高くて狭いコンパクトに飽き足りない需要 取り込む戦略か 日鉄興和「月島」
「リビオレゾン月島ステーションプレミア」完成予想図
日鉄興和不動産が12月に分譲する「リビオレゾン月島ステーションプレミア」を見学した。月島駅から徒歩2分で坪単価は400万円台の前半。コンパクトではあるが専有面積を40㎡以上確保することで差別化を図り、周辺の高単価コンパクト需要を吸収しようという戦略と見た。
物件は、東京メトロ有楽町線、都営大江戸線月島駅から徒歩2分、中央区佃2丁目に位置する13階建て全79戸(非分譲住戸6戸含む)。専有面積は40.39~65.23㎡、予定価格は4,400万円台(1LK)~8,300万円台(3LDK)、坪単価は400万円台の前半になる模様。設計・監理はT設計工房。竣工予定は2020年11月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。
現地の用途地域は商業地域(一部第2種住居地域)で、敷地東側は幅員36mの清澄通りに面し、南側と西側はそれぞれ約2.7mの公道に接道。道路を挟んだ西-北-東側は2~3階建ての土地が細分化された木造住宅など。
住戸は2階以上で、1フロア5~6戸構成。内廊下方式を採用。清澄通りに面した南東向き住戸は45㎡・45㎡・55㎡、北西向きは45㎡・45㎡・55㎡が中心。もっとも広い65㎡は上層階の1戸のみ。
主な基本性能・設備仕様は、直床、食洗機、フィオレストーン天板、ミストサウナ、キッチン床下収納、Low-Eガラス(コーナーサッシのみ)など。
エントランス
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このところ、「築地」と「上野」のコンパクト中心のマンションを6物件見学している。トータルで約600戸だ。坪単価は軒並み400万円以上で、中心は450万円。10坪(33㎡)でもグロスは4,500万円だ。
もちろん、このほか都心部では数十棟のコンパクトが分譲されている。どこかが割を食うのは必至だ。
「月島」は、他のエリアと比べると単価相場はやや低く、劣勢は否めないと思っていたが、この物件に限ってはそうではない。「築地」などの〝狭くて高い〟コンパクトに飽き足りない単身者やDINKSの需要を取り込もうとする、相場の低さを逆手に取った戦略がありありだ。
専有面積も最低で40㎡を確保して2LDKとするとともに間口も5.1mと広い。この戦略が奏功するかどうかだが、45~55㎡の2LDK(41戸)は、子どもが生まれても何とか3人で暮らせる。「築地」とは単価差にして約50万円。さて勝敗は…。
1~3LDK全てがワイドスパンの間取り秀 明和地所「武蔵小杉」
「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」完成予想図
明和地所が11月22日から販売を開始した「クリオ武蔵小杉ガーデンマークス」のモデルルームを見学した。新幹線と府中街道が交差する地点だが、1LDK・2LDK・3LDKのいずれのプランもワイドスパン&正方形で使い勝手がいいマンションだ。
物件は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩13分(JR武蔵小杉駅から徒歩11分)、川崎市中原区市ノ坪の準工業地域に位置する7階建て64戸(事業協力者住戸6戸、管理事務室1戸含む)。第一期(9戸)の専有面積は33.45~73.41㎡、価格は3,082.5万円~6,546.4万円、坪単価は300~320万円になる模様。竣工予定は2021年3月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工はノバック。
現地は、新幹線高架と府中街道が交差する準工エリアで、マンション化が進んでいる一角に位置。敷地は元パチンコ屋。
敷地は、北東側が府中街道に面し、南東側が新幹線高架に近接した南北軸に細長い形状。標準階の住戸プランは西向き3LDKが4戸、東向き1~2LDKが5戸、西向きと東向きと独立した形の68㎡の3LDKが1戸の1フロア10戸構成。
1LDKは5,000mm、2LDKは6,200~6,750mm、3LDKは8,000~10,700mmのワイドスパンが特徴。
モデルルーム(コンセプトルーム)
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現地は観ていないが、一昨年、伊藤忠都市開発の学生マンション第一号「クレヴィアウィル武蔵小杉」を見学した際、周辺の街並みは観ているし、以前、マンションの取材で府中街道を歩いたことがあるのでおおよその住環境は分かる。
モデルルーム・パンフレット図面を見て驚いたのはプランのよさだった。70㎡台の3LDKのスパンはすべて8m以上。しかも、洋室-洗面-浴室のウォークスルークローゼットの動線がよく工夫されている。
ワイドスパンは3LDKだけかと思ったら、30㎡台の1LDKも40㎡台の3LDKも全て5m以上のワイドスパンだった。
いま一つ単身女性の選好基準が分からないが、単身男性のニーズはあると見た。
73㎡のプラン
33㎡のプラン
東海・近畿・西日本の電鉄系4社連合軍 大激戦の「中央林間」で604戸 幹事は名鉄不
「グランアリーナレジデンス」
名鉄不動産(事業比率40%)・近鉄不動産(同30%)・京阪電鉄不動産(同15%)・JR西日本プロパティーズ(同15%)電鉄系デベロッパー4社JVによる商・医・育・住の複合大規模マンション「グランアリーナレジデンス」を見学した。田園都市線つきみ野駅から徒歩12分の全604戸で、始発駅・中央林間駅へシャトルバスを運行する。坪単価はたまプラーザ、あざみ野圏の半値以下の180万円くらい。
物件は、東急田園都市線つきみ野駅から徒歩12分、大和市つきみ野1丁目の準工業地域に位置する敷地面積約22,840㎡、14階建て全604戸(第1工区339戸・第2工区265戸)。専有面積は68.82~85.48㎡、次回分譲予定の第2期6次の価格は2,900万円台~5,100万円台(最多価格帯3,800万円台)、坪単価は180万円くらいになる模様。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は第1工区が2021年2月下旬、第2工区が2021年8月下旬。販売代理は長谷工アーベスト。今年7月から分譲が始まっており、約110戸が成約済み。
現地は、イオンの跡地。先に開業した「グランベリーパーク」へは車で約3分。敷地内に保育施設が併設されるほか、敷地に隣接してイオン系スーパーマーケットのほか医療施設、戸建て(49区画)が予定されている。田園都市線の始発駅・中央林間駅まで約9分のシャトルバスが運行される予定。
建物は、西向きのA・B棟、南向きのD・E棟、中庭を望む南向きC棟の5棟構成。敷地内に平置・自走式駐車場100%(500円~)、3台が置けるサイクルポート604区画(1,200円/年)。
主な基本性能・設備仕様は、直床、デイスポーザー、リビング天井高2450~2550mm、食洗機、床暖房など。
中庭
「niko and …」がプロデュースしたグランドラウンジ
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モデルルームは72㎡と81㎡の2タイプが用意されており、81㎡のほうはアパレル、雑貨、家具などを展開する「niko and …」がマンションでは初めてプロデュースしたものだった。
多目的に利用できるDEN(約5.5畳大)とストックルーム(約3.9畳大)を設けているのが特徴だが、記者は濃紺の建具・ドアがとてもいいと思った。モデルルーム仕様は有償オプションで約70万円と聞いたが、ローンに組み込める「アイセルコ」が利用できる。
同じ田園都市線のたまプラーザ駅やあざみ野圏は坪単価350万円から400万円に迫ろうかというところまで上昇している。一般的な一次取得層の取得限界をはるかに超えている。
「グランアリーナ」はこれらのエリアの半値以下の価格だ。中央林間駅圏では現在、東急・大成有楽不動産・相鉄不動産・総合地所4社の大規模マンション「ドレッセ中央林間」857戸(ウエスト街区452戸、イースト街区405戸)も分譲中で大激戦だが、東海、近畿、中国・四国の電鉄系デベロッパー連合軍の「グランアリーナ」が首都圏の電鉄会社(系)に真っ向勝負を挑む構図が面白い。価格的にも断然優位に立つ。戸数が多いだけに長期戦は必至と見たが、記者は三重県出身なので、応援は…どっちも頑張れ。
モデルルーム
スウェーデンハウス・岡田正人社長が死去 享年72歳
スウェーデンハウス代表取締役社長・岡田正人氏が11月18日死去した。享年72歳。通夜は11月25日(月)18時から、告別式は1月26日(火)10時30分から12時まで。同社と岡田家の合同葬により青山葬儀所で執り行われる。
葬儀委員長は同社代表取締役会長・齋藤英男氏、喪主はご令室の岡田みどりさん。連絡先は同社総務部(03-5430-7620)。
10月の訪日客は前年同月比5.5%減の250万人 韓国が激減/韓国への出国も減少へ
日本政府観光局がまとめた2019年10月の訪日外客数は、前年同月比5.5%減の249万7千人となった。韓国からの訪問客が日韓関係の悪化により前年同月比65.5%減の19.7万人と激減したのが影響した。前年同月を下回ったのは、韓国からの訪問者数が半減した2019年8月以来2か月ぶり。
ラグビーワールドカップ2019日本大会の開催により、ラグビーワールドカップの出場国からの訪日外客数が前年同月に比べ8万1千人増え、東南アジア市場は、全市場で前年同月比が2桁の伸びを記録するなど引き続き堅調に推移している。
市場別では、英国、ロシアで単月として過去最高を記録したほか14市場で10月として過去最高を記録した。
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韓国観光局が発表した10月の入国者数は約165.6万人で、前年同月の約152.8万人より8.4%増加したが、日本からの入国者数は約24.9万人となり、前年同月の約29.0万人から14.4%減少。前年同月比で減少したのは2017年12月以来2年10カ月ぶり。
もう一つのターナーを見た 三井デザインテック 綱町三井倶楽部でセミナー&懇親会
時価50億円!? 綱町三井倶楽部のサロンに掲げられているターナーの作品
三井デザインテックは11月19日、恒例のプレスセミナー&懇親会をジョサイア・コンドルが設計したわが国の歴史的建築物「綱町三井倶楽部」で開催した。
プレスセミナーでは、「働き方改革を革新させるクロスオーバーデザイン」をテーマに、東京大学大学院経済学研究科・稲水伸行准教授と同社企画・マーケティング室長・大川貴史氏によるABWの効果についてのトークセッションと、同社ワークスタイル戦略室長・岡村英司氏によるオープンイノベーションの事例紹介などが行われた。懇親会では、NPO法人オペラ普及団体ミャゴラトーリのソプラノ・高橋絵理氏、バリトン・薮内俊弥氏、ピアノ・松岡なぎさ氏による生演奏も行われた。
セミナーの冒頭、同社・渋谷忠彦社長は業績について、「当社事業の2つの柱の一つ、オフィス、ホテル、商業施設向け事業は大規模開発やリニューアル工事が順調に進んでおり、オリンピック・パラリンピック以降も順調に推移すると予測している。もう一つの柱である住宅向け事業は、当社の関わっている高額マンションなど好調に推移している」と順調に進捗していると話した。
渋谷社長
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ABWが世界的な潮流であることはよく分かる。働く場所を自ら選択でき、ストレスも軽減され、能率・効率も向上することが定量的に証明されているようだ。
セミナーで報告されたオフィスワーカーの行動を可視化する「Beacapp Here Pro」はいま一つよく分からない。労働者を24時間365日〝監視〟することにならないのか。肉牛、養豚、競走馬のタグ(自動管理システム)とどこがどう違うのか。
記者などはほぼ1時間に一度タバコを吸うために地階にある喫煙所に通う。時間にして数分。1日8時間労働として約40分。タバコを吸わない人は〝無駄〟〝怠業〟とみるかもしれないが、記者にとってはブレス(息継ぎ=息をしないと生きられない)と一緒だし、書いた記事をコピーしてタバコを吸いながら校閲する仕事の一環でもある。トイレで用を足すだけでなく化粧、食事、読書その他をする人の気持ちも分からないわけではない。
〝乾杯!〟左から高橋氏、渋谷社長、薮内氏
高橋氏(左)と薮内氏
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エントランスホールにターナーの絵画が無造作に掲げられていることは一昨年紹介したが、そのとき渋谷社長からターナーの作品はもう一点あり、過去に同様の作品が50億円で落札されたと聞いた。
まさか、一介の記者なんぞに三井グループの役員クラスしか利用できない「綱町三井倶楽部」のターナーの絵が掲げられている部屋に入れてくれるはずはないと思い、そんなことをすっかり忘れていた。
ところが、この日、セミナーに参加するため受付を済ませたすぐ後、渋谷社長が右隣の同社専務取締役経営企画部長・檜木田敦氏に目配せし、檜木田氏は渋谷社長の意を酌んだのか、「ターナーの絵はここにある」と、ホールに隣接する「サロン」に掲げられているターナーのもう一点の作品を見せてくれたのだ。
冒頭の写真がそれだ。大きさは10号くらいか。エントランスホールの絵は100年以上前から飾られていたためかかなり劣化が進んでいるが、この作品はそれほど傷んでいない。価値はこちらのほうが大きいかもしれない。
檜木田氏は「館内に絵画だけでも20~30点はあるはず」と話した…話からすると、館内の絵画など芸術品だけで数百億円の価値があるとみたが…そんなに価値があるものを秘蔵、死蔵するのももったいない。修復を施し広く一般に公開したらどうだろう。三井の価値も上がるのではないか。
エントランスホールのターナーの作品(右隅には数人の人物が描かれている)
「サロン」のドアの後ろの壁に掲げられているサー・ト一マス・ローレンスの作品
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同社インテリアデザイン事業部の方ともしばし歓談したのだが、記者は「モデルルームのフェイクの観葉植物をやめていただきたい」と懇願した。
この懇願が正しいことを「綱町三井倶楽部」の共用部で発見した。一つはホールに飾られていた盛花だ。甘い香りがホールを包んでいた。10万円はするはずだ。もう一つは、1階ベランダにさりげなく置かれていた「浮き花」だ。これにはもう絶句するしかなかった。ミレーの「オフィーリア」を思い出した。
これが賓客に対する「お・も・て・な・し」だ。価格が数千万円もするマンションのモデルルームに100円ショップでも買えそうなフェイクの仏花や、見たとたん食欲をなくす場末の飲食店のディスプレイにも似た観葉植物や造花をこれ見よがしに飾り立てるデベロッパーの神経が分からない。
そんな無礼を働くばかりか、「来場者プレゼント」なる意味不明の分譲価格に含まれる商品券やギフトカードを配付する-見え見えのおためごかしはやめたほうがいい。
接遇スペースやモデルルームの観葉植物を全て本物にして成功したコスモスイニシア「中央湊」の事例を添付する。
ホール正面の盛花
ベランダに置かれていた「浮き花」
外観
ターナー発見 椿姫 乾杯の歌に「ブラヴォー」 三井デザインテック セミナー・懇親会(2017/12/4)
デザインが企業・経営者、住宅を変える 三井デザインテックが第2回セミナー(2016/10/20)
パーカーズとコラボの第三弾 コスモスイニシア「中央湊」の緑の質と量に感動
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
「築地のポテンシャル下げる足の引っ張り合いはしない」 ワールドレジ・松本部長
「レジデンシャル築地」完成予想図
ワールドレジデンシャルとニチモリアルエステートが11 月末から12 月上旬に販売を開始する「レジデンシャル築地」を見学した。それぞれ近接する6物件がほぼ同時期に分譲される大激戦地のうちの一つで、三方角地、吹き抜けエントランス、ユニバーサルデザインが特徴。
物件は、東京メトロ日比谷線築地駅から徒歩5分、中央区築地6丁目の商業地域に位置する12階建て41戸。専有面積は40.23~73.26㎡、価格は未定だが、坪単価は450万円くらいになる模様。竣工予定は2020年9月下旬。施工は川村工営。
現地は、いかにも「築地」らしい面影を残す道路幅員が西側は約5m、南側と東側はそれぞれ約10mの三方角地。道路を挟んだ南側と東側の建物は低中 層の建物が建ち並び、土地が細分化されていることから高い建物が建つ可能性は少ないと思われる。
建物は内廊下方式を採用、住戸は2階以上で1フロア3~4戸構成。10階までは南東向きが55㎡の2LDK(9戸)と67㎡の3LDK(9戸)、北東・北西向きの54㎡の2LDK(10戸)、40㎡の1LDK(9戸)。上層階の2フロアは73㎡の3LDK(4戸)。
主な基本性能・設備仕様は、逆梁工法、二重床・二重天井、リビング天井高2450mm、御影石キッチン・洗面天板、食洗機、ミストサウナなど。窓・採光部を5~6カ所確保しているのと、同社が独自に開発した細かい工夫をこらし使い方を想定して作った収納「i-plus収納」により、収納率を7~11%確保するようにしているのも特徴の一つ。
ワールドレジデンシャル営業部部長・松本政英氏は、「他社物件を非難することは、『築地』のエリアポテンシャルを落とすことにつながるので、そのようなことはしたくない。三方角地で採光にも恵まれ、逆梁、現地から本願寺‐歌舞伎座-三越まで16分という銀座生活圏をアピールしていく」と話した。
モデルルーム
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「他社非難(足の引っ張り合い)をしない」と松本氏がいうのに大賛成。大和ハウス工業と旭化成ホームズは同じハウスメーカーで、販売事務所も〝呉越 同舟〟の同じビル。大成有楽不動産は、同じみずほグループの東京建物が大和ハウスの物件を販売媒介する。間違っても近親憎悪ということにはならないだろう。大成有楽とコスモスイニシアは仲がいいとも聞く。
記者もそれぞれの欠点をあげつらうような、泥試合をけしかけるような記事 は書かない。選ぶのは消費者だ。それだけ選択肢の幅が広がるわけだし、「築 地」のエリアポテンシャルを引き上げるよう各社には頑張ってほしい。住むにはいいところであるのは確かだ。
ワールドレジデンシャルは、以前からユニバーサルデザインを商品企画の幹に据え、コンセントの位置、壁のR形状、床のフラット化、引き戸の多用、トイレのドアノブノの壁面後退などを徹底して行ってきた。平成30年12月期の売上高は169億円。売上高1,429億円。東証一部上場の人材・教育、不動産、情報通信事業の3つを柱とする持ち株会社ワールドホールディングスの不動産事業会社。同じグループには、東北が発祥のワールドアイシティ、関西圏にはワー ルドウィステリアホームズ、九州圏にはワールドミクニもある。
企業版ふるさと納税分科会 33自治体&28企業 双方で約90名が参加
地方創生SDGs官民連携プラットホーム・企業版ふるさと納税分科会(シティラボ東京で)
内閣府が主催する地方創生SDGs官民連携プラットホーム・企業版ふるさと納税分科会(第4回)か11月15日行われ、全国33の地方自治体と28の企業双方で約90名が参加。自治体によるプレゼンテーションや個別相談会・意見交換会、名刺交換会などで盛り上がった。
同プラットホームは、SDGs17の目標のうち「11 住み続けられるまちづくり」は地方創生と深く関連し、企業版ふるさと納税は「17 パートナーシップで目標を達成しよう」に通じるものであり、地方公共団体が実施するSDGs関連事業に企業版ふるさと納税を活用し双方がwin-winの関係を構築するのが目的。
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平成28年(2016年)の税制改正で創設された企業版ふるさと納税制度は、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合、寄付額の3割を法人関係税から税額控除し、通常の損金算入による軽減効果(寄付額の約3割)と合わせ最大で寄付額の約6割が軽減されるというものだ。
これまでの実績を見ると、平成28年度の寄付件数517件、寄付額747百万円だったのが、平成30年度では寄付件数は1,359件、寄付額は3,475百万円とそれぞれ大幅に増加している。
実績を都道府県別にみると、もっとも寄付件数が多いのは鹿児島県で255件、206件の岡山県、長野県の191件が続く。寄付額の最多は北海道の618百万円で、茨城県の547百万円、青森県の501百万円の順。寄付件数の最少は沖縄県の1件で、額の最少も沖縄県で20万円。
寄付額のもっとも多い企業は、平成28年度はニトリホールディングスの約6,163万円(北海道夕張市)、平成29年度はツルハの1億7,000万円(福島県)、平成30年度はCygamesの約4億円(佐賀県鳥栖市)。
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この実績が多いのか少ないのか、見方は人それぞれだろうが、所得税・住民税の控除が受けられ、返礼品ももらえるふるさと納税の平成30年度実績は約5,127億円(対前年度比1.4倍)、約2,322万件(同1.34倍)だ。これと単純比較はできないにしろ、企業版ふるさと納税も飛躍的に増大することを期待している。
各地の街づくりを取材して自治体主導ではうまくいかないことを実感しているからで、この日のプレゼンでも「企業の支援がないと(自治体主導では)どうにもならない」(福島県)「一般財源はゼロ。民主導」(大阪府)「(企業と)一緒に取り組みたい。熱意が欲しい」(北海道恵庭市)などの声が聞かれた。
プレゼンは時間の制約があったためか10自治体しかなかったが、記者が一票を投じるなら鹿児島県日置市の「ごみの減量・子育て支援」の取り組みだ。詳細は内閣府のホームページでも公表されているはずなので省略するが、〝税金を燃やさない〟というスローガンがいい。セコムやALSOK、ホーチキなどが寄付すれば大きな宣伝効果が期待できるし、わが故郷・三重県のカメヤマローソクも乗ってはどうか。
大分県杵築市の「貧困・孤立の連鎖に陥りやすい若者の社会進出支援モデルの構築」には胸を打たれた。
住宅・不動産業界では、三菱地所は岡山県真庭市に寄付すると聞いている。
外観、室内デザインに「木」を多用 三井ホーム新商品「ニューグランフリー」
「NEW GRAN FREE(ニューグランフリー)」イメージパース
三井ホームは11月16日(土)、モダンデザインの代表的商品「GRAN FREE(グラン フリー)」(2011年発表)に自然な「木」のぬくもりを表現した新商品「NEW GRAN FREE(ニューグランフリー)」を発売した。
外観は、水平ラインを軸にしたフォルムにタイルをあしらった縦に伸びる2本の壁面にフラットルーフと片流れ屋根を組み合わせ、外壁・軒天井には天然木の「ウエスタンレッドシダー」、サッシ(窓枠)には「北欧パイン材」を採用。
1階フロア(LDK・ラナイ)は天井面までの大開口サッシと合わせ、全体を3メートル天井とすることで、開放的でダイナミックな空間を構成。木製大開口サッシによりリビングとボーダレスにつながる半戸外空間「ラナイ」を設置している。
インテリアは「Luxury Wood Style(ラグジュアリーウッドスタイル)」とし、ヘリンボーン貼りの無垢フローリング、木製サッシを多用する一方で、壁・天井のピーリングにより上質感を演出しているのが特徴。
販売エリアは沖縄を除く全国。販売目標棟数は100棟。
ジビエなど素材のおいしさ味わえる「薪火グリルazer(アゼル)」 代々木八幡に開業
「薪火グリルazer(アゼル)」(カウンターの目の前に薪窯がある)
保存料や化学調味料を一切使用しない、素材のおいしさをそのまま味わえる飲食店「薪火グリルazer(アゼル)」が11月22日(金)、小田急線「代々木八幡」駅近くでオープンする。開業を控えた11月15日(金)、マスコミ試食会が行われた。
「azer」はペルシャ語のアゼル=炎という意味で、保存料や化学調味料を一切使用せず、エゾシカや軍鶏などのジビエ、短角牛、豚、鶏などの肉や自然栽培の季節の野菜のグリルやサラダが提供される。人気NY系グリルレストランに長年勤務した川端康介氏が独立して開業するもの。店は、小田急線代々木八幡駅から歩いて数分、渋谷区富ケ谷1-51-12。広さは20席/10.4坪。
出店に当たっては、飲食店の独立・開業支援を行っている株式会社上昇気流がサポートしている。
薪窯
川端氏
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案内状が届いたときは〝不動産に関係ない〟とためらったのだが、〝誘われたら断らない〟のが記者のモットーなので参加した。「命を大切に頂く」コンセプトがいいではないか。
店内は、サクラの薪がパチパチと音を発し、勢いよくめらめらと燃えていた。田舎育ちの記者は、焚火を囲みながら大人たちのあけすけな身もふたもない猥談を含む世間話を聞きながら育ち囲炉裏火、炭火、漁火、迎え火、送り火、煙火などは日常だったし、付け火などは全くなかったのでとくに驚きはせず、逆に、ゆらゆらと揺らめく暖炉にはらはらと涙し魅入った青春時代を思い出したのだが、最近の人はこのような炎を見る機会はほとんどなくなったのではないかと感慨を新たにした。
この日供された蝦夷鹿ロース、短角牛Lボーン、プラザオラ(塩漬け)、赤ナス(ヒゴムラサキ)、豚サラミなどは最高に美味しく、本場ドイツ・ゾーリンゲンのナイフの切れ味もよかった。
中でも赤ナスが絶品だった。薪火の遠火で10分くらいかけてじっくりグリルされたもので、マシュマロのように柔らかく、口腔に甘みが広がった。生でも食べられるのに、たっぷり時間をかけて蒸し焼きされるナスも食べられ甲斐があるというものだ。「本当はもっと時間をかけたかった」と話したスタッフの声にまた驚いた。
鹿肉も美味しかったのだが、鹿と言えば、そのまま冷凍保存し、スライスしてルイベ状で刺身として食べるのが一番おいしい。赤みの色が美しく、低カロリーなので記者のような糖尿病でもたくさん食べられる。日本酒はもちろん、ワインは赤でも白でもいける。いつもお世話になっている競走馬を思い出し、〝かわいそう〟が先立つ馬刺しとは比べものにならない。
鹿の生肉を食べたことからE型肝炎を発症した事例が報告され、厚労省が自粛を呼びかけたことから飲食店では供されることがなくなった。残念。
店の印象としては、薪を燃やすための酸素を送り込む機器と排煙設備の音がやや気になり、店舗デザインにもっと工夫を凝らすべきではないかと感じた。料理を引き立たせる音やデザインの役割は大きいはずだ。
まあ、残り火のような記者などの年寄りがメインではなく、火傷を恐れず愛やら恋の火蓋を切るのにもってこいの店なのだろう。隣の女性に「30代ですか」と口火を切ったら、「53歳です」と返ってきた…。会話に点火するどころかたちまち消火鎮火した。
この日供された料理の一部