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「AERA」2月24日号「マンション新常識」記事(マーカーは小生がつけたもの)

 朝日新聞出版「AERA」2月24日号に掲載された「マンション新常識」の記事を興味深く読んだ。「『販売日数』が示す真の価値 価格じゃ見えないマンションの裏側」と題する全4ページで、筆者は住宅ジャーナリスト・山下和之氏と同誌の編集部。

 もっとも注目したのは、東京カンテイが提供した首都圏、名古屋市、大阪市、京都市などの2014年~2018年にかけて分譲されたマンション全物件のデータだった。

 データは定量的に処理されているため、具体的なマンション名などは1件も記されていない。販売開始から終了までの平均日数、最長日数と即日完売-半年以内-1年以内-1年超の分布、4年間の平均価格の推移などが分かりやすく図示されているのみだ。

 驚いたのは販売日数だった。首都圏でもっとも販売期間が短いのは墨田区の22日で、以下、荒川区28日、大田区38日、台東区42日、足立区62日、板橋区65日、新宿区66日、北区74日などとなっており、人気エリアというより、都心周辺の住宅地としてのポテンシャルが低い区部が上位を独占していることだった。

 正直、嘘だろうと思った。大手デベロッパーが販売リスクを考えもっとも嫌がる地域ではないか。2014~2018年に取材したマンションの記憶を辿っても、それらのエリアで売れ行きが好調だったのを思い出せなかった。墨田区でいえば、錦糸町で分譲し、好調だった三井不動産レジデンシャル…しか思い浮かばない。足立区でも北千住の三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスの早期完売マンションしか出てこない。

 そこで早速、同社に具体のマンションデータを教えていただきたいと申し込んだ。短時間完売ベスト100とかロングランマンション100、デベロッパー別販売スピード、戸数別販売速度などとして再構成し、記事にしようと思ったからだ。

 甘くはなかった。「AERA」の記事にも登場する同社市場調査部上席主任研究員・井出武氏から「センシティブな内容を含むので、データは具体のマンション名などを公表しないという条件付きで提供した」と断られた。

 あっさり引き下がるほかなかった。記者は、前職で20年以上、首都圏の新規マンションと分譲戸建ての販売状況をまとめ記事にしていた。捕捉率はマンションは約9割、分譲戸建ては4~5割だったと思う。デベロッパー別、施工会社別、用途地域別の売れ行きの違いなども記事にした。例えば準工立地の物件の売れ行きが悪いとか、住居系立地の三井不動産のマンションがよく売れるとか、竹中工務店施工マンションが好調…などだ。

 しかし、個別物件の販売日数などはとても追いきれないので記事にしたことなど一度もない。東京カンテイが全国のマンションのデータを詳細に把握しているのに驚嘆した。

 同社が設立されたのは1979年だが、目黒駅近くの雑居ビルで話を聞き、記事にしたのを思い出す。分譲パンフレットの収集から始めたはずだ。小生も取材したパンフレットは事務所に保管していたが、膨大な量にのぼるので捨てることにした。一部数千円から1万円以上のものもあったはずで、保管していたら凄い財産になったに違いない。

 同社のその後の事業展開などはよく知らないが、新築マンションのデータだけでなく、一戸一戸の中古流通のデータも把握していると聞いた。年間10万戸として数百万戸のデータを握っているのではないか。富の源泉は情報だ。同社の将来が末恐ろしい。悔し紛れに一点だけ弱点を指摘すれば、具体のマンションの基本性能・設備仕様レベルは把握できていないはずだ。

◇       ◆     ◇

 記事をまとめた山下氏はよく存じ上げている。マンションだけでなく、記者も顔を出すあらゆる取材現場で山下氏と出くわす。〝現場主義〟に徹している方だと思う。

 ただ、残念だったのは、記事には前段で書いたように具体のマンションは一つも出てこず、全4ページの紙面のうち見出し・図表が約57%を占め、記事の60%以上は東京カンテイの図表の説明やあれやこれやのマクロデータの寄せ集め、不動産コンサルタントなどのコメントであることだ。

 記事の冒頭にある取材テーマでもある「モノの値段は需要と供給のバランスで決まる。それが経済の大原則のはず。ならば、売れていないのに(太字は小生)価格が上がり続けるのはおかしい。現在の不動産市場では、価格が必ずしも市場価値を反映していないのではないか。だとしたら、知りたいのは『本当の価値』だ」としている「本当の価値」を記事は明らかにしていないのではないか。

