〝生活を紡ぐ(life knit)〟積水ハウスの新提案モデルハウス「HUE(ヒュー)」
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「HUE(ヒュー)」
積水ハウスの新デザイン提案システム「life knit design」を体現したモデルハウス「HUE(ヒュー)」を見学取材した。同社が6月20日に発表したプレス・リリースの「life knit design」の〝生活を紡ぐ(life knit)〟ネーミングはとてもいいと思ったが、どのような提案であるかわからず、見学をお願いし、実現した。約1時間、間取り、建具・家具、仕上げ、カラーリングなどを見て回り、疑問は氷解した。月並みな言葉だが〝シンプル・イズ・ベスト〟だ。
モデルハウスは、テキスタイルデザインを中心に衣服、家具や器、店舗や宿など多岐にわたる空間ディレクション活動を行っているデザイナー・皆川明氏が代表を務める「minäperhonen(ミナ ペルホネン)」とコラボし、「駒沢シャーウッド展示場HUE」に建設したものだ。建物は木造軸組工法2階建て延床面積190.25㎡(1F:103.25㎡2F:87.00㎡)。
コラボが実現した経緯について、積水ハウスR&D本部デザイン設計部デザイン企画グループ グループリーダー足立奈穂氏は、「当社の100年住宅は、安心・安全のハードの部分では実現しているが、世代を超えて幸せに住んでいただける空間を提案できないかと、当社と同じように『せめて100年続くブランド』を掲げる皆川さんと意気投合して実現しました」と語った。
「駒沢住宅展示場」と言えば、名だたるハウスメーカーが妍を競う、豪華絢爛の建物ばかり。2020年には三菱地所ホームの「ROBRA(ロブラ)」、2021年には大和ハウス工業「Wood Residence MARE-希-(マレ)」の富裕層向けモデルハウスを見学している。今回も、同様の建物だろうと考えていた。念頭には同社の「新大久保」のモデルハウスがあった。
ところが、見当は大外れ。マホガニー、チーク、紫檀、黒檀などの高級材は使用されておらず、仕上げ材はごく一般的な住宅に採用されているものだった。モデルハウスにありがちな、個性的といえば個性的だが、押しつけがましい、これ見よがしの家具・調度品もなく、実にシンプル。何の衒いもないものだった。何だか肩透かしを食ったような気分にもなった。
とはいえ、シンプルだからこそ〝皆川ワールド〟を垣間見たような気持がした。わが国の伝統的な染めの技法である草木染めがその一つだ。ソファ、クッション、床、カーテンなどいたるところに施されていた。クッションはプリントではなく、織りによるもの。ソファは使い込むと裏地が浮き上がるよう仕上げられていた。
カーペットには、大小の枯葉のような文様が描かれていた。中庭や高窓から差し込む木漏れ日とともに、自然が織りなす不思議な空間を演出しようという狙いのようだ。(わが家のカーペットのコーヒーやらジュースやらその他もろもろの人生の汚点のようなシミかと思ったが)
同じような仕掛けは、1階南側のスリット窓にも施されていた。ロールスクリーンカーテンの文様が壁や床に写り込んでいた。クッションに用いられている丸い文様は洗面室やトイレの壁などにも採用されていた。
そこはかとない安らぎを覚えたのは1階のLDKだった。コの字形に配置したLiving(9.8帖)-Cozy Corner-Kitchen(8.3帖)は中庭の光と風、緑を取り込めるようにしていた。クチーナのシステムキッチンを採用したKitchenは独立型で、南側と北側に窓付き。その隣のDining(12.2帖)は最大2700~最小2500ミリの勾配天井を採用。天井は無垢のピーラー材(ベイマツの良材)。
全てが没個性的かといえばそうではない。皆川氏の個性がよく表現されているのが、中二階の「トレジャールーム」と名付けられている9.8帖の空間だ。天井高は約4000ミリ、壁の四囲は木製リブパネルで張りめぐらされており、天井は「パンチカード天井」。これは、ミナペルホネンがカーペットを製作する際に、織機にパンチする位置を指示するシートを加工したもので、素材は紙だ。
もう一つ、素晴らしいと思ったのは、遊び心もふんだんに盛り込まれている2階の提案だった。8m×6mの無柱空間を家具・収納のみでFamily hall(6.7帖+4.9帖)、kid's room (4.9帖)、Master bedroom(12.9帖)家族構成やライフスタイル・サイクルによって間取りを自由に選べ、変更できるものだ。ここに「life knit design」の真髄が注ぎ込まれていると思った。使用されている家具・収納の木もシンプルなもので、どのような置物や絵画などにもすんなりと馴染むはずだ。

キッチン(同社ホームページから)

1階リビング

1階リビング(左)と中二階の「トレジャールーム」(カーペットはシミではありません)

Dining(手前)とKitchen

洗面
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トレジャールーム
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トレジャールーム

