高層ZEH-M プラン秀逸 日本エスコン「レ・ジェイド大倉山」
「レ・ジェイド大倉山」
日本エスコンが2月に分譲する「レ・ジェイド大倉山」を見学した。環境省の「平成31年度 高層ZEH-M(ゼッチ・マンション)支援事業」に採択されたマンションで、断熱性、省エネ性に優れているのもさることながらプランが秀逸。価格次第では申し込みが殺到しそうだ。
物件は、東急東横線大倉山駅から徒歩12分、横浜市港北区大倉山五丁目の準工地域に位置する6階建て全25戸。専有面積は61.22~80.10㎡(防災倉庫面積含む)、価格は未定。竣工予定は2020年11月上旬。設計・監理はDAN総合設計。施工は大勝。
現地の用途地域は準工だが、マンション化が進んでいるエリアで嫌悪施設はほとんどない。敷地はスーパー成城石井の跡地で、桜並木が美しい太尾新道・太尾堤緑道に面し、対面に太尾小学校(徒歩3分)がある。
建物は、1フロア3~5戸。1部住戸を除き5~6面採光・開口。角住戸比率は80%。全住戸とも完全アウトフレームのワイドスパンが特徴で、中住戸は吹き抜け付き。
主な基本性能は、「ZEH-M Oriented」レベルをクリアしているほか、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、食洗機、吊戸棚、御影石キッチン・洗面室天板、Low-E樹脂ガラス、住戸前防災倉庫、スロップシンクなど。
1月11日にモデルルームをオープンし、2週間で約50組が来場。接客ブース3席はすべて満席だという。
リビング
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対応してもらったのは、昨年末に「豊田」を見学したときと同じかわいい女性のSさん。笑顔を絶やさず、記者の指摘することをすべてメモにする姿勢には感心した。
マンションの販売現場と言えば、慇懃無礼な来場者アンケートを半ば強制し、最近は価格に上乗せさせる〝来場者プレゼント商品券〟を無理やり押し付けるデベロッパーがほとんどだが、本来はお客さん(記者はお客さんではないが)の声をしっかり聴き、商品企画に反映させるのが仕事のはずだ。
Sさんには「樹脂サッシ枠を採用しているマンションは少ない。普通のアルミサッシ枠との熱の伝わり方をきちんと伝えられたら、お客さんは感動するはず」と伝えた。きっと実践してくれるはずだ。パンフレットだけではZEHのよさはなかなか伝えにくい。
「ZEH」について説明は省くが、居住性の高いマンションだ。プランがいい。角住戸比率が80%なので採光・開口部は多いのは当然だが、西向き中住戸(61㎡)の間口は7.8m。リビング・居室3室すべてに窓が付くほか、吹き抜けに面した玄関にも滑り出し窓が付く。窓枠はLow-E樹脂サッシなので断熱性能も高い。モデルルームのカラーリングもいい。
さて、価格。2月半ばには決定するそうだ。いったいいくらになるか。坪310万円で即日完売した野村不動産「プラウド大倉山サウスコート」40戸は見ていないが、居住性能を考えたら日本エスコンの物件は負けないはずだが…。
ベッドルーム
意味不明の新報 〝天井破り〟!? 週刊住宅 身も心も陋習に分断されている業界紙記者
1月28日付住宅新報 12面記事
1月28日付住宅新報は、「主要デベロッパーの戸建て供給実績 安定供給の中で戦略に相違 ハウスメーカー規模の注文実績も」と4段見出しの記事を12面トップで報じた。業界紙の揚げ足など取りたくないが、取材姿勢に問題があり、初歩的なミスもあるので看過できない。書いた記者本人はもちろん、書かせた編集長にも考えてほしいので以下にいくつか記すことにした。小生のエールだと受け止めていただきたい。
記事のリードには「主要デベロッパーが供給する戸建て住宅の実績をまとめた」とある。「主要デベロッパー」とは何を指すのか不明だが、まあ、これはよしとしよう。ハウスメーカーは除外されていることが分かる。
次に「分譲マンションの供給が主力のデベロッパーは分譲戸建てを手掛けるのが主流」とある。これは意味不明。書いた本人も分からないはずだ。小生はこの段階でパニック状態。
分譲マンションが主力のデベロッパーと言えば、大京はそうでなくなったし、強いてあげれば明和地所、タカラレーベン、モリモト、大和地所レジデンスなどで、これらのデベロッパーは戸建てを手掛けるのが主流とすれば…数えるほどしかないはずだ。三井不動産や住友不動産、三菱地所、東急不動産などは分譲マンションが主力ではない。
さらに続けて「その一方、注文住宅受注や宅地分譲を中心に展開する企業もある」としている。これも理解不能。デベロッパーの中には注文住宅を手掛けるところは多くはないが、かといって少なくもない。また逆にハウスメーカーだって最近は〝街づくり〟など開発事業に力を入れている。
この傾向はさらに強まるはずだし、デベロッパーとハウスメーカーの垣根などそもそもない。業界紙の勝手で「デベロッパー」「ハウスメーカー」に分け、つまりバリアを設けて、取材体制を敷くところに根本的な問題がある。デベロッパー担当の記者はハウスメーカーのマンションや戸建て分譲を見ないし、ハウスメーカー担当者はその逆にデベロッパーの分譲するマンションや戸建てを見ない。これを改めない限り、記者はいつまでたってもマンションや分譲戸建てを理解することは不可能だろう。担当記者を業態や事業分野に振り分ける陋習というべき取材体制を改めるべきだ。
基本的なミスについて。普通なら4分の1程度に収まるはずの「主要デベロッパーの戸建て供給実績」の表だ。表に記載されているのは14社のみ。先にも書いたが、年間4万数千戸の戸建てを供給する飯田グループはデベロッパーではないのか。表にはないポラス、オープンハウス、ナイス、ケイアイスター不動産などはどう分類しているのか。分かったら教えてほしい。
