埼玉県「リアル体験教室 理想の家づくり」定員12名に反響306名 ケイアイスター不
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「建築デザイナーになりたい!」
ケイアイスター不動産は9月6日、埼玉県主催の「夢を見つける!リアル体験教室」の一環として職業体験教室「建築デザイナーになりたい!」を8月26日(金)に実施し、募集人数12名に対して306名の応募があったと発表した。
子どもたちは、同社の大会議室でCADを操作しながらゲーム部屋や漫画部屋などの理想の家と、美しい街並みの模型を完成させた。埼玉県が実施した当日のアンケートでは「とても楽しかった」「楽しかった」が100%となった。
「リアル体験事業」は、埼玉県在住の小学4年生から6年生までを対象に、リアルな職業体験を提供することで、子供たちの将来の夢の発見、実現を支援する事業。埼玉県ゆかりの企業のプロフェッショナルが講師となり、直接学べる体験教室を行っている。
埼玉県本庄市を拠点としている同社の職業体験教室「建築デザイナーになりたい!」は今回で7回目の開催。これまでも埼玉県内で行われているジュニアサッカー大会やミニバスケットボール大会への支援など社会貢献活動に取り組んでいる。
丸ビル20周年記念イベント 高橋ユウさん「衝撃的」 フレンチトーストに感嘆の声
左から川端氏、高橋さん、黒沼さん(丸ビル1階マルキューブ内特設ステージで)=PR会社提供
三菱地所と三菱地所プロパティマネジメントは9月6日、「丸ビル20周年・新丸ビル15周年アニバーサリーイヤーオープニングセレモニー」を開催。モデル・タレントの高橋ユウさんを特別ゲストにトークショー、「丸ビル20th×レゴⓇみんなで作る街づくり」お披露目、「THE FRONT ROOM」おすすめメニュー試食、フォトセッションなどを行った。
最初に登壇した三菱地所プロパティマネジメント代表取締役・川端良三氏は「竣工してから20年。人間でいえば二十歳の成人式。あっという間で感無量。コロナ禍で働き方も買い物の価値観も多様化した。リニューアルでは1階の『THE FRONT ROOM』とコラボしたほか、これまで丸の内にはなかった新しいショップも展開し、将来のニーズを先取りした魅力を発信していく」と挨拶した。
高橋さんは、100分の1の丸ビルのジオラマとわが国唯一のプロが作製したレゴには「全部レゴ? 鳥肌が止まらない」と驚き、「THE FRONT ROOM」から提供された試食「ホイップバターとメープルシロップのフレンチトースト」に「ウワァー、ボリュームが凄い!分厚くて食べる前から柔らかいの分かる。メープルの甘い香りが漂ってくる」と歓声を上げ、食べながら何度も目を閉じ「バターが口の中で何段階にも広がってくる。パンもフワフワ、これは衝撃ですね」と感嘆の声をあげた。
「THE FRONT ROOM」は同日オープンしたHUGEが創る初のカフェ業態。「Timeless & Borderless」をコンセプトに、気軽に利用できるサードプレイスとして様々な飲食を提供する。
イベントでは、高橋さんの姉・高橋メアリージュンさんも出席する予定だったが、体調不良のため欠席した。
高橋ユウさんは1991年1月19日生まれ。滋賀県出身。モデル・タレント。「Cawaii!」の専属モデルを経て、「仮面ライダーキバ」、ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」シリーズなどで女優としても活躍。2018年にK-1ファイターのト部弘嵩選手と結婚。2020年に第一子を出産。現在は、バラエティー番組に多数出演している。
高橋ユウさん(PR会社提供)
PR会社提供
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この種のトークイベントの取材は難しい。主催者の企図するもの、伝えたいことは何なのかを把握していないといけないし、演出者(登壇者)の来歴も把握しておく必要があるし、そして何より読者になにを伝えるべきかを分かっていないと取材にならない。
その点、今回の記者は失格だった。丸ビル=モデル・タレント、お笑い芸人が結びつかず、演出者についてもまったく予備知識(本来は事前にきちんと調べるべき※)がなかったからだ。
主役を務める高橋ユウさんも、MCの吉本興業所属のお笑い芸人(ご本人がそう話した)・くろぬままことさんも初めて聞く名前で、まったく存じ上げないので、お二人の会話からくろぬまさんがレゴの世界ではよく知られた方で、高橋さんは丸ビルをよく利用し、話し出すと関西出身であることがすぐ分かり、ご主人は引退された格闘家で、二人の間には2歳の男の子と、お腹には12月に出産予定の男の子がいること、子どもには自分が好きなピアノや夫が空手少年だったので空手をやらせたいとか、何事にも前向きな心の持ち主に育ってほしいとか、自分はすぐ泣き、姉からは「感情表現が上手」と言われ、姉の弱音を吐かない強さにはかなわないこととか、いまは妊娠安定期に入っておりパワフルであるとか…これらの情報にいったいどれだけの価値があるのかさっぱりわからなかった。
おぼろげながら分かったのは、「丸ビル」の35階のレストランで一人2~3万円の食事をしたり、一足10万円の靴を買ったり、数十万円のアクセサリーを平気で購入したりする富裕層だけではなく、気軽に立ち寄って食事などを楽しめる街の拠点として利用してもらおうという三菱地所の深謀遠慮、強かな計算が働いているに違いないということだった。