Family hallとkid's room

Family hall
◇ ◆ ◇
同社のプレス・リリースには「美しい空間やインテリアは、空間自体が整ったシンプルな構成と素材で成り立っていることを突きとめました」とあり、従来のインテリア提案の課題として「テイストが増えるたびに部材や素材が増えるが、膨大な選択肢がありながらもテイストが違う部材ラインナップのため、組み合わせ方が難しい」とある。
今回の見学を通じて、「建築美」とは何かを改めて考えさせられた。〝シンプル・イズ・ベスト〟-いつの時代も変わらないということか。記者もそう生きたい。
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業界最高級 駒沢モデルは87坪・3億円 大和ハウス 富裕層向け「MARE-希-」発売(2021/4/28)
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鉄筋と木の融合語る「モクコンの家」建築家 隈研吾氏と大成建設グループトップ対談

左から大成建設ハウジング 立川洋之社長、隈研吾氏、大成建設 相川善郎社長
大成建設ハウジングは7月25日、建築家・隈研吾氏とのコラボレーションによる新たな壁式鉄筋コンクリート住宅シリーズ「モクコンの家」を今年3月に発売開始したのに伴う隈氏、大成建設相川善郎社長、大成建設ハウジング立川洋之社長の3者による国立競技場でのトップ対談の模様を公開した。以下に一部を紹介する。
◇ ◆ ◇
インタビュアー 「モクコンの家」が生まれたきっかけを教えてください。
相川社長 大成建設ハウジングが手掛けるコンクリート住宅「パルコン」は、強さに絶対的な自信があります。その強さに、隈先生が表現する豊かなデザインと心地よさや時代に合ったスタイルを融合させるアイデアを思いつきました。「新時代の住宅モデル」の提供につながると考え、隈先生にコラボレーションをお願いしたのが経緯です。
立川社長 「パルコン」には50年以上の長い歴史があり、「大成建設グループの技術を結集させた住宅」です。地震や台風などの多くの災害に対して、住まわれているご家族や財産をしっかりと守ってきた実績があります。
隈氏 「コンクリートと木」は性質がまったく異なりますが、強さと柔らかさの融合を象徴する意味では、素晴らしいプロジェクトになると直感的に思いました。「モクコン」は「木」を意味する「モク」と「コンクリート」の「コン」から名づけました。

隈氏
インタビュアー インタビューの場所である国立競技場も、隈先生がデザインに携わり、大成建設グループが施工を担当しました。東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした多くの感動が、この場所に来ると蘇ってきます。
隈氏 私の建築物の特徴の1つとして、「大和張り」があります。この国立競技場の貴賓室の天井にもあしらわれているのですが、木を互い違いに組む構造のことです。大和地方を発祥とする伝統的な日本のディテールであり、陰影を生むことで空間に立体感をもたらします。
立川社長 「モクコンの家」では、2つのモデルプランをデザインしていただきました。1つは、2階建て住宅「ノキテラス」。もう1つが3階建て住宅「ハコテラス」です。
インタビュアー 隈先生が重視された空間として、「ミュージアム」があります。博物館を意味するミュージアムを、家の中に設けた意味を教えてください。
隈氏 単なるリビングルームとは異なり、もう少し社会に開かれた、可能性のある場所――。それが「ミュージアム」という空間です。人々がその場所に訪れ、ホームパーティーをすることもあれば、会議をすることもあるでしょう。自分のサロンとして使ってもいいですし、多種多様な社会との接点になりうると期待しています。
自分の好む文化を誇れる展示スペースとしても活用できます。大事なコレクション、あるいは素敵な本。そういう大切にしている趣味や文化をこのミュージアムから発信する――いわばエキシビションができる場所なのです。
インタビュアー 住宅におけるサスティナブルについてのお考えも聞かせてください。
隈氏 安心して長く暮らすためには、空間にゆとりがあってフレキシビリティが高いことが重要になります。「モクコンの家」はそれを可能にします。
狭義におけるサスティナビリティは、どんな材料を使っているかが注目されるでしょう。例えば、地球温暖化が叫ばれる中で、サスティナブルな材料として重宝される木をたくさん使用していますので、SDGsを考えるうえでも誇れる家ではないでしょうか。
相川社長 大成建設グループでは、グループビジョンとして「人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する」ことを目指しています。しかし、長く住まうためには「レジリエント」だけでは十分ではありません。
木という日本人の文化を住宅に取り入れることで、「レジリエント」と「サスティナビリティ」の融合が実現すると考えています。

相川氏
立川社長 近年は「サスティナブル」「レジリエント」「カーボンニュートラル」など、さまざまな言葉が注目されています。さらに、コロナ禍を契機にライフスタイルが変わりました。社会の求めるものに対して、強いコンクリート住宅をベースにいろいろな変化が楽しめるフレキシブルな住宅を提供していかなければならないと考えています。

立川氏
◇ ◆ ◇
大成建設は今年、創業150周年を迎えた。それかあらぬか、グループ会社の大成有楽不動産の野球部が元気で、今年のRBA野球大会に同社として初めて決勝トーナメント進出を決めた。現有戦力では上位を倒すのは容易でないと記者は考えているのだが、〝奥の手〟はないのか。
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「モクコンの家」内観
断熱等級7の「プレミアム」と天井高2.8mの「平屋」新商品 AQ Group 販売フェア

