は公表していないはずだ。

 戸建ては大手ハウスメーカーで構成されている優良ストック推進協議会が独自の査定方法を用いた「スムストック認定」を行っており、中古市場でも高い評価を得ているデータを公開している。しかし、これも「スムストック」=長期優良というわけではない。

 問題はこのほかにもたくさんある。第一は、適正に評価されていないこととも密接に関係するのだが、消費者に分かりづらいという点だ。かつて記事にもしたが、長期優良住宅認定を受けたマンションなのに環境性能評価の「CASBEE」で〝並〟の評価しかされない事例があった。特上の料理を食べたはずなのに、別の店では並だったというのでは消費者はたまらない。モノサシが異なると片づけていい問題か。

 同制度では、「良好な居住水準を確保するために必要な規模」として、一戸建ては75㎡以上(一人居住は55㎡)、共同住宅は55㎡以上(同40㎡)の面積要件を定めているが、「良好な居住水準」=「居住面積」と決めつけているところに問題がある。どんな法律にもあるように「その他優れていると思われるもの」などと逃げ道を作っておくべきだった。

 しかし、この面積要件を変更するのは難しいのではないか。これに手を加えれば他の法律や税制全てを変えなければならない。撤廃が一番いい。そもそも国が優良であるとか不良であるとか(そう言っていないが)を定めるべきでないというのが記者の持論だ。大きなお世話だ。

 記者は面積よりも天井高のほうが気になる。「長期優良」と謳うのであれば最低でも居室面積は2500ミリ以上にし、高さ規制、容積規制を緩和したらどうか。

 もうこれ以上書かないが、検討会委員の方も話したように〝見える化〟を進め、何よりも消費者に分かりやすい制度に改めてほしい。

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 どうでもいいことだが、何十年振りで同省の地下1階にある食堂を利用した。よく知られた牛丼屋もあったが、いろいろトッピングできるうどん屋でかき揚げを付けて「なんでも合う」というわかめうどんの小を頼んだら450円だった(伊勢うどんより安い)。昔タバコが吸えた隣の喫茶店は禁煙になっていたので利用しなかった。

 それにしても、国のシンクタンクであるはずの国交省職員はこれではあまりにもかわいそうだ。もっとましな環境を整えられないか。全館禁煙も検討されているとか。喫煙は人権だ。

なぜ伸びない品確法性能表示&長期優良住宅 どうなる中古住宅評価(2015/9/4)

長期優良住宅が「CASBEE」で評価されないのはなぜ(2013/6/13)

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CAFÉSPACE ...」完成予想図

小田急電鉄と小田急不動産は125日、小田急多摩線栗平と黒川駅前にそれぞれ新しいライフスタイルを提案する拠点をオープンすると発表した。

栗平駅前の「CAFÉSPACE ...」は、幅広い世代が集まり、笑顔で団欒する地域のLDK(リビング・ダイニング・キッチン)のように、地域住民同士、地域住民と小田急グループが繋がる場所になって欲しいという想いを込めた。コミュニティカフェ、キッチン付きを含む3部屋からなるレンタルスペース、仕事や趣味などに集中して取り組めるワークスペースなどからなる。開業は3月中旬。

黒川駅前の「ネスティングパーク黒川」は、「巣(Nest)」と「Nesting(つどい)」を合わせ、産まれ、巣ごもり、巣立っていく「Nesting Park」と名付けた。小田急グループの神奈川県内で初めての取り組みとして、シェアオフィス「キャビン」を核とした複合施設を新設する。施設の企画・設計監理はリノベーション賃貸住宅「ホシノタニ団地」などで実績があるブルースタジオが担当する。開業は5月。

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 結構なことだ。ライバルの京王電鉄は昨年10月、駅前の京王プラザホテル多摩内にサテライトオフィス「KEIO BIZ PLAZA」をオープンした。会員制でICカードを使って入退室でき、月単位や時間単位で利用できるようになっている。東京都の「サテライトオフィス設置等補助事業」の第1回採択事業でもある。同社は駅前の保育所開設も積極化している。

 双方が競い合いこの種の施設をどんどん設置して、地域のポテンシャルを引き上げてくれることに期待したい。マンションの分譲単坪単価は、足立区の北千住で300万円台の後半に迫り、埼玉県の所沢、神奈川県の大船は350万円だ。本厚木だって260万円で人気を呼んでいる。

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 記者は小田急線に乗って通勤したことは一度もないが、いつの間にか速くなっている。ネットで調べたら小田急多摩センター-新宿は最速33分で370円。一方の京王線は京王多摩センター-新宿は39分で319円。本数は京王線のほうが多いから、小田急に追いつかれることはないと思うが…。

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「ネスティングパーク黒川」完成予想図

 

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平成31年 新春経済講演会(グランドプリンスホテル新高輪で)

 すてきナイスグループは1月25日、恒例の平成31年 新春経済講演会を行った。三部構成で、第一部の日本総合研究所会長・寺島実郎氏による講演から第二部の同社会長兼CEO・平田恒一郎氏、同社副社長・日暮清氏、同社社長・木暮博雄氏、ナイス社長・杉田理之氏によるグループの近況・方針発表、第三部の日刊木材新聞社社長・岡田直次氏をモデレーターとする業界8社社長によるパネルディスカッションまで、イベントは約4時間に及んだ。

 「Gywood®(ギュット)」詰まった中身に約1,500名の参加者は、寺島氏が話した日本の〝針路〟を見失ったかのように船を漕く人も一部見られたが、最後は新春賀詞交歓会に酔いしれた。

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 他の取材もあり、駆け付けたときは平田会長が「今年のキーワードは『素敵ワクワク』。新しい時代をワクワクして迎え、全社一丸となって全力で邁進する」と挨拶し終えたときだった。

 続いて登壇した日暮氏はグループの事業はSDGsの目指す方向と一致すると強調、さらに木暮氏はそれを補強するかのように最近の具体的事例を紹介、最後は杉田氏が同社も開発に関わった「Gywood®(ギュット)」で締めくくった。

