東急ハンズ「7人の店主」始動 金指会長また絶妙トーク 東急不HDが記者懇親会
西氏(左)と藤田氏(ザ・キャピトル東急ホテルで)
東急ハンズ新宿店が3月からリニューアルを行い、新プロジェクト「Hi! Tenshu(ハイテンションで語る店主に会いに行こう)」をスタートさせた。
「モノ提案」「コト提案」を支える「ヒト」に注目し、シューケア、メンズコスメ、眠り、ホビーなど店内に6つのコーナーを新設し、それぞれ超個性的なスタッフ(店主)の知識と豊富な品ぞろえで、お客さまの相談・悩みに応え、新たな暮らし提案を行っていく。
3月9日に行われた東急不動産ホールディングスの恒例の第39回記者懇親会で、同社・木村成一社長は「7人の店主でスタートさせたが、9月には20人の店主に増やす」と話した。
左から木村社長、藤田氏、西氏
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何ごとが始まるのかと思ったら、〝おとこっぷり商店〟の店主・西智氏(57)と〝輝く足元商店〟の店主・藤田康雄氏(58)が登場し、会場内に設けられたミニ店舗でデモンストレーションを行った。
西氏は、写真の通り、記者がイメージする〝かっこいい男〟とはほど遠いごく普通のおじさんだった。ご本人に聞いた。「おとこっぷりとは、今以上に自信が持てる男。まず健康であること、元気でよく動くこと、色つやがよく、目がぱっちりであること」と話した。なるほど、記者とは真逆の男だ。
藤田氏は、10万円もするというピカピカの足元のブーツだけでなく、頭までもピカピカに輝いていた。「生まれたのは1960年、安保の年。この仕事は1980年からやっている。ブーツ? きちんと手入れすれば20年ははける」と自信たっぷりに指南した。記者はじっと自分の足元を見つめた。
ハンズはすごい。ある東急不動産の社員も「不動産はハンズの子会社かと思った」そうだ。
左から木村社長の靴(28センチ)、記者の靴(24センチ)、10万円の藤田氏のブーツ
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昨年の記者懇親会で、別掲の通り「このままでは生き残れない業界紙」などと衝撃的な中締めを行った同社代表取締役会長・金指潔氏の〝続編〟が聞けるかもしれないと、録音機(ボイスコーダーと呼ぶそうだ)を用意し、手ぐすねを引いて待っていたが、「(昨年のようなことは)話すなと言われているんだよ」と事前に打ち明けた通り業界紙のことについては触れずじまいで、何を話したのかさっぱりわからなかった。録音機も雑音と参加者の笑い声しか入っていなかった。
金指氏は昨年話したことは覚えていたが、記者がそのまま記事にしたことや、その後の展開がその通りになったことまで正確には把握されていなかった。
ここまで書いて、同業の記者が助け舟を出してくれた。金指氏は次のようなことを話したそうだ(この記者の方に感謝したい)。
「昨年は業界紙が倒産するみたいな話をしたら本当に…今年は○○〇か、それは冗談として、見渡すと未だに化石みたいな人たちがいる(誰のことを言っているのか。記者も視界に入っていたのか。金指氏は72歳。早大卒だから、吉永小百合さんと同窓の同年)。わがグループは若い人が頑張っている。応援してほしい。月曜日はいい記事が出ると期待している。お土産の靴磨きは5,000円。皆さん飲んで食ったでしょう。分かりましたか? 」(確かに「飲んで食ったでしょう」だけは覚えている。ワインは10杯くらい飲んだが、話すのに夢中で食べたのは3皿くらい。靴など磨いたことがない。月曜まで待っていられない。記者は早い者勝ち)
積水ハウスはこの日、代表取締役の70歳定年制を決めたと発表した。記者はこれに納得できない。年齢は全然関係ない。ピカソは90歳くらいまで精力的に創作活動を続けたし、土光敏夫氏は91歳で亡くなったが、89歳まで行革審の会長を務め、行政改革の先頭に立った。わが三重県出身のライフコーポレーション会長兼CEO・清水信次氏は91歳で、日本チェーンストア協会の会長を務めている。今年5月の総会で小浜裕正会長代行(カスミ会長)が会長に就任するそうだが、小浜氏も76歳だ。金指氏は、絶対に自ら辞めるとは言ってほしくない。ある会社は〇〇賞の授賞を考えているようだ。
肝心なことを書き忘れていた。これを書かないと来年は金指会長からレッドカードを突き付けられそうだ。東急不HD社長・大隈郁仁氏は、昨年5月にスタートさせた2020年度を最終年度とする中期経営計画は経営課題としているESG(環境・社会・ガバナンス)マネジメントをはじめ計画通り進捗していると話した。
金指氏
大隈社長
「このままでは生き残れない業界紙」 東急不動産HD・金指潔会長が苦言(2017/3/9)
東急不動産・鹿島建設 九段会館建て替え 一部外観を保存
完成予想図
東急不動産と鹿島建設の両社が出資する合同会社ノーヴェグランデは3月9日、千代田区九段南一丁目の九段会館について、国との間で合意書を締結し、70年間の定期借地による一部保存・建替え事業に着手したと発表した。
九段会館は1934年(昭和9年)に完成。「帝冠様式」と呼ばれる外観的特徴を備え、昭和初期の時代性を表現している建築物として知られる。
建て替えでは、「帝冠様式」の特徴をよく表す建物北側と東側部分をL字状に保存して活用。保存部分は免震レトロフィット工法の採用、劣化したコンクリートの補修対策、外壁のスクラッチタイル落下防止対策などを施し創建時の姿を復原・保存する。
敷地面積は約8,765㎡、地下3階地上17階建て延べ床面積約69,024㎡の事務所、店舗ビルとなる。設計は鹿島・梓 設計・工事監理業務共同企業体。施工は鹿島建設。竣工は2022年7月の予定。
同会館は、東日本大震災でホールの天井板崩落で死傷者が出たことから営業を停止していた。
東日本大震災から7年 太平洋岸エリアの人口減続く 女川町は4割減
2011年3月11日の東日本大震災からちょうど7年となる。被災太平洋岸エリアの人口は減少傾向が続いており、震災前と比べ宮城県女川町は40%も減少し、南三陸町も約34%減となっている。岩手県では山田町、大槌町、陸前高田市が20%を超える減少率で、被災エリア全体では県全体の減少率5.7%を大きく上回る13.3%に達している。人口が増加しているのは仙台市、名取市、利府町、岩沼市、いわき市、相馬市の6市町にとどまっている。
別表は震災被害を受けた太平洋岸39市町村の人口動態を見たものだ。今年2月1日現在、人口は約252万人となり、昨年同月比で0.5%減少した。震災前と比べると2.8%減少している。
都県別では、岩手県の被災エリアの減少率が高く、震災前より13.3%も減っている。宮城県は仙台市や名取市などで増加していることなどから被災エリア全体では0.4%の減少にとどまっている。福島県の原発エリアの人口は住民基本台帳による人口で、実態は不明。
波乱万丈30年の「仕事」を語る コスモスイニシア商品企画部部長兼一級建築士事務所所長・南光浩氏
南氏
いまデベロッパーは総じて元気だが、〝いい仕事をしている〟という条件を付けるなら、真っ先にコスモスイニシアをその1社にあげる。マンションは、創業40周年のフラッグシップ「イニシア武蔵新城ハウス」をはじめ、「笹塚」「豊洲」「大井町」「西新井」「松陰神社」「草加」「志木」(順不同)などのマンションが次々に目に浮かんでくるし、分譲戸建て「石神井」「光が丘」「練馬田柄」なども出色の出来だった。リノベーション「INITIA ID」も素晴らしいし、最近はアパートメントホテル事業に進出した。
その商品企画の旗振り役が同社建築本部商品企画部部長兼一級建築士事務所所長・南光浩氏だ。南氏に波乱万丈の約30年の「仕事」について聞いた。
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「入社するときはリクルート事件の真っただ中でしたが、事件をそれほど深く考えていなかったですね。面接を受けたとき、やりがいがあると感じて入社を決めました。当時、本社建築監理部から部門名を変更して一級建築士事務所を立ち上げ本格的に動き出すときで、マンションのほかホテルやビルなども始めたころでした。以来ずっと商品企画を中心に建築の仕事全般に携わってきました」
