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「ファインシティ新越谷」完成予想図

京阪電鉄不動産が分譲中の「ファインシティ新越谷」を見学した。用途地域は準工業地域だが、マンション化が進んでいるエリアの一角で、坪単価は165万円。販売は極めて順調だ。

物件は、東武スカイツリーライン新越谷駅から徒歩10分、JR武蔵野線南越谷駅から徒歩9分、越谷市大字西方字上手に位置する8階建て全179戸。専有面積は68.4282.56㎡、現在販売中の住戸(15戸)の価格は3,446万~4,856万円(最多価格帯3,200万円台)。坪単価は165万円。竣工予定は20208月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

今年3月から販売を開始しており、現在、約半数が成約済み。

現地は長谷工コーポレーションの研究所跡地。用途地域は準工業地域だが、マンション化が進んでいるエリア。

建物はL字型で、標準階は南向きが5戸、西向きが18戸の23戸構成。70㎡の3LDKが中心。

主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高25002550ミリ、ディスポーザー、食洗機、食器棚、ホスクリーン、ファミリーボードなど。

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 いつものように単価を予想した。記者は東武伊勢崎線のマンション市場を熟知しているつもりだ。今春分譲され、瞬く間に売れたポラス「ルピアコート新越谷」(85戸)は坪単価210万円(これは安すぎ)。それより安いのはもちろんだが、新越谷駅周辺の朝まで飲める「越谷ゴールデン街」は凄い。ポテンシャルは「独協大」(草加松原)に負けないと読み、坪180万円とはじいた。

 しかし、冒頭のように予想は大外れ。床暖房はないが、このスペックでこの価格では分譲できないはずだ。間違いなく割安感がある。同社と長谷工コーポはとてもいい関係だろうからこの価格で分譲できるのだと判断した。

 それにしても、市場からこの価格でないと評価されないとすれば、東武鉄道をはじめとする関係者は考えたほうがいい。「北千住」は坪380万円で人気になっているが、伊勢崎線(スカイツリーラインは愛称)ではなく「千代田線」とみんな考えている。

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記者は基本的に嫌いなデベロッパーはなく、みんな好きなのだが、首都圏以外の電鉄(系)会社にはわが故郷の三交不動産を筆頭に頑張ってほしいと願っている。

なぜか。首都圏の電鉄会社は、JRと競争を強いられている京急を除けばそれぞれエリアの住み分けができている。人口も増加傾向にあり、恵まれた事業環境にある。しかし、地方、中でも関西圏の市場規模は首都圏の半分以下なのに各社が入り乱れて同じエリアで競争している。鉄道だけでは成長が望めないので、パイが大きい首都圏での不動産事業などを伸ばそうとしている。判官贔屓の記者は、首都圏デベロッパーの鼻を明かしてほしいと思っている。

特に関西圏は近鉄と京阪電鉄が好きだ。阪急阪神は、まだ強かった阪急ブレーブスのイメージが頭から離れず、憎き巨人の〝お助けマン〟の役割しか演じられない不甲斐ないタイガースがどうしてもぬぐいきれない。

近鉄は、三交の親会社であり、三交バスには通学の足として大変お世話になった。京阪電鉄は単に京都が好きだからだが、2014年に両社が組んで分譲した「王子飛鳥山」がきっかけでファンになった。

その時の両社の役員は、首都圏デベロッパーのようにオブラートで包んだような、奥歯にものが挟まったような物言いをしなかった。絶滅危惧の関西弁でまくしたてた。取材のし甲斐があつた。記者もストレートで真っ向勝負を挑んだ。(関西弁を堂々と話したハウスメーカー〝御三家〟の元会長・社長が第一線を退かれたのはとても残念)

京阪電鉄はその後、「イマジンテラス」「東松戸」などで卓越した商品企画力をアピールした。

今回の取材でも、同社首都圏事業部用地開発事業推進グループリーダー・武田秀和氏は、それと分かる関西弁ではなかったが、「販売事務所の設営やモデルルームは大成有楽さんを超えようと挑んだ。あの『三郷中央はよかった』」とはっきり話した。「えっ、大成有楽さんの名前を出していいですか」と聞き返したら「ノー」とは言わなかった。

読者の皆さんは大成有楽不動産の最近の商品企画をご存じか。この会社はこの数年間で劇的に変わった。本旨から外れるので触れないが、「三郷中央」の記事は添付したのでぜひ読んで頂きたい。

さて、どこが大成有楽を超えたか。確かに収納も大成有楽の「オレンジ収納」に負けない出来栄えだったし、ディスポーザーの実演をはじめ傷がつきにくい床やクロス、単板ガラスと複層ガラスの違い、普通のシンクと静音シンクの違いなどを体感できるように〝見える化〟を徹底して行っていた。釣り具の錘を落とし、それぞれの音の響きかたを比べられる単純明快な仕掛けに記者は仰天した。