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 第二部あたりからコクリコクリとする人も散見されたが、第三部のパネルディスカッションは中身がぎゅっと詰まった素晴らしい内容だった。

 詳細は同社が会報紙誌などで掲載するはずだからそちらを読んでいただきたい。ここでは中身をぎゅっと絞ったエッセンスだけを紹介する。

 パネリスト8氏は「平成30年」を次のように色紙1枚にまとめ振り返った。(発言順)

 「謝」 大建工業社長・億田正則氏 昨年はシステム障害などを起こし皆様にご迷惑をおかけした。まず陳「謝」します。この30年間は選択と集中を進め、撤退したものもあるが、素材事業は平成の初めは11%だったのを35%まで伸ばした。輸出も大幅に増やした。新陳代謝の「謝」でした。事業伸長はお客さまや皆さんのお陰、感「謝」申し上げる。

 「後塵」 パナソニックエコソリューションズ社長・北村亮氏 先進国であったわが国は発展国に追い上げられ追い越された30年。平成元年のとき、世界トプ企業50社のうちわが国企業は32社だったが、今は18位のトヨタのみ。後塵を拝した。当社もデジタルまではついていけたが、ネットに後れを取った。反省を込めて新しい時代を迎えないといけない。

 「再生」 セイホク社長・井上篤博氏 平成元年からの3年間は、米ソの冷戦終結、天安門事件、東西ドイツの統一、湾岸戦争があり歴史の大きな転換期だった。それは元に戻らないという意味の創造的破壊でもあった。わが国は阪神淡路や新潟、東日本大震災により素地や故郷が破壊された。「再生」はコピーではなく新しいものを生み出さないといけない。

 「復興」 SMB建材社長・角柄明彦氏 わが国の国土は地球の0.28%しかないのに巨大地震の2割を占める地震国。数々の大地震が強く記憶に残っている。その都度、建基法改正、耐震化、耐震リフォームなど防災の取り組みも力強く行われた。今後は都市の分散が論議されるだろうし、再生可能エネルギーの活用など防災に強い都市計画を強力に推し進める必要がある。

 「次世代への布石」 吉野石膏社長・須藤永作氏 平成は昭和から引き継いだ課題全部を整えた時代ではなかったか。国も企業も家庭もどう行動するか、その布石を敷いたのが平成ではなかったか。大きな地震や台風などの被害を受けた。その経験を将来にどう生かすか。石こうボードもその布石を生かし、水に強い、音に強い商品開発を行わなければならない。

 「エクセラード」 ニチハ社長・山中龍夫氏 「エクセラード」は平成2年に発売した商品だが、現在では売り上げの6割を占めるほど貢献している。木造の外壁は平成の当初はモルタルが47.5%だった。今は逆転し、モルタルは7%に減少し、当時32%だったサイディングは78%に増加している。時代の変化をチャンスと捉えたい。

 「変革」 TOTO社長・喜田村円氏 ウインドウズが発売されたのは1985年。いけいけどんどんの昭和はバブルで崩壊し、それからアイフォンが普及し、働き方や家族、コミュニティのあり方も変わった。平成は給与が下がったという論議もあるが、観光産業が伸びている。日本は安全でおもてなしの国であることを示した。「変革」には平成は平和だったという意味も込めた。

 「加速」 LIXIL Water Technology Japan CEO・大西博之氏 入社して社会人になった人生そのものの30年間だった。グローバル化、イノベーションが進み、当社の売上げの半分が海外事業となった。とくにスピードが速くなった。トレンドに乗り「加速」することが大事だが、その基となる力がないと流れに乗れない。その力をどうするかだ。

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 パネルディスカッションはその後、予定されている消費増税の影響、対応などに話が及んだ。企業トップとしては当然だろうが、駆け込みに期待し反動減におびえるような声はほとんど全くと言っていいほど聞かれなかった。発言順に各氏の声を紹介する。

 LIXIL・大西氏 崖下に落ちないようジャンプしたい。国策をジャンプ台にして中長期的な視点でリフォーム事業を仕込んでいく

 TOTO・喜田村氏 心配していない。もっと豊かな生活をしたい願いは不変。それをどう後押しするか。ホテルの改装・改修が伸びるのではないか

 ニチハ・山中氏 アメリカも中国も金融引き締めに動きそうだし、イギリスのEU離脱も深刻な影響を与える。日本国内より海外からの直撃に注視する

 吉野石膏・須藤氏 リーマンの影響を受けたが、考えてもしょうがない…というわけではないが、足元をしっかり見つめ、己の信念を貫く

 SMB建材・角柄氏 アメリカも中国も〝自分ファースト〟だが、〝柔よく剛を制す〟だ。50年前と(経済の)力が違う。オリンピック後も景気は持続する

 セイホク・井上氏 消費増税やその他で約8兆円の可処分所得が吸い上げられる不安はあるが、いい国づくりに寄与する素材メーカーとして需要を取り込む

 パナソニックエコ・北村氏 住宅市場が縮小していくのは自明。しかし、オリパラ、非住宅、万博、スポット地方も開発が進む。明るい材料を取り込む

 大建工業・億田氏 むしろ増税後が楽しみ。私は昭和25年生まれだが、これからは若年層と高齢者の人口構成が逆になる。働き甲斐のある社会にしたい

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 国土交通省は1月24日、住宅内の室温変化が健康に与える影響について調査した結果をまとめ中間報告(第3回)として発表した。

 調査は、日本サステナブル建築協会のスマートウェルネス住宅等推進調査委員会(幹事:伊香賀俊治慶大教授)が平成26~30年度の間に実施したもので、断熱改修を予定する住宅に居住する人4,131人(2,307軒)と、断熱改修を実施した人1,194人(679軒)についてそれぞれ改修前と改修後の健康診断結果をまとめたもの。

