70歳以上が全体の25.8%の163人 100歳以上は1月だけで36人 都の新型コロナ感染者
1月31日の東京都の新型コロナ感染者は633人となり、日曜日としては6週前の556人、5週前の708人の水準まで減少した。また、経路不明者は291人で経路不明率は46.0%と50%を下回った。
気がかりなのは70歳以上の感染者は163人で、全体に占める割合が25.8%に達していることだ。100歳以上も1月28日までに32人(累計48人)に上っていることを紹介したが、その後、29日は女性1人、30日は女性2人、31日には男女各1人の感染が判明し、1月のみで感染者は36人(累計53人)となった。
令和2年の住宅着工は81.5万戸 持家、貸家、分譲住宅とも前年比ほぼ10%減少
国土交通省は1月29日、令和2年の住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は前年比9.9%減の815,340戸で、4年連続の減少となった。床面積は前年比11.2%減の66,454千㎡で、4年連続の減少となった。
利用関係別の戸数では、持家は前年比9.6%減の261,088戸で前年の増加から再びの減少、貸家は前年比10.4%減の306,753戸で3年連続の減少、分譲住宅は前年比10.2%減の240,268戸で6年ぶりの減少となった。
分譲住宅の内訳は、マンションが107,884戸(前年比8.4%減)、一戸建てが130,753戸(同11.4%減)となった。
首都圏は総戸数288,460戸(同8.2%減)で、内訳は持家54,629戸(同6.4%減)、貸家117,873戸(同5.2%減)、分譲住宅109,240戸(同12.1%減)となった。分譲住宅の内訳はマンションが53,913戸(同9.2%減)、戸建てが54,340戸(同14.2%減)。
首都圏マンションは32,895戸(同9.2%減)で、内訳は東京都32.895戸(同12.7%減)、神奈川県9,707戸(同21.9%減)、埼玉県5,991戸(同46.2%増)、千葉県5,320戸(同2.1%増)。
特措法・感染症法の是非を考える 早くも抑止効果? 〝悪法もまた法なり〟なのか
「新型インフルエンザ対策特別措置法(特措法)」「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」の改正案が成立する見込みだ。当初予定されていた事業者や感染者に対する刑事罰は科されず、都道府県知事からの営業時間の短縮の命令に応じない場合や、入院拒否や疫学調査拒否に対しては過料を科すことで与野党が合意したと報じられた。
記者は、事業者などを一律にしかも事前に規制するのはどうかと思うが、感染者に対しては事後的にきちんと追跡調査を行うべきで、感染者もまた保健所などの調査に協力すべきだという立場だ。これは昨年からずっと主張してきた。以下、罰則の成否・是非などを書き連ねることにする。
まず、積極的疫学調査について。国立感染症研究所感染症疫学センター(NIID)の「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」は次のようにある。
「クラスター対策としての積極的疫学調査により、直接的には陽性者周囲の濃厚接触者の把握と適切な管理(健康観察と検査の実施)、間接的には当該陽性者に関連して感染伝播のリスクが高いと考えられた施設の休業や個人の活動の自粛の要請等の対応を実施することにより、次なるクラスターの連鎖は防がれ、感染を収束させることが出来る可能性が高まる。推定された感染源については、そこから把握できていないクラスターの存在の有無について確認し、新たなクラスターの探査を行うことで、感染拡大の兆しに早期に対応できることが期待される」
これはこの通りだろう。だからこそ専門家は経路不明率を50%以下に抑えることを呼び掛けている。
しかし、NIIDの調査には問題がありそうな気もする。調査票は4ページ41項目にも及び、保健所、病院の基本情報は当然ながら、患者の国籍、住所、氏名、年齢、連絡先、職業、勤務先、既往症(喫煙の有無も含む)、臨床経過などを記載することになっている。臨床経過では咳や熱、のどの痛み、鼻汁、倦怠感、頭痛、意識障害、けいれんの有無などだ。
これらの質問項目に従って電話を通じて一つひとつ聞き出し、調査結果を電子データに落とし込む作業は大変なのは容易に想像できる。