かわいそうなのは三井不動産だ。表には三井不動産レジデンシャルの18年度の供給実績は「400戸程度」となっている。なるほど、調査は「供給戸数」とあるので、三井不動産の広報担当者は正直にそのように答えたのかもしれない。
しかし、同社の2019年3月期の分譲戸建ては売上高332億円(前期289億円)、計上戸数475戸(同501戸)、平均価格6,990万円(同5,788万円)、完成在庫30戸(同35戸)だ。同社はずっと以前からこのようにきちんと決算数字を発表している。
ところが、野村不動産の数値は「供給戸数」ではなく、2019年3月期の計上戸数647戸(前期607戸)をそのまま引き写していると思われる。
計る物差しは一緒にすべきだが、これまで三井に勝てなかった野村はついに計上戸数では三井を捉え上回ったことを表は示している。これは快挙かもしれない。記者はなぜこれを書かないか。
ただ、決算計上戸数は遅行指標であることを忘れてはいけないし、利益率も見なければならない。記者はここに的を絞ってもよかったと思うが、どうして野村が三井を戸数で上回ったか、過去6年間のそれぞれの計上戸数を比較するとその謎が解ける。( )内は三井-野村の順の戸数。
・2014年3月期(916-718)
・2015年3月期(899-859)
・2016年3月期(751-643)
・2017年3月期(639-682)
・2018年3月期(501-607)
・2019年3月期(475-647)
三井は2014年3月期の916戸をピークにこの5年間で戸数をほぼ半減させている。一方の野村は、明らかに三井を意識して急激に戸数を伸ばして来た。2015年3月期には鼻差まで迫った。ところが、急拡大に無理があったのか販売ペースは落ちた。2016年以降は600戸台にとどまっているのはそのせいだ。
過去6年間の計上戸数のトータルは三井が4,181戸で、野村が4,156戸となっている。勝負はこれからだ。三井がまた引き離すか、野村はこのままリードを保てるのか。三井の経理担当者は「当社は他社と戸数で争っているわけではない」と話したことがあるが…どうなるか。
もう一つ。住友不動産の断トツの数字にはあ然とするほかなかった。「18年度供給戸数は3,077棟」(他社は「戸」なのにわざわざ「棟」)とし、「ハウスメーカー並みの規模」と書く。この記者も書いている通り、住友の3,000戸は注文住宅だし、分譲戸建てはせいぜい100戸程度だ。記事は完全に破綻している。注文も含めるのなら三井ホーム、三菱地所ホーム、東急ホームズなども入れないと公平ではない。
このようなあり得ない基本的ミスを犯すのも、先に書いたように業界紙記者は身も心も悪弊に分断されているからだ。
参考までに、小生が8年前に書いたデベロッパーの建売住宅に関する記事を添付する。小生も注文が主力の大手ハウスメーカーを対象外とした。理由は簡単。調べるのに時間がかかるからだ。
ついでに言えば、マンションもそうだが、いわゆるパワービルダーと呼ばれる会社とデベロッパー、ハウスメーカーが供給する分譲戸建ては似て非なるものだ。同じ土俵で論じるのは適当かどうか。価格は倍ほども異なる。
さらに一言。きついことを言うようだが、この記者の方は現場を見ていない。記事を読めばすぐわかる。あの鶴岡一人は「グラウンドにはゼニが落ちている」と名言を残し、初代若乃花は「土俵の下には金が埋まっている」と語った。マクロデータをいくらかき回しても、ものは見えてこない。しっかり戸建て現場を取材してレポートしてほしい。
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そのつもりはなかったのだが、新報を取り上げるなら週刊住宅も書かないと公平でないので書く。
1月20日付週刊住宅の1面見出しだ。「取引価格は既に天井破り」にはドキッとすると同時に笑うしかなかった。
〝破る〟のは〝心臓破り〟であり〝おきて破り〟しか小生は知らないし、〝天井を破る〟のは忍者かコソ泥か覗き魔しかいないはずだ。「天井知らず」または「青天井」と書くべきところを間違ってそう表現したのだろう。
が、しかし、確かにリート・ファンドは〝おきて破り〟に限りなく近いという意味では〝天井破り〟は的確に市場を捉えており、そのうちに新語として定着するかもしれない。
1月20日付週刊住宅の見出し
分譲戸建て見直し再編 流通は強化 すてきナイスグループ「改善計画・状況報告書」
すてきナイスグループは1月29日、一連の事態に対応する「改善計画・状況報告書」を策定し公表した。昨年8月23日付「第三者委員会調査報告書の受領に伴う再発防止策のお知らせ」で開示した再発防止策の骨子及び自社による原因の分析並びに再点検に基づき、新たに必要と認識した対応策が盛り込まれている。
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「改善計画・状況報告書」は資料を含めて36ページにわたる長文で、一つひとつ詳しく読んではいないが、分譲戸建て、分譲マンション、不動産流通事業などについて問題点を指摘・反省し、一定の方向性を示している。
有価証券虚偽記載・赤字決算対策を行った背景として「当社は、リーマンショックを経て、一戸建住宅部門を収益の柱にすべくさらに、一戸建住宅の販売戸数を伸ばす手段として分譲住宅に力点が置かれるようになり、分譲用の土地購入が増加」し、「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」「役職員人事について、平田氏は、反対意見を述べず、自分の戦略、思いや要望を忖度し、いかに実現するかを考えて行動する役職員を重用する傾向が強く、指示に従わない役職員には懲罰とも言える人事異動等を行うことがありました」「営業部門が最も大切であり、管理部門はコストであるという平田氏の意向を背景に、管理部門軽視の企業風土が醸成されていました」などと、平田氏の独断専行の結果だとしている。