 調査の結果、①室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧の季節差が顕著に小さい②居住者の血圧は部屋間の温度差が大きく、床近傍の室温が低い住宅で有意に高い③断熱改修後に居住者の起床時の最高血圧が有意に低下④室温が低い家ではコレステロール値が基準範囲を超える人、心電図の異常所見がある人が有意に多い⑤就寝前の室温が低い住宅ほど過活動膀胱症状を有する人が有意に多い⑥床近傍の室温が低い住宅では、様々な疾病・症状を有する人が有意に多い-などの新たな知見が得られたとしている。

 日本サステナブル建築協会は2月1日(金)13:30~17:00、第3回中間報告会をホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区隼町1-1)で行う。定員は300名で参加費は無料(登録制)。詳しくは同協会HP(http://www.jsbc.or.jp/)へ。

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 先週の19日(土)、1月14日付「週刊住宅」のハウジングライター・藤原利彦氏(76)による連載コラム「住宅評論 トレンドを斬る」の文字や写真が小さく、レイアウトがよくないと噛みついたら、今週号の1月21日付では、2回目として登場したポラス・中内晃次郎社長の顔写真も文字も大きくなり、見出しも増え大きくなったのでスペース的にははるかに大きくなった。

 記者の思っていることが伝わったようでうれしい。しかし、文字量からすれば、まだスペースが少なく(あるいは量が多すぎるのか)、見出しにも工夫を凝らすべきだ。

 これまでも何度も指摘してきた。日刊紙に学ぶべきだ。記者はかつて1面全てをある日刊紙のレイアウトを真似て、そこに記事を埋め込んだことがある。レイアウト、デザインに著作権があるかどうかは微妙。そっくり真似るのはよしたほうがいいが…。

 中身は、中内氏が考えていることがストレートに伝わってくる。訓練校の生徒さんが集まらないと悩んでいらっしゃるようだが、サッカーだけでなく、いまが旬の西武ライオンズファンも巻き込めるようにしたほうがいいのではないか。

 住友不動産は東京ドームにも西武ドームにも広告を出しているし、三井不動産、三菱地所、野村不動産、エイブル、ミニミニ、ミサワホーム、大和地所レジデンスなどは野球その他のスポーツや選手を広告に起用している。

 その効果は大きいと思う。RBA野球で優勝した野村不動産アーバンネットは選手の士気が高まったことを含めると1億円の効果はあると記者は計算している。それに反し、ポラス野球部は年々戦力がダウンしている。

 本業ではエリア拡大でなく、シェアアップに力を入れるというのも頷ける。どこも都心部での展開にしゃかりきだが、競争は熾烈を極めているようだ。「仕入れが全然できていない」という嘆きが聞こえてくる。

 同紙の他のマンション記事が大きく扱われているのも正解だと思う。せっかく見学会をやってくれるのだから、思い切って書くべきだ。書く記者の視点が少ない(というよりほとんどない)のは大きな課題。

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 1月22日付「住宅新報」もチェックした。マンションの記事にとどめるが、何を考えているのか、さっぱり分からない。

 4面に三菱地所レジデンスが見学会を行った「本厚木」と「高輪」の記事が掲載されていた。他紙との差別化はまったくできていない。

 一方、10面には旭化成不動産レジデンスの「荻窪大田黒公園」のニュース・リリースの記事が掲載され、9面にもやはりコピペの東京建物ほか「シントシティ」が申し訳なさそうに1段見出しで報じられていた。

 スペース的には地所レジと旭化成不レジがほとんど同じ。前者は行き帰りの取材時間も含めれば2本の記事で10時間はかかる。後者は引き写すだけだから30分で済む。どうしてこんな差が出るのか出ないのか。しかも、旭化成不レジの記事は死亡記事(最近はそうなっていない)のように四方囲みだ。小生が旭化成ホームズの広報担当だったら嫌味の一つも言ってやる。(「荻窪大田黒公園」記事参照

 来週号には三菱地所の掃除ロボットと、地所レジ「千住 ザ・タワー」の記事が双方に載るのだろうが、どのような扱いになるか。またお茶を濁すのか。体裁を整えるのが目的なら現地取材などやめたほうがいい。

 相当厳しく書いた。なぜかと言えば一昨年、「このままでは生き残れない業界紙」と話された東急不動産HD・金指潔会長の言葉が頭にこびりついているからだ。もっと危機意識を持たないといけない。誰も助けてくれない。全宅連がそれを証明した。小生はスポンサーを持たない。安泰だ。

 差別化・安泰について少し説明を加える。昨日の地所レジ「千住 ザ・タワー」の記事は、一昨年に書いた三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ北千住」の記事と一緒に読んでいただきたい。見学会で同社第一販売部の河野祥司氏は「三井(レジ)さんの坪単価330万円が指標になった」と話した。小生は幸運にもその三井レジの「北千住」を見学し、生々しいレポート記事にまとめた。

 よく読んでいただきたい。あのとき、三井レジの社内では「350万円でもいけたのでは」という声もあったそうだ。その時点で地所レジの単価は350万円になったと確信した。記者の役割は「今を見て」伝えることだ。漠然と「見て」いたら絶対ものは見えてこない。

 もうやめるが、試しに「三菱地所」「北千住」「RBA」で検索したら、2006年に書いた記事がヒットした。「プラン的には天井高最大2.7メートル、二重床・二重天井、ワイドスパン、ディスポーザー、御影石の玄関床、複層ガラス採用など、間違いなく足立区や伊勢崎線の物件では水準以上だと判断した。坪単価は185万円で相場並みとみた」とあるではないか。皆さんはプランや設備仕様について全然書かない。

地所レジ「千住ザ・タワー」 坪300万円台後半 〝住むなら北千住〟あわび千円!(2019/1/23)

自社社宅跡地 公園借景取り込むプラン秀逸 旭化成不レジ「荻窪大田黒公園」(2019/1/19)

藤原利彦氏の「週刊住宅」連載コラム1000回に 中身最高 レイアウトが問題(2019/1/19)

「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)

