UDS 「旅館」文化をデザイン・サービスに生かす「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」開業
「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」外観
UDSは4月23日、日本特有の「旅館」のよさを取り込んだホテル「ONSEN RYOKAN 由縁 新宿」を5月8日に開業するのに先立ちメディアに公開した。
「旅館」には日本のおもてなし文化が凝縮されていることから、客室の間取りやデザイン、サービスなどを現在の宿泊者ニーズや環境に合わせて編集した旅館。インバウンドも含めた観光マーケットにおける新たな選択肢を提案している。
エントランスには数寄屋門や四季を感じる庭園、手水鉢など伝統的な和のしつらえを取り入れ、ヒノキやスギなどの白木の無垢材、和紙、漆を模した天板などの「和」の素材で、「陰影」を意識した日本らしい繊細な表現を随所に施している。最上階の18階大浴場には、箱根「小田急 山のホテル」の自家温泉「芦ノ湖温泉 つつじの湯」から運ぶ温泉露天風呂を設けている。
客室は、雪見窓を多用し視線を低く集め空間全体に広がりを感じさせるデザインとし、コンパクトな空間でも快適に過ごせる工夫を凝らしている。
レストラン「夏下冬上」には、福岡県産の全長8mのイチョウの木をカウンターに採用。その上部は網代(あじろ)編みとし、テーブル上部にはスギの無垢材を渡すなど本物の素材を使用しているのが特徴。
物件は、東京メトロ副都心線・東京メトロ丸ノ内線新宿三丁目駅から徒歩7分、新宿区新宿5丁目に位置する敷地面積約1,034㎡、18階建て延床面積約5,521㎡全193室。客室は12㎡から51㎡までの7タイプ。宿泊料金はセミダブル(12㎡)9,000円から。開発事業主は住協。所有者はJA三井リース建物。企画・設計・運営はUDS。
チェックインカウンター
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同社が運営する銀座の「MUJI HOTEL GINZA」を先に見学した際、デザインがいいと思ったので、今回のホテルも見学させていただいた。
「旅館」は嫌いではないが、何しろサービスがひどい。年をとってからほとんど利用しなくなった。朝早く叩き起こされ、強制的に食事を取らされ、10時には叩き出される(ずいぶん改善されているはずだが)。
このホテルは「旅館」のデザインなどいいところを取り込んでいる。客室は狭いが、これは最近の宿泊客のニーズの反映なのだろう。
レストラン「夏下冬上」がいい。8mもあるイチョウのカウンターなど最近はほとんど見なくなった。値段は200万円くらいかそれ以上するのではないか。ほんものの網代編みもいい。
陰影もテーマの一つのようで、デザインを担当した同社マネージャー・瓜生一雄氏によると、谷崎潤一郎の「陰翳礼賛」は建築家、デザイナーの必読書だそうだ。三井不動産の「日本橋」のホテルには昔の体裁のその本が客室に置いてあった。
レストラン「夏下冬上」
ミレニアル世代を意識した2階リビングの「Lucas(ルーカス)」発売 三井ホーム
「Lucas(ルーカス)」イメージ図
三井ホームは4月23日、ミレニアル世代を中心とする層を意識した新商品「Lucas(ルーカス)」を4月25日から発売すると発表した。
「スカイルーム」(スロープシーリングによる光あふれる伸びやかな2階リビング)にテレワークも可能なスペースを併設するとともに、外からの視線を気にせずくつろげる「スカイラナイ」(プライベートバルコニー)を隣接することで開放感とプラバシーの両立を実現しているのが特徴。
また、1階には主寝室をはじめとするプライベートゾーンを配置し、家族の衣類を1か所にまとめ着替えもできる「ファミリークローク」、「洗う・干す・乾かす・しまう」を連続して行うことのできる「ファミリーランドリー」、ゴミ出しのストレスを軽減する「マイゴミステーション」など家事の負担を軽減する「家事ラク」空間も提案している。
販売エリアは沖縄を除く全国。施工延床面積139.88㎡の参考プランの消費税抜き本体工事価格は29,186,000円(坪単価68.9万円)。販売目標棟数は年間300棟。
イメージ図
文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」
全体像