今後の各事業については、一戸建住宅部門のダウンサイジングと収益力の改善を上げ、拠点の見直しを行い、継続させる拠点を絞り込むことで、事業規模の適正化を図り、旧体制下での商品戦略・用地仕入れ・工事発注・販売方法などの見直し、収益モデルを再構築するとしている。
マンション部門については、仕入れ・開発・販売基準の見直しと明確化により、当面は50戸~100戸程度の物件を年間2棟程度分譲する方針で取り組んでいく。
既存住宅流通部門は、ここ数年、当部門から一戸建住宅部門に人員をシフトしていたため、営業基盤が弱体化していたとし、当部門に適正な人員を配置することで収益の拡大を図るとしている。
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戸建て、マンション事業について記者の考えを紹介する。
記者は2017年6月3日付記事で、「すてきナイス 三井、野村と肩を並べた分譲戸建て これからが正念場」と書いた。当時、三井不動産レジデンシャルと野村不動産が熾烈な戸建てトップ争いをしており、記者も競争をあおる記事を書いていた。
断っておくが、トップ争いと言っても、大手デベロッパー(大手デベロッパーの定義づけをどうするかもあるが)に限定したもので、年間4万戸以上も販売していた飯田グループやその他のデベロッパー、ハウスメーカーの分譲戸建てと比較したわけではない。
とはいえ、2011年3月期では207戸しか計上していなかった同社が2017年3月期に831戸に増やしたのには驚いた。このままでは三井、野村を抜くのではないかと思ったほどだ。
しかし、その後は、三井も野村も戸数を減らすことになり、ナイスも目標にした1,000戸は達成できなかった。一言でその理由言えば、圧倒的な価格の安さを誇る飯田グループとはまともに勝負できず、その他のデベロッパー、ハウスメーカーは同じ土俵、つまり、供給エリアも価格帯も同じレベルで戦わざるを得なくなり、その分だけ競争も激しくなったからだ。
そんな競争の激しいエリアですてきナイスは供給を伸ばすのは至難の業だろうと思っていた。
三井がかろうじて大手デベロッパーの中で首位をキープできているのは、バブル崩壊後は「都市型戸建」に絞り込み、一貫して供給してきたからだ。ブランド力がそもそも違い。一朝一夕でトップに立てるほど市場は甘くない。
「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」とあるように、〝良いもの(のみ)が売れる〟時代でないことは平田氏も分かっているはずだ。消費者は〝ない袖は振れない〟。こんなことを言ったら身も蓋もないが、〝地獄の沙汰も金次第〟だ。
すてきナイスは、神奈川では圧倒的な知名度があるはずだ。分譲マンションも不動産仲介もまだまだ伸ばせる余地はあると思う。
マンションは、免震の強みがあるし、一時は外断熱もあった。アッパーミドルに標準を合わせれば勝てると記者は思う。他社の商品企画だって大したことない。
仲介部門はよく分からないが、もうずいぶん前、鶴見の「住まいるCafe鶴見東」を見学して驚愕した。同社ほど地域の実情に通じている不動産仲介会社はないのではないか。既存マンション仲介だってリフォームだって、絶対に負けないのではないか。地域の人に寄り添うことだ。
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今回の「改善計画・状況報告書」は、第三者委員会の報告書同様、平田氏と日暮氏に対しては改めて手厳しい批判を加えている。
しかし、世に七つの大罪とされる「貪食」、「淫蕩」、「金銭欲」、「悲嘆」、「怒り」、「怠惰」、「虚栄心」、「傲慢」のうち平田氏と日暮氏に当てはまるものほとんどない。あれほど〝大罪〟を犯しながら政治家先生はみんなしらを切り、居直り続けているではないか。
両氏はナイスとは縁を切られたが、罪を悔い改めれば、間違いなく執行猶予付きになると思う。〝木の伝道師〟として復帰する舞台は整っている。
裁判の公判日程は未定で、どうやら3月以降になりそうだ。
「新生ナイスグループ誕生の年」に 杉田社長 経営方針発表会に約1,600人(2020/1/27)
「二度とできない設備仕様レベル」長島部長 総合地所「横浜戸塚」第1期108戸成約
「ルネ横浜戸塚」
総合地所は1月29日、全439戸の大規模マンション「ルネ横浜戸塚」を昨年12月に販売開始し、第1期108戸が成約したと発表。同日、報道陣向け見学会を行った。同社分譲事業部営業一部部長・長島恵一氏は「長谷工コーポレーション施工で当社分譲では二度とできない設備仕様レベルの高さ」と胸を張った。
物件は、東海道本線戸塚駅から徒歩12分、横浜市戸塚区吉田町に位置する敷地面積約16,470㎡、7階建て全439戸。第2期(戸数未定)の専有面積は64.62~86.53㎡、予定価格は3,400万円台~6,200万円台、坪単価220万円。完成予定は2021年1月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
昨年12月1日に第1期137戸を抽選分譲し、これまでに108戸を成約。来場者数は約600件。来場者の属性は、年代は30歳代が45%、40歳代が20%、現居住地は戸塚区が約50%、年収は500万円台約20%、600万円台約15%、700万円台約15%。
現地は、スーパー・ダイエーの跡地。道路を挟んだ西側は桜の名所である柏尾川。敷地に隣接して大型複合商業施設・イオンスタイル戸塚が建設される。
