RBA OFFICIAL
 

 「おとな3人リビング」を提案

 

「おとな3人リビング」

 旭化成リフォーム823日、「熟年夫婦と単身の子」が快適に暮らすためのLDKリフォーム新商品「おとな3人リビング」を826日(月)から発売すると発表した。

 新商品は、同社のくらしノベーション研究所の調査結果を踏まえて発売するもので、近年増加しているおとな3人世帯に向け、暮らしの質をより豊かにするとともに熟年夫婦の将来の暮らしにも配慮した暮らし方を提案する

 主な特長は、①おとな3人が集うリビングをスッキリさせる収納「パーソナルファニチャー」②家族の家事協力を促す「回遊型キッチン」③通常はリビングとして使い、時には家族の気配を感じながら篭れる趣味空間となる「マルチコーナー」など。高齢期・介護期にはマルチコーナーを両親の寝室として利用できるよう配慮している。

 販売価格はプロトプランで525万円。販売目標は年間200棟。

 2010年の国勢調査によると、団塊世代を中心とする60歳代の世帯主の家族構成では、熟年夫婦と単身の子で暮らす「おとな3人世帯」の数のほうが夫婦のみで暮らす世帯数を上回った。

カテゴリ: 2013年度

木造耐力壁ジャパンカップ アキュラもポラスも優勝逸す

 


優勝した東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」

優勝は東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2

 

 木造耐力壁の強さなどを競い合う「第16回木造耐力壁ジャパンカップ」(主催:NPO法人木の建築フォラム)が816日~18日、静岡県富士宮市の日本建築専門学校で行なわれ、16チームによるトーナメント戦の末、東大×LIXIL×キダテの「ITAMADO2」がチーム匠(アキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店)の「矢来」を破り優勝した。コストパフォーマンスが最も優れた耐力壁に贈られる「ジャパンカップ優勝杯」は滋賀職業能力開発短期大学校の「初代MOTONARI」が獲得した。

 各部門賞の耐震部門は東大×LIXIL×キダテITAMADO2デザイン部門は四国能開大格剛V加工、施工部門は四国能開大格剛V環境部門は四国能開大格剛V審査員特別賞はアキュラホーム+東京大学木質材料研究室+篠原商店/矢来がそれぞれ受賞した。

 過去6度のトーナメント優勝を果たしているポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)は8強で争う初戦で「ITAMADO2」に敗れ敗退した。


稲山准教授

      ◆      ◇

 

 記者がこの大会を取材するのは8度目ぐらいだろうか。いまだに耐力壁にかかる加重単位KN(キロニュートン)がどれほどのものかよく分からないし、「込栓」「雇い」「「貫」「めり込み」などの専門語の意味や、ビスなどの「金物」の補強効果がどれだけあるのか理解できないところもあるが、競技そのものは綱きひのようなものだから見ていて面白い。ほんの数分で決着が付く。

 しかし、評価そのものは極めて詳細に定められている。耐力壁に使用する材料、寸法はもちろん、加工費、環境負荷費 なども円単位で評価される。例えば国産材が50円/㎏であるのに対し、輸入材は150円/㎏だし、ひのきは110,000円/㎥、すぎは70,000円/㎥で、壁の重量は釘1本、チリまで重さに加えられ、施工工具、施工時間、解体時間、作業人数などもこと細かに評価される。デザイン・意匠にも審査員のチェックが入る。参加チームが必死で取り組んでいるのが伝わってくる。

      ◆      ◇

 今回の耐力壁で注目したのは四国能開大/格剛Vだった。デザインはシンプルな縦横の格子で、材料は四国のヒノキとスギのみで、金物は一切使用されていなかった。地元材しか使用していないというのが記者をひきつけた。チームは優勝した「ITAMADO2」に準々決勝戦で敗れたのだが、加重圧力は30KNを突破していた。

 大会委員長で東大木質材料研究室・稲山正弘准教授も「金物を使わず30KN超でも戦えるこの壁は究極の壁」と称えた。

 チームを代表して香川県出身の浅野智弘さん(20)は「参加した耐力壁は5体目。3カ月ぐらいかけて完成させた。地元材を用いているのが特徴で、デザインもシンプなものにした。卒業したら現場に出たい」と誇らしげに話した。チームの北尾凌さん(19)も出石麻理さん(19)も「希望は現場」とのことだった。

