大和ハウス オリンピック期間中 東京本店・城東支社勤務社員約3000人をテレワーク
大和ハウス工業は1月9日、2020年7月24日~8月9日のオリンピック開催期間中に東京本社・東京本店、城東支社に勤務する社員約3,000名が一斉に在宅勤務やサテライト勤務を行う「2020年夏季スーパーテレワーク」を実施すると発表した。
「2020年夏季スーパーテレワーク」期間中は、東京23区内にある東京本社・東京本店、城東支社の事業所を原則閉鎖し、在宅勤務を中心に、サテライトオフィスや東京23区外の自社施設を活用した勤務など、柔軟な働き方を実施する。
2020年7月24日のスポーツの日は、全社一斉休業日とする。
〝北千住に負けるな〟割り負け京王線の希少免震 日鉄興和不「つつじケ丘」
「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」
日鉄興和不動産が3月に分譲する「リビオつつじヶ丘 タワーレジデンス」を見学した。京王線つつじが丘駅から徒歩2分の免震17階建て全105戸(非分譲住戸36戸含む)。坪単価380万円でほぼ完売した三菱地所レジデンス「千住ザ・タワー」184戸を超えるかどうかが記者の最大の関心事だ。
物件は、京王線つつじヶ丘駅から徒歩2分、調布市東つつじヶ丘一丁目に位置する17階建て全105戸(非分譲住戸36戸含む)。専有面積は33.36~78.28㎡、価格は未定。竣工予定は2021年11月下旬。設計・施工は淺沼組。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地は、スーパーマーケットの跡地で、道路を挟んですぐ京王線の線路が走る商業地域の一角。
建物は17階建て、2階建て商業棟との複合。住居は2階以上。コンパクトからファミリータイプまで1フロア6~7戸。ほとんどは眺望が開ける東向きと南向き。4戸ある78㎡の住戸からは富士山が眺望できそう。モデルルームは白の「つつじ」をイメージした木目調を強調した明るいデザイン。
担当者は、記者の「京王線は他の沿線と比べ割り負けしている。三菱地所レジデンスさんの坪単価380万円の『北千住』には負けてほしくない」という挑発に乗り、「わたしも『北千住』には負けたくないと思いますが…沿線の他物件はみんな価格が低いので…これから価格を決める」と語っている。
◇ ◆ ◇
以下は、京王線に40年以上住む記者の我田引水の手前勝手、牽強付会の記事であることを了承していただきたい。しかし、極力客観的データに基づき、一般のお客さんをミスリードしないように心掛けたつもりだ。
前段で「京王線は割り負けしている」と書いた。これは記者だけでなく、他のデベロッパー担当者もそう思っているはずだ。
マンションの利便性は、これまでは新宿、渋谷、池袋、東京、あるいは中核都市の立川、横浜、浦和、大宮などが起点となっていたのに、ここ10年くらい前から東京・大手町一色になった。ために単価的に低水準だったエリアが注目され、冒頭に書いたように「千住ザ・タワー」は、大手町へ16分の利便性が評価されたのか残り1戸と信じられない売れ行きを見せている。
記者は、住宅地としては「北千住」より上位で、利便性でも新宿へ18~21分の「つつじケ丘」は「北千住」と同程度の評価が妥当と考えている。
記者の主張を裏付けるデータもある。国土交通省のデータだ。
JR・私鉄各線の主な路線別の1カ月当たり(平日20日)遅延証明書発行日数でもっとも少ないのは東武東上線の3.0日で、第2位が東武伊勢崎線の4.2日、第3位が京王井の頭線の3.3日、以下、相鉄線4.2日、大江戸線4.9日、京王線5.0日の順。
沿線人気が高い中央快速は18.8日、山手線は17.0日、東急東横線は15.1日、小田急線は14.8日だ。これまで遅延が少ないと言われていた京急線でも5.7日だ。最悪なのは中央・総武線各駅停車の19.2日。
混雑度だって多沿線は軒並み180~190%台なのに対して京王線は120~160%台にとどまっている。スマホや新聞がかろうじて読める(読めないか)混雑度だ。
このことからも、いかに京王線が決められた時間にきちんと目的地に着く、住みよい街であることがわかる。
まだある。京王電鉄は、令和4年完成を目指し京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業を行っているが、新しく整備される7駅(代田橋駅・明大前駅・下高井戸駅・桜上水駅・上北沢駅・芦花公園駅・千歳烏山駅)の駅舎の外観デザインを昨年決定した。駅は一変する。
記者の街のポテンシャルを図る「ホテルの有無」「百貨店の有無」「歴史・文化」という3つの物差しで測ると京王線はどうなるか。
「ホテル」とは結婚式・宴会ができるホテルの意味で、起点の新宿を除き京王線には調布、多摩センター、八王子と3カ所ある。中央線も小田急線も東横線、田園都市線だって1つか2つだし、東武東上線・伊勢崎線には1カ所もない。
百貨店はどうか。これは時代の流れか、3つも4つもあった京王線はゼロになり、まだ2つもある中央線・立川に圧倒的に負ける。しかし、百貨店は他沿線も少ないはずだ。
3つ目の歴史・文化・飲食の充実度だが、これも京王線は他に負けない。コンサートホールは5つも6つもある。酒は多摩市限定の「原峰のいずみ」がある。
どうだ、みなさん。マンションのパンフレットは広告代理店に丸投げしているのだろうが、別のモノサシに改めたほうがいい。〝駅近〟と〝大きさ〟のみの希少性や、データがあいまいな〝住みたい街ランキング〟などは辟易だ。
ここまで書いてきたのだが、実際の市場はどうか。沿線の最高値マンションは、2017年竣工の三井不動産レジデンシャル「パークリュクス渋谷西原」の坪単価400万円で、2017年竣工の野村不動産「プラウド府中ステーションアリーナ」の坪360万円が続く。いま分譲中の同じ「つつじケ丘」の物件は坪300万円を大きく割り、坪300万円を超える「調布」の物件も〝苦戦〟が伝えられている。坪単価300万円の厚い壁がある。
日鉄興和「つつじケ丘」は、京王線で2棟目か3棟目となる免震は強調材料だが、設備仕様レベルはLIXILのトイレ「サティス」以外はやや物足りない。よって「北千住」を超えるのは微妙と読んだ。野村「府中」は超えてほしいが…。
第2次湾岸戦争? 「大丈夫」岩沙氏・沓掛氏 「分からん」吉田氏 不動産協会・FRK賀詞交歓会に1250名
会場となったThe Okura Tokyo オークラ プレステージタワーエントランスに飾られていた奥平清鳳氏作「苔松 苔梅 やぶ椿」(器は1辺が約2mの六角形で水盤付き)
不動産協会(理事長:菰田正信・三井不動産代表取締役社長)と不動産流通経営協会(理事長:山代裕彦・三井不動産リアルティ代表取締役社長)の合同新年賀詞交歓会が1月8日、関係者ら約1,250名が参加して行われた。以下、会場で拾った声を紹介します。順不同。
(双方の理事長の挨拶はもうしばらくお待ちください)
樋口氏
大和ハウス工業取締役会長・樋口武男氏 (会長、今年はどのような年になるでしょうか)どない年になるかはあかん。どない年に持っていくか主体性を持つことが大事。(絶滅危惧種の関西弁を話す人が少なくなりました)平常心じゃ、アハハハハ
岩沙氏(左)と沓掛氏
三井不動産代表取締役会長・岩沙弘道氏&野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO会長・沓掛英二氏 (会長、財界賞受賞おめでとうございます)ああ、ありがとう(必ず駆け付けますので。いつでしたか)17日だよ(岩沙氏は、雑誌「財界」主催の令和元年「財界賞」の受賞が決まっており、1月17日に授賞式が行われる)
(お二人に、第2次湾岸戦争にはなりませんか)大丈夫(お二人とも)(SDGsのバッジを付けていらっしやいますが)これは経団連のバッジ。沓掛さんのは普通のバッジ(岩沙氏がつけているバッジはやや小さめ)バッジは昨年からほぼ役員全員がつけている。当社は投資家からの評価も高い(沓掛氏)
押味氏
鹿島建設代表取締役社長・押味至一氏 (鹿島のファンです。マンションの施工はどうですか)やりたいね。価格? まあまあ(確か、オリンピックが決まった後は「あまりやりたくない」と仰ったはず)
タカラレーベンの出席者
タカラレーベン代表取締役兼CEO兼社長執行役員・島田和一氏 (三菱地所レジデンスさんから譲り受けた「上尾」が大変な人気になりました)あれは昨年のもっともよく売れたマンション。わたしが話を付けた? いや、手島の手柄(取締役兼専務執行役員・手島芳貴氏)。都心部は土地が買えないから郊外と地方で頑張る(記事参照)
大栗氏(左)と島田氏
長谷工コーポレーション代表取締役会長・大栗育夫氏 (今年のマンションの価格はどうなりますか) 坪単価? 安くはならないが、努力して抑える。(久光さんが亡くなられました)そう。残念。まあ、好きなこと(スキューバダイビング)してだから…
高木氏
コスモスイニシア代表取締役社長・高木嘉幸 いつも言っていることですが〝新しい価値を創造する企業〟-それが当社
三菱地所代表執行役執行役社長・吉田淳一氏 (昨年は業界でもっとも目立った活躍をされました)いやいや、心配事ばかりだよ…世界情勢とか(第2次湾岸戦争にはなりませんか)全く分からない
脇氏
三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員・脇英美氏 (「北千住」は残り1戸、「本厚木」も残り10戸程度とか。笑いが止まらいのでは)ワハハハハ
浜中氏
大成有楽不動産代表取締役社長・浜中裕之氏 (「中野」のマンションが素晴らしい)繁華街の中だから工事車両などを入れるのが大変なんだよ(「築地」は大儲けでは)契約が済んだとはいえまだ完成していないからお金はこれからだよ
斎藤氏
三菱地所リアルエステートサービス副社長執行役員・斎藤哲二郎氏 RBAの野球部は強くなったでしょ。今年も頑張ります
左から前氏、高橋氏、野間口氏
JR西日本プロパティーズ常務執行役員・高橋直見氏 (首都圏でのマンションが増加していますが、今後は年間1000戸では)地方を含めてもそこまでは。+αを目指す。野球? 話は聞いている義積とか(そう、名前は私と一緒の「司」ちゃん。ほら、前さんだって「司」が付いているでしょ。アハハハハ)「仲町台」はいいですよ(執行役員不動産開発部長・前久司氏)
記者が選んだ2019年「話題のマンション」28物件(21~28)
記者が選んだ2019年「話題のマンション」28物件(11~20)
年頭所感 世界に誇れる住環境づくり アキュラホーム社長 宮沢俊哉氏
新年あけましておめでとうございます。2020年の年頭にあたり、ご挨拶を申し上げます。
昨年は、アキュラホーム創業40周年・ジャーブネット設立25周年・令和元年という3つの節目を記念し、新時代の先進住宅「ミライの家・Rei」の発表や、ジャーブネットの上位組織「スマートアライアンスビルダーメンバー(以下、SABM)」の始動、「カンナ削りの木のストロー」を筆頭とした環境貢献企業としての活動などを主に行いました。
また、会社の基盤となる制度やシステムの改革に着手するなど、アキュラホームグループが永続的に発展する基盤も強化し、これらのさまざまな事業や取り組みが実を結んだ年となりました。この充実の一年を一言で表すなら、「革新」「改革」の年。 今一度原点に立ち返り、われわれのあり方を見直して変えていくということを広く推し進めることができました。
この10年あまり、人口や世帯数の減少を受けて住宅市場は縮小傾向にあります。一方で住まいづくりに求められる技術は年々高度化しています。そのような時代に求められるのは、資本力や営業力だけでなく、つくり手としての思いも持った技術力のある企業であると考えます。強みをもった人や企業が連携し、謙虚に学び合い、多様なニーズに応えられる理想のつくり手へと共に進化して いくことが、住まい手に求められる時代になると思っています。
そして、2020年は、昨年に基盤を固めた連携や制度改革を大きく加速させる年だと考えます。「賢い連携」のさらなる推進として、SABMをはじめ、グループの内外で成果が出るノウハウへの出資、ノウハウを共有する場の提供を積極的に行っていきます。こうして手を取り合いながら、日本の住まいづくり・まちづくりをリードするホームビルダーへと進化を続け、ジャーブネットのミッションでもある「世界に誇れる住環境づくり」の実現に近づいていくことを願っています。
また、環境貢献活動として「カンナ削りの木のストロー」もさらに広めていきたいです。まずは、2020年に海外から日本へ来訪される方々に「木のストロー」を使っていただき、海外へ普及させる きっかけをつくりたいと考えています。やがて世界各地で「木のストロー」が地産地消され、各地 の環境問題や雇用問題の解消につながっていけば嬉しい限りです。
この新しい年が皆様にとって素晴らしい一年となりますことを祈念して、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。
年頭挨拶 多様化するニーズにワンストップで対応 三井ホーム社長 池田明氏
令和2年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年は、日本各地で大きな自然災害が発生し、甚大な被害をもたらしました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますと共に、被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。当社は今回の自然災害に直面し、住宅メーカーとしてあらためて「安全・安心」な住まいづくりに尽力するという重要な使命と責任を認識いたしました。
昨年の住宅マーケットは、5年半ぶりに消費税率が引き上げられるなど、事業環境が大きく変化した一年でありました。幸いにも政府の増税対策が奏功し、戸建住宅に関しては前回増税時ほどの駆け込み・反動減は見られなかったものの、増税による生活全般での負担感や、米中貿易摩擦等による海外情勢の先行き不透明感など、消費マインド減退につながる動きが顕在化してきていることは懸念されるところです。
また中長期的には、少子高齢化や人口減少などを背景に、住宅マーケットは緩やかに縮小すると予測されていますが、我が国の住宅ストックの現状を見ると、耐震性、断熱性、バリアフリー性等、質の面の改善が必要な住宅が未だ多く、ストック社会の実現に向けて良質な住宅ストックを形成していくためにも、当社の果たすべき役割は大きいと認識しております。
このような事業環境の中、当社はおかげさまで昨年創立45周年を迎えることができました。今まで支えていただいた多くの皆様に感謝いたすとともに、さらなる成長を期して、会社創成期、上場期に続く第3ステージと位置付けた様々な改革をスタートいたしました。本年も心あらたに、持続的な成長に向け、真摯に課題解決に取り組んでまいります。
主力の注文住宅事業では、当社の強みである、耐震性・断熱性・耐久性など「プレミアム・モノコック構法」の優れた基本性能はもとより、デザイン力、技術力に磨きをかけ、付加価値の高い商品開発と様々な面でのクオリティ向上に努めることで、三井不動産グループ共通の理念である、時を経るほどに価値を増す『経年優化』の考え方を具現化するハイクオリティな住まいづくりに注力してまいります。
また、成長分野と位置付ける施設系事業の強化に加え、リフォーム・賃貸管理などのストックビジネス、北米圏における海外事業の拡大により一層の飛躍を目指すとともに、三井不動産グループとの連携を強化し、多様化するお客様のニーズにワンストップで様々なソリューションを提供することを通じて、より多くの事業機会を獲得してまいります。
今後とも変わらぬご愛顧、ご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
年頭所感 発想を劇的に変え「進化」する年に 野村不HD社長グループCEO 沓掛英二氏
私は昨年の年頭に、不動産業を取り巻く大きな変化に対応すべく、経営も社員も「腹を括った戦略と明確な目標」をもって行動していくという話をしました。
その思いは、経営として、新たな中長期経営計画の中に明確な戦略として盛り込み、既にスタートしています。当計画では、野村不動産グループ全体で「新たな付加価値の創造」を推進することを大きく掲げるとともに、「高い資産・資本効率の維持・向上」、「株主への総還元性向40~50%」を表明し、実践しています。
本年の私からのメッセージは、社会や都市・街の進化に呼応して、野村不動産グループの「進化」を追求する年にしたいということです。
2020年は東京オリンピック・パラリンピック開催の年であり、メトロポリタン東京が益々国際レベルでの進化、発展を遂げていく、まさにその大きなうねりを目の当たりにする象徴的な年となりますが、同時にオリンピック後の日本や世界を見据える年でもあります。
ラクビーワールドカップでも見られたように世界中から人々が集まり、世界に東京・日本の魅力が発信される一方で、インフラや東京の都市機能の発展、5GやICTの進化、人々のコミュニケーションのさらなる多様化など、ライフスタイルやワークスタイルの劇的な進化が加速していく年となるでしょう。
また、日本における「超高齢社会」「人口減少」「世帯構成トレンドの激変」は、ライフスタイル・ワークスタイルの変化をさらに加速させる要因となります。これは、首都圏に限らず東名阪、地方中核都市においても同様で、我々はこうした変化に対応し、開発能力の進化、品質の進化、不動産を取り巻くサービスの進化、環境や街づくり、コミュニティの進化を、ハード、ソフト、ICT等を有機的に連携させながら図っていかなければなりません。
海外に目を向けると、アメリカのNYをはじめとした世界各国の「大都市の進化」はさらに進みます。アセアンの新興国の大都市の進化は、都市部への人口流入をベースにさらに目覚ましいスピードで動いています。
こうした中で、お客様に対して、また社会に対して、当社グループが新たな付加価値を創造し、提供していくことは、我々のサービスが、社会・都市・街・の進化に呼応してまさに「進化・発展」していくことにほかなりません。本年は、我々の発想を劇的に変える認識を強く持ち、野村不動産グループの「進化」を追求し、事業に邁進してまいりたいと思います。
〝業界の名物男〟逝く トータルブレイン社長・久光龍彦氏 享年79歳 死因は… 更新
久光龍彦氏(2018年6月撮影)
長谷工コーポレーションの専務から長谷工不動産、長谷工アーベスト、長谷工コミュニティの社長を歴任したマンションのコンサルティング・設計会社のトータルブレイン代表取締役社長・久光龍彦氏が昨年12月29日、死去した。享年79歳。葬儀、告別式は家族親族のみで執り行われた。後日、「お別れの会」を開催する予定。
問い合わせは同社03-5575-7761。
◇ ◆ ◇
マンションの川上から川下まで知り尽くしている不動産業界の名物男が逝った。年の初めにこれほどつらい訃報記事を書くことになるなんて。
敢えて久光さんと呼ばせていただく。
記者には不動産業界の恩人が三人いる。久光さんはそのうちの一人だ。お付き合いをさせていただくようになったのは、長谷川工務店(当時)が分譲した1987年竣工の「モアクレスト西台」(181戸)がきっかけだった。それまでの〝コンバス〟から脱却した第一号マンションだ。
それまでの同社の「コンバス」については徹底して批判を加えた。〝20坪(66㎡)がどうして広めの3LDKなのか〟と赤坂の本社にねじ込んだこともあった。もう時効だから書くが、昭和60年の頃か、勤務していた業界紙の営業部長から「長谷工さんから広告が出るようになった。だから批判記事を書くな」と言われたこともあった。「モアクレスト」が分譲されたのはそれからしばらくたってからだった。
分譲開始は昭和62年2月。第1期79戸が最高72倍、平均27.0倍で即日完売した。引き続いて4月に分譲された第2期89戸も最高84倍、平均26.5倍の競争倍率で即完した。ワイドスパンの71㎡プランや、LDKが18畳大で主寝室が7.9畳大のプランなどがヒットした。当時の新聞広告に掲載されたプランを見て驚愕したのを覚えている。
その後は、長谷工不動産のマンションや長谷工アーベストの販売手法などについてたくさん取材した。記者が前職を退いたときも、久光さんからは生活面の援助と貴重なアドバイスを頂いた。いま記者があるのはそのお陰だ。
2017年6月、記者の質問に対して久光さんは次のように語った。
「わたしが長谷工不動産の社長に就任し、コンバスから脱却しようと社運をかけたのが『モアクレスト』でした。第一弾の『西台』はよく覚えています」
トータルブレインを立ち上げられてからは年に1、2回はお会いしてマンション市況についての記事を書いた。最近は他のメディアもよく取り上げるので、記者の出る幕ではないと判断し、お声が掛る以外はお会いしていない。昨年の夏ごろだったか、久光さんが行きつけの料亭でいつものように奢ってもらったのが最後となってしまった。
今年の年賀状には「会長」の肩書で「お元気でご活躍のことと存じます」の手書きの文章が添えられていた。以前は、小さな字でびっしりマンション市況や商品企画などについて書かれていた。
年が明け、早速、1月1日付の会長就任と新しい社長に就任された佐々木睦氏を訪ね、副社長に就任された杉原禎之氏や専務の井上文孝氏などと一緒に記念の写真でも撮り、記事にしようと電話したら、秘書の方から訃報を知らされた。
久光さん、不義理をお許しください。もう涙が出て止まらない。なんでなんで…。
合掌
◇ ◆ ◇
関係者の話から、久光さんの死因らしきものが分かった。死亡したのは、フィリピンのルソン島とミンダナオ島にはさまれたビザヤ諸島にあるボラカイ島で趣味のスキューバダイビングを終え、装備を解き、はしごで船に上がるときに倒れたそうだ。クルーが人工呼吸などを施したがそのまま息を引き取られたという。検視などは行われなかったそうで、状況からすれば心不全と思われる。
記者も病死ではないと思っていた。お会いするといつも〝潜り〟の話になった。どれほど好きだったか、4年前にインタビューしたときの記事を添付する。
◇
〝もぐり〟はスキューバダイビングのことだ。空気を詰めたタンクを使って海の中にもぐるスポーツだ。「とにかく珊瑚も魚が美しい」と魅入られたのだそうだ。
久光氏が九死に一生、奇跡の生還を遂げたのが2004年12月26日早朝、インドネシア・スマトラ島沖で起きたマグニチュード9.1の大地震だった。死者は約26万人に達した。
この日、久光氏はタイの観光地プーケット沖で潜っていた。地震が起きたときも全く気が付かず、ホテルに戻って初めて大惨事を目の当たりにした。3階建てのホテルは2階まで壊滅状態で、1階に預けていた財布などもさらわれていた。
奇跡は本人だけではない。「旅行は女房も一緒で、普段女房は部屋にいるかビーチに出て本でも読んでいるのですが、この日に限って大きなクルーザーだったので一緒に乗ることになった。女房が一緒でなかったらと思うとぞっとする」と当時を振り返る。
着の身着のまま、ビーチサンダル履きで29日に帰国した際、真っ先に久光氏のインタビュー姿がNHKのテレビに映し出された。
このニュースで久光氏が奇跡の生還を遂げたことを知った業界人は多いはずだ。「夜の7時のニュースで私のことが伝わると、『奥さんは大丈夫か』という連絡がたくさんありましたが、女房は(カメラクルーから)とっさに逃げましてね、映らなかったんです」
この惨事で懲りたのかと思いいきや、そうではない。その後もずっと潜っている。
「わたしは暖かいところしか潜りません。夏の沖縄とか台湾、パラオ、サイパン、インドネシア、プーケットなどです。この20年間で980本潜りました。1本とはボンベのことですが、ダイバーは潜るごとに記録につけるんです。それが今年で1,000本になるんです。リゾートばかりで1,000本という人はそういないはずです。時間と体力とカネが必要なスポーツですから。この三拍子はなかなか揃わない。
1,000本記念のTシャツも用意してます。達成したら仲間にサインをもらうんです。寝室には300本達成以降の100本単位のTシャツを飾っているんです」
「ゴルフはダイビングを始めるのと前後して止めましたね。ダイビングには女房も連れて行くから文句を言われない」
-「住友不動産の安藤太郎さんは98歳までゴルフをやっていました。久光さんもそれくらい続けてほしい」と水を向けたら、安藤太郎さんの話になった。
「安藤さんとは(長谷川工務店時代の)水上社長と(専務の)私とよくやりましてね、泉カントリーです。さすが安藤さんですね、平気で自分の都合のいいようにOBラインを変えるんです。しかも、ラウンドの前後一組を開けるんですよ。せっつかれることはまったくない」
◇
事故死であることが分かり、記者も少しは救われた。モンブラン(4810m)、キリマンジャロ(5895m)、マッキンリー(6194m)、アコンカグア(6959m)、南極大陸最高峰ビンソンマシフ(4750m)などを踏破、奇跡的に命を落とさなかった元富士フィルムのサラリーマン津田三佐雄氏(71歳)の話を聞いたばかりだ。海や山には人知を超えた魅力・魔力があるのだろう。
商品企画、販売手法見直して激変市場を乗り切れ トータルブレイン・久光龍彦氏(2018/6/26)
「お蔵入りしたコンバスが亡霊のようによみがえった」 トータルブレイン久光社長(2017/6/7)
「デフレ脱却絶望的。郊外マンション価格は下がらない」トータルブレイン・久光社長(2017/5/30)
「共働き中心のマンション市場に激変」 トータルブレイン久光社長(2016/8/12)
情報の十字路に立つ トータルブレイン・久光龍彦社長のアドバイス(2015/11/30)
「利便性、資産性がこれほど重視される時代はない」 トータルブレイン久光社長(2014/8/28)
トータルブレイン・久光龍彦社長に今後のマンション市場を聞く供給量は6万5千戸前後 ブランド格差広がる(2007/10/1)
「物件力のある新価格マンションは売れる」トータルブレイン久光龍彦社長が語る(上)(2007/1/23)
年頭挨拶 戦略策定から実行フェーズの年へ 大京社長 小島一雄氏
昨年は、消費税率の引き上げなど、国内外でさまざまな出来事がありましたが、我々の事業環境は概ね良好でありました。しかしながら、従来のセオリーでは説明のできない現在の金融市場やアセット価格の上昇等については、引き続き注意が必要だと感じています。
今年はオリックス不動産を中核とする新体制で動き出す年となります。新運営体制では、様々な面でスピードを落とさず、かつプラスの効果を追求していくことを目指します。
大京においては、新築マンション開発をはじめ、全ての事業に渡ってメインのマーケットである三大都市圏でのシェアの拡大を目指します。また、すでに着手しているマンション以外の資産の積み上げを加速させるなど、BtoBビジネスへも積極的にチャレンジしていくことによって、これまでにないアセットの積み上げも図ります。
昨年は変化のきっかけの年にしたいという話をしましたが、今年は戦略策定から実行フェーズに移していくことで具体的に何かを生み出していく、そんな一年にしたいと思います。
年頭所感 難局を乗り越えるテーマは「革」大和ハウス工業社長 芳井敬一氏
昨年は元号が「令和」へと代わり、歴史的な節目の年となりました。一方、台風や豪雨など各地で自然災害が猛威を振るい、多くの被害に見舞われた年でもありました。住宅業界では10月に消費税増税が施行され、新設住宅着工戸数への影響は限定的であったものの、依然として力強さに欠ける状況が続いています。
このような中、当社においては多くの不祥事を起こしてしまい、お客様をはじめ、関係者の皆様にはご迷惑とご心配をおかけしました。
新年を迎え、創業65年目を迎える当社の新たなスタートに際し、私が本年掲げる一文字「革(かく)」をテーマに三点、皆さんにお願いがあります。
一つ目は、「改革」です。これは「革」がもつ意味「たるんだものを建て直す」の実践です。今、まさに社員一人ひとりが不祥事を二度と起こさないよう、法令遵守の下、ルールに則った業務を行う「凡事徹底」が求められています。
また、働き方改革の実践も喫緊の課題です。中でも、現場の技術者不足の解決策として、デジタル技術によるデジタルトランスフォーメーションやAI・IoTの活用によって、省人化や無人化に取り組み始めています。加えて、東京五輪中は東京を中心に大規模なテレワークの実施など、この機に職場環境の改善に取り組みます。既存業務の効率化と改革を進めるため、皆さんが新たな働き方のアイデアを出し合うことで、「より良い会社」にしていきましょう。
二つ目は、「変革」です。創業者石橋信夫は「企業は三十年、次を背負う事業をつくれ」と説きました。つまり、我々役職員は時代にあわせて事業を「変革」していくことが求められています。かつて当社が開発したニュータウン「ネオポリス」は時が経ちオールドタウン化しています。世の中がモノの消費からコトやトキを消費する時代に変化していく中で、当社が開発した街を再耕する「リブネスタウンプロジェクト」を通じてサステナブルで、次代につながる街づくりに挑戦してください。
最後は事業の原点である人財育成の「革新」です。わが国を取り巻く政情が不安定な時期ですが、このような不透明な時代を生き抜く力を、役員・管理職の方々は、ぜひ部下に教示いただきたいのです。社業が発展していく中で、当社は幾多の試練を乗り越え、今日に至っています。これまで当社を支えてきた管理職以上の皆さんが若手社員にこの厳しい環境に打ち勝つ力が備わるよう、働きかけてください。
本年、当社は、これまでの仕事の仕方をあらためる「革(かく)」の時代を迎えました。この時代を生き抜くためにも、我々役職員は将来の大きな「夢」を持ち、それに向かって前進し続けてください。皆さんの成長をとても期待しています。この難局を共に乗り越えましょう。
年頭所感 日本の街づくりの素晴らしさを世界に発信 三井不動産社長 菰田正信氏
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
昨年を振り返りますと、5月に新天皇が即位され、新しい令和時代の幕が開けました。秋にはラグビーワールドカップが開催され、日本代表チームも大活躍するなど、大会は大成功を収め、日本の良さ、素晴らしさが世界に発信されました。その一方で、一昨年に続いて大型の台風や集中豪雨が相次いで発生し、自然災害が常態化・激甚化していることを痛感させられた一年でもありました。
そうした中、当社グループでは昨年も、国内外の街づくりプロジェクトが着実に進捗しています。当社の本拠地である日本橋においては、3月に「日本橋室町三井タワー」が竣工し、9月には「コレド室町テラス」がグランドオープンしました。オフィスには世界をリードする様々な業種の先進的な企業に入居いただいたほか、「コレド室町テラス」には台湾の「誠品生活」が日本初出店するなど、日本橋に新たな賑わいと街の新しい価値を生み出し始めており、これまで約20年にわたり官民地元一体となって進めてきた「日本橋再生計画」は、「未来に続く、街道の起点」を目指し、昨年より「第3ステージ」に進んでいます。
7月には当社グループが手掛ける初めての直営ラグジュアリーホテルである「ハレクラニ沖縄」が開業し、ハワイ・ハレクラニで培ったホスピタリティがお客様から高い評価をいただいています。
海外事業も、ニューヨークで開発中の「50ハドソンヤード」において、フェイスブック社の入居が決定するなど各物件が好調な営業状況であることに加え、欧米・中国・アジアの各エリアにおいて、優良な新規事業案件を獲得するなど、グループ長期経営方針「VISION 2025」に掲げる「グローバルカンパニーへの進化」に向け、順調に推移しております。
さて、今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催され2020年代の幕開けの年となります。大会期間中は、世界中から多くの方々が来日し、日本の伝統や文化、おもてなしに触れていただく絶好の機会となります。
当社は「東京2020ゴールド街づくりパートナー」として、日本の街づくりの素晴らしさを世界に発信するとともに、2020年代の日本の姿、当社事業のあり方を描き、実現していく年にしてまいります。
皆様のこの1年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます。