多点居住(5か所)を実践 有元さん×八木さん 小野さんが進行役 FRKのセミナー視聴
不動産流通経営協会(FRK)が3月20日行った「第15回FRK住まいと暮らしのセミナー」をオンラインで視聴した。料理研究家・有元葉子さんと長女の建築家・八木このみさんによるトーク「有元葉子 私の住まい考 家と暮らしのこと」がテーマで、ケアリングデザイン代表理事・小野由記子さんがファシリテーターとなり、有元さんと八木さんファミリーの5つの家について約1時間30分にわたって語り合う内容だった。400人以上の人が視聴したもようだ。
紹介された5つの家とは、「イタリアの家」「自宅」「田園調布のキッチンスタジオ兼用の家」「野尻湖の別荘」「自宅兼事務所の葉山の家」だった。
まず、イタリアの家。購入したのは1996年で、14世紀に建てられた壁の厚さが1mもある石造りの家だ。
有元さんは東京の賃貸マンションに住んでいたのだが、旅行が好きで1年の間に3~4カ月は海外で暮らしていた。最初はイタリアのトスカーナがいいと思っていたが、なかなか適当なものが見当たらなかった。旅行中、紹介されたトスカーナの隣の田舎町にあるレストランを利用しようと車から降り立った瞬間、〝ここに住もう〟と直感で決めたそうだ。「そこは敷地の大小に関係なく、値段が同じ。土地代がないのにびっくりしました。空間に価値を見出す考え方がとても面白い」と感じたそうだ。1年かけてリノベーションし、今でも住んでいる。
「小さい窓から入る光と、そこから見える景色が絵になっているんですね。30年近く経過しても全く変わらない。それがいい」と有元さんは話した。インテリアは古い家具とB&Bを組み合わせたら居心地がよくなったという。
2つ目に紹介されたのは、キッチンスタジオを構えている田園調布からそう遠くない自宅。築30年の中古マンションで、「ひどい状態でしたが、部屋の窓から見える緑が素敵で、緑があれば大丈夫」と決断した。八木さんがフルスケルトンリノベーションした。躯体のコンクリを巧みに生かしているのが特徴だ。
3つ目は、キッチンスタジオを兼ねた田園調布の集合住宅の家。敷地の前には緑の空間があり、そこに植わっていた大きなケヤキが伐採されることになったので、周辺の住民と一緒に署名活動を行って残したエピソードも明らかにした。その後、ケヤキが植わっている土地は有元さんが取得し、「欅ガーデン」として近隣住民と管理しているという。有元さんは「植物は力がありますね。街と人を結びつける」と語った。
4つ目の野尻湖の別荘は66㎡のがけ地に八木さんが設計して建築したもの。暖炉を兼ねた薪の熾火で料理をするととてもおいしいのだそうだ。メンテナンスは大変だが、有元さんは「大変と思ったら住めない。楽しむこと」と語った。
「葉山」は100坪の敷地に八木さんが持家兼建築事務所として建築したものだ。2年前に竣工した。八木さんは、「最初、土地から探したんですが、予算がなくて無謀にも1,000坪1,000万円で探してくださいと不動産業者さんに頼んだんですが、さすがにそんな土地はなく、何年もかかって予算も上がったので、すぐ裏が山の鳥の鳴き声が聞こえる高台造成地の中古住宅を購入し、それを取り壊して建てました」などと取得の経緯を語った。(八木さん、1,000坪1,000万円なんて、山林ならともかく調整区域でも首都圏では買えるかどうか)
記者は、話を聞きながらいつものように値段をはじき出した。これは書かないが、新築なら億単位の値段がするはずだ。
二地域居住どころか多点居住を実践できるのは、もちろん経済的な余裕が最大の理由だろうが、自宅が仕事場にできる職業だからだと思う。有元さんは「私は外食などしませんから、コロナで変わったことは全くありません。家の中に1日中いても平気です」、八木さんは「私は自宅が仕事場ですから」とそれぞれ語った。
