RBA OFFICIAL
 

6.png
「リビオレゾン勝どきnex」完成予想図

 日鉄興和不動産が10月9日に発表していることなので旧聞に過ぎるが、これまでのマンションのモデルルームの常識を根底から覆す同社の〝バラバラでアンバランス〟なコンセプトルームを体験した。ミレニアム世代の単身女性向けプランで、〝古稀〟の記者はあっけにとられると同時に〝これは受けるかも〟と直感した。

 同社のニュース・リリースをご存じない方は何のことやらさっぱり分からないだろから、まず、同社の6ページからなるリリースを要約する。

 同社が運営するシングルライフのための暮らし・住まいの研究所「+ONE LIFE LAB」(プラスワンライフラボ)は2017年12月、プランニングチーム「素敵なうさぎライフ研究所」(うさ研)を立ち上げた。

 その背景には、「既成のルールや価値観に縛られず独自の感性を持つと言われるミレニアル世代(1980年代〜2000年代序盤生まれ)の意識や生活行動は、住生活においても従来の常識を覆す新しい市場を生み出す可能性を秘めている」ことから、「これまでのマンション企画をゼロから見直すこととし」「かつて欧米から『うさぎ小屋』と呼ばれた日本の小さな家…『うさぎ小屋』ライフは、とても素敵なものにできるのではないか」という発想がある。

 「うさ研」は、「都内に居住するミレニアル世代の単身女性を対象にエスノグラフィーを中心としたリサーチを実施。その結果、自分らしい個性的な生き方を愛するミレニアルズは、画一的な枠組みに収められることを好まず、自分にふさわしい個性を住まいに対しても求める願望があることが明らかになり」「『大衆』に向けて設計された平均値発想の間取りや仕様・設備ではミレニアルズの真の期待に応えることはできない。均整のとれた汎用性を目指すのではなく、コンパクトマンションの優位性を活かして、ちょっといびつでアンバランスな個性を持つ人にぴったりな『自分らしい居場所』を作れないだろうか。そんな発想から、“アンバランスな私たちのアンバランスな住まい”『i-Be2』は生まれた」と結論付けている。

 「i-Be2」とは、私(=「i」)がもっともっと自分らしく(=「Be2」)生きられるという意味と、「いびつ(仏Baroque)」の意味を重ね合わせたネーミングだ。その結果、生まれたのが今回のコンセプトルームだ。

 コンセプトルームは、①worcube(ワーキューブ)②sportio(スポルティオ)③ambientum(アンビエンタム)の3つ。

 ①worcube(ワーキューブ)は、自宅を仕事場として使えるよう工夫を凝らしたもので、仕事場と生活感を切り離すため独立キッチンとし、床は掃除がしやすい塩ビシート、仕事道具が収まる壁面収納などとしているのが特徴。

 ②sportio(スポルティオ)は、身体を動かすことが大好きで、生活の中心にスポーツがある人向けで、玄関に土間を設け、リビングと洋室の境を取り払い、天井にはエキスパンドメタルを配し、チューブトレーニングなどができるようにし、靴など汚れものが洗えるシンクを設置している。

 ③ambientum(アンビエンタム)は、ストレスを解消し、コクーン(繭)のように〝自分に帰る場〟を提案。天井には人工(リリースは人口)天窓を設置、部屋の中でも太陽に包まれたような気分にひたるようにしている。直線部分は丸みを持たせ、床は天然板素材を採用している。

 コンセプトルームは近く分譲する「リビオレゾン勝どきnex」で体験できる。物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩9分、中央区勝どき5丁目の準工業地域に位置する敷地面積約710㎡、13階建て全96戸。専有面積は25.12~32.18㎡、予定価格は2,900万円台~4,200万円台(最多価格帯3,800万円台)、予定価格からして坪単価は400万円台の前半になる模様。竣工予定は2021年2月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

4.png
①worcube(ワーキューブ)

7.png
②sportio(スポルティオ)

5.png
③ambientum(アンビエンタム)

◇       ◆     ◇

 ずいぶん長くなってしまったが、百聞は一見に如かず。「西日暮里」「月島」と同様、同業の方にも見学することをお勧めする。先に書いた同社の「月島」は、狭くて高いコンパクトに飽き足りない層をターゲットにしている。「勝どき」は逆に、専有面積を10坪(33㎡)以下に絞り、その空間を最大限に生かそうという提案だ。

 つまり、大激戦のコンパクトマンションニーズを〝独り占め〟しようという目論見が見え隠れする。

 一つ、記者からの提案。人工天窓はいい。そこまでやるのなら、さらに一歩進めて「自然採光システム」の導入を考えてはどうか。コストがかかるので大規模でないと不可能だが、マンションの立地、方位を劇的に変えるはずだ。