2020東京オリンピック・パラリンピック選手村に利用され、その後は分譲・賃貸住宅などとなる「HARUMI FLAG」の事業主10社は4月23日、メディア内覧会を開催し、販売センター「HARUMI FLAGパビリオン」を4月27日(土)にオープンすると発表した。分譲は7月から。
「HARUMI FLAG」は、中央区晴海にある約13haの土地に分譲マンション4,145戸、賃貸住宅1,487戸を合わせた5,632戸や商業施設を含めた24棟を建築し、保育施設や介護住宅などを取り入れ、人口約12,000人が住む街とする計画。
パビリオンは、三井不動産レジデンシャルが分譲中の「パークタワー晴海」のパビリオンに呉越同舟の隣接地。ARやVRなどの最新技術を活用し、臨場感のある実際の暮らしが体験できるコーナーやモデルルーム5室が設けられている。
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異例の内覧会だった。昨年10月に開設したオフィシャルサイトに対するエントリー数か約15,000件に達し、見学予約は6月中旬まで満席の約3,000件あるというビッグプロジェクトだ。普通ならひな壇に10社の幹部が顔をそろえ、代表者(三井不動産レジデンシャル)が挨拶し、メディアの質疑応答時間を設けるはずだが、この日は同社東京オリンピック・パラリンピック選手村事業部推進室・古谷歩氏が約15分にわたって概要説明を行ったきりで、質疑応答はなし。
なので、聞きたいことが山ほどあった記者は完全に気勢をそがれた。もっとも聞きたかった価格(単価)については、「専有面積は60㎡から150㎡。価格は未定。5,000万円台から1億円超」(古谷氏)としか説明されなかった。
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街づくりや住宅の基本性能・設備仕様は文句の付けようがない。素晴らしい。並みの坪300万円台、400万円台クラスよりはるかに優れている。
書き出したらきりがないので最小限にとどめ列挙する。街づくりでは、メイン道路・舗道は飛行機が緊急着陸したハドソン川と同じくらいの幅(最大約110m)。新橋へ10分圏内というBRTを活用したマルチモビリティステーション。設置率約45%全1,300台の駐車場は地下。中高木約3,900本。共用施設は51カ所。水素ステーション。1週間程度の災害時発電機能。CASBEE最高ランクS、世界初の「LEED-ND計画認証」取得…。
住戸プランでは、マスターアーキテクトに光井純氏を起用し、6つのゾーンをそれぞれの建築家・デザイナーが担当。日本設計、日建ハウジングシステム、三菱地所設計なども参画。住戸は2階以上。平均面積は85㎡、100㎡以上は約310戸。ゆとりあるアルコーブ。廊下はメーターモジュール。ドア幅は900ミリ。天井高2500ミリ以上。ワイドスパン。2100ミリサッシ高。キッチン収納付き。ビューバス、全戸エネファーム+蓄電池搭載…。
これは好みだが、記者は敷地南側の「SEA VILLAGE」(設計:日本設計・長谷工コーポレーション、施工:長谷工コーポレーション)の分節手法を用い、一部アクセントカラーのブルーを用いた波型バルコニーデザインが気に入った。全体的には光井氏の好みのデザインとなっている。
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これだけのものを見せつけられると先日書いた坪250万円予想を上方修正せざるを得ないが、譲渡契約の「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議する」ことを回避し、坪280万円程度に抑える模様だ。
記者は、あの昭和60年の天皇在位60年記念硬貨と61年秋に分譲された民活マンション第一号「西戸山タワーホウムズ」、そして62年2月に売り出されたNTT株の「3大財テク商品」と同じように、このレガシーマンションが坪250万円で分譲されれば申し込みが殺到し、さらにオリンピック、新元号の三点セットでデフレ脱却が実現するのではと夢見たのだが、坪280万円は微妙な価格だ。戸数が多く、BRTを活用したマルチモビリティステーションがうまく機能するかも読みづらく、最寄り駅の勝どき駅の混雑などを考えると何とも言えない。
坪280万円なら〝離れ業〟ともいうべき開発法による評価手法を用いた不動産鑑定士の顔に泥を塗ることにはならないのではないか。
参考まで紹介するが、「西戸山」576戸の来場者は約6万人に達し、申し込み倍率は実に44.2倍だった。