 指導した同大学校職業能力開発准教授・宇都宮直樹氏は、「これまで総合優勝や2位もあったが、今回は全体的にバランスが取れていた。木材は実際の山を見て選んでいる。同じ四国でも地域によって木材の質が異なることを学ぶことが大事で、卒業してから現場経験が生きてくるはず」と語った。

 ジャパンカップ杯は獲得できなかったが、デザイン部門など3つの部門賞を受賞したということは記者にも少しは見る目があるということか。

  
左から四国能開大の浅野、出石、北尾の各氏      「ITAMADO2」に敗れた「格剛Ⅴ」(写真左)

      ◆      ◇

 京都の町屋でよく見かける「矢来」をモチーフにし、壁の名前も「矢来」とし、大会連覇、4度目の優勝を狙った「チーム匠」の担当者は、「50KNには耐えられるはず。アキュラホームを代表する大工が一分の隙もないものに仕上げた」と胸を張ったが、決勝では58KNあたりで相手に土台を破壊された。

 優勝6度の最強チーム、ポラス暮し科学研究所の「REBORN(リ・ボーン)について同社主席研究員・上廣太氏は、試合前に「今回はシードされたが、16日の加圧の段階でバキッと土台が壊れてしまった。もう無理、満身創痍。8月開催になったのでみんな夏休みを返上して取り組んできたが、準備が足りなかった」語り、早々と白旗をあげていたが、その通り決勝トーナメント初戦であっけなく敗退した。

  
左から「チーム匠」の冨谷、武原、並木、和田、稲山の各氏     「ITAMADO2」に敗れた「矢来」(写真右) 

  
  左からポラスの大浦、立花、原田、上廣、高橋の各氏                  「RE・BORM」                                    

カテゴリ: 2013年度

6月の建設工事受注高6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)

公共事業、住宅・不動産が増加に寄与


 国土交通省は8月9日、平成25年6月の建設工事受注動態統計をまとめ発表。受注高は6兆3,530億円(前年同月比14.2%増)で、このうち元請受注高は4兆4,382億円(同23.7%増)、下請受注高は1兆9,148億円(同3.1%減)となった。

 元請受注高のうち発注者別では公共機関からは1兆4,984億円(同43.1%増)、民間などからは2兆9,397億円(同15.7%増)となっている。

 民間などからの受注工事で多いのは「住宅」1,923億円、「店舗」750億円、「医療・福祉施設」619億円。発注者別でもっとも多いのは不動産業の2,166億円(同31.4%増)。公共工事と住宅、不動産が受注増に大きく寄与している。

 また、平成25年9月の主要建設資材月別需要予測では、「セメント、生コンクリート」が4,500千t(前年同月比21.4%のプラス)、「木材」は875千?(同12.0%のプラス)、「普通鋼鋼材、形鋼、小形棒鋼」は2,000千t(同 18.3%のプラス)などいずれも大幅プラスを予測している。..

カテゴリ: 2013年度

マンションは総体として評価すべき

週刊住宅「首都圏優秀マンション」表彰について


 「週刊住宅」の平成24年度「首都圏優秀マンション」表彰で最優秀賞に三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」と野村不動産・三菱商事「プラウド船橋」が選定された。また、「都心中規模マンション」では野村不動産・三井物産「プラウド南麻布」、「都心小規模マンション」には野村不動産「プラウド高輪三丁目」、「郊外中規模マンション」では大京「ライオンズ立川グランフォート」、「週刊住宅新聞社賞」には東急不動産「ブランズ四番町」がそれぞれ選定された。「郊外中規模マンション」は該当作がなかった。

 この受賞について異論を挟むつもりはない。それどころか、パークコート千代田富士見ザタワー」と「プラウド船橋」は2物件とも、記者も昨年の「ベスト3マンション」に選んだぐらいだから、もっともな評価だろうと思う。異なるのは記者は「甲か乙か」というような評価をしていないという点だ。都心の富裕層向けと郊外の第1次取得層向けの物件に点数を付けて比較することなど記者はできない。

 残念なのは、都心、郊外、大規模、中・小規模ともほとんど全てが「大手」物件で、中小デベロッパーが得意とする「郊外中規模マンション」に該当物件がないことだ。これは、リーマンショック後、加速度的に進んでいる大手の寡占化市場の反映だろう。

 しかし、それでも中小デベロッパーの事業、物件を顕彰する意味でも選定する努力をしてほしい。そもそも千葉や埼玉の物件というだけで基礎点が少ないというのも問題だし、都心に近い物件ほど、中小規模より大規模物件のほうが基礎点が高いという配点は再考の余地があるのではないか。これは不公平だ。

 つまり、「立地」「専有部」「住環境」「建物・構造」などを点数化・ランク付けして評価すること自体に問題がある。マンションの性能をレーダーチャートに落とし込むことは簡単ではない。仮にそうしたところで、マンションを評価したことにはならない。

 最悪の立地条件であっても、商品企画に工夫を凝らしユーザーの心を捉えた物件は数え切れないほどある。子育て環境を重視すれば、駅に近い商業地域のマンションより駅から遠い住居系用途地域のほうがいいことも考えられる。2,000万円台、3,000万円台の第1次取得層向けの中小規模マンションにコストアップ要因となる免震を採用し、共用施設・設備仕様を充実させることなどは極めて困難なことだ。

 さらに言えば、マンションの評価は絶対評価でも相対評価でもない総体として評価すべきだと思う。記者がいつも念頭に置いているのは、その土地の特性を最大限に生かす工夫がなされているか、難点をいかにカバーするか、ユーザーの取得意欲を刺激するものかどうかだ。広い意味でデザイン性にも目を配る。

カテゴリ: 2013年度

6月の住宅着工 消費税にらんだ駆け込みで大幅増加


 国土交通省は7月30日、6月の新設住宅着工戸数をまとめ発表した。総戸数は83,704戸で、前年同月比15.3%増、10カ月連続の増加となった。内訳は持家が30,699戸(前年同月比13.8%増、10カ月連続の増加)、貸家が30,504戸(同13.1%増、4カ月連続の増加)、分譲住宅が22,029戸(同24.3%増、2カ月連続の増加)。分譲住宅の内訳はマンションが10,274戸(同46.0%増、2カ月連続の増加)、一戸建て住宅が11,651戸(同9.4%増、10カ月連続の増加)。

 首都圏マンションは、東京都が2,883戸(前年同月比6.5%減)、神奈川県が1,167戸(同142.1%増)、埼玉県が408戸(同142.9%増)、千葉県が525戸(同5.1%減)。

 着工動向について国交省は「リーマンショックを受けた大幅な下落(平成21年度)以降、緩やかな持ち直しの傾向が続いてきたが、このところ、消費マインドの改善等もあり、堅調に推移している。今後の先行きについては、雇用・所得環境の推移、東日本大震災からの復興状況、建設労働者の需給状況、住宅ローン金利の動向等を引き続き慎重に見極める必要がある」としている。

◇     ◆     ◇

 このところの着工戸数の増加は明らかに消費税率アップを睨んだ駆け込みだ。住宅の場合は、引渡し時期のいかんに関わらず今年9月30日までに契約すれば、消費税率は現行の5%に据え置かれることになっている。住宅は金融商品ではないから冷静な対応が必要だ。

カテゴリ: 2013年度

消費税増税時の住宅購入

最大30万円の現金給付は決まったが…建築費上昇懸念


 マスコミが一斉に報じたように、政府・与党は6月26日、来年4月の消費増税に併せて導入する住宅購入者向けの給付制度を決めた。住宅ローン利用者に対して年収制限を設けて最大30万円の現金を給付するのが骨子だ。また、今年末で期限が切れる住宅ローン減税も4年間延長して、控除額を年間最大40万円に拡大する。

◇      ◆     ◇

 「負担軽減策」が打ち出された26日、不動産協会は木村惠司理事長(三菱地所会長)名で「平成25年度税制改正で措置された住宅ローン減税の拡充等で効果が不十分な所得層に対して重点的に手当てされるとともに、現金購入者に対しても広く配慮されており、住宅購入者の負担軽減に効果があると評価している。また、10%引き上げ時の負担軽減措置も併せて決定されており、中堅所得層まで幅広く手当てされたことも評価したい」「これにより、住宅市場における駆け込み需要の発生とその反動については、かなりの程度平準化されることを期待している」とコメントした。