「剛木造 超断熱の家 プレミアム」(左)「剛木造 超空間の平屋」
AQ Groupは7月22日~8月17日まで、「45周年・夏の大感謝祭フェア」を開催し、新商品の断熱等級7をクリアした「剛木造 超断熱の家 プレミアム」とLDK30帖、天井高2.8mの「剛木造 超空間の平屋」を合計200棟限定で先行販売する。
断熱等級7(地域区分6地域、UA値≦0.26)の「剛木造 超断熱の家 プレミアム」は、オリジナル耐力壁「8トン壁」などを使用することで実現したもので、価格は「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りを1,610万円(税抜)~。
「超空間の平屋」は、同社オリジナル「剛木造」のS&I設計(スケルトンインフィル設計)によりLDK30帖の無柱・壁の大空間を天井高2.8mで実現。価格は、「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りで1,590万円~(税抜)。
フェア期間中は、最大1,000万円の最新設備などが当たる抽選会を開催する。抽選日は8月19日(土)、当選本数は45本。
平屋注文住宅「IKI(イキ)」に新たな太陽光発電プラン ケイアイスター不動産
ケイアイスター不動産は7月7日、規格型平屋注文住宅「IKI(イキ)」に新たな太陽光発電プラン「IKIのいきいきソーラー」を搭載したプランを同日から開始したと発表した。
グループ会社IKIがシャープのグループ会社シャープエネルギーソリューションの設備を導入することで、平屋のメリットを生かし、電気代の高騰、自然災害リスクに対応するもの。
プランは、太陽光パネルのみを利用する初期費用・メンテナンス費用が0円、サービス料金(月額)ガス併用住宅:3,960円(税込)/オール電化住宅:4,950円(税込)のベーシックプラン「COCORO POWER ソーラープラン」(契約期間13年、期間終了後は太陽光発電システムを顧客に無償で譲渡)のほか、太陽光パネルと蓄電池がセットになったサブスクプラン「COCORO POWER ソーラー蓄電池プラン」、設備を購入し太陽光パネルのオーナーとして自家発電をスタートできるオーナープランを用意。
電気代はこの2年間で5割近く上昇しており、2023年6月からさらに値上げされている。政府の激変緩和措置が終了する秋以降は電気代が家計を圧迫するのは必至とみられている。平屋は広い屋根が確保でき、大容量の太陽光パネルの搭載が可能なメリットがある。
変幻自在に住みこなす実験住宅「Make Full」完成 住協×大月敏雄氏×齋藤隆太郎氏

「Make Full」
住協ホールディングスは7月1日、「住みこなせる家/住みこなせる町」をテーマに、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授・大月敏雄氏、東北工業大学講師・東京大学客員研究員でDOG一級建築士事務所代表取締役・齋藤隆太郎氏とコラボレーションして開発した実験住宅「Make Full」のメディア向け完成お披露目会を開催した。
「Make Full」は、家族構成、年齢、働き方に応じて柔軟に対応できる変幻実在の家を実現したもので、〝make full use of…(つかいこなす)〟の意が込められている。子育てを終えて居室が空いた場合などには自宅兼事務所、家庭文庫、レンタルスタジオ、音楽教室、アトリエ、ネイルサロン、レンタルスペース、自宅兼美容室、ホームシアターへの転用も可能だという。(1低層ではあるが50㎡以下であればこれらの用途利用も可能)
お披露目会で同社取締役・宇野健一氏は「大月先生とは10年前かご縁があり、コロナ禍などの環境変化にも対応でき、住みこなし、使いこなせる住宅をテーマに昨年1月から共同研究を行ってきた。その成果として今回の建物を完成させた」と述べた。
大月氏は「20年前から戸建て団地の研究を行ってきた。子育て世代が10年後、20年後、30年後も長期にわたって住みこなせ、街とつながっていける新しい戸建てが開発できないかと住協さんと共同研究してきた」と話した。
設計など実務を担当した齋藤氏は「建築家の独り歩きではなく、デザインなど意匠も含めて住協さんのルールに基づいて設計した。大月先生、住協さんとは階段のカラーリングや屋上、断熱性、シャッターは必要か不必要化など細部まで徹底して論議した」と語った。
物件は、西武池袋線「大泉学園」駅からバス11分バス停徒歩4分、都営大江戸線「光が丘」駅からバス10分バス停徒歩4分、練馬区大泉町1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する全4戸。分譲対象は3戸(残り1戸は同社がモデルハウスとして当分利用する予定)で、土地面積は110.48~111.42㎡、建物面積は88.05~89.43㎡、価格は6,380万~6,580万円。建物は完成済み。
全4棟のうちB号棟(土地面積110.48㎡、建物面積92.2㎡)がモデルハウスに充てられており、1階がLDK、トイレ、洗面、浴室など、2階が主寝室(7帖)、居室(5.25帖)、トイレ、スタディルーム、収納など。このほか主な特徴は①屋内エレベーター(他の住戸は内階段方式)②外階段③2階にキッチンなど水回りを設置できる下地処理-など。