徒労感だけが募るこのような調査に加え、罰則規定が加わる。入院拒否や疫学調査に虚偽の報告をした人の罪を立証するために、調査するときに「虚偽の報告をすると、罰せられることがありますよ」などと告知し、応答を記録でもするのだろうか。そうでもしないと、裁判にでもなったら「虚偽報告」を立証できないだろう。国会議員の常套句「そのときは意識が朦朧としており記憶にございません」と答えられたらどうするのだろう。
患者も大変だ。検査を受けようにも受けられず、入院もままならず、高熱にうなされ気が動転し、意識が薄れてでもいたら、保健所の聞き取り調査にどれだけの人が正確に答えられるだろうか。〝もうどうにでもしてくれ〟と言いたくなるのではないか。
それにしても、感染源と思われる行動、場所などについての調査項目がないのはなぜか。職業・業種・学校名を記載する項目は1行のみなのはどうしてか。東京都の感染経路不明が50%を超え、感染者の40%の人が職業不明で、職業が判明している人は「医療関係者」「介護関係者」「医師」「タクシー運転手」「接客業」などと具体的に書かれている一方で、「会社員」「その他」「無職」などが圧倒的に多いのもこのためだ。
いずれにしろ、法改正に伴うプレッシャーは感染者、保健師とも相当なものだろう。
ただ、特措法・感染症法の改正の効果と断定はできないが、東京都の感染経路不明率は、一昨日(1月28日)は48.8%で、昨日(1月29日)は49.7%と2日連続して50%を切った。経路不明率が50%を割ったのは12月4日の49.2%以来実に1か月23日ぶりだ。今回の第三波では60%を超え、1月6日には71.7%と70%を超える日もあったことを考えるといい兆候だ。感染者も保健師も同じ方向を向いているからだと理解したい。
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特措法・感染症法の改正については反対意見も多い。日本弁護士連合会は1月22日付で「感染症法・特措法の改正法案に反対する会長声明」を出した。
声明は「今回の改正案は、感染拡大の予防のために都道府県知事に広範な権限を与えた上、本来保護の対象となるべき感染者や事業者に対し、罰則の威嚇をもってその権利を制約し、義務を課すにもかかわらず、その前提となる基本的人権の擁護や適正手続の保障に欠け、良質で適切な医療の提供及び十分な補償がなされるとは言えない」と断じている。
反対理由の一つとして「刑罰(※)は、その適用される行為類型(構成要件)が明確でなければならない。この点、新型コロナウイルス感染症は、その実態が十分解明されているとは言い難く、医学的知見・流行状況の変化によって入院措置や調査の範囲・内容は変化するし、各保健所や医療提供の体制には地域差も存在する。そのため、改正案の罰則の対象者の範囲は不明確かつ流動的であり、不公正・不公平な刑罰の適用のおそれも大きい」と指摘する。
そして、「単に入院や調査を拒否したり、隠したりするだけで『犯罪者』扱いされるおそれがあるとなれば、感染者は感染した事実や感染した疑いのあることを隠し、かえって感染拡大を招くおそれさえ懸念される」「安易に感染者等に対して刑罰を導入するとなれば、感染者等に対する差別偏見が一層助長され、極めて深刻な人権侵害を招来するおそれがある」と主張する。
事業者に対する罰則については、「飲食の場に感染リスクがあるというだけで、死活問題となる営業時間の変更等を求められるのは、あまりにも酷である。かかる要請・命令を出す場合には、憲法の求める『正当な補償』となる対象事業者への必要かつ十分な補償がなされなければならず、その内容も改正案成立と同時に明らかにされなければならない。
また、不用意な要請・命令及び公表は、感染症法改正案と同様、いたずらに風評被害や偏見差別を生み、事業者の名誉やプライバシー権や営業の自由などを侵害するおそれがある。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するためには、政府・自治体と市民との間の理解と信頼に基づいて、感染者が安心して必要な入院治療や疫学調査を受けることができるような検査体制・医療提供体制を構築すること及び事業者への正当な補償こそが必要不可欠であって、安易な罰則の導入は必要ないと言うべきである」としている。
(※)日弁連が声明を発表したときの改正法は刑事罰となっていたが、与野党合意によって刑事罰ではなく行政罰になる。
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記者は、この日弁連声明に対して賛否のコメントは差し控えたい。わからないからだ。ただ、「罰則の対象者の範囲は不明確かつ流動的であり、不公正・不公平な刑罰の適用のおそれも大きい」という指摘はもっともだと思う。