それでも〝これだけじゃ大成有楽を超えたことにはならない〟と正直思ったのだが、下足入れの提案を見てあ然茫然。女性用の靴はプラスチックの容器のようなもので片方ずつが上下に並べられており、男性用の靴はつま先とかかとの部分が逆にして置かれていた。こんな下足入れは初めて見た。

販売代理の長谷工アーベスト女性販売担当者によると、男性の靴は横幅が広いから互い違いに置いたほうがスペースは狭くて済み、女性の靴は上下にしたほうが多く収まるとのことだった。子どもの靴は100円ショップで売っているハンガーのようなもので吊るすとたくさん収納できるという。生活情報誌「ESSE」とコラボして提案しているのだという。

ESSE」なんて知らないし、疑い深い記者は、これも「オレンジ収納」をパクったのではないかと社に戻り大成有楽に確認した。(大成有楽「三郷中央」は「AneCan」「Oggi」「美的」とコラボした)

女性の広報担当は「分かります。(靴を上下に重ねることは)わたしもそうしています。しかし、当社のオレンジ収納はもともと広くしているので、そのような提案はしていません」だった。(この女性も若いのに凄い。しっかり自社をアピールすることを忘れない)

これで京阪電鉄が大成有楽を超えたことが〝実証〟されたかどうかは分からないが、ユーザーにはしっかりと商品企画の意図は伝わっているはずだ。(履くとき右と左で異なる靴を履かないか心配だが)

このように、モデルルームは全体としてよくできていた。一つだけ指摘すれば、他社と同様フェイクの観葉植物のオンパレードだったのだが、子ども部屋だけは本物が飾られていた。逆ではないか。夫婦の部屋にこそ嘘偽りのない生気(字を間違えるな)に満ち目くるめく、明るい明日が信じられる本物を飾るべきではないか。

同社は「進取の精神」を理念に掲げる。首都圏デベロッパーと同じことをしていたら絶対に勝てない。〝負けたらあかんで東京に〟。

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収納

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下足入れ(写真ではよく分からないが、上2段は靴は互い違い、その下の女性用は上下に重ねることで7足入っているのが分かる)

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暇に飽かせてとりとめのないことを書き連ねた。こうなったらついでだ。東武鉄道と京王電鉄にエールを送る記事を書く。

国土交通省が発表している平成29年度の東京圏の鉄道45路線の1カ月(平均20日間)当たり遅延証明書発行日数は平均11.4日だ。ローカル線を除いてもっとも少ないのは東武東上線の3.0日で、以下、京王井の頭線の3.3日、東武伊勢崎線の4.2日、相鉄線の4.2日、京王線の5.0日と続く。

他の沿線では京急線の5.7日、京成線の10.0日などが平均値以下で、東急田園都市線11.2日、小田急線14.8日、東急東横線15.1日、東京メトロ東西線17.1日、千代田線18.4日など。ワースト3は中央・総武各駅停車19.2日、宇都宮線・高崎線19.0日、中央線快速18.8日だ。

記者はかつて、価格が2,500万円を超えると売れ行きがバッタリ止まることから〝魔の伊勢崎線〟と書いたことがあるが、複々線化などによって電車が停まる率は極めて少なくなったことがこのデータは示している。都心へのアクセスも日比谷線、千代田線、半蔵門線などの乗り換えができるので便利だ。

京急は早く着きすぎて国土交通省から大目玉を食らったことがあるようだが、決められた時間にきちんと着く東武鉄道はえらい。もっと街のポテンシャルをあげる努力をすべきだ。京王電鉄はいろいろ努力しているが、マンションの単価は東急線や小田急線に圧倒的に負ける。魅力を訴え切れないデベロッパーにも問題がある。

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ラウンジ

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記者のデスクに飾っているポトス(植木屋さんが事務所内の鉢植えのポトスを定期的に剪定し、伸びた枝をカットするので、その枝を貰ったもの。容器はペットボトルの上を切ったもの。もう3年になる。手入れはほとんどしないのにどんどん成長している。〝記事はラブレター〟愛情がこもった記事が書けるのはポトスのお陰かも。写真は6月に撮ったもので、道端のドクダミも入っている)

主婦目線の商品企画が抜群 ポラス 全85戸の「新越谷」販売好調(2019/4/12

全部で1000戸 大激戦の三郷中央 大成有楽不が女性誌とコラボで需要喚起(2016/8/9

近鉄不・京阪電鉄不・長谷工コーポ 実利を取る戦法か「王子飛鳥山」(2014/4/23

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CLT PARK HARUMI」パビリオン棟

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三菱地所は12月5日、中央区晴海のCLT晴海プロジェクト「CLT PARK HARUMI」が1129日に竣工し、1214日の開業から2020年秋までの1年間、運用すると発表した。

施設は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩数分、中央区晴海3丁目に位置する敷地面積約3,368㎡のCLT・鉄骨造1階建て高さ18mのパビリオン棟、2階建て展示棟、1階建て展示棟からなる3棟構成。CLT使用量は国産ヒノキ・スギ材約680㎥。20196月着工。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所、設計監理は三菱地所設計、施工は三菱地所ホーム。2020年秋に解体し、岡山県真庭市に企業ふるさと納税制度を活用して譲渡される予定。

岡山県産のヒノキを使用したCLTパネルを現しで使用したほか、国産のスギ材なども多用し、木目の美しさと温かさを最大限生かしたデザインが特徴で、建築物の強度を保つためパビリオン棟は鉄骨との混構造を採用。一時使用のため建基法の耐火・防火制度をクリアし、真庭市へ移設後も公園内であることから法的にはそのまま利用できる。

展示棟では、「Grow with Google ラーニングセンター」が様々なセミナーを開催するほか、子どもも楽しめるアトラクション、パズル、図書コーナーなどを設け、岡山県のご当地メニューにこだわったカフェも開設する。

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パビリオン棟(左)と展示棟

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展示棟

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展示棟 アトラクション展示室内

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端材を利用した屋上テラス(奥のビルは「トリトンスクエア」)

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見た瞬間、もう笑うしかなかった。隈氏の作品は結構見ているが、手に取り香りを嗅ぐことができる施設はそうないはずだ。木組の木片一つひとつにこのプロジェクトにかける意気込みが伝わってきた。

一言で言えば容姿端麗・眉目秀麗-例えて言えば、きめ(肌理)細やかな何ものも包み込むような聖母の柔肌にも見え、他方では鉄やコンクリを拒否し続け、傲然と虚勢を張る弁経か不動尊にも見える、見方によってはそのいずれでもない両性具有のセラフィタのようにも解釈できなくもないそんな建築物だ。隈氏が2月の発表会で「美しい」を連発したのを思い出した。子どもも楽しめる工夫を凝らしているのがまたいい。

残念ながら、この日(125日)行われたメディア向け記者発表・内覧会には参加できず、同社・吉田淳一社長や隈研吾氏の話は聞けなかったのだが、多くのメディアが伝えるはずだ。そちらを読んで頂きたい。

今回の施設にどれだけの人が訪れるか分からないが、数百万人に上るのではないか。オリンピック・パラリンピック関係者を含めた外国人もたくさん見学し、わが国の伝統的な建築様式を目の当たりにする。その感動を金額に換算したらいくらになるか。数百億円になるのではないかと記者ははじいている。

そんな効果に期待をしているのだが、何が嬉しいか。売上高が12,632億円(20193月期)もある三菱地所の事業のうち戸建て分譲住宅はセグメント数字にはなく、「木」で括れば数%あるかどうかだろう。そんな会社が、今回の施設や沖縄・下地島空港、仙台・高森の賃貸マンションなどでCLTを含めた「木」のトップランナーに躍り出たことだ。痛快ではないか。

同社と何かにつけしのぎを削っている三井不動産はどうか。先月開業した「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」では外周部を本物の木で巡らせた。〝見た目〟ではわが国初の木造高層建築物だと思う。

この両社が、生産段階でも消費段階でも環境にやさしい「木」の事業で先導的な役割を果たしている。これが嬉しいのだ。

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展示棟(CLT協会運営)

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軒天

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端材を活用したオブジェ

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展示室 階段

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展示室 ゲームも楽しめる

エコアイランドにふさわしい施設整備」 三菱地所・吉田社長 下地島空港竣工式典(2019/3/17

三菱地所 1棟のCLT使用量では国内最大 「みやこ下地島空港」竣工(2019/3/15

シンプルで端正な姿が美しい 三菱地所 わが国初のCLT高層「高森」完成(2019/3/14)

〝美しい〟〝画期的〟隈研吾氏が連発 三菱地所「CLT晴海プロジェクト」(2019/2/14

 ポラスグループは12月3日、同社グループのポラスハウジング協同組合に所属する小川祐司氏(39)が埼玉県主催の「第27回彩の国職業能力開発促進大会~技能者表彰式~」で彩の国優秀技能者(埼玉の名工)として表彰を受けたと発表した。古木の骨組みをベースに、図面を見なくても墨をつけなくても床や壁、天井を現場で施工できる優れた技能を持つことが認められたという。

 小川氏は「今回、表彰いただき気が引き締まる思いです。この表彰にふさわしい大工になれるよう、今後とも精進してまいります」とコメントしている。

 同賞は、県内で働く現役の技能者の中から産業の発展と後継者育成に貢献するなど他の模範になると認められる技能者を埼玉県知事が表彰する制度。

 表彰式では、小川氏のほか和服仕立て職、畳工、左官、理容師、石彫工など名工・技能者19名が表彰された。

 小川氏は1998年(平成10年)入社。第38・39回技能五輪全国大会「建築大工」の部で敢闘賞、第26回技能グランプリ「建築大工」の部で敢闘賞、平成27年度「青年優秀施工者土地・建設産業局長顕彰(建設ジュニアマスター)」などを受賞している。

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 上段は同社のニュース・リリースをほとんどそのままコピー&ペーストしたものだが、隔靴掻痒とはこのことを言う。これだけでは小川氏がどのような技術を持っていらっしゃるのか記者は分からないし、何もわかっていない記者のコピペ記事は読者の方にどのように受け取られるのか、価値があるのかどうかも疑わしい。

 県のホームページにはどのような人が表彰されたかの記載はあるが、具体的にどのような技術であるかは読んだだけでは分からない。

 これではいけない。技能五輪を主催している中央職業能力開発協会に問い合わせたら、開催会場にもよるが見学者は数十万人にものぼることもあるようだ。東京都は2021年に開催されるという。一度取材してレポートしたい。小川氏は40歳超えなので出場資格はないのだろうが…。

 カンナ削りの全国大会は一度経験している。記事を添付する。

厚さ数ミクロンのカンナ削りの技を競う 「第30回全国削ろう会 小田原大会」(2014/11/10)

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「パークホームズ駒沢二丁目」完成予想図

 三井不動産レジデンシャルが近く分譲する「パークホームズ駒沢二丁目」を見学した。デザイン監修は「新丸の内ビルディング」「東京ミッドタウン日比谷」「パークコート渋谷ザタワー」「ドバイワールドトレードセンター」などを手掛けたホシノアーキテクツ・星野裕明氏。柔らかな美しいファサードデザインが特徴のマンションだ。

 物件は、東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩8分、世田谷区駒沢2丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する地上5階・地下1階建て全53戸(販売総戸数37戸、事業協力者戸数16戸含む)。専有面積は42.91~94.81㎡、予定価格は5,00万円台~15,800万円台(最多価格帯9500万円台)、坪単価は414万円。建物は2019年10月下旬竣工済み。施工は川口土木建築工業。問い合わせは約1,000件。

 現地は、戸建てやマンションなどが建ち並ぶ住宅地の一角で、前面道路を挟んだ北側は第一種低層住居専用地域。

 敷地は南東-南西軸が長い長方形で、北西側の8.8m道路に接道。建物は内廊下方式を採用。住戸プランは42~49㎡の1LDLが3戸、53~64㎡の2LDKが11戸、73~94㎡の3LDKが23戸の10タイプ。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400~2450ミリ、フィオレストーン天板、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラスなど。

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 見学は、今秋行われた三井不動産グループの記者懇親会で三井不動産レジデンシャル・藤林清隆社長から「皆さん、話題のマンションだけでなくしっかり造りこみをした『パークホームズ』を見ていただきたい」と言われたので、曲線美が特徴のこのマンションを選んで実現した。

 確かに外観が美しかった。しかし、「あまり肩ひじを張らない雰囲気がある」「全体として自然を感じさせる表現をコンセプトとしてデザイン」「素材感のあるタイル、土を意識させるざらつきのあるタイル使用」(物件ホームページ・星野氏インタビュー)とあるように、しっとりと周囲の住宅地になじるような白を基調とした外観だった。エントランスの木を素材に用いたアートがまた美しい。

 外観がアール形状のビルは珍しくないが、マンションは皆無ではないようだが、記者は同社が3年前に分譲した「パークコート青山ザ タワー」しか知らない。強烈な衝撃を受けた。同社はその後、「東京ミッドタウン日比谷」でも星野氏によるアール形状を採用した。

 野村不動産は昨年、オーバル状の「プラウドシティ東雲キャナルマークス」を分譲し、来年初めには大和ハウス工業がアール形状の外観の「プレミスト東銀座築地」を分譲する。

 〝マンション=ハコ〟のイメージを覆すアール形状のマンションが供給されるのに大賛成だ。

 記者がいいと思ったタイプも、北側の1低層の住宅街に面したアール形状のバルコニー付き75㎡のLタイプだった。価格は1億円近くになるようだが、人気になるのは必至と見た。 

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モデルルーム

住友不動産 どんぴしゃり坪450万円 「シティタワー駒沢大学SC」各層から支持(2017/9/6)

三井不レジ 可動間仕切りで間取り自由自在 「駒沢」に初採用(2014/5/27)

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「MID POINT大塚」イメージ図

 コスモスイニシアは12月3日、近く開業する「職住近接」型レンタルオフィスの第2弾「MID POINT大塚」のフリー内覧会を行った。

 「大塚」は、築27年の8階建てオフィスビルを同社が取得、エントランス・専有部・共用部をフルリノベーションした「リードシー大塚ビル」の5~8階部分をレンタルオフィスとして改装したもの。

 5~7階に1~5名用の半個室、完全個室のワークスペースを用意。8階には、入居者が利用できる共用のラウンジを設置している。全72区画。コワーキングは入会金など3万円で、月額利用料は7,000円、月額共益費は10,000円。1名利用は1区画当たり月額利用料27,000円から、月額共益費15,000円から。

 昨年11月にオープンした第一弾の「MID POINT目黒不動前」は、「自宅に近い」「内装がきれい」「賃料が安い」「入居者同士のコミュニティがいい」などから人気になっている。

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 この種のコワーキング・レンタルオフィスが、個人事業主、起業家などに人気になるのはよく分かる。

 人気の要因の一つに法人登記ができることが挙げられている。確かに、分譲マンションは〝専ら居住〟の規約の壁があるし、賃貸マンションなどでも貸主から許可されないだろう。そもそも分譲も賃貸も、「住む」こと以外の利用を想定していない。バブル崩壊までの分譲マンション市場には単身者向けは皆無だった。

 ここに根本的な問題がある。分譲も賃貸も多様な利用ができるように転換するときが来ているように思えてならない。住友不動産は「ドゥ・トゥール」や「銀座東」で展開しているが、他社もSOHO(Small Office Home Office)を供給したらどうか。価格の高いエリアは、当初は賃貸にし、一定期間利用した後はその利用料を頭金として分譲に切り替えるような賃貸⇒分譲方式はあっていいし、その逆に分譲⇒賃貸も考えられないことはない。

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 記者は年間600本以上、400字原稿用紙にして2,000枚くらいの記事を書き、ネットで配信している。量的には誰にも負けないはずだ。だが、卓上キーボードとマウスがないとノートパソコンでは記事を書けないのでこの種の施設の利用は難しい。仮に利用できてもキーボードを叩きつけて書くので、多分、退室を命じられることになりそうだ。

 月額約5万円の利用料金は高いのか安いのか。同社の「目黒不動前」の利用者は「安い」と感じている人が多いようだが、記者などは酒とタバコ(喫茶店しか最近はほとんど吸えないので、1本当たり200円にも300円にもなる)、本代で消える。

住宅立地に特化 コスモスイニシア レンタルオフィス第一弾「目黒不動前」オープン(2018/11/17)

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「渋谷フクラス」

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エントランス

 渋谷駅西口駅前の新生「東急プラザ渋谷」が12月5日オープンする。1965年の開業以来〝渋谷の顔〟として親しまれてきた旧「東急プラザ渋谷」の建て替え事業「渋谷フクラス」の主要部として装いを新たに誕生するもの。3日、開業を前にしたメディア向け内覧会が行なわれた。

 旧「東急プラザ渋谷」は1965年に開業。銀座の名店が楽しめる飲食や女性のファッションビルとして親しまれてきたが、100年に一度の東急グループの再開発事業に伴い2015年に閉館。その建て替え事業として先に竣工した地下4階〜地上18階建ての「渋谷フクラス」の2~8階、17・18階部分を新生「渋谷東急プラザ」として開業するもの。大人の関心が高い「食」「健康」「美」「趣味」「ライフプラン」をキーワードに店舗69店舗が集積する。

 コンセプトは「大人をたのしめる渋谷へ」。渋谷から足が遠のいてしまった中高年齢層を呼び戻そうという戦略で、"若者の街"のイメージが強い渋谷で、あえて「大人」をターゲットにライフスタイル提案を行う。

 屋上階の17階には、渋谷の街を一望できるルーフトップガーデン「SHIBU NIWA」を設置、総合エンターテイメントレストラン「CÉ LA VI」が日本初上陸する。

 5階には「シブヤライフラウンジ」をテーマに、ソフトバンクロボティクスが初めて手掛けるカフェ「Pepper PARLOR」が入居する。

 2階から4階には、心と身体の“美”と“健康”をサポートする老舗ブランドなどが初出店する。6階~7階は飲食フロア、8階は東急リバブルの店舗。

 施設の商環境デザインを担当しているのはGLAMOROUS co.,ltd.(グラマラス)デザイナー・森田恭通氏。フロアごとに石(2階)、陶器(3階)、紙(4階)、金(5階)、木(6階)、土(7階)、光(17階)をモチーフに各フロアごとに異なる素材を採用しているのも特徴の一つ。

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「東急プラザ渋谷」からの夜景

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6F_GRAND SESSION

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6階共用部

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エレベータ周り

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 旧「東急プラザ渋谷」は、東急リバブルの旗艦店「渋谷センター」が6階に入居していたので取材のためよく訪ねたが、その行き帰りに1階のカフェで煙草を吸い、懇意にしていただいた東急グループの幹部の方がビル内にあった絵画教室の生徒だったので作品を見に行く以外ほとんど利用しなかった。

 そもそも渋谷は、学生のとき、星空を見上げながら(当時は星が見えた)宮下公園で永遠の愛を誓ったはずの彼女に捨てられたのも渋谷だったので、いい思い出がない。「ヒカリエ」もどうもなじめない。

 しかし、新生「東急プラザ渋谷」は、女性だけでなくサラリーマンにも支持されると思う。森田氏の自然素材を多用したデザインはいい。とくに6階の「木」をモチーフにした共用部分がいい。

 各フロアのテナントも共用部デザインと調和していればもっとよかったのだろうが、それは欲張りか。ただ、2階受付カウンターの側壁がシートパネルだったのは残念。

 最高に素晴らしかったのは、17階にある広さ約163坪の東急不動産が運営する会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート渋谷フクラス」だった。

 えも言われぬ美しいブルーグレーを基調とするカラーリングと大理石など自然素材をふんだんに用いているのが特徴。30分2,000円のシャワーブースもある。テラスからは富士山も眺望できる。仮に分譲にすれば坪3,000万円以上と記者ははじいた。

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「ビジネスエアポート渋谷フクラス」

 従前も悪くはなかったが、8階の東急リバブルの「渋谷センター」の接客ブースは、旗艦店にふさわしいデザインだ。白と黒が基調で、渋谷の街が一望できるキッズスペース付きの10畳大はありそうな部屋もある。トイレ(男子用)がまた美しい。

 店頭には、街の移り変わりが見えるタッチパネル式デジタルサイネージや無料で利用できるライブラリー、コーヒーサーバーも設置されている。

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東急リバブル「渋谷センター」

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キッズスペース付き接客室

 飲食では、7階の「やきとり荒木山」しか見なかった。220銘柄の日本酒を揃えており、好きなだけ飲んでいいと勧められたので大吟醸など4~5杯飲んだ。価格はそんなに高くない。近く同業の記者など3人で飲むことにしているが、ここにしようか。

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「やきとり荒木山」

 17階と18階の日本初上陸「CÉ LA VI」は理解の埒外。コメントのしようがない。高価そうな松の盆栽もソテツなどと一緒にあったが外国人向けだろう。

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「CÉ LA VI」

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17F_SHIBU NIWAと18F_ルーフトップダイニング

 週刊住宅の今週号(12月2日号)1面記事を複雑な思いで読んだ。沖縄県の米軍用地の売買が個人投資家の間で活発で、銀行の担保価値は借地料の50倍にも達し、借地料は毎年1%上昇していると報じたものだ。国土の0.6%しかないのに米軍施設の70%超が集中し、沖縄本土の約19%が米軍用地というまるで植民地のような扱いを受けているのに心を痛めている記者は暗澹たる気持ちにもなった。戦争も軍事拡張も経済の延長で、資本の論理が貫徹されるとはいえ、あけすけにそんな恥部をさらけ出すことはないのではないか。メディアリテラシーについても考えさせられた。

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 今週もまた業界紙は代わり映えしない記事だろうと思っていたら、あにはからんや、週刊住宅は「沖縄 米軍用地の売買活発 地価は下落知らず」の横2段通し見出しと、「借地料、毎年1%上昇 銀行担保評価額は借地料の50倍」の縦4段見出しの記事が1面を飾っているではないか。

 とっさには何が書かれているか判断が付かなかった。強制的に収奪された地主たちは返還運動を展開しているのではなかったのか。

 よく読むと〝なるほど〟と納得もさせられる。何しろわが国の2019年度の防衛予算は約5.3兆円だ。同紙によると、国は毎年100億円の借地料を地主に支払っているという。国が借地人で、借地料が毎年1%確実に上昇するのであれば、貸すほうだって安心して貸せるし、銀行にとっても担保価値があるということだろう。

 同紙は地元軍用地の投資研究者のコメントとして、現在約4.2万人の地主が5万人に増大するのは時間の問題だとし、3,044㎡の土地が22区画(1区画138㎡)に分筆されて売買されていることを紹介している。

 記事には「個人投資家、本土から参戦」などと笑えない見出しも踊っている。

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 沖縄は〝3K〟、つまり基地、公共事業、観光経済を支えていると言われているが、この米軍基地用地の売買はその典型例なのだろうか。

 〝投資家〟も投資家だ。いくら取りはぐれがないとはいえ、沖縄県人の神経を逆なでするようなことがよくできたものだ。小林多喜二の「不在地主」を思い出した。多喜二はこれを書いたために北海道拓銀を首になった。沖縄県は逆か。

 大和ライフネクストは12月2日、マンション管理会社として初の総合研究所「マンションみらい価値研究所」を10月1日付で設立し、分譲マンションの適切な維持管理や様々な課題に対する解決策を公開していくと発表した。

 全国の分譲マンションストックは650万戸を超える中で、建物の老朽化、居住者の高齢化という「2つの老い」が顕在化し、激甚化する災害への対応も迫られるなど多くの課題を抱えている。

 同社は創業以来40年以上にわたって得た多くの事例やデータ、知見を活かし、具体的な対策やマンションの将来像について継続して情報を発信していくという。

 同日(12月2日)から下記のホームページを公開し、レポート掲載を開始した。

URL:https://www.daiwalifenext.co.jp/miraikachiken/index.html

◇       ◆     ◇

 結構な取り組みだ。記者も約40年にわたって分譲マンションの取材を行っており、〝マンションは管理を買え〟などという記事も書いてきたが、本質に迫れるような記事はほとんどない。強いてあげれば、マンションコミュニティを亡き者にする動きにささやかな抵抗を示したくらいだ。

 「2つの老い」と自然災害に適切に対応するには、コミュニティしかないと思っており、最近、山本理顕・仲俊治著「脱住宅『小さな経済圏』を設計する」(平凡社)を読んだ。同書は、次のようにわれわれに迫る。

 今の住宅はサラリーマン(賃労働者)のための住宅である。私たちは、建築家に限らず、社会学者も政治学者もそれが唯一の住宅モデルだと思い込んでいる。「一住宅=一家族」モデルである…日本人はみんなそういう住宅に住んでいると思い込んでいる。そして、今の社会はそうした住宅を前提にして組み立てられている…。

 賃労働がこれからも最も有力な働き方なのだろうか。今の「一住宅=一家族」モデルが唯一の居住形態であるという考え方はこれからも有効なのだろうか。もしそれがすでに有効性を失っているとしたら、「一住宅=一家族」に代わる私たちの未来の居住形式はどのように設計できるのだろうか。その可能性は私たち建築家がどのような建築空間・都市空間を設計できるのか、という想像力に多くを委ねられている…。

 山本氏が学長を務める名古屋造形大学は今年8月、定期刊行誌「都市美」を創刊した。創刊号は「コミュニティ権 新しい希望」を特集としているようだ。取り寄せて読むことにしている。

 「マンションみらい価値研究所」にも、コミュニティを大きなテーマの柱に据え、情報を発信してくれることに期待したい。同時に、デベロッパーもまた「一住宅=一家族」モデルは果たしてこれからも有効かどうか考え直していただきたい。

 

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「シティハウス下目黒」模型

 第一種低層住居専用地域(1低層)に位置する住友不動産の大規模低層マンション「シティハウス下目黒」を見学した。元東京学園高校跡地の全195戸で、林試の森公園には徒歩5分の立地。単価予想が悩ましいマンションだ。

 物件は、JR山手線目黒駅からバス9分徒歩4分・東急目黒線武蔵小山駅から徒歩15分、目黒区下目黒6丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率70%・容積率150%)に位置する敷地面積約8,449㎡、地上4階、地下1階建て全195戸。専有面積55.24~100.35㎡、価格は未定。竣工予定は2021年6月上旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。分譲開始は2020年2~3月。

 現地は、明治22年にわが国初の商業高校として開校された東京学園高校跡地で、明治から昭和の初めまで目黒競技場として利用されエリアに近接。その近接地には2013年竣工に竣工した同社の敷地面積約9,700㎡の「シティテラス下目黒」(175戸)があり、全49戸のほとんどが1億円以上だったにも関わらず人気になった三井不動産レジデンシャルの都市型戸建て「ファインコート目黒」もある。総面積約12.1ha、外周を歩くと約45分の「都立林試の森公園」には徒歩5分。

 敷地はほぼ正方形で、3方接道。建物はロの字型。建築基準法第55条第2項の規定に基づき建物の絶対高さ規制10mの緩和を受けている。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-Eガラスなど。

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現地

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 価格は未定だが、単価予想は難しい。記者は信じられないのだが、商・工・住混在の坪単価400~500万円台の〝駅近〟億ションが飛ぶように売れている。

 このマンションは、目黒駅から歩くのは大変で、しかもかなりきつい権之助坂もある。バス利用でも駅から十数分かかる。交通利便重視のユーザーは選択の埒外かもしれない。

 その逆に、低層の良好な住宅地を最優先する人にとってはたまらない立地だろう。嫌悪施設などが禁止され、良好な低層の街並みが将来にわたって担保される価値は何物にも代えがたい。

 いかに希少か。少し説明しよう。東京23区の場合、1低層の全用途地域に占める割合は平均19.4%で、もっとも比率が高いのは杉並区の64.1%だ。以下、練馬区58.5%、世田谷区50.7%、中野区40.7%となっており、目黒区は40.2%で5番目だ。逆に千代田区、中央区、台東区、墨田区、江東区、北区、荒川区の7区はゼロで、港区は0.1haが1低層だが割合は0.0%しかない。渋谷区は11.5%、文京区は10.7%、新宿区は6.6%、品川区は5.6%。ちなみに大阪市は1低層ゼロだ。

 どうだろう。都心3区はともかく、住宅地としてポテンシャルが高いのは1低層が多いことが分かるはずだ。この希少価値を金額に置き換えたらいったいいくらになるか。価格は市場が決めることだからこれ以上書かないが、皆さんはどう評価するか。林試の森公園には外来種や雑種にどんどん浸食され絶滅するのではと危惧されているカントウタンポポが自生しているという。

 参考までに、1低層のマンション記事を添付する。

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林試の森公園(ホームページから)

一戸当たり土地持ち分67㎡ 日土地ほか「バウス武蔵境」 悩ましい都市計画道路(2019/9/11)

隣接するUR賃貸と一体となった3ha超の低層 住友不「シティテラス荻窪」(2016/3/2)

23区最大の第一種低層 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス上鷺宮」(2014/4/4)

〝オール三井〟の記念碑的な都市型戸建三井不レジ「ファインコート目黒」(2014/5/25)

用地取得から10年 小石川植物園に隣接した住友不動産「インペリアルガーデン」(2014/1/16)

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国交省屋上の「特定屋外喫煙場」(中央合同庁舎3号館屋上で)

国土交通省などが入居する霞が関の中央合同庁舎2号館・3号館から喫煙室がなくなったことは先月書いた。

 この日(1129日)は、社会資本整備審議会住宅宅地分科会の委員による住生活基本計画の見直しに向けた勉強会が行われたので取材に出かけ、念のため「省内に喫煙所はないですか」と職員に聞いた。分科会が始まる直前の午後130分前だ。「最上階11階の上の屋上にあります」とのことだったので駆け付けた。

 屋上広場の隅っこにそれはあった。広さは10坪くらいか。屋根はなく吹きっさらし。十数人がタバコを吸っていた。

 分科会が終了した午後330分過ぎにも駆け付けた。会合前と同じくらいの人がいた。タイムを計った。2分間に10人が主に階段を登り屋上に出て行き、7人が屋内に入り主に階段を降りて行った。

 「登り」「降り」と書いたのは、屋外に通じるエレベータはあるのだが、「荷物の搬出入用です。荷物以外の利用は極力控えてください」との表示があり、職員は下層階から階段を登り降りする人のほうが多かったからで、全ての人が階段を使ったわけではない。

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以前は喫煙所だった2号館のスペース

     ◇      ◆     ◇

このような、喫煙者に対する仕打ちは、今年7月から施行された「東京都受動喫煙防止条例」・「改正健康増進法」改正により、「保育所、幼稚園、学校、各種養成施設、児童福祉施設、病院、行政機関等は屋内完全禁煙。屋外(施設の利用者が通常立ち入らない場所)に要件を満たした喫煙所が設置されることは可」とすることが決まったからだ(91日からは保育所、幼稚園、小中高校等は屋外も含めて敷地内完全禁煙)。

 都の条例は、都民の責務として第四条で「都民は、喫煙及び受動喫煙が健康に及ぼす悪影響について理解を深めるとともに、他人に受動喫煙を生じさせることがないよう努めなければならない。2都民は、都が実施する受動喫煙の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない」としている。

 条例に盾突くわけではないが、小生は「喫煙」をやり玉にあげるのなら、「超過勤務」「運動不足」「睡眠不足」「暴飲暴食」「糖分の摂取」「夫婦喧嘩」…も加えるべきだと思う。

 「受動喫煙」を言われると返す言葉はないが、喫煙者は激減しているのにどうして肺がんが激増しているのか。きちんと説明してほしい。「閾値」を示すべきだ。

 そもそも、「たばこ事業法」は第一条の目的で「我が国たばこ産業の健全な発展を図り、もつて財政収入の安定的確保及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする」と高らかに宣言しているではないか。

 そして何より、わが国の憲法は「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる」(第十一条)「すべて国民は、個人として尊重される」(第十三条)「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(第二十五条)と謳っているではないか。

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こんな劣悪な環境で妙案が浮かぶはずはないと思うが…

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 国交省は「女性職員活躍と職員のワークライフバランスの推進のための国土交通省取組計画」平成271月に定めた(令和元年531日に一部改正)。全22ページにわたるもので、一通り読んだ。超過勤務の縮減の徹底、フレックスの周知、テレワークの推進など素晴らしい取り組みだ。ひょっとしたら、喫煙は怠業であり、館内禁煙の徹底を指示しているのではないかと心配したが、そのようなことは1行も書かれていない。

 タバコを愛する職員の皆さん、喫煙は仕事の能率を上げるのに必要不可欠だと思うし、ストレス解消にもなり、職員同士のコミュニケーションにもなる。階段の昇り降りは大変だろうが、健康増進のためと考えれば苦ではなくなる。 

 取材の機会があったら真っ先に駆け付けよう。

 立派なスギ材の椅子が並べられている2号館の前喫煙所はほとんど利用者がいなかった。

◇      ◆     ◇

 タバコと言えば、リッツ・カールトンを思い出す。リッツのホスピタリティの高さはよく知られている。記者は「ザ・リッツ・カールトン東京」開業初日に宿泊し、次のように書いた。

 タバコを吸いたくなったので、ロビーで「タバコを吸う場所は外しかありませんか」と聞いたところ、「バーなら結構ですので、よろしかったらどうぞ」とスタッフが応えた。内心、真っ昼間から1杯2000円以上もするワインを飲まなきゃならないのかと思ったが、飲み物はオーダーしなくてもいいと言われた。こんなサービスをするホテル・旅館は日本中のどこを捜してもないだろうと思った。

 記者は、午後から仕事がなければ、間違いなくここでゆっくりタバコを吸い、ワインを飲んでいただろう。ロビーからは生演奏のクラシック音楽が流れてきていた。

「首里城の焼失 慙愧に堪えない」涌井史郎氏 国交省「芝生懇談会」(2019/10/31

比類なきホスピタリティの高さリッツカールトン(2007/4/2)

 

 

 

 

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