南氏は1966年生まれの51歳。1990年、早稲田大学理工学部建築学科卒。同年4月、リクルートコスモス入社(現コスモスイニシア)。建築部門の商品企画で大規模分譲マンション・タワーマンション・戸建て事業開発・アパートメントホテルなどに関わる。2005年から産学民共同研究COCOLABOを、2013年から慶応大学SFC研究所とシェアタウンコンソーシアムを立ち上げ、行政・民間企業などと研究を継続中。一級建築士事務所としては社内外の集合住宅・ビル・ホテルなどの企画監修・設計監理・コンストラクションマネジメント業務に取り組む。グッドデザイン賞受賞作品も多数。
プロフィールでもわかるように、入社はバブルの絶頂期の平成2年4月。その秋、うたかたのごときバブルははじけた。
いまの若い業界関係者はご存じないかもしれないが、バブル絶頂期の同社の首都圏マンション供給量は5,000戸くらいに達していた。約1万戸の大京には及ばなかったが、ダイア建設と2位、3位の座を競っていた。
戸数の多さだけではない。そのうちの約1,000戸が億ションの「グランフォルム」だった。大京はもちろん三井不動産などもはるかに及ばなかった。三井不動産の社長(だったと思う)をして「大京の足腰と、リクルートコスモスの頭脳が欲しい」と言わしめた。世間では「リクルート事件」の嵐が吹きまくっていたが、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いにあった。
ところが平成2年3月、それまで垂れ流し状態だった不動産業向け銀行融資がバルブを閉めるように閉じられた。総量規制と呼ばれた金融政策だ。デベロッパーは息の根をとめられた。
同社も奈落の底に突き落とされた。同4年には親会社・リクルートの創業者・江副浩正氏が保有株をダイエーに売却し、同社もダイエーグループ入りすることになる。その後、紆余曲折があって同17年、MBO(マネジメント・バイアウト)によりリクルートグループから独立、翌年に現社名に商号変更した。
それでも苦境は続き、ついに同21年、事業再生ADR手続により社員739人のうち360人程度の希望退職を募ることになった。
この間、資産・子会社売却、社長交代、減資、継続企業の前提に関する疑義の発生などが毎年のように報じられた。バブル期には数万円だった株価は平成23年には120円まで下落した。そして同25年、大和ハウス工業グループに入った。
「何度も潰れそうになった。こんな会社は他にないでしょうね。一番ショックだったのは、平成2年から3年ころ、当時1,000人を超えていた社員が毎月のように大量に転籍・退社していき、一挙に500人くらいに減ったことでしたね」
しかし、記者はこの会社は潰れないという確信があった。なぜか。先に「頭脳」と書いたように、同社の商品企画力は業界に不可欠だと思っていたからだ。
皆さんは昭和60年に完成した12階建て「コスモ蕨」150戸をご存じか。分譲されたのは大量供給下のマンション不況という最悪の事態に陥っていた同58年ころだ。最大の特徴は7,900mm×7,650mm=60㎡、つまりほとんど正方形の間取りで、南面3室を確保し、廊下スペースをなくすことで60㎡でありながら居住性を高めた住戸プランだった。高層マンションではありえないプランに記者は驚愕した。〝この会社はものすごいことをする〟と。
同社のその頭脳はバブル崩壊によって大量に流失した。救いなのは、「卒業」(同社には退社をそう呼ぶ社風がある)した多くの方が他のデベロッパーや異業種で活躍されていることだ。同社は人材の宝庫でもある。
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同社の分譲マンションで特筆できるのは、2014年に分譲された創業40周年のフラッグシップ「イニシア武蔵新城ハウス」だ。
「武蔵新城は、当時の30歳代のメンバーが中心となって自社で設計した物件でした。わたしがスタッフに言ったのは〝売れるマンション〟ではなく、10年後、20年後につながるものを造ろうということでした。これほどの規模になると、2戸分を共用施設にあてたりしますが、本当にそれは必要か。外壁にタイルを張らなくても綺麗にできるではないか、その代わり中庭を充実させ、クランクインにして玄関周りに光と風を取り込む工夫をする、洋室に収納を設けなくても1カ所にまとめていいではないかなどと様々なアイディアが出ました」
