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「プレミスト白金台」完成予想図

 「地価公示日本一」の「プレミスト六番町」の陰に隠れてしまいそうだが、大和ハウス工業「プレミスト白金台」もまたなかなか意欲的な物件だ。

 物件は、東京メトロ南北線白金台駅から徒歩1分、港区白金台三丁目に位置する12階建て全33戸(非分譲住戸3戸含む)。普通借地権分譲で、専有面積は75.24~90.24㎡、価格は未定だが坪単価は600万円~700万円。竣工予定は平成29年3月上旬。施工はフジタ。販売代理は三井不動産レジデンシャル。デザイン監修は内井昭蔵建築設計事務所のアソシエイトであった向井裕氏と宮澤俊一氏のデザイン・ファーム合同会社。

 現地は、敷地南側に位置する345年の歴史を持つ土地所有者の瑞聖寺に隣接。眼下に瑞聖寺の緑が眺められる。

 建物は1フロア3戸構成で、プランは中住戸の75㎡と角住戸の90㎡のプランからもわかるようにシンメトリーなのが特徴。目黒通りに面した北側は、植栽ユニットを積み上げ、緑と調和する深みのあるせっき質タイルを採用。さらに建物のセンタラインとバルコニー手すりは樹木をモチーフにしたアルキャスト(鋳物パネル)で演出している。

 内外装は、近接する旧朝香宮邸(東京都庭園美術館)のアール・デコ建築様式を取り込んでいるのが大きな特徴。エントランス・ホールには高度な技術が必要で、できる職人がほとんどいないという左官仕上げの版築壁を採用。エントランス床には那須野石や樹齢70年のエノキのベンチアートを配置。専有部分もアール・デコの様式をふんだんに用いている。

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部屋からの眺望

「地価公示日本一」六番町にフェルメールを見た 大和ハウスが億ション(2016/3/14)

カテゴリ: 2015年度

 国土交通省が「マンション標準管理規約」を改正したことは既報の通りだが、先日(3月17日)行われたマンション管理業協会の記者懇親会で「議決権割合」について質問が飛んだ。「価値が低い人に(議決権を)合わせるのはかえって不公平。タワーマンションをたくさん分譲している三井さんはどうですか」という質問もあった。

 これに対して、岩田龍郎副理事(三井不動産レジデンシャルサービス会長、三井不動産レジデンシャルサービス会長)は「お客さまがどう考えられるか。もう少し検討しないといけない」と導入に否定的な考えを示した。

 規約改正では、第46条の③に新築物件における選択肢として、総会の議決権(及び譲渡契約時の敷地の持ち分割合)について、住戸の価値割合に連動した設定も考えられる旨の解説を追加した。その解説として「この価値割合とは、専有部分の大きさ及び立地(階数・方角等)等を考慮した効用の違いに基づく議決権割合を設定するものであり、住戸内の内装や備付けの設備等住戸内の豪華さ等も加味したものではないことに留意する。また、この価値は、必ずしも各戸の実際の販売価格に比例するものではなく、全戸の販売価格が決まっていなくても、各戸の階数・方角(眺望、日照等)などにより、別途基準となる価値を設定し、その価値を基にした議決権割合を新築当初に設定することが想定される。ただし、前方に建物が建築されたことによる眺望の変化等の各住戸の価値に影響を及ぼすような事後的な変化があったとしても、それによる議決権割合の見直しは原則として行わないものとする」としている。

 この問題については、昨年も記事にしたが、「価値割合」に応じて議決権を設定することは選択肢としてはあるかもしれないが、価値基準もあいまいで、仮に導入すればコミュニティの崩壊にもつながりかねないもはらむ。推進派の危険な思想が見え隠れする。もう一度、警鐘を鳴らす意味で書く。

◇       ◆     ◇

 前回でも価値割合による議決権について具体例をあげて書いたが、もう一度、具体例をあげて説明する。

 昨年、三井不動産レジデンシャルが分譲して圧倒的な人気で完売した「パークコート赤坂檜町ザ タワー」の価格は1億4,920万~15億円で、専有面積は57.61~203.96㎡だった。最低価格と最高価格を価格差にすると1:10で、専有面積比率だと1:3.5となる。

 さて、ここで何を基準に価値割合を導けばいいか。国交省は単なる専有面積割合ではく、設備機器のグレードは含まないというから、価値割合は1:10でも1:3.5倍でもない。