5つの住宅に共通するのは、自然や街とのつながり、緑の借景だった。設計・デザインで参考になるのは、「自宅」の収納は天井までとはせず、数十センチの空間を設け、その部分を鏡張りにしていることだ。限られた空間を広く感じさせる工夫だ。これは新築でも中古でも生かせる。
有元さんが最後に語った「何事も工夫次第。〝身の丈〟が大事。料理も考えることと、その前に感じることが大切です。調味料でも、例えば醤油。なめてみて感じることです。そして材料は何だろう、どうして運搬されるのだろうと考えることです」というのがとても印象に残った。
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記者はFRKがこの種のセミナーを行っているのを全然知らなかった。視聴の案内もFRKではなく、ファシリテーターとして参加している小野さんのケアリングデザイン事務局からだった。小野さんとはしばらくお会いしていないので、どのようなことを話すか、とても興味があり視聴することにした。西武ライオンズのオープン戦を観ながらの視聴だったので、前段の記事は間違っている部分もあるかもしれない。ごめんなさい。
小野さんに初めてお会いしたのはもう13年も昔だ。当時、圧倒的な人気になった「アクアリーナ」を始め、「パークシティさいたま北」「フォレシアム」などのインテリア仕様、モデルルームデザインを担当されたのが小野意匠計画代表の小野さんだった。
素晴らしいデザインに記者は驚愕し、お会いしたくて取材を申し込み、快く受けていただいた。その時の記事も添付した。ぜひ読んでいただきたい。当時の基本性能・設備仕様レベルの高さも分かっていただけるはずだ。今の新築より数段優れている。
小野さんは2013年にケアリングデザインを立ち上げてから、マンションのモデルルームデザインを手掛けなくなったような気がする。残念だ。また戻ってきてほしい。
有元さんの料理について。前述したように有元さんを全然存じ上げないのだが、オンライン画像に映っている有元さんをかみさんが観て、「シンプルな料理が特徴で、女性で知らない人はいない。わたしがいつも作っている漬けマグロとアボガドの料理もその一つ」と種を明かした…ン? なるほど、とてもおいしい。かみさんのオリジナルだとずっと思っていたが…。
首都圏都市居住者の62万人が農山漁村などに「移住したい」!? 国交省調査
国土交通省は3月17日、移住や観光でもなく、単なる帰省でもない、日常生活圏や通勤圏以外の特定の地域と継続的かつ多様な関わりを持つ「関係人口」に関する実態調査の結果をまとめ発表した。
調査結果から国交省は、全国の18歳以上の居住者約10,615万人のうち推計で三大都市圏居住者の18.4%(約861万人)、その他地域居住者の16.3%(約966万人)を合わせ約1,827万人の人が特定の地域を訪問しており、そのうちの約34%の628万人(三大都市圏約301万人、その他地域約327万人)が、関係先の地域の産業の創出、ボランティア活動、まちおこしの企画などに参画する直接寄与型と規定。さらに、直接寄与型の5~6%の人は関わっている農山漁村部の自然環境に魅力を感じており、移住希望が強いことが判明したとしている。
調査は昨年9月、インターネットアンケート方式で行われたもので、有効回答数は18歳以上の全国に居住する148,831人から回答があった。アンケート調査結果は60ページ以上にわたる長文だが、同省ホームページに公開されている。
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記者は、いま国が進めようとしている二地域居住には興味がないし、田舎暮らしに懐疑的なのだが、インターネットとはいえ18歳以上の人口の0.1%に当たる約15万人から回答を得たのに驚き、その結果から約1,800万余の人を「関係人口」と規定し、移住希望者が多いという結論に導いた大胆さに驚嘆した。
いうまでもなく、驚いたのは回答者の多さだ。調査は国交省が直接国民に呼びかけたものではなく、調査会社が委託を受けて行ったものだそうだが、新型コロナ感染者は若者中心に再び三度増加傾向を示しており、国や行政は〝若者の心に響く〟情報発信に苦慮しているというのに、よくも15万人の回答を集めたものだ。回答者には何か特典でも与えたのか、心臓をぐっとわしづかみする惹句でもってひき付けたのか。
(ネットで調べたらアンケートモニター数が1,000万人超の調査会社もあるようだ。各社のモニターを合計すると国民の数を上回るのではないか。つまり、記者のような全く興味がない人も相当数いるはずだから、複数の調査会社のモニターになっている人がかなりいるということだ。インターネットによる調査は、従来型の無作為抽出、訪問面接法と比較して結果に差異が生じ、モニターの属性が高学歴、専門技術職が多く技能・労務職が少ない、正社員が少なく非正規従業員が多いとか、心理的特性の違いにより調査対象の実態を正確に反映していないとかの問題も指摘されている。モニターになっている人を対象としたアンケートをやってほしい。どのような結果となるか)
驚嘆したのは、推計ではあるが、首都圏都市部からその他地域に関わりを持つ関係人口(訪問系)直接寄与型の推計97万人の64%=約62万人が関係先に「移住したい地域である」と回答していることだ。しかも、移住先は「農山漁村部」(67%)や「市街地部(市街地内農林地等)」(67%)「市街地部(住宅地)」(67%)が平均値の64%を上回っているのには心臓が飛び出すほどの衝撃を受けた。
記者は、貧しい三重の農村で生まれ育った。曲がりなりにも〝美しい心〟の持ち主になれたのは故郷の美しい自然にあると思うのだが、公共バスはほとんど途絶え、コンビニもなく車なしでは生きられない田舎暮らしなどは絶望的だ。
「農山漁村部」に移住してもいいと考える人はどのような人なのか。クマに襲われたり、家庭菜園をシカやイノシシに食い荒らされたり、あるいはまたヤマヒルに股間をかまれ、汲み取り式便所に充満したメタンガスが爆発してお尻を焼かれ、酔っぱらって電子柵に触れたとたんに絶命することもありうることを覚悟しているのだろうか。近所づきあいをしないと相手にされなくなるのも分かっているのだろうか。
海の怖さは言わずもがなだ。津波は最たるものだが、皆さんはクラゲに刺されたことはないだろうか、ウニを踏んづけたことはないだろうか。激痛が走る。触っても食べてもいけない魚もたくさんいる。波にさらわれても助けてくれそうな人などどこにもいない。
まあ、しかし、時代は変わった。記者が上京した50年くらい前は、3代が江戸っ子という生粋の東京人は10人に1人いたかどうかだが、いまは東京生まれの東京育ちの人は約5割らしい。過酷な自然条件に負けない強靭な体と精神と、移住に失敗しても帰る家があり、生活再建ができるお金持ちはどんどん地方移住していただきたい。
調査結果を読んだ読者からは、「『ライフスタイルの多様化と関係人口に関する懇談会』の委員の方々はみんな田舎暮らし推進派? 」との感想が届いた。なるほど、アンケートの読み方の基本だ。
コロナきっかけに「集中へ」から「分散へ」舵取り 隈研吾氏 日経の記事を読んで(2020/12/21)
日本の残したい環境 一番人気は「里山」 学生とエコ・ファースト企業 対話イベント(2017/10/15)
大和ハウス 分譲住宅・物流市況に関する「記者レクチャー会」 質疑応答に1時間15分
大和ハウス工業は3月18日、3月下旬発表予定の地価公示を前に、記事化の参考になるメディア向け「記者レクチャー会」をオンラインで開催した。
同社の最近の市況について、分譲マンションはマンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏、分譲住宅は住宅事業本部事業統括部 分譲住宅グループ部長・本間生志氏、物流施設の稼働状況は建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室室長・井上一樹氏がそれぞれ説明した。
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数えてはいなかったが、メディア参加者は40名近くにのぼったのではないか。質問が多かったためか、質疑応答は予定の1時間を15分延長した。3氏は嫌な顔など見せず、一つひとつ丁寧に質問に答えた。この姿勢は他社も参考になるはずだ。
首都圏の販売状況について角田氏は、コロナ禍で価値観や生活スタイルの変化による実需層の郊外への動きが見られ、他方では、都市部での将来資産性が期待できる物件に対し、DINKSで高収入な実需層の購入や、富裕層による株運用利益を現物資産へ転化する動向が見受けられると説明した。
一方で、地価は引き続き高値圏にあり、東京23区、横浜、川崎の用地取得価格は更に上昇傾向にあると語った。また、投資用の需要は、金融緩和の影響もあり、コロナ禍でも賃貸レジデンスの売買を中心に好調としながらも、賃貸レジデンスの大量供給により、賃料の下落が仙台、東京都城東エリア、京都など一部で始まっているとした。
小生は、同社のマンションをこの1年間で「築地」「塚田」「高輪」「平和台」、分譲戸建てセキュレアは「文京目白台」「武蔵府中なごみ」を見学した(記事参照)。
その後の各物件の進捗について質問した。角田氏は、「『塚田』はあと半年で完売する。『築地』も売れ行きが加速している。坪単価650万円の『高輪』は竣工が2023年だが順調に推移しており、ZEHの『平和台』は完売。坪単価400万円の『文京千石』(58戸)が分譲初月で完売した」と語った。
本間氏は分譲戸建てなどについてレクチャーし、首都圏を中心にV字回復している一方で、群馬、栃木などの北関東はパワービルダーのローコスト住宅に押され気味で伸び悩んでいることを明らかにした。
メディアからは、苦戦する北関東の状況や今後の展開などに質問が集中した。本間氏は、「当社は建物価格で2,500万円くらいだが、飯田グループなどのビルダーとの価格差は500~1,000万円の差があり、同じ土俵で戦えない。木造の比率を上げるとか200~300万円くらいコストを下げる企画を考えてはいるが、〝掃き溜め〟戦略は取らない。全体として収益力をアップさせるため、建築条件付比率を現行の5割から7割くらいに引き上げたい」などと踏み込んだ発言を行った。
小生も、本間氏の考えに賛成だ。栃木県は飯田グループ・森和彦会長(4月1日付で名誉会長に就任予定)の出身県で、群馬県はケイアイスター不動産の本拠地だし、中古住宅買取再販最大手のカチタスも本社は群馬県桐生市だ。まるで価格帯が異なる。勝てるわけがない。戦っても現場が疲弊するだけだし、ブランド力の低下を招きかねない。あえて火中の栗を拾いに行くような愚を同社が犯すはずはない。
同社の分譲戸建てで注目しているのは6月末に分譲する「セキュレア武蔵府中ひかりテラス」27区画だ。「家事シェアタウン」がテーマで、全戸建売り方式となる。現地来場が2,791組、オンライン見学(ライブ配信)視聴が1,580組というから驚きだ。バス便だが、府中駅、国分寺駅へのアクセスがいい。外構などの造り込みに力を入れているはずだ。
武蔵小金井・国分寺・府中の中間点に全33区画 大和ハウス「武蔵府中なごみ」好調(2021/3/15)
周囲の街並みに配慮 大和ハウス3階建て分譲戸建て「セキュレア文京目白台」(2020/10/22)
実質10か月で300戸超の驚異的売れ行き 大和ハウス「プレミスト船橋塚田」(2020/10/20)
仲井社長など登壇者全員が黒服・黒マスク 積水ハウス・マリオット「W Osaka」開業
「W Osaka」オープンセレモニー(花吹雪が舞った)
積水ハウスは3月16日、日本初上陸となるマリオット・インターナショナルのホテルブランド「W(ダブリュー)」の「W Osaka」を大阪・御堂筋にオープンし、開業を記念したオープニングセレモニーをビデオで公開した。