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模型(手前が「SEA VILLAGE」)
シアター(手前のお二人はそのままおててつないで入水しそうな雰囲気がある)
ZEH比率加速 2018年度は目標の76%超える79%、累積44,247棟 積水ハウス
積水ハウスは4月22日、2018年度の新築戸建住宅ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)比率が目標の76%を上回る79%となり、2013年から供給開始したZEHの累積普及棟数は44,247棟(2019年3月末現在)となったと発表した。
81支店(賃貸住宅支店を除く)のうち35支店で既に2020年度目標であるZEH比率80%超を達成し、このうち6支店ではZEH比率90%を超えている。
政府は「2020年までにハウスメーカーなどの新築注文戸建住宅の過半数をネット・ゼロ・エネルギー・ ハウス化する」との方針を出している。
中国・関連会社の不正行為、建基法不適合受け業績予想修正 大和ハウス
大和ハウス工業は4月19日、2019年3月期の業績予想を修正し、売上高4兆1,200億円(前回予想比1.7%増)、営業利益3,700億円(同4.5%増)、経常利益3,560億円(同1.1%増)、当期純利益2,350億円(同2.1%減)とした。
2019年3月に判明した中国の関連会社における不正行為、4月の戸建・集合住宅の建築基準不適合の影響を受けたもの。建基法不適合に関する調査、顧客の要望に対応する費用として約20億円を売上原価として営業損益に含めた。
また、中国の関連会社の不正行為については、第三者委員会による調査及び社内調査を継続しているが、不正に流出した資金による影響など約130億円を持分法投資損失として経常損益に計上した。
当期純利益は、中国での不正行為に関する税金費用や一部の固定資産で減損損失を計上することから減益となる見込み。
実際の業績については、建基法不適合、中国の不正行為について調査を継続しているため、今回の業績予想と異なる結果となることがあるとしている。
「HARUMI FLAG」土地代の安さ 価格に反映を 坪250万円が妥当と考えるが…
「HARUMI FLAG」の分譲価格(単価)に関する記事・書き込みがネット上でヒートアップしている。明後日(23日)にはメディア向け説明会が行われるので取材してレポートするが、その前に、記者自身の立ち位置をはっきりしておきたい。
記者は、東京都がデベロッパー11社に「HARUMI FLAG」の用地約13.4haを約130億円で売却した時点で「東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟」(2016/8/4)のWeb記事を書き、その価格の安さ(容積率1種当たり坪8万円)から判断して分譲坪単価は250万円と予想した。
記事を書いた当時は、Web記事は日経新聞のWeb「住宅サーチ」に転載されていたこともあり、ものすごい反響がありアクセスが殺到した。
都民も〝異常な価格の安さ〟に驚いたようで、「譲渡価格は違法・不当であり、損害の回復等必要な措置を講じることを求める」住民監査請求(2017年5月19日付)が提起され、監査委員は手続き、鑑定評価手法、譲渡価格の妥当性など全てにおいて適法・適正に行われたとして住民監査請求を退けた(2017年7月19日付)。
鑑定評価手法については、事業地は選手村として一時使用され、開発期間が長期にわたる特殊要因を考慮した結果、通常の取引事例比較法ではなく、「開発法」による評価手法が用いられ、土地価格は予想される住宅の販売総額・賃貸収入額を契約時点の価格に割り戻し、その額から想定される支出(建築工事費、販売経費など)を差し引いて適正に算定されたとしている。
これを不服とした住民ら「晴海選手村土地投げ売りを正す会」は2017年8月18日、小池百合子東京都知事を被告として、売却妥当額との差額1,200億円を支払うよう不動産会社11社に請求せよという民事訴訟を提起し、現在審理が行われている。
裁判がどうなるかはともかく、監査委員が全て適法・適正と判断を下した以上、これ以上この問題に深入りはしない。以下は監査委員の裁定を是としたうえで、いくつか問題を提起する。
まず分譲価格(単価)について。基本的にはいくらで売るかはデベロッパーの自由裁量であり、買うか買わないかは消費者が決めることだ。われわれ外野がとやかく言う問題でない。
しかし、今回の事業地は都民の財産だ。地価公示の10分の1以下という安値で売買されたのであるから、デベロッパーはそれに見合う適正価格で分譲し、土地値が安い分だけ購入者に還元すべきというのが記者の意見・主張だ。
いったい、1種8万円という値がどれほど安いか。アクセス、規模、開発期間などが「HARUMI FLAG」とよく似ている「幕張ベイパーク」の例を紹介する。
2015年、三井不動産レジデンシャルら民間7社が千葉県企業局から用地約17.5ha(計画戸数約4,500戸)を取得した額は280億円(1坪52.6万円)だった。容積率は300%くらいのはずで、1種当たりだと17.5万円となる。「HARUMI FLAG」の2倍以上だ。
この「幕張」の現在の坪単価は210万円だ。もちろん単純比較はできないが、「HARUMI FLAG」を坪250万円と予想・主張するのは的外れでないと思う。
この予想・主張を〝補強〟する材料もある。都とデベロッパーが交わした敷地譲渡契約には譲渡契約金額の変更に関する次のような条項がある。
「敷地譲渡契約締結後、東京都の事由により事業計画を変更する場合及び特定建築者が応募時に提案した資金計画に比べ著しく収益増となることが明らかとなった場合は、敷地譲渡金額について協議するものとします」
いったい「著しく」とはどの程度なのかについて、都は「『著しく』がどの程度のことを指すか弁護士と相談する」としているが、極めて難しい問題だ。モノサシなどないからだ。
記者は、そのモノサシとしてマンションの売上から原価(土地取得費、建築工事費)を差し引いた粗利益率を考えた。直近の11社のマンション粗利益率は29.8%(2018年12月期)の東京建物が断トツで、他の三井不動産、住友不動産、三菱地所、野村不動産、東急不動産などは20%前後だ。
つまり、東建の粗利益率30%を越えたら「著しく」と考え、その分岐点は坪250万円とはじいた。
ただ、デベロッパーはみんな欲張りで、30%程度の粗利益率では「著しく」とは考えないふしもあり、基本性能・設備仕様レベルが高くなるともっと高くなるか。これは自信がない。
そしてまた、「良心に従い、誠実に鑑定評価等業務を行うとともに、不動産鑑定士の信用を傷つけるような行為をしてはならない」(不動産鑑定士法)不動産鑑定士によって「(公示地価の10分の1以下の)敷地譲渡予定価格は合理的な根拠に基づき算出され、かつ厳正に審査された、適正な価格である」(監査委員)とすれば、「著しく収益増」となる事態にはならないとも考えられる。
仮に「著しく収益増」となる事態が発生したら、それこそ不動産鑑定の鼎の軽重が問われることになる。
従って、「HARUMI FLAG」の坪単価は〝妥当〟とされる可能性が高い-というのが現時点での記者の考えだ。
監査委員は「本件事業の今後の実施に際しては、重要な決定に当たり、専門家の意見を十分に聞く等の内部牽制体制を強化することや、意思決定過程及び決定内容についてきめ細やかな対外説明を行うことなどにより、これまで以上に透明性の確保に努められたい」と意見を述べている。
この意見を汲み、当事者からきちんとした説明がされることを願うのみだ。
サスティナビリティ特化 東建 ベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures」始動
左から自然電力 風力・水力・バイオマス事業部長・花吉哲芝氏、ボーダレス・ジャパン副社長・鈴木雅剛氏、ウィファブリック社長・福屋剛氏、東京建物専務執行役員・福居賢悟氏、TBM代表取締役CEO・山﨑敦義氏、ユーグレナ特命担当室テクニカルディレクター・村花宏史氏、DG TAKANO代表取締役・高野雅彰氏
東京建物は4月19日、同社が運営するコワーキング・スペースとカンファレンススペースからなる「City Lab TOKYO(シティラボ東京)」で、サスティナビリティ特化型ベンチャー6 社を発起人とするベンチャーコミュニティ「City Lab Ventures(シティラボ ベンチャーズ)」を始動したと発表した。
発起人は、サステイナビリティへの貢献を事業の中核としているTBM、ウィファブリック、ユーグレナ、ボーダレス・ジャパン、DG TAKANO、自然電力の6社。4月19日から「City Lab TOKYO」を拠点に活動を展開していく。
◇ ◆ ◇
先月は三菱地所の「アクセラレータープログラムDemo Day」を取材した。訳の分からないことばかりだったが、それだけにワクワクさせられ、とても楽しい時間を過ごさせてもらった。