左から齋藤氏、大月氏、宇野氏

大月氏(左)と齋藤氏

〝構造梁で懸垂ができるのではないか〟と話したら齋藤氏はやってのけた(2階の主寝室、天蓋もいいかも)
◇ ◆ ◇
同社の分譲戸建てを見学するのは「グランシア三芳」(364区画)以来約20年ぶりだ。現地に着いたとき、その外観を見て面食らった。分譲戸建てだろうということはすぐわかったが、4棟ともエントランスに外階段がついていた。そして、4棟とも2階建てでああるのに搭屋のようなものが突き出ていた。二世帯住宅か賃貸併用住宅かと思った。
実際は上段に紹介したとおりだ。コンセプトが見事に具現化されている。建具・家具はドアノブを含めて白で統一、床のフローリングは挽板、外階段は金属音が響かないように下地にモルタルを使用し、色落ちしない仕上げにしているとか、搭屋は〝行燈〟をイメージして窓の形状を変えるなど細部にわたってこだわりがみられる。設備仕様面では、窓には敢えてシャッターを設けないなどコストの抑制も図っている。難点といえば、建ぺい率が50%であるからか、建物面積がやや狭く、窮屈な感じがすることだ。
この種の戸建て住宅は他にあるか考えた。小田急バスとブルースタジオの賃貸コラボ施設「hocco(ホッコ)」を思い出した。
さて、ここで同社と大月先生に提案だ。100年後も住み続けられる、住みこなせる「実験住宅」がコンセプトなのだから、これはもう大月先生が有償か無償かはともかく、1~3年はB号棟に住み、賃借人は社会人だろうが学生だろうが、何の制約も設けず応能家賃制にして賃借人と同居していただきたい。「セーフティネット住宅」の要件を満たすかどうかは分からないが、賃料を安くする代わりに執事、あるいは弟子(齋藤氏は教え子)、書生、家政婦として酷使し、たまには酒席を設け「住みこなし」について蘊蓄を垂れるというのはどうか。希望者が殺到するのではないか。そして、その顛末を論文として発表していただきたい。〝一石三鳥〟ではないか。
大月先生は7月3日に行われる国土交通省などの「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」(第1回)の座長を務める。「Make Full」については触れないと思うが…。

現地の西側は神社に隣接
建て替えより改修のほうがライフサイクル脱炭素に有効 住友不・東大・武蔵野大
住友不動産、東京大学大学院新領域創成科学研究科(清家剛教授)、武蔵野大学工学部サステナビリティ学科(磯部孝行講師)の3者は6月15日、省資源・省CO2工事を施した住宅改修は、戸建ての新築建て替えよりもライフサイクル脱炭素を早く達成可能であるとする研究成果を発表した。
研究は、2050年カーボンニュートラル達成、家庭部門における脱炭素実現のためには、新築より省エネ性能が劣る物件が大半を占める既存住宅の改修に伴う環境評価手法の確立が欠かせないとし、部分リフォームからまるごとリフォーム(全面改修)まで幅広い施工実績を有する同社の協力のもと、2021年12月から両大学が開始していた。
2022年6月に発表した第1フェーズの研究成果では、戸建住宅の施工時資源投入量・廃棄物排出量に係るCO2排出量を、「建て替え」と「改修」で比較した場合、改修の排出量は47%削減されることを実証している。
今回の発表した第2・3フェーズでは、断熱等級4、ZEH相当の設備性能太陽光パネル約7.5kWを積載した全面改修は、約35年でライフサイクル脱炭素を達成することが可能で、新築建て替えより約10年早いことを証明した。
◇ ◆ ◇
古屋を壊すには解体コストは馬鹿にならず、建て替えより全面改修のほうがライフサイクル脱炭素を早く達成するというのはなんとなく理解できるが、今回はそれを科学的に実証したのが凄いではないか。
記者はいま、それなりにZEH化が進んでいる持家の着工戸数が対前年同月比で17カ月も連続して減少し、一方でZEH比率は数%しかない、価格が圧倒的に安い分譲戸建てが市場を席巻しているのに複雑な気持ちを抱いている。一言でいえば、住宅購入検討者は良質住宅を選ぶ余裕がないのが現実だ。
もう一つ、3者に聞きたいことがある。省エネ性を高め、ZEH化を図った全面改修のほうが脱炭素の面から有効であるのはよく分かった。ただ、敷地が狭く、猫の額ほどの庭(緑)もない狭小住宅などは改修しても居住環境は全然よくならないではないか。敷地の緑化・緑(庭木)の人体への影響も含む価値の可視化や、性能が劣る住宅が建設されることによる経済的損失も研究していただきたい。
「新築そっくりさん」建替えよりCO2排出量47%削減 東大×武蔵野大×住友不(2022/6/16)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」