◇       ◆     ◇

 ミレニアル世代の分析については異論がないわけではなく、記者はリリースの通り〝バラバラでアンバランス〟なのがミレニアル世代だと思うが、果たしてどうか。弊社のミレニアル世代数人に同社の分析結果を読んでもらって、その感想を聞いた。以下がその回答だ。

 「そうかしら。わたしはちょっと違う」

 「家を買おうとは思わない。地震が怖い。マンションを買っても土地は残らない。賃貸でいい」

 「家を買うお金があったら、何かに投資・運用する」

 「旦那さんに頼るよりたくましく自立して生きたい」

 また、ミレニアル世代の男性は「高望みしないというのが我々の世代」と語り、ミレニアル世代を超えた女性はミレニアル世代を「小島よしおさんの〝そんなの関係ねぇ〟じゃないですか」と評した…これってまさに〝バラバラでアンバランス〟ではないか。

高くて狭いコンパクトに飽き足りない需要 取り込む戦略か 日鉄興和「月島」(2019/11/27)

テーマは「モロッコブルー」「西日暮里」に旅好き女子のインテリア 日鉄興和不(2019/10/22)

どうなる分譲マンション・戸建て市場 独断と偏見の私論(2018/12/14)

太陽光採光システムはマンションに採用できないか(2010/3/25)

「スカイライトチューブ」体験・見学会 牛久工務店(2011/3/14)

カテゴリ: 2019年度

3.jpg
「オーベルアーバンツ銀座築地」ホームページから

  つい先日記事にした大成有楽不動産の「オーベルアーバンツ銀座築地」が「販売計画の見直し」により、モデルルームの受付を中止していることが分かった。

  同社は「販売計画の見直しを行っている以上のことは話せない」としている。

◇       ◆     ◇

 記者はこのマンションを取材した際、基本性能・設備仕様は高く、周辺の競合物件に負けないと判断した。記事でも「(販売担当の)庄司氏は余裕しゃくしゃくに見えたが…内心をそのまま吐露したのか、それとも戦々恐々の心奥を悟られまいと虚勢を張ったのかまでは読めなかった」と書いた。多分、余裕綽々だったはずだ。

 なので、販売計画の見直しと聞き、これは分譲価格を見直し〝釣り上げる〟と読んだのだが、どうもそうではないようだ。

 推測するに、同業他社から〝専有卸で譲ってくれないか〟というオファーがあり、同社がそれに応えたようだ。

 どこが買ったかは分からないが、隣接する大和ハウス工業でもコスモスイニシアでもなさそうだ。基本性能・設備仕様レベルからして、大手デベロッパーも含めてどのようなブランド名になろうと、その名を汚すことにはならないはずだ。

 同じように販売直前になって卸売された最近の事例では、三菱地所レジデンスがタカラレーベンに売却した「レーベン上尾GRAN MAJESTA」がある。また、大成有楽不動産は昨年、建築途中で千代田区二番町のマンションを売却している。

余裕しゃくしゃくか 〝孫の手〟のように細かい点に工夫 大成有楽不「銀座築地」(2019/11/14)

地所レジから専有卸受け分譲 タカラレーベン「上尾」1年で全183戸完売の勢い(2019/7/30)

カテゴリ: 2019年度

img_02.png
「リビオレゾン月島ステーションプレミア」完成予想図

 日鉄興和不動産が12月に分譲する「リビオレゾン月島ステーションプレミア」を見学した。月島駅から徒歩2分で坪単価は400万円台の前半。コンパクトではあるが専有面積を40㎡以上確保することで差別化を図り、周辺の高単価コンパクト需要を吸収しようという戦略と見た。

 物件は、東京メトロ有楽町線、都営大江戸線月島駅から徒歩2分、中央区佃2丁目に位置する13階建て全79戸(非分譲住戸6戸含む)。専有面積は40.39~65.23㎡、予定価格は4,400万円台(1LK)~8,300万円台(3LDK)、坪単価は400万円台の前半になる模様。設計・監理はT設計工房。竣工予定は2020年11月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 現地の用途地域は商業地域(一部第2種住居地域)で、敷地東側は幅員36mの清澄通りに面し、南側と西側はそれぞれ約2.7mの公道に接道。道路を挟んだ西-北-東側は2~3階建ての土地が細分化された木造住宅など。