三菱地所の足立区初の「北千住パークハウス」が完売間近(2006/3/10)

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清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」(丸の内パークビルで)

 三菱地所は122日、先に100台導入を発表したわが国初のAI搭載バキューム清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」の実証実験内容を報道陣に公開した。

Whiz」はソフトバンクロボティクスが開発したもので、幅約474mm×全長約455mm×高さ約653mm。重量は約32㎏。1時間で500㎡、最大約3時間稼働する。充電時間は約5時間。ロボットはリース制で、25,000円/月。

同社はグループ各社が所有、運営管理する全国のオフィスビル・商業施設・物流施設・空港・ホテル・マンションなどに約100台を順次導入していく。同社が施設管理・運営するする沖縄県宮古島市・下地島空港や静岡空港での導入も決まっている。

同社は本格導入に先立ち117日(木)~23日、大手町パークビルで実証実験を行い、清掃性能や省人化の効果などの知見を蓄積する。

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清掃ロボについて説明する渋谷氏(手前のロボの改良型が奥の「Whiz」)

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 この日(22日)は多くの報道陣が詰めかけ、本来は夜中の12時から朝方の6時まで、ほとんど人がいない時間帯に仕事をする清掃ロボットも寝不足なのか、動き回る報道陣にパニック状態に陥ったのか、あるいはまたあちこちから発せられる無責任な質問やカメラマンの要求に腹を立てたのか、さらにまた発表会の責任者、同社ビル運営事業部兼経営企画部DX推進室統括・渋谷一太郎氏と仲たがいをしたのかご機嫌斜め。かすかに揺れるカーテンにもおびえる始末で、あげく渋谷氏の指示に梃子でも動かない頑固な一面も見せた。

 渋谷氏によると、「ティーチング」(指示)さえきちんとしていれば、手抜き作業(記者の得意な丸く掃く)は行わないそうだ。

 「Whiz」をずっと観察した。ロボットに負ける記者ではない。欠点もすぐ分かった。第一は一番肝心の隅っこは掃除できないことだ。「手が届かないところをやってほしい」という圧倒的多数の人の要望には応えられない。カーペットはともかく、隅に集まる傾向が強いタイル・リノリューム床のゴミをどう吸引するのか。 

 もう一つは札束、コイン、家の鍵、指輪首輪鼻輪(イヤリング、ピアス)、入れ歯などの価値判断ができず、吸えるものはなんでも吸い込み、強奪・着服してしまうことだ。分別ができたら褒めてやる。わがオフィスビルを清掃しているプロに聞いたら「たまにイヤリングや100円玉が落ちていることがある」と話した。

 さらにまた、充電の長さだ。3時間働いて充電に5時間ということは、フルに働いて19時間。われら労働者とたいして変わらない。しかも、充電は自分でできない。充電くらいは自分でやらないと。

 参考までに。人による清掃は300㎡で約20分だそうだ。記者はかつて、大京アステージの掃除のプロから「掃除は科(化)学」「床は朝日新聞、窓ガラスは読売新聞」「ホコリは取るもの、誇りは持つもの」などと語り、実演も体験した。その域にロボットはどこまで近づけるか。頑張れ。人は時給1,000円とか。あなたはいくらになるのか。

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清掃中の「Whiz」

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 Whizもすごいが、同社が出資して開発中で、今年中の実用化を目指すSEQSENSE(シークセンス)の警備ロボット「SQ2」がまた素晴らしい。大きさは子どもくらいで、ゆるやかな曲線を描いたデザインが美しい。同社の女性が〝かわいい!〟と歓声をあげるほどだという。

自然界にあるものに例えようと必死で考えたが浮かばない。マグロの胴体や葉っぱにも似ているが、若い女性の体の線のようでもある。もっともよく似ているのは新宿モード学園の外観か。

もちろん機能も優れている。指示したチェックポイントを正確にたどり写真を撮り、データに保存し、レポートも作成する。顔認証も可能で、闖入者も判定できる。関係者は定点カメラなどと連携させればより機動的、効果的に警備が可能になると話した。

 なにより驚いたのは、人間を感知し、声はいかにも合成した声だったが、倒れているような人には声掛けも行い瞬時に警備室に報告もすることだった。熱や煙に反応させることも、トイレに入ったまま出てこない人の安否確認、生体反応などの把握も技術的には可能なようだ。

階段を上り下りするのはハードルが高いそうだが(骨が折れるのか)、エレベータに乗降する研究は行われているという。

 考えることはみな同じだ。泥棒や暴漢に反撃し撃退するためのピストルなどの所持はできないのかと質問が飛んだが、現行法では銃刀法違反となり出来ないそうだ。残念。

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警備ロボットについて説明する渋谷氏

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警備中のロボ

三菱地所 わが国初 清掃ロボット「Whiz ウィズ」100台導入 人手不足に対応(2019/1/13

掃除は科学 床は朝日、窓は読売〟 マンション管理員のスゴ技を1日体験(2017/3/25)

 

 

 

 

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「多摩市街路樹よくなるプラン改定委員会」左から池邉氏、沼田氏、野村徹郎委員(日本造園建設業協会)、仙仁氏、曽我昌史委員(東大大学院農学生命科学研究科助教)

 多摩市は1月20日、「多摩市街路樹よくなるプラン改定版(原案)に関する市民説明会」を開催した。市は「多摩市街路樹よくなるプラン(街路編)」を平成20年度に策定してからから約10年が経過し、課題が生じてきたために「多摩市街路樹よくなるプラン改定委員会」を立ち上げ、プラン改定作業を進めてきた。今年度末に改定版をまとめる予定。

 冒頭、挨拶に立った多摩市街路樹よくなるプラン改定委員会委員長・池邊このみ氏(千葉大学大学院教授)は、「昨年の災害で街路樹がたくさん倒木するなど問題になっており、財政の厳しい全国の各自治体は維持管理費を削減する傾向にあるが、多摩市はそうではない。街路樹が愛され、他の地域から移り住みたくなるようなプランにまとめたい」と語った。

 同委員会専門委員でパルテノン多摩学芸員の仙仁径氏は、「街路樹はパートナー」と題する講演を行い、シンガポールでは街路樹など緑を管轄するのは国立公園庁で、街の価値を向上させるため一括管理を行い、データベース化している例を紹介しながら、緑の管理に市民も積極的に関わっていくことが大事であり、様々な可能性があると話した。

 また、同委員会副委員長・沼田真也氏(首都大学東京大学院教授)は、「他の自治体は予算、お金がないといっている。どこも〝窮すれば鈍す〟だ。しかし、我々はそうした傾向に抗いたいと考えている。次世代に継承できる向こう10年間のプランを作成したい」と述べた。

 約30名の参加者は、市の目指す今後10年を見据えた持続可能なみどりの形成とビジョンに耳を傾け、「多摩は日本一美しい街だった」「素人でも参加できる勉強会などをやって」「樹木にQRコードを付けて」などの意見を述べた。

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左から池邉氏、仙仁氏、沼田氏

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 「40年前までは多摩は日本で一番美しい街だった」-確かこう聞こえた。はっとした。緑が劣化しているという意味で発言されたのだろうか。

 記者が多摩ニュータウンに移り住んで約30年だ。「40年前まで」といえばニュータウン開発が真っ盛りのころで、街路樹もそんなに成長していなかったのではないか。

 その頃より劣化しているとすれば、どこがそうなのかもっと詳しく知りたかったのだが、記者は逆ではないかと思う。多摩ニュータウンの緑環境は成長し続けており、一段と美しさを増している。課題はあるだろうが、大きな価値だし、市民の誇りだ。池邊氏も話したように都民の誇りかもしれない。

 発言者の声を借りれば今後も「多摩は日本一美しい街」であり続けてほしいし。

 樹木も生きものだから、「交通の安全性に支障を来している」との理由で伐採されたり間引きされたりするのは忍びないが、「事故を起こしていいのか」といわれると反論もできないので、改定版の方向性に同意せざるを得ない。

 一つだけ言わせていただければ、そもそもケヤキ、クスノキなどは環境にもよるが樹高が20mくらいに育つ。街路樹を植える段階で分かっていたことだ。樹種の特性を考えなかった都市計画に問題がある。

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 女性の参加者が「わたしは素人」と断り、「みんなが参加できる勉強会などを行ってほしい。樹木にQRコードを付けていただきたい」と話した。

 同感だ。「樹名板」の表示は世田谷区が積極的で、ハウスメーカー・デベロッパーも分譲地やマンション敷地内の樹木にQRコードを付けるようになりつつある。市内では2011年に「緑の都市賞」内閣総理大臣賞を受賞したNPO多摩グリーンボランティア森木会が「樹名板」の表示活動を行っている。市のプラン策定にも関わった涌井史郎氏の名言を紹介する。「木の名前と虫の名前と鳥の名前を覚えると、1歩歩くたびに人生3倍楽しくなる」

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 委員会を主催した道路交通課には注文を付けざるを得ない。説明会が行われた永山公民館ベルブホールの定員は150名だが、参加者は約30名。これはいかにも少ない。池邉氏など委員に失礼ではないか。

 参加者といえば、昨年2月の第6回多摩NT再生プロジェクトシンポでも書いた。以前は定員いっぱいの300名が集まっていたのに半分近くの約160名しか集まらなかった。市の情報発信力の低下は否めない。

 市の人口は今年1月1日現在、約14.8万人で前年比93人減となった。西浦定継・明星大学教授は6年前、「何もしなければ50年後の多摩市の人口は半減する」と警告した。〝日本一美しい多摩〟を担保するはずの「プラン改定版」はどうなるのか。

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 池邉氏や参加者から「美しい」の言葉が再三再四発せられた。説明会の主旨ではないのであまり触れないが、究極・永遠のテーマである「美」とは何かについても考える必要がありそうだ。記者はマンションを見るときも街路樹などを眺めるときいつも美しいかそうでないかを最優先している。

 肝心なのは、対象物そのものが美しいかどうかというよりも、ロダンが言ったように美醜を分ける審美眼であり、美意識だと思う。市の道路交通課の職員の方は「公園緑地課と理念は同じ」と話したが、「交通安全」「道路の付属物」(道路法第2条では並木)のフィルター越しに見る街路樹、緑地帯は果たして公園緑地課などの職員と同じか。違うのではないか。

 多摩市のことを言っているわけではないが、色眼鏡をかけず邪心を捨てて街路樹を眺めたら絶対電柱のような街路樹にはならない。街路樹が消え、「サクラ商店街」「ユリノキ通り」「けやき通り」「くすのき通り」の名前だけが残るような世の中になってほしくない(そうなりつつある街がある)。道路課の方たちは「市民の要望」というが、それを言えば市民も行政も哲学がないということだ。

◇       ◆     ◇

 これまで街路樹や緑などについて30本くらいの記事を書いてきた。下記にアドレスを張り付けるので、興味のある方は読んでいただきたい。

あの熱気どこに 多摩市 第5回 多摩NT再生プロジェクトシンポ(2018/2/5)

都市計画の母が泣く たまプラーザの「ユリノキ通り」が消える!? 市が伐採計画(2017/8/22)

涌井・都市大特別教授 「わが国の自然はかみさんと一緒。美しいが扱いも難しい」(2016/12/11)

異形のスカイツリーに怒れるスズカケ 押上の街路樹 続々「街路樹が泣いている」(2015/3/20)

またまた「街路樹が泣いている」 千代田区 街路樹伐採で賛否両論(2016/9/8)

「何もしなければ多摩NTの人口は50年後に半減」西浦・明星大教授(2014/1/29)

多摩ニュータウン学会 「みどり」について意見交換会〝愛でるみどりから関わるみどりへ〟(2013/5/16)

街路樹が泣いている ~街と街路樹を考える~⑧(2012/6/5)

「さらし首」にされていた菊名・錦が丘のサクラ(2012/5/17)

街路樹が泣いている ~街と街路樹を考える~ ④植栽枡・ツリーガードだけ クスは高さ5m 柏の街路樹(2012/5/14)

街路樹が泣いている ~街と街路樹を考える~ ② 少ない街路樹に関する公表データ(2012/5/10)

街路樹が泣いている ~街路樹と街を考える~  ①(2012/5/1)

街路樹比較 戸田市は35人に1本 多摩市は15人に1本の割合(2012/3/14)

貧弱な戸田市の緑・街路樹 市民の満足度が上がらないのは行政の責任(2012/3/13)

多摩グリーンボランティア森木会10周年&「緑の都市賞」内閣総理大臣賞受賞記念講演会(2011/11/29)

カテゴリ: 2018年度

114日付「週刊住宅」に掲載されたハウジングライター・藤原利彦氏(76)の連載コラム「住宅評論 トレンドを斬る」を興味深くかつ感慨をもって読んだ。

コラムは今回で1,000回に達したのを機に、特別編として「トップに聞く」とし、3月まで合計14名くらいの企業トップを登場させる企画のようだ。

1,000回といえば年間約50回として約20年になる。連載漫画などは50年というものもあるので、それらと比べると少ないかもしれないが、不動産業界紙にはそんな例は少ないはずだ。小生が師と仰ぐ故・佐藤美紀雄先生の同紙連載コラム「ワンポイント時評」は1,000回ちょっとで終了したはずだ。藤原氏の連載は間もなくそれを突破する。

藤原氏は同紙の元編集長で、定年退社されてからも、このコラム記事などでずっと支えてきた。

若いころからデベロッパーやハウスメーカーなどのトップ取材を得意としていた。今日では信じられないことだが、アポなしで各社の広報部に堂々と入り込み「何かネタはない? 」と動き回るのを日課としていた。文句をいう広報マンはいなかったはずだ。

趣味はゴルフだった。バブルのころは週に1回、年間で50回くらいこなしていたようだ。「俺はグリーン上で記事を書く」と豪語していたように、企業の幹部と一緒に回りながら記事ネタを引き出しものにしていた。常に新しい情報を発信せよというメッセージ、叱咤激励だった。

その趣味は実益の記事に生かされた。せっかちな性格もそうさせたのか(失礼、何しろ食べるのが速く小生の2倍はあった)、とにかく、どこかで仕入れた新ネタ(裏を取っていたかどうかは不明)を大げさに書く傾向があった。まるで「奈良」が「平安」に、「江戸」が「明治」に、「昭和」が「平成」に変わるかの如く、「不動産流通はFCの時代」などとセンセーショナルな大見出しが毎号の紙面を踊った。ゴルフのように的(穴か。穴といえば藤原氏は競馬好きで、大穴を的中させたことはほとんどなく、財布にぽっかり大きな穴を空けていた)を外していなかった。

しかし、原稿の締め切りが迫るとキリキリと胃が痛み、言葉をひねり出すのに呻吟する毎週だった駆け出しの記者にそんな芸当ができるわけがない。〝これは勝てない〟とあきらめ、苦しみから逃げるように〝戦って負ける記事は書かない〟と決断した。「人」ではなく、マンションや戸建てなどの「モノ」の現場取材に転向した。ゴルフとは50歳で決別した。糖尿を発症したのもそのころだが…。

あのときの決断がいまも生きている。藤原氏には感謝してもしきれない。数少ない尊敬するライターの一人だ。自ら「評論家」などと名乗らないのも小生=記者は見習っているつもりだ。

       ◆     ◇

「トップに聞く」第一弾は、アールシーコア・二木浩三社長だ。小生はアールシーコアがどのような事業をされているのかよく知らないのだが、ログハウス(別荘)からスタートし、年間1,000棟も販売する会社のようだ。

記事には「BESSブランド」「LOGWAYクラブ」が頻繁に登場するのに閉口もしたが、「展示場という呼称にはしたくなかった」「異端でメジャー」「〝業界最狂、ハピネス拡散〟」「住宅も建てる動機は無限」などの魅力的なフレーズが二木氏から発せられている。実に心地よい。

そして、小生が唸ってしまったのは、「LOGWAYクラブ」の会員からは年1万円の会費を徴収し、成約時には「それまで納めていただいた会費も8倍にして返却する仕組みにしている(最大64万円)」というくだりだ。会員は255人もいるというではないか。

これはすごいと思った。さすがに64年間も会員でい続ける人はいないだろうが、8年間、つまり8万円払えば8倍の64万円が戻ってくる計算だ。

もちろん、二木社長も会員もそんな打算で動くはずはない。お金を払う以上はそれなりの決談は必要だし、同社も適切な対応をしなければすぐ退会される。企業と顧客のこの自由ではあるが張り詰めた関係が面白い。

次はどなたが登場するのか、14人のメンバーはどうなるのか楽しみだ。読者が次号を楽しみにするようにしなければ業界紙は生き延びられない。

       ◆     ◇

 中身、料理は最高なのに、レイアウト、盛るお皿が問題だ。コラムは本文だけで約2,200字。400字原稿用紙で約5.2枚。普通の新聞なら最低半10段(紙面を縦に15段に分け、下の広告部分を除いた10段の1/2)のスペースを割くはずだが、同紙は101/3くらいしか割り当てていない。

 よく撮れている二木氏の顔写真も小さすぎるし、見出しもつまらない。

 小生は昨年、業界紙のデザインについても注文をつけた。見本とすべき美しいレイアウトの新聞が毎日発行されているのに、業界紙は全然学ぼうとしない。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と5才のチコちゃんに怒られるぞ!