この「武蔵新城」の企画は、2015年に立ち上げた新ブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」に引き継がれることになる。スライドウォールを開閉することでさまざまな間取りやレイアウトが可能になるプランで、その後、他社がこぞって真似をすることになった。
「可動式の間仕切りシステムはすでにリーマン・ショック前後(2010年に分譲した「横濱鶴見」が実験的プロジェクトだった)から採用していましたが、クラウドでは全部しまっちゃおうと。そのような商品はそれまでなかったですね」
「この30年くらいで考えますと、昔は結婚して、子どもを産んで育てるという15年から20年の典型的なライフスタイルが顕在していました。ところが最近は単身世帯、アクティブシニアが増加する中で、専業主婦が減少しマーケットは劇的に変化しました。
いろいろシミュレーションすると、間取りをいくつか用意し、カラースキームの中で選びなさい、家はこういうふうに住みなさいといったものはデベロッパーサイドが生み出した幻想のマーケットではないかと。そこまでどこも青田売りしていませんから。
当社の提案しているホームデコレーションサービスは、ある程度決まった間取りとカラーで、お客さまサイドが暮らし方のボリューム調整でき、好みに応じてプロが施工するというものですが、これがヒットしましたね」
一昨年分譲の「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)渋谷笹塚」も企画が光った。間仕切り・扉の位置や納まりを工夫することによって、住まい手が最大限自由に空間の広さや動線を設定できるように設計したマンションだ。
「グッドデザイン賞を受賞した『笹塚』は間取りが秀逸でしたね。審査員の方にも建築的アプローチとしても非常に意義深いという評価を頂いた」(南氏はこの「武蔵新城」「渋谷笹塚」「西新井」などについてかなり時間をさいて話したが、書き出すときりがないので省略する。詳細は別掲の記事参照)
「イニシア武蔵新城ハウス」
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分譲戸建ても最近は目を見張るものがある。1億円前後の高額を半年もかからずに売り切った全11戸の「グランフォーラム石神井公園」がその代表だ。「光が丘公園」や「練馬田柄」では天井高約3.8mの2階リビングを提案した。他社の吹き抜け空間と異なるのは、その空間に魂を込めていることだ。苦しいときも継続して分譲してきたことがいま開花している。
「マンションとの複合開発とかリビングインの階段とか先駆的なことをやってきましたが、無電柱化も以前からこだわってきました。10数戸の小規模でも、ミニ開発ではない、そこにしかない価値を創ろうと。2階リビングもダイナミックな展開ができていると思います。
今は、グロスは張るけれども駅近の戸建て用地の取得ができています。マンションの値段が上昇したために、場所にもよりますが、マンションより戸建てを買うという昔と逆の現象も見られるようになってきました」
「グランフォーラム練馬田柄」(緑はすべて本物)
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最近力を入れているのがアパートメントホテルだ。先に第1弾「MIMARU 東京 上野NORTH」を開業したのを皮切りに、2020年までに1,500室の開業を目指している。キッチンやリビング・ダイニングスペースを備えた4名以上の中長期宿泊にも対応するもので、1人当たりの宿泊料金を抑えるのが特徴だ。
「先進国ではごく普通にあるタイプです。わが国でも4~5人のグループが泊まれる需要は顕在化しています。東京圏と京都・大阪圏で一挙に増やします。量的にはこの領域ではメジャーになれると考えています。民泊などと差別化も図っていきます」
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南氏は、デベロッパーに入社しようと考えている学生や、業界の若い建築担当の社員に対して次のようなアドバイスをする。
