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 大和ハウス工業が福岡市の大濠公園に近い一等地・大濠2丁目で坪単価500万円超のマンション「プレミスト大濠二丁目」を分譲することが分かった。現段階で同社のホームページには公開されていないので、いつ分譲するのか、あるいは公開しないまま販売するのかは分からない。

 物件は、福岡市空港線唐人町駅から徒歩6分、福岡市中央区大濠2丁目121151(地番)の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、10階建て全35戸。専有面積は82.33148.03㎡、価格は未定だが、坪単価は500万円を突破する模様。竣工予定は20233月下旬。施工は松尾建設。

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 このマンションについては今年3月、〝単価については触れない〟という条件付きでタカラレーベン「レーベン福岡天神 ONE TOWER」を取材したとき、同社マンション事業部 営業推進事業部 第1営業統括部 第1営業部1課長・松島勇一郎氏が「果たして大和ハウスさんはいくらの値を付けるか」と気にしていた。

 タカラレーベンの坪単価には記者も仰天したのだが、大和ハウスの「プレミスト大濠二丁目」は、同社広報から「坪単価は500万円超」との回答があった。タカラレーベンをはるかにしのぐ。もちろん、九州地方の最高坪単価マンションになる。少なくとも最低価格は1億円を突破し、最高価格は3億円を超える可能性もある。現段階ではホームページに公開されていないので、クローズドのまま販売するのかもしれない。

 この前は、坪単価が700万円超になる隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」の記事を書いたばかりだ。いま地方、とくに札幌を中心とする北海道、福岡、沖縄を中心とする九州が元気だ。都内では、目をそむけたくなるような劣悪な住環境でも〝駅近〟などは坪単価は500万円を突破している。

 それと比べれば、地方の垂涎の的の一等地のマンションが坪500万円超というのは結構なことだと小生は思う。昨年分譲の坪単価650万円の東京建物「ブリリア タワー堂島」から、潮目は完全に変わった。

福岡の最高峰 第1100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15

隈研吾氏が設計 坪700万円超でも好調スタート プロポライフ「札幌 宮の森」(2022/9/23

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25


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「ザ・タワー十条」

 業界関係者の間で話題になっている東急不動産・日鉄興和不動産の「ザ・タワー十条」578戸の第1期1次105戸の登録申し込みが9月23日から始まった。当初、第1期1次の販売戸数は分譲対象394戸の半分近い186戸とされていたが、その半数強に減少した。申し込み締め切りは10月2日で、3日に抽選が行われる。

 物件は、JR十条駅から徒歩1分、北区上十条二丁目の商業地域(建ぺい率66%、容積率797%)に位置する39階建て全578戸(事業協力者住戸184戸含む)。第1期1次(105戸)の専有面積は58.23~127.37㎡、価格は8,290万~30,000万円(最多価格帯11,100万円台)。竣工予定は2024年9月末日。販売代理は東急リバブル。施工は前田建設工業。事業コンサルタントは日本設計。

 現地は、住宅・商業・公益一体の複合開発「十条駅西口地区第一種市街地再開発事業」(地区面積約1.7ha)。2005年11月に十条駅西口地区まちづくり協議会が発足してから2012年10月の都市計画決定、2021年3月の着工を経て今回の分譲開始となった。両社は参加組合員として事業参画している。

 1階〜4階の一部は商業・業務フロア、住戸は6階からで平均専有面積74.32㎡と広いのが特徴。今回の分譲対象は26階以上の高層階となっている。

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 物件ホームページには基本性能・設備仕様レベルなどは公開されておらず、記者は見学していないのでいい加減なことは書かない。いいか悪いか、買うか買わないかは検討者が考えることだ。

 ただ、坪単価にはびっくりした。最低価格の住戸が専有面積約58㎡の住戸であるとすれば坪470万円だし、最高価格住戸の専有面積が約127㎡であれば坪777万円だ。(比較にはならないが、今春に分譲開始され、3か月で完売した十条駅から徒歩4分の三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス十条」41戸の坪単価は353万円だった。地所レジ関係者はどう思っているのか、切歯扼腕しているのか)

 建物の四方は開けており、下層階でも眺望が妨げられる要因は今のところなく、この26階の坪470万円が平均値になる可能性が高い。(個人的には最上階と思われる住戸はとても安いと思う。単価通りのラッキーセブンだ。どこにでもお金持ちはいる。坪1,000万円でも安いのではないか)。

 だとすると、この坪470万円は周辺の今後予定されている周辺物件の値付けに大きな影響を与えるのは必至だ。さしずめ、同じような立地条件から競合しそうなのは、先に分譲開始された三菱地所レジデンス他「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」であり、住友不動産の各物件だ。中でも住友不動産は周辺エリア、あるいは単価的に同レベルと思われる大規模物件を続々供給する。以下の通りだ。

・住友不動産「シティタワーズ板橋大山」(ノースタワー88戸、サウスタワー239戸) 来年1月分譲予定。竣工は2024年7月上旬。

・住友不動産「シティタワー千住大橋」466戸(駅5分、今年11月分譲予定)。竣工予定は2025年4月中旬。

・住友不動産「シティタワー綾瀬」427戸(駅1分、来年1月分譲予定)。竣工は2024年12月中旬。

・住友不動産「シティテラス赤羽」438戸(駅7分、THE EAST300戸、THE WEST 138戸)。今秋から来年1月分譲予定。竣工予定は2024年12月。

・「赤羽一丁目第一地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画。開発準備組合が設立された段階)