今回は、他の取材もあり場所を間違ったため、途中からの取材となった。会場に着いたときはユーグレナの村花氏のプレゼンだった。この会社は創業当時から注目していたが、わずか15年で東証に上場し、売上高は100億円を超える。ミドリムシ(ユーグレナ)をバイオに活用するなどという奇想天外な発想が面白い。
次のボーダレス・ジャパンの田口氏はいきなりプロジェクターに「資本主義」の文字を大写しした。マルクス・ガブリエル氏のような難解な哲学論でもぶつのかと思ったら、資本主義社会が抱える様々な社会課題を解決するという強いメッセージだった。田口氏はまた「当社は23の事業を展開しており、1つ紹介するのに5分はかかる」と話したように、ぶっ通しで2時間くらい話してもらってもよかった。
DG TAKANOの高野氏の話がまた面白かった。1000分の2の誤差しか許されない父親の金属加工技術を生かし、洗浄力を高めながら95%の節水を実現したノズルを開発したというではないか。バーチャル・ウォーターという考えがある。節水ノズルとバーチャル・ウォーターを融合させたら革命が起きる。記者が投資家だったらこの会社に投資する。
自然電力の花吉氏の話も説得力があった。地産地消の100%再生可能エネルギー事業を展開しており、社員約200人のうち40~50人は外国人の多国籍企業だという。こういう会社が社会を変えるのだろう。座布団3枚!
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東建へ。いま企業はESG、SDGsの取り組みに懸命だ。今回の「City Lab Ventures」はサスティナビリティに特化しているのがいい。三菱地所は先にスタートアップ企業やベンチャーキャピタルへの出資額が100億円に達したと発表した。負けないよう頑張ってほしい。
一つ問題もある。配布された資料に「CLT」があった。えっと思った。「CLT」は「クロス・ラミネーティッド・ティンバー(Cross-Laminated-Timber)」しか知らなかった。同社はそうではなく「City Lab TOKYO」の略だそうだ。今後の活動次第だが、国家事業の木造の「CLT」に飲み込まれるのは必至だ。存在感を示すためにもどんどん情報を発信してほしい。(先の三菱地所のイベントは酒のふるまいもあった)
無限の可能性秘める 三菱地所「アクセラレータープログラムDemo Day」(2019/3/26)
〝安心が途切れないシームレスな住宅〟 旭化成ホームズ 要介護向けサ高住に参入
旭化成ホームズは4月19日、「要介護期」を対象としたサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「Village(ヴィラージュ)リーシュ」シリーズを立ち上げたと発表した。これまで展開してきた健常期からフレイル(虚弱)期のシニア向け賃貸住宅「へーベルVillage(ヴィレッジ)」シリーズが好調に推移しており、健康や家族の状況に応じて〝安心が途切れないシームレスな住宅〟を提供するのが狙い。
シニア・中高層事業推進本部長・田辺弘之氏は、「2005年に始めた自立型の『へーベルVillage』は35棟464戸を運営しており、入居率は95%超に達している。他にないコミュニティラウンジ、相談室などの共用部を備えているのが評価されている。2025年度までに500棟6,000戸に拡大する。『Village リーシュ』は、健康や家族の状況に応じて〝安心が途切れないシームレスな住宅〟を提供できるよう訪問看護・居宅介護支援事業所を併設する」などと話した。
第一号の「Village リーシュ上石神井」は、西武新宿線上石神井駅から徒歩9分の3階建て53戸。専用面積は18.90~21.68㎡。18.99㎡の月額料金は254,000円(家賃130,000円、共益費39,000円、生活支援サービス費35,000円、食費50,000円)。事業主は4月1日付で設立した同社100%出資の子会社「リーシュライフケア」。運営委託はやさしい手。今年10月に開業する。
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自立型シニア向け賃貸「ヘーベルVillage」が好調に推移していることから、介護付きサ高住への参入は予想されたことだ。
記者も見学した「ヘーベルVillage」は、田辺氏も話したように特別な設備仕様が施されているわけではないが、爆発的に増やしているのは、他の賃貸住宅やサ高住にはないニーズにしっかり応えているからだろう。
