食・農・緑…地域共生テーマに専門家とコラボ ポラス 全70戸「yoridokoro上尾」

「yoridokoro(拠りどころ)上尾」
ポラスグループ中央住宅は10月27日、地域共生型分譲戸建て「yoridokoro(拠りどころ)上尾」のメディア向け見学会を行い、モデルハウス内覧会を10月28日(土)に開始し、第1期を11月10日に開始すると発表した。35区画の分譲地が2つ繋がる全70戸の、同社グループが上尾市内で分譲する最大規模の住宅地。地域と関わる専門家8名とコラボしたプロジェクトだ。
物件は、JR高崎線桶川駅から徒歩17分、埼玉県上尾市大字上字熊野の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80)に位置する全70戸。土地面積は120.10~185.39㎡、建物面積は90.04~95.25㎡、第1期(12~13戸の予定)の予定価格は3,000万台前半~5,000万円前半。全体竣工は2024年8月の予定。
コンセプトは「地域共生」。上尾市やその周辺地域で活躍する農業経営、盆栽家、ネコの保護団体、キャンドル製造、タタミ製造、キッズ食育トレーナー、知育・脳育アドバイザー、女性の起業サポーターの8名の専門家とコラボし、入居後もワークショップを開き、個別相談にも対応していくのが特徴。
見学会の冒頭、同社戸建分譲さいたま事業部大宮営業所事業所長・関一匡氏は、「当事業所は浦和・大宮以北を中心に2007年から事業展開している。70戸という規模は当社として過去最大級。地域密着をコンセプトに、様々な専門家の方とコラボした。社内からも期待されているプロジェクト」と語った。
続いて登壇した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏は「2年前、伊奈町でマルシェを行っていた農家さんに声を掛けたことがきっかけとなり、今回の提案にたどり着いた」と話し、同課主任・菅原雄太氏は「地域密着に深く踏み込んでプランに落とし込んだ。専門家の好意で成り立ったプロジェクト。入居者の方には新たな豊かな暮らしを発見していただきたい」と話した。
大宮事業所主任・佐々木真央氏は、「この3か月間で問い合わせは58組。モデルハウス来場予約は26件。地元居住者が中心だが、東京・神奈川、千葉も2割に達するなど、子育てファミリーの注目度が高い」と説明した。
伊奈町でマルシェを行っていたのは、ベジタブルボーイズカンパニー代表・大橋一幸氏(38)で、大橋氏は「豊かな暮らしと『食』『農』はつながるものがある。住宅購入者の方と関わると、明日も頑張れというエネルギーをもらえる。様々な提案を行い、小さなつながりを造っていきたい」と話した。
屋号「鉢乃木屋」の盆栽家・齊藤真之氏は「大学の専攻は建築で、ゼネコンに8年務め、30歳になる直前に目覚め、一念発起して盆栽に没入し、今年5月に独立。妻と一緒に店を立ち上げた。アーティストなど様々な分野の方とコラボしていきたい」と語った。
モデルハウスは2棟で、1棟の2階建てには齊藤氏の作品がたくさん展示されており、もう1棟の平屋はキャットウォークが提案されているのが特徴。主な基本性能・設備仕様は、同社の標準である天井高2700ミリ、樹脂サッシ、ソフトクローズの引き戸・開き戸、挽板の床、現しの柱・梁、桐のデザイン壁などのほか、ビルトインコンロ「デリシア」、ハイブリッド給湯器「エコワン」など。

モデルハウス(2階建て)

モデルハウス(平屋)

左から関氏、古垣氏、大橋氏、齊藤氏、菅原氏、佐々木氏

齊藤氏(左)と大橋氏(大橋さん、貴殿が醜男と言っているのではない。念のため)
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専門家とコラボするマンション・分譲戸建ては珍しくないが、地域に特化したこれほど大掛かりな戸建てプロジェクトは少ないはずだ。
大橋氏と二言三言話しただけで旧知の仲のような気がした。記者も田舎の農家育ちだからだ。経営する農地は17町歩(1町は約1ha、多くは借地)で、従業員14名、パートを含めて35名の規模というから凄い。その苦労はよく分かる。農業で生計が立てられる世の中になってほしい。
齊藤氏は、盆栽家として独立したばかりというのに、粋な和服姿がすっかり板につき、その道を究めた大家に見えた。憎たらしいほどいい男ではないか。
記者はこれまで、マンションや分譲戸建て、その他の施設のフェイクグリーンをやめよと100本くらいの記事を書いてきた。齊藤氏はそれを実現してくれる傑物と見た。記者の目に狂いはない。

齊藤氏の作品(左からセイヨウガマツカ、セッカヒノキ、ヤツブサイチョウ)

齊藤氏
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「地域共生」について。同社グループが今年6月に分譲開始した「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」でも感じたが、難しいテーマによくぞ挑戦したと思う。佐々木氏は「どこでもできる」と語ったが、これまでどこも行わなかった。
上尾市の令和3年度の分譲住宅着工戸数は482戸だ。今回の物件はその約15%だ。常識的に考えれば、完売まで2年、3年くらいかかっても不思議でないが、同社は早期完売を目指しているのだろう。
価格は、見学する前に4,000万円台の前半だろうと読んだが、ほぼ予想通りだ。同業の記者の方は平屋が5,000万円を突破することに驚いていたが、驚くに値しない。建ぺい率、容積率からして土地を広くしないと平屋は建たないからだ。5,000万円を超えるのはその1戸のみだろう。平屋好きはどこにでもいる。

「yoridokoro(拠りどころ)上尾」モデルハウス(右が平屋)

現場近くのたわわに実った柿の木(何本もあった)

桶川駅西口のケヤキの街路樹(予算の関係か右のみ強剪定。街路樹はシンメトリーだから美しいのに、行政はこのようなことを平然と行う。業者はそれに従う。市民は異議を唱えない。つまり、いつまでたっても美しくないということ)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)
ポタジェ(家庭菜園)活用したワークショップ ポラス「北浦和みのりプロジェクト」(2023/4/23)
まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21)
首都圏中古マンション 成約件数は4か月連続増 単価上昇も続く 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、2023年9月度の主不動産流通市場動向をまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は前年同月比6.7%増の3,191件で、4か月連続して前年同月を上回った。㎡(坪)単価は同4.8%増の72.44万円(239万円)で、20年5月から41か月連続上昇、価格は同4.5%増の4,618万円で、20年6月から40か月連続上昇した。専有面積は同0.3%減の63.75㎡となった。
地域別では、成約件数は千葉県以外の地域が前年比で増加し、東京都区部は2 ケタ増となり4か月連続で前年同月を上回った。成約㎡単価は埼玉県と神奈川県他以外の地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は41か月連続、千葉県は38 か月連続で前年同月を上回った。埼玉県は20年5月以来40か月ぶり、神奈川県他は20年11月以来34か月ぶりに前年同月を下回った。
中古戸建は、成約件数は同2.2%減の1,099件で、22年1月から21か月連続で前年同月を下回った。価格は同2.2%増の3,924万円、土地面積は同3.2%減の139.52㎡、建物面積は同0.9%減の104.39㎡となった。
地域別では、成約件数は東京都区部と多摩以外の地域が前年比で減少し、千葉県は2ケタ減となり3か月連続、神奈川県他も3か月連続で前年同月を下回った。成約価格は横浜・川崎市と多摩、千葉県が前年比で上昇し、多摩は6か月連続で前年同月を上回った。
分譲戸建て「グローイング」の最上級「グランディスト」 細田工 積極展開

グローイングスクエア富士見ヶ丘グランディスト
細田工務店は10月10日、同社の戸建分譲「グローイング・シリーズ」の最上級ブランド「GRANDIST」(グランディスト)を積極的に展開すると発表。すでに杉並区、世田谷区、中野区で6つのプロジェクトが始動しており、順次販売を開始する。
主な特徴・仕様は、①駅徒歩3分~13分以内の立地、100㎡以上平均敷地面積②長期優良住宅×「高耐震+制振」性能(耐震等級・東京ゼロエミ住宅(敷地条件により対応出来ない分譲地あり)③ZEHレベルの高い断熱性能(断熱等性能等級5、一次エネルギー消費量等級6)④IoTに対応⑤ワンランク上の設備機器⑥防犯設備機器⑦防災設備の採用-など。
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先日、野村不動産の「高額建売戸建」シリーズの「プラウドシーズン成城五丁目」を見学・取材したばかりだ。記者はまちがいなく売れるとみている。細田工務店にも取材を申し込み、レポートしたい。
野村不「高額建売戸建」第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」も即日完売(2023/10/7)
野村不「高額建売戸建」第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」も即日完売

「プラウドシーズン成城五丁目」
野村不動産は10月6日、1戸当たり価格が2億円超の「高額建売戸建」の第2弾「プラウドシーズン成城五丁目」(6戸)が即日完売したと発表。同日、完成した建物2棟を報道陣に公開した。
「プラウドシーズン成城五丁目」は、小田急線成城学園前駅から徒歩8分、世田谷区成城五丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する全6戸。敷地面積は150.04(45.39坪)~160.00㎡(48.40坪)、建物面積は120.00(36.30坪)~134.14㎡(40.58坪)、価格は2億円台前半~3億円台半ば。構造規模は木造(2×4) 2~3階建て。設計・施工は三菱地所ホーム。入居開始は2023年11月末以降。
昨年1月末に分譲し圧倒的な人気で即日完売した第1弾「プラウドシーズン成城コート」(6戸)に続く「高額建売戸建」の第2弾。7月に登録申し込みを受け付けた結果、最高3倍で即日完売。来場者は80組。
街と調和し、成城エリアの景観を継承する街並みデザインとして生垣・石垣・石壁、御影石貼り私道、電柱地下化、アイアンスクリーン、約2.7mの大型サッシなどを採用。
主な基本性能・設備仕様は、敷地面積最大160㎡、建物面積120㎡以上、全館空調「エアロテック」、リビング天井高3m(2戸は4m)、2.7mハイサッシ、オーダーメイドキッチンINTENZA、タイルキッチン・カウンター天板、Miele製大型食洗機、ハンズグローエ水栓、DURAVIT製2ボウル洗面、SPAGE浴室、オーク材挽き板フローリング、石張りアクセント壁、フェイクレザードア、メラミン鏡面仕上げ収納扉など。
見学会で同社住宅事業本部戸建事業部推進一課課長・吉井浩介氏は「一般的な分譲戸建てではありえない、注文住宅のリーズにも対応したオーダーメイドのプレミアム住宅にしたのが高い評価を得た」と語り、同部営業一課長・石田寛和氏は「『エアロテック』も評価ポイントの一つ」と話した。
同社はこの日6日、今後、同価格帯の分譲戸建を含め高額物件中心の販売拠点「プラウドシーズンギャラリー駒沢」を2024年1月に開設すると発表。東京23区内城南・城西エリアや神奈川県横浜エリアを中心に2025年までに10プロジェクトを順次販売するという。

勾配天井高最大4mのリビングダイニング



2ボウルの洗面

TOTOの最高級戸建て用トイレ

半屋内空間の「アイアンスクリーン」

エントランス
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分譲マンションは坪1,000万円超でも飛ぶように売れている時代だ。価格が2~3億円台というのは全然驚かなかった。むしろ「成城学園の一等地」でこの価格は安い。「成城5丁目」の今年の地価公示は坪2,175万円だ。容積率は80%だから、1種当たり価格は272万円、今回の物件の土地代は1億2,342万円以上となる。建築原価は分からないが、総額で2億円台の前半というのは極めてリーズナブルな値段だと思う。
前回の「プラウドシーズン成城コート」と今回を比較して、なぜなのかはよく分からないのだが、外構・外観・内装デザインは進化しているように感じた。
リビングの勾配天井高4mはコスモスイニシアの戸建てでも見学しているが、ため息が出た。見る角度によって表情が変わるアイアン(調)スクリーンは、隈研吾氏もよく用いる手法で、同社の〝プラウド〟マンションにも時々採用される。
吉井氏と名刺交換したとき、吉井氏から「プラウドシーズンひばりが丘」の話題が出た。記事を添付する。もう10年以上経過するが、この物件を超える分譲戸建てはそうないはずだ。
「エアロテック」について。これは実際に体験しないとその快適性は理解できない。居室はもちろん、廊下も洗面も浴室もトイレも押し入れ・収納も温度をコントロールできる。野村不動産は同様の機能を持つマンション用「床快full」を開発し、高額物件を中心に採用しているが、戸建て用はまだ開発できていないようだ。三井不動産もマンション用の開発を進めているが、商品化には至っていない。
取材の帰り、今回の物件の近くにある吉田五十八が設計した敷地面積1,861㎡、昭和42年竣工の素晴らしい木造平屋「旧猪股邸住宅」を見学した。そのあと、同業の記者の方と飲み屋を探したら、駅南口にかつて喫茶店だった店(のはず)が〝せんぺろ〟の飲み屋に変わっていた。