・「上板橋駅南口駅前地区第一種市街地再開発事業」(住友不動産が事業参画する)

 上記のうち「赤羽一丁目」と「上板橋」はあと2~3年先にならないと詳細は固まらないだろうが、「十条」によって価格を上方修正するのではないか(その逆もあり得ないわけではないが)。ほくそ笑んでいるかもしれない。

 同じ北区では、企画力がある大和地所レジデンスが30周年記念プロジェクトとしてフラッグシップブランド〝グラン〟を冠した「ヴェレーナグラン北赤羽 マスタープレイス&マナープレイス」571戸(駅5分、マスタープレイス318戸、マナープレイス253戸)のエントリーを開始した。来春分譲開始予定で、竣工は2024年末から2025年初。概要には「工業地域」とあるので、価格を抑え、企画で勝負に出るのは間違いない。

 また、着工したばかりで競合は微妙だが、板橋駅前では野村不動産と東日本旅客鉄道が事業参画している「板橋駅板橋口地区第一種市街地再開発事業」がある。

 「十条」の影響はこれだけにとどまらない。再開発計画がたくさんある城東エリアだ。野村不動産が事業参画している「平井五丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」(住宅は370戸、竣工予定は2024年度内)や三井不動産レジデンシャルと日鉄興和不動産が事業参画している「JR小岩駅北口地区第一種市街地再開発事業」(住宅は730戸、竣工予定は2027年度)にも影響を及ぼすことになる。街のポテンシャル、東京駅までの交通便を考えれば、「十条」には負けないと考えるのが妥当だ。坪単価は400万円をはるかに突破してもおかしくない。

 参考までに、最近分譲された周辺物件と準都心部のマンションの記事を以下に紹介する。

反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山大楠ノ杜」(2021/12/11)

三菱地所レジ「十条」41戸は坪353万円3か月で完売/台風の目「ザ・タワー十条」(2022/8/1)

南北・銀座戦争か? 北の「十条」と競合あるか 三菱地所レジ他「戸越公園」(2022/9/10)

エリアの最高値更新へ 三菱地所レジ コンパクト&ファミリー「赤羽」(2021/9/17)

第1期は全227戸の約6割の135戸 大和ハウス他「王子神谷」圧倒的な人気(2021/12/3)

 

総武線(亀戸~小岩)の開発に拍車 再開発中心に5000戸超 「亀戸」の上値圧力も(2021/9/1)

 

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「プロスタイル札幌 宮の森」(写真は全てリリース、物件ホームページ)

 プロポライフグループのログスイート(LogSuite)とプロスタイル(Prostyle)は9月21日、隈研吾氏が設計を担当した「プロスタイル札幌 宮の森」が3年3か月の工期を経て8月31日に竣工。同時に、棟内モデルルームと現地事務所を設け、販売を開始したと発表した。第一種低層住居専用地域の高級住宅地に立地する全20戸の傾斜地マンションで、坪単価は市内のこれまでの記録を大幅に更新する700万円超ながら、すでに申し込みが5件入ったという。

 物件は、札幌市営地下鉄東西線円山公園駅から車で約7分、札幌市中央区宮の森4 条の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率60%)に位置する敷地面積約4,413㎡、11階建て(建基法では地下2階地上3階建)延べ床面積約4,997㎡(容積対象面積約2,634㎡)の全20戸。専有面積は124.26~176.65㎡(他にテラス26.78~122.75㎡、プライベートガーデン17.58~105.87㎡など)、価格は18,800万~40,000万円(最多価格帯26,000万円台3戸)、坪単価は700万円強。設計・監修は隈研吾建築都市設計事務所。施工は砂子組。

 現地は、「例えるならば渋谷・松濤、横浜・山手町」「札幌の街を一望できる眺望と残された自然の借景を、全ての住戸に取り入れています。特徴である天然木を贅沢に用いたデザインで、自然に溶け込んだ斬新な集合住宅」(リリース)というのが特徴。

 建物は、モノレール型のエレベーターを採用、外気に面する梁・壁の室内側に約55㎜厚、最下階住戸の床下に約35㎜~約50㎜厚の結露発生を抑制する断熱材を施工。主な基本性能・設備仕様は、IHヒーター、食洗機、天然無垢材建具・家具・床仕上げ、デュポン・コーリアン製天板、DURAVIT社製スタルク浴槽、プライベートサウナ、高断熱トリプルガラスなど。

 隈氏は、物件ホームページのインタビューで「今回僕自身で現地に足を運び、非常に魅力的な敷地だと感じました。丘を生かした建築を構想していました。それを実際に成立させるためにはかなりの時間をかけたプロジェクトでしたね(設計期間は3年半、施工期間は3年3か月)。恐らく今後、そう容易く誰もがここまでの建築に取りくむチャンスがあるわけではないと思う」「事業主のProstyle社とLogSuite社は、天然無垢材を必ず採用することにこだわった会社です。これに共鳴した部分が大きくあります」「コンクリートを流す枠に無垢の丸太を使うことは大変稀で、技術としても非常に難しいものです。木を自然な形で使用できるこの丸太の残存型枠は、一般的な都会型のマンションではできない、今回ならではの挑戦でした」などと語っている。