建物は5棟構成で、全体の約75%331戸が南向き、約25%108戸が西向き。共用部には「KOKUYO」が監修する木造建築のワーキングラウンジを設置。スマホアプリで荷物の受け取りが可能な戸別宅配ボックスを全住戸の玄関前に採用したほか、ルネオリジナルキッチンやユーズスタイルなど最新の仕様設備を採用しているのが特徴。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2400ミリ、直床、食洗機、ディスポーザー、バックカウンター、両面アウトフレーム、物干しポールなど。このほか、玄関通風窓、可動式間仕切り収納「UGOCLO-ウゴクロ-」、ホーローパネルのコミュニケーションボードを標準装備。
引き出し付きクローゼット
モデルルームに置かれていた本物のポトス(2週間に一度の水やりで十分)
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「長谷工コーポ施工で当社分譲では二度とできない設備仕様レベルの高さ」と同社分譲事業部営業一部部長・長島恵一氏が胸を張ったのに納得した。〝簡にして要〟とはこのことを言う。
確かに、戸塚駅からのアクセスはフラットで、敷地西側には魚も泳ぐという柏尾川が流れ、絶滅危惧種のミズキンバイが自生している環境はいいし、設備仕様レベルは高いと思う。
マンション見学会の責任者はいつもこうであってほしい。
柏尾川
三井不 ホテル新ブランド「sequence(シークエンス)」CHECK IN17時/OUT14時
「sequence|MIYASHITA PARK(渋谷宮下公園)」
三井不動産と三井不動産ホテルマネジメントは1月28日、トップクリエイターと共創した新ブランド「sequence(シークエンス)」を立ち上げ、第一弾に「MIYASHITA PARK(渋谷宮下公園)」、第二弾に「KYOTO GOJO(京都五条)」、第三弾に「SUIDOBASHI(水道橋)」(仮称)を開業すると発表。プレス発表会には三井不動産執行役員ホテル・リゾート本部長・川村豊氏、同社ホテル・リゾート本部 ホテル事業部長・小田祐氏、ウェルカム代表取締役・横川正紀氏、グリフォン代表取締役・齊藤貴史氏が出席し、事業説明・トークセッションなどを行った。会場には100名近いメディアが駆け付けた。
新ブランド「sequence(シークエンス)」は、「つながり・連鎖・一連の流れ・連続」という意味の単語で、「自分だけの過ごし方を自由に創造・編集し、唯一無二の時間を過ごすことができ、様々なヒト・モノ・コトとの出会いにつながる場所になるように、という想い」を込めている。コンセプトは「SMART」「OPEN」「CULTURE」。
ブランドロゴは、「sequence」の“s”をシンボル化し、円弧の連なりで構成され、離れたり、近づいたりする線、互いに影響し合う2つの円により、“やさしいつながり”を表現している。
川村氏は、「初めてホテルを担当したのは入社して間もないころの30数年前。ハワイのハレクラニの〝オハナスピリット〟にとても新鮮に感じた。〝オハナ〟は日本語だと〝家族〟という意味で、ホテルは家族のようにほっとするところというのが原体験。これからはSNS、デジタル化の進展により体験をシェアする、よりクリエイティブに時間を楽しむ時代になる。そうした人の活動に温かく寄り添うことが大事。われわれはオリ・バラのもっと先、中長期的な視点でほっとできる場所をどうしたら提案できるか、新ブランドは3年前からオープンで論議し作り上げてきた。われわれの想いを伝えたい」と、事業意図などについて語った。
「MIYASHITA PARK(渋谷宮下公園)」は渋谷駅から徒歩3分の18階建て全240室。客室面積は13.7~94.7㎡。平均ルームチャージは3万円前後。企画プロデュース・レストラン運営はウェルカム。設計・施工は竹中工務店。開業は6月11日。
「KYOTO GOJO(京都五条)」は、京都市営地下鉄五条駅から徒歩3分の9階建て全208室。客室面積は19.5~47.2㎡、中心ルームチャージは2万円前後。企画プロデュース・レストラン運営はグリフォン。フロアデザインはグリフォン、三井デザインテック。設計・施工は三井住友建設。7月22日開業。
「SUIDOBASHI(水道橋)」は、千代田区神田三崎町2丁目の全119室。開業は2020年秋。
「sequence|KYOTO GOJO(京都五条)」
「sequence|SUIDOBASHI(水道橋)」(仮称)
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同社のホテル取材は今回で20回目くらいか。いつになく関係者の力が入っていたような気がする。
川村氏が入社当初にハワイのホテル担当になったのが原体験と語り、小田氏、横川氏、齊藤氏によるトークセッションでも魅惑的なフレーズがポンポンと飛び交い、いったいどのような火照目になるのかとワクワクさせられた。
その模様をここで一つひとつ紹介するゆとりはない。一言一句を聞き逃すまいと必死でメモを取ったが、加齢による書き取り・聞き取り能力の退行、パソコンに頼り切っているための漢字力の低下などにより再現できない。なので、各氏が語った要旨を紹介する。
小田氏は、「新ブランドに『ホテル』を入れなくて大丈夫かという声が社内にあったが、退路を断ち、腹をくくって腹を割って論議を進めてきた。心象風景として残るような舞台装置をつくった」などと述べた。
横川氏は、「ホテル計画は普通ハード、デザインから始まるが、今回はソフトから始まった。3年間、様々な規制があるなかで、ほぼ毎週議論してきた。スマートがキーワードだった。『宮下公園』は360度抜けている。窓を大きく取り、小さな縁側を設けた。『水道橋』はバーがメイン。10年後に、海外からもベンチマークとなるような日本のホテルサービス、クオリティを提供できたらいい」と語った。
齊藤氏は、「チェックイン、チェックアウトの時間を変えるのは大きな壁だったが、24時間、自由に出入りでき、多様な仲間と気楽に出会え、街と繋がりハブになるような空間を演出した。『水道橋』は住宅+ホテル+オフィスを足して3で割ったようなホテル」などと話した。
左から小田氏、川村氏、横川氏、齊藤氏(東京ミッドタウン日比谷で)
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一つだけ腑に落ちないことがあった。チェックアウトの時間を14時に設定したのは正解だと思う。ビジネスユースはともかく、観光などでホテルに宿泊し、ゆったり非日常を楽しもうというのに朝早く叩き起こされ、ブロイラーのように食事をさせられるのはまっぴらごめんだ。小生はもう30年くらい前からチェックアウトが10時の旅館・ホテルをほとんど利用したことがない。
しかし、チェックインの時間を17時というのには腰を抜かすほど驚いた。チェックアウトの時間を14時にするのだから、チェックインはそのような時間にせざるを得ないのは分からないではないが、基本的にはフレキシブルにすべきというのが記者の持論だ。
予算、目的にもよるが、われわれの年寄りは、14時か15時にホテルに着き、ホテルのデザイン、客室の飲み物、家具調度品、アメニティなどをチェックし、まず煙草を吸いコーヒーを飲み、ルームサービス、レストランのメニューなどを調べ、汗をかいていたらシャワーを浴び、それからホテルで食事するか外に出るかを決めるのが一般的ではないかと思う。
同社は、事業説明でも宿泊客用のロッカーを備えると話したし、「京都駅前」に試泊させてもらったときも、そのようなサービスを行うことを知っていたが、果たしてどうなのか。
若い人はどう考えるか、記者より一回りも二回りも若い女性記者数人に聞いた。「九州にはそのようなホテルがある。17時のチェックインはありだと思う」という声が大半だった。なるほど。
メディア発表会
「新生ナイスグループ誕生の年」に 杉田社長 経営方針発表会に約1,600人
ナイス「経営方針発表会」(グランドプリンスホテル新高輪で)
ナイスは1月24日、ナイスパートナー会連合会と合同の「経営方針発表会」を開催した。恒例だった「新春経済講演会」を一連の事態を受け変更したもので、同社代表取締役社長・杉田理之氏が新生ナイスグループの経営方針を発表した。参加者は約1,600人に上った。以下、発言要旨。
杉田社長
信用と信頼の回復に努める
このたびの当社に起きた一連の事象につきまして、大変なご心配をおかけしております。現在、再発防止策を着実に進めているところでございます。
当社グループでは、倫理観、価値観、考え方、意識など、これまでに培ってきたアイデンティティーをゼロから見直し、その上で新たな未来を描いていきます。その中で「将来に残すべき良いもの」については、未来のナイスグループの礎として大切に育てていきます。ぜひとも、これまで以上のご支援を、宜しく願いいたします。今年2020年は、ナイスグループの創業70周年となる年です。この記念すべき年を、「新生ナイスグループ」誕生の年にするべく、販売店様、工務店様、仕入先様をはじめ、あらゆるステークホルダーの信用と信頼を、一日も早く、また着実に回復できるように努めていく考えです。
当社グループがまずなすべきことは、改善計画等の策定と実行を通じて、ガバナンス体制を全力で再構築することにより、将来にわたって持続可能な経営基盤を確立することだと考えています。コンプライアンスの意識を醸成し、公正な判断ができる、風通しのよい企業風土を構築していきます。
具体的には、組織のそれぞれの役割を明確にするために、本社部門の組織の構造改革等を実施しています。更に、すてきナイスグループ㈱とナイス㈱の二層構造によるガバナンスの機能不全を解消するべく、すてきナイスグループ㈱がナイス㈱を吸収合併し、社名をナイス株式会社へと変更する方針を決定しました。これに伴い3月中旬には臨時株主総会を開催する予定です。ガバナンスの強化と収益構造の再構築を推し進めるためにも、この二層構造を解消し、改めてシンプルで分かりやすいグループ体制とすることが極めて重要と判断し、両社の合併の方針を決定しています。
2020年の経済情勢
世界情勢は昨年後半から米中関係をはじめ不安な動きが多く見られ、新年早々には中東の緊張が急激に高まるなど不穏な動きを見せました。こうした中、世界経済には減速感が広がっています。ただし、現在は地政学リスクについては緩和傾向にあります。国内においては、いよいよ東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。日本銀行は、現在の大規模な金融緩和策維持を決定したほか、景気は好転するとの見通しを示しています。
こうした中、当社グループとしては総じて明るさが見られる1年になると考えています。新設住宅着工戸数については、東京五輪に伴う稼働日の減少や物流などの影響が顕在化した場合、下振れする可能性も考慮し、82~85万戸と予測しています。住宅資材市場は、地域格差はあるものの、駆け込み需要が見られた昨年と比較すると、総じて減少傾向にあると見込んでおります。
ただし、新築については依然として85万戸程度の着工が見込まれ、リフォーム市場は将来にわたって微増ながらも着実に市場規模を伸ばすと予測されています。更に、木材を切り口とした非住宅分野の広がりや、省エネ・断熱に対する施策とニーズの高まり、自然災害に対する国土強靭化施策等の拡大が見込まれており、これらの需要を最大限に確実に取り込むことで、期待できる1年になると考えています。また、東京五輪の関連施設に木材が多用されたことで、今後更なるプラスの効果が見込めるとも考えています。
また、今年注視すべきキーワードとして「5G」があります。働き方も大きく変革するでしょう。住宅業界においても、お客様への提案の仕方や、住まいに求められる立地、仕様、機能など、これまでの常識が全く覆ってしまうということもあり得ます。
ESGを踏まえた経営基盤を確立
こうした時代において、現在、企業活動に求められるのはESGであり、SDGsです。近年、日本各地での自然災害は頻発・激甚化しています。地球温暖化の影響とも言われ、「脱炭素社会」の構築に向けて、企業としても真剣に取り組まなければならないと考えています。
私たち住宅業界は、新築住宅における省エネ基準適合の推進、既存住宅の断熱改修などを推進していく必要があります。住宅の省エネ性能を高め、断熱性を向上させることは、人の健康にも大きな影響を与えることにもつながります。当社グループでは、今後も健康と環境にやさしい家づくり「スマートウェルネス住宅」について継続して取り組んでいきます。
また、令和となっても大地震の発生は切迫した脅威となっています。こうした中、住宅の耐震化は依然として課題となっています。住宅事業に携わる私たちにとって、住む人の命を守る家づくりは普遍的な社会的使命だと捉えています。当社グループは今後も引き続き住宅の耐震化に向けた活動を継続するとともに、耐風性能の向上、太陽光発電システム・蓄電池の導入の促進をはじめ、地域コミュニティーでの共助の推進など、激甚化する自然災害全体への対応に取り組んでいきます。
建築資材事業の事業方針
当社グループには、住まい・暮らしを取り巻く事業として、川上から川下まで、幅広い機能があります。今年は、改めて建築資材セグメントおよび住宅セグメントの総合力・シナジーを発揮することで、新しいお役立ちを積極果敢に行っていきます。
建築資材セグメントについては収益力の強化を見据え、「国産材の利用拡大と木材販売」「取引先様とのパートナーシップ」「木造非住宅分野への取り組み」「ストック市場への取り組み」の4点を新たな事業方針として掲げました。
このうち、「国産材の利用拡大および木材販売の拡大」については、「木材」の利活用を更に促進することで、事業の拡大と森林資源の循環利用へ貢献していく考えです。当社グループは、全国の優良な製材事業者様・プレカット事業者様との強力な関係性により、品質・価格・供給の3つの面で安定した国産製材品をコーディネートすることが可能であり、非住宅の木造化・木質化に必須となるJAS製材品や、森林認証材を全国47都道府県から調達する仕組みがあります。今後は、これらの取り扱いを更に強化していきます。
木質化の部材についても、商品開発・販売を強化していきます。都市部の木質化という点では、新築需要はもちろん、既存建築物の木質化という需要もあり、大きな市場があります。内外装の木質化に加え、木塀など幅広く取り組んでいきます。また、今春には国産材をリフォームの一部に活用することを要件として金利を優遇するリフォームローンの準備を進めています。
続いて、「取引先様とのパートナーシップ」についてです。販売店様とメーカー様、建販商社様、木材問屋様とナイス㈱によるネットワークであるナイスパートナー会は、現在、1,000社以上の企業様に加入いただいています。今後、会員企業様と今まで以上により強力に取り組み、ともに発展していきたいと考えています。また、工務店様の日々の活動をサポートするサービス「ナイスサポートシステム」は、集客活動から商談、設計、顧客管理に至るまで、販売店様・工務店様のあらゆる業務に対応しており、現在は約2,000社にご利用いただいています。
次に、「木造非住宅分野への取り組み」です。建築物の木造化率は増加傾向にあります。一方で5階建て以下の建築物の木造化率は10%程度にとどまっており、ここには現在の持ち家に匹敵する規模の潜在市場があると言えます。こうした建築物の木造化・木質化の需要に対応していくために、販売店様や工務店様、設計事務所様、ゼネコン様からの最初のご相談窓口となるファーストコールセンターとして「木造テクニカルセンター」を新設しました。こちらを窓口として、当社グループが持つ設計・開発力、木材 調達力、生産加工力、施工力により、非住宅の木造化・木質化を強力にサポートしていきます。お施主様となる行政や、設計を担当する設計事務所様、生産・加工を行う製材事業者・プレカット事業者様、流通を担う販売店様、施工を担当する工務店様、ビルダー様、ゼネコン様の皆さんとともに「ウッド・ビルディング・ネットワーク」を構築し、ともに取り組んでいきたいと思います。
最後に、「ストック市場への取り組み」です。現在、日本の住宅ストックは約5,000万戸とされていますが、このうち断熱性能において現行基準を満たすものはわずか7%しかありません。健康リスクの低減には、住まいの断熱性能を高めることが重要だということが明らかになりつつあり、超高齢社会の日本において大きなマーケットがあります。こうしたリフォーム需要を獲得するために、当社グループでは「リフォームパッケージサービス」を開発しています。これは、断熱やエネルギーなど、リフォームのテーマに応じた商材をパッケージ化して、消費者に提案しやすいように1冊のカタログとしてまとめたものです。ナイスサポートシステムの会員企業様へは、社名を入れたデータを無料で提供しています。
このうち、断熱リフォームに関しては、施工性に優れて住まいながらできる商材の提供を強化しています。「あったかMADO」は既存のサッシ枠を生かしながら窓回り全体の断熱性能を向上させる新しいカバー工法による窓リフォーム商品で、標準的な窓であれば1時間程度で施工できます。また、床下の断熱リフォームについても、床を剥がすことなく施工ができる商品を開発しています。このほか、資金面でリフォームに踏み切れない高齢者の方へ向けて「リバースモーゲージ型住宅ローン」を提供しています。これは、60歳以上を対象に、自宅を担保に資金を融資するものです。融資期間は無期限で、毎月の支払いは利息のみ、元本については生前一括、もしくは亡くなった時に担保物件を売却して返済するというものです。
住宅セグメントの事業方針
当社グループには、ストックビジネスを担う部門として、既存住宅の流通を担うナイス㈱住宅事業本部情報館事業部、マンションや一戸建住宅の管理・修理営繕、リフォームを行うナイスコミュニティーグループ、賃貸管理を行うナイス賃貸情報サービス㈱、法人仲介を行う横浜不動産情報㈱、エリアの情報発信をするYOUテレビ㈱があります。これらが相互に連携することで、既存住宅に関するあらゆるお悩みに対するソリューションを提供し、ストックビジネスの拡大を図る考えです。これまでに当社が供給したマンションや一戸建住宅をはじめ、管理物件、YOUテレビ視聴世帯数などを合計すると、当社グループと関係するお客様は延べ38万世帯を超えます。このお客様が、当社のストックビジネスにおける非常に大きな財産となります。ストックビジネス各部門の業績は上昇傾向にあり、今後の成長が期待できる分野と言えます。今後は事業を強化し、一層注力していきます。
マンション部門については、当社グループは2015年から自社で供給するすべてのマンションを免震構造とし、「ノブレス」というブランド名で展開しています。当社グループは1997年に東京世田谷区で免震マンションを供給して以来、これまでに全国で75棟を供給、首都圏では49棟とナンバーワンの実績があります。地震への備えという観点から、引き続き免震構造を原則とし、土地の形状など条件に応じて耐震等級2の耐震構造にもフレキシブルに対応してまいります。その上で好立地を厳選の上で安定した供給戸数を継続して確保していきます。
最後に、一戸建住宅事業については、収益モデルを再構築するためにビジネスモデルと管理基盤の見直しを実施していきます。具体的には、地域特性に応じたエリアごとの商品開発、年間の新規着工数・計上戸数の安定化と平準化、用地仕入れ時に適正な在庫水準を管理する仕組みの整備、配棟計画や許認可の取得時の地域特性に基づく企画の重視、開発行為継続の是非における基準の明確化、そして、顧客接点を重視した販売の6点です。このうち、商品開発については、本社の設計部門において画一的に全国の一戸建住宅商品の仕様・設備等を決定することを取りやめ、地域の特性に合わせた商品開発へと移行します。ただし、「将来に残すべきもの」として、耐震等級3の確保、パワービルド工法の標準仕様、長期優良住宅、国産材の活用、「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」の取得については、今後も全国共通のスペックとして継続します。住宅セグメントについては、これらを通じて事業の再構築を果たしていきます。
新生ナイスグループ誕生の年に
新生ナイスグループにとって何よりも重要なことは、これらの事業方針や経営方針、戦略などに、ESGとSDGsの考え方をしっかりと反映させていくことだと考えています。当社グループはこれまで、「耐震」「健康」「環境貢献」、そして「木材利用の拡大」を重要なテーマとして事業に取り組んできました。今後は、「理念の追求」にとどまらず、収益性とESGへの取り組みをバランスよく実行していきます。
当社グループは今年、創業70周年を迎えます。長きにわたるご支援に改めて感謝いたします。本年を「新生ナイスグループ誕生の年」とし、全力で信用と信頼の回復に向けて取り組んでまいりますので、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございます。
屋敷林と公園に面した立地抜群 三井不レジ「パークホームズ中野本町」
「パークホームズ中野本町ザ レジデンス」
三井不動産レジデンシャルが分譲中の「パークホームズ中野本町ザ レジデンス」を見学した。敷地約1,844㎡の邸宅跡地の7階建て全46戸で、南側は臨家の屋敷林、東側は道路を挟んで公園という恵まれた立地条件にあり、早期完売は間違いない。
物件は、東京メトロ丸ノ内線中野坂上駅から徒歩8分(同中野新橋駅から徒歩5分)、中野区本町3丁目に位置する7階建て全46戸。専有面積は60.50~86.91㎡、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は7,888万円・8,758万円(60.50㎡・68.98㎡)、坪単価は410万円。竣工予定は2020年9月上旬。設計は日建ハウジングシステム。事業主は同社のほか東レ建設。施工は松井建設。すでに第1期20戸が供給済み。
現地は一軒の邸宅跡地。敷地南側は臨家の屋敷林、東側は奥行き約105m、広さ約7,000㎡の本二東郷やすらぎ公園。歩いて1、2分の小学校は建築中。
建物は、「緑」「塀」「門」「奥」「軒」の日本建築の伝統美を承継したデザインが特徴で、石積みの擁壁を設け、深い軒裏のデザインは木調仕上げ。住戸は東向き。主な基本性能・設備仕様はリビング天井高2450mm、直床、食洗機、ディスポーザー、フィオレストーンキッチン天板、Low-Eガラスなど。
販売を担当する同社都市開発三部事業室レジデンシャルサロン所長・日髙裕喜氏は、「立地環境が評価され、地元以外の小田急線、京王線沿線などの広域居住者からの反響も多い」と語っている。
◇ ◆ ◇
公園に面した同社のマンションは、一昨年見学した「パークホームズ荻窪ザ レジデンス」以来だったが、今回の販売責任者もまた同じ日髙氏だった。日髙氏は笑って答えなかったが、これほど住環境に恵まれているのなら記者だって売る自信はある。
坪単価もぴったりだと思う。現地を見学したときは冷たい雨が降っており、他のマンション取材などで2万歩くらい歩いており、駅から7分の距離は遠く感じられ〝こんなに遠ければ坪単価350万円でも高い〟と感じたが、立地条件を確認して〝これなら坪400万円を突破しても間違いなく売れる〟に上方修正した。
近く2期の分譲も始まるが、完売するのは時間の問題だ。
東側の公園と新宿方面の眺望(左端はモリモトのマンション)
久々に1低層の〝パークホームズ〟 三井不レジ「荻窪」売れ行き好調(2018/12/9)
積水ハウス 新会社「積水ハウス ノイエ」営業開始 木造軸組み戸建て強化へ
「PARTAGE 寄棟モデル」
積水ハウスは1月24日、木造軸組構法による戸建住宅の販売・設計・施工を行う新会社「積水ハウス ノイエ」の営業を2月1日から開始すると発表した。
積水ハウス ノイエは積水ハウスの100%出資会社で、積和建設17社のうち13社の新築木造住宅事業を再編、10カ所に営業所を新設する。
共働き子育て世帯である一次取得者層向けの坪単価55万円~(消費税抜き)というコストパフォーマンスを実現した「PARTAGE(パルタージュ)」の販売を強化するのが狙い。
樹脂サッシやLow-E複層ガラスで高気密・高断熱。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応可能な「PARTAGE 寄棟モデル」も2月1日から販売開始する。
大激戦の「築地」マンション ワールドレジも戦線離脱 全体で戸数は100戸減
大成有楽不動産の「アーバンツ銀座築地」55戸に続いて、ワールドレジデンシャル・ニチモリアルエステートの「レジデンシャル築地」41戸の販売計画が見直されることになり、マンションギャラリーは2月3日で閉鎖されることが分かった。
物件ホームページには「諸般の事情により、誠に勝手ながら販売計画の見直しをさせて頂く事となりました」とあり、販売事務所は「これ以上のことはお話しできない」としている。
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記者はつい先日、〝「晴海」より面白い〟と築地のマンションについて記事にしたばかりだ。大成有楽不動産の55戸とワールドレジデンシャルの41戸の戦線離脱で、現段階で分譲されるのは4物件367戸(当初は6物件463戸)となった。
減った分だけ価格が上がるのかどうか…他の近隣エリアの単価はどんどん上昇しており、「銀座」に近接する「築地」は築地市場の再開発計画も絡み混とんとしてきた。旭化成不動産レジデンスの値付け次第では大激戦が一転して大凡戦になる可能性も出てきた。
市場を乱しているのは、激しい用地争奪戦を演じているホテルとリート・ファンドだと思うがどうだろう。翻弄されるのはユーザーだ。
「晴海」より面白い 坪500万円の攻防 目が離せない旭化成不レジ「アトラス築地」(2020/1/17)
業界一丸となって応援 「新生ナイス 経営方針発表会」参加者の声
杉田社長を中央に小林氏(左)と矢吹氏
ナイスは1月24日、ナイスパートナー会連合会と合同の「経営方針発表会」を開催した。恒例だった「新春経済講演会」を一連の事態を受け変更したもので、同社代表取締役社長・杉田理之氏が新生ナイスグループの経営方針を発表したほか、経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO・冨山和彦氏による「デジタル(AI)革命とローカル型企業の明日」と題する講演、情報交換会(懇親会)を行った。
参加者は、会費制だったにもかかわらず従来とほとんど変わらない約1,600名が参加し、「新生ナイス」にエールを送った。
同社は3月31日付ですてきナイスグループ(代表取締役社長・杉田理之氏)に吸収合併され、消滅することが決まっている。
「経営方針発表会」(グランドプリンスホテル新高輪で)
◇ ◆ ◇
記者は他の取材があったため、杉田社長の〝決意表明〟は聞けず、懇親会からの参加となった。ただで飲ませてもらう分の〝お返し〟をしないと失礼だと思い、以下の通り「新生すてきナイスグループ」に対するエールの声を拾った。(順不同)
後藤木材(本社:岐阜県岐阜市)代表取締役会長・後藤直剛氏(初代ナイスパートナー会連合会会長) ナイスは木材商社の草分けとして業界を支えてきた。多くのことを教わった。(有価証券虚偽記載は)運が悪かったとしか言いようがない。(他の多くの不祥事と比べて)大きな問題ではない。私利私欲に走ったわけでもない。これを機会にわれわれも盛り上げていきたい
クロダ(本社:長崎県諫早市)取締役会長・黒田隆雄氏(2代目ナイスパートナー会連合会会長) (一連の事態となり)謙虚に取り組んでいる。だからこそこんなに人が集まる。お客さんは逃げていない。売り上げはむしろ伸びている。社員は前の時代と一緒〝愚直なナイス〟を実践している。凄いこと。(創業)70周年、いいですね
平方木材(本社:群馬県前橋市)代表取締役・平方宏氏(現ナイスパートナー会連合会会長) 創業70周年を迎えた新生ナイスを業界が一丸となって応援していく
田村森林組合代表理事組合長・矢吹盛一氏 田村市はいわき市と郡山市のほぼ中間。3.11のときは事務所が倒れるのではないかと思えるほど大きく揺れた。津波だけならまだしも…原発被災は読めなかった…わたしのところの強度が強いのが特徴の〝田村杉〟が福島代表として国立競技場の東ゲートに採用されている(ナイスは国立競技場に採用された47都道府県の木材を全て調達した)
一般社団法人アジアサイエンスカフェ(本部:神奈川県川崎市)会長・小林一氏 アジア人起業家のためのインキュベーションセンターの運営と支援活動を行っている。シェアオフィスを7年間やっている。日本もアジアも木の国です
征矢野建材(本社:長野県松本市)取締役総括本部長・岩垂智昭氏 新生ナイスの今後の展開に大いに期待しています。旧態依然の体制を脱却し、再生へ向け社員共々一丸となって取り組んで頂きたい。弊社もワンチームの一員として、アカマツ、桧、杉、カラマツなど長野県産材の利用・普及に努めていきます
左から岩垂氏、北信地域材加工事業協同組合代表理事・峯村宗次氏、瑞穂木材代表取締役・宮崎正毅氏