 もうこの先は分からないのだが、階数による価値の差について考えてみよう。一般的なタワーマンションは階数が高いほど価格は高いが、これが普遍の原理かといえばそうではない。都心部などでは超高層マンションなどお互いが〝お見合い〟するケースが少なくなく、階数が高いほうが将来にわたって眺望・日照などが確保される可能性が高い。

 しかし、用途地域、地区計画(これも未来永劫ではないが)などによって、敷地前面に高い建物が建たないと想定される場合や、価格を高くすると売れないという市場のニーズを考慮して低層階も高層階も価格差をあまり設けないケースもある。眺望・日照の価値は個別性が高く測るのが極めて難しいということだ。

 海が好きな人は海が見えることに価値を見いだすし、山が好きな人は北向きでも山側を選ぶかもしれない。西陽が嫌いな人は東向きを選ぶかもしれない。需要者ニーズは千差万別だ。だからデベロッパーも値付けに苦労するのだ。

 設備仕様は、価値判断に加えないというのは分からないではないが、マンションの価値はまさにこれにある。ケミカル製品の壁や床材と比べ無垢の建具・壁・床がいいのはいうまでもない。デベロッパーはここに付加価値を付ける。商品企画・販売担当者の腕の見せどころだ。この価値を無視してマンションの価値は果たして測れるのか。

 眺望などの事後変化を考慮しないというのもわからない。事後変化によって眺望・日照阻害がないことがマンションの資産性を高める。事後変化を考慮しなければ、マンションの価格など決められないし、ユーザーはこの事後変化を物件選考の際に重きを置くべきだ。

◇      ◆     ◇

 これまで書いたように、価値割合の導入は極めて難しいことが分かったはずだか、仮に1:7くらいで採用するとしよう。管理費もその価値割合に応じて差を設けたとしよう。

 そうなった場合、ゲストルームの申し込みはどうなるのか。高額住戸居住者は「管理費を多く払っているのだから、共用部分の使用・利用も差をつけるべきで、ゲストルームを優先的に使わせろ」というかもしれない。

 そんな事態にはならないだろうが、先の「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(座長:福井秀夫・政策研究大学院大学教授)で価値割合を主張された方はそのようなことが理に適っていると考えている人だ。このような「経済価値」を重視する動きをネオリベラリズムと呼ぶ。組合は四分五裂、コミュニティは崩壊し、低層階に住む人は高層階に住む人を妬み、高層階の住人は下層階の居住者を蔑む風潮がマンションを支配する。合意形成は絵に描いた餅-というより「価値」の高い住戸に住む人に権力を集中させようという考えだ。

問題はらむ議決権割合に価値割合の導入 マンション管理検討会(2015/4/7)

 

 

 

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「BrilliaTower上野池之端」完成予想図

 東京建物は3月19日、東天紅本店跡地のタワーマンション「BrilliaTower上野池之端」のモデルルームをオープンする。資料請求はこれまでに4,000件を突破しており、来場予約も900件を超えている。眼下に不忍池、上野公園が広がる立地にユーザーがどのような反応を見せるか。価格は未定だが、坪450万円くらいと見られ、かなり抑制気味だ。

 物件は、東京メトロ千代田線湯島駅から徒歩4分、JR山手線上野駅から徒歩10分、台東区池之端一丁目に位置する総戸数361戸(うち35戸は非分譲)。専有面積は41.21~127.96㎡、価格は未定だが、不忍池・上野公園が見下ろせる東側住戸は70㎡前後で約1億円。坪単価は450万円程度だと思われる。竣工予定は平成31年3月末。設計・施工・監理は三井住友建設。分譲開始は6月上旬。

 現地は、敷地東側の不忍通りを挟んで不忍池、上野公園とつながっている東天紅本店跡地。旧岩崎邸、東大本郷キャンパスもすぐ近く。東天紅は敷地南側にあったゴルフ練習場に新館を建築、昨年オープン済み。

 建物は、都の総合設計制度の適用を受け、指定容積率600%から865%へ容積緩和を受けている。制振構造を採用。

 住戸は3階以上で、標準階は1フロア11戸。上層2層は6戸。リビング天井高2800ミリの142㎡のプレミア住戸の価格は2億円台の後半になる模様。

 ファサードデザインは日建ハウジングシステム、共用部分デザインは乃村工藝社。コンセプトは周囲に点在する歴史・文化施設との調和。格子、障子などの伝統的なデザインを多用している。

 15日に行われた記者見学会で、同社プロジェクト開発部長・田代雅実氏は、「旧東天紅本館の建て替え事業の一環で、歴史・文化・伝統が肌で感じられる地に制振構造を採用。2層吹き抜けのラウンジ、東天紅のケータリング、デリバリーのほか、居住者は会員価格で利用できるサービスも付加する。品格を備えたランドマークにする」と語った。

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スカイラウンジ

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 目が飛び出る、白黒するくらいの価格を「「BrilliaTower目黒」で付けた後だけに、今度は湯島・上野の一等地でどのような価格を設定するのか注目したが、「単価は未定」と関係者は口を閉ざした。

 何とか堅い口をこじ開けようとあの手この手のからめ手で攻め、東向きは坪470万円くらいになることを聞き出した。北側や西側の低層階のコンパクトタイプは300万円台の後半もありそうだ。全体的にはかなり抑制した単価設定になるのではないかと思われる。やはり「目黒」と「湯島」とはブランド力が違うということか。記者は不忍池が大好きだ。木陰で蓮の花を眺めていると飽きない。

 モデルルームは、次の取材も入っており、同社もセットした時間が20分くらいしかなかったのが残念。3タイプあり、61㎡は辻昌克氏、83㎡は鈴木ふじゑ氏、127㎡は宮里貴司氏がデザイン。127㎡ではグレイッシュ・ダークブラウンの突板パネルや小上がりのタタミコーナー、玄関ホールの坪庭が目を引いた。

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オーナーズスイート

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ガーデンスクエア

モリモト「文京本郷台」 デザインは「本郷弓町」と同じ今井氏&鬼倉氏(2015/12/1)

不忍池に隣接した三井不RD「パークタワー上野池之端」(2009/10/30)

 

 

 

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「プレミスト六番町」完成予想図

 大和ハウス工業が近く分譲開始する「プレミスト六番町」と「プレミスト白金台」を見学した。前者は坪単価800万円以上、後者は700万円(借地権付き)近くになると予想され、同社のマンションでは最高単価1位、2位になるが、価格だけでなく品質の上でも間違いなく新しい歴史を刻む物件になると見た。

 まず「プレミスト六番町」から。物件は、中央本線四ツ谷駅から徒歩5分、千代田区六番町に位置する地下1階地上16階建て全46戸(非分譲2戸含む)。専有面積は54.45~144.72㎡。価格は未定だが、坪単価は800万円を突破する模様。竣工予定は平成29年8月下旬。設計・施工・監理は三井住友建設。デザイン監修はミサワアソシエイツ(三沢亮一氏)。販売代理は三井不動産レジデンシャル。

 現地は、駅を降りてすぐの外濠公園-雙葉学園を通って徒歩5分。敷地南側は千代田区立番町小学校。敷地北側は幅員約14mの道路と東京中華学校の敷地と外濠公園に続く。南北に眺望が開けている住宅・ビル街の一角。現地から60mの地点に平成27年度の「地価公示日本一」の「六番町」がある。

 建物は、千代田区の総合設計制度の適用を受け容積規制の緩和を受けている。周辺の建築物と調和するように西洋建築の美を象徴するシンメトリーの外観と石造りの重厚なデザインが特徴。分譲住戸は3階以上で、1フロア2~4戸。キッチン、洗面扉、フローリングは突板。

 販売を担当する同社東京本店マンション事業部営業部第一課 販売事務所長・金城智杓氏は、「今年の地価公示で日本一になった六番町にふさわしいマンションを造ろうと考えた。モデルルームをオープンしたばかりだが、4億4,000万円台から4億8,000万円台の4戸全てを含み、すでに半数以上の要望が入っている」と早期完売に自信を見せている。

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リビング(左)とドレッシングルーム

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 同社の高額マンションの最高峰は後にも先にも2005年に分譲した「ディーグランセ南青山ハイヴァリー」しかないと思っていた。建築家・新居千秋氏が設計・監理を担当した。

 先日行なわれた同社の記者懇親会で同社常務執行役員 マンション事業推進部統括部長・高井基次氏から「六番町」と「白金台」の見学を勧められたときも半信半疑で聞いていた。〝三井や三菱レベルには程遠いだろう〟と。

 ところが、「六番町」の販売サロンに入ってすぐ〝ひょっとすると本気で億ションを考えているのかも〟と感じた。富裕層をもてなす雰囲気が漂っていた。

 そして、物件の説明を聞くうちに本気度がひしひしと伝わり、実際にモデルルームを見て、これは本物だと実感した。「地価公示日本一」にふさわしいレベルの高いマンションだ。販売代理として名を連ねる三井不動産レジデンシャルの「パークマンション」クラスに近い。同社のマンション事業に新しい歴史を刻む物件だと思う。

 とにかく美しい。それはシンメトリーの北側外観デザインに端的に表現されている。二層を一つにした連窓と縦横のマリオン・格子窓を東西両端の大判石張りの外壁がきりりと引き締めている。エントランスは2層吹き抜け。ラウンジ正面には石とガラスのカスケード(オブジェ)が設置されている。

 そして、なにより美しいのが2ボウルのパウダールームだ。入ったとたん、得も言われぬ光彩を放つブルーの収納に記者は射すくめられた。三沢氏が直々に選んだカラーだそうで、まさにあのフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のブルーだと記者は見た。

 設備仕様レベルも高い。玄関ドアはオークの白目止め突板鏡面仕上げ。玄関横の壁はハンマートーン仕上げ。エントランスホールの壁は1㎡当たり8万円もするというイタリア製のタイル、階高は3210~3410ミリ、天井高は下層階で約2650ミリ、上層階は約2800ミリ。

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テラス・デザインウォール(左)と共用部分

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 金城氏について紹介したい。記者が初めて金城氏に会ったのは8年前。金城氏が28歳のときだった。デザインが最高に素晴らしかった「プレミスト浜町」を担当されていた。ほとばしる熱気・情熱に「こういう人が大和ハウスのマンション事業を支えるのだろう」と確信した。

 その翌年、やはり人気になった「神楽坂」でばったり出会った。金城氏はその後、坪単価550万円の「プレミスト南青山」(84戸)、坪単価552万円の「プレミスト九段」(47戸)を担当。いずれも早期完売に導いた。金城氏はいわば同社のヒットメーカーだ。

 金城氏は、「『南青山』『九段』があるからこそ今回の『六番町』がある。利益重視よりお客さま重視」と殊勝なコメントを残した。

 樋口会長! どんなに腰が痛くとも、這ってでもこのマンションを見るべきです。売上げ3兆円企業にふさわしい本物の億ションです。

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エントランス

後姿が美しい 大和ハウス工業「プレミスト神楽坂」(2011/11/28)

大和ハウス「プレミスト日本橋浜町リデアル」(2010/3/3)

大和ハウスが青山で驚嘆の億ション(2005/4/20)

カテゴリ: 2015年度

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「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルの売れ行き好調マンション「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」を見学した。昨年12月に分譲開始された全92戸(分譲は89戸)の規模だが、この週末には残り38戸が一挙に分譲され、完売になる可能性が高い。最近激減している総合設計制度の適用も受けており、坪単価600万円も割安感がある。

 物件は、都営新宿線市ヶ谷駅から徒歩4分、東京メトロ有楽町線・南北線市ヶ谷駅から徒歩6分、JR中央線・総武線市ヶ谷駅から徒歩7分、千代田区三番町に位置する18階建て全92戸(事業協力者住戸3戸含む)。最終期(38戸)の専有面積は53.94~86.22㎡、価格は8,090万~17,400万円(最多価格帯9,000万円台)、坪単価は600万円。入居予定は平成29年12月上旬。設計・施工・監理は錢高組。最終期の抽選は3月12日(土)午後3時。

 現地は、物件名に〝ヒルトップ〟と名付けられているように南側の土地が低くなっており、そこに九段小学校と、敷地南側には東郷元帥記念公園がある。千代田区の総合設計制度の認定を受け、地区計画の高さ規制50mより10m高い容積緩和を受けている。制度iに適合するように専有面積を50㎡以上とし、4方に公開空地を設け、防災性能を高めているのが大きな特徴。

 建物は、足元から最上階まで縦のルーバーを配し、和テイストの格子を多用。外構部には庵治石や本小松石を使用し、エントランスにはオリーブグリーン、バニラ・ホワイトなどの自然石を採用している。

 住戸プランはワイドスパンが特徴で、ホール・廊下幅を1m~1.3mくらい確保しているタイプも多い。天井高は基本タイプが2600ミリ。

 モデルルームには、「バニラ・ホワイト」(白御影石)「タイブオブ・アジャックス」(ギリシャ産)「オバンコール」(高級家具材)などの天然石・突板がふんだんに用いられている。

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 分譲開始からわずか3カ月少しで完売になる勢いがすべてを物語っている。設備仕様レベルが高いのは言うまでもない。その割には坪単価が安い(というより他が高いのか)。同じ番町エリアや周辺物件の分譲単価はこの物件よりことごとく高い。同業他社にしてみれば、このマンションが早く売れてしまったほうが、売りやすいということだろう。それとも同社は割安感をアピールすることで、他社に傾きかけている流れを一挙に引き戻そうとする戦略か。

 明日は、同社が販売代理となっている大和ハウス工業「プレミスト六番町」と「プレミスト白金台」を見学する。大和ハウス常務執行役員 マンション事業推進部統括部長・高井基次氏が自画自賛した物件で、今回の「パークコート三番町ヒルトップレジデンス」の販売担当者も「『六番町』のモデルルームを見ましたが、天然石をたくさん採用しておりものすごい」と話している。

 記者が気になっている英国大使館から返還予定の一部敷地(約7,000㎡)はマンションなら坪1,000万円をはるかに突破すると見ていたが、国民公園皇居外苑の一部となることが決まっている。

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 この物件は都の総合設計制度の適用によって緩和措置を受けていることを書いた。ここで総合設計制度について一言。

 都は平成22年に総合設計制度を大幅に改正した。「環境先進都市東京」を目指すため、単に公開空地を確保するだけでなく、空地の質、住宅性能や建築物の環境性能をより重視することを求めた。

 当時、デベロッパーからは規制が厳しすぎ、容積緩和を受けて建物を上に伸ばすメリットがなくなったという声が多く寄せられた。

 この声が的を射ているかどうかわからないが、その後、制度適用建築物は大幅に減少している。改正前の平成20年は改正を前にした駆け込みもあるが、30件に上っていた。改正後の平成22年には10件に激減し、23年8件、24年5件、25年4件、26年10件、27年6件と10件以下で推移している。この4年間で許可された25件のうち住宅は9件しかない。年間に2件くらいだ。

 記者は以前にも「権利者が基準法を選択したほうがいいと判断される要綱改正は、良好な街づくり、住宅供給を促進するという制度の趣旨からしていかがなものか。角を矯めて牛を殺すことにならないか」と指摘した。超えられないハードルでは制度そのものの意味がない。基準の強化は、ハードルを潜り抜ける、劣悪とは言わないまでも、環境にも人にも優しくない建築物が増えることを容認することにならないか。

 ただ、これには反論もあるかもしれない。制度の対象となる土地(10,000㎡以上)が少なくなってきていることとか、総合設計制度を使うより地区計画制度などを選択したほうが良質なものが建てられるケースもあるという考えだ。これはこれで説得力もある。これ以上は深入りしないことにする。弾力的な運用はできないものか。

 ともあれ、このマンションは厳しい条件をクリアしているのだから、それだけ質は高いといえる。

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エントランス

カテゴリ: 2015年度

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「クレヴィア相模大野ラ・テラス」完成予想図

 伊藤忠都市開発が近く分譲開始する「クレヴィア相模大野ラ・テラス」を見学した。分譲戸数38戸の小規模物件ではあるが、第一次取得層の購入を想定した工夫がいくつもなされていた。

 物件は、小田急線相模大野駅から徒歩10分、相模原市南区上鶴間本町4丁目に位置する7階建て全43戸(事業協力者住戸5戸含む)。専有面積は70.97~85.55㎡。坪単価は183万円。竣工予定は2016年11月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。施工は松尾工務店。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 商品企画にあたって、事前に地元居住者約200組に「理想の住まい」についてアンケートを実施。家族ごとの趣味嗜好やこだわり、求めるライフスタイルが想定以上に多様だったため、そのニーズに応えるためセレクトシステム「ホームアレンジメント」を導入。1家族に1名の専属コーディネーター(インテリアコーディネーター有資格者)がサポートするのが特徴。

 さらに、建具・家具・壁紙などにポイントを付け、トータルで100ポイントまで無償で選べる「100ポイントメニュー制」を採用。購入者は、従来からある間取りやカラー、高さ、形状などの無償セレクトに加え、100ポイント内で下足入れ(3種)、リビングドア(2種)、共用物入れ(5種)や食器棚設置などの工事対象物のほか、家具(ソファ、テーブル、イス等)や家電までメニューから選べる。

 同社都市住宅本部プロジェクトマネージャー・大徳弘恵氏は、「当社の物件の先に大手デベロッパーが大規模マンションを予定しているので、なんとか差別化を図ろうと新しい試みも取り込んだ。来場者の方々にも評価していただいている」と、手応えを感じていた。

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モデルルーム

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 このところ、同社の物件も含め富裕層やアッパーミドル向けの物件見学が中心だったので、久々に第一次取得層向けのモデルルームを見学した。

 分譲単価は予想通りだ。坪単価180万円台というのは郊外部でもこれくらいの単価水準が当たり前になるはずだし、設備仕様レベルもみんな同じ水準になるとみている。いかに価格を抑えて差別化するかがデベロッパーの腕の見せどころだ。

 その点でこのマンションはよく工夫されている。「ホームアレンジメント」や「100ポイントメニュー制」もそうだが、記者はプランに注目した。

 廊下幅が広いのにまず驚いた。1350ミリだった。モデルルーム住戸だけかと思ったら、ほとんど全ての住戸がそうだった。最近は専有面積を圧縮し、グロス価格を抑えるために廊下スペースを極力なくすのが流行しているが、やはり廊下はあったほうがいいし、広ければ広いほどいい。よくぞ同社は決断したものだ。

 間口も最近は6mというのが主流だが、ここは最低でも6100ミリ、6200~6250ミリが中心だ。同社の〝オハコ〟でもある収納の提案もなかなかいい。

 マンションギャラリーも面白い。来場者に好みのカラーや建具・家具、クロスを選んでもらえるようギャラリー内や商談ブースにサンプルがたくさん展示されていた。何度訪ねてもいいように、平日限定でマンションギャラリー1階を無料開放するという。

 同社のマンションを見学していつも感心するのだか、物件特性に応じて需要を喚起するアイデアがいつも盛り込まれている。マンションのプレス・リリースの数は他社を圧倒しており、アイデアもそのプレス・リリースの数ほどある。デベロッパーと施工会社を聞いただけでプランが想像できる普通のマンションと異なるところだ。

カテゴリ: 2015年度

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「ザ・パークハウス 中野タワー」完成予想図

 三菱地所レジデンス(事業比率50%)と首都圏不燃建築公社(同)は3月5日、再開発が進むJR中央・総武線中野駅圏の「ザ・パークハウス 中野タワー」のモデルルームをオープンした。「中野ブロードウェイ」に隣接する24階建て全178戸(分譲は149戸)。周辺に競合物件はほとんどなく、ユーザーがどのような反応を見せるか。

 物件は、JR中央・総武線・東京メトロ東西線中野駅(北口)から徒歩6分、中野区中野5丁目に位置する24階建て全178戸(事業協力者住戸29戸含む)。専有面積は40.66~132.05㎡、価格は5,000万円台~2億7,000万円台、坪単価は400万円台の後半。竣工予定は2017年7月下旬。施工は西松建設。デザイン監修はブラネック・デザイン。

 現地は、平成24年に竣工した「中野セントラルパーク」(16.8ha)のほか「中野囲町東地区再開発事業」(2.0ha)、「中野駅西口地区まちづくり基本方針」(3.7ha)「区役所・サンプラザ地区再整備事業」(4.85ha)、「中野二丁目土地区画整理事業」(2.4ha)など全体で110haにも及ぶ再開発計画「中野駅周辺まちづくりグランドデザイン」が進行・計画中のエリアの一角で、アーケード付きの「中野サンモール商店街」-「中野ブロードウェイ」に隣接。

 建物は、制振構造を採用。太さの異なる縦のマリオンと水平ラインをランダムに組み合わせた白が基調の外観が特徴。

 共用部のデザイン監修は三菱地所グループのロイヤルパークホテルズ アンド リゾーツが、共用部デザインはメック・デザイン・インターナショナルがそれぞれ担当。メンバーズラウンジにはザハ・ハディド氏がデザインしたソファーも設置される。

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キッチン(モデルルーム)

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 現地は勤務先の事務所があったところのほぼ対面にあり、「中野ブロードウェイ」は毎日のように通った。

 現地を知りすぎているためか、予定単価を聞いたときは「高い!」という印象を受けたが、東京建物が「中野セントラルパーク」の用地を取得したときも、仮にマンションを分譲すれば400万円台の半ばになるのではないかと考えたくらいだから、妥当な単価かもしれない。「目黒」が600万円なら「中野」の500万円はつり合いが取れている。この街はあと10年、20年で一変するはずだ。街の将来性をユーザーがどう判断するか、売れ行きに注目したい。

 値段が高く、オプションも含むのだから当然といえば当然だが、100㎡のモデルルームの設備仕様レベルが高い。システムキッチンは700万円もするもので、ディッシュウォーマーまでついていた。リビングのデザイン壁にはトラバーチンが採用されていた。

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 こんなことは言いたくないのだが、モデルルームオープンの前日4日に行われた記者見学会には10人くらいしか集まっていなかった。今回だけではない。どこも似たり寄ったりだ。マンション見学会になると極端に減る。三菱地所グループ恒例の記者懇親会には100人くらいの記者が集まるし、今回の見学会とほぼ同じ時間帯に行われた野村不動産の「GEMS」発表・見学会にも数十人の報道陣が詰めかけていた。

 この差は何だろう。いま都心のマンションは価格が暴騰しており、目が離せない展開を見せている。中古が新築価格を上回る、かつてのバブル期と同じような動きもある。そんな面白い動きをしている現場を見ずして、商品を見ずしてどうして市場や業界全体の動向を把握できるのか。

 マスコミ、とくに業界紙各社の取材体制はかなり細分化されており、取材対象(事業分野)が異なるとさっぱりわからないという記者は少なくない(かくいう記者もそうだった)。取材担当が頻繁に変わるところもある。

 これではいけない。自分の専門分野を持ち、知識を深めると同時に、他の分野も基本的なことは理解できるようにしておかなければならない。「木を見て森も見る」ことだ。そうしないと、激しく動く業界動向についていけなくなる。分譲事業が各社の枝葉の事業ならまだしもコア事業だ。担当以外であっても時間を見つけてマンションや戸建ての現場に足を運んでほしい。自らが情報発信者にならなければジャーナリストとは言えないと思う。

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リビング(モデルルーム)

感動的なマンションを見た 野村不・三井不レジ「中野ツインマークタワー」(2010/11/26)

カテゴリ: 2015年度

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「ディアナコート浜田山」完成予想図 

 モリモトが近く分譲する「ディアナコート浜田山」を見学した。第一種低層住居専用地域に位置する大手企業の社宅跡地で、ファサードデザイン監修の今井敦氏とインテリアデザイン監修の西山広朗氏のコラボによるデザイン・プラン・設備仕様レベルが極めて高いマンションだ。このクラスのマンションで比肩するものはない。

 物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩10分、杉並区浜田山4丁目の第一種低層住居専用地域に位置する地下1階、地上3階建て全32戸。専有面積は68.45~81.15㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円を下回る模様。竣工予定は平成29年2月中旬。設計・監理は長谷建築設計事務所、デザイン監修はアーキサイトメビウス(今井敦氏)。施工は本間組。

 現地は低層住宅が建ち並ぶ住宅街の一角。敷地はほぼ整形で、建物は1フロア8戸。内訳は南向きが4戸、東向きが2戸、西向きが2戸の構成で、南向きと東・西向き住戸の間に吹き抜けを設けることで角住戸比率を75%に上げているのが特徴。外壁は化石の多少が異なる3種のライムストーンをアトランダムに張り巡らせているのが特徴。

 住戸プランは中住戸の間口が7750ミリのワイドスパンで、天井高はすべて2.68m。「DAO」「KOA」「LIMBA」の突板建具・家具を、床はイタリア製のタイル、突板フローリングをふんだんに用い、ドアハンドルはコロンボ製。水栓はグローエを採用。ディスポーザ、食洗機も標準装備。

 販売を担当する同社・堀川有美子氏は、「杉並区では当社初の物件。モデルルームをオープンして3週目になりますが、来場者の方はみんな、素材などに驚かれ『こんなマンション見たことない』とおっしゃっています」と話している。

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 同社のマンションはかなり見学しているが、デザインの美しさ、設備仕様のグレードの高さは、「ディアナコート」シリーズでは間違いなく5指に入る。建物外観のライムストーンと黒のサッシ枠、シャープな縦と横のラインはどこかモンドリアンの絵画をほうふつとさせる。とにかく美しい。今井氏も相当の力が入っているはずだ。

 西山建築デザイン事務所・西山広朗氏による住戸デザインがまた素晴らしい。建具・面材に使用したチーク、フォールナットはかなり高価なものだそうで、一分の隙もない端正な雰囲気を醸し出している。

 堀川氏は、そんな天然素材について記者の質問に一つひとつ丁寧に答えてくれた。

 坪単価は未定だが300万円台の後半に落ち着くはずだ。杉並区だけでなく、この単価レベルのマンションで、この物件をしのぐものはまずない。32戸の規模でディスポーザを装備し、洗面所に天然石とタイルを組み合わせたデザイン壁を使用し、浴室のカウンターにも御影石を採用しているマンションなどそうない。必見のマンションだ。

 

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「大人の隠れ家」

 伊藤忠都市開発は3月3日、昭和女子大学とコラボレーションした新築賃貸マンション「クレヴィアリグゼ三軒茶屋」で、学生が考案した室内デザインのモデルルーム(3タイプ)を開設したと発表した。

 「女性×三軒茶屋」の暮らしを「三軒茶屋」にある昭和女子大学の生活科学部環境デザイン学科3年生が考案したプランを、今年1月に竣工した「クレヴィアリグゼ三軒茶屋」で具現化。同社とデザインアドバイザーの三井デザインテックが審査して優秀作3点を選定。その室内デザインを実際に採用し、モデルルームとして開設した。

 環境デザイン学科の学生の主な就職先は不動産・ハウスメーカーや設計・デザイン事務所で、担当の木村信之教授は「大学では機会を与えにくい実物の部屋での研究・実践の場は稀有であり、学生の成長や今後の進路選択において貴重で有益な経験になった。ぜひ今後もお願いしたい」と評価した。

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「旅-かおる-部屋」

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 同社のニュースリリースはこの1カ月の間に5本くらい発信されているのではないか。このうち「豊洲」「戸塚」のマンションを見学した。「相模大野」「成城」も機会があったら見学したい。他社もどんどん情報を発信してほしい。

 今回の女子大生によるモデルルーム提案も面白い。「旅-かおる-部屋」はいかにも若い女性が好みそうな白が基調の部屋にアンティークな旅行カバンが置かれている。「想い飾る部屋」は居室の3方を棚で飾る大胆な提案。「モノで棚を埋めることで心の隙間も埋めることができる」らしい。

 びっくりしたのは「大人の隠れ家」。「大人の隠れ家」は40~50代の男性をイメージさせるが、提案は「一人暮らしの女性が自分だけの時間を大切に過ごせるような落ち着くインテリア」を考えたそうだ。確かに大学生だって立派な大人だ。

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「想い飾る部屋」

 

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【シティタワー武蔵小杉】外観1.jpg
「シティタワー武蔵小杉」(右隣が「グランツリー武蔵小杉」)

住友不動産は3月2日、先に竣工した「シティタワー武蔵小杉」の竣工記者発表会を行った。分譲開始した2年半前は完成していなかった駅前の「武蔵小杉東急スクエア」「ららテラス武蔵小杉」「グランツリー武蔵小杉」が完成し、街は一変。全800戸のうち約6割が分譲済みで、同社は「順調な売れ行き。今後1年半くらいの間に完売したい」と話している。

 物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩4分の川崎市中原区中丸子に位置する免震の53階建て全800戸。専有面積は55.23~72.35㎡、坪単価は350~400万円。施工は前田建設工業。竣工は平成28年1月。

【シティタワー武蔵小杉】エントランスホール.jpg
天井高約8メートルのエントランスラウンジ(列柱のような石張りの柱がとてもきれい)

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 見学の目玉は「アウトフレーム工法を採用することで、70㎡の広さでもワイドスパンの『ダイナミックパノラマウインドウ』の機能がある」(同社)というそのプランだ。

 写真を見ていただければわかるが、床から50㎝くらいの高さから天井近くまで2.2mくらいのハイサッシになっており、幅は約5m。圧倒的な開放感がある。隣のバルコニー付きの洋室と比較するとそれがよくわかる。

 「70㎡でも73~74㎡の機能がある」ことについて、同社担当者は「お客さんの評価が非常に高い」と話した。70㎡の3LDKは、先に記事にした「シティテラス荻窪」でも採用されており、こちらは収納に工夫を凝らしている。

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ダイナミックパノラマウインドウ(左)とバルコニー付きの洋室

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