◇      ◆     ◇

 この最大30万円の現金給付が消費税後の住宅市場にどのような影響を及ぼすかが最大の関心事だ。分譲マンションのケースで考えてみよう。

 計算がしやすいように首都圏の一般的な郊外マンションに当てはまる3,000万円のマンションを全額ローンで購入した場合で、課税対象外の土地価格を1,000万円、課税対象の建物価格を2,000万円としよう。

 現行の消費税率が5%だと消費税額は100万円。消費税率が8%になると160万円となり60万円アップする。仮に年収425万円以下の人が対象となる30万円の給付が受けられるとすると、住宅ローン控除額の年間30万円と合わせ差し引きゼロとなる計算だ。

 しかし、実際の場合、年収425万円以下の人が3,000万円のマンションを購入し、3,000万円のローンを組むのは不可能だ。現金とローン減税で戻ってくるのはせいぜい30万円ではないか。つまり、消費税アップによって30万円の負担増となり、マスコミが報じているように「年収が低い人ほど恩恵が受けられる」というのは正確ではない。この点について、自民党の野田毅税制調査会長が「低所得者のための措置ではなく、駆け込み需要増と反動をいかに抑えるかを軸に考えた」(27日付け日経新聞)と語ったのは的を射ている。 

 そもそも消費税は逆進性が強く、生鮮食品などとともに住宅はその影響を強く受ける。ここでは詳しく書かないが、これは土地に対しては課税されず、建物のみに課税されるという税の仕組みに問題がある。建築費はどんな遠隔地であろうと1坪(3.3㎡)当たり単価は100万円はするので、分譲価格に占める建物価格割合は7割ぐらいになる。一方で、地価が高い都心部などは土地価格の割合は6~7割ぐらいになり逆転する。20坪の3,000万円と1億円、言い換えれば年収が数百万円の人とその数倍の富裕層の人が支払う消費税額は200~300万円の差しかない。

◇      ◆     ◇

 もう一つ重視しなければならないのは、住宅ローン金利動向だし分譲価格の上昇懸念だ。住宅ローン金利動向については専門家に任すとして、すでに建築費の上昇は始まっている。関係者によると10%は上がっているという。

 それでもまだ価格上昇が顕在化していないのは、企業努力、つまり、利益率を落としたり設備仕様レベルを下げたりして対応しているからだ。そのような例はたくさんある。二重床を直床にしたりキッチンの天板を御影石から人造大理石にしたり、食洗機はオプションにする、スロップシンクはつけない、クロスの質を落とす…数えたらきりがないほどある。値段を据え置きし、中身の量を減らしている商品と同じだ。

 しかし、質の低下は競争力の低下にもつながる。いずれは建築費の上昇を価格に上乗せせざるをえなくなる。時間の問題だ。また、「駆け込み需要」に便乗した値上げも行われそうだ。そこがターニングポイントだろう。現金給付やローン減税では吸収しきれない額の値上がりとなった場合、果たして市場はどう反応するか。アベノミクスの真価がそこで問われる。

◇      ◆     ◇

 もう一つ指摘したいのは、詳細はこれから決まるのだろうが、「消費税還元セール禁止特措法」と今回の「負担軽減措置」との整合性はどうなのかということだ。

 特措法では「消費税分を値下げする」「消費税分の家具をプレゼントする」などは違法行為になるのだろうが、現金給付やローン減税によって負担を軽くするというのは主体が民間と国の違いだけではないか。消費税が増税されたらデベロッパーは「春の住宅取得応援キャンペーン」「創業○周年記念 購入資金プレゼント」などと実質的に税負担を軽くする商法に出そうだが、これは違法にはできないはずだ。

 混乱を生じさせないためにも住宅、少なくとも第一次取得層向けは非課税にするべきだと思う。

カテゴリ: 2013年度

建設技能労働者の不足傾向強まる 国交省


 国土交通省は6月25日、建設労働需給調査結果・主要建設資材需給・価格動向調査結果をまとめ発表した。

 5月の全国8職種の需給動向は、4月の1.0%不足から1.4%不足へ0.4ポイント不足率が拡大。特に鉄筋工(土木)の不足率が5.1%と大きくなっている。

 今後の見通しとしては8職種全ての技能労働者が不足傾向にあるとしており、労働者の確保が「困難」と「やや困難」の合計が23.3%となり、前年同月比11.1ポイント上昇している。