幅員5mの御影石貼り私道
最高2.7億円の住戸に申し込み5件 〝プラウドシーズン〟の歴史に刻む 野村不「成城」(2022/2/8)
首都圏分譲戸建て着工 埼玉、千葉で増加傾向 東京、神奈川の敷地は100㎡以下


別表は、住宅着工統計の1年間の首都圏都県別分譲戸建て着工戸数推移を見たものだ。月によってバラツキはあるが、コンスタントに毎月5,000戸前後が着工されており、都県別でみると、埼玉県は月ごとの変動が小さく、傾向としては埼玉県と千葉県で着工が増えている。年間では埼玉県が神奈川県を上回る可能性がありそうだ。
都県別の敷地面積、延べ床面積は、東京、神奈川、埼玉、千葉の戸数の多い順に面積、延べ床面積もほぼ小さくなっている。ただし、全てのデータを足して割るとこのような結果になる。あまり参考にはならない。
築50年 髙島屋⇒聖徳学園女子寮 元寮長の娘「これで安心」 ポラス「棟下式」

東京聖徳学園聖徳大学孝和寮跡地

ポラスグループの中央グリーン開発は9月23日(土)、流山市の東京聖徳学園聖徳大学孝和寮跡地で「棟下式(むねおろししき)」を行った。「棟下式」は同社が作った造語で、建物を取り壊す際に、その建物に感謝の意を伝え、地域住民と一緒に楽しくお見送りするイベントで、2017年4月に初めて行ってから、今回は41例目。2019年にはグッドデザイン賞を受賞している。この日、スタッフを含め約100人が参加した。
現地は、東武野田線江戸川台駅から徒歩12分、流山市こうのす台1082番地の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約2,974㎡。
敷地内には、昭和48年11月完成(築50年)の5階建て建物が建っている。最初は髙島屋女子社員寮として、その後、東京聖徳学園 聖徳大学孝和寮(44室=女子寮)として10年前まで利用されていた。同社は10月に建物を取り壊し、敷地面積約135~140㎡の分譲戸建て19棟を建設する。
棟下式では、神主による祝詞などセレモニーが行われ、同社千葉支店取締役支店長・小林亮一氏が「10月9日から解体作業に入り、来年の5~6月には工事は完了し、そのあと1年間後に建物が完成する予定です。地域の皆さんにはご迷惑をおかけしますが、安全を第一に取り組んでいきます」と挨拶した。
セレモニーのあと、建物の3階部分から広場に集まった地域住民らに餅135個が撒かれ、敷地内に植わっている桜の生木で作った色鉛筆も子どもたちに配られた。

餅撒き

小林氏
◇ ◆ ◇
同社の棟下式を取材するのは、第一弾の埼玉県越谷市の「越谷市南荻島プロジェクト」以来2度目だった。
記事を添付したが、越谷市の棟下式は敷地規模も大きく、他のイベントもあったため約700名が参加した。とても楽しい取材ができた。
今回は人数が少なく、〝当時の寮生と会えないものか〟と思案していたら、記者と同年配と思われる女性2人が隣り合わせで話しあっていた。声を掛けた。
何と、そのうちの一人が寮長をしていた父の娘さんというではないか。近くに住む遠藤京子さん(70)だ。遠藤さんは次のように語った。
「昭和48年11月、高島屋の柏店がオープンすると同時に女子寮が完成しました。わたしの家は取り壊わしていたので(建て替えか)、女子寮に泊めてもらったら、寮長・寮母を募集しているとのことでしたので、父が申し込み、その後約7年間勤めました。部屋は6畳大と小さな廊下しかありませんでしたが、立派な大浴場がありました。(記者の質問「男性を連れ込む? 」に)近くに男子寮があり、敷地内で一緒にバーベキュー大会などイベントもたくさんやりました。とても楽しかったですよ。(敷地内の)そこの2本の桜は、わたしの父がこんなに小さい苗木(50センチくらい)を植えたんです。廃寮になってから幽霊屋敷のようになっていたので心配していたのですが、これで一安心です」」
-地域とつながるというのはこういうことを指すのだと思った。敷地内にはサクラなど立派に育った樹木もたくさん植えられている。全て残すのは無理としても、挿し木・接ぎ木にして街のシンボルツリーなどにしたら住民はもっと喜ぶのではないか。