 住戸は2階以上で、1フロア5~6戸構成。内廊下方式を採用。清澄通りに面した南東向き住戸は45㎡・45㎡・55㎡、北西向きは45㎡・45㎡・55㎡が中心。もっとも広い65㎡は上層階の1戸のみ。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、食洗機、フィオレストーン天板、ミストサウナ、キッチン床下収納、Low-Eガラス(コーナーサッシのみ)など。

img_01.jpg
エントランス

◇       ◆     ◇

 このところ、「築地」と「上野」のコンパクト中心のマンションを6物件見学している。トータルで約600戸だ。坪単価は軒並み400万円以上で、中心は450万円。10坪(33㎡)でもグロスは4,500万円だ。

 もちろん、このほか都心部では数十棟のコンパクトが分譲されている。どこかが割を食うのは必至だ。

 「月島」は、他のエリアと比べると単価相場はやや低く、劣勢は否めないと思っていたが、この物件に限ってはそうではない。「築地」などの〝狭くて高い〟コンパクトに飽き足りない単身者やDINKSの需要を取り込もうとする、相場の低さを逆手に取った戦略がありありだ。

 専有面積も最低で40㎡を確保して2LDKとするとともに間口も5.1mと広い。この戦略が奏功するかどうかだが、45~55㎡の2LDK(41戸)は、子どもが生まれても何とか3人で暮らせる。「築地」とは単価差にして約50万円。さて勝敗は…。

カテゴリ: 2019年度

img-01.jpg
「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」完成予想図

 明和地所が11月22日から販売を開始した「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」のモデルルームを見学した。新幹線と府中街道が交差する地点だが、1LDK・2LDK・3LDKのいずれのプランもワイドスパン&正方形で使い勝手がいいマンションだ。

 物件は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩13分(JR武蔵小杉駅から徒歩11分)、川崎市中原区市ノ坪の準工業地域に位置する7階建て64戸(事業協力者住戸6戸、管理事務室1戸含む)。第一期(9戸)の専有面積は33.45~73.41㎡、価格は3,082.5万円~6,546.4万円、坪単価は300~320万円になる模様。竣工予定は2021年3月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工はノバック。

 現地は、新幹線高架と府中街道が交差する準工エリアで、マンション化が進んでいる一角に位置。敷地は元パチンコ屋。

 敷地は、北東側が府中街道に面し、南東側が新幹線高架に近接した南北軸に細長い形状。標準階の住戸プランは西向き3LDKが4戸、東向き1~2LDKが5戸、西向きと東向きと独立した形の68㎡の3LDKが1戸の1フロア10戸構成。

 1LDKは5,000mm、2LDKは6,200~6,750mm、3LDKは8,000~10,700mmのワイドスパンが特徴。

img-plan-g2-perth.jpg
モデルルーム(コンセプトルーム)

◇       ◆     ◇

 現地は観ていないが、一昨年、伊藤忠都市開発の学生マンション第一号「クレヴィアウィル武蔵小杉」を見学した際、周辺の街並みは観ているし、以前、マンションの取材で府中街道を歩いたことがあるのでおおよその住環境は分かる。

 モデルルーム・パンフレット図面を見て驚いたのはプランのよさだった。70㎡台の3LDKのスパンはすべて8m以上。しかも、洋室-洗面-浴室のウォークスルークローゼットの動線がよく工夫されている。

 ワイドスパンは3LDKだけかと思ったら、30㎡台の1LDKも40㎡台の3LDKも全て5m以上のワイドスパンだった。

 いま一つ単身女性の選好基準が分からないが、単身男性のニーズはあると見た。

plan-G2.jpg
73㎡のプラン

plan-B2.jpg
33㎡のプラン

カテゴリ: 2019年度

main_img04_sp.jpg
「グランアリーナレジデンス」

 名鉄不動産(事業比率40%)・近鉄不動産(同30%)・京阪電鉄不動産(同15%)・JR西日本プロパティーズ(同15%)電鉄系デベロッパー4社JVによる商・医・育・住の複合大規模マンション「グランアリーナレジデンス」を見学した。田園都市線つきみ野駅から徒歩12分の全604戸で、始発駅・中央林間駅へシャトルバスを運行する。坪単価はたまプラーザ、あざみ野圏の半値以下の180万円くらい。

 物件は、東急田園都市線つきみ野駅から徒歩12分、大和市つきみ野1丁目の準工業地域に位置する敷地面積約22,840㎡、14階建て全604戸(第1工区339戸・第2工区265戸)。専有面積は68.82~85.48㎡、次回分譲予定の第2期6次の価格は2,900万円台~5,100万円台(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は180万円くらいになる模様。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は第1工区が2021年2月下旬、第2工区が2021年8月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。今年7月から分譲が始まっており、約110戸が成約済み。

 現地は、イオンの跡地。先に開業した「グランベリーパーク」へは車で約3分。敷地内に保育施設が併設されるほか、敷地に隣接してイオン系スーパーマーケットのほか医療施設、戸建て(49区画)が予定されている。田園都市線の始発駅・中央林間駅まで約9分のシャトルバスが運行される予定。

 建物は、西向きのA・B棟、南向きのD・E棟、中庭を望む南向きC棟の5棟構成。敷地内に平置・自走式駐車場100%(500円~)、3台が置けるサイクルポート604区画(1,200円/年)。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、デイスポーザー、リビング天井高2450~2550mm、食洗機、床暖房など。

slide-4.jpg
中庭

img02.jpg
「niko and …」がプロデュースしたグランドラウンジ

◇      ◆     ◇

 モデルルームは72㎡と81㎡の2タイプが用意されており、81㎡のほうはアパレル、雑貨、家具などを展開する「niko and …」がマンションでは初めてプロデュースしたものだった。

 多目的に利用できるDEN(約5.5畳大)とストックルーム(約3.9畳大)を設けているのが特徴だが、記者は濃紺の建具・ドアがとてもいいと思った。モデルルーム仕様は有償オプションで約70万円と聞いたが、ローンに組み込める「アイセルコ」が利用できる。

 同じ田園都市線のたまプラーザ駅やあざみ野圏は坪単価350万円から400万円に迫ろうかというところまで上昇している。一般的な一次取得層の取得限界をはるかに超えている。

 「グランアリーナ」はこれらのエリアの半値以下の価格だ。中央林間駅圏では現在、東急・大成有楽不動産・相鉄不動産・総合地所4社の大規模マンション「ドレッセ中央林間」857戸(ウエスト街区452戸、イースト街区405戸)も分譲中で大激戦だが、東海、近畿、中国・四国の電鉄系デベロッパー連合軍の「グランアリーナ」が首都圏の電鉄会社(系)に真っ向勝負を挑む構図が面白い。価格的にも断然優位に立つ。戸数が多いだけに長期戦は必至と見たが、記者は三重県出身なので、応援は…どっちも頑張れ。

img01.jpg
モデルルーム

 

カテゴリ: 2019年度

image002.png
「レジデンシャル築地」完成予想図

 ワールドレジデンシャルとニチモリアルエステートが11 月末から12 月上旬に販売を開始する「レジデンシャル築地」を見学した。それぞれ近接する6物件がほぼ同時期に分譲される大激戦地のうちの一つで、三方角地、吹き抜けエントランス、ユニバーサルデザインが特徴。

 物件は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩5分、中央区築地6丁目の商業地域に位置する12階建て41戸。専有面積は40.23~73.26㎡、価格は未定だが、坪単価は450万円くらいになる模様。竣工予定は2020年9月下旬。施工は川村工営。

 現地は、いかにも「築地」らしい面影を残す道路幅員が西側は約5m、南側と東側はそれぞれ約10mの三方角地。道路を挟んだ南側と東側の建物は低中 層の建物が建ち並び、土地が細分化されていることから高い建物が建つ可能性は少ないと思われる。

 建物は内廊下方式を採用、住戸は2階以上で1フロア3~4戸構成。10階までは南東向きが55㎡の2LDK(9戸)と67㎡の3LDK(9戸)、北東・北西向きの54㎡の2LDK(10戸)、40㎡の1LDK(9戸)。上層階の2フロアは73㎡の3LDK(4戸)。

 主な基本性能・設備仕様は、逆梁工法、二重床・二重天井、リビング天井高2450mm、御影石キッチン・洗面天板、食洗機、ミストサウナなど。窓・採光部を5~6カ所確保しているのと、同社が独自に開発した細かい工夫をこらし使い方を想定して作った収納「i-plus収納」により、収納率を7~11%確保するようにしているのも特徴の一つ。

 ワールドレジデンシャル営業部部長・松本政英氏は、「他社物件を非難することは、『築地』のエリアポテンシャルを落とすことにつながるので、そのようなことはしたくない。三方角地で採光にも恵まれ、逆梁、現地から本願寺‐歌舞伎座-三越まで16分という銀座生活圏をアピールしていく」と話した。

img01.jpg
モデルルーム

 ◇          ◆        ◇

 「他社非難(足の引っ張り合い)をしない」と松本氏がいうのに大賛成。大和ハウス工業と旭化成ホームズは同じハウスメーカーで、販売事務所も〝呉越 同舟〟の同じビル。大成有楽不動産は、同じみずほグループの東京建物が大和ハウスの物件を販売媒介する。間違っても近親憎悪ということにはならないだろう。大成有楽とコスモスイニシアは仲がいいとも聞く。

  記者もそれぞれの欠点をあげつらうような、泥試合をけしかけるような記事 は書かない。選ぶのは消費者だ。それだけ選択肢の幅が広がるわけだし、「築 地」のエリアポテンシャルを引き上げるよう各社には頑張ってほしい。住むにはいいところであるのは確かだ。

 ワールドレジデンシャルは、以前からユニバーサルデザインを商品企画の幹に据え、コンセントの位置、壁のR形状、床のフラット化、引き戸の多用、トイレのドアノブノの壁面後退などを徹底して行ってきた。平成30年12月期の売上高は169億円。売上高1,429億円。東証一部上場の人材・教育、不動産、情報通信事業の3つを柱とする持ち株会社ワールドホールディングスの不動産事業会社。同じグループには、東北が発祥のワールドアイシティ、関西圏にはワー ルドウィステリアホームズ、九州圏にはワールドミクニもある。

カテゴリ: 2019年度

re-parse.jpg
「オーベルアーバンツ銀座築地」完成予想図

 大成有楽不動産が他社と足並みを揃えそうな「オーベルアーバンツ銀座築地」を見学した。道路を挟んですぐ北側は大和ハウス工業「プレミスト東銀座築地Edge Court」、南側はコスモスイニシア「イニシア築地レジデンス」。挟撃を受ける形だが、現段階ではその気配はなく、win-winのめでたしめでたしを目論んでいるようだ。

 物件は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩5分、中央区築地7丁目の商業地域に位置する12階建て55戸。専有面積は41.32~57.39㎡、価格は未定だが坪単価は440~450万円くらいになる模様。竣工予定は2021年1月下旬。設計・監理はアーバンライフ建築事務所。施工は新日本建設。

 現地は、幅員約10mの南側道路と幅員約5mの北側道路に接道。建物は内廊下方式を採用。住戸は2階からで、1フロア南向き3戸と北向き2戸の5戸構成。50㎡台の2LDKが中心というのも特徴の一つ(1スパン41㎡1LDKあり)。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450mm、ディスポーザー、食洗機、幅広フィオレストーンキッチン天板、食器棚、ミストサウナ、Low-Eガラス、室内物干し、エアコン全居室設置など。

 同社マンション事業本部マンション事業部事業室(第二)係長・庄司憲史氏は「デザインにこだわり、20ポイントを限度に、細かいところまでグレードアップが無償で行えるようにした。各社それぞれ特色があるが、価格的にはほぼ横並びになるのではないか」と話した。

eq_img02.jpg eq_img27.jpg
標準装備の食器棚(左)と洗面(水栓はグローエ)

◇       ◆     ◇

 同社のマンションは先月、素晴らしい「グランツオーベル中野」を見学したのだが、この際、その比較は行わないが、今回の物件は〝孫の手〟のように細かいところにまで手が届く配慮・工夫を凝らしている。

 建物基壇部にはレンガ調せっき質タイルを手張りするのを筆頭に、食器棚を標準装備とし、ポイント制を採用することでそれを家電収納タイプに変更し、ピクチャーレールを設置したり食洗機を収納に変更できたりできるようにし、浴室にキャンドル照明を設置することなどを可能にしている。

 キッチンカウンターもそうだ。幅は2150mmなので2LDKとしては普通だろうが、幅は100mmとしカウンターバーや忙しいときなどのダイニングテーブルのような使い方もできるようにしている。アクセントクロスにはデザイン性の高いクロスを用意しているのも目を引いた。

 57㎡のモデルルームは、2LDKを1LDKに変更したもので、約19.1畳大のLDKとしているのがいい。居室には物干し金物を設置している。

 庄司氏は余裕しゃくしゃくに見えたが…内心をそのまま吐露したのか、それとも戦々恐々の心奥を悟られまいと虚勢を張ったのかまでは読めなかった。

希少立地で人気呼ぶか 大成有楽不動産「中野」駅圏最高値での販売なるか(2019/10/15)

カテゴリ: 2019年度

5.png
「Brillia(ブリリア)上野Garden」完成予想図

 東京建物(事業比率80%)と日本土地建物(同20%)が11月下旬から12月上旬にかけて分譲する「Brillia(ブリリア)上野Garden」を見学した。2014年以降、都内で分譲されたマンションのうち山手線5分圏内は45棟(3.04%)しかなく、しかもメジャー7の物件は15棟(1.01%)という希少性と、商業エリアながら地区計画により将来にわたって繁華街のような街にならない可能性も高いこと、さらに分譲単価もリーズナブルなものに設定される模様で、人気になるのは必至だ。

 物件は、JR山手線上野駅から徒歩5分(東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩3分)、台東区東上野5丁目の商業地域に位置する19階建て98戸(うち非分譲住戸21戸)。専有面積は33.33~106.63㎡、価格は未定。引渡し予定は2021年10月下旬。設計は安宅設計。デザイン監修は野生司環境設計。施工は三井住友建設。販売開始は2019年11月下旬。

 現地は商業地域だが、嫌悪施設などはほとんど無く、マンションやビル、ホテルなどが建ち並ぶ一角。今年3月に決定された地区計画でも住環境の維持向上を図るエリアに指定されていることから、繁華街のような〝何でもあり〟の街にはならない可能性が高い。

 敷地は3方角地で、建物はほぼ正方形。内廊下方式を採用。1階に地域住民に開かれたシェアラウンジが設置され、住戸は2階から。標準階1フロア5~6戸。分譲77戸のうち南向きが46戸、角住戸は58戸。

 主な基本性能。設備仕様は、二重床・二重天井、リビング居室の最高天井高2,480~2,500mm、フィオレストーン天板、食洗機など。

 東京建物住宅営業第一部課長代理で販売副所長の棚田修啓氏は、「7月から資料請求受付を開始し、想定以上の1,500件を突破。10月5日から開催している案内会参加者も250件超に達し、土日祝日は連日満席。地元台東区を中心に近隣区からの関心も高いが、JR上野駅の交通利便性から広域からの関心も高い」と話している。

img01.jpg
基壇部

◇       ◆     ◇

 東京建物のマンションが好調だ。まず、同社のマンションの業績から。2019年12月期第3四半期決算によると、計上戸数は1,053戸となり期初予想の1,000戸を上回り、完成在庫はわずか83戸(うち17戸は契約済み)しかない。

 同業では、三井不動産の2019年3月期第3四半期決算は計上予定3,400戸の進捗率は94%(前年同期は90%)で、完成在庫は162戸(同106戸)しかなく、東京建物と同じくらいの計上戸数ではモリモトや大和地所レジデンスもほとんど在庫がないが、それと同じくらいの売れ行きだ。

 さて、この「上野」の物件。上野駅圏のマンションでは、いま伊藤忠都市開発(事業比率60%)と東京建物(同40%)の「クレヴィア上野池之端」が人気になっているが、こちらは上野駅圏というよりは千代田線根津駅圏だ。上野駅圏では、記者は5年前の「ザ・パークハウス上野」しか知らない。このマンションも安がったが、今回の物件も安いと思う。いま6物件で約460戸という大量のマンションが供給されようとしている「築地」の物件は坪450万円以上だ。

 大激戦の「築地」と空白区の「上野」のどちらがいいか。競合はしないはずだが、どちらでもいい人にとっては悩ましい選択になりそうだ。

04.jpg
キッチン

「凄くいい」来場者が感嘆 モデルルームの出来出色 好調の伊藤忠都市「上野池之端」(2019/8/11)

三菱地所レジデンス 最後の同潤会建て替え「上野」 ワイドスパンがいい(2014/4/25)

カテゴリ: 2019年度

 kv_design.jpg
「プレミスト東銀座築地Arc Court」(右)と「プレミスト東銀座築地Edge Court」

 圧倒的な人気を呼んだあの美しい流線形の「青山」のファサードが「銀座築地」に登場する。大和ハウス工業が近く分譲する「プレミスト東銀座築地Arc Court」だ。坪単価も530万円くらいになると予想され、「築地」エリアでは最高値(従前は約500万円)を更新しそうだ。「築地」の近未来を先取りした〝唯一無二〟の記念碑的マンションになるか。

 物件は、道路を挟んだ2棟構成。一方の「プレミスト東銀座築地Arc Court」は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩4分、中央区築地7丁目の商業地域に位置する14階建て全117戸。専有面積は55.25~99.91㎡、価格は未定だが坪単価は520~530万円になる模様。竣工予定は令和3年3月上旬。施工は長谷工コーポレーション。

 他方の「プレミスト東銀座築地Edge Court」は、東京地下鉄日比谷線築地駅から徒歩5分、中央区築地7丁目に位置する14階建て全63戸(事業協力者住戸4戸含む)。専有面積は50.05~70.15㎡、価格は未定だが、「Arc Court」よりは若干低くなりそうだ。竣工予定は令和2年5月下旬。施工は青木あすなろ建設。

 販売開始は11月下旬から12月上旬。いずれも東京建物が販売媒介。

 現地は、工場マンション・ビル化が進む古い木造店舗なども残る商業地域の一角で、日刊スポーツの印刷所・事務所ビル跡地。双方が道路を挟んで隣接しており、「Arc Court」からは近接する明石町の街並みや聖路加・あかつき公園の美しい緑が眺望できる。角地で前面道路が広いため、約2層分高さ規制が緩和されているのも特徴の一つ。

 「Arc Court」の外観デザインは、三井不動産レジデンシャル「パークコート青山ザ タワー」とよく似た美しい流線形で、1階部分に車寄せなどを設置、住戸は2階以上。住戸プランは、99㎡の形状が1スパン(12戸)のほか、8m以上のワイドスパンの70㎡台が3スパン(37戸)、50~60㎡台が6スパン(55戸)。

 もう一方の「Edge Court」は都市的なエッジの利いた対照的なデザインになっており、70㎡の1スパン(13戸)を除き50㎡台の4スパン(46戸)。

 主な基本性能・設備仕様は、車寄せ、内廊下、コンシェルジェサービス、二重床・二重天井、リビング天井高2500mm、地下駐輪場、御影石浴室カウンター、デイスポーザー、食洗機など。

 販売事務所長・齋藤拓氏は、「目指すのは、23haの築地市場跡地開発を見据えたワールドクラスのベンチマークになるようなハイグレードマンション。印象的な外観デザインにしたのも効果的で、予想以上の反響。最近は建築費の高騰で設備仕様レベルを落としている物件も周辺には多いが、当社はその逆、圧倒的な評価を得るはず。中央区では内廊下、車寄せ、コンシェルジュサービス付きの3つ揃った物件は過去に3物件(三井、住友、東建)しかない。当社の物件は4つ目となる」とほぼ1時間、物件の魅力について熱く語った。

◇       ◆     ◇

 これで築地駅圏の6物件463戸のうち、旭化成ホームズの物件を除きすべて見学取材した(ワールドレジデンシャル「レジデンシャル築地」と大成有楽不動産「オーベルアーバンツ銀座築地」の記事は週明けの予定)。

 同社の物件を取材する前は、坪単価は500万円を切ると思っていたが、齋藤氏は高値に挑戦すると断言した。確かに明石町・聖路加を眺望できる立地条件を考慮すれば、それもありか。

 さらにまた、齋藤氏が力を込めたように、築地市場の跡地開発を考えれば、この街は一変する。高値挑戦する価値はある。今期売上高は4兆円を突破(予想)し、2055年には10兆円を目指す会社だ。他社と同じように目先の利益を追うのでなく(それが悪いと言っているのではない)、もっと中長期的な視点で富裕層向けマンションはどうあるべきかを世に問うべきだ。

 99㎡のモデルルームのインテリアデザイン担当は三井デザインテックの黒須理枝氏。170万円もする屋久杉のテーブル、イタリアから空輸したガラスのアート、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を彷彿させる洗面の青みがかったガラスボウル、厚さ数ミリはありそうなステンレスの加工を施したワークトップなどは間違いなく一級品だ。

 モデルルームを見て坪単価800万円と予想したが、ぴったりのはずだ。30坪で2億4,000~2億5,000万円などは富裕層にとって2戸も3戸も買える値段だ。全然驚かない。1フロア約682㎡(207坪)全てを坪1,000万円で分譲しても約21億円ではないか。記者は1戸44億円も55億円も取材している。目指すは〝パークマンション〟だ。

 もう一つの「Edge Court」の70㎡のモデルルームのデザインはオーソドックスなもので、先進のIoT技術を採用しているのが特徴。同社は富裕層のセカンドハウスを想定しているようだ。

ラグビーW杯級の大激戦・築地 イニシアは突板、全居室床暖、SOHO…で差別化(2019/10/30)

〝赤坂の隠れ家〟 本物志向の大和ハウス「プレミスト赤坂翠嶺」(2018/10/19)

京急電鉄他「品川シーサイド」 資産性アピール 多様なニーズ取り込む戦略(2017/3/14)

マンションはアートだ 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」竣工(2018/4/11)

三井不レジ「檜町公園」 わが国の最高価格マンション1戸55億円 成約済みか(2016/7/15)

 

カテゴリ: 2019年度

img01-1.jpg
「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」完成予想図

 日本エスコンが分譲中の「レ・ジェイド豊田 マスターヒルズ」を見学した。駅から徒歩2分の全63戸。今年3月販売開始で、残りは最終期9戸のみ。専有面積に含まれない多目的に利用できる「Fテラス」をほとんどの住戸に設けているのがヒットした。坪単価236万円は割安感がある。

 物件は、JR中央線豊田駅から徒歩2分、日野市多摩平二丁目の第二種中高層住居専用地域(容積率200%)に位置する地上5階・地下1階建て全63戸。専有面積は36.03~93.64㎡、最終期(9戸)の価格は2,825万5000円~5,964万9,750円(専有面積36.03~85.25㎡)、坪単価は236万円。竣工予定は2020年3月下旬。設計・監理はスタイレックス。施工は飛島建設。今年3月から分譲開始しており、残りは最終期の9戸のみ。

 現地は、なだらかな南傾斜の一角で、敷地は学生寮跡地。イオンモールへも徒歩2分。建物はコの字型でほとんどの住戸は南東向き。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、人工大理石天板、約2.5~3.9畳大のFテラス付きなど。

img03-3-1.jpg
モデルルーム「Fテラス」

◇      ◆     ◇

 記者は一時期,日野市民だったので豊田駅北口のことはよく知っている。駅前は古いUR都市機構の賃貸マンションが建っていたが、再開発によりイオンが進出し、多摩平の住宅団地も建替えられて街並みが一変した。

 今回のマンションは表通りから一歩入ったところなので、学生寮があったところとは全く知らなかった。

 まず現地を見て、いつものように坪単価をはじいた。駅に近く、南側に遮るものがない南傾斜の立地の良さからして坪250万円とはじいた。しかし、これが入札なら手を上げるデベロッパーは10社を下らないだろうから、坪270万円もありうると予想した。

 販売事務所で坪236万円と聞き、モデルルームの設備仕様レベルを見て、間違いなく割安感があると判断した。割安単価で分譲できたのは、同社は今回の物件が豊田駅圏内3棟目で、地主にも実績を認められていたからだというのも要因の一つだと思う。

 プランは「Fテラス」がいい。リビングと「Fテラス」の間は折れ戸サッシを採用し、スロップシンクとコンセントが付いており、ガラス張りなので多目的に利用できる。来場者にも好評のようだ。

 プラン構成もよく考えられている。メインは50~80㎡台のファミリーだが、北西向き6戸は36㎡とし、単身者の需要も取り込んでいる。

◇       ◆     ◇

 同社のマンションを見学するのは今回で4度目だ。最初の「レ・ジェイド世田谷砧」は1階にカフェを設けたもので、記者が見学したときは昼時ということもあったが、人であふれていた。2度目の「グラン レ・ジェイド若松町レジデンス」はプランが秀逸だった。その後、この物件は2018年度グッドデザイン賞を受賞している。3度目の「グラン レ・ジェイド渋谷富ヶ谷」は全戸ホワイエ(屋内廊下)付きだった。

 そして今回。販売担当者と名刺交換したら、「中部電力グループ」と刷り込まれていた。同社は現在、東京と大阪に本社機能を置いているが、創業は大阪だ。それなのにどうして中部電力なのかと驚いた。両社は2018年8月、両社は資本業務提携を結び、中部電力が日本エスコンの株式(約33.3%)を取得して持分法適用関連会社とすることを決定したとある。

 記者は三重県出身なので、「電力は中部電力」「読むのは中日新聞」「銀行は東海銀行」「百貨店は松坂屋」で育った。最近はこの図式が崩れてきたが、中部電力と大阪(東京)のデベロッパーが手を組むなど普通では考えられないことだ。

 だがしかし、この提携は双方にとっても大きなメリットがあるはずだ。東海には老舗の三交不動産も名鉄不動産もあるが、1995年設立の日本エスコンは両者を瞬く間に抜き去った。そんなデベロッパーと組めば、中部電力は地元や首都圏での様々な事業が展開できる。

 日本エスコンも潤沢な資金力がある中部電力と組むのは大正解だろう。哲学・理念がいいし、分譲事業のスローガンがいい。「日本エスコンの分譲マンションに、同じ企画・コンセプトはありません。ここで暮らす人の5年先、10年先を見据え、世代・家族構成・生活志向などイメージを膨らませ、その土地の魅力を最大限に引き出すコンセプトを創出。一人ひとりのかけがえのない人生を彩るステージを生み出しています」と。

 同社には東海エリアにおいても、既存のデベロッパーがなしえなかったことをやっていただきたい。

img02-1.jpg
エントランス

全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24)

ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4)

カテゴリ: 2019年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン