ポラスグループ 初のコンパクトマンション「森下」 エリア最高値の369万円
「ルピアシェリール森下」
ポラスグループ中央住宅は10月17日、同社初のコンパクトマンション「ルピアシェリール森下」のメディア向け現地見学会を行った。都営新宿線菊川駅から徒歩2分の全39戸で、坪単価は369万円。今夏から完成販売を開始しており、これまでに16戸が成約済み。
物件は、都営新宿線菊川駅から徒歩2分、江東区森下4丁目に位置する14階建て全39戸(分譲38戸・店舗1戸)。現在分譲中の住戸(8戸)の価格は3,820万~4,160万円、専有面積は34.65~36.21㎡、坪単価は369万円。入居開始は2019年9月下旬。売主は同社のほかアートランド。施工は川村工営。
現地は、新大橋通り(敷地北側)に面した商業地域に立地。住戸は1フロア3戸構成で全戸南向き。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、防音サッシ、食器棚、ちょい置きスペース・レール、かくれんBOX、ランドリーレール、アール巾木など。
発表会に臨んだ同社取締役事業部長・金児正治氏は、「7年前に事業の柱の一つに育てようと(事業部長に)就任した当時のマンション事業の売上高は30億円だったが、前期は100億円、今期は150億円超になる見込み。コンパクトは初だが、第2弾の『南浦和』36戸も予定に入っている。今後年間2棟くらいは供給したい。スマートシニア、複合も手掛け、近い将来には売上200億円を目指す」と語った。
商品企画を担当した同社マインドスクェア事業部マンションディビジョンの小田夏帆氏は、「〝自分らしく暮らしたい〟働く女性に寄り添った女性目線の女性チームによる商品を実現した」と話した。
キッチン(左)とバックカウンター・吊戸棚
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坪単価は、ファミリータイプも含めて恐らく菊川駅圏の最高値だろうが、こんなものだろうと思う。
小田氏が話したように、女性目線の商品企画であることは3タイプのモデルルームを見て分かった。キッチンカウンターは幅1800ミリ確保しており、一人暮らしなら十分の広さだろうし、寝室にランドリーレールを設置し、ちょい置きスペース・レール、かくれんBOX、玄関ドア、シューズインクロークなどのドア把手はプッシュプルで、引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付きなどは同社のファミリー向けの〝おはこ〟でもある。
金児氏は今後の展開について「戸建て分譲の商圏内」とも話したのも正解だと思う。都心部でのコンパクトマンションの相場は400万円どころか500万円台に突入している。10坪(33㎡)で5,000万円だ。一般的な単身者の取得能力をはるかに超えている。そんなエリアで供給するのはリスクが大きすぎる。
同社の戸建て分譲の商圏はコンパクトマンションなら3,000万円台で供給できる。背伸びはしないほうがいいと思うが、伸びしろはあるとみた。
リビング
希少立地で人気呼ぶか 大成有楽不動産「中野」駅圏最高値での販売なるか
「グランツオーベル中野」完成予想図
大成有楽不動産が12月に分譲する「グランツオーベル中野」を見学した。「中野駅圏徒歩5分では6年ぶり、駅北口徒歩5分圏内では18年振り」(同社)ということから1,000件を超える問い合わせがある。モデルルームの出来も出色だ。
物件は、JR中央・総武線、東京メトロ東西線中野駅から徒歩5分、中野区中野5丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率160%)に位置する敷地面積約2,227㎡、地下1階地上5階建て全62戸。専有面積は53.83~79.87㎡、価格は未定だが現在坪単価465万円程度で価格検証中。竣工予定は2020年9月下旬。設計・監理はアーバンライフ建築事務所、施工は鍜治田工務店。デザイン総合監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン(石倉雅俊氏)。販売は三井不動産レジデンシャルと大成有楽不動産販売。
現地は、駅北口の低・中層住宅、ビルなどが建ち並ぶ一角。高さ規制15mエリア。従前敷地は銀行の寮跡地。3カ所に接道。住戸は南向きと東向き・西向きがほぼ半々。
共用部には、テレビ会議などにも利用できるデスク付の個室も備えた「ワークラウンジ」を設置。キャッシュレス決済できる最新の無人コンビニや複合機などを導入する予定。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディスポーザー、食洗機、カップボード、フィオレストーン天板、ハンズグローエ水栓、室内物干し金物、ミストサウナ、オリジナル収納など。
同社マンション事業本部マンション事業部事業室主任・堀内文普氏は、「中野駅圏徒歩5分圏では6年ぶり、駅北口徒歩5分圏内では18年振りということでも分かるように、マンションが建つような土地はほとんどなくなっている。一方で、東西線の始発駅なので大手町にも近く〝中野ファン〟も多い。坪単価は中野駅圏最高値となる可能性があるが手応えは感じている」と話している。
エントランスアプローチ
ワークラウンジ
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デザイン監修は多くの人気マンションを手掛けている石倉氏。高さ規制15mの第一種中高層住居専用地域の三方接道という敷地形状を生かし、幅7m、奥行き20m以上もあるエントランスを設置しているのが大きな特徴だ。
インテリアデザインにコスモスモアを起用した約79㎡のモデルルームが出色だ。家具・調度品、カラーリングなどは富裕層の心を捉えるのは間違いない。
記者は、石張りの玄関を入ってすぐに約5畳大の多目的に利用できる〝SOHOルーム〟の提案に惚れこんだ。この種の提案は3年前、コスモスイニシア「渋谷笹塚」でも見ているが、会社だけでなく自宅でも仕事する人はこれからどんどん増えるはずだ。
リビングには瘤付き無垢材のテーブルが置かれていた。一流料亭でもあるかないか。このようなテーブルで食事をし、酒を飲みたい。
デザイナーの方は女性のようだが、今後が楽しみだ。どこかでまたモデルルームを見ることができるかもしれない。
LDK
洋室
驚嘆 シングル向けコンパクトにポルシェのシェアサービス フィード「舎人」

左からCHAMPAGNE CARBON副社長ジャン・パティスト氏、中村氏、ポルシェジャパン コーポレートビジネスディベロップメント担当部長 アンドレ・ブランド氏
中村社長
シングル向けコンパクトマンションに特化しているフィードは10月10日、日本初のポルシェカーシェアリングサービスを近く分譲する「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」に採用すると発表した。モータースポーツF1公式ジャパン「CARBON(カーボン)」の日本代理店マーカムインターナショナルとコラボして実現したもので、記者発表後のレセプションには国会議員の下地幹郎氏、馬淵澄夫氏、前国会議員の松野頼久氏、タレントのヒロミ氏など数百人の関係者が出席、会を盛り上げた。メディア関係者は普通のマンション発表会の2~4倍の約90人が駆け付けた。
「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」は、日暮里・舎人ライナー舎人駅から徒歩12分の足立区入谷2丁目に位置する9階建て全55戸。専有面積は37.72~49.09㎡、価格は未定だが、坪単価は260~270万円になる模様、竣工予定は2019年12月末。施工はリンク・トラスト。年明けから竣工販売する予定。
マンションのザイナーには虎ノ門ヒルズのアトリウムなど世界的な建築物のデザインを数多く手掛け、フィードの社外取締役も務める谷山直義氏が担当する。
若年層を中心に車離れが進んではいるが、レンタカーやシェアサービスを利用する人はそれほど減っておらず、車は「所有から共有」の時代に変化していることに着目、マンション敷地内に新車の「ポルシェ」を含む2台を居住者限定の定額制でレンタルする。月額1~2万円を想定している。
「CARBON(カーボン)」は150年の歴史があるシャンパンブランドで、F1の技術を象徴する「カーボン・ファイバー」をボトルに使用しており、2017以降はF1グランプリに輝いた勝者を称えるセレモニーに使用されている。
記者発表会でフィード・中村建治社長は、「当社は2012年からシングル層に特化したコンパクトマンション事業に参入し、これまで1,300戸を販売。業績向上に寄与している。ターゲットとする年収500~700万円の25~39歳のシングル層向けの同じようなマンションを分譲しているのは他に1社くらい。今回のプロジェクトは、2015年にコンセプトブランディングプロジェクト第一弾としてヘネシーとコラボしたのに続く第二弾。〝憧れ〟のポルシェをリーズナブルな料金で乗れることを実現した」と話した。
記者発表会場(ポルシェセンター青山で)
その後はレセプション会場に
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記者は約40年間、年間平均で150件くらいのマンションを取材している。物件概要を見ただけで坪単価を言い当てる自信がある。外れても1~2割くらいだ。
発表会で説明を聞きながらいつものように単価を予想した。〝土地がただでも坪150万円いかは難しいから坪190万円くらい〟とはじいた。
質疑応答でも①マンションの坪単価とポルシェ、(入居者に入居祝いとして同社がプレゼントする2本の)CARBONはそれぞれいくらか-を質問した。中村社長は「価格は未定だが3,000万円台から」と答えた。他の関係者は、ポルシェはおおよそ800万円、CARBONは4.8万円と8.8万円と話した。
車とシャンパンの値段は分からないが、この予定単価には心臓が飛び出すほど驚いた。よく売れ記事にもした舎人ライナー・高野(こうや)駅前の物件の坪単価は153万円だった。同社のマンションはそれより100万円は高くなりそうだ。
〝市場を超越〟した価格かと思ったら、そうではないことも分かった。同社はこれまでつくばEX六町駅から徒歩12分で坪単価280万円の物件を早期完売したというではないか。記者の観る目が狂ってきたか、世の中が狂っているのかどちらかだが、同社がシングルの心を捉えたのかもしれない。
ある30代の独身男性は「ポルシェに1カ月1~2万円で乗れるのは魅力。そのマンション買うんじゃない」と話した。
ポルシェ
「ミルナーヒルズ舎人C’s COLLECTION」
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驚いたのは単価だけではない。レセプション会場には目が点になり、息が止まる…ではなく息を吞み、詰まらせそうな美しい女性集団が大挙参加し、会場を華やかなムードに一変させた。こんな不動産関係のレセプションは初めて体験した。
会場には中村社長の友人という国会議員の下地幹郎氏、馬淵澄夫氏、前国会議員の松野頼久氏、タレントのヒロミ氏が顔を見せ、下地氏、馬淵氏、ヒロミ氏は登壇して祝意を述べたのだが、記者は美しい女性しか興味がなく、肌を露出しすぎの人を避け何人かに声を掛けて写真を撮り、WEBに載せることの了解を得たので以下に紹介する。
「地元の沖縄でもこんなマンション作って」下地氏(左)と「フィードの顧問をしていました」馬淵氏
ヒロミ氏(何を話したのかよく分からなかった)
銀座のクラブのママ(マンションの購入の相談だったらいつでも乗ります。記者はうそをつかないのが取りえ)
このような美しい体形の女性がたくさん参加していた
中央の方は新極真会代表理事の緑健児氏
「CARBON(カーボン)」を提供している「夜想曲」の代表取締役社長・高橋力矢氏(左)と同伴の方たち
小田急不他「橋本」 坪単価は150万円か 敷地の3分の1が里山 自然派の心捉えるか
「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」完成予想図
小田急不動産は10月7日、多摩ニュータウンの西端に位置する町田市の大規模マンション「エガオガオカ プロジェクト(リーフィアレジデンス橋本)」の記者内覧会を行った。橋本駅からバス3分徒歩3分の全425戸で、坪単価は都内ではまずない150万円くらいに落ち着きそうだ。
物件は、JR横浜線・京王相模原線橋本駅 徒歩19分(バス3分、徒歩3分)、町田市小山ヶ丘六丁目に位置する敷地面積約21,850㎡の12階建て全425戸。従前は小田急電鉄の所有地。専有面積は68.44~95.37㎡、第一期(戸数未定)の予定価格は2,500万円台~4,800万円台(最多価格帯3,300万円台)。竣工予定は2021年4月 。設計・施工は長谷工コーポレーション。売主は同社(事業比率50%)のほか積水ハウス(同40%)、神鋼不動産(同10%)。
現地は、同じ並びには数物件のマンションが建っており、道路を挟んだ対面は大型商業施設MrMax。徒歩圏には27の大小の公園・緑地があり、多摩美術大学にも近接。
建物はL字型で、南向きと東向きの2棟構成。住戸プランは80㎡台が中心で、主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2400~2600ミリ、バルコニーの奥行き1800~2500ミリ。敷地の約3分の1を占めるABINC認証を受けた「さとやまの森」を通じて様々なコミュニティ支援の取り組みを行う。
販売開始は12月。問い合わせは約700件。
敷地内の里山(模型)
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坪150万円くらいなら売れるかもしれないが、そんなに安くできないだろう〟というのが事前の記者の予想だ。結果は微妙。坪150万円を超えるのか超えないのか。記者も分からない。
ただ、従前の土地所有者は小田急電鉄であることも分かるように、坪150万円という〝破格〟の値段でも同社は利益を確保できるということであり、消費者がその価格をどう評価するかだ。
売れるかどうかは価格もさることながら、カギは「さとやまの森」の魅力をアピールできるかどうかだろうと思う。様々な取り組みの価値を訴え切れるかどうか。
似たような事例は「フォートンヒルズ」がある。ここは信じられないような売れ行きを示した。
現地(背後は敷地内の里山)
藤和不動産の記念碑的マンション「フォートンヒルズ」が完成(2006/6/19)
伊藤忠ハウジング アセットソリューション部 初の大型案件「上十条」販売開始
「フュージョナル上十条」
伊藤忠ハウジングの買い取り再販マンション「フュージョナル上十条」を見学した。同社がアセットソリューション部を昨年4月立ち上げてから初めて手掛ける大型案件で、デベロッパーから2LDK17戸を買い取り、自社で分譲するもの。50㎡台の南向き2LDKで8mスパンが特徴。
物件は、JR埼京線十条駅から徒歩9分、北区上十条四丁目に位置する11階建て全64戸で、同社が分譲するのはうち17戸。専有面積は56.20~56.43㎡(他の住戸はワンルーム)、予定価格は3,900万円台~5,000万円台、坪単価は270万円になる模様。建物は2019年9月完成済。施工は合田工務店。事業主は日本ワークス。販売開始は10月12日から。
建物は、十条仲通りを抜けた幹線道路に面しており、同社が分譲する全住戸は南南西向きで、スパンは約8m。前方には中低層の住宅街が広がっている。
販売担当の塚本泰世氏は、「眺望がよく、手応えは十分」と自信を見せていた。
同社アセットソリューション部は昨年4月立ち上げられた新設部署で、マンション営業部長だった杉山準氏(49)が部長に就任した。
杉山氏は同社野球部の監督も務めており、今年の第31回RBA野球大会でもチームを6年ぶりにベスト8に導いた。10月2日の試合でも貴重な追加点を奪う見事なライト前安打を放った。通算打撃成績は9-4、打率.444。
現地
最寄り十条駅の銀座通り
大和地所レジ 今期計上900戸弱の契約進捗率は95% 「東戸塚」も販売好調
「ヴェレーナグラン東戸塚」完成予想図
大和地所レジデンスの販売好調マンション「ヴェレーナグラン東戸塚」を見学した。東戸塚駅の東口圏の100戸以上では16年ぶりの供給で、5月中旬の販売開始からこれまでに約6割が契約済みという。
物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン東戸塚駅から徒歩10分、横浜市戸塚区品濃町に位置する地下2階地上8階建て全110戸。先着順で分譲中の住戸(18戸)の専有面積は66.60〜77.46㎡、価格は4,898万〜5,998万円(最多価格帯5,300万円台)。坪単価は250万円。竣工予定は2020年9月下旬。施工は大勝。
現地は、標高約29mの東戸塚駅からなだらかな坂を上った標高約72mに立地するが、西武デパートなどが入居する「オーロラシティ」のスカイデッキ・エスカレータなどを利用すれば、それほど高低差を感じない。
建物は南向きと東向きが中心で、敷地東側は第一種低層住居専用地域が広がる。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、逆梁ハイサッシ、リビング天井高2400ミリ、御影石キッチンカウンター、食洗機、メーターモジュール廊下、ミストサウナなど。奥行き4mのオープンエアリビングバルコニー付きは21戸。
プロジェクトマネージャーは「東口にて100戸以上の規模が16年ぶりに販売されたことで、需要の高い立地に供給されたことが功を奏している」と話している。
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現地に着くまで単価を予想した。〝建築費が上昇しているとはいえ、ユーザーの取得能力は限界にある。坪250万円だったら売れるだろうが…〟というのが結論だった。グロスで5,500万円に抑えられれば、金利安もあるので、立地の魅力を加味すれば販売は順調に進むという読みだ。現地販売事務所の販売担当者の説明を聞いて、ほぼ的中したことが分かった。
読者の皆さんは、単価を聞いた後でそう予想したように書いていると思われるかもしれないが、傍には同社の広報担当者もいる。そんなウソなどつけるはずはない。
なぜ分かるのか。これは経験しかない。東戸塚はニューシティ東戸塚の分譲開始時からずっと取材しており、駅西側も含めると見学物件は20物件近くになるはずだ。地価や建築費、金利、その時々の消費者の購買力、分譲する企業の販売・企画力などを総合的に判断すると、おのずと単価は見えてくる。単価予想と実際の単価の差が少ない物件はほぼ間違いなく売れる。
今年1月から販売を開始した「ヴェレーナシティ上大岡」132戸も完売まであとわずかと聞いた。この物件は今年のベスト3マンションの一つにすることを決めている。
ラウンジ
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この前、モリモトとポラスグループのマンションが好調だと記事にした。大和地所レジデンスはどうか。2018年3月期は計上戸数929戸全戸を完売し、期末未契約完成在庫ゼロを達成した。2019年3月期は若干完成在庫を出したようだが、今期は計上予定戸数900戸弱に対して契約進捗率は95%だという。
モリモトとほとんど肩を並べるではないか。大手デベロッパーと比較してどうか。極めて好調に推移している三井不動産の2020年3月期マンション計上予定戸数3,400戸の第1四半期末の契約進捗率は85%(前年前期81%)で、東京建物の2019年12月期の計上予定戸数1,300戸に対する第2四半期末の契約進捗率は95%、竣工在庫は130戸、うち契約済みは26戸だ。
この数字からも、大和地所レジのマンションの好調さがうかがえる。同社やモリモト、ポラスと共通するのは、それぞれ他社にはない訴求力のあるコンセプト・商品企画力があることだ。
大和地所レジは奥行き4mのオープンエア空間であり、メーターモジュール廊下などだ。モリモトは高いデザイン性と内廊下・ワイドスパンがファンを魅了している。ポラスはピアキッチンをはじめとする生活者目線の「しあわせメソッド」が差別化に成功している。
マンション市場は大手の、それも潤沢な資金力と圧倒的なブランド力を持つわずか数社による寡占化が進行している。その他の中堅が生き残るには商品企画を充実させる以外道はないと断定できる。
建築現場
風致地区巧みに生かした住戸プラン・ランドスケープ秀逸 大和地所レジ「上大岡」(2019/4/24)
ポラスのマンション好調 商品企画支えるのは2児のワーキングママ・西牟田奈津子氏(2019/9/15)
住友不 最高峰ブランド「グランドヒルズ南青山」は坪2913万円「ドムス南青山」隣接
「グランドヒルズ南青山」完成予想図
住友不動産が10月下旬にモデルルームをオープンする、同社の最高峰ブランド「グランドヒルズ」シリーズ44棟目となる「グランドヒルズ南青山」を見学した。バブル崩壊前は〝億ション〟の代名詞だった〝ドムス〟の坪単価2,913万円の「ドムス南青山」に隣接する全115戸。価格はいったいいくらになるか。
物件は、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅から徒歩11分、港区南青山七丁目の日比谷通りに面した18階建て全115戸。専有面積は41.52~120.12㎡、価格は未定。竣工予定は2022年2月上旬。施工は五洋建設。
現地は、商業地域・第1種中高層住居専用地域で交通量が激しい六本木通りに面しているが、敷地南側は高さ規制17メートルの戸建て・中層マンションなどが並ぶ住宅街。すぐ南隣には〝パブルの象徴〟「ドムス南青山」に隣接。
建物ファサードは白が基調で、1~3階は石張り。バルコニー奥行きは約2メートルで手摺はガラス素材。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700mm(最上階は2800mm)、サッシ高は2300mm(同2450mm)、キッチン・洗面カウンタートップは御影石、バックカウンター・吊戸棚も標準。トイレはINAXの100年クリーンの「サティス」。
これまで5か月間で問い合わせ件数は900件を超えている。南青山に過去住んでいた、現在住んでいるなど地縁があり、エリアの魅力を熟知しているお客様が多く、お問合せのうち約6割が二次取得者で、エリア内での住み替え、セカンドハウス用として検討しているという。
エントランス
モデルルーム
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読者の皆さんは〝ドムス〟をご存じか。バブルが崩壊する前は、億ションと言えばドムスだった。記者は10件くらい取材している。事業主の大建ドムスの本社がある浜田山によく通い、粘って社長から情報を引き出した。
室内装飾は記者の趣味ではなかったが、外壁は高価なレンガタイル張りで、建具・面材はマホガニー、床は石張り、ドアノブや浴室の石鹸入れ(そう呼べば)は数百万円の金製だった。販売事務所の受付女性がまたみんなモデルのように美しかった。そのうちの一人で、吉永小百合さんと八千草薫さんを足して2で割ったようなナンバーワンの〝女神〟とは今でも年賀状のやり取りだけはしている。〝おばあちゃん〟にはなっていないはずだ。
そして、この「ドムス南青山」は1988年(昭和63年)竣工で、同社が絶好調のころのマンションだ。冒頭に坪単価2,913万円と書いたが、その後供給された「有栖川ヒルズ」の坪2,947万円の「有栖川ヒルズ」に抜かれるまでわが国の高単価マンションナンバーワンだった。
そんなけた違いのマンションの隣に今回のマンションが建つ。借景は申し分ない。北側に高速を背負うが、南側は信じられないような低層・中層住宅街が広がる。
価格だが、記者も正直分からない。想定価格はあるが、外れたら大恥をかきそうなので書かない。
参考までに。昨年竣工した同社の坪1,000万円を突破した「グランドヒルズ元麻布」よりは安いことだけは言える。表参道駅前には相互住宅などが建て替えマンションを計画しているが、調整に手間取っているようで情報が全然入らない。記者は当初、坪1,000万円と考えていたが、それをはるかに超えそうだ。また、住友の物件の近接地では丸紅が分譲する建て替え「常盤松ハウス」があるが、こちらも情報がない。
建設現場
建設現場(右側が「ドムス南青山」)
積水ハウス「上町一丁目タワーPJ」 経産省「超高層ZEH-M実証事業」に採択
積水ハウスは9月18日、全住戸燃料電池採用の36階建て超高層マンション「(仮称)上町一丁目タワーPJ」が、今年度から新たに開始された経済産業省「平成31年度 超高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)実証事業」に採択されたと発表した。
高性能真空ペアガラスの採用により、広い開口面積を維持しながら、北海道の基準を超える断熱性能を確保し、家庭用燃料電池エネファームを全住戸で採用している。
「選手村マンション増収分折半」 選手村裁判の原告団が声明文
晴海選手村裁判の原告団は9月13日、下記の「選手村マンション増収分折半」に対する原告団声明を発表した。
「選手村マンション増収分折半」の都知事発表に対する原告団の見解」
2016年12月、東京都は晴海選手村用地(13.4ha)を相場の1割弱(1㎡当たり96,700円)で特定建築者(三井不動産レジデンシャルを代表とする11社の企業連合体)に譲渡しました。選手村要因を考慮しても1,653億円にもなる土地を129.6億円で譲渡したので都民の損害額は1,420億円に上ります。いま私たち原告を中心に多くの都民が「投げ売り価格」の是正を求めて立ち上がっています。
こうした中で7月26日、小池都知事は「最終的な住宅分譲販売収入が当初の想定を1%以上上回った場合、増収分の半額を特定建築者が東京都に追納することで合意した」と発表しました。各メディアが一斉に報道したところです。
都知事は今回の措置について「土地の売り渡し価格の問題とは別のカテゴリーの問題である」と説明しており、譲渡価格も「定められた基準に基づき、適正な鑑定の上で決定した」として選手村用地の「評価格(額)」は「適正」であるという態度は変えようとしていません。適正な価格で土地を譲渡したと言うなら、儲けすぎたら増収分折半という今回の措置は何なのでしょうか。適正価格なら事業者がいくら儲けようが構わないことです。
晴海選手村土地譲渡契約書には、異例にも「著しい収益増がある場合譲渡金額の変更を別途協議する」旨の特別条項(土地譲渡契約第2条第2項)が規定されています。激安譲渡価格に対する世論の厳しい批判をかわすための「逃げ道」「目くらまし」として予め設けられたのではないでしょうか。
この規定を適用したという今回の措置・内容にも疑問や曖昧な点があります。
第一に、将来の追加払いがゼロということもあるという点です。販売が完了し、収益がほぼ確定するのは早くても2025~2026年です。激変が予想される厳しい経済環境の下、マンション大不況が晴海フラッグをいつ襲うとも限らないのです。
第二に、何を根拠に「増収分折半」なのか、都の幹部が言う「事業の公共性」云々では説明になっていません。
第三に、なぜ都知事は今回の措置やその発表を急いだのかの疑問です。特別条項では「著しい収益があった場合」ということですから、マンション販売完了予定の6~7年先の協議でもよい筈です。恐らく「土地投げ売り」に対する世論の批判の高まりの結果追い込まれたという面もありますが、その目的は世論・住民訴訟対策、来夏の五輪、都知事選対策であると言っても過言ではありません。
第一期分の住宅販売に関し一部週刊誌は、購入者層は超富裕層及び不動産投資目的の人が多いと報じています。この現実に改めて怒りを禁じえません。私たちは「選手村土地譲渡価格」が適正な評価を踏まえたものとなるよう裁判の取り組みを中心に引き続き頑張る決意です。
以上原告団の見解表明といたします。
2019年9月13日
晴海選手村裁判 原告団
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声明文に口を挟むのもどうかと思うが、以下、記者の考え。
声明文は「激変が予想される厳しい経済環境の下、マンション大不況が晴海フラッグをいつ襲うとも限らない」というが、これは記者も分からない。国内情勢というよりは、米中関係、イギリスのEU離脱、中東情勢など外的要因により我が国経済が大打撃を受けることはありうることだろう。ただ、現在のマンション価格は基本的には実需によって支えられていると思うので、社会経済状況が激変しない限り、「大不況」はあり得ないのではないか。従って、「HARUMI FLAG」の価格が暴落することもないと思う。
声明文は「何を根拠に『増収分折半』なのか」説明になっていないというが、これはそうではない。極めて明白だ。記者は2月の段階で都に「著しい」とはどの程度か問い合わせた。都は、「弁護士などと相談しながら『著しく』という文言も含めて何が協議対象になるか判断していく」(都市整備部)と答えた。(2019/2/12記事)そして、5月の段階で、当初事業計画で示された販売価格の1%を超えたら「著しい利益増」とすることを決定している。1%を超えたら著しいというのは、事業者に酷だと思うが、これはこれで分かりやすい。選挙対策云々はどうか。
声明文が言う「購入者層は超富裕層及び不動産投資目的の人が多いと報じています。この現実に改めて怒りを禁じえません」というのは理解不明。
「超富裕層」とはどのような層を指すのか知らないが、中心層はアッパーミドルであるのは間違いないとても、小生が考える「富裕層」はむしろ少ないのではないかと思う。「投資目的」の人はいるかも知れないが、記者がお金持ちなら買わない。もっと別のマンションを買う。
「怒りを禁じえません」という矛先は購入者ではなくて東京都に対してだろうが、売れないよりは売れたほうがいいに決まっているではないか。もし、東京都がメダリストのサインや魚拓ではなくて人拓でも壁に残し、オークションにかければ1戸数十万円から数千万円の価値はあると思うが…。何? メダルの総数は1000個くらい? ならば、人気選手も含めて分譲戸数分集めればいい。
原告団関係者も支持者の方も、湾岸でマンションを探している人は選択肢の一つに加えるべきだと記者は思う。価格が高いか安いかはともかく、街全体のレベルは極めて高いと断言できる。(地下駐車場は当初約2,300台が約1,200台に減少した理由は聞きたい)
黒白を付ける意味はあるのか オリンピック選手村裁判 双方の舌戦にうんざり
「官民癒着」「官製談合」「名誉棄損」「誹謗中傷」などと激しい言葉が飛び交う割には、どこか空疎な揚げ足取りの論議にも聞こえなくもない今回のオリンピック選手村裁判の原告と被告の舌戦にうんざりした。
どうも弁護士は国会議員と一緒のようだ。法廷内では相手を罵倒しようと冷水を浴びせかけようと甘言を弄して丸め込もうと、よほどのことがない限りその発言は罪には問われないようだ。法廷は治外法権の場に映った。
裁判はどちらが勝つか負けるか、率直に言ってあまり興味はない。この前も書いたように、それぞれの不動産鑑定士の鑑定評価に多少の見落とし、計算違いがあったとしても違法とまでは言えず、事業者選定の手続き上も瑕疵がないとすれば、この際、引き分け、和解するのがもっとも現実的な判断ではないかと思う。どこまで行っても裁判は平行線だろう。考え方の相違だ。白黒をつける問題ではない。
原告側の皆さんの指摘はよく分かる。中央区晴海の都有地が「檜原村の住宅地」並みで(記者は調整区域並みと書いた)民間に売却されるのは、社会正義を第一義とする皆さんにとって耐え難いことかもしれないが、国家的プロジェクトを成功に導くためには官と民が手を携えることが必要で、多少の犠牲・損失も多とする寛容さもあっていいのではないか。
「儲かったら双方で山分け」というのは何だか山師の談合のように思えなくはないが、皆さんの頑張りがそのような回答を引き出したと言えなくもない。
一方、「専門家の判断に瑕疵はない」(かんぽの宿の前例はどう理解したらいいのか)を盾に逃げ切りを図る被告の東京都は形勢有利と判断したのか、相手の弱点を徹底してつく戦法に出た。
しかし、それにしても、都民の財産をどうして地価公示の10分の1、原告が言うところの「檜原村の住宅地」並みの価格で売却したのか、「開発法」について分かりやすく都民に説明すべきだった。
「東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪」との見出しの記事を書いてから3年が経過した。アクセスが殺到した。日経のWeb「住宅サーチ」を合わせれば数万件に達したはずだ。その後もこの問題を追っかけてきた。その意味はあったはずだ。
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原告、被告の意見陳述について。まず、原告側。「官民癒着」「官製談合」などと相手を糾弾するのはいかがか。それを証明するには「いつ」「どこで」「だれが」「何を」「なぜ」「何のため」-いわゆる5W1Hの事実を完璧に証明する必要があるのではないか。「のり弁」だらけの鑑定報告書のようだが、主張は格好の揚げ足取りにされかねないと思う。
原告側はどうか。「現在の『晴海フラッグ』の分譲価格でさえ『高い』という専門家の意見があるのは周知の事実」というが、記者はその種の意見を寡聞にして知らない。「周知の事実」であるならば、是非とも「専門家」とはどなたか聞きたい。
少なくともわが業界には、デベロッパーの事業担当者以外にそのような人は存在しないと思う。「専門家」とは身内の人なのか、それとも鑑定報告書を作成した鑑定士のことか。これが藪蛇にならないことを祈る。
〝レガシーマンション〟にする事例の一つに、約1,200台の地下駐車場を整備することを上げたのはいい。これほどの地下駐車場を整備した分譲マンションは過去にないはずだ。小生は青山学院グラウンド跡地の「グリーンサラウンドシティ」しか知らない。ここは総戸数945戸分の駐車場を地下にした。
分譲価格を抑え、かつ質の高いマンションにするため土地を安く売却したと正直に言えば都民は納得するはずだ。
裁判長!ここは是非とも大岡裁きで幕を下ろしていただきたい。
とここまで書いて、ン…。重大なことを発見した。記者もうかつだった。昨年10月31日に事業者が記者発表したとき、駐車台数分(2,318台)をすべて地下化すると発表した。それが、今年の4月の時点では1,300台になっていた。そして、今回被告側は1,200台へさらに減らした。これはどういうことか。
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