そして危惧するのは、日弁連も指摘する「政府・自治体と市民との間の理解と信頼」が構築されているのかどうかという点だ。われわれ国民と政府、専門家などとの「リスクコミュニケーション」は決定的に欠けていると言わざるを得ない。感染者は過料を科されることの負担と、言い逃れすることの利益を天秤にかけるはずだ。人の命より目先の利益が勝ったら、みんな過料を選ぶ…そんな世の中になるのか。
だが、しかし、感染拡大を防止するため奮闘している保健所関係者、劣悪な環境で歯を食いしばって感染者の治療に当たっている医師や看護師、行政や地域からも見放された高齢者施設で働く介護事業関係者、さらには相対的に低賃金に抑えられているエッセンシャルワーカー(職業に貴賎なし。小生はあらゆる職業の人がそうだと思うが)などのことを考えると、みんなの命と生活を守るためにはある程度の忍従に甘んじ、行政の呼びかけに積極的に応えるべきだと思う。〝悪法もまた法なり〟というではないか。
新型コロナ 爆発的に増加 感染者の〝職業不明〟割合 都は40%超(2021/1/10)
新型コロナ 緊急事態宣言へ 飲食店の時短だけで効果あるか/どうなる特措法の罰則(2021/1/5)
16日の都のコロナ感染者 過去最多の678人/感染経路調査に強制力持たすべき(2020/12/17)
新型コロナ感染者 職業の最多は「不明」35% 退院後の心のケア必要 都のデータ(2020/11/16)
70歳以上の感染者 従来の4~5倍 全体に占める割合も倍増の2割へ 都の新型コロナ
一都三県を対象とした新型コロナ緊急実意宣言が1月7日に発出されてから3週間が経過した。感染者は減少傾向にあるが、小池百合子都知事は1月29日の定例記者会見でも高齢者の感染者が増加し、医療態勢は引き続きひっ迫していることなどから、より一層の行動抑制を訴えた。事業者に対してはテレワークとローテーション勤務を組み合わせた「テレハーフ」の実施を呼び掛けた。
また、実効再生産数が現在の0.7以下の0.5以下に抑制しないと感染者は減らないことから、宣言延長の可能性も示唆した。
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小池都知事も話したように、高齢者の感染者が増加し、感染者全体に占める感染比率も拡大傾向にある。
別表は、東京都のオープンデータから最近の70歳以上の性別、年代別感染者と感染比率を表とグラフで示したものだ。
70歳以上の感染者の数は、第2波までは数十人くらいに収まっていたが、11月に入り増加傾向をたどっていた。
それでも別表にあるように、12月31日に132人となるまでは毎日概ね100人以下で推移していた。
ところが、年明けの1月5日に131人を記録するとその後、1月28日までは100人を割ることはなく、1月15日には過去最多の263人になるなど200人前後で推移している。
全体の感染者に占める割合も、10%以下で推移していたのが1月15日には13.1%となると、1月24日は21.7%と初めて20%台にのぼった。
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どうして高齢者の感染者が増加しているのか。その理由はどこも明らかにしていないと思う。高齢者の重症化率が高いことは当初から指摘されており、小生なども徹底して〝三密〟を避けてきた。どうしてこの1~2カ月の間に4~5倍に増加するのか。果たして「飲食」が拡大の主な理由なのかという疑問はぬぐえない。
この点について、菅義偉首相は1月7日、一都三県を対象とした新型コロナ緊急事態宣言を再発出するにあたって記者会見で次のように述べた。
「専門家も、東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています。今回の宣言に当たり、飲食店については20時までの時間短縮を徹底します」
「私たちは、この1年間の経験で多くのことを学んできました。大事なのは、会話をするときは必ずマスクをお願いする。さらに外食を控えて、テレワーク7割、夜8以降の不要不急の外出の自粛、特にこの3点を徹底していただければ、必ず感染を抑えることはできると考えております」
記者は、「東京で6割を占める経路不明の感染の原因の多くは飲食が原因であると指摘されています」と述べられたことに注目した。専門家が指摘しているのだからこれは事実なのだろうが、そもそも感染経路が不明の人の原因の多く(別の会見では「大半」と話された)は飲食が原因とどうしていえるのだろうかと感じた。一方で、飲食が原因でない残りの感染者は職場や家庭だろうから、ここでの感染を防ぐにはどうしたらいいのだろうかと考えた。菅総理もだからこそテレワーク7割、夜8時以降の不要不急の外出自粛を呼びかけたのだろうと思った。
しかし、電車やバスなどの交通機関による移動、単なる外出だけでは感染はそれほどないはずだ。やはり勤務する人の行動をどう抑制するかが課題ではないか。「飲食」についても、記者はきちんと対策を練ればリスクは抑えられるような気がしてならない。
本日(29日)は、100歳以上の方の感染も激増していると書いた。〝気のゆるみ〟では絶対ないはずだ。どなたか究明してほしい。
100歳以上は1月だけで32人 昨年1年間の16人の2倍 東京都の新型コロナ感染者
先週1月24日にも書いたのだが、東京都の100歳超の新型コロナ感染者が急増している。1月23日時点では21人(累計37人)だったのが、その後、24日が女性3人、26日が男女各1人、27日が女性4人、28日が女性2人の感染が判明し、1月だけで32人、昨年1年間の感染者16人の2倍に達した。累計では48人になった。
28日行われた都の新型コロナ感染症対策本部でのモニタリング会議では、入院患者の年代別割合は60 代以上が11月中旬以降、高い割合で推移しており、全体の約2/3を占めていことから、「家庭、施設をはじめ重症化リスクの高い高齢者への感染の機会をあらゆる場面で減らすとともに、基本的な感染予防策、環境の清拭・消毒を徹底する必要がある」とのコメントが寄せられている。
100歳以上の感染者の感染源はほとんどが同居者と施設だと思われる。
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心配な数字だ。100歳以上だからご本人が外で飛び回るようなことはなく、感染源は同居家族か、施設であれば外からウイルスが持ち込まれたのは間違いない。ご本人はもちろんだが、ご家族や介護関係者の心労はいかばかりか。
素人の記者が言うべきことではないかもしれないが、昨年10月、三菱地所ホームの新商品発表会で披露された日機装の空間除菌消臭装置「Aeropure」はスグレモノだと思った。8畳用で6.4万円だからそれほど高価でもない。
東急リバブル 新築値下げ物件など紹介サイト「アウトレット不動産モール」開設
東急リバブルは1月28日、自社ホームページ上に特典サービス付で購入できる新築未入居物件を取り揃えた特設サイト「リバブル アウトレット不動産モール」を同日に開設したと発表した。
新築と中古を並行して検討する人が増え、その垣根は年々低くなっていることに着目し、新築未入居で、何らかの購入特典が付いている物件のみを集約して掲載するもの。
価格改定(値下げ)された物件やモデルルームなどの家具付き物件、オプションサービスなどの特典が付いた物件に限定した住まい探しが可能になる。
物件掲載料はマンションが10万円/月、戸建てが2万円/月、サイトにより成約した場合の紹介料はマンションが100万円、戸建てが50万円。サイトに掲載する物件目標は常時100~170物件(開設時は約40件)。
「リバブル アウトレット不動産モール」サイトはhttps://www.livable.co.jp/kounyu/tokushu/outlet/
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いまマンション市場では、割安と思われる物件を市場でバルク買いし、それに価格をオンして売るデベロッパーもいるが、さすがリバブル。これはいい。いいところに着目したものだ。物件の価格にもよるが、掲載料と紹介料を合わせても法定仲介手数料より安くて済むので、在庫を抱えるデベロッパーは〝渡りに船〟ではないか。
記者もリバブルのサイトを「お気に入り」に入れて時々チェックすることに決めた。
一つだけ気になるのは、このサイトに掲載されれば〝売れないデベロッパー〟の見本として世間に知れ渡らないかという点だ。それが常態化すれば、〝アウトレット入り〟するまで購入を待つ人を増やすことにならないかという点も心配だ。
さらにまた、そもそも値下げをしなければ売れない物件を供給するというのは、市場を読み違えたということでもあり、プロとしての鼎の軽重を問われかねない…〝背に腹〟は変えられないか。
そうしたマイナスイメージを払拭させるために、〝みんなで渡れば怖くない〟-とにかくリバブルはたくさん物件を集めることだ。デベロッパー各社も〝明日は我が身〟だ。〝優良〟物件をどんどん掲載依頼して、バーゲンセールサイトにしないように協力すべきだ。
隈研吾氏設計 鉄と木とガラスの「融通無碍」ハイブリッド「田園調布せせらぎ館」
「大田区 田園調布せせらぎ館」