 もうこれ以上深入りしないが、小生は供給物件を十把一絡げにして契約率が高い低い云々と書くのはいかがと思う。マクロデータはものを見えにくくするからだ。仮に坪単価500万円の20坪の億ションが即日完売し、同じ坪単価の10坪の5,000万円マンションが完売まで1年かかったとしたら、これをどう解釈、説明するのか。

 販売総額は15,000万円だから平均価格は7,500万円となるが、これが市場価格でないことは明らかだし、果たして売れ行きがいいのか悪いのか誰も説明などできない。デベロッパーだって足して二で割るようなそんな乱暴な売り方をしない。誰に売るかを真っ先に考えるからだ。

◇      ◆     ◇

 最初に記事を書いてから1日経過した今、「販売日数」は実際のマンションの販売期間とは関係ないことに気が付いた。

 前述の井出氏は期分けした物件もそれぞれ1物件としてカウントすると語った。仮に、全部で100戸のマンションを期分けせず1年間かけて販売した場合の販売期間は1年だ。一方、100戸のマンションを1期10戸としてそれぞれ即日完売し、全体として販売期間は1年間だったとすると、東京カンテイのデータには10物件が「即日完売」したことになる。

 つまり、後者の「即日完売」は見せかけであり、実際には前者のマンションの売れ行きと同じだということだ。これで、城東、城北エリアのマンションの販売期間が極端に短い謎が解けた。違いますか? 井出さん、山下さん。

錦糸町12分で坪単価264万円は〝旧価格〟か 三井レジ「パークホームズ錦糸町」(2016/10/28)

カテゴリ: 2019年度

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「ライオンズ横濱仲町台ヴィアーレ」

 先に紹介した「ライオンズ長津田グランリーフ」に続き、大京「ライオンズ横濱仲町台ヴィアーレ」を紹介する。こちらも環境省「高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に認定されており、駅に近く住環境に恵まれた物件で、全29戸のうち残りは未分譲含め8戸のみ。

 物件は、横浜市営地下鉄ブルーライン仲町台駅から徒歩4分、横浜市都筑区仲町台1丁目に位置する7階建て全29戸。専有面積は66.54~70.56m²、坪単価は290万円。竣工予定は2020年12月7日。設計は日企設計。施工は大京穴吹建設。デザイン監修は船田徹夫氏。昨年末から分譲を開始し、未分譲住戸を含めて残り8戸と好調。

 現地は、駅からはインターロッキング舗装された線路沿いを歩いて4分。敷地は元駐車場。標準階の住戸プランは1フロア5戸構成。東-南-西の3面採光プラン6戸はすべて成約済みのようだ。

 主な基本性能・設備仕様は、BELS★5つで、エネルギー消費量を33%削減、Low-E複層ガラス、二重床・二重天井、リビング天井高2400mm、御影石キッチンカウンター、食洗機など。

 販売を担当する同社本店営業一部係長・山内康平氏は、「最初はお客さまも〝(価格が)高い〟という印象を持たれたようですが、ZEHのよさを説明させて頂くと納得されます。早期完売を目指します」と話した。

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 この物件の特徴の一つとして強調したいのは住環境のよさだ。線路を挟んだ対面のサカタのタネの本社敷地内のメタセコイアは圧巻。数えてはいないが20本くらいあった。美しい円錐形の樹形はこの街に似合う。隣接地には緑に包まれた地区センターもある。

 船田氏のデザインもなかなかいい。販売事務所のパネルとパンフレットに記載されているに船田氏の写真は小生が30年くらい前に拝見したのとほとんど同じだった。お若いのにびっくりした。先生は歳を取らないようだ。

 どうして「長津田」を先に紹介したかは、「長津田」の記事と合わせて読んで頂ければわかるはずだ。

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モデルルーム

蛍が湧き立つ川に隣接 基本性能・仕様レベル高い 大京のZEHマンション「長津田」(2020/2/18)

カテゴリ: 2019年度

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「ザ・レジデンス四ツ谷ガーデン」

 都市再生機構(UR都市機構)と事業パートナーの三菱地所は2月20日、JR・東京メトロ各線の四ツ谷駅前のランドマーク大規模再開発プロジェクト「CO・MO・RE YOTSUYA(コモレ四谷)」のメディア向け竣工見学会を行った。

◇       ◆     ◇

 施設内に併設されている住宅「ザ・レジデンス四ツ谷アベニュー/ガーデン」を先に紹介する。

 この日、発表会に臨んだ三菱地所都市開発二部担当部長・佐野正文氏などは「全体で60戸あるうち地権者住戸41戸を除く19戸が分譲対象。面積は約30~130㎡。何戸分譲するかは未定。3月半ばから後半にかけて三菱地所レジデンスのホームページに公開する」としか話さなかった。

 基本性能・設備仕様レベル、プランなどが全く分からない現段階で単価を予想するのは難しいが、大胆に挑戦した。

 目の前がビル群の南西向き「アベニュー」は坪600万円でも高いような気がするが、外堀公園に面し、その先に一番町エリアが大きく展開する南東向きの「ガーデン」(戸数未定)はズバリ坪単価750万円※とはじいた。

 根拠は希薄だ。比較するものがないからだ。強いてあげれば、四ツ谷駅から徒歩6分の旭化成不動産レジデンス「アトラス四谷本塩町(旧四谷コーポラス)」の坪単価463万円、新宿御苑に隣接した三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 新宿御苑」の坪570万円くらいだが、これらとは立地条件、スケール、眺望などからして比較にならない。

 アドレスが「新宿区」なのは割引材料だが、総合的な評価は代田区番町エリアの坪600~800万円台に引けを取らないと読んだ。

 読者の皆さんからは「高い!たわけたことを抜かすな」と罵声を浴びせられそうだが、三菱地所レジデンス「北千住」は坪380万円で売れた。桜並木が美しい外濠公園が目の前のマンションなら坪750万円※というのはむしろ安い-これが記者の結論だ。三菱地所レジデンスは果たしていくらの値を付けるか。

※2月24日時点で坪単価を当初の700万円から750万円に上方修正しました。坪800万円もあるかも。

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全体鳥観図(UR都市機構 提供)

敷地制約を逆手に取ったプラン 旭化成不レジ「四谷コーポラス」建て替え成功の理由(2019/7/2)

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「ミオカステーロ橋本」

 リストは2月18日、同社が販売復代理している「ミオカステーロ橋本」の問い合わせ件数が250件を超え、2月1日からの予約を含む来場者件数は100件を超えたと発表した。

 同社は、リニア中央新幹線の駅が予定されている橋本駅から徒歩10分圏内で総戸数40戸以上のファミリータイプマンションの供給は約10年ぶりで、駅から徒歩6分の立地ながら近隣は戸建て住宅街のため閑静で、眺望も抜ける点を好評の理由としている。

 物件は、JR横浜線・相模線・京王相模原線橋本駅から徒歩6分、相模原市緑区橋本三丁目に位置する15階建て42戸。専有面積は55.44~89.32㎡、価格は未定。竣工予定は2021年2月下旬。売主は山田建設。販売代理は自在空間。販売開始は2月下旬。

 モデルルームでは、京王相模原線京王多摩センター駅から徒歩3分(小田急多摩線小田急多摩センター駅から徒歩3分)の「ミオカステーロ多摩センター」26戸の設備仕様も確認できる。

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 この物件は10日くらい前に見学している。マンション化が進んでいる商業系エリアの一角で、建物は1フロア3戸(最上階のみ2戸)構成。南西向き角住戸は8.7mスパンの70㎡、中住戸は6.3mスパンの55㎡、東南向きの角住戸は7.0mスパン61㎡。最上階の左右対称住戸は10.15mスパンの89㎡。

 主な基本性能・設備仕様は、全戸多面(8カ所)採光・窓、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食器棚、食洗機、ミストサウナ、メーターモジュール廊下幅など。

 価格は未定だが、坪単価は250~260万円くらいになるのではないか。中住戸も含めて8カ所に採光・窓を設けているプランがいい。

「量の王者」から「質の王者」へ 大京・ライオンズ(2011/11/7)

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KAMEIDO PROJEKT

野村不動産は2月19日、地域共生をテーマにした商・住大規模複合「KAMEIDO PROJEKT」発表会を行い、環境・省エネ、防災対策を施した住宅棟「プラウドタワー亀戸クロス」(934戸)と大規模商業施設の概要を明らかにした。マンションは免震工法、全館空調(一部住戸除く)と二重サッシ・樹脂サッシを採用するほか、高さ3mの浸水にも対応する止水扉を設置する。商業施設は従来の店舗面積の約1.5倍、店舗数は約1.3倍の150店舗を予定し「365日亀戸劇場」を目指す。

マンションは、JR総武線亀戸駅から徒歩2分、江東区亀戸六丁目の商業地域・準工業地域に位置する敷地面積約24,823(小学校増築敷地約1,833㎡含む)25階建て2棟全934戸。専有面積は29.88138.44 (トランクルーム面積0.64㎡~8.09㎡含む)、価格は未定だが、坪単価は300万円台の半ばになる模様。売主は同社(事業比率87%)のほか三菱地所レジデンス(同13%)。竣工予定は20221月下旬。施工は前田建設工業。デザイン監修は日建ハウジングシステム。

商業施設は、地下1階地上6階建て延べ床面積約58,000㎡。約150店舗が入居する予定。

会見に臨んだ同社代表取締役社長・宮嶋誠一社長は、「ESGSDGsは経営活動の基盤で、目指すべき価値創造のテーマ。今回の『亀戸』プロジェクトはその取り組みのフラッグシップとなるよう『プラウドシティ日吉』同様、多様なコミュニティ形成や地域との共生をコンセプトとした『BE UNITED』を実現する」と述べた。

マンションの概要について説明した同社取締役兼専務執行役員・松尾大作氏は、「多様なニーズに応えるよう30140㎡のプランを用意し、自宅をSOHO的に利用できるプランも検討中。環境・省エネの取り組みでは、先進のテクノロジーを導入し、プラウド初となる床空調システム『床快full』、間取りの自由度と可変性を高める『Miliful(ミライフル)』、大規模修繕の周期を長くして全体的なコストを削減する『アトラクティブ30』を採用。BELS認定を取得する予定。防災対策では荒川の最大の浸水予想3.5mに対応するため、電気室への浸水を防ぐ止水扉を設置する」と語った。

現時点の来場者は700組。2月末まで予約は満席。第1期は200戸弱を予定している。

商業施設については、同社執行役員・宇佐美直子氏が「テーマはLIVE UPPARK365日賑わう亀戸劇場を仕掛けていく。来館者目標は年間1,000万人超を目指す」と話した。

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左から宇佐美氏、宮嶋氏、松尾氏(皆さんSDGsバッジを付けていた)

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 以下は、新型ウイルスの感染を防ぐ役割を果たすかどうかは定かではなく、むしろのべつ幕なし害毒をまき散らす小生の口を封じる狙いがあるのではないかと勘繰りたくなるようなマスクを会見場の受付でもらい、現地・モデルルーム見学会に異動する際にはワンランクもツーランクも上位と思われる亀戸升本の弁当も頂いたお返しの〝お世辞〟記事では断じてない。この前の大京の「長津田」と同じ、極めてレベルの高いマンションに心底ほれ込んだ、賛辞を贈る記事だ。

 同社は、今回の「亀戸」のほか、再開発の「金町駅前」190戸、「平井駅北口」約370戸、「小岩駅南口」601戸、「立石駅南口」450戸を数年間かけて今後分譲する(各物件とも地権者住戸含む)。トータルで約2,500戸だ。第一弾の「亀戸」で一挙に弾みをつけると読んだ。

 その意気込みがひしひしと伝わる発表会だった。飛び上がらんばかりに驚いたのは全館空調(床快full)の採用だった。23年前から採用を検討していたという。

 同じような機能を持つ三菱地所ホームの赤坂のモデルハウスに一度体験宿泊させてもらっている。また、外断熱のマンション、戸建て、ホテルなども泊まったことがあるのでその良さがよく分かる。居室はもちろん、廊下もトイレも洗面所、脱衣室、押し入れの中まで温度を一定に保つことができる。P.M2.5なども防げる。

 残念だったのはコンパクトの162戸には採用されないことだ。なぜなのか理由を聞いたら、担当者は「コンパクトならエアコンをつけっぱなしにすれば効果は同じ。イニシャルコスト=販売価格を抑えるため採用しなかった」と話した。なるほど、これもありか。

 それでも、採用戸数は872戸にのぼる。これまで三菱地所レジデンスは現在進行形の2物件を含め12物件に三菱地所ホームの「エアロテック」を採用しているが、戸数にすると約350戸だそうだ。「亀戸」は一挙に2倍以上上回る。同社は近く分譲する「文京千駄木」「高田馬場」でも採用するという。これは凄いことだ。

 もう一つ。二重サッシは道路の騒音対策の一つだが、内側のサッシにアルミではなく樹脂サッシとLowEガラスを採用しているのにまた驚いた。こんなマンションはまずないはずだ。BELS認定は最低★3つを取得するようだ。

 安心・安全の対策もなるほどと思わせるものだった。止水扉は自動的に作動するという。

 モデルルームは74㎡と最上階プレミアム住戸(15戸)の121㎡。上記以外の設備仕様レベルはこれまでのプラウドとそれほど変わらないと思う。リビング天井高は最上階が2700mm、それ以下は2500mm

 約40戸のSOHOタイプはどのような条件を付すかは検討中とのことだった。記者は〝専ら居住〟の時代ではないと考えるので、これにも注目したい。住友不動産が採用している方式とは異なるのではないか。

 ついでにトイレ。今年見学したマンション、戸建てのトイレはすべてTOTO製だったが、今回はパナソニックの「アラウーノ」。戸数でもTOTOに迫ったか追い抜いたか。

 そして、最大の関心事である坪単価について。「わたしは歳をとってもストレート勝負。変化球は投げません。単刀直入に坪単価を聞きたい」と質問した。ひょっとすると交わされるかと思ったが、松尾氏は「プレ価格ですが、坪単価は300万円台の半ば」としっかり打ち返してくれた。そこで「『所沢』(坪350万円)は超えると思いますが、『北千住』(坪380万円)には負けるのではないか」と畳みかけた。松尾氏も相当負けん気が強い。スタッフを呼び、「コンパクトの162戸は『北千住』を超える」と話した。

 値段が高いは安いかはユーザーが決めることだ。これ以上書かないが、マンションの基本性能は間違いなく現時点で最高クラスだ。今年のマンションベスト3候補に早速入れた。

 添付した大京「長津田」の記事も併せて読んで頂きたい。立て続けに感動的なマンションを取材する機会を与えてくれた両社に感謝申し上げる。 

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床の通気口と二重サッシ・樹脂サッシ

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公開空地

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収納力を増やした新しいキッチン

蛍が湧き立つ川に隣接 基本性能・仕様レベル高い 大京のZEHマンション「長津田」(2020/2/18

効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30

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「ライオンズ長津田グランリーフ」

 大京が分譲中のZEHマンション「ライオンズ横濱仲町台ヴィアーレ」と「ライオンズ長津田グランリーフ」を見学した。当初は「横濱仲町台」を先に書こうと考えていたが、「長津田」を先に紹介する。理由は、蛍が生息する川に隣接し、総合的なレベルも上位だと判断したからだ。

 「長津田」の物件は、東急田園都市線・JR横浜線長津田駅から徒歩10分、横浜市緑区いぶき野に位置する6階建て全64戸。現在販売中の住戸(4戸)の専有面積は68.54~76.88㎡、価格は4,390万~4,990万円。坪単価は217万円。竣工は2020年1月24日。設計は日企設計。施工は大末建設。昨年6月から分譲開始し、現在、未分譲の4戸を含めて残りは8戸。

 現地は、駅から徒歩8分くらいフラットの道を歩き、そこから先は緩やかな坂を下った準住居地域、第一種住居地域の二方角地。敷地は元駐車場。敷地に隣接して蛍が生息するという恩田川の支流の岩川が流れ、竹林がある。

 建物はL字型で、標準階は1フロア12戸構成(南東向きが5戸、南西向きが7戸)。

 主な基本性能・設備仕様は、高い断熱・省エネ性能を持つZEH-M基準を満たしており、アルミ樹脂複合サッシ、Low-Eガラス、BELSによるエネルギー消費量29%削減認定、低炭素建築物認定、パッシブデザイン、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2500mm、御影石キッチン天板、食洗機、ミストサウナなど。

 販売を担当する同社営業二部担当課長・徳本英子氏は、「えっ、『仲町台』から先に書く? 取材を終えるころには『長津田』を書く気持ちに変わりますよ。何たって、ここは始発もある田園都市線の長津田駅。岩川には蛍が生息し、竹林から湧いて出るのも確認しました。ZEHですからね。断熱材は通常の3倍。デザインにも力を入れています。単価230万円? それより低い217万円。これは安いと思いますよ。私が言うのではなく、お客さんがそう仰っていますから」と話した。

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敷地のそばを流れる岩川

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 先に「横濱仲町台」を取材したとき、駅からの距離、環境の良さ、売れ行きなどを考えて、「長津田」は後回しにしようと思っていた。しかし、徳本氏の誘導にまんまとはまった。

 最初に揺さぶりを掛けられたのが〝蛍が湧いて出る〟だった。記者が生まれ育った伊勢の田舎は、1978年に芥川賞を受賞した宮本輝の「螢川」そのものだった。近くを流れるせせらぎや田んぼの畔は波のようにうねり重なって光り輝いた。手に取ると希望の黄色い光を放ち、暗闇を照らした。蚊帳の中に何匹も放っては、しわくちゃの祖母のおっぱいをまさぐりながら眠りについたものだ。高度成長と共に消えたのではなかったか。

 その蛍が長津田に生息すると聞けば、これはもう最優先して書く価値があると判断した。

 そして、決め手は商品としての総合力だ。「仲町台」はLow-Eガラスを採用しているが、サッシ枠はアルミだった。ところが「長津田」のサッシ枠は樹脂で、その良さをお客さんにきちんと伝えるよう普通のアルミ複層ガラスと樹脂サッシの比較体験コーナーを設けていた。

 外気温をマイナス4.8度、室温を20.8度に設定しており、普通のガラスは7.2度、アルミ枠は9.4度を示し、水滴が張っていたのに対し、樹脂サッシのガラスは16.9度、樹脂枠は16.2度だった。

 基本性能・設備仕様レベルから判断して、この単価設定はものすごく割安感があると思う。同社はパンフレットなどで「光熱費は年間54,419円お得!」と書くが、ZEHマンションに住む快適性・地球環境への貢献度合いも金額に換算してはどうか。

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アルミサッシと樹脂サッシの比較体験コーナー(左の普通の窓ガラスは9.5度、右の樹脂サッシガラスは16.2度と表示されている)

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左側が竹林が生い茂る岩川、右側が完成したマンションの車の出入り口(茶色は木調ルーバー)

隣接のサカタのタネのメタセコイア圧巻 大京のZEHM「仲町台」 販売好調(2020/2/21

 

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「グランツオーベル中野」モデルルーム

 大成有楽不動産は2月13日、現在分譲中の「グランツオーベル中野」のモデルルームインテリアが、「令和元年度住まいのインテリアコーディネーションコンテスト」最高賞の「経済産業大臣賞」を受賞したと発表した。受賞したモデルルームは、コスモスモアがデザイン監修を行っている。

 同社は「モデルルームのコンセプトは、働き方改革が進む昨今、これまで以上に自宅で過ごす時間が増えることを想定し、より自宅空間を最良のものにしたいという思いから始まりました。そして、見た目が煌びやかなだけではない、新しいラグジュアリースタイルの提案を行うべく、『New Luxury』をコンセプトとし、インテリアテイストとしては、上質で落ち着いた高級感を醸しながらも、大人の遊び心を刺激する、新しいアイデアが生まれるような空間デザインを創造しました」としている。

 主催したインテリア産業協会の審査委員は「マンションはお客様によって『オフィス的に使う』場合や、『趣味の領域』、『ゆったりリラックスするくつろぎの領域』など多様な使い方がある。単に住まうというよりは、『居場所』としての質の向上をすることで多様な使い方に対応していると感じた。この状態が完成形ではなく、今後使いながら空間は変化を続け、より心地よくなっていくような余地を残している感覚がこれからの『住む』ではなく『時間を過ごす』という考えを感じ取ることができる空間表現となっている点が評価できる」としている。

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モデルルーム

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 記者は昨年10月、このマンションを取材しており「インテリアデザインにコスモスモアを起用した約79㎡のモデルルームが出色だ。家具・調度品、カラーリングなどは富裕層の心を捉えるのは間違いない」「リビングには瘤付き無垢材のテーブルが置かれていた。一流料亭でもあるかないか。このようなテーブルで食事をし、酒を飲みたい。デザイナーの方は女性のようだが、今後が楽しみだ」とストレートに書いた。これほどベタ褒めしたマンションはそうない。

 売れ行きも好調のようで、昨年末までに第1期34戸が完売し、2LDKタイプはすべて成約済みとか。

 同社にひと言。このように経済産業大臣賞を受賞する力があるのに、今後のマンション事業は抑制気味だと聞いた。良好な土地の仕入れが難しいのは分かるが、敢えて競争が激しいホテルなどに注力するのか。一括売りした「築地」も素晴らしかった。

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モデルルーム

希少立地で人気呼ぶか 大成有楽不動産「中野」駅圏最高値での販売なるか(2019/10/15)

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住宅宅地分科会マンション政策小委員会(国土交通省で)

 国土交通省は2月10日、第4回社会資本整備審議会住宅宅地分科会マンション政策小委員会(委員長:齊藤広子・横浜市立大学教授)を開き「とりまとめ(案)」について論議し、ほぼ「案」通りとすることを了承した。

 「とりまとめ(案)」は、全国のマンションのストック数は約655万戸、1,500万人超が居住し、都市部を中心に居住形態として定着しているものの、築40年超のマンションは現在81万戸に達し、今後、急速に建物の老朽化と居住者の高齢化という「二つの老い」を迎える中で、維持管理等に係る意思決定に時間がかかり、区分所有者の多くは必要な専門的知識や経験を持っておらず、役員の担い手不足なども深刻化しているとし、専門家の活用、地方公共団体の支援強化、流通市場で適正に評価される制度や改修・建て替え促進を促す法整備を求めている。

 同省・眞鍋純住宅局長は、「委員の方々から『画期的』『一歩踏み込んだ内容』『網羅的』などと評価されて恐縮している。課題はあふれるほど山積しているが、できることから速やかに法制化作業を進める。専門家や地方自治体の協力を得ながら最大県の効果を発揮するものにしたい」と語った。