父が寮長をしていた遠藤さんも餅を1個ゲッとした
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取材していて、一つ不思議に思ったことがある。現地も周辺エリアもみんな用途地域は第一種低層住居専用地域だ。都市計画法による高さ規制は12m以下のはずだが、当地の建物は5階建て(1層3mとして15m)だった。
なぜ、そうなのか。多分、建築基準法第48条ただし書による認可だと思う。東京都でも事例はいくつかある。
分譲戸建ての価格は5,000万円前後になると思う。

業界初「棟下式」「お宝発見ツアー」大賑わい700名超 ポラス 開発予定地でイベント(2017/4/16)
8月の中古マンション 成約件数は横ばいながら価格、単価は約10%上昇 レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月11日、首都圏の2023年8月度の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は2,367件(前年同月比0.9%増)、坪単価は244.5万円(同10.1%上昇)、成約価格は4,704万円(同9.9%上昇)、専有面積は63.50㎡(同0.2%減)、築後年数は24.19年(前年同月は23.87年)となり、成約件数は3か月連続で前年同月を上回り、坪単価は20年5月から40か月連続の上昇、成約価格は20年6月から39か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建住宅の成約件数は873件(同4.6%減)、成約価格は3,725万円(同1.4%減)、土地面積は138.36㎡(同9.1%減)、建物面積は102.68㎡(同2.4%減)、築後年数は22.62年(前年同月は22.62年)。成約件数は22年1月から20か月連続で前年同月を下回った。
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新築マンションと連動しているからだろう、中古マンションの価格(単価)上昇が続いている。成約価格は過去10年間で約85%上昇し、成約件数もほぼ毎月2,500件以上となっている。一方で、中古戸建住宅は、この10年間で約23%しか上昇しておらず、成約件数もマンションの半数以下だ。
いったいこの差は何か。マンションは、戸建てと比べ相対的に耐用年数が長く、交通便など利便性が高く、投資的価値も高いからだろうが、これほど大きな差が開くと、もっと中古戸建て市場が盛り上がっていいような気がするがどうだろう。
5か所目の単独展示場「体感すまいパーク朝霞」オープン ボラスグループ

「体感すまいパーク朝霞」
ポラスグループの注文住宅を手掛けるポラテックとグローバルホームは9月2日、埼玉県朝霞市の川越街道沿いに「体感すまいパーク朝霞」をオープンする。モデルハウス4棟とセンターハウスから構成されており、モデルハウスの延床面積はリアルサイズの30坪台で、全てZEH対応。単独展示場「体感すまいパーク」としては2018年にオープンした「船橋」「柏」、2021年の「東浦和」、2022年の「越谷」に次いで5か所目。オープンを前にした9月1日、報道陣に公開した。
記者見学会に臨んだポラテック取締役・橋本裕一氏は、「4棟の総延べ床面積は1,372㎡、総工費は7億7,000万円。来場目標は向こう3か月で300組以上。年間受注目標は100棟。待望の東武東上線に開設することができた。朝霞はわたしの出生地でもあり、沿線4市はとてもいい市場を形成しており、目標を達成したい。体験宿泊も予定し、災害時の帰宅困難者の受け入れ、一時避難場所としても提供する予定。沿線に新たな事業所を設けることも検討している」と語った。
次の「体感すまいパーク」は2025年に「吉川南」に開設することも明らかにした。

センターハウス

橋本氏
4棟のモデルハウスは次の通り。価格はモデルハウス仕様。
暮らし方をデザインする ~4×4 令和最小限住宅 (造りすぎない家)~「PO HAUS 和美庵」3,500万円(105.98㎡、坪単価109万円) 日本家屋の田の字(4間×4間)のオーソドックスな間取りをベースに、内と外を緩やかにつなぐ約8帖の「外の間」を設え、LDKに接する通り土間、隠れ部屋を設置。仕上げ・家具には大谷石、塗り壁、格子戸、造作ベッドなどで和風住宅のよさを演出。玄関は引き戸。

暮らし方をデザインする ~二つのヴォイドで繋がる都市型住宅~「PO HAUS ARZILL」4,000万円(124.18㎡、坪単価107万円) 多家族ファミリー居住を想定した木造3階建て。3層吹き抜けと2層吹き抜けのヴォイドを設置し、スキップフロア、ライトコートを多用して家族、自然、周辺環境とのほどほどの距離感を実現した5層住宅。回遊式キッチン、造作風呂、白と黒のサッシ枠などデザインにもこだわり。

家事と趣味を楽しむ家 ~屋上リビングの家づくり~「北辰工務店」3,000万円(116.54㎡、坪単価85万円) 共働きファミリーを想定。坪単価を抑え「家事ラク」動線を重視し、1階のキッチン、家事コーナー、洗面脱衣所、浴室、2階のランドリースペース、ウォークインクローゼットをつなげているのが特徴。リビング天井高は2950ミリ。屋上リビングも設置して狭小敷地でも空(そら)を実感できる。玄関は引き戸。

ペットとの生活を楽しむ家 ~ヒトもペットも”ここちいい”を詰め込んだオウチ~「HaScasa」3,700万円(110.61㎡、坪単価111万円) 同社グループ初の断熱等級7を取得したツーバイシックス工法を採用。エアコン1台で室内温度をコントロール。室内中央に大きな吹抜け空間を設け、それを取り囲むように玄関、DK、バルコニー、渡り廊下を配置。LD白の家形フォルムとフラワーウォール、R曲面のタイル張り外観も特徴の一つ。

◇ ◆ ◇
4棟のモデルハウスは、ターゲット、家族構成、年代、趣向によって異なるので良し悪しの判断は難しいが、記者は「PO HAUS 和美庵」にほれ込んだ。「外の間」の中央に屋根を突き抜ける大きさのイロハモミジを植えているのがいい。大谷石や長さ約4mのキッチン・テーブルの提案も素敵だ。
ペットと暮らすことを想定した「HaScasa」は、エアコン1台で全館空調並みが体感できる。最高に素晴らしい。記者はペットは嫌いではないが、好きでもないからよく分からないのだが、設計担当者は自宅で飼っている1歳半の♀犬を連れてきていた。キャンキャン鳴いたので、♂犬を飼ったらいいではないかと話したら、8歳の♀犬も飼っているという。
3階建ての「PO HAUS ARZILL」と「北辰工務店」は多家族のファミリー層向けにぴったりだろう。狭小敷地にも対応できる。

「PO HAUS 和美庵」

「HaScasa」で
ポラス 越谷市と帰宅困難者一時滞在施設提供に関する協定/頑張れ ポラネコ(2022/10/17)
家に帰りたくない〟宿泊体験した社員 ポラス「体感すまいパーク越谷」出足上々(2022/1/8)
「S(スケルトン)」は積水ハウス、「I(インフィル)」はパートナー企業のSI事業

積水ハウスは8月28日、同社オリジナルの耐震技術をオープン化し、賛同を得たパートナー企業と連携する業界初の共同建築事業「SI(エス・アイ)事業」を9月1日から開始すると発表した。木造住宅の耐震性を向上させるのが主な目的で、受注目標は2025年度までに年間300棟。
過去の地震被害では、基礎と耐力壁や土台の接合部が弱点となりやすいとされている一方で、同社は独自の技術「基礎ダイレクトジョイント構法」を採用し、耐震性の高い住宅を提供してきた。
SI事業では、同社が「スケルトン」=「S」部分の基礎、躯体、接合部を請け負い、同社グループの積水ハウス建設が施工を担当。「インフィル」=「I」部分の外装や内装はパートナー企業が担う。双方の利点を生かした地域密着型の顧客対応を可能にするという。
パートナー企業は、2021年の住宅着工総数705棟で兵庫県ビルダー着工棟数1位の関西住宅販売、2022年の住宅着工総数815棟で茨城県ビルダー着工棟数8年連続1位のノーブルホーム、積水ハウス指定工事店として50年・本体工事1万棟を超える日立市の積豊建設。

住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを

飯田グループホールディングス ホームページから
「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」(発行日:2023年7月11日)を読んで驚くとともに、考え込んでしまった。同レポートには「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得しています。この性能の住宅は一般的な住宅と比べて約20%の削減効果があります」とあるではないか。
同社はこれまで、住宅性能評価の表示項目10分野33項目(必須4分野10項目)のうち「戸建住宅の4分野で最高等級取得」を最大の〝売り〟にしてきた。4分野とは①構造の安定②劣化の軽減③維持管理・更新への配慮④空気環境だ。
これらで最高等級を取得しているのは結構なことではあるが、同制度の評価機関で構成される住宅性能評価・表示協会の令和3年度のデータによると、同業他社もほとんど建設住宅性能等級の4分野で最高等級を取得している。同社だけが突出しているわけではない。
また、同レポートには「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」とあるが、これは文脈からすると、住宅性能評価で「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」取得率を100%に引き上げるということのようで、ZEHの必須要件である再生可能エネルギーを含めてネットゼロにすることではないと読める。
ここで、同社が「国が認定した第三者機関が、客観的で公平な品質評価をおこなっているため安心」「住宅性能評価は分譲戸建の36%しか取得しておらず、取得物件のうち当社のシェアは74%」とホームページに記す住宅性能表示制度について振り返ってみる。
同制度は、平成12年(2000年)4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づくものだ。同法第一条(目的)には「住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」とあり、住宅性能表示制度は(イ)住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、遮音性等)に関する表示の適正化を図るための共通ルール(表示の方法、評価の方法の基準)を設け、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にする(ロ)住宅の性能に関する評価を客観的に行う第三者機関を整備し、評価結果の信頼性を確保する(ハ)住宅性能評価書に表示された住宅の性能は、表示された性能を実現する」(住宅性能評価・表示協会ホームページ)ものだ。
施行当時、建基法に違反しない分譲戸建てはむしろ少数派で、消費者の信頼は根底から揺らいでいた。三井不動産レジデンシャルなどは自社物件に絶対的な自信があったためか、分譲戸建て「ファインコート」の住宅性能評価書の取得を行わなかった(今でもそうか)。
そして、施行の5年後には姉歯事件が起き、9年後には現在の飯田グループの構成会社である一建設の1,365戸、アーネストワンの465戸の戸建てで壁量不足・耐震強度不足が発覚して問題になった。当時、飯田グループの創業者で一建設社長だった故・飯田一男氏に取材したことがあるが、いつも強気の姿勢を崩さなかった飯田氏もさすがこれにはこたえたか、居直りに近い姿勢を見せ、破産も覚悟していたのを思い出す。その後、グループ6社が統合しホールディングス体制に移行したのは2013年だ。
同社グループが住宅性能評価書の取得に積極化したのはそれからだと記憶している。同社グループか住宅性能評価制度の普及に大きな役割を果たしているのは理解できる。
だが、しかし、記者は住宅性能評価制度以上に重要なのは、建物のエネルギー性能を星の数で評価するBELS(ベルス)、住宅の居住面積や建物の維持・管理、可変性、まちなみ、周辺環境への配慮も要件となっている長期優良住宅、CASBEEだと思っている。住宅性能評価制度を含めこれらの認証制度を一元的に管理・運用する機関を設けるべきだ。
同社にも一言。同社は年間分譲戸建て着工戸数の3割近くを占める4万戸を供給する自他ともに認めるわが国の分譲戸建てトップランナーだ。最近の同社グループの分譲戸建てを見ていないので何とも言えないが、敷地規模は30坪、建物は28~30坪、土地代込みの平均価格は約3,000万円で、敷地はほとんどコンクリートで固められ、樹木などは1本も植えられていないのではないか。
国土交通省と環境共創イニシアチブ(SII)のデータによると、令和3年の建売住宅のZEHビルダー/プランナー登録はわずか39件しかなく、注文住宅と建売住宅を合わせても710件(全体で5,044件)で、建売住宅ZEH化率はハウスメーカーは50.7%に達しているのに、全体では2.6%に過ぎない。
このような現状であるからこそ、同社の目指すべきなのは「ZEH水準100%」ではなく、「ZEH化50%」に舵を切ることではないか。太陽光発電や緑被率向上などでコストがアップし、売上・利益率がダウンしても、それを数倍も上回る社会的評価を得られるはずだ。