 また、6月の主要建設資材需給・価格動向では、価格は「横ばい」、需給は「均衡」、在庫は「普通」となっている。

カテゴリ: 2013年度

長期優良マンションが「CASBEE」では評価されないのはなぜ

 

 昨日の記事で三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ LaLa 新三郷」は免震構造・長期優良住宅認定マンションでありながら、環境性能を評価する「CASBEE 埼玉」では満点の星5つ(素晴らしい)に1つ欠ける4つ(大変良い)しか獲得できておらず、同じように埼玉県で初の免震・長期優良住宅認定マンションで、168戸が即日完売した野村不動産「プラウド大宮」も「CASBEE さいたま」では星3つ(良い)の評価しかされていないと書いた。100点満点で言えば「新三郷」は80点、「大宮」は60点ということになる。

 いうまでもなく「長期優良住宅」は、平成21年4月に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」によって構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性、可変性、バリアフリー性、省エネルギー性の性能を有し、かつ、良好な景観の形成に配慮した居住環境や一定の住戸面積を有する住宅が認定されるものだ。認定を受けた住宅は、住宅ローンや不動産取得税、固定資産税などの税制面で優遇措置を受けられるようになっている。

 一方の、「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)は、国交省の支援のもと財団法人建築環境・省エネルギー機構が中心となって10年ぐらい前から推進しているもので、建築物の環境品質と建築物の環境負荷の両面から評価し、評価結果を「Sランク(素晴らしい)」から「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階のランキングによって示されるものだ。自治体によっては条例で環境性能評価の届出を義務づけ、数値を広告などに表示するよう義務づけているところもある。

 首都圏では東京都は「CASBEE」ではないが、同様の「マンション環境性能評価」制度を平成17年に設け、一定規模以上のマンションの広告に環境性能を示すラベルの表示を義務付けている。当初は「建物の断熱性」「設備の省エネ性」「建物の長寿命化」「みどり」という4つの評価項目につきそれぞれ星3つで評価(満点は星12個)し、平成22年度からは「太陽光発電・太陽熱」の項目を追加し、5項目全てで満点の場合は星15個となっている。このほか埼玉、神奈川県の各県と主要な都市が実施している。千葉市と柏市を除く千葉県には評価制度がない。千葉県のマンションの価格が相対的に低いのはこのためかどうかは書かない。

 では、どれぐらいのマンションがSランク(都の場合は満点の星3つ)を獲得しているか。

 都の満点は結構ある。22年度以降の新制度では三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」(270戸)、野村不動産「プラウド東雲キャナルコート」(600戸)、三井不動産レジデンシャル「パークタワー東雲」(585戸)、三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見」(505戸)、大手デベロッパー6社共同「SKYZ TOWER & GARDEN (東京ワンダフルプロジェクト)」(1,110戸)の5物件が星3つ(15個)だし、旧制度の星3つ(満点で12個)では10物件ぐらいある。

 他の県は極端に少ない。埼玉県下ではSランクのマンションはこれまで1件もないし、神奈川県は長谷工コーポレーション他「ブリージアテラス淵野辺」(220戸)の1件のみだ。横浜市は三菱地所レジデンス他「M.M.TOWERS FORESIS」(1,226戸)、野村不動産「プラウド綱島」(99戸)、東京建物他「Brillia City 横浜磯子」(1,230戸)の3件、川崎市は東京建物「Brillia e-SQUARE」(129戸)と川崎市住宅供給公社「川崎ゲートタワー」(110戸)しかない。

 

◇     ◆     ◇

 

 記者は長期優良住宅はもちろんだが、「CASBEE」についてもマンションを見学した際や住宅情報誌を見るとき必ずチェックする。もちろんデベロッパーがSランク(都の場合は星3つ=15個)を取得して欲しいからだし、ユーザーもマンションの選択に役立つと思うからだ。

 ところが、冒頭のようなことが起きた。どうしてこのような結果が出るのか。それは長期優良住宅と「CASBEE」の評価のモノサシが異なるからだ。長期優良住宅は基本性能や「居住」環境を評価するし、「CASBEE」は居住環境よりも「自然」環境性能を評価している。この差だ。

 例えば、長期優良は居住面積や建物の維持・管理、可変性も重要な評価ポイントになるが、「CASBEE」は居住面積、居住性などはあまり重視していない。強いてあげれば「サービス・性能」という評価項目だが、これはマンションの機能のすべてを包含する項目ともいえるが、逆に極めてあいまいな評価項目だ。お叱りを受けるかもしれないが、「CASBEE」は環境には優しいが、人に優しいという哲学が欠落しているように思う。

 もう一つは、デベロッパーの姿勢、インセンティブの有無だ。長期優良は住宅ローンなどの優遇措置があり、ユーザーにアピールしやすいので各社は取得に積極的になっている。一方の「CASBEE」は、住宅ローン金利を引き下げたり容積率の割増を行っているところもあるが、全体としては優遇策は少ない。

 これまで長期優良認定を取得した首都圏マンションは記者が把握している範囲内で20件近くあるが、このうち「CASBEE」でSランクを取得しているのは「東雲」「六本木」「千代田富士見」「川崎」の4物件しかない。

 何度も言うが、免震で長期優良マンションが「CASBEE」の評価では満点の100点が取れず、せいぜい60~80点しか取れないのであれば、だれも満点を目指さないのではないか。ハードルを低くしろとは言わない。関係者がよく話し合って双方の整合性を図るべきだ。このままではユーザーから見放されることになる。

 ある大手デベロッパーの関係者は「われわれは独自の基準を持っておりプライドもある。長期優良など挑戦しがいのあるものはもちろん取得を目指すが、様々な認定制度で評価されることが最大目標ではない」と語った。

 

三井不レジ・大栄不 新三郷で免震&長期優良(6/12)

カテゴリ: 2013年度

4月の住宅着工 前年同月比5.8%増の約78,000戸

 

 国土交通省は5月31日、平成25年4月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は77,894戸(前年同月比5.8%増、8か月連続の増加)となった。内訳は持家が28,357戸(同17.5%増、8か月連続の増加)、貸家が27,842戸(同7.8%増、2か月連続の増加)、分譲住宅が21,388戸(同6.9%減、2か月連続の減少)。

 分譲住宅のうちマンションは10,718戸(同 22.0%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅は10,559戸(同15.4%増、8か月連続の増加)。マンションが大幅に減少したのは、前年同月が前々同月比38.0%増の11,704戸と大幅に増加していたためで、特別な要因はない。比較的高水準で推移している。

 首都圏マンションは5,860戸(同18.5%減)で、内訳は東京都が3,607戸(同9.2%減)、神奈川県が1,240戸(同32.2%増)、埼玉県が390戸(同28.4%減)、千葉県が623戸(同64.2%減)。

カテゴリ: 2013年度

建設技能労働者不足率が拡大 国交省調査

 

 建設関係の職人不足率が拡大し、建設資材は被災3県で価格が「やや上昇」し骨材が「やや逼迫」--国土交通省は5月24日、4月の建設労働需給調査結果と5月の主要建設資材需給・価格動向調査結果をまとめ発表した。

 建設労働需給調査は、型わく工、左官、とび工など8職種について全国調査しているもので、過不足率は3月の0.3%から4月は1.0%へ0.7ポイント不足率が拡大。とくに鉄筋工(土木)の不足率が2.7%と大きい。

 全国の建築資材動向は、価格ではアスファルト合材が「やや上昇」し、その他は「横ばい」となっている。需給動向では全ての資材が「均衡」となり、在庫も「普通」となっている。被災3県では価格、需給、在庫とも「やや上昇」「ややひっ迫」「やや品不足」が目立っている。

 

◇    ◆    ◇

 

 調査によると技能労働者の不足も資材の値上がりもそれほど深刻な事態でないようにも受け取れるが、じわじわと人手不足、資材不足・値上がりが進んでおり、マンションや戸建て価格への影響は必至だ。

 売れ行きが悪ければデベロッパーも上昇分を価格に吸収せざるを得ないが、最近は売行きも好調なだけに、価格にオンするのは間違いない。

 消費税の値上げは何らかの形で消費者に還元されるが、その分は分譲価格の上昇で消えることになりそうだ。

カテゴリ: 2013年度
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン