63棟約5,000室の社員寮を管理・運営 大和ライフネクスト
「エルプレイス南砂」
大和ライフネクストは3月4日、大和ハウス工業が法人向けに土地の有効活用提案として独身寮を建設し、大和ライフネクストが管理・運営する「エルプレイス」事業の一つである「エルプレイス南砂」の見学会を行った。企業1社の男性社員寮として賃貸することが決まっている。
物件は、東京メトロ東西線南砂町駅から徒歩7分、江東区南砂7丁目に位置する7階建て全284室。居室面積は約25~30㎡。施工は大和ハウス工業。共用施設は食堂・共同スペースなど。竣工は3月上旬。
居室にはエアコン、照明、洗濯機、システムキッチン、浴室乾燥機、トイレ、ベッド・マットレス、デスク、チェア、カーテンなどを装備。インターネットは無料。
建物はオートロック(エントランス・各階エレベータホール)、防犯カメラ付き。住込み管理員と休日管理員による365日管理対応。朝・夕の食事サービス付き。
同様の施設は、これまでに53棟4,125室の実績があり、近く63棟約5,000室に達するという。200棟くらいまでに伸ばすそうだ。実績では、共立メンテナンスに次ぐ規模だそうだ。
共用スペース
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同社が法人向け独身寮の管理・運営「エルプレイス」事業を行っているのを全く知らなかった。大手企業が寮・社宅を売却し、そこに分譲マンションが建設されるのは40年くらい前から進んでいた。今時、独身寮のニーズがあるとは全然思わなかった。
同社担当者によると、家族向けの社宅のニーズは少ないが、人材を確保するのと社員のコミュニケーション、教育を目的とする独身寮のニーズは高いという。食事なども作れる居室2戸分の共用スペースが各フロアに設置されているのは、当初計画ではフロアごとの賃貸を想定していたため。
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居室の天井高、設備機器、仕様レベルはいかにも独身寮と思わせるレベルだったが、広さが約25㎡もあるのに驚いた。担当者によると、江東区にはファミリー向け住戸の付置義務がなく、最低面積として25㎡確保すればいいということからこの広さになったという。
外泊は可能だそうだが、居室内での喫煙も、異性の友だちなどの入室は不可だと聞いた。
これを聞いて、小生などはとても我慢できないと思った。同じ社員284人が同じ屋根の下に暮らすのは壮観といえば壮観だが、社畜にはならないのか。言葉は悪いが、賃料を安く設定するのを餌に社員を365日管理しようという魂胆が見え隠れするではないか。
「エルプレイス南砂」
三菱地所 「大手町パークビルディング」の一部を998億円で譲渡
三菱地所は3月5日、「大手町パークビルディング」の一部を譲渡する契約を結んだと発表した。資産ポートフォリオ戦略の一環としてROAの向上を図るとともに、投下資金を回収し今後の事業資金に充てるため。
譲渡するのは同ビルの土地信託受益権準共有持分の約33.1%と、9~20階の事務所部分・店舗部分・地域冷暖房施設部分における区分所有権の共有持分の49.9%。
譲渡先は東京MN1特定目的会社、ジャパンリアルエステイト投資法人、日本オープンエンド不動産投資法人。
同ビルは土地面積約9,338㎡、29階建て延べ床面積約9,338㎡。2017年1月竣工。帳簿価額は約939億円。譲渡価額は約998億円。
「従来型ビジネスモデルはもはや立ちいかない」大和ライフネクスト・石﨑順子社長
石﨑氏
大和ハウス工業は3月4日、メディア向けの第12回業界動向勉強会を開催した。今回のテーマは「マンション管理」で、大和ライフネクスト代表取締役社長・石﨑順子氏がマンション管理業界の課題となっている「4つの高齢化」などについて話したほか、同社が管理・運営する企業向け独身寮「エルプレイス南砂」の見学会を行った。参加者は約30名。マンション管理業協会の恒例の記者懇親会より多いほどだった。
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大和ライフネクストは、連結8社の総称として「ライフアメニティカンパニーズ」を掲げており、2019年3月期の売上高は1,053億円、従業員数12,369人。売上高の65.4%がマンション管理。管理戸数は約36万戸で、管理戸数ランキングは第5位。
石﨑氏は、マンションの建物の老朽化と区分所有者の高齢化による「2つの高齢化」に加え、「従業員と従来型ビジネスモデルの高齢化に襲われており、もはや従来型のビジネスモデルでは立ちいかなくなった。『4つの高齢化』は深刻」と述べた。
管理員のボリュームゾーンの年齢は67歳、登録管理員(代行員)は71歳がそれぞれピークで、管理員の採用倍率は8年前は約35倍だったのが、現在は約5.6倍となっており、人材確保が難しくなっており、最低賃金上昇は価格(管理費)に転嫁せざるを得なくなっていると話した。
こうした問題を解決するためには、管理会社単独では難しく、同業を含めた連携が必要と語った。業界再編は必至とも話した。
同社は昨年12月、業界初の「マンションみらい価値研究所」を設立した。様々な課題を解結するためのデータなどを収集する目的だ。高経年マンション向けの啓蒙・支援活動や透明度の高い設計監理方式による修繕工事支援活動を積極的に行い、省力・省人・省コスト・IT活用など新しい管理手法の開発に力を注いでいるとした。
第12回業界動向勉強会(「エルプレイス南砂」で)
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記者は3年前、大京アステージの協力を得て公共職業安定所(ハローワーク)の就職フォローアップ事業の一つ「マンション管理員業務講習会」を取材した。「マンション管理の仕事がどのようなものか全く知らないのに〝マンションは管理を買え〟などと話したり記事を書いたりするのが管理員や購入検討者に失礼だと思い、少しでも実際の仕事内容を理解するために取材を大京広報担当者にお願いし、快く引き受けてもらった」と記事に書いた。掃除の技術の高さには〝目から鱗〟だった。
講習会の講師を務めた大京アステージの春田道雄氏もそうだったが、二言三言、言葉を交わしただけで気分がよくなるラグュアリーホテルのホテルマンと同レベルの管理員を記者は知っている。その一方で、顔を見合わせるのも嫌になる管理員もいるが…。
管理会社に対して。マンション居住者や管理組合、メデイア向けの情報発信が圧倒的に少ないのではないか。社会的地位の向上を叫んでも、管理員の仕事の実態を伝えられなければ理解されないと思う。管理組合と共催して現場見学会などのイベントを行ってはどうか。座学で得られるものはたかが知れている。
コスモスイニシア アクティブシニア向けマンション 4物件開発進む
「札幌北4東6周辺地区再開発プロジェクト」
コスモスイニシアは3月5日、アクティブシニア向け分譲マンションの全国展開を進めていると発表した。
第一弾の「グランコスモ武蔵浦和」160戸(2016年分譲済)に続き、「札幌北4東6周辺地区再開発プロジェクト」202戸、「札幌苗穂駅前再開発プロジェクト」77戸を2020年夏に販売開始するほか、「福井駅前再開発プロジェクト」約100戸、「久留米再開発プロジェクト」116戸(大和ハウス工業とJV)の権利変換計画の認可が行われた。
三井物産&三井不動産 大規模複合「Otemachi One」竣工 商業エリア5/12オープン
「Otemachi One」
三井物産と三井不動産は3月5日、千代田区大手町一丁目の複合開発「Otemachi One」が2月23日に竣工し、商業施設エリア「Otemachi One Avenue」を5月12日(火)にグランドオープンすると発表した。
施設は、東京メトロ各線・都営三田線大手町駅直結、千代田区大手町一丁目に位置する敷地面積約20,900㎡、地上31階地下5階建ての三井物産ビルと地上40階地下5階建てOtemachi Oneタワーからなる延床面積約357,700㎡。用途は事務所、商業、多目的ホール、ホテル、駐車場、地域冷暖房施設など。設計・監理は日建設計・鹿島建設。施工は鹿島建設。デザインアーキテクトはSkidmore, Owings & Merrill LLP(SOM)。Otemachi One Avenueのグランドオープン予定は5月12日。「フォーシーズンズホテル東京大手町」の開業予定は7月1日。建物は「CASBEE」Sランク相当を確保している。
「Otemachi One」は、最先端のオフィス、ホール、カンファレンス、商業施設、ホテル、大規模緑地広場を備えた大手町エリアでは最大級の開発。地下の商業施設「Otemachi One Avenue」には30店舗が出店。5月15日(金)には、皇居を望み国際会議から各種コンサートまで多目的に利用できる「大手町三井ホール」がオープン。7月に開業する「フォーシーズンズホテル東京大手町」は全190室のラグジュアリーホテル。2022年末に完成予定のエリア最大規模約6,000㎡の緑地空間「Otemachi One Garden」を整備する。
また、「Otemachi One」敷地内で大手町地区の地域冷暖房施設を更新し地域のBCP機能を強化するほか、最高水準の性能を誇る制震構造の採用、災害時の電力自立性の向上のための中圧ガス・オイル双方に対応するデュアルフューエル型非常用発電機の導入、帰宅困難者受入機能の強化などオフィスビルとして国内最高水準の安心・安全を提供する。
「三井物産ビル」には三井物産の新本社が移転し、「Otemachi One タワー」には農林中央金庫、出光興産、デル、PwC Japanグループ、UBSグループなどの入居が決定し、概ね満室となっている。
「Otemachi One タワー」の3階、34~39階に入居する「フォーシーズンズホテル東京大手町」は全190室。世界的なインテリアデザイナーであるジャン・ミシェル・ギャシー(Jean-Michel Gathy)が率いるデニストン・インターナショナル・アーキテクト・アンド・プランナーズ(Denniston International Architects and Planners)がインテリアデザインを担当。共用施設にはプール付きのスパ、ラウンジ、プライベート・リビングルームを備える。3階には合計1,300㎡を超えるイベントスペースを備え、結婚式や大規模なミーティングにも対応できるようにしている。
「Otemachi One Garden」
「大手町三井ホール」
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ニュース・リリースは15ページにもわたるもので、詳細は両社のホームページで確認していただきたい。規模は、道路を挟んで隣接する三菱地所の「大手町パークビルディング」の延べ床面積約151,700㎡の2倍以上だ。
皇居が眼下に眺められる「フォーシーズンズホテル東京大手町」の宿泊料金がいくらになるか聞いたが、「変動料金になる」とのことで不明。記者が最高に素晴らしいと思っている「パレスホテル東京」より高くなるのかどうか。
驚いたのは6,000㎡の緑地空間「Otemachi One Garden」だ。三菱地所が整備した「ホトリア広場」の約3,000㎡、みずほ銀行本店などが入居する「大手町タワー」の「OOTEMORI」の3,500㎡の2倍前後あるではないか。それでも積水ハウスの「新梅田シティ」の約8,000㎡の「里山」に及ばない。いかに「里山」が凄いか分かる。
エントランスイメージ
Otemachi Oneタワーエントランス
テレワークから1週間 現場取材は半減したが記事本数は増加 大和ハウスに感謝
安倍首相が発表した新型コロナウイルス対策を受け、テレワーク宣言してから今日が1週間目だ。ほぼ普段通り記事は書けており、社員、その他関係者に感染させるリスクを回避できているのが何より嬉しいし、以前から土曜も日曜も深夜も関係なく、書くべき記事は書いてきたので、仕事に影響が出たとは思っていない。むしろ筆ははかどったほどだ。
この1週間で取材のために出かけたのは3日3件。実施前の1週間の4日6件と比べ件数は半減した。キャンセルが4件発生したためだ。マンションの取材もほとんど断られたが、小生が書く記事はウイルスに匹敵する「害毒」そのものと判断された結果でないことを祈るばかりだ。
記事発信量は、ビフォー7本(うちコピペ1本)に対してアフター12本(うちコピペ4本)。量的には増えたが、現場取材記事は減少した。
取材キャンセルが激増しているのは堪えているが、向こう1週間も何とか穴を埋められそうだ。
感謝したいのは大和ハウス工業だ。同社は先週の「DPL浦和美園」地鎮祭、昨日の「マンション管理発表・見学会」に続き、10日、13日も予定が入っている。見学会などを行えばそれだけ感染リスクは高まるが、ハウスメーカー、デベロッパーは記者を育てる役割を担っているはずだ。過剰な自粛は避けていただきたい。これから書く大和ハウス工業の独身寮は大変勉強になった。メディアもマンション管理協の定例懇親会より多かったくらいだ。
〝劣等生〟と評価されたら…マンション管理状況の「格付け」は両刃の剣
石﨑氏
マンション管理業協会が検討している分譲マンションの管理状況の「格付け」について、同協会副理事長を務める大和ライフネクスト代表取締役社長・石﨑順子氏は、3月4日行われた「マンション管理事業と不動産有効活用」と題するメディア向け発表会・見学会で「〝マンションは管理を買え〟と言われるのに、そうなっていない。(中古の段階で)管理状況の優劣は価格に適正に反映されていない。『格付け』は、世の中に理解していただくことになり、管理会社のレベル向上にもつながる。協会の総意として取り組む」と語った。
詳細は同協会のホームページで「マンション管理適正評価研究会」(座長:齊藤広子・横浜市立大学教授)の「報告書 中間とりまとめ(案)」として公開されているのでそちらを参照していただきたい。
「格付け」の評価項目は約170項目に上り、日常管理体制のほか「修繕、大規模修繕などのハードの管理や滞納徴収などのソフトの管理を実施する上で致命的に重要となる管理組合収支関係が最も高い配点がなされており、管理組合体制と合わせて60%を占める割合となっている」(同報告書)。
格付けランクとしては「S:特に秀でた管理状態」「A:適切な管理状態である」「B:管理状態の一部に問題あり」「C:管理状態に問題あり」「D:管理不全の恐れがある」の5段階で、平たく言えば生徒の通信簿(小生の時代は5~1までの5段階)のようなものだ。
同協会は3月中にも国土交通省に報告するとしている。
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一通り全評価項目をチェックした。もっとも至極。異論を挟む余地はない。小生も〝マンションは管理を買え〟と数十年前から書いてはきたが、実際は新築マンションの基本性能・設備仕様、商品企画などの記事ばかりで、購入後の管理について触れたことはほとんど皆無だ。謝るほかない。
だが、しかし、マンションの管理状況の「格付け」より、やはり分譲マンションの基本性能・設備仕様、商品企画などが最重要事項で、この優劣が既存市場でも左右されると思うので、同協会が検討している評価項目の問題点を指摘したい。
第一に、基本情報の中には物件概要も記載されることになっているが、これは物件広告の段階で表示が義務付けられている項目とほとんど同じだ。
これはこれで重要だが、物件の住環境を左右する極めて重要な用途地域はなんであるか、基本性能、例えば免震であるとか制震であるとか、CASBB(東京都は「マンション環境性能表示」制度)やBELS、ZEHの取得状況、リビング天井高(階高)、廊下幅、ユニバーサルデザイン、その他設備仕様レベルも任意でいいから盛り込めるようにすべきで、きちんと評点に加えるべきだと思う。
これらの字句で検索すれば、売主、建設会社、さらには管理会社との関連も消費者はほとんど瞬時に把握できるようになる。どこのデベロッパーが基本性能も管理も優れたマンションを分譲しているか、どこの管理会社がレベルの低いマンションを管理しているか分かるではないか。
まあ、そんなことをしたら喜ぶのはごく一部のデベロッパーであり、そのデベロッパーの系列不動産流通会社であり、第一次取得層をターゲットとする独立系の中小デベロッパーや管理会社は苦境に立たされることになりそうだ。
研究会は「耐震診断未実施について0点とし、マイナス評価にしていない」というのは、仲介会社も買う側もそれらを価格に〝織り込み済み〟、つまり承知の上で売買するからとしているように、何も劣等生を暴き出すような「格付け」をしなくても市場に任せばいいという考えも無視できなくなってくる。
「管理不全の恐れがある」などとされたら、コロナウイルスのように世の中からはじき出される。だれが責任を取るのか。行政は救いの手を伸べるのか。結局は〝優勝劣敗〟〝先立つものは金〟という身も蓋もない現実社会をさらけ出すことになりはしないのか。こういうのを〝両刃の剣〟というのではないのか。
報告書では、「公開に対する抵抗感を軽減する仕組み、下位に評価されると考えられる管理組合でも公開が進む仕組みの構築が必要と考える」としているが、ここが問題だ。非公開の管理組合はマイナス点になるようだ。
管理費滞納、空き家・賃貸化公開の是非 神戸市 マンション管理支援制度で検討(2020/2/10)
単板ガラスを複層ガラスサッシとして施工 アパのマンション 建基法に不適合21棟
国土交通省は3月3日、アパグループが分譲したマンション21棟に採用した防火サッシが建築基準法に適合しないことが判明したとして、同社に改善するよう求めた。指摘を受けたアパは同日、該当する防火サッシの是正工事を実施すると発表した。
問題となったのは、アパ建設が平成14年から平成17年に施工したマンション21棟。サッシメーカーの旭物産が製造・出荷した網入り単板ガラスサッシを採用したにもかかわらず、網入り複層ガラスとして施工したことにしていたのが建基法違反の恐れがあるとされた。
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アパグループは耐震偽装問題で凝りているはずなのにまた問題を起こした。意図的か不注意かは分からないが、実際には網入り単板ガラスサッシを採用したのに、網入り複層ガラスサッシを採用したとして施工したのは言い訳のしようがない。
元谷外志雄・アパグループ代表も元谷芙美子・アパホテル社長も激怒しているかもしれないが、こんなことをやっていたら同社グループはいつまでたっても一流会社になれない。コンプライアンスを根本的に問い直すべきだ。
東日本大震災から9年目 太平洋岸39市町村の人口減少止まらず 改善したのは11市町村
2011年3月11日の東日本大震災から間もなく9年目を迎える。被災太平洋岸エリア39市町村の令和2年2月1日現在の人口は、前年より減少率が改善したのは11市町村にとどまり、20市町村で減少率は拡大した。人口増加は仙台市、名取市、広野町の3市町にとどまった。
昨年より人口減少率が改善したのは山田町(▲2.3%⇒▲2.0%)、陸前高田市(▲1.9%⇒▲1.5%)、亘理町(▲0.4%⇒▲0.1%)、南相馬市(▲1.5%⇒▲1.4%)、大熊町(▲1.3%⇒▲0.7%)、楢葉町(▲2.4%⇒▲1.9%)、北茨城市(▲1.3%⇒▲1.1%)など11市町村。
人口が増加したのは仙台市(前年比0.1%増)、名取市(同0.6%増)、広野町(同0.4%増)。前年は増加していた多賀城市(▲0.2%)、岩沼市(▲0.6%)は減少に転じた。
引き続き人口減少が続いているのは39市町村のうち20市町村。減少率が大きいのは田野畑村(▲3.7%⇒▲3.6%)、普代村(▲2.3%⇒▲3.3%)、釜石市(▲2.2%⇒▲2.7%)、南三陸町(▲1.9%⇒▲2.7%)、大槌町(▲1.4%⇒▲2.3%)、宮古市(▲2.3%⇒▲2.3%)など。
岩手県の被災地の人口減少率は2017年の▲1.5%(県全体▲1.0%)から2018年▲1.8%(同▲1.0%)、2019年▲2.0%(同1.2%)、2020年2.2%(同▲1.2%)と県全体の減少率を上回っている。
宮城県は仙台市の人口増があるため2017年0.0%(同▲0.2%)、2018年▲0.1%(同▲0.3%)、2019年▲0.1%(同▲0.4%)、2020年▲0.2%(同▲0.5%)と県平均の減少率を下回っている。
福島県の被災地の人口減少率は2016年▲0.8%(同▲0.8%)、2018年▲1.2%(同▲1.0%)、2019年(同▲1.0%)、2020年▲0.6%(同▲0.8%)と県平均の減少率とほぼ同じ数値で推移している。
震災前と比較して人口減少率が大きいのは女川町(▲42.2%)、南三陸町(▲36.9%)、大槌町(▲28.2%)、広野町(▲26.8%)、南相馬市(▲24.4%)、山田町(▲24.2%)、陸前高田市(▲23.9%)など。
被災地4県の人口減少率は2016年の▲0.4%(4県平均▲0.5%)から2018年▲0.5%(同▲0.6%)、2019年▲0.5%(同▲0.6%)、2020年▲0.6%(同▲0.8%)となっており、4県平均の減少率を下回っている。
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この人口動態の数字はなにを物語るのか。
人口減少率が改善した陸前高田市の戸羽太市長は「昨年は、岩手県が整備する『高田松原津波復興祈念公園』内に、国の『追悼祈念施設』、県の『東日本大震災津波伝承館』と併設して、『道の駅 高田松原』がオープンし、市民はもとより市外の多くの方々が訪れ、新たな賑わいが生まれております。
令和2年度は、国の復興・創生期間の最終年度であります。
市民の皆様の気持ちに寄り添いながら、一日も早い復旧事業の完了に向けて取り組むとともに、安心して自分らしく暮らせるまち『夢と希望と愛に満ち 次世代につなげる 共生と交流のまち 陸前高田』の実現に向け、引き続き市民の皆様とともに取り組んでまいります」(市長の部屋)と述べている。
また、広野町長・遠藤智氏は年頭のあいさつで「本年を“ふる里復興・創生『飛翔の年』”と位置づけ、これまで取り組んできた町の復興・再生を、新しい広野町の『創生』へと進化させ、新しいまちづくりを進め、生活再建を念頭に安心・安全なまちづくりに向けて着実に前進して参ります」と記している。
南三陸町長・佐藤仁氏は令和元年12月1日付で「今年度は、復興計画期間内に全ての復興事業が確実に完了するようあらゆる手段を講じ、推し進めていくとともに、創造的復興に向け、行政、住民が一体となった復興の基盤を整備し、南三陸ブランドの創造、子育て支援の充実化、地域コミュニティの再構築などを基本とし、これまで取り組んでまいりました復興事業の効果を最大限に発揮するようソフト事業を中心に施策の展開を図ります」と決意を語っている。
高さ6.3メートルの名取市・日和山(津波は松の中ほどまで押し寄せたとか。2017年4月撮影)
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死者620名、行方不明211名、全体の約58%、3,143戸の建物が全壊し、壊滅的な震災被害を受けた南三陸町の人口は約11,000人。同町の令和元年度の一般会計予算額は約331億円で、町民一人当たりの額は一般的な市町村の10倍の約300万円にのぼる。
このうち国庫支出金が144億円、県の支出金が14億円、地方交付税が80億円で、実に約72%が公的資金だ。町税は13億円に過ぎない。
これほどの公費をつぎ込んでいるから震災前の人口の37%減にとどまっているのか、それとも巨額の公的資金を注いでも人口減少に歯止めを掛けられないのか、記者は判断材料を持たない。
震災から9年が経過し、震災前の473事業所のうち今日まで復興したのは約62%の294事業所で、災害を受けた農業462haのうち復興したのは約53%の246haだという。
復興庁は平成23年度から今年度を最終年度とする復興予算額を約32兆円としている。
汚染土壌の土嚢(富岡町で。2017年4月撮影)
ポラス 宮城県名取市の仮設住宅で慰問の南越谷阿波踊り その4(2017/4/29)
あれから8年 被災地の人口 被災前から8.6万人減 原発被害の福島は全体で17万人減(2019/3/9)
三菱地所 「青山ベルコモンズ」建て替え 「theジ アーガイル アオヤマ」7月開業
「theジ アーガイル アオヤマ」(左)とロゴ
三菱地所は3月3日、港区北青山二丁目の「青山ベルコモンズ」の建て替え事業「(仮称)北青山二丁目計画」の建物名称を「theジ アーガイル アオヤマ」に決定し、東京初出店となるPlan・Do・See運営のホテルの名称を「THE AOYAMA GRAND HOTEL」として2020年7月中に開業すると発表した。建物は2020年5月末に竣工する。
計画は、東京メトロ銀座線外苑前駅から徒歩3分の「青山ベルコモンズ」の建て替え複合施設で、敷地面積は約2,264㎡、20階建て延べ床面積約23,128㎡。主要用途は事務所(5~15階)、ホテル(3・4・16~20階)、店舗(1・2階)、駐車場(地下1・2階)など。設計は三菱地所設計。施工は錢高組。
コンセプトは、①人や文化が交差し、この地から新しいコト・モノが発信され、地域のハブとして活用され続ける、高付加価値なイノベーション環境の創出②「建物という箱を超えたバリューチェーン」、「各用途の隔たりがなく、建物全体で感度の高さを発信できる施設」、「東京の他開発案件と同質化しないユニークさ」を意識した複合開発③「青山ベルコモンズ」の“歴史性の継承”及び“再生”で、「the」は唯一無二な建物であることを、菱形の連続で構成されたアーガイル柄は「様々な人が行き交う場所」、「多用途が混在し、新しい文化やイノベーションを織り成す様子」を表現している。
オフィスフロアは、ワンフロア約250坪。WeWorkが4フロアにわたりコワーキングスペースを提供するほか、フジパシフィックミュージック、三喜商事など多彩な企業が数多く入居する予定。竣工時点で満室稼働となる。
東京初出店となる「THE AOYAMA GRAND HOTEL」の客室は約30~60㎡で42室。ホール(約220㎡、天井高約4.5m)、ホワイエ(約90㎡、天井高約4.5m)、テラス(約60㎡)などを備え、約300名規模のイベント開催が可能。7月開業予定。
1~2階の商業ゾーンには、バラエティ豊かな飲食店舗、物販店舗を配置。賑わいを創出する空間としている。
ホテルエントランス
レストラン