 現地の販売担当者は「数か月で完売できるのではないか」と話していた。

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外壁は北海道産のスギ

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エントランス

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 このマンションは、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」が9月22日に報じるまで全く知らなかった。隈氏が設計したのに驚いたのだが、それ以上に仰天したのは価格だった。最低でも坪単価は500万円を突破するではないか。現在の札幌市内の最高値マンションは、大和ハウス「ONE 札幌ステーションタワー」の415万円のはずだが、それを一気に抜き去った。(抜かれた大和ハウスは福岡・大濠公園の近くでこれまでの市内の最高単価をはるかに超えるマンションを計画していると聞く)

 早速、ログスイートとプロスタイル、物件ホームページで確認した。両社は持ち株会社プロポライフグループの会社で、同社グループは創業15年間で約2,000件のリノベーションマンションの実績があるとしている。しかも全てスケルトンリノベを施し、二重床・二重天井にし、床から建具・家具、天井に至るまで無垢材仕上げにしているとあった。扱う物件も都心部のアッパーミドル・富裕層をターゲットにした億ションが中心だった。

 これに合点がいった。床や建具・家具は天然木がいいのに決まっている。バブル期は最高級のマホガニー、チーク、紫檀・黒檀などが当たり前だったし、数年前まではモリモトが突板仕上げなどで他社との差別化を図って成功していた。分譲戸建てではポラスグループが「木」にこだわっており、構造材の現し、挽板仕上げが多い。

 話を元に戻す。「プロスタイル札幌 宮の森」の物件概要には、建ぺい率40%、容積率60%(田園調布、山手町、芦屋市・六麓荘も40%、80%)とあるではないか。設計に3年半、施工に3年3か月かけたことでも法規制をクリアするのに苦労したであろうことは素人の記者でも分かる。傾斜地であることを巧みに生かし、建基法の地盤面規定を利用して実現したのだろう。

 傾斜地マンションといえば、〝傾斜の魔術師〟と呼ばれた故・井出共治氏設計の「ヒルサイド久末」(清水建設施工)「ヒルサイドテラス平山城址」(同)「ゆりが丘ヴィレッジ」(鹿島建設施工)を思い出す。他では、竹中工務店施工の「テラス寺尾台」もいい物件だった(安藤忠雄氏の「六甲」は見ていない)。「プロスタイル札幌 宮の森」もまた、わが国の代表的な傾斜地マンションとして歴史に刻まれるのだろうか。近ければ飛んでいきたい。以下に隈氏が手掛けたマンションを紹介する。

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隈研吾氏がデザイン 〝グランデ〟首都圏第一号 阪急不「ジオグランデ元麻布」(2017/3/6)

新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)

究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)

「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不レジが見学会(2010/8/20)

驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不・東電不「パークコート神宮前」(2008/11/19)

 

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「レ・ジェイド北海道ボールパーク」

 日本エスコンは9月20日、来春に開業する北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO」に徒歩1分のマンション「レ・ジェイド北海道ボールパーク」全118戸が9月19日に全戸完売したと発表した。2022年2月の分譲開始からわずか8か月だった。

 物件は、北海道日本ハムファイターズの新球場「ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコンフィールド北海道)」を核とする約23,814haの「北海道ボールパークFビレッジ」プロジェクトの一角にあり、JR千歳線北広島駅から車で約5分・徒歩22分、北海道北広島市共栄の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する14階建て全118戸。専有面積は43.43~137.55㎡。価格は3,500万円台~1.5億円台。竣工予定は2023年2月下旬。設計・監理は浅井謙建築研究所、施工は中山組。販売代理はライズパートナーズ。

 商品企画は、暖炉を囲んで過ごせる憩いの場「ウォームリビング」や、本格的なキッチンを備えた「クラブハウス」、北海道の原生林を見渡せる「屋上共用テラス」など共用部の充実を図り、専有部は、セカンドハウスやワーケーションなど様々なライフスタイルに合わせて選択できる20タイプを用意。バルコニーの隣にサンルーム「Fテラス」を設けた。購入者は引渡しから10年間利用できる球場への入場フリーパス付き。

 同社は人気の要因を、①新球場から約80mの希少立地②物件周辺の「沢エリア」が広がり、BBQやキャンプ・グランピングといったアクティビティが充実③最寄りのJR北広島駅は、新千歳空港駅へ電車で約21分、札幌駅へ電車で約17分などが評価されたとしている。

 購入者の属性は、居住地は6割が道内、4割が道外。年齢は50代が4割、40代、60代が各2割。日ハムファンを中心にスポーツ好きの人が多いという。

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 話は聞いていたが、凄いの一言だ。ハウスメーカーは逆だが、首都圏に進出し成功した大阪発祥のデベロッパーは少ないはずだが、平成27年分譲の「レ・ジェイド世田谷 砧」(25戸)を取材し、28~29年の「若松町」「渋谷富ヶ谷」と30年の中部電力との資本提携あたりで、何かをしでかすのではないかという予感はあった。

 そして、2020年1月、北海道日本ハムファイターズの新球場のネーミングライツ(命名権)を取得したとき、予感は確信に変わった。他の球団のように単なるCM看板にとどまらず、不動産事業と抱き合わせであるはずだと思った。その後の経緯は省略するが、その通りになった。

 昨年分譲し、早期完売した「パーク レ・ジェイド白金レジデンス」(55戸)は三菱地所レジデンスとのJVだが、メインは同社だ。大手デベロッパーを従えさすことができる中堅デベロッパーは同社のほかはモリモトくらいだ。

シニア層もターゲット いわき駅前の免震再開発 フージャースコーポ・日本エスコン(2022/9/17)

坪235万円でも7割近い144戸成約100㎡超58戸も人気 日本エスコン「つくば」(2021/4/24)

高層ZEH-M プラン秀逸 日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」(2020/2/1)

3帖大の「Fテラス」ヒット 日本エスコン「豊田」 坪236万円も割安(2019/11/8)

全戸にホワイエ(屋内廊下)土地の価値を最大限引き出す日本エスコン「渋谷富ヶ谷」(2017/4/24)

ライトコート付きのプラン秀 日本エスコン 首都圏初の〝グラン〟「若松町」(2016/11/4)


 

 

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 大京は9月20日、環境省の「令和4年度 集合住宅の省CO2化促進事業」のうち「中高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に「(仮称)盛岡菜園プロジェクト」(ZEH-M Oriented)、「(仮称)琴似1条プロジェクト」(同)、「(仮称)ライオンズ南塚口町7丁目」(ZEH-M Ready)の3物件が採択されたと発表した。

 この結果、オリックスグループの大京と穴吹工務店が「経済産業省 高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」と「環境省 中高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に採択された累計採択数は31物件になった。

 両社は、開発する全ての新築分譲マンションで原則「ZEH-M Oriented」基準を満たす仕様で推進するとしている。

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 これまで環境省の「中高層ZEH-M」は31物件、経産省の「高層ZEH-M」は33物件、合計64物件が採択されているが、うちオリックスグループは半分近くを占めている。天晴れ。

 大京は、マンションの商品企画もそうだが、「環境共生」「ユニバーサルデザイン」でも業界をリードしてきた。なのに、最近は大手デベロッパー6社の後塵を拝している。戸数だけではないが、ブランディング、情報発信力に課題があるのではないか。

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「ミッドタワーいわき」

フージャースコーポレーション(事業比率51%)と日本エスコン(同49%)は915日、常磐線いわき駅前の商業・住宅一体の「ミッドタワーいわき」のマンションパビリオンが完成したのに伴うメディア向け見学会を開催した。免震の21階建て全216戸で、うち3スパン55戸はシニア層をターゲットにした「シニアバリアフリー」住戸としているのが特徴だ。フージャースコーポにとっては市内で4棟目の分譲で、両社のJVは今回が初。

物件は、JR常磐線・磐越東線いわき駅から徒歩3分、いわき市平並木の杜1番の商業地域に位置する敷地面積約5,609㎡、免震21階建て全216戸(権利者住戸10戸含む)。専有面積は62.89131.57㎡、価格は未定。駐車場は自走式222台。竣工予定は20242月下旬。設計・監理は熊谷組、UG都市建築、施工は熊谷組・加地和組・堀江工業特定建設工事共同企業体。販売開始は10下旬~11月上旬の予定。

プロジェクトは、平成263月に「いわき市並木通り地区復興市街地再開発ビル協議会」が設立されてから、平成303月の都市計画決定、フージャースコーポの事業協力者選定などを経て、20222月に着工。市の中心市街地活性化基本計画の一つ。

名称は「並木の杜シティ」で、全体敷地面積約1.1ha4階建て商業棟の1街区とマンション棟、駐車場棟からなる2街区で構成。「並木の杜」としているように、前面道路の国道の歩道部分幅員5mと再開発事業地内の幅員5mを合わせた幅員10mの部分は2段植栽のプロムナード(歩道)として整備するのも特徴の一つ。

主な基本性能・設備仕様は免震構造、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機(プレミアム住戸のみ)などで、共用施設にはクラブラウンジ、マルチスタジオなど。シニア層をターゲットにした「シニアバリアフリー」住戸はベンチ付き玄関、全居室・浴室引き戸ドア、メーターモジュール廊下など。

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模型

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ベンチ付き玄関(左)と2枚引き戸の浴室

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現地(右は「ホテルB4Tいわき」)

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 いわき駅に降りてすぐ、他の地方都市と同様、街の活性化が急務であることが分かった。来年1月開業予定の駅直結のJR東日本のスマートホテル「ホテルB4Tいわき」と駅前の再開発商業ビル「ラトブ」は目立つのだが、その他の建物は古く、駅前通りのケヤキ並木は美しいのだが、どこか暗い影を落としているように感じた。人通りも少なかった。

マンション取材を終え、一杯飲んでから帰ろうと思い、担当者に飲食街を尋ねた。マンションパビリオンのすぐ裏手がそうだと教えられたので足を踏み入れた。車がやっと通れるような狭い路地裏には大小の古い雑居ビルに飲食店・歓楽施設が櫛比していた。その佇まいは隆盛を極めた「常磐炭鉱」の昭和の時代にタイムスリップしたようで、時間が午後4時過ぎだったためもあるのだろうが、営業している店はほとんどなく、廃墟の町に迷い込んだような錯覚も覚えると同時に、おどろおどろしい光景に足がすくんだ。

そんな記者を見下すように、3匹の野良猫が毛を逆立て〝お前が来るところではない〟と殺意のこもったまなざしで睨めつけてきた。馬鹿にされまいと小生も睨み返したら、そのうちの一匹は記者の剣幕に怖気ついたのか脱糞(マーキングか)した。

猫とそんなやり取りをしていても埒があかないので、その飲食街と目と鼻の先の「ラトブ」1階のカフェ&バーでワインを飲んだ。安くておいしかった。そろそろ帰ろうとしたら、目の前の対面の店に「営業中」の電灯がついた。午後5時過ぎだったか。落ちぶれ果てても小生は記者だ。この目で疲弊する飲み屋の実態を探ろうと、店の前のベンチに腰かけていた女子高生3人組に勧められるままに3店並んだ真ん中の「わら焼 湊」に入った。

カツオなど新鮮な魚介類を本物の藁で焼いて食べさせる店だった。店内に入った途端、L字型の無垢の白木のカウンターが目に飛び込んできた。幅(奥行き)にして50cm、長さにして3m+6m9mはあった。樹種を聞いたらイチョウだった。値段は百数十万すると思ったが、「神社の御神木だったのをただで譲り受けたもの」とのことだった。

高級材の、しかも御神木だった貴重なイチョウのカウンターで酒が飲める僥倖に記者は舞い上がり、早速お勧めの酒を注文した。宮城県栗原市の一ノ蔵酒造の「祥雲金龍」だった。初めて味わう酒だった。甘さが抑えられている分だけ旨みと辛みが口腔に広がった。肴もおいしい。

会計を済ませるころには相当酔っぱらっていた。東京に戻るのは夜中になりそうだったので帰るのを断念、ホテルに泊まった。

翌日は「ラトブ」の45階にある市の図書館に立ち寄った。三猿文庫・愚庵文庫など背表紙を見ただけで読みたくなるような歴史的な書籍・文献がたくさんある。同市の所蔵図書の多さは東北一だそうだ。

飲まずに東京に戻っていたら、いわき市の悪いイメージしか残らなかったはずだ。酒に十の徳あり。(今年5月に行われた、フランスの日本酒コンクール「Kura Master 2022」純米酒部門で「祥雲金龍 純米吟醸」が部門最高賞「審査員賞」を受賞したとある)

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いわき駅近くの飲食・歓楽街の昼と夜

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〝お前は誰だ〟〝大きなお世話だ〟(脱糞したのは手前の猫)

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イチョウ材のカウンター(左)と生カキのわら焼き・「祥雲金龍」

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 「シニアバリアフリー」は成功するとみた。これはどこのエリアのマンションにも通用するはずだ。肝心の坪単価だが、担当者から「書かないで頂きたい」と言われたので書かない。今回で4棟目の分譲というフージャースコーポは「年間100戸は厳しい」地域の需給関係を知悉しているはずで、高値追求しないとみた。市の人口動態などのデータも強気になれない数値を示している。

 同市は昭和41年、県が主導して行った広域市町村合併によって生まれた中核市だ。市域面積1,232k㎡は当時日本一広い市として話題になった。その後、他の地域でも合併が相次いだため、現在は富山市(1,241k㎡)に次いで全国12番目の広さとなっている。

令和49月現在の人口は326,000人。福島県全人口の18.2%を占め、仙台市の1,068,129人(令和49月現在)に次ぐ東北エリア2番目の多さだ。しかし、人口は平成10年の360,661人をピークに減少の一途で、高齢化率も31.5%(令和2年)と30%を超えている。

「並木の杜シティ」が街の再生の起爆剤になるよう願う関係者の気持ちはよく分かる。

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駅前通り

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「ザ・パークハウス グラン 三番町26」

 三菱地所レジデンスは9月13日、都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」(102戸)の8物件目となる「ザ・パークハウス グラン 三番町26」の報道機関向け内覧会を行い、分譲対象78戸のうち半数以上の40戸を第一期として9月17日(土)から販売開始すると発表した。平均坪単価は1,000万円前後となる模様で、バブル崩壊後の同社の分譲マンションとしては最高値となる。

 物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅・市ケ谷駅から徒歩8分、千代田区三番町26番の第二種住居地域・商業地域・第二種文教地区(建ぺい率84%、容積率471%)に位置する敷地面積約1,734.28㎡、17階建て全102戸(募集対象外住戸24戸含む)。専有面積は67.99~237.69㎡、第1期は40戸で、坪単価は平均1,000万円前後となる模様。売主は同社のほか三菱倉庫。竣工予定は2024年11月下旬。施工は東急建設。

 現地は、二松学舎大、大妻女子大、東京家政学院大などのキャンパスがある文教エリアの一角で、四方道路に囲まれた従前オフィスだった土地。敷地西側は桜並木が美しい「大妻通り」に面している。

 事業化に当たっては、地区計画により通常なら14階くらいしか建てられないのを千代田区の総合設計制度を活用することで容積緩和・高さ規制緩和を受け17階建てとし、内廊下方式、全住戸ワイドスパンなどを採用。

 デザインでは、同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」や「ザ・パークハウス五番町」などを手掛けた三菱地所設計 シニアアーキテクト・石井邦彦氏を起用。全16本の列柱とエンタシスのフォルムのほか、低層部の水平ライン部分には自然石、エントランスにはロートアイアンを採用するなど重厚感を演出している。

 敷地北側のカスケードガーデンには「三春滝桜」の子孫木を配し、敷地四方に植栽を施し、「BIO NETINITIATIVE」にも取り組んでいる。

 主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700~3000ミリ、100㎡超ワイドスパン、Miele、SieMatic製の水回り、脱臭機能付き専有部ごみ置き場、タモ材の居室扉・壁・床仕上げ、床大理石張り、全館空調(エアロテック)、洋室ヘリンボーンパネル(有償)、トランクルームなど。

 内覧会で同社執行役員第二販売部長・岡橋志郎氏は、「当社はこれまで番町エリアで14物件846戸を手掛けているが、今回の物件を当社最高水準の〝グラン〟としたのは、豊かな緑と四方道路に囲まれた希少立地を生かすため。総合設計制度を活用し、立体的空間をキーワードに天井高を高くするとか全館空調、専有部ごみ置き場など消費者インサイトに応えられる仕様レベルにした」と語った。

 これまで問い合わせは約2,700件、7月からのモデルルーム来場者は約270件。そのうち約半数は千代田区、港区居住者。在日外国人投資家からの反響もあるという。第1期で販売対象の半分以上の40戸を供給できることから好調に推移していると説明した。

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エントランス

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レジデンスラウンジ

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 同社のこれまでの〝グラン〟シリーズのうち「南青山四丁目」を除く「三番町」「千鳥ヶ淵」「南青山」「南青山高樹町」「麻布仙台坂」「南青山四丁目」「神山町」の6物件を見学している。

 今回の1,000万円前後という坪単価は、これまでの番町エリアの最高値885万円を上回り、同社のバブル後の分譲マンション単価としても高値更新するというのは、価格の上昇からして〝さもありなん〟と納得した。

 基本性能・設備仕様レベルもとくに驚くようなことはなかったが、全館空調(エアロテック)をグランシリーズでは初めて採用(未確認だが)しているのと、建物デザイン・住戸プランがとてもよくできているのが印象に残った。建物は、四方道路に囲まれた長方形の敷地の利点を最大限に生かしたシンメトリックな形状がとても美しい。〝美しいもののみが機能的である〟とはよく言ったものだ。「千鳥ヶ淵」も素晴らしかったが、石井氏の最高傑作となるのだろう。

 住戸プランもしかり。3~14階までは1フロア7戸。タイプは60㎡、70㎡、100㎡(2スパン)、110㎡(2スパン)、15・16階が4戸。タイプは120㎡、170㎡(2スパン)、200㎡、最上階の17階が3戸。タイプは200㎡、230㎡、240㎡。スパンは60㎡が10,515ミリ、100㎡が14,855ミリ、110㎡が19,482ミリ、200㎡が25,840ミリなどだ。

 この前見学した野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」も60㎡台で8,000ミリ以上というワイドスパンが人気だと聞いたが、こちらは比較にならないほど長い。全ての居室が窓側に面しており、廊下幅は1,200ミリ以上ある。逆梁とし全て腰窓のカウンター付きとしているのもいい。

 専有部に約1㎡のごみ置き場を設けているのにはびっくりした。専有部のごみ置き場は高級物件には採用事例があるようだが、記者は初めて見た(共用部の外廊下にごみ置き場を設けた事例は取材したことがある)。操作一つでマンション管理センターに通知でき、玄関サイドに設けられたドアから掃除担当者がごみを運び出すのだという。

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専有部ごみ置き場

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手前からSIC、SK付きUT(この左側にごみ置き場がある)、洗濯機置き場

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玄関サイドのごみ置き場出入口(右が玄関ドア) 

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110タイプ

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 余計なことかもしれないが、書くべきだと判断して書く。どこのメディアの方か分からなかったが、200㎡のモデルルームを見て「これって1億円超えるの? 」と担当者に質問した。小生は唖然とした。事前の説明会で同社は坪単価は1,000万円前後と話した。200㎡だから70坪近い。1,000万円×70坪=7億円(モデルルーム住戸は中層階想定で8億円台とか)というのは子どもだって計算できるではないか。この方だったか他の方だったか、「来場者270件」の意味するもの、「全館空調」が何だか分からない記者もいた。

 つまり、「猫に小判」「豚に真珠」だ。同社は詳細にわたって説明したのに、聞いている記者はマンションのことなど全然わかっておらず、坪単価、全館空調、ワイドスパン、総合設計なども何のことやらちんぷんかんぷんということだ。この素人記者の方は何を書くのだろうか。読者はその記者が書く記事から何を読み取るのか。

 そこで、同社をはじめデベロッパーにお願いだ。これまでも何度も書いてきたが、この種の内覧会をどんどん実施して、よく分かっていない記者向けにはマンションのイロハから説明する機会を設けていただきたい。必死で話しても相手に伝わらない、聞く側はなにを話しているのか理解できない…こんな不幸なことはない。

 一つ書き忘れた。同社の物件の背中合わせの隣接地約2,670㎡では三井不動産レジデンシャルが18階建て共同住宅を2022年11月に着工する旨の標識が掛かっていた。おそらく分譲マンションだろう。分譲時期は異なりそうなので競合はしないだろうが、三井不動産レジデンシャルだって負けていられない。坪単価は1,000万円超となるのは必至だ(階高だけなら三菱地所レジデンスが勝つのか)。

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モデルルーム リビング

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モデルルーム 洗面室

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モデルルーム 主寝室

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現地

三菱地所レジ マンション単価もバブル後最高値更新 「神山町」は坪800万円台後半 (2021/9/15)

三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン麻布仙台坂」は坪800万円(2016/7/15)

三菱地所レジ 「ザ・パークハウス グラン」第4弾「南青山」は坪800万円弱(2015/6/4)

皇居が一望できる唯一無二の地所レジ  〝グラン〟第3弾「千鳥ケ淵」(2013/8/5)

三菱地所レジ〝グラン〟第2号「ザ・パークハウス グラン三番町」(2013/5/24)

三菱地所レジ 都心のフラッグシップ 「ザ・パークハウス グラン」発売(2013/2/18)

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

カテゴリ: 2022年度

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月12日、2022年8月度の不動産流通市場の動向をまとめ発表。

 首都圏中古マンションの成約件数は前年同月比10.3%減の2,346件、成約坪単価は同13.7%上昇の222.0万円で、20年5月から28か月連続、成約価格は同13.4%上昇の4,280万円で、20年6月から27か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。専有面積は同0.2%縮小の63.60㎡で、21年6月から15か月連続で前年同月を下回った。8月末の在庫件数は38,344件で、前年同月比10.8%増となり、7か月連続、在庫坪単価は241.7万円で、18年2月から55か月連続でそれぞれ前年同月を上回った。

 中古戸建て住宅の成約件数は同16.2%減の877件、成約価格は同10.3%上昇の3,779万円で、20年11月から22か月連続で前年同月比を上回った。

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 首都圏中古マンションの今年1~8月までの累計成約件数は23,735件となり、前年同期の26,899件より11.8%減少している。しかし、成約単価、成約価格、在庫価格、在庫数などは上昇・増加を続けている。

 生活必需品など一般的な商品であればありえないが、新築マンションの供給が減少する一方で、価格も上昇の一途をたどっていることと密接な関係がある。2~3年前まで、山手線沿線の新築物件は一部を除き坪400万円台で推移していたのが、いまでは軒並み500万円を突破してきている。新築と連動する中古も、よほどの住宅取得環境が変化しない限り、価格の上昇は続きそうだ。

 ただ、価格・単価の調整弁的な働きをする専有面積は15か月連続縮小しており、63.60㎡というのはファミリー層にとっては譲れない面積ではないか。物件情報サイトで「東京23区」「~4,500万円未満」「~70㎡未満」「2K~3LDK」で検索したら、23区全体の約23,000件のうちヒットしたのは26件しかなく、しかも、具体的な物件は表示されず問い合わせ先のみだった。

 新築に置き換えてみると、坪単価222万円以下というエリアは、都内ならば舎人ライナー、八王子以遠、神奈川県は平塚以遠、横浜線・相模原線の一部、小田急線厚木以遠、埼玉県は大宮以遠、所沢以遠、東武野田線、千葉県は千葉ニュータウン線の一部、総武線千葉以遠、内房線、外房線、京葉線の一部か。

中古マンション 成約価格は2ケタ上昇7月の不動産流通市場 東日本レインズ(2022/8/12)

カテゴリ: 2022年度

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「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」

 三菱地所レジデンス、大成建設、東急、首都圏不燃建築公社、大成有楽不動産の5社は9月9日、戸越公園駅から徒歩1分(50m)の再開発マンション「ザ・パークハウス 戸越公園タワー」を同日から販売開始したと発表した。

 物件は、東急大井町線戸越公園駅から徒歩1分、品川区戸越5丁目に位置する23階建て全241戸(募集対象外住戸70戸含む)。専有面積は30.60~120.45㎡。第一期(65戸)の価格は4,480万~24,800万円。竣工予定は2024年2月下旬。施工は大成建設。

 地域の賑わい・魅力あるまちづくりを目指す「戸越公園駅周辺まちづくりビジョン」内の市街地再開発事業「戸越五丁目19番地区第一種市街地再開発事業」で、駅前のランドマークとなる商・住複合マンション。大成建設による外観デザインと制振構法「TASS-Flex FRAME」、乃村工藝社デザインチームFOO監修による共用空間デザイン「EDIT STYLE PLAN」をそれぞれ採用する。

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「EDIT YOUR LIFE」

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 乃村工藝社デザインチームFOOに注目している。同チームは2019年にリニューアルオープンした東京會舘新本舘のレストランなどを手掛けているが、それより1年前の2018年、東京建物・三菱地所レジデンス「Brillia 一番町」を取材した際、販売事務所の企画を乃村工藝社が初めて手掛けたことを聞き、「(同社が)本格的にこの事業に乗り出したら販売事務所のあり方そのものを一変させるかもしれない」と書いた。

 今回の「EDIT YOUR LIFE」が同チームによるものかどうかは分からないが、有償のメニュープランを12タイプ用意する。コンパクト住戸は、「お気に入りに囲まれる至高のシングルライフ」をテーマにできるだけ仕切りをなくし、それぞれの空間を行き来することや、住まい全体をより有意義に使えるようにしているという。例えば、例えば55Nタイプではキッチンを90°回転させたり、居室と居室の間に「マルチファンクションエリア」を設けたりする。

 これは、実際に見てみないとどのようなものか分からない。取材を申し込むことにする。坪単価はいくらになるのか。野村不動産「目黒」や旭化成不動産レジデンス「五反田」よりはかなり安いはずで、東京建物「池袋」と同じ坪520~530万円くらいではないか。第一期分譲は分譲対象の半分だ。確かな手ごたえを感じているのか。

 「戸越公園」といえば「戸越銀座」も近い。同じ駅1分の「十条銀座」で知られる東急不動産「十条」との競合はあるのかないのか。「銀座戦争」であり、北区と南の大田区の「南北戦争」と見ることもできる。周辺は中低層の街並みが広がっているという意味でもよく似ているし、交通便だってどこを起点にするかだが、東京駅まで双方とも約30分だ。どちらが勝つのか負けるのか。相乗効果となればめでたしめでたしだが…。部外者としては興味津々だ。

坪750万円でも好調 「Brillia」最高峰 東建・地所レジ「一番町」サロンに乃村工藝(2018/4/18

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「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」

大和ハウス工業は99日、秋田市の旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で開発中の分譲マンション「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」の概要が決定したと発表した。917日(土)にマンションギャラリーをオープンし、11月下旬から販売開始する。

物件は、JR秋田駅から徒歩15分、秋田市中通3丁目に位置する敷地面積約5,209㎡、14階建て全147戸。専有面積は64.6686.77㎡、予定価格帯は2,900万円台~5,500万円台。設計・監理は創建設計。施工は錢高組。竣工予定は20247月。

現地は、1965年創業の老舗ビジネスホテル・旧ホテルハワイ・ラグーン跡地で、同社初の秋田県での分譲マンションで、県初の「ZEH-M Oriented」仕様とし、「BELS」による第三者認証で最高等級を取得。住戸内の一次エネルギー消費量を住棟全体で 24%削減する。

また、東北初となる「TSUTAYA」プロデュースの「ブック&コワーキングラウンジ」を設置。「TSUTAYA」セレクトによる書籍約500冊を用意、テレワークやWeb会議も可能な空間とする。「パーティー&キッチンスタジオ」「ゲストルーム」も設ける。

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知名度は全国区の同社による秋田県初の開発マンション&県内初の「ZEH-M」&県内初「TSUTAYA」がどれほどの威力があるか分からないのだが、概要から坪単価は200万円を切り、坪180万円くらいではないか。

これは高いのか安いのかさっぱり分からないが、この夏見学した人口約42万人の富山市の中心市街地で分譲された穴吹工務店「サーパス富山三番町レジデンス」は坪180190万円だった。秋田市の人口は約30万人、中心市街地の老舗ホテルの跡地開発などをと比べるとよく似ている。地方都市の坪単価は坪200万円前後が相場か。

このところ、首都圏をはじめ三大都市圏でのマンション着工が減少し、地方圏で増えている。7月住宅着工でもマンションは前年同月比で首都圏は12.8%、中部圏は39.4%、近畿圏は22.0%それぞれ大幅に減少した一方で、その他の地域は25.2%増加した。令和417月でも、その他の地方の着工戸数は15,564戸で、首都圏の48,014戸には大きく引き離されているが、中部圏の5,269戸の3倍近く、近畿圏の13,596戸を上回っている。

 ハウスメーカーもデベロッパーも地価・建築費の上昇で、価格は中堅所得層の取得能力を超えてきており、そのリスクを回避し、まだまだ低価格で供給できる地方圏に触手を伸ばし、あるいは軸足を移しつつあるような気がする。ZEHは地方のほうが先行しているようだ。

弘前市で〝21〟エレベーター 一頭地を抜くプラン 第1期は一挙60戸 タカラL東北(2022/9/5

戸建てに押され縮小するマンション市場/九州勢の着工 軒並み上位 近畿圏抜く(2022/8/7

ZEH取得件数断トツ オリックスGr 穴吹工務店「富山」で同社初のZEHM2022/7/31

単価の安さに驚愕 立地よく設備仕様レベル高い 駅圏最大級の野村不他「金沢」287戸(2022/7/30

福岡の最高峰 第1100戸 圧倒的な人気 タカラレーベン50周年「福岡天神」(2022/3/15

北海道最高峰は坪415万円 大和ハウス他「ONE 札幌ステーションタワー」始動(2022/2/8

 

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