市民の地域活動や文化活動の拠点として1月16日開園した田園調布せせらぎ公園内の「大田区 田園調布せせらぎ館」を見学した。施設は建築家・隈研吾氏が設計を担当しており、鉄骨造でありながら内外装に自然素材の木をふんだんに用い、雑木林のような公園に面した側は大開口のガラスによって建物の中と外を緩やかにつなぐハイブリッド建築物だ。
施設は、東急多摩川線・東横線・目黒線多摩川駅からすぐ、大田区田園調布一丁目の「田園調布せせらぎ公園」の一角に位置。建物は鉄骨造2階建て延べ床面積約2,433㎡。総工費は約20億7,000万円とメディア(朝日新聞)が伝えた。
大田区立図書館にある資料の予約・受取・返却、レファレンスができる図書サービスコーナーや多目的室、集会室、和室のほか、田園調布せせらぎ公園の自然を感じながらくつろぐことができる休憩スペース、カフェを併設している。
隈氏は施設紹介映像の中でインタビューに答え、「場所は、わたしが子どものころ遊んだところで、国分寺崖線の南端に位置しているのが特徴。建物は、丘陵の地形を感じられる縁側のような気持のいい空間をデザインした。縁側の気持ちのいい日陰の中で本を読んだりおしゃべりしたり、いろんな活動をしたりできるようになればいいなと設計した。カフェは離れ感を出し、より自然と一体化した隠された場所みたいなニュアンスを与えてみた。日本の空間の特徴は、中と外の空間が一体になっているということであり、今回も床、壁から小物にいたるまで景色にあった色合いとかテクスチャーなど自然素材をふんだんに使用した。施設全体は融通無碍に使える、利用者の様々なアイデアに柔軟に対応できるデザインとした。市民と一緒に伸びていってくれることを期待している」などと語っている。
道路側の外壁
公園側の外観
図書サービスコーナー
壁面書棚(上部のフェイクの植物はいかがなものか)
2階から1階を見降ろす
◇ ◆ ◇
施設をみてすぐ隈氏が設計した建物であることが分かった。建物は、総延長100m近くありそうな南北軸が長い切妻か差しかね屋根形状で、過剰な装飾を一切排した凛とした気品を漂わせていた。
道路に面した外壁にはアセチル化木材(※)が縦ルーバー状に張られていた。板材は大中小の3種のみだが、板を繋ぎ合わせたり、間隔を変えたり、側を表面に配置したりなどして見る方向によって表情が異なるように工夫されている。隈氏がよく使う手法だ。
※木材のアセチル化とは,木材成分(セルロースやリグニンなど)に含まれている水酸基に,酢酸を化学的に反応させた木材で、耐腐朽性能、寸法安定性、安全性が高いとされている。外壁などの原材料にはパイン材が用いられることが多いようだ。
一方で、公園側の外観は総ガラス張りで、外からは周囲の緑がガラスに映しこまれ、建物の中と外を緩やかにつなぐデザインコンセプトが手に取るように理解される。
内装も床、壁、天井、階段などにオークの突板がふんだんに採用されている。
建物も素晴らしいが、敷地面積約34,664㎡の比高差にして10m以上ありそうなせせらぎ公園もまた手つかずの雑木林のようで、人工的な公園とは一線を画している。
園内には大きな湧水池が2か所あり、サクラ、モミジ、ツバキなどのほか樹齢数百年、幹周り2m以上ありそうなケヤキ、コナラ、シラカシ、ズダジイ、イチョウなどの巨木もたくさん植わっている。
隈氏が設計した「角川武蔵野ミュージアム」がいま話題となっているが、「田園調布せせらぎ館」と「せせらぎ公園」もまた大田区の新しい名所になるのではないか。
湧水池
スダジイの巨木
公園側から写す
三菱地所ホーム ウイルスなど除去効果大きい賃貸住宅発売/日機装 生産体制2.5倍
外観パース
三菱地所ホームは1月18日、ニューノーマル時代の安心快適キャンペーンとして、全館空調「エアロテックFit」に「新・UVクリーンユニット」を搭載した戸建賃貸住宅「The Park Maison STYLE+Fit・UV」を発売したと発表した。
総2階で同面積の場合、一雁行までは同一価格で提供するメリットがあるほか、敷地形状に合わせて計画することが可能。搭載する「エアロテックFit」は部屋ごとに室温設定が可能で、昨年10月に製品化した「新・UVクリーンユニット」を全館空調室内機に取り付けることで、ウイルスやアレル物質などの除去効果が期待できる。
キャンペーンは、2棟以上の同時施工で2022年2月末までの完工引き渡しが条件となる。参考価格は、2階建て延べ床面積24.98坪の場合、1,500万円から(坪単価60万円・税別)。長屋タイプも個別対応する。
参考プラン
リビング
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「新・UVクリーンユニット」については、同社と日機装が昨年10月共同記者発表会を行ったときの記事を参照していただきたい。