 以下、各委員の意見・感想を紹介する。順不同

 小林秀樹委員(千葉大学大学院教授) 重要事項説明書に盛り込む内容と一般に公開する情報は、誤解を招かないよう区別して考えるべき。案は現状を変える第一歩として評価したい。次の10年後先も考えないといけない

 深尾精一委員長代理(首都大学東京名誉教授) わたしの専門はハード中心だが、非常に勉強になった。建て替えなとは分かるが、その前に道路計画を見直すべき。道路計画を(無視して)大量に団地を供給してきたことも問題

 戎正晴委員(弁護士・明治学院大学客員教授) 充実したとりまとめ(案)だ。一歩踏み込んだ内容が盛り込まれている。団地の敷地分割を盛り込んだのは画期的。管理組合の義務も読み取れる内容だ

 野口貴公美委員(一橋大学大学院教授) マンション管理には法律が多岐にわたり関係者・団体が多く、合意形成が難しいが、情報公開など管理の適正化に誘導することを期待したい

 鎌野邦樹委員(早稲田大学法学学術院教授) 非常に踏み込んだ案となっており、全面的に賛成。法令の改正も必要だが、建て替えの後押しにも、修繕・改修の現実的な問題の解決にもつながる

 栗谷川哲雄委員(東京都住宅政策本部民間住宅施策推進担当部長) 都は4月から届け出制をスタートさせる。自治体への国の支援策もお願いしたい

 江守芙実委員(江守設計一級建築士事務所代表)  網羅的にまとまっている。より深堀りして好ましい管理の姿を示していただきたい

 齊藤広子委員長(横浜市立大学教授) 適正化法は頑張る人にはいいが、管理不全に陥り頑張れない人をどうするかという課題がある。今回の案は新しい時代への第一歩、第一弾というのが感想

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 具体的な法整備、取り組みはこれからだが、マンションの適正な維持管理、目指すべき市場形成などに関して網羅しており、「とりまとめ(案)」はとてもよくまとまっていると思う。各委員のコメントによく表れている。

 一つだけ言わせていただければ、これほどマンションの管理が社会問題になっているのは、だれも加速度的に進む少子高齢社会の到来を読み切れなかったからだし、デベロッパーも消費者もマンション管理に関心を寄せなかったからでもある。デベロッパーはマンション管理については後ろ向きだった。環境性能表示と同様の管理性能表示を分譲の段階で行うのも一つだと思う。

 喫緊の課題の一つでもある団地型のマンション再生について言えば、同じ間取りの同じ価格のマンションを同時に大量に分譲すればどのような事態を招くか容易に想像できたはずだ。深尾氏も指摘したように道路計画を含めてわが国の都市計画の是非、検証を行うべきだと思う。

 管理不全マンションの公開は両刃の剣だ。一つかじ取りを間違えれば、世の中から管理が劣悪なマンションは〝抹殺〟されることになりかねない。とはいえ、絶対的排他的土地所有の原則がある限り、国や自治体が支援するのには限界がある。専門家の活用にもお金がかかる。どうするのだろうか。 

とりまとめ案.pdf

管理費滞納、空き家・賃貸化など公開へ 神戸市 マンション管理支援制度で検討へ

カテゴリ: 2019年度

神戸市の「マンション管理支援制度委員会」(会長:戎正晴弁護士、明治学院大学法学部客員教授)は27日、マンション管理組合に届け出を義務化し、行政がマンションの管理状況を把握する仕組みをつくり、適正に管理することが区分所有者のメリットとなるインセンティブを与え、同時に管理状況の表示により市場で適正に評価されるため、管理費滞納マンションなどを市のホームページで公開することを求める「とりまとめ(案)」を市に提出した。

「とりまとめ(案)」では、建物概要、設備・管理・修繕などのハード面のほか、滞納を含めた管理費徴収の状況、空き家・賃貸化戸数、バリアフリー・環境への取り組み、地域コミュニティへの参加の有無などソフト面でも具体的に記載して市に届け出るよう求めている。タワーマンションの持続可能性に関する事項も盛り込まれている。

届け出は管理組合総会または理事会議決を経た上で提出し、届け出のあったマンションはすべて公開し、管理不全の兆候のあるものには働きかけ型支援を行うことを市に求めている。

戎会長は「情報を市場で評価するには、何らかの形で公開する必要があるが、管理 不全だと マイナス評価を受ける前提では、情報を出さなかったり、公開に抵抗が生まれたりすると思う。どこまで公開するか、情報公開制度のあり方についても次回以降検討したい」(第1回検討会)と述べ、「適正管理を進めていくには、供給時の問題も非常に大事ではあると思う。今回のサイクル案は、適正管理の支援をメインとしているが、供給時の問題についての議論も必要になってくるだろう」(第4回検討会)と語っている。

また、藤岡亨委員(マンション管理業協会関西支部事務局長)は「管理会社によって自己評価や価値観の見出し方が違うと思うので、正直なところ何とも申し上げにくい。当協会では、管理評価研究会を設置して管理状況の評価について検討しており、今は中間とりまとめをしようとしているところであるが、評価はSABC というランク付けを予定している。管理会社のモチベーションとしては、どれだけB ランクであったものがA ランクに上がったかというようなところをモチベーションにして頂きたいという思いを含めて議論がなされている」と、管理協も管理状況の〝格付け〟を検討していることを明らかにした。

市は、検討会の取りまとめを受け、来年度から具体的な施策の取り組みを行っていくとしている。

マンションの届け出制は、豊島区、墨田区、板橋区、横浜市、名古屋市、大阪市などで行っており、東京都も41日付で「東京におけるマンションの適正な管理の促進に関する条例」を施行する。

しかし、管理費滞納の有無や空き家戸数、賃貸化戸数などを求める条例はなく、神戸市の取り組みやマンション管理協の〝格付け〟は波紋を呼びそうだ。第3回委員会の議事録を以下に紹介する。

 長田康夫委員(マンション管理センター 大阪支部 支部長) 「支援」という言葉が気になる。支援が必要なところにどのような形で周知するのか。外から見ても管理不全に陥っているというところの区分所有者や管理者が、適正なマンション管理をしていこうという気になるかどうか。届出ができるマンションはどんどん管理状況が良くなっていくが、届出できないマンションはそのまま残っていく。二極化が進むのではないかと危惧している

 髙野正浩委員(兵庫県宅地建物取引業協会 常任理事) 行政の認証を受けたからといって資産価値が上がるとは思わない。届出が義務化となれば届出しているマンションとしていないマンションの差がすごく出ると思う。届出のないマンションは売れなくなる。買い手もそこを聞く。従って届出は絶対に進んでいく。届出したいけど出来ないマンションは山ほどある。届出を推進することでマンションの格差が発生する。そのようなマンションに神戸市がどうやって支援出来るかを考えていただきたい

 多田敏章委員(兵庫県不動産鑑定士協会会長) 良いマンションは少しの追加投資でより高く売れるマンションになるという方向に進み、マンションを取得しようとしている人には有用な情報を提供することになるが、逆にダメなマンションはより一層ダメになると思う。良いマンションの認証が増えるほど、ダメなマンションは売れなくなり、二極化は必ず拡大する

 戎会長 管理組合で情報開示について承認された物件だけ開示するとなると、情報開示制度自体が価値のないものになるおそれがある。マイナス情報を承諾なく開示していいのかという問題は必ずある

管理適正化、再生、情報公開など提言 マンション政策小委員会「とりまとめ(案)」

カテゴリ: 2019年度

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「リーフィアレジデンス橋本」

 小田急不動産は27日、町田市の分譲中マンション「リーフィアレジデンス橋本」(全425戸)が一般社団法人いきもの共生事業推進協議会の「第2回ABINCエイビンク賞 優秀賞」を受賞したと発表した。

評価者は「今回の取り組みは画期的と言える。開発とセットで既存の緑地を積極的に保全していく好事例として他の事業でも良い参考となる」としている。

物件は、横浜線 ・京王相模原線橋本駅から徒歩19分の全425戸。敷地のほぼ3分の1が里山。第199戸は好調なスタートを切った。

記者が選んだ 2019年「話題のマンション」 28物件(110)(2019/12/26

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「プレミスト湘南辻堂」

大和ハウス工業は2月7日、藤沢市で分譲中のマンション「プレミスト湘南辻堂」が一般社団法人いきもの共生事業推進協議会の「第2 ABINC賞 特別賞」を受賞したと発表した。

評価者は「特筆すべきは、これら広大な緑地に樹林地をはじめ、屋上緑化や家庭菜園、流水・止水を有するビオトープ池などの多様な環境を複合的に配置するとともに、生息が期待される動物種に応じて生息環境や産卵環境を配置するなど、特にハード面で様々な工夫がなされている」としている。

 物件は、JR 東海道本線辻堂駅から徒歩9 分の全914戸。

植栽計画がいい シニア層はもっと増やせるはず 大和ハウス「湘南辻堂」A敷地竣工(2019/3/20

カテゴリ: 2019年度
 

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