「マンション事業などはいま企画しているものが完成するまで2~3年、再開発は5年、10年の時間がかかります。多様化しているマーケットはより広がっていきます。住宅分譲が拡大するかどうかは不透明ですが、何十年たっても色あせないその時代に合わせられる柔軟性に富んだ企画が求められています。
一方で既存住宅の再生が大きな課題になっています。当社のスタッフもただのリフォームでいいのか、壁にぶち当たっています。来期はこの課題解決にひた走るつもりです。売るのは最低限のスタートライン。数十年の先に繋げていくことがデベロッパーの仕事です。
われわれの建築・設計の仕事は、締め切りも予算の制約もあります。しかし、それでは潤沢の時間があればできるかといえばそうではない。わたしは30年くらいやってきましたが、これが完璧という仕事は未だない。それが原動力となり、次の仕事につながっていきます(同感。記者も40年間記事を書いてきたが、満足できる記事は1本もない)」
これからの仕事についても言及した。
「最近は、設計の事業部と組んで他社のマンションとかビル、ホテルなどの企画の仕事が増えています。物量的にはわたしの部署ではむしろ他社の仕事の割合のほうが高くなっています」
「そのうちアンチエイジング住宅、住みながら鍛えていくようなものが出てきます。バリアフリーもいいですが、マンションに階段を設ければカロリーの消費につながります。〝マンションは階段を使って帰ろうよ〟というような企画を会議に出すとみんなから無視されるんですが(笑)。たまには発散し、楽しいものが出てくるようにしないといけない」
南氏は振り返る。「以前、『リーマン・ショックでリストラもしているのにCOCOLABOを続ける意味はあるのか』という取材を受けたことがあります。社員も3分の2くらいが退社を余儀なくされた危機的な状況でした。それでも同業や銀行などから『御社を破綻させてはならない』と声を掛けていただいた。COCOLABOを継続してやってきたことの意味・回答をようやく少しずつですが、世の中に返せるようになってきました」
そして締めくくった。
「いま当社の社員は活気がみなぎっていますが、その生かされた意味が何だったのか、深く考え、がんばってほしい」と。
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南氏を取材することになったのは、昨年末、同社の取締役常務執行役員・渡邉典彦氏(東大卒。高校は静岡高校。静高は頭がいいだけでなく、野球が強いから始末が悪い。記者の出身、三重県勢は東海大会において最近ことごとく跳ね返させられる)や、RBA野球で活躍した同社の元社員TさんやFさんらと歓談したときだ。商品企画の話になり、「うちには知らない人はいない身長190センチ(実際は187センチ)の大男の南がいる」と紹介され、その場でインタビューを申し込んで実現した。
冒頭の写真を見ていただきたい。関係者は「美男子」とは言わなかったが、憎たらしいほど「フェイス」もいい。コーデュロイ(だったと思う)のスーツがぴったりだった。
同社には非常勤取締役・髙井基次氏(大和ハウス工業常務執行役員)がいるが、身長は南氏といい勝負だ。顔は言わずもがな(双方が俺のほうがいいと思っているはず)。
顔だけではない。〝大男総身に知恵が回りかね〟(記者は〝小男の総身の知恵も知れたもの〟だが)という諺があるが、南氏には全然当てはまらない。語りも実に穏やかで、一語一語にこれまで30年近くにわたって成し遂げ、背負ってきた仕事の重みがある。手垢にまみれた〝波乱万丈〟などという言葉は使いたくないのだが、ボキャブラリ不足の記者はこれしか浮かばない。
インタビューをしたのが2月上旬だった。こうして記事にまとめるまで1カ月が経過している。これほどまでに遅れたのは、読んですぐゴミ箱に捨てられる記事にしたくなかったのが最大の理由だ。時間がかかったのは、何度も書き直し、校閲もしたからだ。
同社の卓越した商品企画がどうして生まれるのか。南氏が語った言葉にヒントがある。400字原稿用紙にして13枚強。べらぼうに長いが、若い方に少しでも学んでいただきたいという気持ちを込めた。
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公園に近接 電線地中化、2階リビング天井高3.8m コスモスイニシア「光が丘公園」(2016/11/7)
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コスモスイニシア 仲介店舗の概念を変えるリノベーション特化型店舗 表参道に新設(2016/9/16)
三井不動産 台湾で2件目の直営ホテルに事業参画
三井不動産は3月7日、台湾で2件目となるホテル「(仮称)中山忠孝ホテル」に参画すると発表した。
台北駅から徒歩3分の地上18階、地下5階建て(ホテル部分は1階の一部と6~18階)、客室数約350室。金毓泰股份有限公司が開発する建物の一部を三井不動産グループが賃借、ホテルとして運営する。アッパーグレードの宿泊主体型ホテル。開業は2022年の予定。
同社グループの台湾での事業は、2016年1月に「三井アウトレットパーク 台湾林口」をオープンしたのをはじめ、2018年に2施設目の「(仮称)三井アウトレットパーク 台湾台中港」、2020年には台湾初のホテル事業「(仮称)忠孝新生ホテル」、2021年には「(仮称)三井ショッピングパーク ららぽーと台湾南港」がそれぞれ開業予定。
今後も2016年に設立した現地法人(台湾三井不動産 股份有限公司)を拠点として台湾各地で商業施設、ホテルのほか、住宅事業、物流施設、複合開発事業などの展開を目指している。
ホテル事業は、全国で23施設5,841室運営しており、今年6 月には「三井ガーデンホテル大手町」と「三井ガーデンホテル五反田」が開業予定で、今秋には「(仮称)三井ガーデンホテル日本橋プレミア」の開業も控えている。
長谷工ライブネット 賃貸マンション開発事業強化
「Live Casa本町計画」
長谷工ライブネットは3月7日、自社賃貸マンションブランド「Live Casa(ライブカーサ)」シリーズを本格展開し、自社開発事業を強化すると発表した。
2017年3月末までに10棟606戸の開発実績があり、今年3月には2棟が竣工予定で、さらに4棟の計画が進行中。計画中を含め18件850戸となる。
今後は、同社が拠点を有する東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌・広島を中心に年間4~6棟の自社開発事業を目標としている。
現在、大阪で建設中の「Live Casa本町計画」56戸は自社長期保有第1号マンションとなる。
日本の子どもには自立・自律の機会がないか 住宅新報のコラムを読んで
3月6日付「住宅新報」のコラム「子どもの自立と空間テーマに 旭化成ホームズがフォーラム開く」の記事に目が点になった。次のようにあった。
「欧米では▷個を認める▷子の責任を問う▷(子どもは)不満でも親に従う▷親子の信頼関係を築く▷(親が)子の心に寄り添う▷ひとり寝-を指摘。一方、日本では▷親子密着▷子の責任は問わない▷(子どもは)不満なら従わない▷親は子を見守る・世話をする▷子のプライバシーない▷川の字就寝-と分析。日本の子どもには自律(立の間違いか)の機会がないという」
講師の大阪市立大学名誉教授で、子どもと住文化研究センター理事長を務める北浦かほる氏の講演をまとめた記事だ。
記者は子育てに失敗した。語る資格はない。欧米の住文化もまったくしらない。しかし、記事だけを読むと、わが国の住文化が全否定されたような嫌な気分になった。
わが社の男女数人の社員に感想を聞いた。「文面からすると、子ども部屋を設けなさいと取れるが、子ども部屋と自立(または自律)は別問題」「これが日本の文化」という声があり、「このフォーラムって、一部屋多く売ろうとしているんじゃないですか」という女性の鋭い指摘もあった。一方では「アメリカでは小さいころからひとり寝をさせる」と、欧米の住文化を肯定的にとらえる者もいた。
記者は、子ども部屋の有無・大小と自立・自律は別問題だと考えている。先日も、半分冗談だが「子ども部屋は2畳大でいい」なんて書いた。記者などは小さいころ、子ども部屋なんか与えられなかった。
これは事実だ。囲炉裏で父親が書く漢字を書き順通り覚え、計算も学んだ。灰に字を書くのだから紙はいらない。寄合というものがあって、近所の人たちが集まって、稲の出来具合、政治の話から猥談まで、祖母の膝の上に座って経済、文化を学んだ。世の中は貧富の差が大きいことを知った。進駐軍がなにをしたかも聞いた。先日、京阪電鉄不動産の「小川」の記事でも書いたが、たき火は情報収集源だった。
いまはなくなったかもしれないが、6畳一間に住む家族が、父親が酔っぱらってか寝相が悪かったからか、太ももで赤ちゃんの子どもの鼻をふさいで死亡させるというような新聞記事も読んだことがある。
北浦氏が子ども部屋を設けなさいというのは結構だ。しかし、いまでも満足に子どもに部屋を確保できない貧しい人たちはたくさんいるはずだ。都内のファミリー賃貸は家賃が20万円以上するのではないか。
北浦氏の説に従えば、貧乏人の子どもはみんな自立・自律できない人間に育つということか。
記者はそうではないと思う。記者は田の字型のマンションプランをやめるべきとずっと昔から主張してきた。子ども部屋は小さくていいとも、夫婦の部屋を大きくすべきとも書いてきた。居住環境が人間の成長に大きな影響を与えるのは否定しないが、それが全てではない。環境に順応し、工夫をするのが人間だ。
子ども部屋の有無ではなく、社会(コミュニティ)や家族そのものが壊れてしまいそうないまの社会に問題がある。そちらのほうが深刻だ。北浦氏は「個」というが、記者は「孤」に置き換えて考えないといけないと思う。
働き方改革に欠かせない裁量労働制 残念でならない一連の出来事
本日(3月4日)、「裁量労働制を全社的に違法に適用し、昨年末に厚生労働省東京労働局から特別指導を受けた不動産大手、野村不動産の50代の男性社員が過労自殺し、労災を認定されていたことがわかった。男性は裁量労働制を違法適用された社員の一人だった」(朝日新聞)などとメディアが一斉に報じた。
残念でならない。業界紙の記者として、ご本人のご冥福をお祈りしご遺族にお悔やみ申し上げます。
裁量労働制について政府与党は、今国会に提出する働き方改革関連法案に裁量労働制の拡大に関する部分を削除することを先に決めた。
きっかけとなったのは、厚生労働省の2013年度労働時間等総合実態調査で、一般労働者の「1カ月で最も長く働いた日の残業時間」と、裁量労働制で働く人の労働時間を比較して、裁量労働制で働く人のほうが労働時間は短いというデータを安倍総理に発言させたことだった。
これには記者も唖然とした。国のシンクタンクである官僚がこんな単純ミスを犯すはずはない。経団連の榊原定征会長も「ミスは非常に残念で、あってはならないことだ」(日経新聞)とコメントした。
ここで大きな疑問が一つ。そもそも労働時間等総合実態調査は、大学教授をはじめとする公益代表、労働者代表、使用者代表など20名以上が参加する労働政策審議会労働条件分科会に報告されているはずで、メディアの傍聴・資料配布もあったはずだ。どうして中学生や高校生だってわかる前提条件の違いを見逃したのか。審議会メンバーやメディアの責任も問われるべきだ。
それでも記者は、働き方改革に裁量労働制の拡大は欠かせないと思う。
記者の仕事でいえば、弊社は記者に対して〝さぼっていい〟とは言わないが、一切制約を求めない。「RBA野球の取材をすれば、あとは何を書いてもいい」というのが記者に与えられたミッションだ。
なので、これまで書いた記事に対して「ノー」と言われたことはほとんどない(読者のクレームで削除した記事はいくつかあるが)。どこに取材に行こうが問われない(取材源の秘匿は記者の生命線でもある。最近はそのような取材はやっていないが)。みなし労働が全面的に認められている。
労働時間はどうか。これも会社から強制されたことは一度もない。RBA野球の取材は炎天下で8時間くらい食事もとらず駆けずり回っている。こうしていま記事を書いているが、これは記者が自主的に判断して書いている。労働時間という認識はまったくない。子育てや家事に関する時間が「労働時間」に入らず、専業主婦に「労働」はなく「無職」なのと一緒だ。確か農業も労働時間規制外だ。子育て、家事、農家に労働時間制を採用したら、みんな8時間労働に違反になる。
その代わり、疲れたら休む。そうしないと商品としての労働力の再生産ができなくなり、結局は資本にも大打撃(与えないか)となるからだ。自己管理は自分なりにやっているつもりだ。会社からは「酒を控えたほうがいい」と言われるが、これも自己責任。酒を飲もうがタバコを吸おうが、これは基本的人権の問題だ。
住宅・不動産業界には、裁量労働制が認められる建築士、不動産鑑定士も多いし、商品企画担当、インテリアコーディネート、コンサルティングなどの「専門業務型」「企画業務型」労働も少なくない。宅建士、マンション管理士などは適用外だが、レベルの高い仕事をしている宅建士は多い。適用の対象となる時代がやってきてほしい。
「現行法制下での労働時間管理は、創造性と裁量性を有する労働者の能力を存分に発揮する環境を用意できず、生産性の高い働き方、さらには労働者のワーク・ライフ・バランスの実現を困難なものにしている」とする経団連の「労働者の活躍と企業の成長を促す労働法制」(2013年)を支持する。
制度を悪用する企業に問題がありそうだが、これは資本主義経済の宿命なのか。明大教授・飯田和人氏は著書「市場と資本の経済学」(ナカニシヤ出版)で次のように指摘する。
「終わりなき自己増殖(無限の余剰価値の追求と獲得)、生産のための生産、蓄積のための蓄積、そして運動それ自体の継続性の確保という、資本の論理…資本内部のヒトとヒトとの関係は、彼らによって、独特の支配-従属関係からなる賃労働-資本関係として組織化されることになる。彼らが資本内部の上下的な秩序関係からなる階層的組織の頂点に立ち、これを資本の論理にしたがって不断に締め上げ規律づけることで、資本内部の人的組織すなわち独特の支配-従属関係からなる賃労働-資本関係は成り立つ」「労働者に与えられる賃金が増えれば、資本の獲得すべき余剰価値が減り、逆の場合にはまた逆の結果になる関係」-資本と労働者は相反関係に置かれていると。
苦役を喜びに転化させることは不可能なのか。労働者側からこの問題に積極的にアプローチすべきではないか。
三菱地所レジ、フージャースコーポなど 本厚木駅前の再開発着工
完成予想図
本厚木駅南口地区市街地再開発組合、三菱地所レジデンス、フージャースコーポレーションは3月1日、神奈川県厚木市の「本厚木駅南口地区第一種市街地再開発事業」を同日着工したと発表した。
プロジェクトは、小田急小田原線本厚木駅から徒歩1分、敷地面積約2,400㎡、22階建て延べ床面積約24,400㎡(容積率700%)。地下は駐車場などで1~3階が商業・業務施設。4~22階が住宅163戸。設計はアール・アイ・エー。施工はフジタ・小島組建設共同企業体。竣工予定は2020年11月。
マンションは2018年秋頃にモデルルームをオープンする予定。専有面積は約55~約110㎡。
アキュラホーム コミュニティをテーマにしたシンポ 3月26日開催
アキュラホームは3月26日(金)、「これからの住宅地を考える会」主催シンポジウム「暮らしを変える『コミュニティ』の条件」を開催する。
会場は、すまい・るホール(文京区後楽1-4-10)、13:00~16:30。後援は住宅金融支援機構、都市住宅学会、JAHBnet、アキュラグループ。参加費無料(定員295名で締め切り)。申し込みは次のwebから。https://www.jahbnet.jp/symposium/2018/
パネリストは、三井所清典氏(アルセッド建築研究所所長)、髙田光雄氏(京都大学名誉教授・京都美術工芸大学工芸学部長)、川崎直宏氏(市浦ハウジング&プラニング社長)、二瓶正史氏(アーバンセクション代表取締役)、齊藤広子氏(横浜市立大学国際総合科学部教授)。
シンポジウムは、ゴールデンウィークに販売開始する同社の戸建て「ヒルサイドテラス若葉台」 のコンセプトとなるもの。
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この種の案内はほとんど記事にしたことがない。そんな暇はない。しかし、同社の「若葉台」には大きな期待をかけている。昨年、どのような企画で挑戦するかは少し聞いた。期待に応えてくれるか裏切るか。皆さんも参加されてはいかがか。