「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」
ポラスグループのポラスタウン開発は6月14日、「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした分譲戸建て「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」の記者見学会を行った。個別住宅のほか外構など区画割り、共用部に様々な工夫を凝らした〝意欲作〟だ。
物件は、東武スカイツリーライン・東武日光線東武動物公園駅から徒歩10分、埼玉郡宮代町百間1丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する全37戸。現在分譲中の1期(7戸)の土地面積は120.01~128.77㎡、建物面積は96.98~106.77㎡、価格は3,230万~4,180万円。建物は木造2階建て(在来工法)。設計はポラスタウン開発、施工はポラテック。2023年2月に完成済み。3月10日から分譲を開始し、これまで3棟を成約済み。
街づくりでは、東京・横浜を中心に防災に関する様々な事業を展開しているNPO法人日本防災環境と、ガーデンエクステリアなどの外構事業を手掛るユニソンの意見を企画段階から取り入れているのが特徴。
身の回りにあるモノを、日常時だけではなく非日常時にも役立てる「フェーズフリー」の考え方に基づき、災害時には公園が防災拠点になるようかまどベンチ、ソーラー付きLED街路灯、東屋、井戸、AED、収納ベンチを設置。
住居内には在宅避難を想定した防災グッズの分散収納、保安灯、家具やテレビを固定するための下地、雨水タンク、感電ブレーカー、ポータブル電源、ポタジェ、ウッドデッキなどを施している。
また、ソフト面では、「共助」「コミュニティ」の醸成を促すよう区画割りに工夫を凝らし、管理組合も組織化し様々なイベントなどを行っていく。
住宅のプランは、「ファミリー」「ペット」「Dinks & Active Senior」の3つを提案している。
見学会に臨んだ同社埼玉中央事業所部長・板倉秀樹氏は「当社は年間300戸弱を販売しているポラスグループ。『環境』『防災』『コミュニティ』をテーマにした当社初の物件。専門家と試行錯誤しながら作り上げた自信作でもある。使命として今後も展開していく」と話した。
このほか、企画・設計担当の同社埼玉中央事業所設計課係長・内田里絵氏は「管理組合を設け、防災時に共助、自助が機能するよう企画した」、日本防災環境事務局長・加藤愛梨氏は「住宅は初の取り組みだが、この地の歴史、環境アセスなどあらゆる観点から調査し、安心・安全の仕様に仕上げた」、ユニソン広報企画部部長代理・鷲津智也氏は「外構に様々な仕掛け、イベントをすることで、顔が見える、万が一の助け合いができる環境づくりを進めたい」とそれぞれ語った。

左から市川氏、内田氏、板倉氏、鷲津氏、加藤氏

モデルハウス(ペット)
◇ ◆ ◇
宮代町の分譲戸建ては、バブル前に大規模分譲地を取材したことがあるが、東武動物公園駅に降り立ったのは初めてだった。同社によると、いわゆるパワービルダーの分譲戸建ては2,000万円台で分譲されているということだった。マンションなら土地代がただでも坪単価は170万円以上、20坪で3,400万円の地域で、そんなに安い戸建てが分譲されているのに複雑な気持ちがした。
同社の物件は3,000万~4,000万円台だから、相場からして高いのだろうが、基本性能・設備仕様レベルは、これまで見学・取材した同社グループの戸建てと比較してそん色ない。
1階のリビング天井高は2700ミリ、挽き板フローリング、床暖房、食洗機、転倒防止の下地処理、ポタジェ、雨水タンク…4,000円もする消火器も1基プレゼントするというではないか。そればかりではない。階段のステップは15段、開き戸・引き戸は全てソフトクローズ機能付き。隣に古利根川が流れる現地の浸水ハザードマップは0.5mで、過去30年間被害は出ていないようだが、敷地のかさ上げを行っている。
共有地「モミの木公園」にはかまどベンチ、井戸ポンプ。ソーラーライト2基、収納ベンチ、AED、リードフック、クリスマスツリー用のモミノキも設けている。
不思議に思ったのは売れ行きだった。青田売りでもよく売れている同社グループの物件なのに、3月から分譲を開始して3戸成約はいかにも少ない。販売担当の同社埼玉中央事業所営業課主任・市川絢悟氏は「当社商圏のぎりぎりの立地で、当社の認知度は低い。根気強く販売していきたい」と語り、他の関係者も「防災」は販売促進になかなかつながらないと話した。
小生もそう思う。「環境」「防災」「コミュニティ」はとても大事なことではあるが、これらを全面に打ち出しアピールしても消費者の心をつかむのは容易でないことをこれまでの取材でいやというほど経験してきた。言葉は悪いが〝のど元過ぎれば熱さ忘れる〟(〝羮に懲りて膾を吹く〟も困ったものだが、これが悲しい人間の性)。「環境」「防災」「コミュニティ」-これらを価格に換算したらいくらになるか。はじき出せる人は一人もいない。小生はこれらを付加価値として商品に反映させて消費者に納得させられるのは価格のせいぜい1%だと思う。
市川氏が語ったように粘り強く売るほかない。(小生が販売担当だったら、エリアの戸建てを徹底して調べて、天井高2.7m、挽き板フローリング、ソフトクローズ開き戸、Low-Eガラス…などを標準装備している物件は他にないことを証明し、隣に流れる古利根川の環境も含めてアピールするし、かまどベンチは日常的に芋煮会などに利用できるようにし、焚火もOKにする)
物の序で。記者は現地まで約2時間、往復で4時間。東京-名古屋と一緒だ。見学会では、いつものように必死でメモを取った。何を見るか、誰が何を話すかを記録し、記事にするのが記者のイロハだからだ。
ところが、報道陣は10名ちょっと。中にはメモなど取らず聞くだけの人、眠っている人(目をつぶっているだけだろうが)もいた。今回に限らずいつもの風景だ。メモを取らない記者は記者じゃない。単なるリライターだ。
記者はむしろこの方たちに「あなたたちは何者だ」と質問したかったが、沈黙に徹した。物言えば唇寒し利根の川風…(ヨシキリの、声が冷たく身を責める、これが浮世か、見てはいけない…三波春夫「大利根無情」)。
この日(14日)のもう一つの収穫は、外構担当の同社埼玉中央事業所設計課・清水博子氏からドクダミには〝八重咲き〟もあると教わったことだ。
そして本日(16日)、「コスパ」「タイパ」「せんべろ」「設楽りさ子」を学んだ。西武は6連敗。62試合にして10度目の完封負け。交流戦最下位確定か。「公助」も「共助」も期待できず、「自助」努力で浮上するしかない。

ソーラー充電器

モデルハウス(ファミリー)

モデルハウス(Dinks & Active Senior)

モデルハウス(ペット)

そばを流れる古利根川(左側が物件)
日本建築の伝統技と最先端技術を融合 菊池建設「那由他(なゆた)」受注開始

「那由他(なゆた)」
ナイスグループの菊池建設は6月9日、京町家などの伝統的な日本建築のデザインを踏襲しつつ、ZEH仕様の注文住宅新商品「那由他(なゆた)」を開発し、首都圏と静岡県の1都4県で本格的な受注を開始したと発表した。
従来商品「檜の家」と同様、土台や柱だけでなく羽柄材にも檜を用い、横架材である梁・桁は杉と唐松を採用するなど国産材使用率100%。町家の通り土間を想起させる、玄関から続く土間空間、古民家の雰囲気を醸す、ろくろ丸太の通し柱を配置した吹き抜け空間、段差を生かし、調理する人と食事をする人が一体となる食空間「和厨」などを提案。また、断熱等性能等級の最上位等級である等級7を確保しているほか、太陽光発電システムをはじめ、省エネ・創エネ設備の導入によりZEHを可能にし、伝統と最先端技術とを融合した快適な現代の「和」の住まいを実現する。
52.5坪の場合、税別の建物本体価格は 7,090万円(坪単価135万円)。

土間空間

吹抜け空間

「和厨」
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昨日は、文豪・志賀直哉の居宅跡地を見学した。床板にアオギリ、柱にサルスベリ、縁側の板には船材と同じ木、壁は杉皮貼り、天井は網代組…。
菊池建設といえば、歩くと床が鳴く「鴬張り」、値段が付けられない「神代欅」のモデルハウスが忘れなれない。「現代数寄屋『檜の家』」も見学している。今回の商品は坪単価135万円。安くはないが、高くもないような気がする。木が好きな人はたくさんいるはず。
同社の松本敏社長、取締役営業本部本部長・二瓶正裕氏には絶滅危惧種にならないうちに「和風住宅の伝道師」になっていただきたい。一級建築士の肩書を持つ上場会社・グループの社長・役員はどれほどいるのか。
世界3代デザイン賞の一つ「iF デザインアワード」受賞 ポラス「我孫子」/志賀直哉

ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」
ポラスグループの中央住宅は6月8日、世界3大デザイン賞の一つ「iF デザインアワード2023」(iF)の建築分野(住宅建築カテゴリー)で受賞した分譲戸建て「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」(全4棟)の街並みをメディアに公開した。iFを受賞するのはポラスグループもわが国の戸建て分譲も初の受賞。高いデザイン性(商品企画)が評価された。
「iF デザインアワード(iF DESIGN AWARD)」は、1953年にドイツ・ハノーファーで誕生した世界で最も歴史の長いデザインアワードで、IDEA賞(アメリカ)、レッドドット・デザイン賞(ドイツ)と並び「世界3大デザイン賞」と呼ばれている。世界60か国から1万点を超える応募があり、iFロゴは優れたデザインの証として世界で広く認知されている。
今年は1万件超の応募があり、約3,500件、うち建築分野では59件が受賞(わが国は27件)。住宅分野では、同社グループのほか永山祐子+永山祐子建築設計が受賞。昨年は隈研吾氏が受賞している。
「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」は、JR我孫子駅から徒歩13分、千葉県我孫子市緑二丁目に位置する総開発面積約671㎡の全4戸。敷地面積140.31~196.90㎡、建物面積96.26~106.81㎡、価格は4,480万~4,980万円。販売開始は2021年7月で、同年10月に完売。竣工は2022年1月。地役権は、幅員6.1mの公道に面している1号棟は1.2㎡、敷地延長部分の2号棟は40.69㎡、3号棟は54.47㎡、4号棟は50.98㎡の合計147.34㎡。
受賞した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課参事・山下隆史氏、設計監理課主任・安川晃生氏、営業企画設計課係長・山﨑正吾氏はプレス・リリースで「我孫子市手賀沼周辺は、かつて『北の鎌倉』とも呼ばれる風光明媚な土地で、志賀直哉や武者小路実篤など数多くの文人が別荘を構えていました。この土地を取得した時、私たちが考えたのは、豊かな景観と文化性に富んだ土地の記憶を蘇らせ、この場所ならではの地域文化との関係に配慮した分譲地ができないかということです。区割りは、開発道路を囲んだ従来の区割りではなく、地役権を設定したうえで路地状部分の敷地を中央に集め、幅6mのコモン(庭小路)を創出しました。庭小路は、単なる車道ではなく住まい手の憩いの場所となる緑道空間であり、それを楽しむための縁側テラス・庭も設計し、それらが連なることで統一された我孫子の景観と一体となり、新しい風景を創り出しました」と語っている。
山下氏は「以前から応募したいと思っていました。自信作ではありましたが、初の応募で受賞するとは思っていませんでした。Ifは差別性、デザイン性、影響力、アイデア、機能性の5角形のチャートで評価が数値化され、受賞・落選の理由が分かりやすくなっています。わが国のグッドデザイン賞のようなブラックボックスではないのがいい」と語った。

ifロゴ入り「リーズン我孫子 綴(つづり)のまち」

敷地境界を示す境界杭

山下氏(左)と山崎氏
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地役権を設定した分譲戸建てを同社グループはかなり供給している。先月見学した「NOEN KASHIWA SAKASAI-ノエン柏 逆井-」は素晴らしく、記者は「わが国の○○賞を総なめにする」と書いたほどだ。
建築基準法第43条「建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない」規定に適合させるためのコモンは珍しいことではないが、今回の「我孫子」のようにわずか4戸の規模で、公道に面していない3戸を接道させるため幅2m×3戸=6m×奥行き24.5m=約147㎡の公開空地が確保されているのに驚いた。地型など敷地条件に問題のある土地でも宅地化を可能にし、付加価値を創出できることを証明したといえる。
山下氏が語ったわが国の「賞はブラックボックス」は改めないといけないと思う。ウッドデザイン協会は、今年度から落選作品についてもその理由を知らせ、プレゼンなどについてアドバイスするという。また、キッズデザイン協議会は昨年からifと連携することを決定している。
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現地の裏山、徒歩で2分くらいのところに、「小説の神様」と称された文豪・志賀直哉が大正4~13年(1915~1924)に住み、「城の崎にて」「小僧の神様」「暗夜行路」などを著した居宅跡地があるというので見学した。
道路幅員4mくらい、どこにでもある住宅街の一角にそれはあった。敷地面積は約3,700㎡(当時は約5,000㎡)、今は公園として公開されている。
入口にはクスノキ、イチョウの巨木があり、敷地全体は樹齢100年超の樹木で覆われていた。道路から1~2m上がったところに母屋があったことを示す案内があり、端っこに書斎・茶室として使われた「離れ」が移築されていた。
自らが設計し、地元の宮大工が建てたのだそうだ。大きさは6畳間のほかにトイレなどもあるので4坪くらいか。屋根や壁は杉皮葺き・貼り、柱はサルスベリ、垂木は虫食いの杉材、床柱はアオギリ(河東碧梧桐はこれから俳号をとったのか)、天井は舟形の網代組…志賀直哉は相当の風流人だったようだ。
母屋の正面に名前の知らない年寄りのように幹が曲がった大木があった。丁度、地元の「長寿大学」の講師で我孫子市史研究センター副会長・荒井茂男氏が大勢の受講者を相手に説明されていたので聞いた。樹木は「エノキ」だそうで、志賀直哉はよく登ったのだそうだ。(登ったから腰が曲がったのではないだろう)。
グリコのように2度おいしい取材ができた。

志賀直哉が書斎・茶室として利用した「離れ」

6畳間(床柱はアオギリ)

虫食いの杉の垂木とこだわりのサルスベリの柱(と呼ぶのか、単なる意匠か)

杉皮貼の壁

志賀直哉が登ったエノキの巨木

志賀直哉居宅跡地を観察する「長寿大学」の皆さん
初めて見た30%・50%×200㎡の分譲戸建て まるで別荘 ポラス「柏 逆井」(2023/5/2)
一石三鳥、四鳥 ビルトインガレージ採用 狭小地の課題解消 ポラス「BASE88」(2022/11/19)
日本一の街」完成祝う 中央住宅・高砂建設・アキュラ「浦和美園E-フォレスト」(2022/4/17)
邸宅跡地の樹齢100年 モミジの借景取り込む 歴史を紡ぐ企画奏功 ポラス「光が丘」(2020/12/4)
住宅選好の変化捉えた「ラナイ」の提案がいい 三井ホーム「IZM(イズム)」モデル

「IZM(イズム)」モデルハウス
三井ホームは6月7日、35歳~45歳の子育て世代をメインターゲットにした新商品「IZM(イズム)」のモデルハウスを「レジデンスサイト横浜町田」内にオープンしたのに伴うメディア向け見学会を行った。住宅の内と外を緩やかにつなぐ半戸外空間「ラナイ」の提案や、内外観に木をふんだんに用いた仕様、白を基調にしたアースカラーのデザインが素晴らしい。
「IZM(イズム)」は、コロナ禍による消費者の住宅選好の変化に対応する新商品で、〝仕事も遊びも自分らしく〟をテーマに昨年4月に販売開始。シャープな切妻屋根の「ウィングルーフ」、外からの視線をさえぎる「プライバシーウォール」、建物の家と外を緩やかにつなげる半戸外空間「ラナイ」、信楽焼のオリジナルタイル壁「モダンブリック」などを装備し、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準を満たし、住宅性能表示制度の最高等級「断熱等性能等級5」「一次エネルギー消費量等級6」に標準対応しているのが特徴。
モデルハウスは4月29日オープン。3月26日に大阪箕面にオープンしたのに続く2棟目。敷地面積約241.92㎡(73.18坪)、建築面積約144.84㎡(43.81坪)、2階建て延床面積約187.64㎡(56.76坪)。価格は100万円/坪からで、提案段階では120万円/坪~150万円/坪が中心。
昨年4月から今年3月末までの受注棟数は127棟で、50坪以上が33%、エリアは首都圏中心の関東が65%、関西が20%。顧客の年代は45歳以下が54%。

1階LDK

軒裏のレッドシダー

「ダイニングラナイ」

塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」を採用したダイニングテーブル
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見学会会場で配布された、マクロミル会員を対象にしたインターネット調査結果に注目した(有効回答1,317名)。調査は商品企画段階の2021年10月に実施されたもので、メインターゲット(以下、ターゲット層)の35歳~45歳の子育て世代が「環境問題や社会問題に配慮した商品を購入したい」という意向を示したのは75.8%(もっとも低いのは50~59歳の63.7%)、所有希望を含めた車所有が83.3%(同30~34歳の77.5%)、バーベキューが日常化しているのは44.7%(同50~59歳の27.1%)、多様な働き方が日常となっているのは75.8%(同50~59歳の52.9%)などの数値はなんとなく理解できる。
家族で楽しめる中庭のニーズは26.9%で、「眺める庭」11.5%、「広めのバルコニー」15.2%、「屋外空間」10.6%、「庭は必要ない」8.6%などの回答は時代の変化か。
驚いたのは、戸建てを購入すると想定した場合に購入したいデザインは「エレガント」「オーセンティック」「シンプル&スクエア」「ウッディ」のうちどれかという問いに対し、ターゲット層の52.8%は「シンプル&スクエア」を選んだことだ。他の年代の30%近くは「エレガント」+「オーセンティック」を選択したのに、ターゲット層は「エレガント」の9.4%、「オーセンティック」の11.3%を合わせ20.7%しかない。
これをどのように解すべきか。小生などは三井ホームといえば「エレガント」+「オーセンティック」=吉永小百合さんで、「シンプル&スクエア」はパワービルダーの分譲戸建てしか思い描けないのだが、同社はコロナによる消費者の住宅選好の変化を取り込み、新たな顧客層の開拓に成功したとも受け止められる。
とはいえ、前段の受注状況からして、「シンプル&スクエア」=低価格とみるのは早計だ。同業の記者の方が「ターゲットは富裕層が中心か」と質問したように、富裕層のニーズに十分応えられるものであり、ターゲット層のアッパーミドル、今風に言えばパワーカップルの潜在的なニーズを掘り起こし、受注単価増につなげた結果だと思う。

「リフレッシュスタジオ」(天井には熊野ヒノキの木製ピーリング)
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モデルハウスの「ダイニングラナイ」「オープンラナイ」「ガレージラナイ」などの容積不参入の「ラナイ」の提案が文句なしにいい。受注した127棟のうち50坪以上が33%で、同社の他の商品の受注棟数のうち50坪以上は22%であることからも「ラナイ」の提案がヒットしたことをうかがわせる。
それと木の多用。1階の軒裏はレッドシダー、長さ約4m×幅約1mのダイニングテーブルは、2019年の台風19号で倒れた平塚八幡宮の神木「ヒマラヤスギ」、2階の「リフレッシュスタジオ」には、高級材とされているわが故郷・三重県の熊野産材のヒノキの木製ピーリングがそれぞれ採用されている。
皆さんは熊野ヒノキをご存じか。年輪が密で強度が高いのが特徴で、急峻な山、土壌・地質、密植とも深い関係があるという。
多雨地域で気候が温暖なことから木はよく育つと考えがちだが、肌理細やかで強かな建材にするには適度なストレスを与えることが必要だそうだ。(人間も同様だ)

手前が2階の「リフレッシュスタジオ」、その奥がフラット床の裏ッと床の「スカイラナイ」

左の壁が「プライバシーウォール」