逆に言えば、圧倒的多数派の自立型高齢者が入居をためらう玉石混交のサ高住のあり方が問われている。国交省のサ高住に関する有識者による懇談会がどのような方向を示すか注目したいし、〝入居を拒否しない〟セーフティネット住宅についても〝貧困ビジネス〟にならないよう注視する必要がある。
サ高住は老人福祉法の「施設」の受け皿・代替えになるか 国交省・懇談会(2019/3/11)
ニッチからコアへ 旭化成ホームズ シニア向け賃貸「ヘーベルVillage」受注加速(2018/8/24)
恵比寿駅圏の最高峰 坪900万に迫る 野村不「恵比寿ヒルサイドガーデン」が人気
「プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン」
恵比寿駅圏の坪単価記録を大幅に更新した野村不動産「プラウド恵比寿ヒルサイドガーデン」(88戸)を見学した。坪900万円弱で、住友不動産が先に竣工した「シティタワー恵比寿」(310戸)の坪750万円を大幅に塗り替えた。売れ行きも好調で、約7割が成約済みだ。
物件は、JR恵比寿駅から徒歩5分、渋谷区恵比寿南三丁目の第一種住居地域に位置する敷地面積約4,035㎡、地下2階・地上11階建て全88戸。専有面積は60.00~200.20㎡、坪単価は900万円弱。竣工予定は2020年1月中旬。設計・監理は日建ハウジングシステム・鴻池組。施工は鴻池組。
現地は、商業エリアを抜けた第一種住居地域に位置する南北に細長い四方道路の傾斜地で、比高差は約7メートル。敷地は元公務員宿舎。
建物は、敷地面積が3,000㎡以上で緑化率を21%に高めたことで高さ規制30mを39mに緩和されており、通常なら13階まで建築可能だが、敢えて11階建てとしているのも特徴。建物の北側の一部はホテル・レストランになる。
住戸プランは内廊下方式で、スケルトン・インフィルを採用。さらに水回りの位置のレイアウトを容易にする「ミライフル」システムを採用。住戸は南向きに加え南西向き。
インテリアデザインはHBAを起用。主な設備仕様は、リビング天井高2620~3150ミリ、グローエ水栓、ヴィトラ社手洗いボウル、ジェシー社水栓金具、スカラベオ社の陶器手洗いボウルなど。
1月から分譲を開始し、これまでに約7割が成約済みと好調。
過去20年間、山手線内徒歩5分以内の物件は276件で、うち住居系は58件、恵比寿駅が最寄りは6件(うち野村は今回を含め3件)しかなく、しかも今回の敷地面積は約4,035㎡と広く、この希少性が富裕層の心を捉えた。
ドレッシングルーム
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190㎡のモデルルームの出来が出色だ。洗面・浴室はラグジュアリーホテルのスイートと同様で、来場者の評価も高いという。
オーダーメイド仕様だが、バスルーム・ドレッシングルームの広さは約8.3畳大、リビングは約40畳大。壁は突板パネルか大理石。キッチンカウンタートップは水晶の比率が94%のサイルストーン。
玄関扉はクリスタルをイメージした京都・傳來工房によるアルミ素材の扉をそれぞれ採用。玄関の施錠・開錠はTeblaリーダーのボタンを押すだけで可能だ。
リビングルーム
バスルーム
住友林業 バンコクで初の高級マンション311戸 平均6,700万円台
住友林業は4月18日、タイ・バンコクの現地企業と共同開発したランドマークとなる高級分譲マンション「Hyde Heritage Thonglor」を4月から本格販売したと発表した。同国では初の開発プロジェクト。
同社の100%子会社Sumitomo Forestry Singapore Ltd.(SFS社)と現地のProperty Perfect PCL社(PF社)、PF社傘下のGrande Asset Hotels & Property PCL社(GA社)の3社合弁の特定目的会社Grand Star社(GS社)が分譲するもので44階建て311戸。販売価格 3,800万円から(平均分譲価格約6,700万円)。GS社の出資比率はSFS社49%、GA社40%、PF社11%。
PF社、GA社はタイで戸建とマンションの分譲事業、ホテル事業を展開する大手不動産開発会社で、この2社とは第2弾のリバーサイド高級分譲マンションの共同開発も決定しており、タイ・バンコクで長期的なパートナー関係を継続し、質の高い住宅を提供するとしている。