ピント外れの住宅新報1面 週刊住宅は東急の記事に拍手  冷たくないか全宅連(2019/1/9

流れに乗れず逆らえず 記者は病葉か 「週刊住宅」破たんに思う(2017/5/9

欠けるのは「愛」 記者生活40年 業界紙に期待するもの 新聞は絵画と同じ⑤(2018/4/6

業界の羅針盤」住宅評論家の佐藤美紀雄氏逝く(2005/9/20)

 

 

カテゴリ: 2018年度

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岡本理事長

 マンション管理業協会(理事長:岡本潮・東急不動産コミュニティ社長)は1月17日、2019年新年賀詞交歓会を行った。岡本理事長は次のように挨拶した。

◇        ◆     ◇

 本年は、新たな元号が始まる年。また当協会においては創立40周年の節目となる年でもあります。経済の先行き不安、自然災害の懸念等、様々な不安要素はありますが、これらの不安を払拭する明るい一年となることを期待したいと思います。

 さて、マンションは全国で644万戸を超え、日本の住宅の約12%となっていますが、都市部においては、東京23区で31%、都心三区では約80%の世帯がマンションに居住しています。マンションは明らかに都市生活の一般的な住居となっています。

 とは言え、言われて久しい少子高齢化問題、またマンションを巡る「二つの高齢化問題」は日々進行しており、様々な問題を顕在化させています。

 マンション管理組合においては、居住者の高齢化等に伴う想定以上の収入減少、また建物の高経年化等に伴う想定以上の支出増が深刻で、管理組合財政は徐々にひっ迫の度を深めています。

 加えて、管理組合では、役員のなり手不足・人材不足が顕著となっており、こうした面からも、管理組合のマネジメントは益々厳しくなっています。

 また、マンション管理会社においては、人手不足・人件費の上昇が一段と進んでおり、管理会社のマネジメントも一段と厳しさを増しています。

 管理組合、また管理会社のこのような趨勢が継続すると、社会生活の基盤であるマンションの劣化、スラム化が将来にわたって進行しかねないという状況が現実となっています。

 当協会では、昨年「中期事業計画2018-2022」を策定し、業界レベルアップにむけた2つのミッションを掲げ、各般の施策を展開しています。

 その中で、昨年の一つの成果として、皆様のお手元にパンフレットをお配りしております「災害対策出動保険」を3月より募集開始いたします。台風による水害や地震など災害発生時には多くの緊急費用が発生しますが、この保険で費用を補填することにより、管理会社が大規模災害発生時の対応に費用の不安を抱かずに対応業務に邁進する道を開くものです。

 さて、迎えた2019年、当協会として、特に注力する課題は、大きく三つあります。

 一つ目は「管理組合の財政の健全化」、二つ目は「マンション管理会社の経営の安定化」、そして三つ目は「マンション管理がマンションの市場価格へ正しく反映される仕組みづくり」です。

 管理組合財政の健全化において、赤字からの脱却は大前提ですが、良好な居住環境の確保を図る上で、コストダウンには限界があります。あらゆる形での増収策を模索しなくてはなりません。

 また、管理会社の経営の安定化においても、収益増が大前提ですが、管理会社の収益増は管理組合の収益増なしには成り立ちません。

 こうしたことから、「管理組合の原資拡大に向けた抜本的な増収策」が喫緊の大変重要な課題です。

 現状では、マンション管理のレベル差が、不動産流通市場において、市場価格・流通価格に正しく反映されているとは言えません。

 しっかりとした維持・管理がなされ、資産価値・居住価値の向上が図られるマンションが、不動産流通市場においても、市場価格・流通価格が高まる、ということになれば、区分所有者が自身の資産売却時により高い価格で売却できることになります。

 このことは、区分所有者の管理に向けた支出のマインドを上げることになります。

 そして、区分所有者の支出のマインドが上がれば、管理組合の原資の拡大に道が開かれます。

 適切・的確な良い管理が行われ、資産価値・居住価値が上がるマンションに住みたいと思う社会的機運を醸成して行くことが必要です。

 このことはまた、社会資産であるマンションの将来的な価値を維持向上させることにもなります。

 しかし、マンション管理のレベルを適切に市場価格・流通価格に反映することのためには、外部からその価値を客観的に評価するための仕組みづくりが不可欠です。

 とは言え、この「外部からの客観的な評価」の仕組みづくりは、私どもの業界・協会のみで出来ることではありません。

 管理組合、関係諸団体、そして行政の皆様等々、関係各位のお力をお借りしていかなければ叶わない大変大きな課題です。

 マンション管理の問題は、単にマンション管理の問題に止まらず、更に住宅問題のレベルにすら止まらず、日本の大きな社会問題となって来ている現状で、様々な重い課題の解決への道筋はなかなか見通せない状況にあります。

 関連各位の皆様の様々な力強いご支援・ご協力を心からお願いする次第です。

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◇       ◆     ◇

 「199cm、国会議員の中で一番背が高い」と誰かが挨拶されたのに記者は反応した。自由民主党参議院議員の朝日健太郎氏だった。Wikipediaで調べた。朝日氏は1975年生まれで、「元・男子バレーボール、ビーチバレー選手。熊本県熊本市北区出身。身長199cm、体重95kg、血液型A型」とあった。ご本人に確認した。「日本国憲法が施行されてから70余年の中で一番背が高いのはわたし」と断言された。

 そこで衆参両議院の事務局・広報に確認もした。衆参とも議員の数はきちんと把握していた。衆議院は実数で3,088人の方が議員を経験されており、参議院は1,538人(平成29年6月現在、現議員は除く)がいらっしゃる。しかし、議員個人の身長、体重などの個人情報は調査しておらず、朝日氏がもっとも身長が高いかどうかについては当然のことながら「分かりません」という答えが返ってきた。

 あちこち調べ、関係者にも質問した。アントニオ猪木氏は190~191cm、江本孟紀氏は188cm、中曽根康弘氏は178cmなどがすぐ確認できた。アントニオ猪木氏もこれ以上成長されることはないだろうし、プロレスに復帰してコブをつくったとしても朝日氏に肩を並べるような高さにはならないだろうから、やはり朝日氏がナンバーワンだろう。RBAの選手もこれほど背が高い選手は過去も今もいない。

 一方で、管理協の関係者は「身長はともかく、一番腰が低い政治家は〇〇首相」と言い放った。(名前は差しさわりがあり、反論もありそうだから伏せる)

 社に戻り、この話をスタッフに話した。79歳の女性は「人間の価値は背が高いとか低いとかで評価すべきでない」と反論を食らった。また別のスタッフは、「元自民党の埼玉選出のYさんが中国を訪問したとき、ある会議で警備員に誰何され『ここは子どもが来るとこじゃない』と入室を拒否されたのを見た。確かにYさんは背が低かった」(このYさんは記者もよく知っている)と、背の高さに言及した。(わが社のスタッフは優秀だ)

 わが不動産業界の歴代団体理事長・会長といえば、十中八は短躯で肥満体だった。現理事長の岡本潮氏はスマート(体つきだけでなく聡明という意味も含めて)稀有な方だ。二人のツーショットは最高ではないか。

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岡本氏(左)と朝日氏(岡本氏は決して背が低いわけではない。念のため)

◇       ◆     ◇

 記者は約40年間、この種の会合を取材してきた。政治家の方もたくさん参加され話されたが、公明党副代表・井上義久氏ほど区分所有法に詳しい人はいないと思う。政治家にしておくのがもったいない。次期管理協の理事長に推薦したい。

 その井上氏が今年も最高の挨拶をされた。井上氏は、マンションが抱える諸々の問題は「社会問題」とし、「その問題を解決するための知見を持っているのはマンション管理業以外ない。いつもやってくる災害に対する対策の柱の一つともいうべき共助を担っている」と挨拶した。

 もう一人、政治家ですごい発言をされた方がいた。「住まいは人権」と。タバコも人権だと考えている記者はこの言葉にいたく感動した。すぐ協会事務局と議員秘書に確認したところ、日本共産党参議院議員の山添拓氏だった。1984年京都府生まれで、2007年東大法学部卒。同党がこの種の会合で登壇、挨拶されたのを記者は初めて経験した(かつてある野党の方がしどろもどろの挨拶をされたのは記事にしたことがある)。

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井上氏

◇      ◆     ◇

 不動産経済研究所の前社長で、取締役特別顧問の角田勝司氏のコメントも紹介する。記者より確か年が2つ上で、憎たらしく記者の「司」に「勝」が付いている方だ(うがった見方をすれば「司」どるに「勝」つ。親は反逆児を期待して名付けたのか)

 角田氏いわく。「今年は気力、人の話を聞かないこと(記者は昔からそうで、角田氏とよく似ている)、街歩きをして衝動買いをすべき(小生はそんなお金を持たせてもらっていません。この前の取材でも帰りの電車賃しか残っていませんでした)。

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角田氏

カテゴリ: 2018年度

国家資格「マンション管理士」の指定試験機関のマンション管理センターは111日、平成30年度マンション管理士試験の結果を発表した。受験者数は12,389名(前年比5.0%減)、合格者数は975(16.5%減)、合格率は7.9%(前年は9.0%)。合格最低点は50問中38問以上正解(試験の一部免除者は45問中33問以上)。合格者の男女別では男性が856(87.8%)、女性が119(12.2%)だった。

       ◆     ◇

 この結果にいささか驚いた。合格者数がついに1,000名を割ったからだ。同資格は「専門的知識をもって、管理組合の運営、建物構造上の技術的問題等マンションの管理に関して、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務」(国土交通省ホームページ)とするものだ。

 資格制度が始まった平成13年のことはよく覚えている。名称に「士」が付けられ、試験範囲が広く、権利関係がふくそうするマンション管理組合の意見調整役としての知見が必要とされたため、「宅地建物取引主任者」(現在の「宅地建物取引士(宅建士)」)より難易度は高く〝格上〟と目されていた。資格を取得すれば、マンション管理組合アドバイザーなどとして独立できるのではないかと期待もされた。

 マンション市況も好転していた背景も手伝って、試験には約9.7万人が受験した。記者は「『士』の冠が付くのだから、合格点を引き下げるべきでない。合格点は40問以上か」などと記事にしたところ、「そんなに高くしたら合格者数が極端に少なくなる」などと半ば抗議の電話が鳴りっぱなしになった。結局、合格者は7.213名(合格率7.4%)、合格点は38問以上となった。

 ところが、受験熱は一挙に醒めた。受験者数はこの年が最多で、その後漸減を続けた。平成30年度は過去最少となり、合格者数も1,000名をついに下回った。人気がなくなってきたのは、資格を取得しても独立し、正業とすることが難しいためと思われる。

       ◆     ◇

 この数が多いのか少ないのか、記者は分からない。一つ言えることは、昨年6月、マンション管理士を対象に実施した同センターのアンケート調査結果が課題・問題点をあぶり出していることだ。

 それによると、資格を取得した理由は、「現在又は将来の仕事に生かすため」がもっとも多く65.8%を占め、「居住するマンションの役員等の職務に生かすため」は20.8%、「マンション管理士として就職するため」は19.2%となっている。

 「現在又は将来の仕事に生かすため」であることから、取得者は「管理業務主任者」や「宅建士」の資格を持っている人が78割台に達している。

 問題は、マンション管理士としての現在の活動状況だ。「本業として活動している」は5.4%で、「副業として活動している」は7.7%、「以前活動を行っていたが、現在は行っていない」は8.4%、「活動を行ったことがない」は実に75.8%に達している。

 本業として活動している人の1年間の売上高は、「100万円以上、400万円未満」が最多で30.4%、「100万円未満」と「収入を得たことはない」を合わせると47.9%に上る。個人事務所として活動している人で年間の売上高が700万円以上は5.6%にしか過ぎない。

 資格制度に対する自由回答意見では、管理組合には十分な資金がないことから、国・地方自治体など公的機関の財政的な支援を求める声や、宅建士と同じように業務独占資格に改めるべきとの意見があった。

カテゴリ: 2018年度
 

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