ソクラテスの「無知は罪なり」なのか、ジョージ・オーウェルの「無知は力なり」なのか。
※記者の鏡というべき扇谷正造は人を取材するとき、大学教授であれば論文を、小説家は作品を渉猟し、分からないときはその人の住む近所の魚屋、八百屋などで聞き込みをし、どのような生活をしているかを知るためにごみ箱まで漁ったことがあるという。そこまでやるから、取材対象者は自分をさらけ出してしゃべるのだという。
川端氏
以上、記者のデジカメで写す
フレンチトースト、サラダのチーズは絶品 丸ビル「THE FRONT ROOM」試食会(2022/8/29)
https://www.rbayakyu.jp/rbay-kodawari/item/6649-the-front-room
新土地活用サービス「ALZO(アルゾ)」相談件数700件超 三井不リアルティ
三井不動産リアルティは8月30日、土地所有者と事業用土地を探す事業者をつなぐ土地活用サービス「ALZO(アルゾ)」を昨年8月から開始してから1年間で相談件数は700件超、100社以上の事業者と提携していると発表した。
土地所有者の土地活用状況は、活用中が56%、未活用が44%、相談案件の土地面積は1,000坪以上が9%、100~1,000坪が59%となっている。
2022年8月現在の提携事業者は飲食、物販、コンビニエンスストア、シェア農園、シェアサイクル、カーディーラー、キッチンカー、スーパーマーケット、ガソリンスタンド、コインランドリー、コンテナ・ストレージ、スポーツ施設など。
「ALZO」は、「問合せ件数も増加しており、ニーズの強さを感じています」とコメント。土地所有者からは、「とくに都心部では近い将来のご売却を見据えた短期的な活用提案の依頼や既存テナント退去に伴う依頼、郊外ではアパートやマンション、駐車場に替わる安定的な活用提案の依頼という傾向が見られ」、提携事業者からは「駅前ビルへのテナント出店から住宅地に近いロードサイドで単独店舗出店への切り替え、特に飲食系事業者様においては、テイクアウト・デリバリー専門店など新タイプの店舗出店などが急拡大している」としている。
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新サービスは、本業のリパーク事業から派生したもので、駐車場利用には不向きな土地の利活用を提案するものだろうと思うが、相談件数と土地面積の大きさ、提携事業者の多岐にわたる業種とその数の多いのに驚いた。
相談件数775件のうち土地面積1,000坪以上が9%というから件数は70件もある。「100~1,000坪」は幅が大きくてどのような土地か分からないが、最適解を提案できたら凄いビジネスに発展するのではないか。「ALZO」は何の略か。
そこで、同社に一つ提案だ。三井不動産も同業他社も公募設置管理制度(Park-PFI制度)に積極的に取り組んでいるが、都市部の都市公園は規制が強く、利用されていない公園が目立つ。利活用は喫緊の課題だとおもう。ここに切り込んでほしい。
ショック! 木質空間なし 現し論議に決着 RCと木造混構造の特養完成 三井ホーム
「特別養護老人ホーム新田楽生苑」
三井ホームは8月30日、枠組壁工法では国内最大級の木造5階建て「特別養護老人ホーム新田楽生苑(しんでんらくせいえん)」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。
物件は、足立区新田1丁目に位置する敷地面積約4,649㎡、5階建て延べ床面積約7,826㎡。建築主は社会福祉法人新生福祉会。設計監理はメドックス。施工は三井ホーム。構造は1階:RC 造/2~5階:木造(枠組壁工法)。用途は特別養護老人ホーム150室、短期入所生活介護施設(ショートステイ)20室、認知症対応型デイサービスセンター、居宅介護支援事務所など。工期は2021年3月着工~2022年8月完成。開所予定は11月。
施設は、足立区が所有する中学校跡地に区が公募を行い、特別養護老人ホーム・ケアハウスなどを運営する社会福祉法人新生福祉会(広島県尾道市)が選定され、同社が施工を担当することになったもの。
建設地は、隅田川と荒川に挟まれた中洲に立地。現行の建築基準法では5階建ての建物をすべて木造で建築する場合、1階を2時間耐火構造とすることが求められるため、経済合理性とプランニングの特性を踏まえ、1 階をRC造、2~5階は木造1時間耐火構造で設計。合わせて防水対策として1階の階高を6m確保している。
木材使用量は2,716立方メートル(うち国産材は22%)。木造建築にすることで試算では炭素貯蔵量(CO2換算)は1,774t-CO2、スギの木(35年生)換算で7,116 本に相当する。
設備面では新クックチル式の厨房を採用するなど、スタッフの働きやすさや作業効率にも配慮している。新クックチル式とは、通常の方法で調理した料理を急速冷却し、細菌の繁殖しにくいチルド(0~3°Cの低温)状態で保存し、必要時に再加熱して提供するシステム。
外観
入口
施工中の現場
施工中の現場
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同社施設事業本部コンサルティング第二営業部長・十文字将敏氏は冒頭のあいさつで、「地球環境、脱炭素に寄与するよう木材をふんだんに使っているのがポイント。延べ床面積約7,800㎡に対し木材使用量は2,716立方メートル。国立競技場は延床192,000㎡に対し木材使用量約2,000立方メートル。施設面積は25分の1だが、木材使用量は国立競技場より多い。木質感は全くないが、現しで(木材を)使うより実を取る観点で施工した」と語った。
引き続いて、設計監理を担当したメドックス取締役・佐藤憲一氏も、「木質空間は全くない。収益は限られており、経済合理性を考えると、木質感(の論議)は終わった」と言い切った。
両氏から2度も3度も実も蓋もない「木質感は全くない」と言われて、記者は相当のショックを受けた。昨年12月、三井ホーム技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と昂然と言い放ったのを思い出した。
特養の入札は、質の確保は当然ながら、価格が最優先されるはずで、事業環境が厳しいのは、宿泊体験をしたことがある記者もよく分かる。痴ほう症の入居者から同じことを何度も聞かされても無視するわけにはいかないし、部屋は個室をあてがわれたが、夜中にカラスのような声を聞かされ、一睡もできなかった。解放された翌日はうちに帰って半日寝込んだ。オンとオフの切り替えができない若い職員が過労、ストレスで精神を病むケースも他の業種より多いのもうなずける。賃金だって20~30万円台で底這いだ。〝現しにしろ〟というのは、部外者のたわごとかもしれない。
しかし、このまま引き下がるわけにもいかず、質疑応答で「御社だって木造は風邪をひかない、喧嘩をしない、仕事の能率が上がる、ストレスが軽減する…などを実証してきたではないか」と食い下がった。これに対し、佐藤氏だったか「木質感に対するニーズはある」との回答にとどまった。
もう黙るしかない。小松さん、十文字さん、佐藤さん。丹下健三は「美しいもののみが機能的」と言ったではないか。三井ホームが吉永小百合さんをCMに起用したのは、この言葉を具現化するものではなかったのか。
あれから30年。サユリトの小生は今でも一番美しいのは吉永さんだと信じて疑わない。住宅展示場のモデルハウスで一番美しいのは三井ホームだ。
…ここまで書くと、小生はどこかのカルト信者のようで、「外貌の呪縛」に取り憑かれている馬鹿そのものだと皆さんは嘲笑するのだろうが、かなり本質的なことを言っているつもりだ。「経済合理性」が全てを支配していることを今回の取材で学んだ。この悪魔のささやきに等しい「経済合理性」なる文言を前に、反旗を翻すことができる人は果たしているか。
共同生活室
多目的ホール
デイルーム&食堂
外貌の呪縛を解き放つか「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/09)
積水ハウス・千葉大健康増進につながる空気環境研究第3段階へ実験棟完成(2017/11/10)
三井ホームわが国初の5階建て2×4工法による特養が完成(2016/5/25)
内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上慶大・伊香賀教授が実証(2016/3/22)
三井ホームわが国初の木造(2×4工法)による4階建て耐火建築物(2015/2/28)
フレンチトースト、サラダのチーズは絶品 丸ビル「THE FRONT ROOM」試食会
「THE FRONT ROOM」
HUGEと三菱地所は8月29日、初のカフェ業態として「THE FRONT ROOM」を丸ビル1階9月6日(火)にオープンするのに先駆け、メディア向け内覧会・試食会を開催した。
「THE FRONT ROOM」は、「レストランを得意とするHUGEだからこそ提供できるホンモノ志向のカフェ」というのが謳い文句で、モーニングにはコーヒーと焼きたてのパンを、ランチにはフレッシュなサラダとパスタ、ディナーにはワインやこだわりの一皿を提供する。
「Timeless & Borderless」をコンセプトにシェフ、バーテンダー、サービスマンのプロフェッショナルが、だれもが1日中どんなシーンでもゆったり寛ぐことができるサードプレイスを目指す。
店舗は、丸ビル1F、営業時間:月-土8:00-22:00(日・祝9:00-21:00)、席数: 123席(店内83席/テラス40席)、平均予算:Drink/600円~Food/1,200円~。Instagram:https://www.instagram.com/thefrontroom_marunouchi/
三菱地所の丸ビルは今年開業20周年のアニバーサリーイヤーを迎えており、同カフェがオープンする9月6日(火)を皮切りに、2023年春にかけて段階的なリニューアルを実施するのに合わせ、「Your Palette ―明日を彩る、わたしを選ぼう。―」をコンセプトに様々なイベントや企画も展開していく。(特設サイト:https://marunouchi-palette.com/)
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記者は東京駅圏で取材があると、この前まで営業していた丸ビルの1階のカフェ・レストランや三菱一号館のワインバーをよく利用した。白ワインは1杯600円~というリーズナブルな値段でおいしい。
今回リニューアルした「THE FRONT ROOM」の店舗デザインは従前のそれとは全く異なる。提供された食事はとてもおいしかった。〝売り〟の一つである「SHIBUichi BAKERY(シブイチ ベーカリー)」のパンを用いたフレンチトーストは、とても柔らかいのが特徴。小生は一時期、子どもに食べさせるためフレンチトーストに凝ったことがある。フランスパンの食感も捨てがたいが、このように口の中でとろけるのもまたいい。喫茶室・ルノワールのフレンチトーストと双璧か。
「カラブリア産唐辛子と完熟トマトのアラビアータ」も美味。パスタは固めのショートパスタで、濃厚なトマトの風味がよく引き出されている。癖になりそうだ。(小生はトマトを人の3倍は食べる。糖尿の数値が悪化しないのはトマトのお陰か)
「JAMON SERRANO and FRESH FIG SALAD」と名付けられた野菜サラダは、ブルーチーズに似たチーズが抜群。ワインにとてもあう。何とかクロックムッシュというサンドイッチはよく分からなかった。
バスク風チーズケーキとチョコレート味のガトーショコラも供されたのだが、小生はケーキ類をほとんど食べないので、おいしいかまずいか全然わからなかった。残すのは失礼だと思い、スプーンで食べたのだが、隣の女性がナイフとフォークで食べていたのでとても恥ずかしく、冷や汗が出た。その女性に感想を聞こうと声を掛けた。それまではマスクをしていたのでよく分からなかったのだが、とても可愛い女性は「固めのプリンみたいで、味が濃い目」と話した。
しかし、小生もあのプラスチックの底の突起物を折ると、ゆらゆらと揺れながら崩れることなく皿に収まるプリンは知っているが、味は今回のケーキとは全然違うと思う。
コーヒーは、HUGEが運営するみなとみらいのQUAYS pacific grill(キーズ パシフィック グリル)内に併設する焙煎所、HAMMERHEAD ROASTERY(ハンマーヘッド・ロースタリー)のコーヒーをシングルビーンズで提供する。コーヒー、酒、たばこは嗜好性が強く、小生は毎朝自分で淹れるコーヒーが一番おいしいと思う。
この日供された食事、ケーキ、コーヒーはメディア向けなのでいくらかは分からないが、オープンする9月6日からは食事は1,000円~とか。グラスワインは650円~750円。
この日供された料理とケーキ
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2021年度のわが国のJR駅別乗降客がもっとも多いのは新宿駅(1日平均約52万人)で、2位池袋駅(同41万人)、3位横浜駅(同30万人)となっており、東京駅は4位の約28万人だ。5位は渋谷駅の約25万人。
前年比伸び率は渋谷駅がトップで11.9%(東京駅は4.3%)なので、このまま推移すれば東京駅は渋谷駅に抜かれそうだが、問題は乗降客の数ではない。そこにどのような人がどれだけ滞在し、消費するかだ。そのようなランキングはないのか。
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」の世界 LED照明で表現 東京建物BAG-Brillia Art Gallery-で
photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG
東京建物は8月26日(金)~9月25日(日)、同社京橋ビル1 階「BAG-Brillia Art Gallery-(バッグ ブリリア アート ギャラリー)」で展覧会「LIVE+LIGHT In praise of Shadows『陰翳礼讃』現代の光技術と』」を開催する。
建築関係者にとってはバイブルとされる文豪谷崎潤一郎のエッセイ「陰翳礼讃」の厠、床の間などの家屋、照明、紙、食べ物、能、化粧、女性美など多岐にわたって論じられている文章の中から印象的な6点をテーマに、現代のLED技術を駆使して表現・展示するもの。
展示スペース「+1」では、「陰翳礼讃」から6つの文章を引用し、日本の伝統素材や工芸品を光と闇の世界で演出。展示スペース「+2」では、LIGHT & DISHESがセレクトした照明とオリジナル照明の販売、及び照明関連メーカーとともに、暮らしを豊かにするツールの展示や照明に関する情報を発信している。
9月23日には企画制作した谷田宏江氏(LIGHT & DISHES 代表)と演出ディレクション遠藤豊氏(ルフトツーク代表)のトークディスカッションをYouTubeでオンライン配信する。
公式サイト:https://www.brillia-art.com/bag/
photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG
photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG
◇ ◆ ◇
谷崎自身、相当の助平爺だったようで、短篇小説「富美子の足」などはもう笑うしかない足指フェチの作品だ(映画化もされたようだが小生は知らない)。展覧会でも谷崎のそうした変態趣味や世界観が展示されるのではないかと期待して出かけたのだが、残念ながらそのような展示はなかった。
不思議に思ったのは「陰翳礼讃」の英語表記だった。「praise of Shadows」は直訳したらそうなるのだろうが、青空文庫で確認したところ、谷崎の作品に登場する「陰翳」は22か所、「光」は69か所、「闇」は46か所でも分かるように、単なるものの「Shadows」を論じているわけではない。言葉として「日本」が56回、「西洋」が34回、「愚痴」が6回それぞれ登場するように、西洋化する日本古来の文化を惜しむ文明論を披歴したものだし、日本人のものの見方・考え方を論じたものだ。本文中には「礼讃」は一語もでてこない。
私事だが、小さいころ、真っ暗な部屋に蚊帳を吊るし、その中に蛍を放って楽しんだことがある。しんと静まり返った朝方、雨戸の節穴から光が差し込み、障子に逆さ絵が描き出されることを皆さんはご存じか。
「praise of Shadows」は英語圏の人にはどのように響くのだろうか。マフィアの世界を連想するのだろうか。
photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG
photo by Takashi Kurokawa, courtesy LUFTZUG
大和地所レジ オープンエアリビング・バルコニー キッズデザイン賞受賞
「オープンエアリビング」
大和地所レジデンスは8月24日、同社の「オープンエアリビング」と「オープンエアリビングバルコニー」がキッズデザイン協議会の第16回キッズデザイン賞」を受賞したと発表した。
「オープンエアリビング」は1999年から導入し、2022年8月供給現在で193物件1,500戸超を供給しており、同じように実用新案登録済みの「オープンエアリビングバルコニー」は2006年から78物件3,100戸超の実績がある。双方とも実用新案登録済みだ。
「オープンエアリビングバルコニー」
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結構なことだ。この「オープンエアリビング」と「オープンエアリビングバルコニー」はたくさん取材している。
いまでも思い出すのは、「オープンエアリビング」を初めて見たときだ。飛びあがらんばかりの衝撃を受けた(物件は確か南武線の中野島)。当時(今でもそうだが)、マンションの1階住戸は日照や通風、見通しなどが悪いことから売れ行きも悪く、その分だけ価格を下げざるのが一般的だが、同社は1階住戸に「オープンエアリビング」を採用し、しかも価格を中層階並みの価格に設定していた。その企画がヒットした。
「オープンエアリビング」と「オープンエアリビングバルコニー」は、マンションの値付け・商品企画に革命をもたらしたと今でも思っている。
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この日(8月24日)午後1時過ぎ、同社から受賞のプレス・リリースが届いた。その後、同協議会をはじめ旭化成ホームズの「子育て家族の安心と健康をサポートする『スマートクローク・ゲートウェイ』」、ケイアイスター不動産の「みんなの樹と軒遊びのある暮らし」、積水ハウスの「子育て家族の幸せな大空間『ファミリースイート』」・「PLATFORM HOUSE touch」・「みんなの家!未来の家! 積水ハウスの住育 家づくりから学ぶプログラミング」・「WALL BOX」・「エルミタージュクール」・「アートとともだち」・「”自由な子ども達の居場所”こども発達支援センターひゅーるぽん」(同社は合計7作品)などの受賞リリースが送られてきた。(申し訳ないがすべては紹介しきれない)
同協議会のリリースによると、今回の受賞作品は214点で、2007年からの累計応募数は6,168点、受賞数は3,653点。各大臣賞などの優秀作品は9月21日(水)発表される予定だ。
また、今回の応募作品について「コロナ禍では実測の難しいとされる調査研究の応募数が減少したものの、地域社会との交流や自然や人との繋がりを重視した建築関連の作品の応募の増加傾向がみられました。さらに今回もSDGsを意識し、子どもの創造性や自主性をサポートする製品や空間・サービスの開発・取組なども多く見受けられました」とある。
記者もマンションや戸建ての取材を通じ、人や地域と緩やかにつながり、景観や生態系に配慮した商品企画が評価されていることを強く感じている。全作品のなかでもっとも多いのはポラスグループの13作品だが、キッズデザイン賞受賞は同社のマンションや分譲戸建てが好調なのをで裏付けている。
受賞作214点リストを見たが、小生が気に入ったのはオーパス/ブルーパドル の「前・後・裏・表、どこからでも着れる(ママ=ら抜き)服『ぜんぶおもて』」だ。これはいい。小さいころは靴を左右逆さまに、シャツなどのボタンの掛け違い、裏表に着るのは日常茶飯で、ハンガー付きだったこともある。大人になってもパンツを逆さに穿いて困ったことも、酔っぱらって隣家の玄関ドアを叩いたことも、男を女に間違えたこともある(これはわが人生の最大の蹉跌)。今でもパジャマ、シャツなどを裏表で着ることもあるが、生き方として裏も表もないのには自信がある。
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一つ提案だ。以前からずっと思っているのだが、デザインアワードを統一してはどうかということだ。
記者は、「キッズ」があるのだから「シニア」「エルダー」「オールド」があってもいいし、一番いいのは「ユニバーサルデザイン」だと思っている。「グッドデザイン賞」「IAUD国際デザイン賞」「ウッドデザイン賞」など全て「ユニバーサルデザイン賞」に統合し、それぞれ分野ごとに賞を設けたらどうかと思う。あらゆる商品の「デザイン」は「ソリューション」だと考えているからだ。冒頭に紹介したオープンエアリビング・バルコニーは子どもだけを対象にした商品企画ではない。万人向きだ。たくさんアワードがあると、その分だけ権威・価値が薄れるのではないかと心配だ。
また、審査に当たっては学者・先生だけでなく、一般の消費者が投票に参加できるようなシステムも考えていい。審査委員の方だって、作品を評価するのは基本的には書類のみのはずだ。作品そのものを見ないで評価するのは誤った評価をする危険性もはらんでいる。
1人当たり街路樹 最多は江戸川区の8.9本 1本当たり維持管理費は1.5万円
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一般社団法人・東京都造園緑化業協会の「平成30年度東京都緑化白書」を基に東京都区市の街路樹の本数・維持管理費などを調べた。
「白書」は、「緑行政に携わる多くの関係者および都民の皆さんとともに東京都の緑行政の取り組みについて情報を共有化し、ともに東京の緑環境づくりを考えていく一助」(白書)とするため、東京都都市緑化基金の助成を得て各自治体に対するアンケート結果をまとめて発行されているものだ。
これによると、平成29年度末現在の都道、区道、市町道(島しょ部は除く)の街路樹総本数は1,115,885本で、内訳は都道等が59%、特別区が30%、市町が11%となっている。街路樹の維持管理費用は、総額で約111億円で、内訳は都道等が約5割、区道が約3割、市町道が約2割となっている。
街路樹本数を区市ごとに見ると、もっとも多いのは江戸川区の約61,000本で、八王子市の約38,000本、世田谷区の約25,000本、足立区の約23,000本、江東区の約18,000本、府中市と町田市の約16,000本、大田区の約11,000本、葛飾区の約11,000本がベスト10。
人口1人当たりの街路樹本数は、トップが約8.9本の江戸川区で、以下、千代田区の約8.1本、八王子市と稲城市の約6.7本、府中市約6.2本、多摩市の約5.3本などが続く。1人あたり最も少ないのは約0.7本の西東京市で、品川区、杉並区、豊島区、練馬区、小金井市、清瀬市が1本以下となっている。
維持管理費がもっとも多いのは江戸川区の約6.7億円で、約3.1億円の江東区、約3.0億円の葛飾区、約2.8億円の大田区、約2.6億円の足立区、約2.5億円の町田市などが続く。
街路樹1本当たりの維持管理費がもっとも多いのは日野市の約4.7万円で、以下、約3.7万円の北区、約3.5万円の武蔵野市、約3.4万円の小金井市、約3.4万円の台東区が続く。もっとも少ないのは1,498円の清瀬市で、3,442円の品川区、4,144円の武蔵村山市、4,085円の港区、5,619円の八王子市、5,185円の東村山市など10区市で1万円を下回っている。
人口1人当たり最多は千代田区の1,884円で、中央区の1,199円、多摩市の1,157円の3区市が1,000円以上。もっとも少ないのは清瀬市の12円で、品川区の32円、東村山市の61円、港区の86円、武蔵村山市の87円の5区市が100円以下。
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このデータからよく分かるのは、江戸川区の街路樹の多いのが突出しており、八王子市、世田谷区、足立区、江東区、府中市、町田市、大田区、葛飾区などが多いのは区。市域面積が大きいのもその要因の一つと思われる。1人当たり本数がもっとも多い江戸川区の約8.9本のほかでは、千代田区が8.1本と2位になっているのが注目される。
江戸川区の街路樹が多いのは、同区が長年にわたって緑化に力を入れてきた成果だ。同区は昭和46年に「環境をよくする10年計画」を策定し、平成16年には新たに「江戸川区みどりの基本計画」を策定。樹木数と公園面積の目標「区民一人あたり10本10㎡」を掲げ、取り組んでいる。
なぜ、江戸川区は緑化事業に力を入れているのか。その理由について、同区に37年間勤務していた千葉大園芸学部卒の海老澤清也氏が共著「街路樹は問いかける」(岩波書店)で、下水整備と一体的に道路整備を進めてきたこと、当時の中里喜一区長の街づくりに対する「決意」とそれを支えた土木技術職の「使命感」が大きいと記している。
そして、街路樹の管理に必要なのは、①行政目標②人員数③予算④技術力⑤使命感⑥発注だとしている。
区内の新小岩駅南口、平井駅、船堀駅、東大島駅、葛西駅などを歩くと公園・緑の多さがよく分かる。千代田区の街路樹の多いのは、区道もさることながら都道などが計画的に整備されてきたからではないか。美しい街並みのエリアが多い。
わが多摩市は平成30年4月1日時点で街路樹7,873本と遊歩道8,612本に区別しているためで、合計では16,485本となっており、実質的には1人当たり本数は約8.9本に達しており、江戸川区(同区が遊歩道を街路樹に含めているかどうかは不明)と肩を並べる。最近は、維持管理費を抑制するため、公園や団地の樹木と競合する街路樹を間引きしているとも聞く。
不思議なのは、区市によって1本当たり維持管理費の差が大きいことだ。最小の清瀬市の4,198円と最多の日野市の約4.7万円とでは10倍以上の開きがある。これほどの差が出るのは、各区市とも計画的に予算を計上しているはずで、単年度ではなく前後1~2年間の推移をみないと実態はつかめないのかもしれない。
例えば港区。港区の平成30年度の維持管理費は約2.2千万円だが、平成24~26年度の決算数字から計算すると1年度当たり約1.0億円となっている。
参考までに平成30年度の全区市の維持管理費約55億円を全街路樹約36万本で割ったら、1本当たり維持管理費は15,355円となった。関係者から街路樹1本の剪定費はおおよそ1万円と聞いている。これに植栽桝や低木などの整備費用を加えると約1.5万円くらいになるはずた。
街路樹にはこれだけの維持管理費がかかっていることをわれわれは知っておいたほうがいい。そして、その街路樹の価値を定量化、見える化する取り組みを関係者には行っていただきたい。
最後に、「これからの樹木の安全管理を考える」をテーマに令和3年3月1日に行われた同協会主催の座談会で語った同協会の山下得男氏の声を紹介する。
「我々造園業が培ってきた技術は世界に誇るもので、それは世界も認めていることですが、それが発揮できなくなっています。これを活用できるようにすることが社会にとっても有用であると考えています。それと、いくら健全育成していても、近接施工で根が切られてしまうことで、不健全になってしまう樹木が本当に多いです。欧米ではそうならないようルール化されています。日本にはそのルールすらないことを皆さんに知っていただき、これからに向けての仕組みづくりをしていかなければならないと思っています」
街路樹に関する記事は、「牧田記者のこだわり記事」(https://www.rbayakyu.jp/rbay-menu-kodawari)にアクセスし、「街路樹」で検索していただくと100本以上はヒットするはずなので、参照していただきたい。
江戸川区 小松川境川親水公園
船堀駅前
新宿、渋谷など都心5区の累計感染率は20%超 都のコロナ感染者
人口は令和4年1月現在。累計感染者は8月12日現在。このほか都外190,859人、調査中1,892人
都心部5区の感染者は5人に1人-東京都の累計コロナ感染者は8月12日現在、2,328,574人となり、総人口13,794,933人(2022年1月1日現在)に占める割合は16.88%で、新宿、渋谷、港区、中央、目黒の5区は20%を超えるなど5人に1人の割合に達している。
23区で累計感染者がもっとも多いのは世田谷区の171,244人で、以下、大田区の133,057人、江戸川区の128,442人の順。累計感染率のもっとも高いのは新宿区の21.85%で、渋谷区21.29%、港区20.96%、中央区20.23%、目黒区20.05%の5区が20%を超えている。もっとも低いのは16.54%の練馬区。23区の感染率は18.42%となっている。
市部の感染率は13.51%で、23区に隣接する調布市(15.42%)、武蔵野市(15.18%)、狛江市(15.10%)の3区が15%超となっている。
全国の感染率がもっとも高いのは沖縄県で、8月13日現在、累計感染者は416,722人となっており、人口416,722人(2022年7月1日現在)に占める割合は28.38%にのぼっている。
千葉大名誉教授・藤井氏など専門家20氏の声 建築ジャーナル特集「木を伐るな2」
一般社団法人 街路樹を守る会の代表で、千代田区議会の神田警察通りの街路樹イチョウ伐採決定に反対する活動を行っている愛みち子氏に月刊誌「建築ジャーナル」2022年6月号(6月1日発行)を頂いた。同氏が企画した特集「木を伐るな2」が約30ページにわたって掲載されており、ルポ記事のほか同氏など約20人の専門家がそれぞれの立場で活動・取り組みを紹介し、論陣を張っている。
特集は「木を伐るな2」であるように、同誌が最初に「木を伐るな」の特集を組んだのは2018年1月号だ。東京オリンピック開催決定を機に、電線地中化、道路拡幅などを理由に街路樹や公園樹木の伐採工事が次々と計画、実行されているときだった。
記者は、この特集の存在を知らなかったのだが、今年7月1日付の記事で「昨年、93歳で亡くなった生態学者の宮脇昭氏は『木を植えることは命を守ることだ』と語った。その伝でいえば、街路樹伐採は人間の命を奪うこと同じではないか。その是非を今回の問題は投げかけている。人を殺していいのかと」書いた。
宮脇氏が「木を植えよ!」(新潮新書)を著したのは2006年だ。それから12年後の2018年1月に「木を伐るな」の特集記事が掲載され、さらにその4年後に「木を伐るな2」が発刊されるということは何を意味するのか。「木を植えよ」と「木を伐るな」は同義語のようではあるが、「伐れ」「伐るな」の人間の二項対立に、物言わぬ街路樹が危機的状況に置かれている現状を反映しているのだろう。
特集記事全体に対する感想としては、筆者一人当たりの記事は写真を含めて1~2ページが多く、制度の概況紹介にとどまっているものも少なくないのでやや消化不良ではあるが、短い文章の中にきらりと光り、肺腑をえぐる言葉がちりばめられている。多くのことを学んだ。
日本庭園学会会長などを歴任した千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏の、同行記者の質問に答える形で語る指摘がとくに鋭い。
神宮外苑の再開発計画で1,000本の樹木が伐採されることに対して、「絵画館に向かう芝生の両側にテニスコートをもってくるというのは、まったくだめです。この広がりこそ折下さんが狙っていたポイントで、それを台無しにする。こんな計画があっていいわけがない」「間違った剪定の仕方をおこなっているからお金がかかるんです。枝先を詰めるからよくない」「杜のスタジアム? うそだよ」「息も絶え絶え。今年の夏が越せるかどうか」などと辛らつだ。神田警察通りの街路樹については、「車道側は4.5m以上に枝を張らせればいいのです」という。大丸有の美しい街路樹についても「中国の纏足と同じ。人間として許してはいけない」と手厳しい。
首都圏の街路樹は藤井氏の「車道側は4.5m以上に枝を張らせればいいのです」とは真逆だ。樹高を電柱の高さ(12mが多い)より低く抑えるため、先端をぶった切っている。2階建て(約6m)と同じくらいのもたくさんある。
◇ ◆ ◇
樹木医で吉岡緑地の代表取締役・吉岡賢人氏は「所有者の都合によって樹木を植えたり伐ったりすることは自由であるものの、請負者に選択の余地はなく、ただ負け続ける宿命にある」と綴り、「街路樹の剪定管理において最も重要な部分はブラックボックスとなっており、ほとんどの場合において誰にも指摘されることはない。それぞれの樹木に登って作業した人間でしか知りえない情報が山ほどあるからで、遠目に見ただけで樹木の異常に気が付くことができる観察眼の持ち主は稀である」と書く。
皆さんはいかがか。記者はこれを読んで胸が痛くなった。ここ20年間というもの、取材などで街に出るときはいつも街路樹を眺めている。月に20日にして年間で240回、20年間で4,800回だ。電信柱のようにぶった切られているのに我慢がならず、「街路樹が泣いている」というタイトルの記事を書き始めたが、その数は数十本に及ぶ。
また、自ら居住する団地の樹木剪定も仲間らと行っているのだが、ひこ枝、徒長枝、ふところ枝、からみ枝などを伐るのにとどめ、強剪定はしないことにしている(仲間からいつも下手くそといわれるが)。
樹木剪定で学んだことは、樹木はほっといても美しい樹形を描き、よほどのことがない限り、2~3年で自ら修景するということだ。コロナ禍で樹木剪定が中止になったが、わが団地の緑は一層輝きを見せている。強剪定すればするほど、必死で生きようと狂ったように荒れる。人間と同じだ。
なので、多少は樹木や人を見る目はあると思っているのだが、「ただ負け続ける宿命」にある造園・剪定業に携わる人に悪態をついても思いを寄せたことはなく、「遠目に見ただけで樹木の異常に気が付くことができる観察眼」など持ち合わせていない。
ほとんどの人もそうではないだろうか。極端な例だが、二和向台の強剪定されたイチョウは枝葉をそぎ落とされているので、何の木か知らない地元の人がいた。街路樹に名札を付けている自治体も圧倒的に少ない。〝見ざる言わざる聞かざる〟は〝見せず言わせず聞かせず〟という意味に代わった。
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共著「街路樹は問いかける」(岩波書店)の著者・海老澤清也氏は「日本の街路樹は世界にも稀な哀れな姿である」と書き起こし、世界標準は「樹冠拡大」であるのに対し、わが国は「樹冠縮小」が基本であると批判する。また、米国は街路樹の経済的価値を数式化する「i-Tree」を完成させたと述べている。
「i-Tree」については小生も紹介したが、「日本の街路樹は世界にも稀な哀れな姿である」には驚いた。外国は中国・北京とモンゴルしか知らないが、目視した限りでは比較にならないほどわが国のほうが優れていると思った(中国は砂漠化に危機感を抱いており、緑化事業に力を入れているとは聞いたが)。
記者は最近、1991年に設立された日本景観生態学会の存在を知ったのだが、学会ホームページには「生態学、造園学、農村計画学、緑化工学、林学、地理学、応用生態工学、土木工学、建築学など、専門分野の異なる多様な研究者や技術者が『景観』をキーワードとして集まり、互いの視点を活かし合いながら意見交換を行ってきています」「景観は、今までにも増して急速に、また激しく変化し、そして、土地利用上の対立や生態的基盤の劣化が顕在化しています.今、そのような問題の解決に有効な土地利用や地域計画の手法、地域生態系の管理技術を確立し、それが活かされていくしくみを構築しなければなりません」とある。
このほか、1995年12月に設立された環境経済・政策学会もある。同学会の目的には「経済学、政策学および関連諸科学を総合し、環境と経済・政策の関わりについて理論的・実証的な研究活動、ならびに国際的な研究交流を促進する」とある。
これらの学会と行政、民間が連携して「世界にも稀な哀れな姿」を何とか打開してほしい。
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特集にはこのほか、仙台市建設局百年の杜推進部公園管理課施設管理係長・降幡賢太郎氏の「杜の都・仙台の街路樹について」、名古屋市緑政土木部緑地部緑地維持課緑化係長・篠塚泰伸氏の「街路樹再生なごやプラン」の取り組み、2020年に全国初の街路樹に焦点を当てた「埼玉県議会街路樹を考える議員連盟」を立ち上げた発起人・石川忠義氏の活動報告、千代田区議会議員・大串博康氏の街路樹保護と育成に関する取り組み、樹木医・冨田改氏の「日本の街路樹は2㎡足らずの空間に何十年も閉じ込められますが、欧米では12㎡の地中を確保して、街路樹の生育環境に配慮している」などの記事がある。
仙台市の街路樹が素晴らしいのは記者も実感している。来年4月に全国都市緑化仙台フェアが開催されるようだが、機会があったら取材したい。埼玉県内のみじめな街路樹をたくさん見ているので、議連の活動に期待したい。鋭い質問に区役所担当者をたじたじにさせ、街路樹伐採を決めた議会決定に瑕疵があることを認めさせたのも大串氏だ。
樹木医になるには、7年以上の実務経験のほか、日本緑化センターの研修も受けなければならず、樹木に対する知見だけでなくかなり高度な技術も必要と聞く。資格的には任意資格なのだろうが、国家資格に格上げしてはどうか。そうすれば、千代田区のように樹木医の診断を無視などできないはずだ。
気になることを一つ。全国の街路樹は圧倒的に落葉樹が多い。四季によって移り変わる景観をよしとする考え方が背景にあるのだろうが、街路樹は常緑樹がいちばんいいのではないかと思う。わが多摩市の街路樹は約1万本だが、うち2割近くはシラカシ、クスノキ、マテバシイ、ヤマモモなどの常緑樹だ。
街路樹伐採やめて 住民の監査請求棄却 千代田区監査委員 区のアリバイ作り追認(2022/7/1)