日機装は今年1月8日付のプレス・リリースで、空間除菌消臭装置「Aeropure®(エアロピュア)」の生産体制をこれまでの約2.5倍となる年産25万台まで増強し、供給体制を強化したと発表した。
同製品は、2020年1月28日から販売開始しているが、その直後から医療機関、介護施設、保育園、公共交通機関、飲食店を中心に多くの施設などで採用され、生産が追い付かず、商品供給の納期が長期化していたが、今回、納期短縮を図るとともに、中国や欧米などの海外展開を見据えた生産体制を構築したという。
成約報告怠る・売り建て・モラトリアムなど 「レインズ情報の謎」を解くカギ
1月24日付「レインズ情報の謎」の記事に対して、同業の記者の方から謎を解くカギをいただいた。ここに紹介する。
まず、中古マンションなどの成約件数と新規登録件数の差が大きいことについて。
宅地建物取引業法第三十四条の二第7項とレインズ利用規程第九条では、宅建業者(レインズ会員)は、登録物件の成約があった場合は速やかにレインズに届け出ることが義務付けられているが、この報告を怠る、失念する業者が「信じられないほど多い」とのことだ。きちんと報告したら数値はどのように変わるのか興味深い指摘だ。
新規戸建ての新規登録件数が住宅着工戸数を大幅に上回っていることについて。これは、新規登録件数の中には「建売住宅」のほかに「売り建て」が含まれているのではないかということだ。
「建売住宅」とは読んで字の通り住宅を建てて(着工)から分譲するもので、一方で「売り建て」は、土地を売ってから住宅を建てる販売方法の一つだ。停止条件付売買契約と呼ばれているもので、買主は土地の売買契約を売主と結んだ後に、建物の建築請負契約を売主と結ぶことを条件づけられている。
バブル崩壊までは〝建てれば売れる〟時代が続いたので、「売り建て」方式はそれほど多くなかったが、崩壊後は売主の業者は建物が竣工しても売れ残る(在庫)を抱えるリスクを避けるため、「売り建て」に比重をおく業者が増えた。
レインズの新規登録件数にどれくらいの「売り建て」が含まれるのかは不明だが、この指摘は正しいのではないか。
もう一つ、鋭い指摘があった。「レインズのモラトリアム」というものだ。
不動産業者に売買を依頼する媒介契約を結ぶ場合、複数の不動産業者に仲介を依頼できる一般媒介契約、不動産業者1社に依頼する専任媒介契約と専属専任媒介契約がある。不動産業者は、一般媒介契約の場合はレインズへの登録は任意で義務はなく、専任媒介契約は7日以内、専属専任媒介は5日以内に登録する義務が生じる。
専任媒介は他の不動産会社が売主、買主を見つけた場合は仲介手数料を受領できることになっている(専属専任は仲介を依頼した業者を通じてしか売買契約は結べない)。つまり、専任媒介契約を結んだ不動産業者はこの7日間の猶予期間内に売買を成立させれば売主、買主双方から仲介手数賞を受領でき、レインズへの報告義務は生じないので、これがレインズ情報に大きな影響を与えているというのだ。
以上、これらのアドバイスで全て謎が解けたわけではないので、機会があったらレインズに取材しようと考えている。
都宅協 5名の宅地建物取引士の個人情報が記載された書類紛失
東京都住宅政策本部住宅企画部不動産業課は1月18日、東京都の宅地建物取引士証交付に係る業務を委託している東京都宅地建物取引業協会(都宅協)において宅地建物取引士(宅建士)の個人情報が記載された書類が所在不明となる事象が発生したと発表した。
1月8日(金曜日)午後5時40分頃、都宅協の開業支援センター(西新宿三丁目)の職員が本部研修センター宛ての5名の宅建士の個人情報が記載されたレターパック1通を郵便ポスト(西新宿二丁目)に投函したが、1月14日(木曜日)時点で本部研修センターに到達しておらず、新宿郵便局に確認したところ、新宿郵便局内では当該レターパックの受付記録がないとの回答があり、1月15日(金曜日)、都宅協から新宿郵便局に原因の調査を依頼、1月15日(金曜日)、都宅協は対象者5名に対し、経緯の報告及び謝罪を行ったというもの。
書類には宅地建物取引士の住所、氏名、登録番号、電話番号、生年月日、従事先の宅地建物取引業者の商号及び免許証番号、試験合格後1年を経過しているか否かの別、現に有する宅地建物取引士証の有効期限、顔写真が記載されている。
今後の対応として、住宅局は都宅協対し今後、個人情報の記載された書類の送付に当たっては、簡易書留等を利用し、直接郵便局の窓口において発送手続を行うなどの対応を求めていくとしている。