三菱地所レジデンス 戸建て分譲 全戸に「エネファーム」採用
三菱地所レジデンスは11月29日、東京ガスの供給エリアで分譲する戸建住宅シリーズ「ザ・パークハウス ステージ」全戸に家庭用燃料電池「エネファーム」を標準採用すると発表した。
「エネファーム」は、都市ガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させて発電し、発電した電気を家庭内で利用するほか、その際に出る熱も給湯に利用するなど送電ロスがなく、発電時に出る熱を無駄なく活用できる環境にやさしいシステム。
東京都の物件には、停電時発電継続機能を内蔵した「エネファーム(レジリエンスモデル)」を原則標準採用する。これによって、停電時の発電継続期間が最長約8日間となる。
同社は、戸建住宅シリーズ「ザ・パークハウス ステージ」を年間約300戸、将来的には年間400~500戸供給することを目標としている。
東京ガスによると、2009年に販売を開始して以来、着実に伸ばしており平成29年11月現在、累計販売台数は9万台を達成した。
デベロッパーでは、三井不動産レジデンシャルは2014年に「エネファーム」の全戸導入を決定し、野村不動産もほぼ同じころに全戸に導入した大規模戸建てを分譲している。
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結構なことではあるが、先行する三井不動産レジデンシャルや野村不動産に肩を並べるには今一つインパクトに欠ける。記者は三菱地所ホームの全館空調システム「エアロテック」を全戸標準装備して差別化を図るべきだと思う。
大和ハウス ハイクラス向け第2弾 プレミアムグランウッド東京23区版 始動
「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」
大和ハウス工業は11月28日、最高級の木造フルオーダーの家づくりプロジェクト「PREMIUM GranWood(プレミアムグランウッド)」東京プロジェクトを12月1日(金)より東京23区で本格始動すると発表。一般公開するケーススタディハウス「プレミアムグランウッド世田谷・等々力の家」の報道陣向け見学会も行った。
同プロジェクトは、今年4月、兵庫県芦屋市の「プレミアムグランウッド 神戸・芦屋の家」をケーススタディハウスとして始動したのに次ぐ第二弾。「今だけ、ここだけ、あなただけ」をメインテーマに相談から設計-建築-アフターサービスまでサポートする「プレミアムデザインユニット」も新設した。
日本家屋特有の「侘び・寂び」の空間を演出するため、左官職人の土壁や樹齢200年の吉野杉の5%しか採取できない柾目材を使用した天井、中庭と居室を一体としたプラン、最高級システムキッチン、最高レベルの耐震・高気密・断熱仕様が特徴。年間の受注目標は10棟。
芳井敬一社長は、「4年前、東京本店長に就任してから取り組んできた、当社が足りないハイクラス向けに特化したプロジェクト。匠・技術・素材の〝3つの逸品〟として完成させた。非常に力が入っている」と話した。
「等々力の家」は、東急大井町線等々力駅から徒歩10数分、世田谷区野毛1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80%)に位置する敷地面積232.66㎡(70.37坪)、延床面積153.54㎡(46.44坪)。木造2階建て(グランウッド構法)。価格は土地・建物・外構・家具含め2億7,500万円(消費税込)。モデルハウスとして利用したのち、来年9月をめどに分譲する。
芳井社長
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元神戸製鋼のラガーマン芳井社長も忸怩たる思いだったようだ。同社の木造の販売戸数は年間470~480棟。この棟数について、芳井社長は「東京23区はSR社(住友林業と推測される)の一人勝ち。当社のシェアは10位にも入れない」と現状をストレートに語った。
配布された資料によると、平成27年度の木造販売トップの住友林業は400棟に迫り、第2位のM社(三井ホーム)が300棟近く、3位のMS社(ミサワホーム)が約200棟で、S社(積水ハウスのシャーウッド)が約170棟、同社は90棟くらいだ。各メーカーの重点エリアである世田谷、杉並区では住林・三井ホーム3分の1程度の売り上げしかない。
発表会と現場見学会には、住宅事業全般担当の大友浩嗣常務執行役員、住宅系商品開発担当の有吉善則常務執行役員、プロジェクト責任者の北村淳プロデューサーなども出席。満を持しての投入で「(他社に)少しは脅威を与えられる」(芳井社長)自信作だ。
ダイニング(左)と吉野杉の天井
Miele社の大型食洗機
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記者は、坪単価1,000万円以上、グロスで10億円を超えるマンションのモデルルームを数えきれないほど見学してきた。戸建ても先月、三菱地所ホームの時価にして7~8億円はしそうな三菱地所ホームのモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」に宿泊体験した。昨年末見学した同社グループのコスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(8棟)が出色の出来だったのは記憶に新しい。
なので、今回報道陣に公開された「等々力の家」には全然驚かなかった。配布されたリリースから土地代は坪250万円くらい、建物は坪200万円くらいではないかとはじいた。
現地も確認し、関係者の話などから総合すると、土地は傾斜地であることからもっと安く、建物は坪200万円くらいだろう。ほぼ予想した通りだし、すぐ近くに等々力渓谷が流れる立地から判断して妥当な値段だろうと思う。
物件からは、どこかで聞いたことがある言葉だが、〝今だけ、ここだけ、あなただけ〟の熱意がひしひしと伝わってきた。
もっとも驚いたのが、樹齢200年の吉野杉を格子状に張り巡らせたダイニングキッチンの天井だ。柾目を使ったこともあるのだろうが、節がまったくない(田舎育ちの貧乏人の記者はスギは節があるからこそ美しいと思うが)。素人が見たら木目調パネル(ケミカル)だと思うはずだ。床は御影石。しかも暖房が入っているように温かい。
〝キッチンの横綱〟(大鵬か白鵬か)と呼ばれるイタリアValcucine(バルクッチーネ)社の最高級品のグラスファイバー材のトップカウンター、バイブレーション処理したステンレスの扉、浮造りの収納引手も見事。美しい。
Miele社の大型食洗機がまたすごい(記者が知らないだけか)。トン、トンと2回叩くと扉が開く仕掛けになっている。1度ではだめだそうだ(記者は「開けゴマ」と声をかけたがもちろん声には反応しない)。
中庭-居室-リビングを一体ととらえ、侘び寂びの空間を演出する「庭屋一如」も陽の移ろいなどをきちんと計算して設計したという。
その他、冬温かく夏涼しい「快適涼暖システム」、業界最高クラスのU値0.198W/㎡・Kの「オールバリア断熱プレミアム仕様」、耐震等級3相当の一般在来と比較した場合の構造の変形を2分の1程度に抑えられる耐力壁「グランデバイス」を採用している。これも強調材料のはずだ。
玄関
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年間目標棟数はずいぶん控えめな数字だ。スタッフにプレッシャーをかけない配慮か。先の三菱地所ホーム「ORDER GRAN AKASAKA」は開設2か月で6棟の成約だ。「グランフォーラム石神井公園」はほとんど1億円以上だったにも関わらず4カ月くらいで完売した。
来年の今頃、芳井社長がどのようにコメントするか楽しみだ。
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プロジェクトとは関係ないが、ラガーマンだったからわかっていただけるはずだ。芳井社長にお願いしたいことがある。
RBA野球に参加しているチームの再生だ。今年の野球大会のベスト4は積水ハウス神奈川、旭化成ホームズ、住友林業、ミサワホーム東京ですべてハウスメーカーだ。このほか一条工務店もパナホームも決勝トーナメントに勝ち進んだ。大和ハウスは2勝3敗で予選敗退した。
これまでチームの最高記録は平成15年の第15回大会のベスト4入りで、その後は長期低迷が続いている。通算成績は28勝44敗、通算勝率.389。何ごとも負けていいはずはない。チームを応援し、檄を飛ばしていただきたい。
価格に見合う価値あり コスモスイニシア「グランフォーラム石神井公園」(2016/12/3)
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験(2017/10/30)
ポラス 全40現場332区画の大規模戸建て「西大宮」第1弾15戸を即日完売
「ワンリンク332プロジェクト」(左が最高価格住戸1号棟)
ポラスグループの中央住宅は11月17日、さいたま市西区で開発が進められているUR都市機構による「さいたま都市計画事業大宮西部特定土地区画整理事業(愛称:Liv-Field西大宮)」(施行面積115.5㏊、計画戸数4,010戸)の分散型分譲戸建て「ワンリンク332プロジェクト」の第1弾15戸が即日完売したと発表した。
物件は、JR川越線西大宮駅から徒歩18分~、さいたま市西区高木他に位置する全15棟(計画現場40現場、計画棟数332棟)。土地面積は135.10~200.00㎡、建物面積93.57~119.02㎡、価格3,780万~6,280万円。構造・規模は在来工法2階建て。
11月11日から販売を開始し、5棟に2~3倍の申し込み倍率が付くなど即日完売。総来場者は73組、うち市内が46組。購入者は20代の半ばから30代の半ばが中心。
計画現場が40現場、計画棟数が332区画であるように、これまで同社が得意としてきた一定規模以上の〝街づくり〟型ではなく、建設現場が区画整理地内に分散しているのが特徴。(なぜ大ロットで入札しないのかについてURは「ケースバイケース」としている)
商品企画では、リビングとつながるウッドパネルで仕切った「木箱の空間」、屋内外を結ぶ「インナーテラス」、最高天井高3.7mの「三角勾配天井」、最高天井高4m超の「勾配天井」、リビングサイドの小上がりの空間を設置した「タタミコーナー」、キッチンとマッチした木の風合いを持つ「造作ダイニングテーブル」「バックカウンター付き収納」など、きめ細かな提案を行っている。
17日に行われた報道陣向け見学会で、同社取締役・石井克利氏は、「全体で332区画という数字は当社グループ過去最多。今後2021年度までに販売していく。第1期が即日完売できて幸先よいスタートが切れた。このエリアではハウスメーカーなどとも競合するが、これまで当社グループは約100区画を分譲している実績があり、ノウハウの蓄積もできている。幅広いニーズに応えるため平屋を含めた商品構成にするほか、居住者のコミュニティ活動を継続して行っていくなど差別化を図っていく」と話した。
1号棟 ウッドデッキ&ポタジェ
1号棟 最高4メートルの勾配天井(左)とタタミコーナー
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同社の分譲戸建てはたくさん見学しているが、今回は「三角勾配天井」「勾配天井」など空間演出が巧みで、無垢材・挽き板を多用して木のぬくもりを表現している。
最高価格6,280万円の住戸は敷地面積が200㎡あるため価格が高い大きな要因だが、最高4m超のスギ材を貼った勾配天井と多目的に利用できる「タタミコーナー」がいい。玄関から入ったリビングの造作ダイニングテーブル、その奥の黒のアルミ手すりのデザインも抜群だった(ダイニングテーブルにフェイクと〝遜色〟ないドライフラワーを飾ってあるのは理解不能だが)
パステルカラーの内外装が特徴のモデルハウス 2号棟
2号棟 木箱
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見学会では、若い男女の社員2人が紹介された。女性は同社分譲さいたま事業部営業課営業推進係主任・吉田玲渚氏。今年12月から2020年の5月まで、クリスマスリースつくりや芋ほり体験、サッカー教室など多彩なワークショップイベントを担当するという。
この種のワークショップはイベント屋などに任せるケースが多い。自前で行うのは結構なことだと納得した。
驚いたのは、男性の戸建分譲第一事業部営業課西大宮PJ係・相島良亮氏(24)だ。「15戸のうち一人で6戸を契約した入社2年目のトップ営業マン」と、同社広報から紹介された。
この区画整理事業地内でどれくらいの宅地・分譲住宅が供給されたかわからないが、今の市況からしてエリア全体で年間100数十棟売れたらいいほうだと思う。なのに一人で6棟を短期間に契約するなど信じられない。しかも入社2年目というではないか。
「埼玉を代表する分譲地にする意気込みで臨み、接客ではお客さまとのコミュニケーションを大事にした」相島氏はこう語った-この熱意がユーザーに通じたのではないか。石井氏は「彼のコミュニケーション能力は天性のもの」と相島氏を評した。
相島氏は埼玉県加須市出身。
吉田氏(左)と相島氏
パーク・コーポとコラボ 空間デザイン秀逸 コスモスイニシアの戸建て「練馬田柄」
「グランフォーラム練馬田柄」
誰でもそうだろう。朝一番にいい仕事(取材)ができれば一日気分がいいものだ。昨日がそうだった。コスモスイニシアの分譲戸建て「グランフォーラム練馬田柄」がそうだ。モデルハウスの出来が出色で、最高天井高3.6mの空間演出に圧倒された。
物件は、東京メトロ有楽町線地下鉄赤塚駅から徒歩6分、練馬区田柄二丁目の第1種低層住居専用地域(建ぺい率50%=角地緩和区画60%、容積率100%)に位置する全11区画。土地面積は100.16~120.93㎡、建物面積は95.08~119.18、予定価格は7,000万円台半ばから9,000万円台。建物は平成29年9月までに竣工済。施工は西武建設。構造・工法は木造(枠組壁)・2階建て。分譲開始は11月下旬。
現地は、生産緑地も点在する住宅地の一角。都立光が丘公園へは徒歩15分。建物は全て2階リビングで、最高約3.6mの高天井を確保し、5畳大以上のグレーチングバルコニーを採用しているのが特徴。
グレーチングバルコニー
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最高天井高3.6mのリビングは、昨年見学した同社の「グランフォーラム光が丘公園」でも採用されていたが、より進化している印象を受けた。空間演出が抜群だった。
写真を見ていただきたい。モデルハウスは5号棟で、2階LDKの広さは約20.7畳大。床から天井まで本棚が設えてあり、ところどころに本物の観葉植物が置かれている。天井にはファンが回っている。リビングの陽が入る南西角には約5.4畳大のグレーチングバルコニー、北側には約2.4畳大のDENが配置されている。
1階の玄関・ホールの演出も見事だ。これも写真を見ていただきたい。写真では広がりがよく表現できていないが、シンメトリーの窓が美しい。同社はマンションもふくめて〝魅せる玄関〟に最近力を入れており、十分スペースを確保するとともに天然素材を多用、デザインにもこだわりを見せている。
細かな配慮では、2階の洗面室には物干しポールを、階段部分には下部収納をそれぞれ設置している。
モデルハウス
リビング
玄関
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見事な空間演出を引き立てているのが「GREEN DECORATION SARVICE(グリーンデコレーションサービス)」だ。パーク・コーポレーションの空間デザインブランド「パーカーズ」とコラボし、モデルハウスにはすべて本物の緑を配している。
記者はこれまで何度も「モデルルームやモデルハウスに下品な造花(フェイク)を置くな」と書いてきたが、同社の商品企画担当者も同じ思いなのだろう。
少し考えれば誰だってわかるはずだ。一流ホテルやレストランのテーブルに造花が置かれているかと。居酒屋だってそんな愚を犯さない。記者は二度とそんな店を利用しない。
別掲に昨年記事にした「石神井公園」「光が丘公園」を添付するが、ほとんどが1億円以上の「石神井公園」は完売まで半年かからなかった。マンションもそうだが、最近の同社の分譲戸建てはどんどんよくなっている。
モデルハウス(ダイニングテーブル)
野村不 全203戸の分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」に入居者用共用施設
「プラウドシーズン横濱洋光台」
野村不動産は11月2日、IHIと共同で開発を進めている分譲戸建て「プラウドシーズン横濱洋光台」(全203戸)に入居者向け共用施設「つながるHOUSE」をオープンしたと発表した。
「つながるHOUSE」は、マンションの共用設備を応用したもので、専任のスタッフが勤務(月・水・土/11:00~17:00)し、利用相談に応じるほか、コーヒーベンダーやFree Wi-Fi、スポーツ観戦などにも利用できる大型スクリーンを備える「コミュニティスペース」や「ライブラリー」「キッズルーム」を設置している。また、簡易トイレ、発電機、テントなどの防災備品を常備し、災害時の「防災拠点」にもする。
物件は、JR根岸線洋光台駅から徒歩17分(バス約5分)、横浜市港南区笹下4丁目に位置する敷地面積28,119㎡のIHIの社宅跡地の全203戸。建物面積は91.69~106.85㎡。構造・規模は木造2×4工法(2階建て)。施工は東急建設、西武建設。
第1期53区画の販売を2017年3月に開始し、同6月に完売となっている。11月上旬から第2期の販売を開始する予定。
「つながるHOUSE」
コミュニティスペース
効果てきめん 三菱地所ホーム 全館空調「エアロテック」記者も宿泊体験
「ORDER GRAN AKASAKA」
普段の行いがいいからだろうか、市場価格にして7~8億円はしそうな三菱地所ホームの富裕層向けモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」に泊めてもらうなどという千載一遇の僥倖にめぐりあえた。
なぜ可能になったのか。少し説明しよう。今年7月15日に遡る。この日、同社は赤坂ハウジングギャラリー内に建築した富裕層向けフラッグシップブランド「ORDER GRANオーダーグラン)」の第2弾のモデルハウス「ORDER GRAN AKASAKA」を報道陣に公開した。
同社オリジナルの全館空調「エアロテック」を搭載し、ホームスパ、ゴルフシミュレーター、シアターリビングなどラグジュアリーな空間を提案した延べ床面積57坪のモデルハウスなのだが、顧客向けに体験宿泊できるようにしているのが大きな特徴だった。
「エアロテック」は実際に体験してみないと真のよさが伝わらないという問題があるが、この問題を一挙に解決し、アッパーミドル・富裕層向けの需要を掘り起こそうという狙いが背景にある。
記者は、エアロテックが開発される20年くらい前から外断熱マンションや戸建てを精力的に取材してきた。環境問題を解決し同時に居住性能を高めるのに極めて有効だと考えているからだ。ずっと応援もしてきた。2002年の首都圏初の外断熱マンション、康和地所「 リリーベル両国北斎通りサーモス」には驚愕した。2006年の明豊エンタープライズ「シェルゼ木場公園」には快哉を叫んだ。
外断熱と全館空調は異なるが、365日24時間、居室はいうまでもなくトイレ、浴室、小屋裏まで温度が一定に保て、エアコンなどの光熱費が節約できる点では同じだ。全館空調はそれだけでなく、PM2.5や花粉対策としても有効で、とにかく快眠・ストレスフリーの空気空間を実現したのが特筆できる。
だから、会見場でも「エアロテック」をほめまくった。それだけではない。設置費用だけで1,000万円もかけた「ゴルフシミュレーター」を加藤博文社長(52)に実演してくれるように頼み、写真にも収めた。〝ナイスショット(ヨイショ)〟の声を上げたのだが、実際その通りだった。何と加藤社長はロペ倶楽部の488ヤードのパー5を見事パーセーブしたのだ。
加藤社長は、厚かましい遠慮というものを知らない記者が「泊めてください」と言わんばかりの物欲しげな表情を浮かべていたのを気の毒におもったのか、「泊まっていいよ」と話した。
〝しめた〟と思う一方、〝猫に小判。お前みたいな貧乏人が56坪もある贅沢な空間をどう使うのか、その価値がわかるのか〟とささやくもう一人の私がいた。結局、後者が勝った。〝あれは冗談〟と聞き流すことに決めた。それくらいの分別は持ち合わせている。
ところがだ。その後の三菱地所グループの記者懇親会でも加藤社長から宿泊体験を勧められた。これを断るのは失礼だと決断し、がけから飛び降りる覚悟を決め、今回の宿泊となった。
浴室
ゴルフシミュレーター(写真は加藤社長、記者写す)
2階リビング
◇ ◆ ◇
前置きがずいぶん長くなったが、経緯はよくわかっていただけたはずだ。自分が確信を持てなければ、人の心を揺さぶる記事など書けない。以下は嘘偽りない体験記だ。
まず、冒頭にあげた「市場価格にして7~8億円」の根拠を示す。
モデルハウスが立つ「赤坂7丁目」は第二種中高層専用地域と第二種住居地域にまたがっており、建蔽率は60%、容積率は300~400%。赤坂7丁目には地価公示の調査地点はなく、同じようなエリアの赤坂6丁目は坪743万円だ。
モデルハウスを建てるためには少なくとも50~60坪の土地が必要だから、土地代だけで3.8億円から4.8億円だ。建物は建築費だけで坪200万円以上。敷地の道路を挟んだ対面には三井不動産レジデンシャルが9年前に坪単価551万円で分譲した「パークコート赤坂 ザタワー」が建っている。
これらから類推して、仮に分譲すれば10億円は無理だろうが、最低で7億円、妥当な値段として8億円くらいではないかとはじいた次第だ。
玄関(記者写す)
玄関ホール(記者写す)
◇ ◆ ◇
宿泊したのは10月25日。この日の東京の最高気温は18.2度、最低は13.4度。全館空調を体験するには〝絶好〟の寒さだった。朝、自宅を出るときの洗面所の温度は18度だった。
チェックインした午後6時の屋内は1階が22度、2階が20度にセットされていた。チェックアウトの26日9時前も廊下、洗面所、小屋裏収納を含めてほとんどこの温度は変わっていなかった。26日の外気温は最低10度と記録されている。
この時期、57坪の住宅内の温度を20~22度に保つためにはエアコンだったらどれだけ使うか、月額にしたら数万円でも足りないだろうと考えた。
音も全くしなかった。送風で空気が揺れる気配もなかった。結露もまったくなし。睡眠時間は5時間くらいか。床についてすぐ眠りに落ち、普段は寝覚めが悪いのに6時ころに自然に目が覚めた。木や天然素材の床材、壁材が快眠に効果があるという研究の通りだと思った。
嘘だろうという人がいるかもしれないが、木などの自然素材を採用した室内はケミカル製品と比べて眠りが深く、ストレスもない、仕事がはかどるという効果てきめんの研究成果が報告されている。
ゴルフシミュレーターも挑戦した。記者は50歳の時ゴルフをスパっとやめた。以来18年間、一度もクラブを振ったことはない。しかし、せっかくだからとセント・アンドリュースの385ヤードのパー4を試みた。
ドライバーはやや右にそれたが幸運にも208ヤード飛んだ。残り約180ヤード。得意の5番アイアンで挑んだが、球は左にそれ計測不能。そのあと7番も試したが同じだった。ここで怪我でもしたら大変と断念した。(記者はかつて、第2打をティーグランドの後方から打ったことがある。ドライバーで打った球が地を這うように飛んだかと思ったら、20~30ヤード先の突起物に激突して、きれいな弧を描いて記者の後方数ヤードくらいに落ちた。あの時ほど恥ずかしく誇らしく思ったことはない。
挑戦は失敗したが、世界の名門コースを疑似体験できるのだから、ゴルフ好きは病みつきになるのは容易に想像できる。オプションだが、宿泊客には1時間25,000円でプロが指導してくれるという。
シャワー室&ジャグジーバス。この種の設備は利用したことがあるが、2層もある観葉植物・吹き抜け付きというのは初めてだった。主寝室とリビングはそれぞれ19.2畳大。鍵がかかっているダイニングのウイスキー棚の中にはそれほど高価な酒は入っていないそうだ。
中身はともかく外見を美しく見せようとするご婦人方向けオプションには120分22,000円のアロマトリートメントや150分28,000円の「ザ・美ラックス」サービスもある。
設備仕様では、黒御影石の外壁、ゼブラウッド(シャム柿か)の玄関把手、高級材のスクピラの挽き板フローリング、ジャクソンの浴槽、Miele、HANSAなどの家電・水栓などが美しい。
居住環境が人格形成に大きな影響を及ぼす。お金持ちだけでなく、一般人がこのような住宅に住めるような世の中にならないか…それからしばらく考え続けた。
ダイニング(記者写す)
階段下(記者写す)
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ここが肝心なところだ。同社によると7月22日から9月30日の期間で宿泊体験は14件18組。このうち成約に至ったのが9件で成約率は約65%。セミナーなどを通じて成約に至るのは50%くらいだそうで、宿泊体験は販売促進にも効果があることが数字に表れているという。
「音・空気 環境価値」が重視される時代になってきた。体験宿泊も含めたこれまで得られた顧客データが大きな武器になる。同社はまた、マンション用の「新マンションエアロテック」と定額制のスケルトンリフォーム「Re Dia (リディア)」の発売も開始した。事業を一挙に拡大するチャンスだ。
エアロテック機械室(記者写す)
※写真は「記者写す」以外は全て同社提供
勝負に出た 三菱地所ホーム エアロテック+フルリフォームで1,100万円(2017/10/20)
音がしない」「静か」 三菱地所レジ エリア最高値「二子玉川碧の杜」に高い評価(2017/10/13)
三菱地所を、見に行こう。地所ホームで家を建てよう〟赤坂に素晴らしい施設(2017/7/13)
価格は〝旧価格〟レベルはトップクラス 三井不動産RD「パークコート赤坂 ザ タワー」(2008/4/23)
億ション住人を実感 明豊「シェルゼ」体験宿泊(2006/6/19)
人気必至 明豊の外断熱「シェルゼ木場公園」(2006/10/3)
三菱地所ホーム 家の中に自然の中低木 最新モデルハウス「ONE ORDER」横浜に開設
「ONE ORDER(ワンオーダー)」モデルハウス
三菱地所ホームは10月21日(土)、同社オリジナルの全館空調システム「エアロテック」を搭載した最新モデルハウス「ONE ORDER(ワンオーダー)」をtvkハウジングプラザ横浜内にオープンする。
ファサードは、レンガと木を組み合わせた自然な素材感を醸し出す外装と大開口サッシで構成。
内部空間は、約6畳大の空間に2階まで届く自然の中木を配した「グリーンガーデン」を提案。「光天井造作」と「グリーンガーデン」を配することで光と緑にあふれたカリフォルニアモダン風にまとめている。
また、三菱グループの小岩井農場(岩手県雫石町)で産出したスギ、ヒノキ、アカマツなどの原木を構造材として採用することで国産材化率を80%に高めているのが特徴。延床面積は277.30㎡(83.88 坪)。
グリーンガーデン
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「グリーンガーデン」の提案がいい。玄関を入った正面にそれが配置されていた。広さは約6畳大。本物のゴムノキ、ベンジャミン、カポック、エバーフレッシュなど数えきれないほどの中低木、地衣類(一部はフェイク)が植わっていた。実際は鉢植えなのだが、地衣類などで覆っているので自然のままのような印象を受ける。緑の効用など今更言うまでもないことだ。
光源はLEDと光幕から採っているが、光合成に問題がないよう調節しているとのことだった。費用は約100万円。
報道陣からは「虫が付かないか」の質問が飛んだ。確かに虫嫌いの夫、または妻がいる家庭は虫の飼育はよしたほうがいい。不和のもとになる。
仲が良くてもカエル、アリ、クモ、ミミズ、ヘビなどは無理だろうが、スズムシ、マツムシ、コオロギ、ホタルなどを飼育できる環境にしたら素晴らしいのではないか。三菱地所レジデンスが小金井のマンションで採用した水琴窟は最高にいい。自然の太陽光を取り込むこともそのうちに開発される。
三井ホーム 全館空調&IoT技術融合 国交省サステナブル先導事業に採択
三井ホームは10月11日、「温湿度バリアフリーで『健康・安心・らくらく』ホームプロジェクト」が国土交通省の「平成29年度サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)」に採択されたと発表した。
同プロジェクトは、高気密、高断熱な住宅にダクト式セントラル空調システムとIoT技術を組み合わせて、温度・湿度・空気のバリアフリー化を図り、室内の寒暖差により生じるヒートショック等を防ぎ、健康で安心な住環境を提供するほか、室内のホコリの堆積を抑制し、掃除回数を減らし、屋外から遠隔操作で空調、風呂設定、照明などを操作することにより、家事負担を軽減する。
補助金額は1棟あたり上限300万円まで(標準住宅との差額の2分の1を上限)。補助金対象棟数は100棟。
これはいい 2階主寝室-小上がり-バルコニーの空間演出 ポラス「南大泉Ⅰ」
2階主寝室の「アウターリビング」
9月11日付当欄でポラスグループ中央住宅の「マインドスクェア南大泉Ⅰ」の敷地延長住宅を紹介したが、今回は同じ分譲地内の2階「アウターリビング」付き住宅を紹介する。
西武新宿線武蔵関駅より徒歩14分、練馬区南大泉1丁目に位置する全7棟現場で、「アウターリビング」付き住宅は敷地面積110.11㎡、建物面積103.13㎡、価格6,450万円。
2×4工法より強度が高い2×6工法を採用し、同社の標準仕様である1階天井高2.7m、サッシ2.2m、天然木挽き板フローリング、同社オリジナルのウッドパネルを採用しているのが特徴。
「アウターリビング」はもはや説明するまでもなく一般化している。読んで字のごとく外部空間をリビングに取り込んだプランだ。つまりリビングと一体利用できる空間のことだ。
ところが、中央住宅が「アウターリビング」と呼んでいるのは、2階の南側に配した主寝室(8.9畳大)に約30センチの小上がり部分の広さ2畳大強の空間を設置し、さらにその南側の4畳大のウッドデッキ付きのバルコニーと一体利用できるようにしているものだ。
小上がり部分の天井や壁には同社オリジナルの無垢の「デザインウォール」を採用している。
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これを見てなかなかやるなと思った。リビングと一体のアウターリビングはたくさん見学してきたが、2階の主寝室-小上がり-バルコニーと一体利用できる大空間を演出しているのは初めてだ。
小上がり部分で昼寝をするのも読書をするのも、また趣味の作業場とするのもよい。バルコニーも広いので日向ぼっこをしたりタバコを吸ったりするのにもいい。
問題は、「アウターリビング」などと手垢のついた文言でしか表現できていないことだ。様々な用途に利用できるこの空間を的確に表す言葉を考えるべきだろう。夫婦仲がよくなる〝和合の間〟では古臭いが、とにかくそのような意味を込めたネーミングを考案してほしい。些細なことだが、小上がり部分の天井に物干しポールをつけているのはいかがなものか。夫、又は妻の下着をぶら下げてどうする。せっかくの雰囲気が台無しになる。
もう一つ。せっかくの大空間なのだから、ミニキッチンを設けてはどうか。隣のトイレから水をくむのはためらわれるはずだ。
ついでにもう一つ。同社の戸建てだけではないが、2階のバルコニーに出るには掃き出し窓をまたがなければならない(大和ハウスのxevoΣフラット)。
これは品確法や瑕疵担保保険の施工基準で床から12センチ立上りまで防水面を施すことが求められているからだが、これはバルコニーの床面をそれだけ下げれば解決するはず。
そうすれば階下の天井高に影響を及ぼし、さらにコスト高につながるのを承知の上でフラットにすることを提案したい。ポラスグループはもともと1階リビング天井高2.7mを標準化しているではないか。2階のバルコニーがみんなフラットになったら、居住性がはるかに高まるはずだ。
バルコニーにウッドデッキを敷きサッシとの段差を解消している
大和ハウス 天井高+スペックで№1目指す 天井高3mの防音室付きモデルハウス開設
「平沼xevoΣ展示場」
大和ハウス工業は9月23日、日本最多棟数を誇る住宅展示場「tvk ハウジングプラザ横浜」に天井高3.08mの同社オリジナル「防音シアタールーム」付きモデルハウス「平沼xevoΣ展示場」をオープンする。21日、メディア向けに披露された。
「防音シアタールーム」は、二重窓・二重ドアを採用した約13.4畳大の広さ。天井高3.08mは、基礎断熱工法を採用し、リビング・ホールの床面より36センチ低くして実現した。同社は昨年、新築とリフォームで約300棟の防音室を受注しており、業界トップのヤマハについで2位という。
見学会で商品企画について説明した同社住宅事業推進部商品開発部長・藤原 陽介氏は、「リビング天井高2.72mは4年前にオプションとして導入し、昨年に標準化したが、いまでは採用率は75%を超えている。今回は36㎝床面を下げることでシアタールームを3.08mにした。ドア高も2.72mとし、サッシ高も上下2つのサッシを組み合わせて大開口とした。防音室は、従来の〝狭くて暗く(価格が)高い〟イメージを払しょくする〝広くて明るく求めやすい〟を実現した」と話した。
また、同社横浜支社住宅事業部長・金田健也氏は、「今後はxevoΣなどの中高級の拡大と非住宅の拡販に力を入れて、戸建てでシェア№1を目指す。一棟単価は2年前と比べ約1,000万円高い約4.800万円に上昇した。天井高はモノサシの戦い。必ず他社が追いついてくる。スペック、コンサル営業に力を入れることがシェア№1を達成する唯一の方法」などと語った。
リビング
天井高の違いを示すシール
◇ ◆ ◇
ご存知のようにtvk ハウジングプラザ横浜は45社が出展する日本最大の住宅展示場だ。様式も和、洋、折衷、多国籍、無国籍何でもありで、形状もまるでルービックキューブ、レゴのようで、色彩といえば万国旗、満艦飾そのものだ。住宅展示場の集客力が落ちてきており、派手さで他社を出し抜こうという浅はかな狙いはエスカレートする一方だ。記者は訪れるたびに歌舞伎町の歓楽街(キャッチバーに捕まり多額ではないが少額でもないお金を払ったことがあり、それ以来足を向けない)や雄琴の温泉街(車中から眺めただけで行ったことはない)を思い出す。歩くのも恥ずかしくなるほどだ。だから住宅展示場は好きになれない。
取材を終え、このように考えながら歩いていたら、「牧田さん」と後ろから声を掛けられた。客引きではないかとビクッとして振り向くと、何と先日のRBA野球大会で決勝トーナメント進出を決めたS林業のYさんで、名字はまたかの遊郭街として知られたYと一緒。
馬鹿なことを考えていたからだろうが、グラウンドでのユニフォーム姿とは全く異なるYさんの美男子ぶりに記者は惚れ惚れした。毎年1,000名くらい参加するRBA選手とは比較にならないほど凛々しい。眉目秀麗とはこのYさんのような男のことを言う。プロ野球でいえば西武・金子クラスだ。Yさんのすごいのは、野球ができるということにとどまらない。本業でも同社の全国ベスト3に入る営業マンだと同僚から聞いている。(大和ハウスさんももっと野球に力を入れてほしい。ハウスメーカーではS林業にもSハウス、Aホームズ、Mホームなどに全然歯が立たない)
冗談はここまで。「平沼xevoΣ展示場」の外観はとてもいい。「えっ、このモデルハウスはS不動産の外観と〝そっくり〟じゃないの」これが記者の第一印象だった。ブラウン・セピア色の彫の深い軒先が特徴だ。
記者は木造ファンなのでここの展示場で一番好きなのはMホームの丸窓付きで、あとは機能性も加味してS不動産、Sハウス(2社とも)、S林業、I工務店などだ。地元密着で展開するN社も応援したい。それらと比べても今回のモデルハウスは引けを取らない。端正な姿が美しい。
そして最大の売りの一つであるリビング天井高2.720+80=2,800ミリだ。記者は結構これくらいの天井高を確保したマンション、戸建てを見学しており驚かないのだが、一般的な2,400~2,500ミリの住宅に住んでいる人は驚くに違いない。この〝㎥の価値〟をどれだけアピールできるかだが、これからは他社が追随するのは必至だ。
もう一つの売りの快適防音室「奏でる家」は、スグレモノであるのは間違いないが、記者自身あまり関心がないので正直よくわからない。
それより強調したいのは、2階バルコニーの吐き出し窓がフルフラットであることだ。これを標準化しているのは同社だけのはずで、これも他社が追随する動きにでると見ている。
一つ注文を付けるとすれば、天井の高さをわかりやすく体験できる工夫だ。2,800ミリのリビング天井高、1,800ミリの階段下書斎スペース、約4,000ミリのラウンジなどはそれぞれ独立型になっているが、これらを連続させて一体型にすれば、より高い天井高が体験できる。最近見学したポラスの分譲戸建ては2,700ミリのリビングと2,400ミリのキッチン・ダイニングとをスキップフロアにして、リビングの高さを一層際立たせていた。
藤原氏にこのことを伝えたら、「関西では連続性を持たせたものをつくっている」とのことだった。
自然素材を多用しているのも特徴の一つ。ホールには大谷石、リビングには石英、床はナラ、タモ材。このほかヘリンボーン、ナグリ仕上げもある。軒先は約3m。坪単価は135万円だそうだが、天井高、仕様レベルから判断して安いと記者は思った。
三層の空間(左)と「防音シアタールーム」
2階居室(居室とバルコニーがフラットであることがよくわかる)