半年で330~340戸成約 驚嘆すべき売れ行き 全678戸の野村不「吉祥寺」
「プラウドシティ吉祥寺」完成予想図
前回の「プラウド南阿佐ヶ谷」に続いて、売れ行き好調の野村不動産「プラウドシティ吉祥寺」を紹介する。吉祥寺駅からバス便の全678戸の大規模だが、約半年で330~340戸を成約するなど驚嘆すべき売れ行きだ。
物件は、JR中央線吉祥寺駅から徒歩23分(バス約10分)、三鷹市下連雀五丁目に位置する敷地面積約26,405㎡、8階建て全678戸。専有面積は68.59~83.70㎡、坪単価は262万円。売主は同社のほか日清紡ホールディングス(土地売主)。竣工予定は2020年1月中旬。施工は長谷工コーポレーション。
同社は昨年12月、第1期140戸を即日完売したと発表しているが、その後も順調に売れており、これまでに370戸を供給し、330~340戸を成約している。来場者は約3,600組。
現地は、日本無線三鷹製作所の跡地。敷地内に商業施設、認可保育園、学童施設、バス停を設けるとともに、既存樹の樹高25mのヒマラヤスギ2本をエントランスに残し、緑地率を30%超に高め、「ABINC認証」を取得することなどが特徴。隣接地には同社のシニア向け住宅(サービス付き高齢者向け住宅)も建設する。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2.45(3階以上)~2.5m(1・2階)、御影石キッチンカウンター、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラスなど。
バス停とヒマラヤスギ
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吉祥寺、または三鷹駅からバス便の三鷹市内のマンションの取材を20件くらいはしたはずだ。売れ行きがよく印象に残っているのは大成有楽不動産「オーベルグランディオⅠ」(177戸)、「オーベルグランディオ吉祥寺II」(284戸)だが、緑被率の高い住友不動産「シティテラス吉祥寺南」(268戸)もいい物件だった。
価格上昇局面の数年前、同社は数百戸単位の完成在庫を出し利益率も落としたが、ここにきてまた勢いを取り戻しつつある印象を受ける。その原動力はやはり商品力であり販売力だ。
「吉祥寺」の販売事務所は商品特性をよく表現できている。第一に「住みたい街ナンバーワンの吉祥寺」を前面に打ち出していることだ。バス便は苦にならないどころか、徒歩でも駅に着くことを訴え切れているのも奏功しているのかもしれない。資料には「井の頭公園」には徒歩5分とあり、バス便についても、「徒歩0分」に屋根付きのバス停を設けるとある。(デベロッパー各社は〝駅近〟を強調することは一方では自らを苦境に陥らせることを理解すべき)
4×6mもある巨大な360分の1のジオラマ模型は立地特性を分かりやすく見せている。別のやはり同じくらいの大きさのマンションの模型、壁面展示では低木も含め2万本の植樹をおこない、緑被率を高め、充実した共用施設の〝見せる化〟も図っている。
水回りを共用廊下側に配した排水竪管から最大14m離しても設置可能な排水システム「Mi-Liful(ミライフル)」を採用し、水回りをバルコニー側に設置した2つのモデルルームの出来もいい。
競合すると思われる定期借地権付きの「三鷹」のマンションと比較し、所有権付きの優位性もしっかりと訴えている。
さて、ひとつ提案だ。半年で半分売れたのだから、残りも半年で完売できればいいのだろうが、そう簡単ではないはずだ。わずか半年で992戸を完売した「富久クロス」では、ユーザーから募ったアイデアを1000個の「イゴゴチ」にまとめ、シアターには「第九」の音楽を流した。長いマンションの歴史で「第九」をシアターに流したのは後にも先にもこの物件しかないはずだ。
「富久クロス」で「第九」を流したのだから、今度は記者の好きなヘンデル「水上の音楽」はどうか。井の頭公園の池、住宅地内の緑のテーマにぴったりではないか。バラの香りを館内に漂わせれば来場者は感動するはずだ。アルプスの爽やかな風も吹かせたらどうか。
気になったことも一つ。建物の高さ25m規制だ。この物件に限ったことではないが、高さ規制を緩和して公開空地を増やしたほうがはるかにマンションも街もよくなるはずなのに…。
木造ゲストハウス
駅1分、敷地南側は1低層でワイドスパン 高単価の野村不「南阿佐ヶ谷」完売へ
「プラウド南阿佐ヶ谷」完成予想図
販売好調の野村不動産「プラウド南阿佐ヶ谷」と「プラウドシティ吉祥寺」を見学した。高単価ながらプランが素晴らしい「南阿佐ヶ谷」から紹介する。
物件は、東京メトロ丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分、JR中央線・総武線 阿佐ヶ谷駅から徒歩9分、杉並区成田東四丁目に位置する14階建て99戸。専有面積は36.21~75.48㎡、坪単価は440~450万円。竣工予定は2020年3月下旬。施工は矢作建設工業。売主は同社のほか矢作地所。デザイン監修は南條洋雄氏。
今年初めからモデルルームをオープンし、3月に第1期80戸を分譲してからこれまで97戸を成約。残りは2戸と好調。来場者は約650件。
現地は、三方道路で敷地北側は青梅街道、南側は第一種低層住居専用地域が広がる商業地域立地。
建物は基壇部に光の演出を施すなど印象的なデザインとし、住戸は内廊下方式の1フロア8戸(2階は3戸)構成で、南向きはファミリータイプ、北向きはコンパクトタイプ。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高約2,650〜2,750ミリ、天井カセットエアコン、食洗機、ディスポーザー、吊戸棚など。
基壇部
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読者の皆さんはどう思われるか分からないが、〝即日完売のプラウド〟のブランド力と、駅から徒歩1分、三方道路で敷地南側が1低層という立地と抜群のプランであることから判断して売れるのは当然と見た。
70㎡台の南向きの間口は約6.8m・7.7m・7.9mで、南東向き、南西向きも約9.3m、9.8mあり、北向き36㎡のコンパクトも6.7mある。
リビング天井高も最近ほとんど見なくなった2,650〜2,750ミリ確保しているのもいい。
南向き71㎡(間口は7.9m)
野村不、タカラレーベンが事業参画 小岩駅前で再開発マンション601戸
「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
野村不動産、タカラレーベン、清水建設が参加組合員、及び特定業務代行者として参画している「南小岩六丁目地区第一種市街地再開発事業(施行者:同再開発組合)」の起工式が5月12日行われた。
事業地は、JR総武線小岩駅から徒歩1分、江戸川区南小岩六丁目及び七丁目地内に位置する敷地面積約8,954㎡、10・22・33階建て延床面積約88,857㎡。用途は住宅、商業、業務、駐車場など。住宅は601戸(地権者住戸含む)。全体竣工は2026年1月。設計・施工は清水建設。
再開発組合は2012年7月の準備組合設立、2014年10月の都市計画決定を経て2016年12月に設立認可を受けた。
10階建てI街区、22階建てII街区、33階建てIII街区からなり、I街区は商業施設となる。本地区に隣接する「南小岩七丁目西地区(市街地再開発事業/名称:アルファグランデ小岩スカイファースト)」、2016年8月に準備組合が設立された「南小岩七丁目地区(市街地再開発事業及び区画整理事業の一体施行)」とともに回遊性や賑わいの創出、住環境や地域の安心・安全性の向上を図ることになっている。
野村不動産、タカラレーベン、清水建設は住宅保留床及び商業保留床を取得する参加組合員、及び特定業務代行者として参画している。
現況写真
完成予想図(左はスターツが分譲して人気になったマンション)
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「当日は取材なし」を事前に知らされていたが、野村不動産取締役兼専務執行役員・山本成幸氏、タカラレーベン代表取締役社長・島田和一氏が神事に出席されるのだから、突撃取材を敢行し、ダメもとで坪単価を聞き出そうと起工式の最後尾で神事が終わるのを待ち構えた。
ところが、その場に居合わせた清水建設のRBA野球のエース・治下氏(元三重スリーアローズの人気選手)と歓談しているすきに関係者はみんな懇親会場に向かうバスや車に乗ってしまい、結局取材は空振りに終わった。(懇親会場は近くだと考えたのがまずかった。「小岩」は電車や車で移動しなければ宴会ができないそのような街か。多摩センターは数百人を収容するホテルがある)
ただで起きる記者ではないので、来年に分譲されるマンションの坪単価を予想する。
小岩は、江戸川を渡れば千葉県の市川市。市川駅圏で駅近のマンションが分譲されたらまず坪350万円はくだらないし、本八幡駅圏で現在分譲されているマンションは坪300万円強だ。
葛飾区と市川市のポテンシャルは、やや市川が勝っていると思うが、似たようなものか。それでも「本八幡」以下はあり得ないはずで、つまり坪300万円以上と読んだ。
記者が比較検討するのは、いま三菱地所レジデンスが分譲している足立区の「北千住」の再開発タワーマンションだ。北千住駅に4分、電車に乗って大手町駅に16分、東京駅に24~25分という利便性がユーザーに支持されているのか、億ションも含めて信じられない売れ行きを見せている。
一方の「小岩」の街並みは「北千住」と互角(あまりよくないという意味)で、東京駅までの電車の時間も24~25分だからほぼ同じだが、大手町へは30分かかるので、利便性は「北千住」に軍配が上がる。
なので、総合評価では「北千住」にかなわないとみて坪380万円以下とした。ただ、近接する「南小岩七丁目地区」の再開発もあるので、数年後の街並みは一変する。この将来価値を評価して坪350万円と予想したが、どうだろう。もう少し低い330万円だったら申し込みが殺到するのではないか。
野村不動産は同じ沿線の平井駅でも再開発マンションを分譲するが、「平井」のほうが高くなるはずだ。
起工式
スマートスピーカーより優秀? 無限の可能性秘める 大京「蒲田」にAI管理人 初導入
「ライオンズ蒲田レジデンス」完成予想図
大京(事業比率50%)と大京穴吹不動産は5月11日、「ライオンズ蒲田レジデンス」のモデルルームをオープンし、5月下旬より第一期販売を開始する。先進のAI・IoT設備を導入し、用途や好みに合わせスマートフォン、非接触キー、ICカードの3種の解錠(スマホは施錠も可)ができ、24時間対応の「AI INFO」(AI管理システム・スマートインフォメーションボード)を初めて導入するなど、多様化するライフスタイルに応える商品企画が特徴。
物件は、京急本線京急蒲田駅から徒歩10分、京急空港線糀谷駅から徒歩9分、大田区西糀谷一丁目の第一種住居地域に位置する7階建て全33戸。専有面積は57.30~84.72㎡、価格は未定だが坪単価は300万円前後。竣工予定は2020年2月19日。設計・監理は現代綜合設計。施工は斎藤工業。
従来の非接触キーに加え、ICカードとスマホによる解錠が可能で、スマホでは遠隔施錠も可能な新鍵システム「Link×Life×Lock system(リンクライフロックシステム)」を導入するほか、管理に関する相談事や生活情報などに24時間で対応する「AI INFO」(AI管理システム・スマートインフォメーションボード)を初導入する。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、御影石キッチンカウンター、食洗器、換気機能付き玄関ドア、エコガラスなど。
これまで資料請求は約400件、事前内覧会の来場者は約80件。
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モデルルームオープンに先駆けた5月10日のメディア向け見学会では、同社〝十八番〟の換気機能付き玄関ドア、通気ルーバー付き扉、エコガラス、大型通気口やオリジナルの「L’sKITCHEN」の説明はなかったが(報道陣はみんな知っているためか)、2018年のグッドデザイン賞を受賞した「AI INFO」は無限の可能性を秘めるなかなかのスグレモノだ。
試しに記者も目がぱちくりのかわいい女性のAI管理人に「あなたはいくつですか」と問いかけたら、「年齢はお答えできません」と答えたではないか。これまでマンションや戸建てで試したスマートスピーカーは「分かりません」とだけしか答えなかったのと比べると格段の進化だ。
AI管理人に宅建業法や区分所有法、民法などを学習させたらどうなるのか。売買に関する質問にも答えられる時代もやってくるかもしれない。
スマホで解錠
AI管理人
「晴海」坪250万円予想の根拠 「週刊文春」も裏付け 当初単価は244万円と報道
「週刊文春」5月16日号は、前号の5月2日・9日ゴールデンウィーク特大号に引き続き、ノンフィクション作家・清武英利氏とライターの小野悠史氏による東京オリンピック・パラリンピック選手村となる「五輪マンション」追及第2弾の記事を掲載した。
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記事量は前回の6ページから3ページへと半減し、関係者を震撼させるような新たな事実はほとんど見当たらないが、「調査報告書」をもとに不動産鑑定士らの手を借りて分析した結果、当初分譲1㎡当たり単価は74万円(244万円)であったと報じたことは参考になった。
小生は土地が譲渡されたすぐ後の2016年8月4日に「坪300万円を超えることはないと読んだ。アッパーで坪250万円くらいではないか」と書いたが、同誌の分析結果とほぼ同じだ。同誌が依頼した不動産鑑定士もこれくらいの単価設定が妥当と考えたのだろう。
一つ、指摘しておきたい。同誌は「業界関係者は、『周辺相場よりも二割は安く売りだされるのではないか』などと煽ってきた。べビーカーを押してきた三十代の男性も、『(業界紙などでは)坪二百五十万円(1㎡当たり約七十六万円)からだろうといわれていたから、高い感じがする』と語る」としている。
この業界関係者・業界紙が小生のことを言っているとすれば(当初から坪250万円と言い続けてきたのは小生以外いないはずだ)、これは正確ではない。小生は格安で売り出されると書いたことはないし、(購入を)煽ったこともない。土地代が1種8万円だったら、これくらいにすべきで、残りの利益は購入者に還元すべきだという考えを記事に込めた。
皆さんは、単価予想はあてずっぽうだろうと考えるかもしれないが、あのときも難しい不動産鑑定の書籍を図書館でかなり読んで得た結論だ。今でも正しい判断だったと思っている。
ついでに言わせていただければ、小生は東京ミッドタウンの用地(元防衛庁施設跡地)を2001年に三井不動産など6社が1,800億円で落札する半年前に「落札価格は1,850億円」という全10段の予想記事を書いた。あのときも10日間くらい必死で取材した。
毎年取材しているRBA野球大会の勝敗予想でも7~8割方的中する。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」とチコちゃんに叱られないようにそれなりの努力を払っているつもりだ。
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今回の同誌の記事は、「露見した小池の背信」などと憎悪をむき出しにし、フェイクで読者を釣ろうとする邪な心根があちこちに散見される。
例えば記事の冒頭。次のようにモデルルーム見学者の声が紹介されている。「『思ったより高い』と若い夫婦が口を開けば、四十代の夫婦は『もっと安くしないと、同じ属性の人(プチ富裕層)ばかりが購入して、多摩ニュータウンみたいに、将来ゴーストタウンと言われる恐れがあるんじゃないか』と言った。『うまく転売できればなと思ったんだが、当て外れ』と卒寿の男」とあった。
何を書こうと勝手だが、来場者の声を借りて「晴海」と「多摩ニュータウン」を結び付けゴーストタウンに誘導する手口はいかがなものか。〝ノンフィクション〟作家を標榜するならきちんと事実関係を確認していただきたい。わが多摩ニュータウンは断じてゴーストタウンではない。
卒寿のおじいさんの声を紹介しているのもどうか。「晴海」の入居は3年先だ。よりによって90歳の方に聞くとは。3年後にどうなっているか分からないではないか。
報道陣にもひとこと。4月下旬に行われたメディア向け内覧会で「価格は未定」としか発表されなかったことについて同誌は、「これでは記事にできない」という報道陣の声を紹介している。
他かに内覧会の模様を報じた「住宅新報」も「週刊住宅」も中身はほんどなし。関係者が話したことしか書かず、配布された資料の引き写しだった。メディア・リテラシーの欠如だ。「価格は未定」と言われて引き下がるようでは情けない。
小生は内覧会後に「坪単価300万円か」と書き、その後、「坪単価280万円に下方修正」した記事を書いた。
何度も書いたように、「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議する」ことを回避すると読んだからだ。
文春は今回分譲する住棟の坪単価を297万円としているが、果たしてどうなるか、小生も分からない。坪単価280万円というのはあくまでも板状型についてであることを断っておく。
隠蔽文書〟具体的中身示さず 週刊文春 選手村記事は〝大山鳴動鼠一匹〟の類(2019/4/25)
文京区の駅近 「小石川後楽園」&「本郷春日」 好調スタート 伊藤忠都市開発
「クレヴィア小石川後楽園」完成予想図
伊藤忠都市開発の文京区の2物件「クレヴィア小石川後楽園」と「クレヴィア本郷春日ステーションフロント」が好調な売れ行きを見せている。双方とも3月から分譲を開始し、5月6日現在、前者は全販売住戸58戸のうち6割強、後者は40戸のうち4割強がそれぞれ成約済みだ。
「小石川後楽園」は、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩2分・都営大江戸線・三田線春日駅から徒歩2分、文京区小石川2丁目に位置する15階建て全100戸(販売対象住戸58戸、事業協力者住戸42戸)。専有面積は25.11~85.01㎡、現在分譲中の住戸(5戸)の価格は3,998万〜13,298万円(30.21m²〜77.13m²)、坪単価は約470万円。竣工予定は2020年2月下旬。売主は同社のほかURリンケージ。販売代理は伊藤忠ハウジング。設計・監理は安宅設計。施工は大末建設。
現地は春日通に面しており、その南側は礫川公園。建物はマンションの建て替えで、住戸プランは南向き中心のワンフロア4~8戸。主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、吊戸棚、フィオレストーン天板など。
「本郷春日」は、都営三田線・大江戸線春日駅から徒歩1分・東京メトロ南北線・丸ノ内線後楽園駅から徒歩4分、文京区本郷四丁目に位置する12階建て全42戸(販売対象住戸40戸、事業協力者住戸2戸)。専有面積は25.20~81.58㎡、販売中の住戸(4戸)の6,598万円〜10,198万円(54.94m2〜75.28m2)、坪単価は約400万円。竣工予定は2020年6月下旬。設計・監理はKAI都市・建築研究所。施工は佐藤秀。販売代理は伊藤忠ハウジング。
基本性能・設備仕様は「小石川後楽園」とほぼ同じ。
双方ともライフスタイルに応じてプラン変更が可能な「LIFE STYLE FIRST」システムを採用しているのが特徴。
「クレヴィア本郷春日ステーションフロント」完成予想図
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「本郷春日」は現地を見ていないが、「小石川後楽園」は敷地南側が道路を挟んで礫川公園、立地が抜群。坪単価も納得だ。
モデルルームもよくできている。とくに写真を添付したようにキッチン収納の木調枠と白の面材のデザインがいい。
「本郷春日」のプランは、北向き住戸の窓は「EN-GAWAベンチ」と呼ぶ腰窓としているのが面白い。
「クレヴィア小石川後楽園」完成予想図
モデルルーム キッチン
小学校跡地マンション 「半数以上75㎡」区の要件疑問 東建・地所レジ「東中野」
「Brillia 東中野Parkside Hills」完成予想図
東京建物(事業比率60%)と三菱地所レジデンス(同40%)の共同事業マンション「Brillia 東中野Parkside Hills」を見学した。中野区立東中野小学校跡地の整備計画に基づく良質住宅の供給を目的とした全97戸。坪単価は極めて割安と思われる368万円。〝住むなら東中野!〟だ。
物件は、JR中央・総武線東中野駅から徒歩8分、東京メトロ東西線落合駅から徒歩5分、都営大江戸線中井駅から徒歩9分、中野区東中野5丁目に位置する敷地面積約3,998㎡の8階建て全97戸。現在分譲中の住戸(9戸)の専有面積は65.17~82.33㎡、価格は6,873万~9,400万円(最多価格帯7,200万円台)、坪単価は368万円。竣工予定は2020年9月下旬。施工はNB建設。設計はINA新建築研究所。
1月にモデルルームをオープンし、これまで供給した49戸のうち約40戸が成約済み。
現地は、比高差が4層くらいある傾斜地で中野区立東中野小学校跡地の一部。「東中野区民活動センター等整備基本方針」に基づき、区が東中野区民活動センターと中野区立おかのうえ公園を整備し、区が使用しない土地については「企画提案公募型事業」により両社が事業者として選定されたもの。公募要件として「各住戸の専有面積(壁心面積)は65㎡以上とし、そのうち半数以上の住戸については、75㎡以上とすること」が求められている。
この要件を満たすとともに、任意提案としてマンション内に保育園とコミュニティルーム、屋上テラスを設置し地域住民に開放することを盛り込んだプランが評価された。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーン天板、カップボードなど。トイレは掃除がしやすいLIXIL製。
ゲストサロン所長・H氏は「地元近隣居住者以外にも都心アクセスに魅かれた中広域からも集客は出来ています。JR山手線高田馬場駅や新宿駅からも徒歩20分前後でアクセス可能ですし、お買い得だと思います」と話している。
模型(左側の住棟の上が屋上テラス、その裏が公園と東中野区民活動センター
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立地条件から坪単価は400万円を超えると予想した。シアターを見た段階ではもっと高くても売れると考えた。しかし、モデルの設備仕様はそれほどでなかったのでいま一つよく分からなかった。
H氏に説明を受け、なぜ単価がこれほど安いのか理解できた。一つは、区からの土地の取得価格が17.6億円、容積率100%当たり73万円/坪(オリンピック選手村は8万円/坪)と安かったことがあげられる。
もう一つは、「東中野」は総武線なので中央線沿線の居住者からは〝格下〟と見られていることだ。記者は、新宿へ4分、東京へも24分、東西線を利用すれば大手町へ17分という利便性と街のポテンシャルを考えたら坪400万円以下はあり得ないと考えたのだが…。
さらに言えば、区の面積要件や区民に開放する施設を併設したのもマイナスに働いたと思われる。マンションの屋上に15時までとはいえ第三者に開放することなど常識的には考えられないことだ。
東中野区民活動センターと中野区立おかのうえ公園
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中野区にひと言。「良質なファミリー向け住宅の供給を目的」とする公募条件は理解できる。「中野区住宅白書」や「中野区の住宅・住環境の現状と課題」を読むと、区が抱える問題がよくわかるからだ。
問題点をいくつか列挙すると、①30歳代の夫婦2人世帯や18歳以下の子どもを含む2人以上の世帯の転出超過が続いている②持ち家で3.9%、民営借家で20.1%が最低居住水準以下③木造の共同住宅が23区平均の13.9%を大幅に上回る25.2%④木造賃貸住宅が10代、20代の単身者や高い家賃負担ができない高齢者などの受け皿となっている-などとなっており、マンションは単身世帯が5割強、旧耐震基準は全体の3割を占めていることなどから、多様な世代や世帯構成に対応した居住の誘導やコミュニティの形成が課題としている。(同区がミニ開発やワンルームの草刈り場になった気の毒な歴史も背景にある)
だからと言って、今回の物件に「各住戸の専有面積(壁心面積)は65㎡以上とし、そのうち半数以上の住戸については、75㎡以上とすること」はあまりにも短絡的と言わざるを得ない。「面積が広い」=「良質」というのはある意味では正しいが、〝先立つものは金〟だ。プロのデベロッパーに任せたほうが間違いなく優れたものができる。今回のマンションの間取りが平凡で、多くの住戸の間口が6mになっているのも区の縛りによると思われる。
30歳代ファミリーの転出を防ぐにはどうしたらいいか、近隣区のアッパーミドル・富裕層を引き付けるには何が足りないか、木密エリアの解消・劣悪な居住環境をどう改善するかなどを民間と連携して総合的に進める必要がある。
このままでは、アッパーミドル・富裕層の港、渋谷、千代田などへの転出やファミリー層の武蔵野市、杉並区、世田谷区などへの流出を阻めないのではないか。
現地周辺(奥のクレーンが立っているところが現地)
翔んで埼玉 首位に「所沢」 高値更新マンション続々 RBAタイムズ
4月26日(金)発行の紙媒体「RBAタイムズ」1・2面を転載します。
「HARUMI FLAG」の単価予想は坪280万円に下方修正 「著しく利益増」協議回避へ
読者の皆さんには誠に申し訳ないが、先日書いた「HARUMI FLAG」の単価予想「坪300万円か」を「坪280万円か」に下方修正する。事業者は「著しく」利益が上がった場合は譲渡価格について協議することを回避する模様だ。
なぜ右往左往したのかというと、モデルルームを見学して当初予想の坪250万円を1割くらい上方修正したのだが、「坪300万円を超える」などの情報も飛び交っており、「坪300万円か」と記事にした。
しかし、前回も書いたように、坪300万円となれば間違いなく「著しく利益が上がった場合は、譲渡金額について協議する」ことになるはずで、そうなれば、東京都と鑑定評価を行った日本不動産研究所の顔に泥を塗ることにもなりかねず、協議を回避する意味でも限界とみられる坪280万円に抑えると判断した。
今後の集客状況次第では坪280万円を上回る可能性も否定できないが、スタート時点ではこの価格で分譲されると見た。3年前に予想した250万円から約11%の上昇だが、これくらいの外れ方なら皆さんにも容赦いただけるのではないか。当時でもかなり勇気がいった価格予想だったことを理解していただきたい。
従って、前回の「坪300万円か」の記事も修正する。ただ、事業主は「価格は未定」としているので、記事はあくまで記者の予想であることを断っておく。
文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
〝住むなら北千住!〟 坪235万円の三交不「プレイズ北千住」好調
「プレイズ北千住」完成予想図
三交不動産が分譲中のマンション「プレイズ北千住」を見学した。駅から徒歩13分とややあるが、3月から分譲開始し、これまでに全78戸のうち約半数が成約済み。極めて好調に推移している。
物件は、東京メトロ千代田線・日比谷線・JR常磐線・東武スカイツリーライン・つくばエクスプレス北千住駅から徒歩13分、足立区千住桜木一丁目に位置する14階建て全78戸。現在販売中の住戸(8戸)の専有面積は53.46~70.14㎡、価格は4,048万~5,698万円、坪単価は235万円。竣工予定は2020年2月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、墨堤通りに面した準工業地域だが、住宅・マンション化が進んでいるエリアの一角。建物は、道路に面した北東側を約6.4mセットバックさせ、南西側は隣地境界線まで約8.4~11.2mの駐車場、プライベートガーデンなどのスペースを確保。中層階からは隣接の帝京科学大キャンパス、墨田川が眺望できる。
住戸は全て南西向き。玄関に窓を設置し、風が流れるようにしているのが特徴の一つ。基本性能・設備仕様は、リビング天井高2500~2600ミリ、直床、食洗機、良水工房など。
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知らないことは恐ろしいことだ。初めて東京駅からJR上野東京ラインに乗った。北千住まで15分という近さに驚いた。北千住が「住みたい街」の上位にランクされるのはどうも胡散臭いが、都心へのアクセスの良さだけを評価すれば、人気になるのも分からないわけではない。
どうして初めて東京駅から乗ったのか。これは説明しないと分かってもらえないので、以下の馬鹿馬鹿しい話に付き合っていただきたい。
記者は東武伊勢崎線を木造の車両が走っていた頃から知っている。時間がゆったりと流れていた。ゆらゆらと効き目のない扇風機が頭上で回転し、ワックスの匂いが社内に充満していた。田舎弁をさらけ出し、だれとも協調しない伊勢出身の小生と相通じるものがあった。その後縁あってこの沿線に足げく通うようにもなった。マンションの見学回数もわが京王線を除けば他を圧倒しているはずだ。普通のサラリーマンが無理なく住宅を取得できる貴重な沿線だ。
ところが、習慣もまた恐ろしいもので、昔の東武伊勢崎線のイメージしかなく、都心からだとお茶の水、日暮里、御徒町、北千住などで乗り換えるコースばかりだった。乗り換えが不便なJR常磐線はほとんど乗らなかった。
今回は急いでいたのでネットで調べたら、何とオフィスがある東京から北千住までJRだと15分とあるではないか。15分と言えば東京-新宿だし、新宿-調布と同じだ。駅から3分の坪370万円台の三菱地所レジデンス「千住ザ・タワー」(184戸)は供給した130戸のうち9割を契約しているのも半分は理由が分かった。新宿、渋谷、品川もみんな30分圏内だ。(記者は都心への近さだけで街のポテンシャルを計らないが)
坪370万円台で売れるのだから、駅から徒歩13分の坪235万円のマンションが売れるのもまた当然ではないか。
駅から現地まではほぼ真っすぐで、歩道が賑やかなのもいい。マンションに近接する帝京科学大の女子大生が群れをなして歩いていた。「皆さんは歩くの苦にならないの? 」「全然、平気。痩せるし健康にいい」などと屈託のない笑みを浮かべ瞬く間に記者を置き去りにしていった。
都心への近さを優先する人には〝住むなら北千住〟はありかもしれない。
モデルルーム
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街路樹についても一つ学んだ。都道の墨堤通りは名前の通り、墨田川の堤防沿いに整備された道路で、住居表示に「千住桜木」とあるのは通り沿いにサクラが植えられていたのだろう。
ところが、不思議なことに道路沿いのサクラは八重桜でみんな樹齢が若かった。記者のように年老いて樹勢が衰えたために植え替えられたのだろうと思い、都の街路樹担当に聞いた。
そうではなかった。従前はスズカケノキ(プラタナス)だったのだが、電線地中化のために2~3年前にサクラに植えられたもので、道路・歩道幅も広くないため種類も枝がまっすぐ伸びる「天の川」になったのだという。
スズカケノキは公害に強いとの理由で56年前の1964年東京オリンピックのときにたくさん植えられたのだそうだ。
そしていま、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて「東京都無電柱化推進計画」に基づき電線の地中化が進められており、スズカケノキは管理がし易い他の樹木に変更されつつあるという。
駅すぐの繁華街
現場(左の樹木が「天の川」⇒サクラにしては風情に欠けるが…)