オープニングセレモニーには、積水ハウス・仲井嘉浩社長、マリオット・インターナショナル日本・グアム担当 エリアヴァイスプレジデントのカール・ハドソン氏、総支配人の近藤豪氏、ホテルのデザインを監修した安藤忠雄氏、開業を記念してブランドアンバサダーに就任したEXILE AKIRA氏、自治体代表の田中清剛副知事、高橋徹副市長が登壇。冒頭に仲井社長は次のように挨拶した。
「『W Osaka』は、当社が開発してきたラグジュアリーホテルとは全く違った個性を持つ、上質で遊び心溢れるユニークなホテルです。私が共感したのは、Wホテルが目指す、『思い切り楽しみ、日常の繰り返しに反発したいという強い願望に火をつけ、お客様の人生への〝渇望〟を解き放つ』という点です。眠らない街ニューヨーク、そしてそれに匹敵するエネルギッシュな街大阪。とても親和性のあるコンセプトだと感じました。私自身も『W Osaka』から新たな刺激を受け、クリエイティブな発想を広げていきたいと思います。
創業以来60年、大阪に本社を構える当社として、大阪の魅力をもっと世界に伝えたいという強い思いで、開発事業に取り組んでまいりました。これからもより一層、あらゆる形で地域の活性化に貢献してゆきたいと決意を新たにしております。
この日本初進出の『W Osaka』は、パワフルな大阪にぴったりの個性的なホテルです。控えめで物静かな装いの外観と対照的に、ホテルの内側は大阪商人の粋な遊び心を華やかに表現したデザインとなっています。この『W Osaka』が新たなランドマークとして、大阪の魅力をより高める一助となれば光栄です」
続いて、カール・ハドソン氏は、「ニューヨークに誕生したWホテルは、20年以上にわたりホスピタリティ業界に衝撃を与え、その在り方を再定義してまいりました。世界各地でホスピタリティの先駆けとなっているWは、建設中も含め25を超える国と地域に60軒以上のホテルを展開し、常に人々の想像を超え、従来のラグジュアリーのあり方を覆しています。
独特なクリエイティビティと無限のエネルギーに満ち溢れた『大阪』という素晴らしい都市において、Wが非常に新鮮味のあるホテルになっていくと信じております」と語った。
デザイン監修を担当した安藤氏は、「外観は黒を基調にしたシンプルな造りですが、内観は全く違った世界が広がっています。新しい好奇心を持って、世界観を味わっていただき、生きていることが素晴らしいことだと実感できる空間となっています」と述べた。
最後に登壇したブランドアンバサダーEXILE AKIRA氏は、「館内どこも魅力的ですが、特にリビングルームですね。日本文化テイストのアートに囲まれた、ユニークでエレガント、かつエキサイティングな空間で、メンバーと一緒にドリンクや音楽を楽しみたい」とコメントを寄せた。
ホテルは、大阪市中央区南船場4丁目に位置する敷地面積約2,544㎡、27階建て延床面積約35,815㎡、客室337室。設計・監理は日建設計。施工は竹中工務店。インテリアデザインはConcrete Architectural Associates BV(オランダ)。
「W Osaka」外観
エントランス
ホテルリビング
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いつだったか、記者にも記者見学会の案内が届いていたのだが、さすがにコロナ禍で出席するのはためらわれ、開業翌日の17日朝、同社から送られてきた画像を視聴した。
コロナ禍で人数は制限されていたはずなのに拍手の多さにびっくりしたのだが、画像に映り出された仲井社長の姿にギョッとした。黒のスーツ姿は分かるが、ノーネクタイで大きな黒マスクで現れたからだ。これには驚いた。女性の下着のような派手な花柄では具合が悪いだろうが、その筋の初陣式でもあるまいし、黒はないと思った。これが大阪か。
ところがどうだ。その後の登壇者も判で押したようにみんな黒装束ではないか。スーツはいかにも高価そうな絹製(貸衣装かもしれないが、AKIRA氏のそれは桁違いの値段なのは間違いない)といい、ノーネクタイも黒マスクも演出であることはこの時点で理解した。これは仲井社長も話したように明らかに「思い切り楽しみ、日常の繰り返しに反発したいという強い願望に火をつけ、お客様の人生への〝渇望〟を解き放つ」ホテルコンセプトを意識したものに違いなかった。
面白かったのは、プレス・リリースではカットされている仲井氏のスピーチ部分だった。仲井氏は「私事ですが」と断ったうえで、「ノーネクタイでオープンセレモニーに出席するのは初めて。担当者からは『遊び心にあふれた真っ赤なメガネで登壇していただいて結構です』といわれたが、そんな勇気はなかった」と参加者を笑わせた。
仲井社長が真っ赤なメガネで登壇していたら、そのほかの人もみんなそれなりの格好で登場したのではないか。これが残念。(胸ポケットのチーフはカラフルなもので演出したとか)
記者は、同社も参画している「うめきた2期」の開発に注目している。大阪の価値を測るメルクマールになるマンションの坪単価はいくらになるか(坪1,000万円の価値はあると思うが…)。
この日(16日)は、三菱地所が東京センチュリーと共に東京駅前の63階建て「Torch Tower(トーチタワー)」にスーパーラグジュアリーホテルを建設すると発表した。「うめきた2期」も「Torch Tower」も竣工はほぼ同じ2027年度だ。仲井社長には、「TOKTOがどないしたねん、torchがなんだ。昔は大阪と京都が経済と文化の中心やったんや」と大阪弁(仲井氏は京都出身か)でまくし立ててほしかった。〝東京に負けたらあかん〟というのが関西人の〝渇望〟ではないか。
仲井氏(左)とカール・ハドソン氏
安藤氏(左)とEXILE AKIRA氏
オープンセレモニー登壇者
「Torch Tower」のラグジュアリーホテル 三菱地所・東京センチュリー 共同で取得
「Torch Tower(トーチタワー)」
三菱地所と東京センチュリーは3月16日、新設特定目的会社を通じ東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」街区に2027年度竣工予定の63階建て「Torch Tower(トーチタワー)」のスーパーラグジュアリーホテルと2,000席級の大規模ホールを共同取得すると発表した。
ホテルは、57~61F部分に約100室の客室数を想定。地上300m超、東京都心を一望する圧巻の眺望を生かし、57Fのホテルロビー部分には緑と風に包まれる半屋外空間の丘を創出し、唯一無二の体験を演出するという。
大規模ホールは、2,000席級の収容人員を擁し、都心型MICEネットワークの核としての機能やライブエンターテインメントを通じた文化の発信拠点を目指す。屋上部分は日本橋方面を望む屋上庭園を整備する。
出資総額は560億円で、構成は三菱地所が66.665%、東京センチュリーが33.335%。
ポップでカラフルなアート「街の欠片」で有楽町をラッピング 三菱地所
有楽町ビル
三菱地所は3月18日(木)~5月9日(日)、有楽町と丸の内仲通りを中心とした計8か所のビル及び施設のガラスファサード部に、写真家・小山泰介氏が制作した約50点の有楽町を舞台とした新作からなる「INTERFACE_YURAKUCHO」を掲出する。
作品は、道路や壁といったもともと有楽町にあったオブジェクトがモチーフで、カラフルな街の“欠片”として最大幅約18mのビルエントランスをラッピングし、春の有楽町をポップに演出する。
同企画は、同社の「有楽町エリア再構築」に向けた先導プロジェクトの一つで、アーティストの目線から有楽町の風景を捉え直す「有楽町アートサイトプロジェクト」を実施中。第1弾として、新国際ビルの工事中の仮囲いを利用したアートウォールを展示している。「INTERFACE_YURAKUCHO」はその第2弾。
期間中、展示風景を3か所以上撮影し、有楽町microの店頭にスタッフに知らせた先着100名に、小山氏自らが作成した写真集(A4サイズ、フルカラー、24項)をプレゼントする。
新有楽町ビル イメージ
新国際ビル
国際ビル
中高年層の4割「70歳以降も働きたい」 資産格差もくっきり 三井リアルティ調査
三井不動産リアルティは3月16日、「中高年層の住みかえ等に関する調査」結果をまとめ発表。中高年層の約4割が70歳以降も働きたいと回答したほか、年齢を重ねるごとに家のサイズはコンパクトに、住環境は生活利便性を重視していることが分かった。また、住みかえ時の貯蓄額は約半数(51.8%)が2,000 万円未満で、資産格差の拡大も浮き彫りにした。
調査は、2021年4月1日に「高年齢者雇用安定法」が一部改正されることに伴い、中高年層のライフスタイルや住みかえの実態を明らかにするのが目的で「三井のリハウス」を通じて2015年4月1日以降に不動産を購入または売却した首都圏在住の45歳以上の顧客1,851名を対象に実施したもの。
「高年齢者雇用安定法」が一部改正されることに伴い、何歳まで働きたいかの問いには、退職(予定)年齢は「65歳」(33.9%)が最多で、「70歳」(24.9%)が続き、全体の約4割(40.2%)が「70歳以降も働きたい」と回答した。
老後の資産準備の状況については、退職(予定)年齢が65歳未満の人と70歳以上の人では、「十分準備している」がそれぞれ40.1%、21.3%と約2倍の差がつき、早期に退職予定(または退職済み)の人ほど十分に資産準備をしている人が多いことが分かった。
住みかえ理由は、全体では「より広い家に住みたかったため」(27.4%)がトップで、住みかえ時の年齢が65歳以上の人は1位:自身の高齢化による将来に対しての不安」(24.4%)、2位:子供や孫との同居または近居」(20.0%)、3位:バリアフリーの設備が整った住まいへの住みかえ」(19.3%)となり、自身のシニアライフをより意識した理由が上位に浮上し、年齢を重ねるにつれ、家のサイズはコンパクトに、住環境は生活利便性の高さを重視する傾向があることも分かった。
物件購入金額の平均は4,768万円で、中古マンションは3,951万円、中古戸建ては3,628万円、新築マンションは7,462万円、新築戸建ては5,960万円となっている。
住みかえ時に物件の資産価値(売却のしやすさ/値下がりのしにくさ)を意識したかの問いには、3分の2(65.9%)の人が「資産価値を意識した」と回答。
住みかえ時の貯蓄額は、平均3,336万円で、1,000万円未満(31.7%)と1,000万円以上2,000万円未満(20.1%)で約半数(51.8%)が2,000万円未満となった一方で、5,000万円以上も17.3%に達するなど資産格差の広がりも明らかになった。
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この種のアンケートは初めてではないか。興味深い結果となった。小生もそうだが、70歳を過ぎても働きたいと思っている人が多いのは当然だろう。浪費する金が有り余っている人はともかく、そうでない人は〝毎日が日曜日〟の人生など望んでいないだろう。
われら団塊世代以上の人は資産準備を怠っているという結果も納得だ。バブルを経験しているので、リゾートマンションの1戸や2戸が取得でき、お金は自然に湧き出るものと考えていた人は少なくないはずだ。小生なども株で儲かったお金は飲み食いに費消し、逆に借金が残った。
物件購入額は中古と新築で大きな差が出たのは、相場からして当然だろうが、お客さんも考えたほうがいい。
新築の基本性能・設備仕様レベルがどんどん低下し、価格だけが上昇していることを考えれば、今から10年くらい前に分譲されたマンションのほうがはるかにレベルは高いと思う。
「三井のリハウス」も「天井高2600ミリ以上」「フラットサッシ」「ワイドスパン」「無垢・突板仕様」「ユニバーサルデザイン」などの選択肢を設けて物件を検索できるようにしたらいいと思うのだが…。
曜日単位で契約できるシェアオフィス「WEEK NOGIZAKA」募集 サンフロンティア
「WEEK NOGIZAKA」
サンフロンティア不動産は3月15日、日本初となる曜日単位で契約できるシェアオフィス「WEEK」の第3弾「WEEK NOGIZAKA」の入居者を募集すると発表した。
「WEEKNOGIZAKA」は、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩1分、2021年3月31日に竣工する同社の新築オフィスビルプロジェクト「+SHIFT(プラスシフト)NOGIZAKA」の3階と7階の2フロア。規模は3階が14席/97.72㎡(29.56坪)、7階が12席/86.92㎡(26.29坪)。
住友不動産 大崎駅西口駅前の再開発事業に参画 35階建て延べ床面積約3.2ha
「大崎西口F南地区市街地再開発事業」
住友不動産は3月15日、大崎駅西口F南地区市街地再開発組合とともに品川区大崎三丁目地内(一部、二丁目地内)の「大崎西口F南地区市街地再開発事業」が東京都知事から組合設立認可を受け、3月14日に再開発組合を設立したと発表した。同社は参加組合員として事業に参画する。
同地区は、JR大崎駅西口の駅前に位置し、老朽化した小規模な木造住宅、集合住宅、店舗併用建物等が混在するエリアで、市街地再開発事業により都市基盤の整備、高度利用と都市機能の更新を図る。
事業地は、敷地面積約5,050㎡、建物は35階建て延べ床面積約32,850㎡。用途は住宅、事務所、店舗、保育所、公益施設、駐車場など。2025年竣工予定。総事業費は約320億円。
安否確認イベントに過去最多65%参加 三菱地所レジ・コミュニティ 津田沼「奏の杜」
オンライン防災訓練
安否確認参加に過去最高の65%参加-三菱地所レジデンスと三菱地所コミュニティは3月14日、エリアマネジメント組織である一般社団法人奏の杜パートナーズと共同して津田沼「奏の杜」エリアで2,300世帯を対象とした6回目の防災訓練をオンラインで実施した。
午前9時に地震が発生したことを想定した安否確認イベントにマンション居住者721世帯のうち65%、467世帯が参加。熊本地震後に実施した訓練の時の64%を上回る過去最高を記録した。3時間以上にわたるオンライン防災訓練には230人を超える人が参加した。
中継司会を務めたフリーアナウンサー・奥村奈津美氏
安否確認の中継写真
階段避難中継
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記者は過去4度、この津田沼「奏の杜」の防災訓練を取材している。今回は、コロナ禍でオンライン形式となったが、東日本大震災から10年という節目の年であることも影響したのか、安否確認イベントに過去最高の65%の世帯が参加したのはすごい数字だ。
三菱地所レジデンス、三菱地所コミュニティもそうだか、エリアマネジメント組織、マンション管理組合の主体的な取り組みにエールを送りたい。
オンライン防災訓練に参加した人の中には関東大震災を経験した人が2%(全体回答者は200人を突破していたのではないか)いらっしゃったのに驚いた。
中継司会を務めたフリーアナウンサー・奥村奈津美氏は3.11のとき仙台のマンションで被災。ごみ屋敷のように散乱した部屋の様子を紹介し、電子レンジが宙を飛び、飢えと寒さとストレスで1か月に10キロ痩せたことなど生々しい体験談も語った。奥村氏は近く「子どもの命と未来を守る! 『防災』新常識 パパ、ママができる!!水害・地震への備え」(辰巳出版)を出版する。
2018年3月11日に行われた防災訓練
三菱地所 奏の杜で5回目の防災訓練 他社物件・戸建て含め過去最多の2300世帯対象(2019/3/10)
習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)